【SS】歩夢「スクールアイドル…ラップバトル?」2
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※一部変えてはいますが、マイクなどの設定はヒプノシスマイクからの流用です
※ヒプマイについてはアニメとゲームのストーリーを一部知ってる程度です。ナゴヤとオオサカは一応知ってます
※一部キャラディス要素を含みます。キャラディスが苦手な方、キャラ同士のディスが苦手な人にはおすすめできません
※作中の時期は特に決めてないです。μ'sとAqoursとニジガクはすでに顔見知りという設定です
※ラップ部分は各自いい感じのリズムで読んでもらえると助かります 前回のラブライブ!スクールアイドルラップバトル!!
╭*( ๑˘ᴗ˘๑)*╮
音ノ木坂でラップを具現化するマイクが作られて、その宣伝のためにスクールアイドルのラップバトルが行われることになった
╭*( ๑˘ᴗ˘๑)*╮第一試合はprintemps vs Guilty Kiss
花陽『耳かっぽじってよく聞けやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』🖕 ╭*( ๑˘ᴗ˘๑)*╮激戦を制したのはprintemps
善子『いい?次は絶対この堕天使ヨハネとGuilty Kissが勝つんだからね』
花陽『う…うん!でも私たちも負けないよ!また、いつか戦おうね』 ╭*( ๑˘ᴗ˘๑)*╮そして続く第二試合はCYaRon! vs 歩夢・愛・璃奈
曜『CYaRon!全速前進!出発進行!』
愛『ダイバに船で乗り込もうなど百年早いわああああ!』
╭*( ๑˘ᴗ˘๑)*╮しかし…
歩夢(見せつけるんだ)
歩夢(ワタシノオモイヲ…)
╭*( ๑˘ᴗ˘๑)*╮突如、歩夢に異変が起こる 歩夢『ねえ、曜ちゃんならわかるんじゃないかな?私の気持ち』
歩夢『だからさ…潰れてよ』
╭*( ๑˘ᴗ˘๑)*╮人が変わったかのように凶悪なラップを繰り出す歩夢 ルビィ『ルビィにできるのはこれくらいかな…』バタッ
梨子『見せてあげよう!歩夢ちゃんに』
曜『そうだね、これが私たちの選んだ道』
千歌『ウチウラ2年のセッションなのだ!』
愛『これがニジガクの』
璃奈『これがメンバーの』
愛・璃奈『力だぁぁぁぁぁぁ!』
╭*( ๑˘ᴗ˘๑)*╮CYaRon!、梨子、愛、璃奈が力を合わせて歩夢を止めた
╭*( ๑˘ᴗ˘๑)*╮しかし大会は中止となったのだった 〜歩夢自室のベランダ〜
歩夢「あれから1ヶ月か」
歩夢(いつものベランダでスマホの画面を見ながら侑ちゃんを待つ)
歩夢「侑ちゃん出てきてくれるかな」
歩夢(あの日、スクールアイドルラップバトルが中止になった日から、もう1ヶ月が経っていた)
歩夢(侑ちゃんと話す前に、この1ヶ月の出来事を整理してみる) 歩夢(まず大会の次の日に大会運営団体を名乗る人から家に電話があった)
歩夢(一度会って私と両親に対して謝罪と事情の説明をしたいとのことだった)
歩夢(偉い人たちが何人か家に来た。その中にはことりちゃんのお母さんもいた)
歩夢(それからずっと大人だけで何か話をしていた。内容はよく聞き取れなかったけど、事件についての公表時に私の情報は伏せること、私の安全を保証することを条件に最後には和解したみたいで安心した)
歩夢(次の日に病院まで行って検査をすることになった…一応、異常は無かったらしい) 歩夢「異常は無かった…か」
歩夢「と、そろそろ時間かな?」
ガラガラ
侑「お、早いね歩夢」
歩夢「私が呼び出したんだもん。10分前行動は当たり前だよ」
侑「それで…話したいことっていうのは」
歩夢「…うん、もう侑ちゃんも知ってるよね」 歩夢(手に持ったスマホ、その画面を見る)
歩夢(『スクールアイドルラップバトル再開!』画面にはそう映し出されていた)
歩夢「スクールアイドルラップバトルが…再開するんだよね」
侑「歩夢は…どうするの?」
侑「どうしたいの?」
歩夢「私は…」
歩夢「ごめん…よくわからないかな」 〜夜・歩夢自室〜
歩夢「スクールアイドル…ラップバトル…」
歩夢(あんな事故があったのに1ヶ月で再開まで漕ぎつけたられたのはことりちゃんのお母さんの人望によるところが大きい)
歩夢(すぐ後こそ、主催者であることりちゃんのお母さんを責める声がたくさんあったけど)
歩夢(調査を重ねるうちにことりちゃんのお母さんの知らないところで行われた不正がいくつも明るみに出たんだ)
歩夢(マイク開発の委託を受けた業者がテスト結果の偽装をしていたとか、粗悪な部品が使われていたとか、大会運営会社の過酷な勤務形態とか…)
歩夢(そこからは音ノ木坂理事長に恨みをもった人の陰謀とか色々騒がれてことりちゃんのお母さんは一転して被害者になって)
歩夢(次こそはことりちゃんのお母さんの理想とするスクールアイドルラップバトルを実現しようと新しい運営体制が作られた)
歩夢(一方でお父さんとお母さんの要望もあってか前回大会の詳細は伏せられ、私は世間的にはただの普通の女の子になっていた) 歩夢「私は…どうすればいいんだろう」
歩夢「どうしたいんだろう」
歩夢(ちょうど明日は休みだし、みんなと話してみるかな) 〜翌朝・通学路〜
歩夢(うう…結局眠れなかった)
侑「歩夢〜」
侑「あ、ゆ、む〜〜〜!」ガシッ
歩夢「きゃあっ!」
侑「さっきから呼んでるのに歩夢が無視する〜」
侑「歩夢は私のことなんてどうでもいいんだ〜」
歩夢「ゆ、侑ちゃんごめんね…私は…」 侑「また、ラップバトルのこと?あれは歩夢のせいじゃないしもうみんな気にしてないよ」
歩夢「うん…」
侑「それに歩夢を止めようと千歌ちゃんや愛さんたちが頑張ったおかげでスクールアイドルラップバトルが評価されたんだから結果オーライだよ」
歩夢「あはは…」
歩夢(それもおかしな話なんだよね) 歩夢(あの日、アキバドームには他のスクールアイドルや観客がいた)
歩夢(その人たちは私がおかしくなったことも、それを千歌ちゃんたちや愛さん璃奈ちゃんが止めるために大変な思いをしたことも見ていた)
歩夢(だけど、スクールアイドルラップバトルの再開に対して反対する意見というのはあまりない…あったとしてもいつの間にか消えてしまう)
歩夢(逆に賛成意見はもてはやされ、賛成派の人がテレビに出たりしている。スクールアイドルラップバトルは評価されている…ということになっている) 侑「歩夢がやりたいようにやればいいと思うよ」
歩夢「そういうわけにはいかないよ…みんな、特に愛ちゃんと璃奈ちゃんには迷惑かけちゃったし」
歩夢「そうだよ…簡単には決められない」 〜練習開始前〜
〜スクールアイドル同好会部室〜
彼方「ふいー、今日は彼方ちゃんお目目ぱっちりだよ」
しずく「ずいぶん気合が入ってますね」
せつ菜「寝落ちしない彼方さんを久しぶりに見れる気がします!」
歩夢「…ねえ、みんなにちょっと話があるんだけどいいかな?」 かすみ「歩夢先輩…」
果林「まあ…こうなるわよね」
エマ「ラップバトルのこと…だよね?歩夢ちゃん」
歩夢「うん、あのね…また出るのかどうか決めておかないとかなって」
歩夢「あ、もちろんみんなが出たくないなら…」
果林「…出るわよ」
歩夢「え?」 果林「何?そんなに意外?」
歩夢「え…そっか、うん!じゃあ練習しないとだね!私も頑張っ…」
果林「歩夢、話は最後まで聞きなさい」
果林「私たち虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会はスクールアイドルラップバトルに出場する…ただし」
果林「歩夢…あなたは抜きでね」 歩夢「…どういうことですか?」
愛「実はね、この1ヶ月愛さんたちで話し合ってたんだ」
愛「ラップバトルが再開したらニジガクはどうするのかって」
愛「その答えが歩夢抜きでの参加だよ」
せつ菜「あの!歩夢さんが邪魔とかそういうことじゃなくて」
侑「まってよ!私はそんなの聞いてない!」 璃奈「侑さんに言ったら侑さんは9人で出られるように動く…それを知った歩夢さんは出るしかなくなる」
エマ「だから侑ちゃんにも内緒にしようってことになったんだ…ごめんね」
侑「そんなの…勝手すぎるよ!歩夢の気持ちも聞かないで」
歩夢「いいよ…侑ちゃん」
侑「歩夢!」
果林「歩夢の気持ち…ね」
果林「あのね…まったく聞かなかったわけでもないわよ」 歩夢(そう…まったく聞かれなかったわけじゃない)
歩夢(同好会の中でもラップバトルの話は普通にされている)
歩夢(「あの事件は歩夢のせいじゃないのに話題を避けるのはおかしい」と侑ちゃんが怒ったことがあってそれかららしい)
歩夢(だから今朝の侑ちゃんがしていたみたいなラップバトルに参加したいかどうかの話をされたことも何回かあった)
歩夢(そのたびに言葉を濁して当たり障りのないことを答えてきたんだ)
果林「ねえ、歩夢?あなたは出たいの?」
果林「誰かか出てほしいと言ったからとか、私たちが出ると言ってるからとかじゃなく」
果林「また前の時みたいになるかもしれないのに、それでもあなたは出たいの?」
せつ菜「果林さん!それは…」 果林「テレビじゃ偉そうな人がマイクの故障とか言ってたかしら?原因なんて関係ないわよ」
果林「歩夢自身がマイクのせいだなんて思ってない。こんな状態でラップバトルなんてできっこない」
果林「だから歩夢は出さない、みんなで話し合ってそう決めたじゃない?違う?」
侑「歩夢抜きでそんなの…話し合ったなんていわない!」
侑「歩夢もこんなの嫌でしょ!?」
歩夢「果林さんの言う通りだよ…」
侑「歩夢!」
歩夢「ごめん侑ちゃん、ちょっと一人にさせてほしいから外…出るね」
侑「待ってよ歩夢!」 歩夢(言えなかった…出たいって…ちゃんとやれるって)
歩夢(どうしよう飛び出してきちゃったけど)
歩夢(戻りづらいな…)
歩夢(どうしよう…) 〜同日・昼〜
〜浦の星女学院スクールアイドル部部室〜
花丸「おおおお!これが新型マイク!未来ずら…未来ずらぁ!」
善子「見た目は同じじゃない?」
花丸「ふふふ…甘いね善子ちゃん。今回のマイクは"きゃんせらー"という道具で効果を一時的に無効にできるんだよ」
花丸「そして…これがその"きゃんせらー"ずらー!」ドーン 花丸「しかも…」
花丸「今回はマイクがもう一本ついてきたずらー!お得ずら!」ドドーン
善子「通販番組か!」
ルビィ「学校内での練習バトルもできるようにってことらしいね」
善子「いざとなったらキャンセラーがあるからどんどんバトルしてくださいってこと?安全性アピール目的にしても思い切り過ぎじゃない?」
花丸「でもやっぱり新型と付いてることが重要ずらよ!ああああどんな未来技術が使われてるのかな〜」 善子「ちょっと、落ち着きなさいよずら丸」
花丸「まあまあ、善子ちゃんも持ってみてよ、はい!」
シュイーーン!
善子「ほえ!?」
花丸「スイッチオーン、ずら!」
善子「え?ちょっと!このマイク電源入って…」 シュイーーーン!
善子「なんか始まっちゃったじゃない!」
ルビィ「これ、ラップバトルのやつ?」
花丸「さあ勝負ずらよ善子ちゃん」
善子「はあああああ!?」 【花丸】
今こそ出陣、マルが獅子奮迅
龍神をも降すぞ鬼神の前進
荒ぶれ軍神、木っ端微塵ずら
灰塵残さずまるっと天地改新 ズドーーン!
善子「ぐわっ!」
花丸「おおおこれがらっぷばとる!」
善子「なんでいきなりバトルふっかけるのよ!」
花丸「だって…やってみたかったんだもん」
善子「はあ!?」
花丸「善子ちゃんもルビィちゃんも前の大会でバトルしたのに…マルは一回もやってないずら!仲間はずれはいやずら!」 善子「そんなことで!?」
ルビィ「花丸ちゃんごめんね!」
善子「…ルビィ?」
ルビィ「ごめんね花丸ちゃん…!ルビィたち…まったく気づかなかったっ!」
ルビィ「花丸ちゃんの気持ち…傷つけちゃってた!」 善子「ルビィの変なスイッチが入った!?」
ルビィ「お願い善子ちゃん!花丸ちゃんの夢を叶えてあげて!」
善子「ああもう!わかったわよ!」
善子「堕天使ヨハネに刃向かった罪、ただじゃすまさないからね」 【善子】
人の身過ぎた傲慢な夢想家
獅子も龍も鬼も神も分け隔てなどなく
焼き尽しましょうゲヘナの業火
淘汰の前に響く葬送歌 ブォオオオオオオ!
花丸「ずらあああ!」
善子「こっちは一回修羅場くぐってんの!負けるわけにはいかないのよ!」
花丸「なるほどずら…だけどマルだって…」 【花丸】
地獄の業火など怖くない全然
合縁奇縁情念こそ危険
安心した安珍を捉える熱視線
隠れた鐘ごと焼き焦がせ豪炎 花丸「マルの怨恨が焼き尽くすずらぁ!」
ボォオオオオオオオオ!
善子「はじめてなのにそんな殺意満々でくるな!」
善子「あと、なんで清姫伝説なんて放り込んできてるのよ!もっとメジャーなのあるでしょ!」
花丸「いやだよ〜だ!そんなことしたら善子ちゃんのスキル発動しちゃうかもしれないし」
花丸「マルはマルの戦い方をしてるだけずら」 善子「心配しなくてもあんたの使う言葉なんて一回も当てたことないっての!」
善子「しかも当てたところで私の世界観と合わないじゃない!」
ルビィ「あはは…本当に花丸ちゃんの戦い方は善子ちゃんに対しては異常なほど強いんだよね」
ルビィ「あ、善子ちゃんのスキルとか何だよって人は前回の話の41を見てね」
↓
http://itest.5ch.net/fate/test/read.cgi/lovelive/1608346524/41 千歌「はあ…」
千歌「1年生は楽しそうだね…」
果南「あれは止めた方がいいんじゃないかな?」
曜「えっと…ラップバトルが再開ってことはだよ…つまり」
梨子「歩夢ちゃんに会うかもしれないんだよね…」
千歌「勢いでずいぶんと強い言葉を使っちゃったし、さすがに言い過ぎた感もあって顔を合わせづらいものがあって」
千歌「前のラップバトル大会が終わってから歩夢ちゃんに会わないままずるずるとここまで来てしまった」 鞠莉「あらあら、じゃあちょうどいいんじゃない?」
千歌「へ?」
鞠莉「来てるもの。歩夢」
歩夢「えーっと、久しぶり…かな?」
千歌「歩夢ちゃん!?なんでここに?」
こらーーー!
千歌「ん?」
ダイヤ「ちょっと!部室で何をしてるんですの1年生!」
ルビィ「ぴゃあ!」
花丸「ずらぁ!」
善子「違うのこれはずらまるが」
千歌「……えと、とりあえず座って」 〜数分後〜
ダイヤ「先日はうちの2年生が歩夢さんに大変な無礼を!」
ダイヤ「更にはせっかく来てくださったのに1年生がお見苦しいところを!申し訳ありませんですわ!」
果南「一番見苦しかったのはダイヤな気もする…」
果南「ごめんね。大会のことは千歌たちもやりすぎたって反省してるから許してあげて」 歩夢「あの…それは私の方に落ち度があるというか…千歌ちゃんたちは全面的に悪くないので」
千歌「いやいや、最後の方なんか三人がかりでやる意味あったのかという説もありまして!千歌たちも落ち度はあったかなと!」
梨子「そうだよ!私なんか横から入るとかただのルール違反だよ!歩夢ちゃんより私の方が問題あるから!」
歩夢「そんなことないよ!梨子ちゃんが入って三人が力を合わせてくれたから元に戻れたんだもん!それに、曜ちゃんにはひどいこと言っちゃったし…悪いのは私だよ!」
曜「あんなのひどいに入らないから!日常会話、ただの日常会話だよ!」 鞠莉「まあ、そのくらいにして、歩夢もただ顔を見に沼津まで来たってわけじゃないでしょ?」
歩夢「うん…千歌ちゃんと会って話したいことがあって…でも」
ダイヤ「1年生!まだ話は終わってませんわよ!」
ルビィ「ぴぎぃ!」
花丸「ずららぁ!」
善子「まだ続くの!?」
果南「…あれは当分収まりそうもないね」 鞠莉「だったら理事長室を使うのはどう?誰も来ないから存分に話ができるわよ?」
果南「職権濫用だよ鞠莉」
鞠莉「んもー、果南までダイヤみたいなこと言わないの」
ダイヤ「聞こえてますわよ!!!!鞠莉さん!」
鞠莉「おー、こわっ」
鞠莉「ほらほら早く行っちゃいなさい」 〜浦の星女学院理事長室〜
歩夢「相変わらずAqoursはおもしろいね」
千歌「騒がしくてすみません…」
千歌「さてと…」
千歌「ではぶっちゃけトークといきましょうか」
歩夢「えっと…どこから話したらいいかな」
歩夢「ねえ…千歌ちゃんはなんでラップバトルに出ようと思ったの?」
千歌「おお、そうくるか!」 千歌「ん〜、私の場合はもともとラップが好きというのもあるんだけど…」
千歌「前にも話したよね。うちの学校…無くなっちゃうかもしれないんだ」
歩夢「生徒が集まれば無くならないかもしれないんだよね…それで始めたのがAqoursなんだっけ?」
千歌「うん!スクールアイドルでもラップバトルでもさ、それを見て浦の星に来たいって思う子がいるかもしれないじゃん?」
千歌「でも、それだけじゃない。浦の星女学院って学校があった証拠を少しでも残しておきたいんだ」 歩夢「すごいな…私なんかとは大違い」
千歌「はるばるここまで来ておいてそれを言うかね…」
歩夢「おかげでお財布の中身が危なくなっちゃってる…」
歩夢「私ね…前のラップバトルは別に出たいとかじゃなかったんだ」
歩夢「みんなで練習してる時とかも楽しいとかあんまり思ってなかった」 歩夢「でもね、千歌ちゃんたちや愛ちゃん璃奈ちゃんが私を止めてくれた時、なんかキラキラしててときめいちゃったんだ」
千歌「千歌も入ってるのか…なんかむず痒いな」
歩夢「私も…そうなれたらいいなって思うんだけど…その度にあの日みたいになったらどうしようってなっちゃうんだ」
千歌「…そうなんだ」
歩夢「それでね…言われちゃった…『そんな状態でラップできるのか』って」
歩夢「私、何も言い返せなかった」
千歌「なるほど…そっか…」 歩夢「これから私どうしたらいいのかなって、千歌ちゃんたちに会えば何か見えるのかな…って思ったんだけど」
千歌「うーん、そっか…」
千歌「あ!そうだ!ちょっと待ってて!」
歩夢「千歌ちゃん?」
千歌「ちょっと取りに行ってくるから!」
歩夢「???」 〜数分後〜
千歌「はあ…はあ…お待…たせ」
歩夢「千歌…ちゃん…?」
千歌「あのね…千歌はニジガクのメンバーじゃないし…ニジガクの問題は千歌じゃどうしようもないと思うんだ」ハアハア
千歌「歩夢ちゃんがどうにかするしか…ないと思うんだ」
歩夢「うん、そうだよね…」 千歌「だけどね!歩夢ちゃんが…もしまだ立ち上がりたいならさ…」
千歌「これ…必要じゃないかな?」
歩夢(千歌ちゃんが持ってきた"それ"を私に差し出す)
歩夢「これって…マイク?」
千歌「うちのマイク1本だけ貸しとくからさ、ぶつけたらいいんじゃない?歩夢ちゃんの今の気持ちを!」
歩夢「ラップで気持ちを伝える…?」
千歌「そういうこと!うちの都合もあるから2本はちょっと無理だけど…返してくれるまでウチウラはもう1本でなんとかするよ」 歩夢「いいの?」
千歌「そりゃもうオーケーだよ!あ、あとこれだけは言わせて」
千歌「もし歩夢ちゃんがおかしくなっちゃったとしても…何度だって千歌たちが止めるから!あんな歩夢ちゃんに負けるほどウチウラはやわじゃないんだからね!」
歩夢「…………」
千歌「…………」
歩夢「……ぷっ!あはははっ」 千歌「ちょっと!ここ笑うところじゃないよ!」
歩夢「ごめ…ごめん…ぷっ、あははははっ!」
歩夢「だって…ラップバトル出場のためにラップ…しかもまたおかしくなっても止めるっ…ちょ…ごめん…あはははっ!」
歩夢「なんか元気でてきちゃった。そうだね…やっぱり私はラップバトルに出たい!この気持ち、ラップでぶつけてみるよ」
千歌「むう〜なんかすっきりしないぞ」 歩夢「じゃあ…マイク借りてくね」
千歌「ぶつけてきなよ!あ、まだ時間あるし内浦の観光したいなら千歌がガイドするけどどうする?」
歩夢「う〜ん、早く東京に戻りたいかな?行かないといけないところも出来たし」
千歌「ん、そっか…浦女のみんなにはよろしく伝えておくからまた会おうね」
歩夢「うん、また会おうね。ありがとう」 〜浦の星女学院・スクールアイドル部部室〜
千歌「ふう…戻ったよー」
花丸「ああああ!千歌ちゃん返してずらあああマルのマイクぅ!」
善子「あんたのじゃないでしょ…で、何があったの?私としてはバトル挑まれなくなるから助かったけど」
千歌「あはは…ごめん。実は歩夢ちゃんにマイクを貸してあげようと…」
善子「は?マイクを貸す?なによそれ…」
千歌「えっと…」 鞠莉「はいはい!乙女の内緒トークを根掘り葉掘りは無粋ですよ!千歌っちと歩夢の胸のシークレットにさせてあげて」
善子「なによ、ケチー」
千歌(ニジガクは色々あるっぽいけどうちはうちで元気にやるからさ)
千歌(今度は本当の歩夢ちゃんのラップ聴かせてね…) 〜沼津駅〜
歩夢「さてと、やっぱりマイクは2本なくちゃだよね」
歩夢「だとしたら行くのはあそこかな?」
歩夢「…お財布の中身がすごい早さで無くなっていってる」 〜同日〜
〜音ノ木坂学園・アイドル研究部部室〜
穂乃果「ほうほう、ニジガクメンバーから全力外通告を受けたけど納得できない。それでラップバトルで説得したいから確実にマイクを持ってるはずのオトノキまでマイクを借りに来たと」
歩夢「そこまではっきり言われると…うん、その通りです」
ことり「意訳しすぎだよ穂乃果ちゃん」
海未「すみません…穂乃果はこんな人なんです」
歩夢「μ'sのみんなには迷惑かけちゃうよね…ごめん!すぐ返すから」
穂乃果「ううん、穂乃果そういうの大好きだよ!うちのマイクなら何本でも持って行ってよ!」 歩夢「あと…」
穂乃果「なになに?穂むらのお饅頭でもなんでも持っていっていいよ!」
歩夢「いや、その…なんで穂乃果ちゃんはラップバトルに出ようと思ったか聞きたいなと」
穂乃果「穂乃果が出たい理由?」
歩夢「うん、マイクのこともあるけど。それを穂乃果ちゃんに会って聞きたかったんだ」
穂乃果「そうだな〜」
歩夢「やっぱり廃校阻止のため?」
穂乃果「それもあるけど…うーん」 穂乃果「スクールアイドルが大好きだからかな?」
歩夢「???」
穂乃果「スクールアイドルってすごいよね。一人一人がステージでキラキラしてて」
穂乃果「ライブだけじゃない…スクールアイドルはまだまだ色んなことができるんだよってみんなに知ってもらいたい」
穂乃果「それがラップバトルにでる理由かな?」 穂乃果「あとね…これは余計なことかもしれないけど」
歩夢「何?」
穂乃果「人間ってみんなどこか不器用なんじゃないかなって穂乃果は思うんだ。それは自分も相手も同じで」
穂乃果「伝えなきゃいけないことを伝えられかったり、周りが見えなくなっちゃったり、立ち直れないくらい落ち込んじゃうこともある」
穂乃果「でも不器用でいいんじゃないかなって…不器用な自分も相手も好きになってあげればいいんじゃないかって穂乃果は思うよ」 穂乃果「穂乃果はあんまり頭よくないし、話も上手じゃないからこれで伝わったかわからないけど」
海未「穂乃果…」
ことり「もしかしてそれって…」
穂乃果「じゃあ、オトノキのマイクを持ってニジガクにゴーだよっ!なんなら2本とも持って行って」
海未「私たちの練習もありますし、そういうわけにもいかないですよ穂乃果」
ことり「そもそもマイクの貸し出しが良いのかどうか…」
ことりママ「ふふっ、許可しますよ」 ことり「お母さん!」
ことりママ「ごめんなさいね。聞こえてしまったもので」
ことりママ「歩夢ちゃんと虹ヶ咲のためですもの。そのくらいは許可しますよ」
ことりママ「そうだ!せっかくだからお話ししましょう?虹ヶ咲まで送るので」
歩夢「いいんですか…?」
ことりママ「歩夢ちゃんのためですもの!じゃあ早速行きましょう」
歩夢「はい!…穂乃果ちゃん!私、やれるだけやってみるよ」
穂乃果「うん!ファイトだよっ!」 ………
……………
ことり「歩夢ちゃん….ちゃんと伝えられるといいね」
海未「それにしても穂乃果、先ほどのは随分と熱のこもったアドバイスですね」
穂乃果「えーっと、あはは…」
凛「あ!穂乃果ちゃんたちいたよ!」 絵里「ちょっと、いきなり練習抜け出してなんなのよ?」
真姫「海未もことりも穂乃果を連れ戻すって言ったきり帰ってこないし」
にこ「あちこち探しちゃったじゃないの」
花陽「もう一生見つからないかもって思っちゃいました…」
希「…あれ?誰か来てたん?」
穂乃果「えーっと、歩夢ちゃんが……」
穂乃果(歩夢ちゃんのやろうとしてることは簡単じゃないかもしれないけど)
穂乃果(多分、歩夢ちゃんならなんとかできるんじゃないかな?)
穂乃果(穂乃果…不器用だけどそういう勘だけは自信あるんだよ) 〜車内〜
〜音ノ木坂から虹ヶ咲へ移動中〜
歩夢(成り行きで乗ったけど…)
歩夢(これっていわゆるリムジンってやつだよね)
運転者「…………」
歩夢(鞠莉さんは自家用ヘリがあるらしいし、理事長って結構お金持ちなのかな?)
ことりママ「懐かしいわね。私も昔は結構やんちゃしたものよ」
歩夢「一つ、質問してもいいですか?」
ことりママ「なんでしょう?」 歩夢「あれは、本当にマイクのせいだったんですか?」
ことりママ「……」
歩夢「マイクの不具合のせいだって聞いています…でも」
歩夢「私は納得できていません」
ことりママ「なるほど…そうですよね」
ことりママ「私に言えることは一つです。今は苦しいかもしれないですが、あなたの求める答えはあなた自身が見つけてください」 歩夢「私が見つける…ですか?」
ことりママ「…って、歩夢さんが苦しんでるきっかけを作った私が言うことではないですね」
ことりママ「そろそろ虹ヶ咲につくけど…準備はいい?」
歩夢「できてます」
ことりママ「ふふっ、健闘を祈ってますよ」
ことりママ「朝香さんたちにぶつけてください。あなたの想いを」
歩夢「はい…!」 〜同日・夕方〜
〜虹ヶ咲学園前〜
歩夢(さてと…ここからが勝負だよね)
歩夢(まだ練習はしてるはず)
歩夢(穂乃果ちゃんたちのマイクと千歌ちゃんたちのマイク…これで2つ)
歩夢(あれ?メッセージがきてる?)
千歌:歩夢ちゃんの覚悟、ニジガクのみんなにぶつけちゃえ!
穂乃果:バトルステージで会おう!ファイトだよっ!
歩夢(果林さん…聴いてください…私のラップを) 〜スクールアイドル同好会部室〜
侑「歩夢、どこ行っちゃったんだろ…家にも帰ってないっぽいし」
愛「ゆうゆ…」
ガチャッ
せつ菜「お疲れ様です。愛さん」
愛「あ、おかえりせっつー」
せつ菜「どうですか?侑さんは」
愛「いや、まったく動か…」
ハーテーシナーイ ミーチ♬
侑「歩夢からだ!」ガバッ
愛「おお…」 侑「歩夢!いまどこ!?…うん!うん!わかった!」
侑「せつ菜ちゃん!愛さん!」
せつ菜「は、はい!」
愛「どうしたのいきなり!?」
侑「みんなをいますぐ中庭に集めて!」
せつ菜「どうしたんですか?」
侑「歩夢帰ってくるって!」
侑「みんなに伝えたいことがあるって言ってた!」 〜中庭〜
侑「みんなを集めてきたよ歩夢ー!」
歩夢「ありがとう侑ちゃん」
果林「…で、伝えたいことって何?」
エマ「果林ちゃん…」
彼方「いきなり喧嘩腰はよくないよ。まずは歩夢ちゃんの話を聞こう?」
果林「まあ、今朝のことについてなんでしょうけど…」
歩夢「うん、私はラップバトルに出たい!誰のためでもない私自身のために!」 歩夢「まだ怖いのは変わらないけど…それ以上に挑戦してみたいの!私もスクールアイドルとして!」
歩夢「だから、私をメンバーに入れてほしいです!」
侑「歩夢…」
果林「その話はもう終わったはずよ」
果林「私たちの答えは変わらない」
歩夢「言ったところで聞いてくれないのはわかってます…だから!」
ヒューン!パシッ!
果林「これはマイク…本気なの?歩夢」 歩夢「本気です!私の気持ちをみんなにわかってもらうにはこれしかないと思いました」
歩夢「果林さん…私とラップバトルをしてください!」ヒューン
しずく「歩夢さんと果林さんが」
かすみ「ラップ…バトル…?」
果林「いいわ…こっちだって生半可な気持ちで止めてないってことを見せてあげる」ヒューン
歩夢「では…」
歩夢「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会、上原歩夢!一歩一歩夢に向かって前進します!」
歩夢「いくよ、ここからは私の…上原歩夢のためのラップ…」 【歩夢】
あの日の自分越える一歩一歩
踏み出すならそう!みんなと一緒
ここから始める大丈夫だ!きっと
覚悟ぶつける、さあ勝負だ!きりっと ドーン
果林「ふーん、ちょっとは成長したみたいね、でも」
果林「だから何?」
歩夢「そんな…ノーダメージ…」
果林「でもまあ…肩慣らしにはちょうどいいかしら?」
果林「…肩慣らしにすらならないかもしれないけどね」 【果林】
覚悟?大丈夫?そんなのは錯誤
もう食べ飽きた甘いハニーサンド
夢のランドの感動ストーリーじゃないの
何度も味わう現実の惨状 ジャララララララ
歩夢「これは…鎖…?」
果林「今日一日どこで何をしてたとか、このマイクはどこから持ってきたかとか気になることはあるんだけど…一ついい?」
果林「歩夢…あなた本当に私に勝つ気なの?」
ガシィッッッッ
歩夢「きゃぁぁっ!」
果林「やめるなら今のうちだけど?」
歩夢「やめないです!果林さんがわかってくれるまで私の気持ちを伝える…ただそれだけです」 【歩夢】
弱い自分はこれから革新
変われるよストーリーはまだ白紙
もう止まらない、この気持ちで爆進
ひとりじゃないからできると確信 ドーーン
果林「はぁ…さっきよりはましみたいだけど…弱いわね」
果林「怖いって自分でも言ってたでしょ?観客席で侑と二人で観戦でもしてればいいじゃない」
歩夢「私は、前に進むって決めたんです。ニジガクのみんなとならできるって信じてます!」
果南「そのニジガクのみんながあなたを外すと決めたの!」 【果林】
勢い任せの主張じゃ幼稚
論理無視しちゃ行く先はロンリー
もはや止まれず入るその檻
吠えようが出られないただの不合理 ガシッ!
歩夢「鎖に続いて檻まで…」
果林「笑わせないで!たった数時間で覆るほど私たちの1ヶ月は軽くない!」
果林「みんなとならなんとかなる?何よそれ?」
果林「なんともなってないから…こうなってるんじゃないの?」
歩夢「そうかもしれないですけど、これからなんとかするんです!」 【歩夢】
今あるのはただ思いだけ
真っ暗闇の解説なし無理ゲー
だけど道は見つければいいだけ
想いの強さで辿り着くゴールゲート ドーン!ドーン!
果林「だから…通じないって言ってるでしょ!」
果林「ただの理想論なの!あなたの言ってることは」
果林「何十回やろうと、何百回やろうと響かないの!」 【果林】
正面突破とか芸が無い
ましてやこれはゲームじゃない
リアリティ無視のその脳内
嫌になるわもはや問題外 ギリッ…ギリッ…
歩夢「ぐっ…あっ…」
歩夢「どんどんきつく…このままじゃ身動きがとれない」
歩夢(できないの?私の言葉は果林さんには届かないの?)
(ねえ?また私が助けてあげようか?)
(ぶつけるんでしょ?私のオモイ?)
歩夢「私の…」
歩夢「私の…ワたしのおもイ…?」 侑「歩夢?」
愛「あれって…この前と同じ」
璃奈「なんで?またマイクの故障なの?」
果林「…もうやめにしましょう!こんなの続ける意味ない」
歩夢「…待ってください!」
歩夢「少しだけ時間をください」 歩夢(あなたは私…なんだよね?)
(ずっとそう言ってるよ?って言ってもまだ2回目だし…私のことそんなによく思ってないみたいだけど)
歩夢(ごめん、それは謝るよ)
歩夢(間違いなくあなたは私だよ…自分の気持ちのをどうしていいかわからなくて、歯止めがきかなくなっちゃう…そんな部分が大きくなった)
歩夢(私がそうなりたくないと願ったとてつもなく不器用な上原歩夢)
(私…馬鹿にされてるのかな?それは?) (でも、認めてくれたのならそれでいいか…)
歩夢(あのね、もう助けてくれなくていいよ)
歩夢(一歩一歩夢へと向かう…それが上原歩夢だから)
歩夢(一緒に強くなろう)
(そうか…それを選ぶなら止めはしないよ)
(またね)
歩夢「ごめんなさい!待たせました!」
歩夢「今までの分…取り返すよ!」 【歩夢】
そうだねこれはゲームじゃない
正しいレールなんてものはない
だけど同じだ投げ出したら終わり
恐怖も隣に置いて進むこころざし
もう頼らないチートなコード
本当の武器はリアルな衝動
幾度もぶつかるルートの分岐点
進んでいくんだこの奮起で スドーーーン
果林「くっ」
歩夢「そうだよ…こんな鎖なんかで…」
歩夢「私は止まらない!」
果林「なんか様子がおかしくなってたみたいだけど…ようやく本気ってわけ?」
歩夢「少しだけど通った?でも…」
果林「そうね、まあ攻撃にはなってるかしら?」
歩夢「どうして…まだ何か…足りないの?」 ザザザザッ
『私は…歩夢が立ち直ってくれることにかけたい』
『メンバーから外すことなんてないじゃない!歩夢の努力を無かったことにしたくない!』
歩夢「果林さんの声?」
歩夢「あの!果林さん!」
果林「何?もう満足したからやめたい?」
歩夢「今、私をメンバーから外したくないって…」 果林「…耳でもおかしくなった?言ってないし、微塵も思ってないわよそんなこと」
歩夢(そうだよね…ここまで強く具現化するってことは果林さんは本気ってことだもん)
歩夢(本気で私を止めようとしてる)
果林「…言っておくけど、またおかしくなったらそこでもうおしまいよ」
果林「そんなことになる前に終わりそうだけどね」 【果林】
リードつけても暴れる猛犬
違うわあなたに必要なのは
前もろくに見えてない妄言を
正しくリードする盲導犬
ひと時の勘違い、8人の見解
どっちが強いか明らかじゃない?
ましてや先輩がしてるの心配
想いの強さでも上よ何千倍 歩夢(わかる…さっきのは果林さんの声だけど果林さんの本音とかじゃない)
ザザザザッ
果林『絶対に諦めたりしないわよ』
歩夢(また果林さんの声がする…なんなのこれ?)
(ごめん…カッコよく別れたばっかりなんだけど…ちょっといいかな?) 歩夢(これ、あなたがやってるの?邪魔しないで)
(ひどいな、ヒントあげようと思ったのに…これはあなたがやってるんだよ?)
歩夢(…どういうこと?)
(私は上原歩夢だけどあなたじゃない、あなたが選ばなかった上原歩夢、その声がなんで聞こえてると思う?)
歩夢(選ばなかった…私の声?)
ザザザザッ
果林『大丈夫よ!歩夢が決めたんだったら後悔なんて私がさせない』
果林『怖いけど立ち向かうことを選んだあなたなら、もう負けたりなんかしない』
歩夢(もしかして…これ…) ザザザザッ
果林『そう…あのね。私は思うの』
果林『立ち向かわないことをちゃんと言える勇気は立ち向かう勇気と同じくらい尊いんだって』
歩夢(わかった気がする…これが何なのか)
歩夢(私が何をしてきたのか…果林さんたちに伝えなきゃいけないのは何なのか) 歩夢「千歌ちゃんが言ってた…"ニジガクの問題は"私がどうにかするしかないんだって」
歩夢「穂乃果ちゃんが言ってた…私も"相手も"不器用なんだって」
(言葉が届かない…か、私だったら相手の事情なんかお構いなしに無理矢理にでも届けるんだけど)
(じゃあ、がんばってね) 果林「ねえ…いつまでそうやってるのかしら?」
果林「もう限界ならさっさと折れてほしいところなんだけど」
歩夢「いえ、まだ…行きます!」
歩夢「ごめんなさい果林さん!」
歩夢「果林さんの言う通り…私…見えてませんでした…」
果林「次は何よ…」 歩夢「私は今日までどっちも選ばなかった、立ち向かうことも逃げることも選ばなかった」
歩夢「だから、果林さんたちは捨てるしかなかったんですよね…」
歩夢「"私に選ばせる"という選択肢を」
果林「……」
歩夢「私…ここからは果林さんたちのことちゃんと見て伝えます…だから」
歩夢「見てて下さい…果林さん!」 【歩夢】
あの花もこの花もみんなキープ?
いや、最初(ハナ)から無理だよ足りない水
時間稼ぎで目逸らしどこに行く?
そりゃ枯れちゃうよね花も涙も
どっちつかずの花壇はぼろぼろ
雑草だらけだ火つけりゃぼうぼう
代わりに手入れした人の手どろどろ
戻った私、恩知らずおろおろ 歩夢「そうだよ…目を逸らしちゃいけなかったんだ!」
ドゴコオオオッ!
歩夢「ぐっ!痛ッ!!!」
歩夢「ああ…やっぱりできるんだ…こういうのも」
侑「自分を攻撃って…何してるの歩夢!」
歩夢「あのね…思ったんだ。鎖も檻も…果林さんの出したものは確かに自由を奪うものなんだけど…」
歩夢「大切な何かを守るためのものでもあるんじゃないかな?って…」
果林「……」 歩夢「そういう想いを覆すには…自分勝手に喚くだけじゃダメなんだよ」
歩夢「ちゃんとその想いを受け止めて返さないと届くはずなんてない」
果林「面白い考察ね。だけど…」
果林「…なにそれ?自分を攻撃って馬鹿にしてるの?」 【果林】
自傷行為で主張通し?
呆れたそれこそ幼稚な逃避
メンヘラの極みただの脳死
頭を冷やしなさい本当に
命、代償とか、やること奇異
投げ捨てるものなど安物品
履き違えてる覚悟の意味
ちょうどいい示すわ確保の意義 ジャラララララララ
歩夢「また鎖が」ギギッ
果林「縛っとけば自傷行為もできないわよね?」
果林「だいたい何?自分で自分傷つけてそれ見せつけて、私が同情するとでも思った?」
果林「こんな馬鹿とは思わなかった…」
歩夢「ふふっ…」
果林「?」 歩夢「ふふっ…果林さんせっかちですよ」
果林「あーあ、頭まで壊れちゃった?」
歩夢「違いますよ果林さん」
歩夢「ここからなんです」
歩夢「ここからが私の見せたいものなんです!」
歩夢「選ぶことからも、みんなの気持ちからも、目を逸らし続けた私が見せないといけないものなんです」 【歩夢】
自傷行為?それは違うよ
私がするべきは除草行為
さっきの話は序章ストーリー
不甲斐ない私を自嘲し更新
摘み取る草を選ぶ責任
向き合う命を自分の手で切り
甘えはしないみんなの痛みに
本当の私を咲かせるために 歩夢「果林さん…ごめんなさい」
侑「歩夢を縛ってる鎖が…閉じ込めてる檻が」
ビキッビキッ
歩夢「悪いんですけど…果林さんたちの優しさ…」
歩夢「踏みにじります!」
バキッ!
歩夢「私は臆病だった」
歩夢「選ばないものを決めて、可能性を自分の手で摘み取るのは…心が痛いんだ」 歩夢「だから迷って、先延ばしにしているうちに自分で選ぶ責任からも目を逸らして…」
歩夢「あのままじゃ誰も手入れをしない花壇みたいにダメになってた」
歩夢「果林さんたちがしてくれたこと…選ぶ痛みを肩代わりしてくれたこと…感謝してます」
歩夢「でも…決断するのは私じゃなきゃいけなかったんです!」
歩夢「私の花壇に咲かせたい花がわかるのは私だけなんだから!」 果林「……」
果林「そう…それが歩夢の伝えたいこと」
果林「…認めるわ、歩夢はちゃんと私たちを見て自分の言葉で気持ちを伝えてくれた」
果林「歩夢の言う通りだと…私も思うわ」
歩夢「じゃあ…」
果林「ただし、ラップバトル大会には出さない」
歩夢「そう…ですか…」 果林「当然でしょ?私は歩夢を出さないことを選んだの」
果林「だからね…これはもう私と歩夢の個人的なわがままのぶつかり合いなのよ」
歩夢「え?」
果林「…続けるわよね?ラップバトル」
歩夢「…もちろんです!まだ私はやれます」
果林「じゃあ…いかせてもらうわ」
果林「そうだ…ラップバトルならこれが必要ね」
果林「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会、朝香果林!私のパフォーマンスで視線釘付けにするわよ!」 【果林】
花を咲かせたい?これは勝負
引っ込めなさい笑えないジョークは
退けないあなたじゃ引くのがオチよ
誰の目にも見てるジョーカー
草むしり?したけりゃどうぞ、でも
鎖は無視したりできないようよ
未来の選択の価値とやらより
私は戦略で勝ちをもらう ジャラララララララ
歩夢「やっぱりやることは変わらないんですね」
果林「知ってるでしょ?これが私のやり方なの」
ギリリリリッ!
歩夢「っっ!一応、聞きますけど…私を大会に出す気は?」
果林「これっぽっちもないわよ」
歩夢「そうですよね…わかってました」
歩夢「果林さんがお節介で頑固なことくらい!」 【歩夢】
縛れはしないよ心の花は
止めようとしてくれるニジガクの仲間
ぶつかり押し切る!ここは道半ば
負ける気も止まる気も無いんだから
このわがままは私の意志だ
イージーじゃない未知の道ゆく意地だ
抱えるジョーカーも私の一部だ
ここで切るんだ勝利の切り札 スパーン!
果林「一撃で切断とか…結構本気で行ったんだけど」
歩夢「私のわがままで大会に出るんです!守ろうとしてくれる果林さんのわがままを振り切って」
歩夢「だからこのくらい簡単です!」
歩夢「あと、果林さんは色々考えてくれたみたいですけど…あいにく余計なお世話です!」
果林「まったく、先輩の厚意はありがたく受けっておくものだと思うけど…」
果林「生意気な後輩は実力で黙らせないとかしら?」 【果林】
ジョーカー抱えちゃ上がれない
あなたのターンなんてもう来ない
大層なお笑いすでに場違い
常夏の吹雪ねつまらない
切り札じゃないわ、それは死に札
止める鎖こそが命綱
お手付きの罰は容赦するから
お手手繋いで牢屋にお入り ガシャーン
歩夢「今度は…牢屋ですか」
果林「この際だからはっきり言うけどね…あなたが悩んでるつもりでふらふらしてた間も私たちはずっと考えてきたの!」
果林「あなたを出場させるかどうかだけじゃない…出場させてまたおかしくなったらどうするか…出場させないなら一人分足りないのをどうするか…マイクの異常とやらは本当なのか」
果林「他にもいくつもいくつも考えてきた!一番いい選択肢を探してきた!」 果林「色んな道を探して…それで選んだのがこれなの!あなたを参加させるとかそんな選択肢はもう捨ててるの!」
果林「あなたがどれだけ決意しようが、私たちのやってきたことを無駄になんてさせない…」
果林「それが私のわがままよ」
歩夢「…私が今日まで目を背けてたものに果林さんたちはちゃんと向き合ってくれていたんですね」
歩夢「本当にみんな優しくていい人たちです」 果林「わかってるなら止まりなさい!変なところだけ強情なんだから!」
歩夢「だけど!」
歩夢「鎖が果林さんの想いだとしても」
歩夢「牢屋が同好会のみんなの優しさだとしても」
歩夢「私はそれに甘えていたくはない」
歩夢「果林さんたちがもうこれ以上捨てなくてもいいんだって、私自身が証明するんです!」 【歩夢】
やっと見つけた感謝のガーベラ
絶対負けないこの気持ちがあれば
打ち破るんだ心の牢なんて
咲かせる折れないローダンセ
重い鎖の意味を知ったから
抱えた想いは腐りなどしない
雨降る沿道もみんなで歩いて
トゥルーエンドにかけるんだ虹 歩夢「これが私のわがままなんです!」
歩夢「果林さんたちの優しさに甘えて立ち止まらずに!ちゃんと自分で選んで、自分の手で摘み取るんです!」
歩夢「鎖とか檻とか牢屋とか…」
パリーーーーン!
歩夢「そんなもので守ろうとしてくれなくていいんです!」 果林「なによ…」
果林「今更、そんなこと言わないでよ…」
歩夢「果林さん…」
果林「私たちの覚悟はなんだったの?」
果林「私たちがやってきたことはなんだったの?」
果林「無駄だったの?」
歩夢「…無駄なんかじゃないです」 歩夢「果林さんたちが私の代わりに決めようとしてくれなかったら、果林さんがラップバトルを受けてくれなかったら」
歩夢「私は何も気づけないままだった」
歩夢「だから無駄になんかなってないし、私が無駄になんてさせません」
果林「そっか…」
歩夢「はい………」
エマ「あ、あの!!!」
エマ「ねえ…バトル中なんだけどいいかな?」 果林「何よエマ?」
エマ「あのね、私思うんだ…これは歩夢ちゃんと果林ちゃんだけの問題じゃないって」
エマ「だから、ここにいる10人でもう一度話し合いたい」
エマ「この1ヶ月も歩夢ちゃんの頑張りも無駄になっちゃうかもしれないけど」
かすみ「エマ先輩ずるいですよ!それかすみんが言おうと思ってたのに」
しずく「私も今の歩夢さんと果林さんのバトルを見た上で改めて話し合いたいです」 彼方「果林ちゃんにいろんなこと押し付けちゃったし、このままだといけないと思うな」
愛「歩夢と果林はどうだか知らないけど、愛さんは二人でラップバトルして決めましたーなんて納得できないよ」
璃奈「このままだと不完全燃焼」
せつ菜「お二人のバトルを見て、黙ってるような人はここにはいませんよ!」
侑「そうだよ…今度こそみんなで決めよう」
果林「あなたたち…」 果林「…あーあ、もう続ける意味なんてないわね」
果林「いいわ…朝香果林は戦意喪失、このバトルはあなたの勝ちよ歩夢」
歩夢「果林さん…」
侑「じゃあ」
果林「ええ、ラップバトル大会については一旦白紙にして」
果林「改めて話し合いましょう。ここからはマイク無しでね」 〜同日・夜〜
〜スクールアイドル同好会部室〜
かすみ「ということで、改めて発表です」
かすみ「歩夢先輩メンバー復帰おめでとうございまーす!」
歩夢「えっと…改めてよろしく…でいいのかな?」
果林「また暴走するようなら即メンバーから外すとか条件はあるけどね」
愛「で、どうなの?さっきもなりかけてたみたいだけど」
璃奈「マイクのせいではないんだよね?」 歩夢「まだはっきりとは言えないけど、前の大会みたいなことにはならない…と思う」
歩夢「なんとなく原因もわかってきたし…多分あっちの私も理解してくれたし」
果林「原因?あっちの私?」
歩夢「えーっと、多分私のスキルがわかったところから話さないとかな?」
侑「わかったの!?」
歩夢「うん…声が聞こえるんだ」 果林「よくわからないんだけど…声?」
歩夢「えっと…ちょっと恥ずかしいんだけど…もう一人の自分の声…みたいな?」
果林「……………」
歩夢「真顔で見つめないでください!」
エマ「中二病ってやつ?」
璃奈「善子ちゃんからうつっちゃった?」
侑「歩夢が…歩夢が中二病に…」
歩夢「…こうなる気がしてた」 せつ菜「わ、私はそういうのありだと思いますっ!!だから胸を張ってください!!」
歩夢「う、うん…続けるね」
歩夢「だいたいは私の声なんですけどそれだけじゃなくて、さっきは果林さんの声が聞こえたり」
果林「私の声?そういえばおかしなこと言ってたわね。私が歩夢をメンバーに入れたがってるとか」
愛「果林の心を読んだみたいなこと?」
果林「読心術とかじゃないと思うわ。私そんなこと考えてなかったもの」 歩夢「実は聞こえたのは今回が初めてじゃなくて、前回の大会の時も聞こえたんです」
歩夢「曜ちゃんの声が」
愛「曜の声?」
歩夢「うん、『Aqoursじゃなくて、千歌ちゃんと二人きりだったらな』って」
歩夢「曜ちゃんは昔はそうだったけど今は違うって返してきたけど、そういう選ばれなかった選択肢の声を聞く力なんだと思う」
しずく「随分と曖昧なスキルですね」 彼方「ん〜?でもそれが暴走の原因と関係あるの?」
歩夢「どうも、その…切り捨てられた上原歩夢というのの中に厄介な子がいるらしくて…言ってくるんです」
歩夢「…力を貸してあげるよって」
しずく「別の歩夢さんが…力を貸してくれる…?」
かすみ「完全に中二病じゃないですか!」
歩夢「………」プルプル
せつ菜「あ、歩夢さん!!私はいいと思うので!とりあえず話を続けましょう!!」 歩夢「前の時はそのまま力を貸してもらってあんなことになっちゃったけど、断ったら引き下がってくれたし…話せばわかってくれる子なんだと思う」
歩夢「力を貸すとかじゃなくて一緒に強くなろうって約束したし、大丈夫なはずだよ」
彼方「お…おう」
果林「…まあ対処法はあるということにしておいてあげる」
せつ菜「それにしても"選ばれなかった選択肢の声を聞く"とかなんだか歩夢さんっぽい能力ですね」
かすみ「え?歩夢先輩っぽいですか?どこが?」 せつ菜「私たちそれぞれあるじゃないですか?テーマとか、象徴する言葉、大好きなものが。歩夢さんのテーマからしたらぴったりなスキルですよ!」
しずく「歩夢さんのテーマ、さっきのバトルから考えると…ゲームとか植物?」
せつ菜「はい、それで今の歩夢さんの話を聞いたら、ゲームにも植物にも関係しているあるもののイメージが浮かびまして」
愛「あ!愛さんわかったかも」
璃奈「私にもわかった」
しずく「ゲームにも植物にも関係…選ばれなかった選択…あ!樹形図ですか!」 かすみ「ジュケイズ?って何?」
しずく「数学の確率と場合の数でやらなかった?ほら、色んな場合を書いて枝分かれしていくやつ」
かすみ「ああ!あの書くのが大変なやつね。サイコロを4回振って全部1が出る確率とかは手が痛くなっちゃった」
しずく(それは普通計算して出すやつなんだけどな。書いて出したのはある意味すごいけど)
かすみ「なるほどなるほど。そういえば前にりな子の家で見たゲームでもルートが分岐するとかで木みたいな画面を見たことあるよ」 せつ菜「それで思ったんですけど、"樹形図の向こうの声"という言い方はどうでしょう!!」
果林「なるほど、たしかに歩夢のスキルはジュケイズっぽいわね」
エマ「果林ちゃん…多分わかってないよね」
侑「…そっか…そっか」
歩夢「侑ちゃん?」
侑「やったね歩夢!ようやく歩夢のスキルがわかったんだよ!」
歩夢「聞こえるってだけだよ?どうやったら聞こえるのかもわからないし」 ピンポンパンポーン!
『下校時刻です。校内に残っている生徒は速やかに退出してください』
『繰り返します。下校時刻です…』
せつ菜「あああ!もう、こんな時間じゃないですか!今日はこのくらいにして早く帰りましょう!」
歩夢(みんなが慌ただしく部室から出て行くいつもの風景…なんか久しぶりに見た気がする)
侑「歩夢、帰ろうか」
歩夢「そうだね…あ、でもその前に」 〜虹ヶ咲学園部室棟廊下〜
歩夢「あ!あの!果林さん」
果林「何かしら?」
歩夢「今日はありがとうございました!果林さんのおかげで私、ちゃんと決められました」
果林「ううん、礼を言うのはこっちよ。やっと気兼ねなくラップバトルできそうだわ」 果林「私たちは互いに迷って、ぶつかって…新しい"私"の選択ができた」
果林「結果論だけど、あなたと迷子になるのも悪くなかったのかもね」
果林「これからも互いにわがままでいましょう…生意気な後輩ちゃん」
歩夢「ふふっ、そうですね…お節介な先輩さん!」 〜帰り道〜
侑「いやー、本当に歩夢はすごいよ!幼馴染としてこんなに誇らしいことはないね」
歩夢「侑ちゃんそればっかり言ってる」
侑「浦の星行って、音ノ木坂行って、貸してもらったマイクでラップバトル!聞いてるだけでときめきが止まらないよ!」
侑「でもそれ以上にときめいたのが歩夢のラップだね!やっと歩夢の本気が見れてよかったあ!」
歩夢「それも何回も言ってるね…」
侑「あ、もう着いちゃった…じゃあ、歩夢また明日だよ」
歩夢「うん、また明日」 〜歩夢自室〜
歩夢(長い一日だったな)
ハーテーシナーイ♬
歩夢「あ、穂乃果ちゃんから電話だ」
歩夢「もしもし」
穂乃果『歩夢ちゃん!穂乃果だよ!』
歩夢「うん…わかってるよ」
穂乃果『今、電話大丈夫かな?』
歩夢「うん、大丈夫」 穂乃果『どうだった?ちゃんと伝えられた?』
歩夢「ばっちりだよ。大会にも出られることになったし…ちょっとかもしれないけど前に進めたかな?」
穂乃果『そっか…良かった。あ!そういえば聞き忘れてたんだけど…』
歩夢「うん、何?」
穂乃果『歩夢ちゃん、誰とバトルしたの?』
歩夢「……え?」 穂乃果『んもー、秘密とかいう気じゃないよね?穂乃果と歩夢ちゃんの仲なんだからそれくらい教えてよ〜』
歩夢「そうじゃなくて…言ってなかったっけ?」
穂乃果『"ラップバトルでニジガクのみんなに伝えたい"としか聞いてないよ?借りるの1本だけならさすがに全員相手にしないだろうとは思ったけど』
歩夢「そ、そうだったっけごめん!あのね…果林さんとバトルしたんだ」
穂乃果『おお、果林さんか!なんか手強そう!』 穂乃果『ねえねえ!果林さんのラップってどんな感じ?…ってこれは本番のお楽しみにしたほうがいいか』
歩夢「果林さんはすごいよ!私が太刀打ちできたのが奇跡なんじゃないかってくらい」
穂乃果『そうなんだ!ああああ見たいなあああ!』
穂乃果『よし!歩夢ちゃんの無事も確認できたし、まだまだ話したいことはあるけど切るね…大会で会おう!おやすみ』
歩夢「うん、大会で会おう!おやすみ」
歩夢(穂乃果ちゃん…私、不器用なりに頑張ってみたよ) 歩夢(…さて)
歩夢(さっきの電話の違和感…その正体を明らかにするためにやらないといけないことがある)
歩夢「あった…千歌ちゃんからのメッセージ」
千歌:歩夢ちゃんの覚悟、ニジガクのみんなにぶつけちゃえ!
歩夢「そうだよね…千歌ちゃんにもきいてみよう」 歩夢(電話…出てくれるかな?)
千歌『もしもし、歩夢ちゃん!!?』
歩夢「良かった、出てくれた…今お話しできる?」
千歌『もちろんだよ!で、どうだった?歩夢ちゃんの気持ちぶつけられた?』
歩夢「やりきったよ!大会にも出られることになったし、やって良かった!ありがとう千歌ちゃん」
千歌『ふふふ…存分に感謝するがよいぞ』 歩夢「ねえ…私がバトルした相手誰だと思う?」
千歌『いきなりクイズ?うーん、聞いていた話から考えると…誰だろ?』
歩夢(やっぱり…)
千歌『多分"ラップできるのか?"って言った人とバトルしたんだよね?立場的にお堅い事言いそうなせつ菜ちゃんとか?』
歩夢「ハズレ、正解は果林さんだよ」
千歌『あ、果林さんがいたかー!』
歩夢「でもラップできるのかって言った人とバトルしたのは合ってるよ」
千歌『あと一歩だったのか…はあ』 歩夢「今日はありがとう。マイク、返しにいくね!」
千歌『実は花丸ちゃんが相当へそを曲げているので早めにマイクを返してくれると助かります…』
歩夢「じゃあ、このくらいで…大会ではお互い頑張ろう!おやすみ」
千歌「うん、おやすみ。ウチウラの力を見せてあげるから待っててね」
歩夢(今日千歌ちゃんがしてくれたこと…全力のラップで返すね) 歩夢「…………それはそれとして」
歩夢「やっぱりだ…」
歩夢「千歌ちゃんにも、穂乃果ちゃんにも…私が誰とバトルするかは言ってない」
歩夢「さっきの千歌ちゃんの話からすると、衝突したのがメンバーの誰かも言ってない」
歩夢「私が朝の出来事を話したのはその2回だけ」
歩夢「…だとしたらおかしいよ」 歩夢(虹ヶ咲を目の前にしてバトルのことで頭がいっぱいで気づかなかったけど…)
歩夢(知ってるはずがないんだ…あの人が…)
ことりママ『ふふっ、健闘を祈ってますよ』
ことりママ『"朝香さんたち"にぶつけてください。あなたの想いを』
歩夢(ことりちゃんのお母さん…音ノ木坂の理事長が…私のバトルの相手が果林さんだなんて知ってるのはおかしいんだ) 〜理事長室〜
ことりママ「音ノ木坂、浦の星、虹ヶ咲を巻き込んでの大立ち回りか…若さってのは恐ろしいわね」
ことりママ「まあでも…それに見合う成果はあったかな」
prrrrrr…
ことりママ「はい、もしもし西木野?なんか用?」
真姫ママ『今日は随分と上機嫌じゃない?』
ことりママ「そりゃ、私の推しの歩夢ちゃんが大復活したんからね」 真姫ママ『あなた上原歩夢推しなの?初めて知ったんだけど…ていうか娘はどうしたのよ?』
ことりママ「もちろんμ'sはことり推しよ」
ことりママ「で、何か用?」
真姫ママ『マイク持ち出しの件、何勝手に許可してるのよ…貴重なデータが取れたみたいだから別に責める気はないけど』
真姫ママ『あと…あなた今日一日何してたの?』
ことりママ「仕事にきまってるじゃない?」 真姫ママ『嘘つくならもっとマシな嘘つきなさい』
真姫ママ『それとも何?』
真姫ママ『朝から虹ヶ咲学園に張り込んで、浦の星女学院まで行って、音ノ木坂に戻ったと思ったら上原歩夢と虹ヶ咲学園にまた行って、夕方になるまで虹ヶ咲学園に張り込むのがあなたの仕事なの?』
ことりママ「…申し訳ございません」 真姫ママ『まったく…なんでそんな無駄なことしてるのよ』
ことりママ「無駄じゃないわよ。歩夢ちゃんの復活劇をこの目で見られたんだから」
真姫ママ『意味わかんないこと言わないで。切るわよ』
ブツッ
ことりママ「さてと、懸案事項も一つ片付いたし」
ことりママ「"樹形図の向こうの声"か…せつ菜ちゃんもなかなかいいセンスしてるじゃない」クスクス
ことりママ「次の大会が楽しみね」
⇒to be continued 読んでいただきありがとうございました
前スレが続けるかどうか決めないで書いていたので繋がりが強引になった上に気づいたら歩夢を立ち直らせるだけで結構な長さになってました
あと、果林とバトルさせようとした結果アニメのVIVID WORLDに影響を受けて本来考えていたストーリーが大幅に変わったりとかしてます 乙
To be continued ってことで続きも期待しとく ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています