【SS】μ'sがソフトボールをする話
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
【001】
海未 「だいたい穂乃果は勝手すぎます!どうして私たちがソフトボール部と試合をしなければならないのですか!!」
穂乃果「だから、何回も説明してるじゃん!ソフト部のキャプテンに頼まれちゃったんだってば」
海未 「それは聴きました。問題は『なぜみんなに相談もせず、軽はずみに返事をしたのか』ということです!!」
ことり「仕方ないよぉ…穂乃果ちゃんは、昔から困っている人がいたら、なんとかしたくなっちゃうんだもんねぇ?」
海未 「ことりは昔から穂乃果を甘やかしすぎです!!」バンッ 【002】
ことり「!!…と、とにかく…みんなが集まってから話をしてみよう…ネ?」ウルウル
海未 「ことりはズルイです…そんな顔をされると…私が悪者みたいじゃないですか…」
穂乃果(その通り!)
海未 「なにか言いましたか?」
穂乃果「い、いや…なにも…」
海未 「そうですか。今日の練習、楽しみにしておいてくださいね♪」ニコッ
穂乃果(!!)ビクッ >>3
はい。
※本日在宅勤務中。
お陰さまで規制解除されたらしく、スレ建てられました。 【003】
………
……
…
絵里 「つまり、このコロナ禍で、ソフトボール部の対外試合が中止になった…ってことね」
希 「それでウチらに声が掛かった?」
穂乃果「うん!」
海未 「時事問題ですか…」
真姫 「どうして、私たちに話がくるのよ?」
穂乃果「それは…ほら…μ'sって9人じゃん!ソフトボールは9人でやるスポーツだから、丁度いい…ってことじゃないかな?」
真姫 「はぁ?」 【004】
にこ 「たった、それだけね理由?」
凛 (ソフトボールかぁ)ソワソワ
真姫 「だいたい、そんなことは運動部に頼めばいいじゃない」
穂乃果「全部断られたんだって!自分達の練習があるから…って」
真姫 「私たちも練習、あるんだけど…」
穂乃果「そっかぁ!そうだねぇ…忘れてたよ」アハハハハ
一同 「…」 【005】
穂乃果「う、嘘だよ!嘘だって!冗談、冗談…ちゃんと考えたんだから…」アセアセ
にこ 「ど〜せ、くだらないことでしょ?」
穂乃果「酷いなぁ…よく聴いてよ?その1『ソフトなら体育でやったことがある』」
真姫 「お遊び程度に…でしょ?」
希 「えりちはガチやったけど」
絵里 「そう言うあなたこそ」
凛 (…)ソワソワ…ソワソワ… 【006】
穂乃果「その2『たまにはさ、息抜きしようよ、スポーツで』」
海未 「1年中、穂乃果は息抜きしかしてないですよね?」
穂乃果「そ、そんなことないよ…あ。いや、穂乃果のことはともかく、みんなを想っての発言だからね?」
海未 「さて、どうでしょう…」
穂乃果「もう、海未ちゃんは疑り深いなぁ…」
海未 「それはあなたの行動が…」
ことり「まぁまぁ」
海未 「はぁ…」
穂乃果「ありがとう、ことりちゃん♪…それじゃあ、最後…その3『思い切り、打ってみたいなホームラン』」
真姫 「全部自分の願望じゃない」イミワカンナイ
にこ 「…っていうか、その七五調…なに?」 【007】
希 「なるほどなぁ…。対外試合が禁止…ソフトボールは一応、授業で経験済み…ウチらの練習の息抜きになる…そしてホームランは気持ちいい!!一応は理に敵ってるやん」
にこ 「どこがよ!?慣れないことして、怪我でもしたらどうするつもりよ!!」
希 「昔から『怪我と弁当は自分持ち』っていうやろ?」
にこ 「知らないわよ!」
凛 (…)ソワソワ…ソワソワ…ソワソワ
真姫 「!?…ちょっと、凛、大丈夫?さっきからもぞもぞしてるみたいだけど…トイレなら我慢しないで行ってきなさいよ」
凛 「ソフトボール、やっるにゃあ!!」
一同 「!!」ビックリシタァ 【008】
凛 「♪ソフト♪ソフト♪ソフト♪ソフト…」
一同 「?」
真姫 「凛が壊れたわ」
にこ 「花陽、なんとかしなさいよ」
花陽 「わ、私?」
にこ 「当たり前じゃない!アンタしかいないでしょ?」
花陽 「うん、まぁ…それはそうだけど…どうしようかなぁ…」
にこ 「なに?早くしなさいよ!」
花陽 「えっと…実はね、凛ちゃん…小学校の時、野球やってて…」
一同 「えっ?」 最近は少年野球チームとかでもサッカーとか他のスポーツやらせて普段やらない動きや使わない筋肉刺激させたりするらしいから合理的だぞ、穂乃果 【009】
花陽 「あ、凛ちゃんのお父さんが、すごい野球好きで…」
絵里 「初耳だわ」
花陽 「ずっと隠してたから…」
希 「そうなん?」
花陽 「凛ちゃん、そのことにトラウマがあって…」
穂乃果「虎…馬?」
海未 「思い出したくない過去…のことです…」
穂乃果「し、知ってるよ…それくらい…」
海未 「それで、そのトラウマとは?」
花陽 「うん…それは…」
凛 「かよちん、そこから先は言わなくてもいいよ!みんな、ごめん…今のことは忘れて欲しいにゃ」エヘッ
花陽 「…」 【010】
海未 「花陽…話して貰えないですか?」
絵里 「海未?」
海未 「人は誰しも、辛い過去のひとつやふたつあるものです。ですが、もし私たちがそれを共有することで、何か力になれるとすれば…」
にこ 「ふん!そんなの、強者の思い上がりよ!」
希 「にこっち!」
にこ 「だってそうでしょ?一度抱えた心の闇は、そう簡単に解放されたりしないんだからぁ!…寧ろ、痛くもない腹を探られて…傷を…深めるだけじゃない…」 絵里 「にこの言うことも一理あるわね…」
にこ 「当たり前よ」
絵里 「でも…私たちならそうはならないと思う」
にこ 「どうしてよ…」
絵里 「それは自分が一番知ってるんじゃない?あなたも…私も…そして希も…μ'sに入って変わったじゃない。暗い過去から抜け出せたじゃない」
希 「そやね」
にこ 「…」 【012】
希 「辛かったら話さなくてもいいんよ…」
凛 「…」
絵里 「凛、大丈夫!このメンバーなら、必ずあなたの力になってくれるわ」
花陽 「私は…みんなに本当の凛ちゃんを知って欲しいなぁ…」
凛 「…かよちん…」
ことり「♪失敗も心配も話してみてごらん」
穂乃果「♪でしょ!でしょ!私たちに内緒にしちゃダメよ…なんて…ね?」
凛 「…ことりちゃん、穂乃果ちゃん…」
ことり「うん!」ニコッ
穂乃果「ファイトだよ!」 【013】
凛 「かよちん…宜しく頼むにゃ…」
花陽 「えっ?あ、うん…ごめんね…じゃあ話すね?…えっと…凛ちゃん、野球…虐めにあってやめちゃったんです」
一同 「!?」
にこ 「いじめ?」
花陽 「凛ちゃん、凄く才能があって、他の男の子の誰よりも上手だったんです」
ことり「なんとなく、想像付くね」
海未 「はい」
花陽 「それはそれは、カッコ良かったですぅ♡」
穂乃果「それなのに?」
花陽 「うん…だけど…そのせいで…やっかみなのかな…凛ちゃん、チームメイトからいつしか『男女(おとこおんな)』って呼ばれるようになっちゃって…嫌がらせもされたりして…」
凛 「…」 【014】
真姫 「最低!」
海未 「許せませんね!」
花陽 「今、思えばね…男の子たちも、そこまで悪気があって言ってたのじゃないのかも…だけど…」
にこ 「はぁ?アンタ、なに言ってるの?」
海未 「虐めを肯定するのですか?」
花陽 「うぅ…ご、ごめん…でも…」ビクッ
希 「ウチはわかる気がするなぁ…小学生の男子特有の『好きな娘にちょっかい出す』みたいなヤツやろ?」
花陽 「…うん…」
希 「にこっちはそんな経験者ないやろうけど」
にこ 「余計なお世話よ!」 【015】
花陽 「凛ちゃんはね…さっきも言ったけど、野球上手だったし、カッコ良かったし…小学校の時の話だから、男の子と対格差もなかったし、…女子にもモテたから…憧れの裏返しが、そうなったのかな…って…」
穂乃果「なるほど」
花陽 「あくまでも、今、思えば!…だよ。その当時はそんなことわからなかったから」
穂乃果「だよね」
花陽 「それで、凛ちゃん…メチャクチャ傷付いちゃって…」
海未 「…やめてしまったのですか?」
花陽 「それでもね、小学校卒業までは頑張ったんだよ!!…頑張ったんだけど…最後の大会を前に…」
凛 「中学には野球部なかったし…やっぱり大きくなったら男の子には敵わないから…丁度タイミングだったんだにゃ」アハハ 【016】
海未 「そうですか…凛にはそんな過去が…」
穂乃果「好きなことを諦めなきゃいけない…っていうのは、確かに辛いよね?…穂乃果だって『パン食べるな』って言われたら、おかしくなっちゃうもん…ね?」
ことり「穂乃果ちゃん、それはちょっと違うかも…」ハハハ…
絵里 「…」
にこ 「…」
真姫 「…」
花陽 「それからは凛ちゃん、野球は観る専門で…だから、さっきは『久々に野球(ソフトボール)ができるかも』…ってテンションが上がっちゃったんだと思います」
絵里 (…)グスッ
にこ (…)グスッ
真姫 (…)グスッ
希 (3人とも、夢を途中で諦めた気持ちは痛いほどわかるんやろうなぁ…アカン…ウチも連(つ)れて泣いてしまうわ)
花陽 「皆さんにお願いがあります!…えっと…その…μ'sの活動には直接関係ないけど…このソフトボールの話、受けてもらえませんか!?」 【017】
凛 「かよちん…」
花陽 「お願いします!お願いします!お願いします!!」
凛 「かよちん!大丈夫だよ、凛は別にそこまで…」
花陽 「ううん…花陽はまた、あの時みたいなキラキラした凛ちゃんが見たいんだもん!だから…お願いします!お願いします!お願いします!!」
にこ 「仕方ないわねぇ…そんなにやりたいなら、協力してあげてもいいわよぉ」
花陽 「に、にこちゃん!!」
にこ 「か、勘違いしないでよねぇ!アタシはただ、例えソフトボールであろうとなかろうと、宇宙No.1
アイドルであることをアピール出来ればいいんだからぁ」
真姫 「…私も…手伝ってあげる…」
花陽 「真姫ちゃんも!?あ、ありがとう」
真姫 「…べ、別にお礼なんていいわよ…私はただ…いつもと違う景色を観て…それが作曲に活かせれば…って思っただけだから…」
絵里 「あら、奇偶ね!私もそう思ってのたところよ」
花陽 「え、絵里ちゃん」
希 (みんな嘘付くの、下手やなぁ)クスッ 【018】
ことり「はい!…みんなの足を引っ張っちゃうけど…それでいいなら…ことりも…」
花陽 「 も、もちろん…です!」
希 「さぁて、あとは参加表明してないのは海未ちゃんだけやけど…」
一同 「…」ジーッ
海未 「希も意地が悪いです。この状況で『それでもイヤです!』などと言えるわけないじゃないですか!」
希 「…ということは?」
海未 「私も参戦致します!!」
希 「うん!決まりやね!」
花陽 「良かったね、凛ちゃん!」
凛 「みんな、ありがとにゃ〜」
穂乃果「よし!じゃあ、μ'sはソフトボール部と対決する!ってことで」
にこ 「…って、部長はアタシなんだけどぉ…そもそも、どうしてアンタに話が行くのよ!?」
凛 「部長って思われてないからにゃ…」ボソッ
にこ 「なんか言った?」
凛 「そ…それじゃあ、ソフトボール、全力でやっるにゃあ〜!!
一同 「お〜!!」
海未 「ところで、試合はいつなのですか?」
穂乃果「明後日の日曜日」
にこ 「あぁ、その日は練習休みにしてたものね…」
一同 「…」
一同 「…」
一同 「明後日〜!?」 【019】
………
海未 「では早速、特訓を始めましょう!」
穂乃果「特訓?」
海未 「はい。…まさか、遊び感覚で、試合に挑もうというのですか?」
穂乃果「そんなつもりじゃないけど…」
海未 「いいですか?試合の語源は『死合』からきた…という説があります。つまり、命を懸けた真剣勝負なのです!従って全力でぶつかっていかなければ、相手に失礼と言うものです」
にこ 「命を懸けたソフトボールなんて、イヤなんだけど」
真姫 「同意」
穂乃果「だよねぇ?海未ちゃんは極端過ぎるんだよ」
海未 「ダ〜メ〜で〜す!やるからには全力で勝ちにいきます!!」
一同 (…また合宿?…)ザワザワ 【020】
海未 「…とは言っても、ルールくらいは知っていますが…私は人を指導できるほど詳しくはありません。そこで今回の事案については、凛に総指揮を執ってもらおうと思います」
凛 「凛が葬式?」ナムナム…
花陽 「違うよ、凛ちゃん!監督さんのことだよ」
凛 「なぁんだ!死ぬとか死なないとか言ってたから…」
海未 「どうでしょう?適任だと思いますが」
凛 「やっるにゃあ!!凛、監督やるよ!」
海未 「はい、お願いしますよ」
凛 「そ〜したら…かよちんにコーチをしてもらうにゃ」
絵里 「あら、花陽も上手なの?」
花陽 「へっ…いやぁ…上手というか…よく凛ちゃんに付き合ってキャッチボールをしてたので…まぁ『なんとか』程度のレベルかと…」
凛 「一緒に野球ゲームもするし、観戦もするし、ルールも詳しいにゃ!」
絵里 「へぇ、意外ねぇ…」
花陽 「り、凛ちゃん、ハードル上げないでぇ」アセアセ… 【021】
希 「ちなみに応援してるチームとかあるん?」
花陽 「ベイ」
凛 「スターズにゃ!!」
穂乃果「えっと…横浜?」
花陽 「米(べい)」
凛 「星(スター)」
にこ 「ダジャレか〜い!!…って…実は…にこも横浜推しなんだけどぉ」
海未 「にこもですか?」
にこ 「いるのよ、横浜に…ニコって選手が」
花陽 「はい!『乙坂・ルーセロ・智・ニコラス』ですよね?愛称…ニコ。背番号33。右投げ左打ち。外野手。横浜高校出身。身長183cm、体重83kg…」
にこ 「そ、そこまで詳しくはないけど…」
穂乃果「確かに同じ名前の選手がいたら、応援したくなるもんね」
真姫 「じゃ、じゃあ私もそこ…」
花陽 「私も」
凛 「そこ?」
真姫 「スターって言えば私でしょ。だから、私もそこを応援する…って言ってるの!」
希 (ほほう…これは凛ちゃんとにこっちに対する…アレやね…)ニヤニヤ 【022】
絵里 「ふふ…1年生が、こんなに頼もしく見えるなんて…随分と成長したのね。いいわ、だったら、あなたたち、ふたりで色々決めてちょうだい」
凛 「了解にゃあ!」
花陽 「では、早速ですが…バットとボール、それと人数分のグローブ…あと用具一式を貸してもらえるよう先生に頼んで貰えないですか?」
希 「まかせとき!それは生徒会の管轄やから…えりち!」
絵里 「わかったわ。頼んでくる」スタスタ…
穂乃果「私は練習場所を貸してもらえるようよう、運動部に頼んでくるね!?」タタタタタ…
ことり「あ、待って!穂乃果ちゃん、私も行くよ…」タッタッタッタッ… 【023】
凛 「ところで…凛はみんながどれくらい動けるか知らないにゃ…あっ、真姫ちゃんが下手なのは知ってるけど」
真姫 「仕方ないでしょ!球技…苦手なんだから…」
にこ 「運動は苦手…の、間違いじゃない?」
真姫 「うるさいわねぇ!そういう、にこちゃんはどうなのよ?」
にこ 「にこに出来ないことなんて、あるわけないでしょ!」
真姫 「とか言って…私の足、引っ張らないでよね?」
にこ 「真姫ちゃんこそ、アタシのグラブ捌きを見て、腰抜かさないでよね!」
花陽 「えっと…にこちゃん、絵里ちゃんと希ちゃんは?」
にこ 「アンタ、さっきの話聴いてなかったの?あのふたりはガチよ、ガチ!アイツらは体育の授業だってのに、超本気でやりあってるから」
花陽 「あはは…お互い熱くなりそうだもんねぇ」 【024】
凛 「海未ちゃんは?」
海未 「私ですか?そうですね…自慢じゃありませんが、そこそこ出来るのではないかと」
花陽 「さすがです!」
凛 「穂乃果ちゃんと、ことりちゃんは?」
海未 「穂乃果はあぁ見えて、スポーツはなんでも器用にこなしますよ。ただしムラっ気が多く雑なので、それさえ無くせば戦力になるハズです」
凛 「へぇ…」フムフム…
花陽 「じゃあ…ことりちゃんは?」
海未 「…察してください…」
凛 「…う、うん…」
タッタッタッタッ…
穂乃果「はぁ…はぁ…はぁ…みんな、グラウンド借りられたよ!…はぁ…はぁ…『そんなに真剣にやるならどうぞ』って空けてくれた」
凛 「さすがμ'sのリーダーにゃ!」
にこ 「悪かったわね、役立たずの部長で!!」 徒歩圏内に本拠地があるのに応援してもらえない球団…… ピッチャー視点だと左打者だけど
キャッチャー視点なら右打者やで 【025】
………
希 「ほい!借りてきたよ、用具一式」
凛 「サンキューにゃ〜!」
花陽 「じゃあ、まずはキャッチボールから始めましょう。みんなの実力はさっき、にこちゃんたちから聴いたので、こっちでペアを決めますね?」
凛 「まずは絵里ちゃんと希ちゃん。次は海未ちゃんと穂乃果ちゃん。にこちゃん、ことりちゃん、真姫ちゃんは三角形になってやって!凛は…かよちんとやるから」
絵里 「わかったわ!じゃあ、希、いくわよ」
希 「オーケー!」
ピシュ!
バシッ!
ビシュ!
パシッ!
凛 「なるほど、上手だにゃ」
海未 「穂乃果、準備はいいですか?」
穂乃果「ほ〜い!」
ピュッ!
バッ!
ビュッ!
パッ!
花陽 「海未ちゃんたちも、さすがだね!」 【026】
にこ 「いくわよ」シュッ!
ことり「きゃっ」テンテンテン…
にこ 「ちゃんと取りなさいよ!」
ことり「ごめんね…えいっ!」ポ〜ン…
真姫 「わっ!」ポロッ
にこ 「ちょっと、真剣にやんなさいよ!」
真姫 「だから言ったでしょ!球技は…苦手…だって…えいっ!」テンテンテンテンテン…
にこ 「うわっ、肩、弱っ!」
凛 「う〜ん…ここは時間かかりそうにゃ…」
花陽 「そうだね…」 【027】
凛 「次はバッティングを見てみるね!?凛がトスを上げるから、このネットに向かって打ってみて?」
花陽 「じゃあ…まずは絵里ちゃんから」
絵里 「わかったわ」
カキン!
カキン!
カキン!
凛 「さすが絵里ちゃん、スイングがシャープ!」
希 「次はウチやな」
ガシャ!
ガシャ!
ガシャ!
穂乃果「ネットの揺れ方が…」
にこ 「豪快過ぎるわ」
花陽 「あんなにアッパースイングなのに…圧巻です!」
海未 「次は私がいきます!」
キン!
キン!
キン!
凛 「自慢するだけあって、バットコントロールが巧みだにゃ」
花陽 「動体視力がいいんだね」 【028】
穂乃果「次、穂乃果が打つ〜!」
スカッ!
スカッ!
ガキッ!
カキン!
スカッ!
ガッ!
海未 「ほら、穂乃果はホームランを狙いすぎなんです。もっと、コンパクトに…頭を動さないで!脇を締めて!」
穂乃果「あぁ、もう!うるさいなぁ…集中出来ないよ」
真姫 「海未は穂乃果のことになると、本当に熱くなるわね…」
にこ 「まったくねぇ…」
ことり(羨ましいなぁ) 【029】
凛 「次は誰かにゃ?」
真姫 「私がいくわ」
凛 「ほい!」
スカッ!
スカッ!
スカッ!
真姫「…おかしいわね…」
スカッ!
スカッ!
スカッ!
真姫 「…」
にこ 「見てられないわね…」
真姫 「じゃあ、にこちゃん、やってみなさいよ」
にこ 「いいわ、代わりなさい」
凛 「いくよ!?」
キン!
キン!
キン!
凛 「やるにゃ!」
キン!
キン!
キン! 【030】
花陽 「意外…」
にこ 「だから言ったでしょ!」
真姫 「…まぁまぁね…」
ことり(クスッ)
真姫 「笑ってないで、やって見なさいよ」
ことり「は〜い♪」
スカッ!
スカッ!
カッ!
スカッ!
スカッ!
カッ!
ことり「真姫ちゃんよりは当たったよ」ニコッ
真姫 「に、似たり寄ったりじゃない!」
希 (ことりちゃんも煽るねぇ)
絵里 (きっと、ことりってに自覚症状なしに人を傷付けるタイプだわ…) 【031】
タッタッタッタッ
ヒフミ「穂〜乃〜果〜!」
穂乃果「ヒデコ、フミコ、ミカ!?どうしたの?」
フミコ「聴いたわよ!今度、ソフトボール部と対決するんだって?」
穂乃果「耳が早いねぇ…」
ミカ 「頑張ってよ!ビデオ、バッチリ撮るから」
穂乃果「い、いいよ…そんな大袈裟な話じゃないからさ」
ヒデコ「え〜?だって観戦の呼び込みチラシ作っちゃったよぉ」
穂乃果「ひょえ〜!?相変わらず仕事が早い!!」
フミコ「当日、楽しみにしてるから!」
ミカ 「他に何か手伝うことがあったら言ってね?」
ヒデコ「じゃあ、練習頑張って!」
穂乃果「あ、ありがとう…」 【032】
絵里 「…なんか、話が大きくなってない?」
穂乃果「き、気のせいじゃないかな…」
にこ 「まぁ、これもライブのひとつだと思えばいいんじゃない?集まったお客さんに最高のパフォーマンスを見せるのも、アイドルの使命なのよ!」
海未 「お客さんに…ですか…」
希 「ムフッ…楽しくなってきたやん♪」
真姫 「ねぇ、何してるのよ!にこちゃん、キャッチボールの続きをやるわよ!」
にこ 「ん?」
真姫 「な、なによ…私が足引っ張る訳にはいかないでしょ!」
にこ 「へぇ…」ニヤッ
ことり「ことりもやる!」
海未 「では、私が身体の使い方を教えましょう」
ことり「うん♡」
希 「身体の使い方を…って、海未ちゃん、エッチやん」ニマッ
海未 「…」
希 「嘘やって…そんな睨まなくても…」フフフ…
絵里 「なんだかんだ言って、みんな、やる気じゃない。私たちも頑張らなきゃ」
穂乃果「そうだね!」 【033】
………
……
…
穂乃果「おっはよ〜!いやぁ、今日もパンがうまい!」パクパク
ことり「おはよう、穂乃果ちゃん!今日は早いねぇ」
穂乃果「なんか、今日が試合だと思ったらさ、ワクワクしちゃって…いつもの時間より早く出てきちゃったよ!」
ことり「穂乃果ちゃんらしいね」
穂乃果「ことりちゃんは?ユニフォームできた?」
ことり「うん、なんとか」
穂乃果「凄いよ!こんなに短時間で仕上げちゃうなんて、ことりちゃんは天才だよ!」
ことり「さっきまで、花陽ちゃんも手伝ってくれたから…」
穂乃果「だとしても…だよ!」
ことり「それより…海未ちゃんは?」キョロキョロ
穂乃果「…あっ…」
ガチャ
海未「はぁ…はぁ…まったく、あなたは子供ですか!…あれほど時間を確認しておいて、先に行くとは!!」
穂乃果「ごめん、ごめん」
ことり「あははは…」 >>4
新スレ、おめでとう。
ところで、あのエロ作品と方向性も書き方も180度違うのだが、ホントに同一人物か?
地の分も台本方式も両方イケるのは羨ましい。 >>53
誉めて頂いてなんですが…スマホは同じなのに、PCで見ると、ところどころ、フォントが違っていて、見づらいですね…。
書き込みもスマホな為、全然気が付きませんでした。
なんでだろう? 【034】
海未 「まぁ、遅刻くしなかっただけ、良し!としますか」
穂乃果「うんうん…あっ、ねぇねぇ…海未ちゃんは筋肉痛、どう?ダンスとは全然違うところを使うからさ、あっちこっち痛くって」
海未 「私は穂乃果と違って、普段から鍛えてますから…」
穂乃果「でも…湿布の匂いがするよ」スンスン…
海未 「気のせいです」
穂乃果「でも…ほら」
海未 「こ、ことりじゃないでしょうか」
ことり「え〜?」
穂乃果「いや、絶対、海未ちゃんから…」
海未 「気・の・せ・い・で・す!!」ゴゴゴゴ…
穂乃果「だ、だよね…ごめん」スゴスゴ… 【035】
希 「相変わらず朝から元気やなぁ」
絵里 「穂乃果から元気を取ったら、何にも残らないでしょ?」
穂乃果「うぅ…それはないよ…」
海未 「おはようございます」
希 「おはようさん」
ことり「おはようございます♪」
絵里 「おはよう」
海未 「今日はあなたたちがキーマンなのですから…しっかり頼みますよ」
絵里 「出来る限りのことはするつもり…秘策もあるしね」
穂乃果「秘策?」
希 「あっ…それはあとでのお楽しみ…っていうことで…」
海未 「はぁ…」
絵里 「ところで凛たちは?」
海未 「朝練してから来ると言ってましたが」
絵里 「朝練?…まったく…一日(いちにち)や二日(ふつか)で、そんなに巧くなるわけないのに…」
希 「μ'sは全員、負けず嫌いの集まりやから」クスッ
絵里 「確かに」
希 「実は…ウチのカードによると、今日の試合の鍵を握ってるのは、真姫ちゃんなんよ」
海未 「真姫…ですか…まぁ、わからなくはないですが…」
希 (それともうひとり…本人を前にしては言えないんやけどね…)
【036】
………
ことり「はい、ユニフォームです♪」
にこ 「アンタ、よくこんなもの作る時間があったわねぇ」
ことり「そこは『ラブライブマジック』っていうことで…」チュンチュン
凛 「それじゃあ、打順とポジションを発表するよ!」
一同 「は〜い!」
1:星空 凛(左)
2:矢沢 にこ(二)
3:園田 海未(右)
4:絢瀬 絵里(投)
5:東條 希(捕)
6:高坂 穂乃果(三)
7:小泉花陽(一)
8:西木野 巻き(遊)
9:南ことり(中)
凛 「以上にゃ!」
花陽「絵里ちゃんと希ちゃんがバッテリーです!」
希 「えりちをリード出来るのは、ウチしかおらんからね♡」
絵里 「あら、逆じゃない?私の方が希の考えてること、全てわかるから♡…でしょ?」
花陽 「えっと…ごちそうさまです」テレテレ
穂乃果「ことりちゃんが、センター?」
海未 「私が言うのもなんですが…さすがにそれは如何かなものかと…」
にこ 「まさか『ちゅん』だけに…とか言うんじゃないでしょうね?」
凛 「にこちゃん、寒いにゃ…」
にこ 「…わかってるわよ…」 【037】
海未 「差し出がましいようですが、ことりと私は逆じゃないでしょうか?」
穂乃果「つまり海未ちゃんが、センターってこと?」
海未 「はい」
凛 「ふふ〜ん♪大丈夫、心配しなくても、凛、ちゃ〜んと考えて、この守備位置にしたんだよ…ね?かよちん」
花陽 「う、うん!」
海未 「で、ですが…」
絵里 「海未!今回の件は、凛に任せる!って言ったんだから…」
海未 「わかっていますが…」
にこ 「やけにセンターに拘(こだわ)るわねぇ」
海未 「すみません。センター未経験なもので…つい」
一同 「あっ…」
花陽 「いや、それを言ったら花陽もだよ!!」
海未 「そ、そうでした…」 【038】
にこ 「不毛なセンター争いは置いといて…」
海・花「不毛とはなんですか!!」イラッ
にこ 「い、いや…ごめん、言葉が滑ったわ」
海未 「…まぁ、いいでしょう。今回のセンターは諦めます」
花陽 「わ、私も…そもそもセンターってタイプじゃないから…脚も遅いし…」
にこ 「なんの話してたんだっけ?あぁ、そうよ!真姫ちゃんのショートっていうのも無理がない?あの肩じゃ、ファーストまで届かないでしょ?」
真姫 「…」
にこ 「だったら、アタシがショートの方が…」
穂乃果「詳しいことはわからないけど、凛ちゃんと花陽ちゃんが一生懸命考えた結果でしょ?だったら信じて戦おうよ!」
絵里 「その通りね。正直、勝てるとは思わないけど…明るく楽しく、思い切り戦いましょう!」
にこ 「ふん!甘いわねぇ!」
絵里 「!?」
にこ 「『無謀な懸け、勝ちにいこう!』でしょ!?」ニヤッ
海未 「はい!何事も気合いが大切です」
絵里 「そうね」
穂乃果「当たって砕けろ!だよね?」
凛 「砕けちゃダメなんじゃないかにゃ?」
一同 「あははは…」 【039】
花陽 「さて、みなさん…試合は10時半からなので…あと2時間半後です!…ということで…まずはみんなで腹ごしらえをしましょう」
ドンッ
一同 (なんて量のおにぎり!!)
花陽 「では、さっそくいただきま〜す…う〜ん、我ながらカンペキですぅ!!…って食べないの?」
真姫 「…遠慮しておくわ」
穂乃果「わ、私はさっきパン食べたばっかりだから…」
絵里 「私も…運動前に食べるとお腹が痛くなっちゃうの…」
花陽 「え〜っ…ダメですよ!ちゃんと食べないと…昔から『腹が減っては戦はできぬ』って言うじゃないですかぁ。あとでお腹が空きますよ?」モグモグモグ…
希 「ところで、ことりちゃん…ユニフォームの背番号なんやけど…」
ことり「あっ…それは凛ちゃんが決めたんだよ!」
にこ 「背番号?…アタシのはわかりやすいわね」
真姫 「私のは…あぁ、そういうこと?」
希 「ウチのも、なんとなくわかるかなぁ」
海未 「私のは…何故この番号なのでしょうか?」
穂乃果「穂乃果のも、謎だよ」
絵里 「私もよ」
穂乃果「そして、ことりちゃんと花陽ちゃんのは、異様に長いよね!?」
ことり「ふふっ♡」
花陽 「えへっ♡」
凛 「へへへ〜ん!背番号の謎は…あとでのお楽しみにゃあ!」 打順はオーソドックスな感じ
守備は左右に打たせてく感じで、センター方向は半分捨ててるのかな
打たせてピーゴロくらいか
にこのポジショニングが重要そう 【040】
………
テクテクテク…
キャ〜、ミュ〜ズヨォ!
ホノカチャ〜ン!
ガンバレ〜
ワイワイ
ガヤガヤ…
穂乃果「うひゃあ…結構、人、集まってるねぇ」
海未 「他校の生徒もいるようですね」
ことり「本当にライブみたい」
絵里 「ハラショー!!…でも、これじゃあ、ソフトボール部が気の毒じゃないかしら」
希 「完全アウェイやもんね」
テクテクテク…
コウサカサン!
穂乃果「?…あっ…ソフトボール部の部長の…」
一ノ瀬「『いちのせ』だ」
穂乃果「ごめんなさい、人の名前を覚えるのが苦手で…」ペコリ
一ノ瀬「構わないよ。それにしても…さすが、今、ノリにノっているスクールアイドルだ。まさか、こんなことをしてくるとは…」
穂乃果「すみません」
希 「いや、一ノ瀬さん…ウチらもこの状況は予想してなかったんよ。堪忍してや」
一ノ瀬「東條さん…いや、こっちこそ。最初は練習試合がキャンセルになったから、打撃練習の球拾いくらいのつもりでお願いしたんだが…」
にこ 「球拾い!?」ムッ
絵里 「力になれるかどうかわからないけど…でも、私たちも遊びで来た訳じゃないから」キリッ
一ノ瀬「ふふふ…そのユニフォーム姿を見ればわかるよ。高坂さん、絢瀬さん、東條さんと…
にこ 「矢澤よ!」
一ノ瀬「そう、矢澤さんだったな…今日はよろしく!じゃあ、私は一塁側だから…」テクテクテク… 【041】
穂乃果「…なんか…矢澤さんとか東條さんとか…苗字で呼ばれてるを聴くて…変な感じだね」
ことり「私たちも一番最初はそう呼んでたんだけどね」
海未 「はい」
希 「彼女は同じ3年やけどね、一緒のクラスになったことがないんよ」
絵里 「私も…」
穂乃果「なるほど。3年生は3クラスあるから、そういうこともあるんだねぇ」
にこ 「…」
穂乃果「にこちゃん?」
にこ 「…いけ好かないヤツ…」
穂乃果「ん?」
希 「いいの、いいの!穂乃果ちゃんは気にせんといて!そもそも、にこっちが好きな人は…ウチくらいしかおらんのやから♡」
にこ 「あほか」
穂乃果「?」
凛 「お〜い!そろそろキャッチボール始めるよぉ!」
穂乃果「うん、わかったぁ〜!今、行く〜!!」 【042】
………
穂乃果「さぁ、いよいよ試合開始だね!みんな、準備はいい?」
一同 (コクッ)
穂乃果「じゃあ…いつものいくよ!…イッ…」
絵里 「待って!」
穂乃果「…チ………ん?」
絵里 「今日は凛が監督なんだから…凛からにしない?」
希 「そうやね!」
海未 「そうですね」
凛 「凛から?」
花陽 「うん!」
真姫 「いいんじゃない?」
ことり「うん」
にこ 「任せたわよ」
凛 「わかったにゃ!…よ〜し…(スウ…ハァ…スウ…)…イッチ!」
にこ 「ニィ!」
海未 「サン!」
希 「ヨン!」
絵里 「ゴッ!」
穂乃果「ロクッ!」
花陽 「ナナッ!」
真姫 「ハチッ!」
ことり「キュー!」
一同 「μ's…ソフトボール、スタート!!」 【043】
《さぁ、これより音ノ木坂ソフトボール部vsアイドル研究部μ'sの試合が始まります。実況は私、ヒデコが三塁側ベンチからお届け致します》
絵里 (この娘たち、何でもで出来るのね…)
『1番、センター、星空さん。背番号0(りん)』
一ノ瀬「背番号…りん?…零(れい)じゃなくて、りん?」ハテ?
《1回の表、先攻はアイドル研究部。トップバッターは『μ'sが誇るスピードスター』星空凛!》
にこ 「なに?そのフレーズ」ボソッ
花陽 「凛ちゃんが、昨日、考えたんだって」コソッ
にこ 「なら、アタシは当然『宇宙No.1アイドル』よね?」
花陽 「さ、さぁ…どうだったかなぁ…あっ、にこちゃん…ネクストバッターズサークルに行ってないと」
にこ 「あぁ、そうね…じゃあ、行ってくるわ」ヨイショ
花陽 「頑張って!」 センターはことりなんじゃ?
オーダー変更したのか?
背番号読み上げるとかプロ野球みたいね >>72
すみません、間違いました。
あとで、帳尻合わせます…。 【044】
《星空選手が左バッターボックスに入ります》
一同 (あれ?左打席?)
花陽 「凛ちゃん、実は右投げ左打ちなんです」
絵里 「そういえば、凛の打ってるところ、見たことがなかったわね」
海未 「はい、練習ではずっとコーチングに徹してましたから」
プレイボール!
《さぁ、注目の第一球です。ピッチャーは一ノ瀬選手。プレートに足を揃えて…投げました!高め!…まずは様子見でしょうか?ボール球から入りました》
ことり「やっぱり速いね…」
真姫 「た、たいしたことないわよ…」
希 「女子のトップクラスの投球は、体感速度で160km/hくらいなんやって」
穂乃果「速っ!」
絵里 「でも、一ノ瀬さんはトップクラスってわけじゃないし、そこまで速いから。全然、大丈夫!」
希 「大会に出ても1回戦負けばっかやしなぁ…」
花陽 (絵里ちゃんと希ちゃん、結構酷いことをサラッと言ってる)アハハハ… 【045】
《続いて…2球目…投げた!》
コン!
テンテンテンテン…
《あっ!セーフティバント!?三塁線、サード『五木選手』、猛ダッシュして素手で取ったぁ…が…投げられない!一塁は余裕でセーフです》
一同 「やった〜!!」
穂乃果「凛ちゃん、凄い!」
五木 (なんて脚なの!)
花陽「凛ちゃんは、この俊足を活かす為に、左打ちに転向したんだよ!」
海未「納得です」
にこ「さあ、次はあたしね番ね!」 【046】
『2番、セカンド、矢澤さん。背番号25』
《先頭バッターが出て、盛り上がるμ's。続くバッターは『にっこり笑顔の仕事人、矢澤 にこ』》
一同 (プッ)
絵里 (…仕事人って…)
希 (…かっこいいやん…)
《さぁ…ノーアウト、ランナー一塁…どう攻めるかμ's》
凛 (…)パッパッパッ
にこ (2球目までは、待て…ね)
一ノ瀬(…盗塁するつもり?いくら脚が速くても、ソフトボールはそう簡単にはいかないよ)
※野球と違って、ピッチャーがボールを投げるまで離塁は出来ない
《矢澤選手に対し…1球目…投げた!…ボール!…初球は外し気味。キャッチャーの『二本松選手』、塁上の星空選手を警戒しています》
にこ(もう1球…)
《続いて2球目、投げ…ランナー走った!!二塁送球!タッチは?…セーフ!…投球はストライクでした…しかしノーアウト、ランナー二塁、μ's、いきなりスコアリングポジションにランナーを進めました》 【047】
二本松(ホントに速い!…なんでこんな娘が、アイドル研究部なのよ!…まぁ、このランナーを返さなきゃいいだけの話なんだけど。一ノ瀬、ここは余計なことは考えず、バッター勝負よ)
一ノ瀬(コクッ)
にこ「さぁて、次はにこが目立つ番ね」ニコッ
《ノーアウト、ランナー二塁、カウント1-1…投球3球目…大きく腕を回して…投げた!》
コン!
テンテン…
《あっ、またもバント!ピッチャー前に転がる…三塁はムリ、一塁に送ってアウト!送りバント成功!これでワンアウト、ランナー三塁》
テクテクテクテク
海未 「にこ、ナイスバントです」
にこ 「わかってるわね?お膳立てはしたわよ」
海未 「はい…」 【048】
花陽 「にこちゃん、ナイスバントです!」
希 「さすが、にっこり笑顔の仕事人…」ニマッ
にこ 「なにそれ?」
希 「てっきり、打ちにいくかと思ったんやけど、送りバントとはね…」
絵里 「派手好きのにこが、推んで自分を犠牲をするなんて」
にこ 「別に…普通よ、普通!」
希 「照れなくてもいいやん」ムフッ
にこ 「て、照れてなんかいないわよ!」
真姫 (…)
《さぁ、μ's、クリーンアップを迎えます》 【048】
花陽 「にこちゃん、ナイスバントです!」
希 「さすが、にっこり笑顔の仕事人…」ニマッ
にこ 「なにそれ?」
希 「てっきり、打ちにいくかと思ったんやけど、送りバントとはね…」
絵里 「派手好きのにこが、推んで自分を犠牲をするなんて」
にこ 「別に…普通よ、普通!」
希 「照れなくてもいいやん」ムフッ
にこ 「て、照れてなんかいないわよ!」
真姫 (…)
《さぁ、μ's、クリーンアップを迎えます》 【049】
『3番、ライト、園田さん。背番号4』
園田 (何故、私がこの番号なのかと思いましたが…海だから4(シー)なんですね…)
《3番は『強肩巧打の弓道士、園田 海未』》
穂乃果「弓道士?」
希 「弓道と球道を掛けたんやない?」
穂乃果「なるほど!凛ちゃん、意外とやるねぇ」
希「ウチも、凛ちゃんの意外な一面を知ったわ」
《ソフト部バッテリー、どう攻める?》
二本松(確かこの娘は弓道部の…身体能力は高いとのことだけど…)
一ノ瀬(外は合わせられる確率が高い…内角で勝負か)
《μ'sはチャンス。本家に対して、得点できるか…1球目!内角一杯、ストライク!》
海未 (厳しいところを突いてきましたね…あのコースはストライクですか…)
《初球ストライクのあとの2球目…投げた!ストライク!同じコース、同じ高さ。園田選手、ちょっと手が出ないか?》
海未 (…) 【050】
《追い込んだソフト部バッテリー。3球勝負でくるか?早いテンポで次の投球…投げた!》
海未 (外!?)
カキン!
一ノ瀬(!!)
二本松(!!)
《打った!一塁線、鋭い当たり!右に切れてファール…)
海未 (!!…仕留め損ないましたか…)
二本松(裏をかいたつもりだっけど…)
一ノ瀬(…やっぱり反応が速い…)
二本松(なら?…インハイで勝負!)
《次の投球…投げた!》
ボコッ
《打った!詰まった打球は…ショートの…頭を…越えて…落ちた、落ちた!詰まりながらもレフト前!三塁ランナー、ホーム…イン!μ's先制!打ったバッターは一塁でストップ。やりました、園田選手、先制のタイムリーヒットです!》
穂乃果「海未ちゃん!ナイスバッティング!!」
ことり「さすが海未ちゃんだね!」
海未 (詰まりましたか…)
にこ「なんだか難しい顔してるわね」
希「今のバッティングに納得してないんやない?」
ことり「海未ちゃんらしいね」ポリポリ 【051】
『4番、ピッチャー、絢瀬さん。背番号64』
一ノ瀬(64?随分と大きな番号だな…何か意味があるのか?)
絵里 (私がロシアとのクォーターだからって…64…はちょっとないんじゃない?)
《続くバッターは、4番『唸る豪腕 シベリア超特急、絢瀬 絵里』》
希 (シベリア超特急?)
一ノ瀬(絢瀬 絵里…才色兼備で文武両道の生徒会長…。個人的に絶対打たれたくない相手)
二本松(ふぅ…さすがに隙がないわね。どこに構えても打たれそうな気がする…。どうする?)
一ノ瀬(際どいとこを突いて…最悪歩かせても…)
二本松(でも、ランナー溜めて、東條は…)
《ソフト部バッテリー、サインが合わないか?間合いが長くなってます》
一ノ瀬(そうだな…まだ、初回…。素人にビビってどうするのよ!)
二本松(わかったわ、勝負ね!) 【052】
《ようやく、サインが決まったか?一ノ瀬選手、首を縦に振った。さぁ…構えて…投げた!》
カキン!
一ノ瀬(!!)
二本松(!!)
《打った!左中間!ライナーで真っ二つ!打球はフェンス、ダイレクト!一塁ランナーは…三塁ストップ、打ったバッターは、二塁へ。スタンディングダブル、ツーベースヒット!》
希 (さすが、えりち!)
穂乃果「凄い当たりだったね!」
にこ 「当たりが良すぎて、海未が返ってこれなかった…」
一ノ瀬(なんてことだ!…これだけの才能がありながら、どうして今更スクールアイドルなんか始めたのよ…)
二本松(うちにくれば即戦力なのに…) 個人的には波がありそうだけど潜在能力は高いであろう穂乃果と
この中では厳しそうなことり真姫の見せ場に期待してる そんなん現役ソフト部と対決っていう普通に考えたら勝てるわけないやろ
SSなんてご都合主義でええやん 内野のフォーメーションプレーはできないだろうね、ケース多過ぎかつ時間ないし
現実味がなく面白くないと感じるのならそっ閉じすればいい。捨て台詞を残さずに
こっちは面白そうだから見てるよ >>88
>>89
素直に感想を書いたまでだ。
厳しい意見を述べたらいかんのか?
そのご都合主義をどう読者に納得させるかは、作者の力量だろ。
個人的に設定、内容全てにおいて説得力にかける、そう思っただけだ。
別にお前らが楽しんでいるなら、それでいい。 >>90
SSスレで書くのが無粋って言ってるんだろ >>90
お前の存在もご都合主義だよ
俺も素直に書いただけ 公式からして学生が理事長やったりメガネかけるだけで別人扱いのご都合世界やぞ >>90
貴重なご意見ありがとうございます。
誹謗中傷は勘弁して欲しいですが、批評は大歓迎です。
仰る通り、まだまだ力が足りません。
その域に近づけられるよう頑張ります。 ラブライブ自体ご都合主義の塊みたいなもんだろうに
少し肩の力抜こうぜ 皆様、ご支援感謝です。
自分自身納得してない部分はあるのですが、あまり拘ってると先に進まないので、取り敢えずこのまま続けます。
では、再開致します。 【053】
『5番、キャッチャー、東條さん。背番号10』
《一気呵成、ここで大量点を奪えるか?ワンアウト、ランナー二塁三塁。迎えるバッターは『目配り 気配り 扇の要(かなめ) 東條 希』》
希 (美味しい場面やけど…カードじゃ、ウチの活躍はなかったんよ)
一ノ瀬(絢瀬と生徒会でコンビを組む東條…。その妙な関西弁が、なんか私を苛つかせるんだよね)
二本松(打順は5番だけど、パワーは絢瀬より上と見た。…ここは…万が一にも打たれちゃいけない場面)
《あぁ、ソフト部バッテリー…キャッチャー立ち上がりました!敬遠です!》
希 (な〜るへそ…そういうこと?…これじゃ、どうやっても打てんへんね…)
ブー
ブー
《観客からはブーイングが起きていますが…結局、歩かされてフォアボール…。ワンアウト、ランナー満塁になりました》
穂乃果「うわ〜…凄い場面で回って来ちゃったよ…」
ことり「こういうとこが、穂乃果ちゃんらしいね」
海未 「はい…」
海未 (ただ、こういう場面でやらかすのも穂乃果なのですが…) 【054】
『6番、サード、高坂さん。背番号5(ほ)』
一ノ瀬(ほ?…ご…じゃなくて…ほ?)
二本松(こっちのペースをかき乱すヤツらの作戦かも知れない。いちいち反応するな…)
穂乃果(さすがに『ほ』って読ますのはさ…私もどうかと思うよ。絵里ちゃんの…ロシ…ァ…より無理があるよね)
《両チームにとって、早くも大きな山場を迎えました。ワンアウト、ランナー満塁。バッターはμ'sのリーダー『ミラクルガール、高坂 穂乃果』。さぁ、今日も奇跡を起こせるのか?》
ことり「穂乃果ちゃ〜ん!」
穂乃果「?」
ことり「ファイトだよ!」ニコッ
穂乃果「うん!」
ブン
ブン
《2回、3回と素振りをして、バッターボックスに向かいます。内野は、ホームゲッツーを狙って前進守備。最小失点で凌げるか、本家ソフト部。追加点なるかμ's、勝負の軍配はどちらに挙がるか?》 【055】
《ワンアウト、ランナー満塁のチャンスにバッターボックスは6番の高坂選手》
一ノ瀬(μ'sのリーダーのお出ましね)
二本松(チームのムードメーカー的存在。実力は未知数だけど…調子に乗せちゃいけない相手だな…)
一ノ瀬(さて…どう、攻める?)
二本松(まず、外で1球、様子を見よう)
一ノ瀬(コクッ)
《ソフト部バッテリー、慎重なサイン交換。ピッチャー頷いた…モーションに入る…投げた!》
ブン!
《ストライク!空振り!外角のボール球、まったくバットが届いていません》
二本松(もう1球!)
一ノ瀬(コクッ)
《さぁ、次はすんなりサインが決まったか?2球目…投げた!》
ブン!
《ストライ〜ク!初球と同じところを、同じように振ってしまいました。これで2ストライク…追い込まれました、高坂選手》
海未 「穂〜乃〜果〜!!」
穂乃果「ん?」
海未 (ブン、ブン、ダメ、ダメ…)
穂乃果(そっか…つい、自分で決めてやろう…って思っちゃって…ね…) 【056】
《高坂選手、1回、打席を外します…》
穂乃果(スゥ…ハァ…)ペチペチ
《ほっぺを叩いて気合いを入れ直し…打席にゆっくり戻ります》
二本松(さて…どうするか…)
《ソフト部バッテリー、改めてサイン交換…ピッチャー頷いた。第3球を…投げた!…これはボール!3球同じところにきましたが、今度は手を出しませんでした》
穂乃果(うしろに繋ごう)
《次の球!…内角高めにきましたが、これはボール…審判の手は挙がりません。2ボール2ストライク、平行カウントになりました》
穂乃果(ボールを良く見て…)
《こうなってくると、ソフト部バッテリーも苦しい。なにせ、ランナーは満塁…フルカウントにはしたくないところ。おっ?早いテンポで、押してくる…ピッチャー…投げた!》
カッ
《内角低め、かろうじてカット!ボールは逆方向のファールゾーンへ》
穂乃果(よし、当たる!ついていける!)
《外角3球のあと、内角に2球…。次はどこにくるか?ここは間を空けずに攻めて…くる!》
ガッ!
バシッ!
《高めの釣り球にバットを合わせましたが、ボールは審判のマスクを弾いて後方へ…これもファール。カウント変わらず2ボール2ストライク。高坂選手、粘ります》 【057】
二本松(ふぅ…一筋縄じゃいかないのね…でも…こっちも、素人相手にやられる訳にはいかないのよ。一ノ瀬…これでいくよ)パッパッ
一ノ瀬(えっ?あれを投げるのか?早くないか?)
二本松(出し惜しみしてる場合じゃないでしょ!)
一ノ瀬(それはそうだが…ちっ!わかったよ…)
《投球は7球目を数えます。ピッチャー、モーションに入る…投げた!》
!!
穂乃果(スローボール!?…スイングが…止まら…ない…バットの先でもいいから…)
穂乃果「当ったれぇ〜!!」
カツン
穂乃果(当たった!)
《打った!打球は…ピッチャーの脇を抜けていった…二遊間を転がっていく。センター前ヒット!今、三塁ランナーの園田選手がホームイン。μ's追加点、2対0!高坂選手は塁上で大きくガッツポーズ!》
ことり「海未ちゃん、お帰り!!」
海未 「はい!…穂乃果は、最後までよくボールを見てました。体勢を崩されながらも、気持ちで喰らい付いていった感じでしたね。たいしたものです」
凛 「さすがμ'sのリーダーにゃ!」
海未 (まったくです。普段はあんなに頼りないのに…あなたって人は…)
《前進守備が裏目に出たか?当たりはボテボテでしたが、飛んだ方向が良かった。中間守備だったら4-6-3のダブルプレーだったかも知れません》
二本松(ツキがない!あれが一ノ瀬の正面に転がっていれば…)
一ノ瀬(くっ!なんなんだ、コイツらは!?)
凛 「次は…かよちん!!」
花陽 「…う、うん…行ってくるね…」 【058】
『7番、ファースト、小泉さん。背番号5123874』
一ノ瀬(な、なんだそれ?郵便番号かよ!!)
二本松(ご…い…ツー…み………は…な…よ…か?…考えたもんだな…いや、感心してる場合じゃない)
《ワンアウト、ランナー満塁は変わらず。μ's、次のバッターは…『ライスを愛す、ナイスな乙女!小泉花陽!』》
ことり「ラップみたい」
にこ「…ってか、ソフトボールとは全然関係ないじゃない」
テクテクテク…
花陽(うぅ…こんな大事な場面で回ってちゃったよぉ…)
凛(かよちんなら、打てるにゃ〜。自信を持つにゃ)ニッ
花陽(凛ちゃん…)
《小泉選手、緊張しているのか、非常に固くなっているのが、後ろからでもわかります》
二本松(今のは仕方ない、飛んだコースが悪かった。だが、ここを抑えれば問題ない…。大丈夫、この娘は打ち取れる)
《下位打線とはいえ、まだワンアウト。このまま追加点なるか?バッターボックスは、小泉選手。一方、マウンド上の一ノ瀬選手、初回にまさかの2失点。心の内はいかに?》 【059】
《さぁ、小泉選手への初球…脚を揃えて…腕を回す!ストライ〜ク!中途半端なスイング…ショートバウンドの球、振ってしまいました!》
花陽 (あぁ、やっちゃったぁ…見逃せばボールだったのにぃ…)
《続いて…2球目…投げた!ストラーイク!ハーフスイング…高めのスッポ抜けたボールでしたが小泉選手、バットを止めきれませんでした》
花陽 (はぁ…ダメだなぁ…)アタマ、コンコン
二本松(一ノ瀬、落ち着け!ボールが荒れてるぞ!)
一ノ瀬(あぁ、わかってる!)
《二本松選手、落ち着け…とばかりに肩を上下に揺らします。一ノ瀬選手、一旦グラブを外し、ボールを両手でこねました。そしてそのあと、大きく深呼吸…ここは間を取ります》
花陽 (あれ?ひょっとして…ピッチャーの人、動揺してる?)
花陽 (そうだよね…向こうだって苦しいよね…。むしろ私より苦しいよね)
花陽 (それなのに、私は何を恐れてるんだろう?)
花陽 (…変わらない…これじゃ何も変わらない。私の悪い癖…なんでも、すぐに怖がること。…捨てなきゃ…すぐに怖がる癖なんて…)
花陽 (神様!凛ちゃん!みんな!どうか私に勇気を下さい。結果を恐れずスイングできる勇気を!お願いします) 【060】
《一ノ瀬選手、プレートに足を揃えて、周りを見やります…モーションに入る!》
花陽 (打つ!)キリッ!
二本松(!?…バッターの雰囲気が変わった!?…ウエストしろ!)
※ウエストしろ=ボール球を投げろ
《…投げた!》
二本松(お願い、見逃して!!)
カキ〜ン!
《…打った!右中間!これは大きい、グングン伸びる!入るか?入るか?…あぁ、フェンス直撃!センターがクッションボールを拾うも…今、三塁ランナーに続いて、二塁ランナーもホームイン!一塁ランナーは三塁へ、打ったバッターも二塁へ…小泉選手やりました、なんと2点タイムリーツーベース!!これで4対0!μ's、初回からビッグイニングです!!》
凛 「すごいにゃ、かよちん!!おにぎりパワー炸裂にゃ〜♡」
真姫 「花陽…」
にこ 「やるじゃない!」
海未 「元々、10kgのお米を2個も3個も平気で持ち歩けるくらいですから、自力はあるんです!」
花陽 (凛ちゃん、打てたよ。結果を恐れずにスイング出来たよ。…μ'sに入って、少しは成長できたかな?)
絵里 「頼もしい後輩がまたひとり増えたわね」
希 「あの花陽ちゃんがね…」ウルウル
絵里 「泣いてるの?」
希 「試合は始まったばっかりやん。まだ、泣かへんて…」 【061】
《おっと、どうやらソフト部、ここで堪らずタイムのようです。キャッチャーがマウンドに駆け寄ります。内野陣も集まりまってきました》
一ノ瀬「すまん…下位打線だと甘く見て、投げ急いでしまった」
二本松「いや、私こそ…まだ遊べる余裕があったのに…1球様子を見るべきだった」
五木 「イッちゃん、もっと、バック信頼してよ。一人相撲になってるよ」
一ノ瀬「…そうだな、すまん…」
二本松「いい?まずひとつのアウトを確実に取るよ!ホーム無理ならファーストね」
内野陣「OK!」
二本松「イライラしないで、冷静に!」
一ノ瀬「あぁ…わかった」
《マウンドに集まっていた選手の輪が解けました。内野は依然、バックホーム体制。なんとしても、次の1点は阻止したいところ》
『8番、センター、南さん。背番号3735100』
一ノ瀬(…って、こんな背番号聴いて、冷静になれるか!)
二本松(今度は…み…な…み…ご…とう…れぃ…か。いや、そんな解析をしてる場合じゃない!)
《迎えるバッターは『魅惑のヒーリングボイス、南ことり!』》
にこ「もはや、何でもアリね」 【062】
《さぁ、試合再開!μ'sのチャンスは続きます。バッター、南選手…》
チュン…
チュン…
チュン…
《3球スイングも、バットにまったく当たらず、空振り三振!ピッチャーの一ノ瀬選手、今日初めての三振を取りました》
トボトボトボ…
ことり「ごめんね…まったく当たらなかった…」チュンチュン
にこ「振って返ってきただけ、良しとするわ」
絵里「振らなきゃ当たらないもね」
希「次は…」
『9番、ショート、西木野さん。背番号24』
二本松(やっとまともな背番号にもどった)
一ノ瀬(あぁ、本当に…) 【062】
《続くバッターは『音ノ木坂の殿馬、西木野 真姫!』》
希 (…殿馬って…)ブフッ
穂乃果「とんま?」
希 「と・の・ま!『ド○ベン』に出てくる『ピアノが得意』なキャラクターやん…知らないん?」
穂乃果「あぁ、壁ドンって聴いたことある。男の人が…」
希 「ドカ○ンやって!」
穂乃果「し、知ってるよ…」
にこ (知らないわね…)
希 (まさか『秘打・白鳥の湖』とか、したりするん?…いやいや、するわけないやん!)ニヤニヤ
穂乃果(希ちゃん?) パワーなさそうな花陽がフェン直まで持ってけるとは思えんが 【062】
《2アウトになり、内野の守備位置が戻ります。バッター、西木野選手に対し、初球…》
スカッ
《ストライク!これは、全くタイミングが合っていない》
真姫 (やっぱりボールが速い。もっと始動を早くする必要があるわね…)
《テンポ良く、2球目!》
スカッ
真姫(あ〜もう!頭ではわかってるのに、身体がついていかない)
《追いこまれた西木野選手。一旦、打席を外します》
真姫 (まだ遅い…。あ…そういえば昨日の夜、バットは短く持てって、凛に言われたっけ…)
《西木野選手、打席に戻ってプレー再開です。2ストライクからの投球3球目!》
真姫(イチ、ニッ)
ブン!
《ストラ〜イク、バッターアウト!西木野選手、ここは、三振に倒れました》
真姫(…そうは、甘くないね…)
二本松(…タイミングは合っていた…)
《最後は二者連続三振にとなりましたが、μ's、打者一巡の猛攻で、この回、一挙4得点。まずは幸先の良いスタートを切りました》 【063】
凛 「みんな、守備に着くよ!」
花陽 「うん!」
海未 「問題はここからです!気合い入れていきましょう!」
ことり「大丈夫かなぁ」
凛 「まっかせるにゃ〜!凛がちゃんとバックアップするよ!」
真姫 「…」
にこ 「そんな難しい顔しないで!ほら、元気出して行くわよ!」
穂乃果「絵里ちゃん!希ちゃん!頑張って!」
希 「任しとき!」
絵里 「よろしくね!」
《1回の裏、ソフトボール部の攻撃が始まります。その前に守備に付いたμ'sのポジションを確認しておきましょう》
《ピッチャーは絢瀬選手、キャッチャーは東條選手の生徒会コンビ》
《ファーストは先ほど、あわやホームランか?という2点タイムリーを放った小泉選手》
《セカンドは矢澤選手。サードはμ'sの元気印、高坂選手。ショートは西木野選手が入ります》
《外野は左から南選手…星空選手…そして園田選手です。試合前の情報では南選手と星空選手のポジションが逆でしたが…なにかアクシデントがあったのでしょうか、入れ替わったようですね》
凛 (メンバー表を間違って書いたにゃ)テヘッ 【066】
《さぁ、注目は絢瀬選手。果たしてどんなピッチングを見せるのか?》
《ソフトボール部のトップバッターは、先ほどまったく出番のなかったセカンドの四谷(よつや)選手。左打席に入ります》
穂乃果(まったく出番のなかった…って…)ワラ
※穂乃果はサードなので、三塁側ベンチで実況しているヒデコの声がうっすら聴こえている。
《さぁ、注目の立ち上り…》
四谷 (…?…なに、この守備位置?やけに一二塁間が広いわ…そして右中間も…)
凛 (本当なら『セーフティバント返し』をしたいところだろうけど…本家ソフトボールのプライドがあるだろうし…まず、それは出来ないよね?) 【067】
《絢瀬選手…1回大きく深呼吸してから…モーションに入る…大きく腕を回して…投げた!ストラ〜イク!初球はやや内角寄り…甘い球に見えましたが…四谷選手、これを見送りました》
四谷 (なかなか速いじゃない!『ウインドミル』もサマになっている。素人がピッチャーをやると、どうしても山なりに投げてしまうもの…)
花陽 (絵里ちゃん、下から投げるの得意なのかな?ボウリングもパーフェクト出したし)
にこ (そういう時系列を捻じ曲げるようなことを言うのはやめなさい!)
花陽 (おっと、そうでした…)アハハ…
四谷 (だけど…打てない球じゃない!!) 【068】
《初球ストライクのあとの2球目…投げた!打った!引っ張った当たりは一二塁間を抜けていく!ライト前ヒッ…あぁ!!…》
四谷 (!!)
《ラ…ライトゴロです…バッターアウト!》
四谷 (な…そんな…)
《誰もがライト前ヒット!と思った瞬間、園田選手から矢のような送球が一塁に!強肩の園田選手、なんとライトゴロに仕留めました!…四谷選手はまだ信じられない…といった表情で、塁上立ち尽くしています》
海未 (『ラブアローシュート』ならぬ『ライトアローシュート』とでも名付けましょうか…。はい、そうです…スペルは違いますがライトアローは『光の矢』と『右翼手の矢』を掛けてますよ!…と私は誰に説明しているんでしょうか?)
凛 (♪ふふ〜ん…作戦成功!ソフトボールにはこれがあるんだにゃ〜)ニヤニヤ
花陽 (海未ちゃんをライトにした甲斐があったね!)
凛 (野球が下手な人は『ライト』…なんて昔の話だからね!むしろ、海未ちゃんほどの適任者はいないんだにゃ)
二本松(わざと誘った?あの妙な守備体形はその為のワナ?…まさか右への打球は全部ライトゴロにするつもりなのか?) 【069】
《ショック覚めやらぬまま、次のバッターが左打席に向かいます。2番はショートを守る六車選手。この選手も先ほど出番はまったくありませんでした》
穂乃果(ヒデコ、口が悪すぎ)アハハハ
《左バッターが続きます。絢瀬選手、どう抑えるか?)
凛 (大きく空いている一二塁間は狙いどころ。でも…ライトゴロは恥ずかしいよね?…じゃあどうする?流し打ちでもしてみる?)
《ピッチャー、投げた!あっと、これは、インコースのボールに窮屈なバッティング!…ボテボテのピッチャーゴロ!…これで2アウト》
穂乃果「ナイスピー!」
にこ 「いいじゃない!」
花陽 「絵里ちゃん、ナイスですぅ」 【070】
二本松(引っ張るか流すか…迷っているところに、インコースの厳しいボール…思わず手が出た…というところか…)
一ノ瀬「ここまで僅か3球か…絢瀬にしろ東條にしろ…あのセンターにしろライトにしろ…どうしてスクールアイドルなんかやってるんだ?」
二本松「確かにな…」
《ソフトボール部、3番はサードの五木選手。右打席に入ります》
五木 (守備位置は…変わらず…か。さっきもそうだったが何故あんなに右中間を空けているんだろう?)
《五木選手、ゆっくり足場をならします》
五木 (…ん?…ショートとレフトは…8番と9番?…!!…なるほど!…つまりあの二人が『穴』っていうことか!それをカバーする為にセカンドもセンターも左寄り…) 相手の守備位置と名字引っ掛けてる?
パワプロ9的なアレw 【071】
《バッター、構えた。それを見て、ピッチャーモーションに入る…投げた!…ボール!外角低めに外れました》
五木 (…であるなら…右バッターの私には、引っ張らせない為、徹底的アウトコースを攻めてくる!)
《次の投球…外!今度は決まった!カウントは1ボール1ストライク》
五木 (やっぱり!ならば、それを狙い打つだけ!いくら弱小チームとは言え、伊達にクリーンナップを打ってるわけじゃないのよ!)
《ピッチャー、速いテンポで3球目を…投げた!おっと、危ない!!内角高め!バッター仰(の)け反って避(よ)けました》
希 「ごめん!ぶつからへんかった?」
五木 「…大丈夫よ…」
《五木選手、軽く手を挙げて、ベンチに無事を伝えます》 【072】
五木 (ふぅ…外一辺倒かと思いきや、ここでインを突いてくるとは…東條さん…あなた、なかなかやるわね…それともサインを出してるのは、あのセンターの娘かしら?)
《カウントは2ボール1ストライク。さぁ、仕切り直して4球目…)
五木 (定石通りなら、次は…)
《投げた!》
五木 (…外!!)
カキン!
《打ったぁ!外のボールをバットを合わせてセンター前ヒット!打球は二遊間をライナーで抜けていきました。左中間よりに守備位置を左寄りにしていた星空選手が周りこんで、このボールをを抑えます》
五木 (読み通りだったけど…あのコースじゃ、あそこに打つのが精一杯だね…)
《さぁ、ソフトボール部、ツーアウトながらランナーが出ました!続くバッターは…右投げ左打ち、ピッチャーの一ノ瀬選手!今、大きく伸びをして打席に向かいます》
一ノ瀬「さてと…借りは返してもらうよ」
希 「はて?ウチはな〜んも貸してへんけどなぁ…」
一ノ瀬「ふん!」 【073】
《4番を迎えて守備位置が変わります。セカンドの矢澤選手は定位置に戻りました。そして…それに合わせてショート、サードも右にシフト》
二本松(打者によって守備位置まで変えるの?…やっぱり、ただのスクールじゃないね。コントロールしてるのは、一体誰?)
《長打を警戒してか、外野は深め。レフトの南選手はフェンス際まで後退。ライトの園田選手は右に動いてライン寄り…ですが…センターの星空選手はあまり動かず。相変わらず右中間は大きく空いています》
一ノ瀬(なめたマネを…)
《ピッチャー後ろを振り向き、外野を見渡しました》
絵里 (頼んだわよ!) 【074】
《プレートに足を揃え、身体を屈めます。キャッチャーのサインを覗き込み…2度3度と首を振ったあと…今度は頷いた。…さぁ…投げた!……内角高め!…審判の手は挙がりません。外れてボール》
一ノ瀬(いいボールだ…素人レベルにしては…だがな)
《バッターの一ノ瀬選手、初級は厳しいコースでしたが、ピクリとも動きませんでした。それを受けてバッテリー…どう、攻めるか?絢瀬選手…2球目を…投げた!》
一ノ瀬(もらった!!)
カキ〜ン!!
絵里 (!!)
希 (!!) 【075】
《インコース低めの珠を掬い上げた!いい当たり!大きく空いた右中間方向!抜ければ長打コース!》
タッタッタッタッ
凛 (にゃっ…にゃっ…にゃっ…にゃ〜ん!!)
《あぁ〜!!星空選手、横っ飛びぃ!!…ダイビング…》
五木 (!!)
一ノ瀬(!!)
…
…
《…キャッチしたのか?》
…
凛 「にゃお」ヴイ
ウワァ〜ッ!!
キャ〜!!
ウォ〜!
《あぁ!捕っています!捕っています!星空選手、捕っています!超スーパーファインプレーが出ました!》
リ〜ン!
リ〜ン!
リ〜ン!
《場内からは『凛コール』。これにグラブを挙げて応えます、星空選手》 【076】
一ノ瀬(…バカな…)
《呆然としたままファーストキャンパスの上で立ちすくむ一ノ瀬選手。一塁側ベンチも何があったのか…という表情。一方、満面の笑みは三塁側ベンチ。肘タッチで星空選手を出迎えます》
絵里 「凛、ハラショーよ!助かったわ」
希 「やるやん!」
ことり「やんやん♡」
海未 「あれが追い付くなんて、私も驚きを隠せません!」
穂乃果「凛ちゃん、かっこいい!!」
ことり「うん、うん」
にこ 「まぁね、μ'sのセンターなんだから、これくらいやってもらわなきゃねぇ!」
真姫 「…」
花陽 「凛ちゃん、怪我はない?」
凛 「うん、大丈夫だよ!」 【077】
《今の場面をリプレイで見てみましょう》
※映像協力 フミコ
一同 「リプレイ!?」
《ツーアウト、ランナー一塁。4番、一ノ瀬選手を迎えて2球目でした》
《絢瀬選手の投げたボールな内角低め。これを一ノ瀬選手、掬い上げるようにして思い切り引っ張りました。打球は大きな弧を描いて、広く空いた右中間へ…》
《誰もが長打確定!と思ったその瞬間…ここです!!星空選手が突然現れて…横っ飛び!!》
《別角度でもう一度…》
一同 「別角度?」
《打った瞬間スタートを切り、最短距離で落下地点へ!そして…このダイビングキャッチ!…まさに文句なしのスーパープレーです》
凛 「いやぁ…照れるにゃ…」
穂乃果「凛ちゃんは、進むべき道を間違ったね?」
海未「それだと、μ'sに凛はいないということになりますが…」
穂乃果「あっ、そうだね」アハハハ
花陽 (そうだよね…凛ちゃん…、入学した時は最初は陸上部に入るつもりだったんだよね…。それなのに、私が巻き込んじゃって…) 【078】
凛 「か〜よちん!」
花陽 (!)
凛 「今、穂乃果ちゃんの言ったこと…気にしてるでしょ?」
花陽 「えっ…べ、別に…」ユビスリスリ…
凛 「隠してもわかるにゃ〜!大丈夫、凛は何部に入ってても、こうしてかよちんと一緒いられるのなら、後悔なんか絶対しないから…」
花陽 「凛ちゃん…」
凛 「それに、こんなにいっぱい、素敵な仲間もできたにゃ〜。これも、かよちんのおかげ…だよ!」
花陽 「凛ちゃん…」
凛 「かよちん!」
花陽 「凛ちゃん♡」
凛 「かよち〜ん♡♡」
花陽 「凛ちゃん♡」
凛 「かよち〜ん♡♡」
一同 (…)
にこ 「…ラブラブなところ悪いんだけど、次、凛から」
凛 「!?…にゃ、にゃ〜!!…い、行ってきま〜す…」
真姫 「ちょっと、バット忘れてるわよ!」
凛 「にゃ〜…」
真姫 (…)ハァ〜
希 「私もあんな風に感情を素直に表現出来たらなぁ…」ボソッ
真姫 「そうね…つい、大人ぶっちゃって…って…ちょっと、人の心、読まな…違う…なんでもない…」
希 (クスッ) 【079】
《2回の表、μ'sの攻撃は…星空選手からですしたが…あっさり三振》
海未 「花陽と破廉恥なことをしてるから、集中力が切れるのです」
凛 (別に破廉恥なことなんてしてないにぁ…)
《続く矢澤選手は、曲者(くせもの)らしく、ファールで5球粘ったもの、最後は高めのボールに手を出して三振》
にこ 「ふん!今日はこれくらいにしておいてあげるわ!」
希 (それじゃ新喜劇やん…)ムフッ
《3番の園田選手は、当たりは良かったものの、ライト真っ正面のライナーで…この回三者凡退》
海未 「感触は良かったのですが…」
希 「一ノ瀬さんは立ち直ってきた感じやね」
絵里 「さっきの凛のプレーで、逆に闘志に火が点いた?」
穂乃果「そうだね。ベンチから見てても気迫を感じたもん」
海未 「さぁ、私たちは、これからが勝負です。攻撃は勢いで誤魔化せても、守備はそうもいきませんからね」
希 「そうやね…」
穂乃果「とにかく、アウトひとつひとつを、確実に積み重ねていこう!」
海未 「穂乃果にしては、正論ですね」
穂乃果「たはは…」 【080】
《2回の裏、ソフトボール部の攻撃…バッターは5番、センターの八代選手、左のバッターボックスに入ります》
凛(取敢えず一巡するまでは、同じ攻めを続けるよ)
《先程の一ノ瀬選手と同じように…全体的に右寄りで深めの守備体形です》
二本松「左バッターに対しては…徹底してインコース攻め」
五木 「気付いたか?」
二本松「当たり前だ」
《八代選手に対して絢瀬選手、まずは初球…打った!引っ張った!ファーストライナー!》
花陽 「ぴゃあ!」
《…あ、ミットを弾いた!落とした、落とした…が…落ち着いてボールを拾い直し、自らベースを踏みます。ワンアウト!当たりは鋭かったですが、これはファースト小泉選手の正面でした》
花陽 (ふぅ…あ、あぶなかった…)アセアセ
穂乃果「落ち着いていこう!!」
花陽 「う、うん!」
希 (さすが『プロ』やね…えりちの速球に振り遅れてない…これは掴まるのも時間の問題かもしれんね…) 【081】
《6番はライトの七瀬選手。このバッターも左です》
希 (今のところ、早打ちに助けられてるけど…)チラッ
凛 (まだだよ!まだまだ!押せるところまで押すよ!)
希 (ウチもそのつもりやけどね)
《守備位置は…元の『ライトゴロシフト』に戻ります。》
七瀬 (五木の見立てだとショート、ライトが穴だと言うが…)
《まずは初球!インコース高め…ストライーク!》
七瀬 (このスピード…)
《続く2球目…同じコース、同じ高さ!絢瀬選手、素晴らしいピッチング》
七瀬 (このコントロール…流そうとすれば…)
《3球目…打った、打ち上げた!七瀬選手、打ち上げてしまいました。これは平凡なショートフラ…おっと、サードの高坂選手が出てきて捕りました。これでツーアウト、ランナーなし》
七瀬 (はぁ…こうなる…)
五木 (…やはり…)ニヤッ
二本松(なるほど)フムフム
穂乃果「ツーアウト、ツーアウト!」
花陽 「穂乃果ちゃん、ナイスキャッチ」
にこ 「あんなのはイージーフライよ」
真姫 (…) 【082】
《早くもツーアウトのソフトボール部、本家の意地を掛けて、反撃なるか?…7番は、ファーストの三井選手…スタメン唯一の2年生です》
二本松「三井!」
三井 「はい?」
二本松「ちょっと…」
ゴニョゴニョ…
《ソフト部ベンチ、三井選手を呼び寄せて、何か指示を出しています。そして『任せた!』と肩を叩いて送り出しました。右の打席に入った、三井選手、バットをピッチャー方向に向け、1回大きな声で、気合いを入れました》
三井 (なにがなんでも『あそこ』に転がせ…って)
《三井選手に対しては徹底してアウトコース攻め!しかし1球目、2球目と判定はボール》
三井 (かと言って、ボール球に手を出すわけにはいかないのよね…)
希 (見ていかれると…)
絵里 (キツいのよねぇ…)
希 (でも、続けていくしか…)
《外のボールが2球外れたあとの、これが…3球目…)
絵里 (わかってる…わ!)
《打った、引っ掛けた!》
絵里 「真姫!!」
《これはショートゴ…あ、いや、ボールは西木野選手のグラブの下をすり抜け、レフトに転がっています…。う〜ん、今のはどうしたか?トンネルです…》
二本松「よし!」
五木 「ナイバッティン!」
三井 (…塁に出るには出たけど…スッキリしないな…) 【083】
真姫 (…真姫!今のは捕れたでしょ…我ながら情けないわ…)
穂乃果「真姫ちゃん、ドンマイ、ドンマイ!」
にこ 「へぇ…真姫ちゃんでも、悔しい顔なんてするのね?」
花陽 「に、にこちゃん!」
真姫 「な、なによ、悪い?」
にこ 「アンタが下手なことは、織り込み済みじゃない。悔しがってるヒマがあるなら、次のことを考えなさいよ!」
真姫 「次?」
にこ 「今のプレー見たら…狙い撃ちにされるわよ」
真姫 「狙い撃ち?わ…わかってるわよ」
にこ 「いい?意地でも前で止めなさいよ…それくらいしかできないんだから」
真姫 (わかってるわよ…)
凛 (…真姫ちゃん、頑張るにぁ!!) 【084】
《先程の回に続き、ソフトボール部はツーアウトから、ランナーが出ました。さぁ、つなぐことが出来るか?バッターは8番、九里選手》
希 (にこっち、穂乃果!)
にこ (わかってるわよ!)
穂乃果(任せて!)
《内野は…未(いま)だライトゴロを誘(いざな)うかのように、一二塁間が広く空いている。セカンドの矢澤選手は、ほぼ二塁ベースの隣に位置しています》
九里 (そうそう、ライトゴロなんて決まるものじゃない…それでも敢えてそうするのか…。まさか一塁ランナーを3塁で刺そうって作戦か?…いやいや、いくら強肩でもそこまでは…)
九里 (かと言って、外のボールを無理に引っ張れば、内野ゴロに…。ショートが『上手く止めれば』セカンドでフォースアウトってこともあり得る…)
主審 「バッター!?…早く、入りなさい」
九里 「!!…あっ、はい!」
《審判に促されて、九里選手、ようやく右打席に入ります》
希 (さて…どうやって、攻めたらいいんやろ…)チラッ
凛 (ツーアウト、4点差…まだまだ!)
希 (作戦続行…やね?)
絵里 (わかったわ) 【085】
《キャッチャーは、外に構える。ピッチャー、絢瀬選手…投げた!…ボール…高めに浮いた。ワンボール》
希 (…)
絵里 (…)
《続く2球目!外、高め!…ボール。九里選手、手を出しません》
希 (…)
絵里 (…)
《さぁ、次のボール…キャッチャー、インサイドに構える…ストラーイク!ここは胸元、厳しいところ。μ'sバッテリー、ひとつカウントを取りました》
凛 (絵里ちゃんのボールが抜け始めてる…) 【086】
《2ボール1ストライクからの4球目…ピッチャー…投げた!!あっと引っ掛けた!ショートへの当たり!》
絵里 「真姫!」
《…あぁ!またも捕れない、捕れない!!…前にこぼしました…慌てて拾うも…どこにも投げられない!!》
穂乃果「真姫ちゃん!ナイスストップ!」
にこ 「やればできるじゃん」
真姫 「…こんなことで誉めないでよ…」ムスッ
《反撃開始か、ソフトボール部。ツーアウトながら、ランナー二塁一塁。スコアリングポジションにランナーを進めました。ここで迎えるはラストバッターのキャッチャー…二本松選手》
二本松「さぁ、借りは返してもらうよ」
希 「な〜んも貸してへんけどなぁ」
二本松「ひとりごとだ、気にするな…」
希 (ん?デジャヴュ?)
《ピンチを迎えた生徒会バッテリー、どう立ち向かっていくか?ピッチャーの絢瀬選手、プレートを外して、大きく深呼吸をしました。緊張感が走ります》
絵里 (みんな…いくわよ…) 【087】
凛 (9番…長打力はないと思うけど…右バッターか…)
希 (どうしよっか?)
凛 (理想は引っ掻けて内野ゴロ…二塁か三塁でファーストアウト。仮にショートに飛んでも、真姫ちゃんがさっきみたいにストップしてくれれば、最悪失点は防げる!)
希 (なら、ここやね?)
《絢瀬選手、胸の前で十字を切りました。プレートに足を揃えて、身体を屈め、サインを覗き込む。キャッチャーは中腰、内角低めにミットを構える。小さく頷いた…。ゆっくりモーションに入る…大きく腕をを回して…投げた!》
絵里 (!!)
希 (逆球!?)
二本松(もらった!!)
キン!
《打った!ファースト…頭の…上!鋭い当たり!ライン際ボールが転がっていく。ライト回りこんで、逆シングルでボールを抑えた。2塁ランナーは…3塁を廻った!》
海未(イチかバチか…です…)
海未 「ライト…アロー…シュートォ!!!」
ビシュッ!
《いいボールが返ってくる!クロスプレー!…判定は?》
セーフ!
《…セーフ!!セーフです!セーフ!ソフトボール部、1点返しました…4対1!絢瀬選手、打たれました。園田選手の見事なバックホームも一歩及ばず、得点を許してしまいました。なお、送球の間に1塁ランナーは3塁に、打ったバッターも2塁に進みました》
希「タイム!」
《キャッチャーの東條選手、ここはタイムを要求。野手全員がマウンドに集まります》 【088】
希 「握力…だいぶ落ちてるんやない?」
絵里 「だ…大丈夫よ…」
海未 「ウソはいけませんよ。いくら絵里とはいえ、こんなに長く、ピッチャーをやったことはないハズです」
穂乃果「確かに!かなり疲れてるよね?」
絵里 「まだ2回よ。まだ大丈夫!さっきは…ちょっと手が滑っただけ…」
希 「…」
海未 「ですが…」
にこ 「本人が大丈夫って言ってるんでしょ…そういうことにしておけば!?…四の五の言ったって、他に投げられる人はいないんだし」
絵里 「にこ…」
にこ 「アタシのとこに打たせなさいよ!ここまでまったく仕事してなくて、退屈してるんだからぁ」
絵里 「わかったわ。お願いね…」
にこ (…な、なによ…妙に素直じゃない…。一瞬ドキッとしちゃった…)
凛 「それより、海未ちゃん、バックホームの時、何か叫んでたにゃ」
花陽 「あっ!それ私も聞こえた…」
凛 「確か…『ライトアローシュート』って言ってたような…」
海未 「言ってません!言ってません!そんな恥ずかしいこと、言ってません!私が言うはずありません!」
凛 「別に隠さなくてもいいにゃ〜」
穂乃果「へ〜…海未ちゃん、そんなこと考えながら、守備に着いてたんだぁ」ニヤッ
ことり「一緒に投げキッスもしたのかなぁ♡」
海未 「バカなことを言わないでください!」
穂乃果「ライトアローシュート、トッ、トッ、トッ、トッ、トッ…」
一同 「あはは…」
海未 「やめてください!あぁ…穂乃果だけには知られたくありませんでした…」
ワイワイ
ガヤガヤ
一ノ瀬「アイツら、なんか、楽しそうだな…」
五木 (これがスクールアイドルという生き物なのか…) 【089】
《さあ、マウンドに集まった守備陣の輪が解けました。仕切り直し、試合再開です》
凛 (にゃ?雲の流れが早くなってきた…)
希 (風が強くなってきたなぁ…このあと、荒れそうやね…)
穂乃果「ツーアウト!ツーアウト!ガッチリいこう!」
《バッターは、初回、見事な『ライトゴロ』を放った四谷選手》
穂乃果(だからヒデコ…口が悪いって…)クスッ
九里(一生ネタにされるな…)
※3塁ランナーなので、九里にも実況がうっすら聞こえてる。
《内野は初回と同じ守備体形。外野はバックホームに備えて浅めです。再びライトゴロを狙うのか?もしくは2塁ランナーは返さない…という構えなのか》
四谷 (ライトゴロだと?二度やられるわけにはいかない!ここは逆方向に強いライナー…ショートの頭の上を狙って…)
《名誉挽回、汚名返上なるか。ツーアウト、ランナー三塁二塁。一方、ピンチを凌げるか、ピッチャーの絢瀬選手。大きく腕を回して…投げた!…おっと、緩い球…判定は…ボール》
四谷 (!?…チェンジアップ…だと?そんな器用なことも出来るのか!?)
海未 (これが希の言っていた秘策ですか?)
希 (握力がなくなって、思いっきり抜けてるだけなんやけどね…)
《次の投球…投げた!あっと復してまたしても山なりのボール…》
四谷 (!!)
《打った!大根切り打法!?ボールは足下に転がって…ファール!!》
四谷 (今度は、内気にはやっているのを見透かしたかのような超スローボール…待ちきれず打ちにいってしまった…)
希(危ない、危ない…完全なスッポ抜け…) 【090】
《カウントはワンボール、ワンストライク。ピッチャーの絢瀬選手…一旦、プレートを外し、右手の指を曲げ伸ばししています》
海未 (今度から握力のトレーニングもしなければなりませんね)フフッ
《さぁ、次が投球3球目…ピッチャー投げた!速い球!打った!当たり損ない》
絵里 「にこ!」
にこ 「やっと出番ね!」
《打球はピッチャーの横、セカンド前進…捕って一塁に送る…アウト!スリーアウト、チェンジ!最後はバッターランナーと競争になりましたが、矢澤選手、よく投げました》
穂乃果「にこちゃん、ナイスプレー」
花陽 「にこちゃんがここまで上手だとは思ってなかったです」
海未 「はい、私もです」
にこ 「にこは宇宙ナンバーワンアイドルなんだから、これくらい当然よ、当然!」
にこ (アタシもちっちゃい頃は…パパとキャッチボールをしてたから…)
海未 「絵里も素晴らしいピッチングでした」
絵里 「結果オーライ!ってとこかしら…」
希 「いいんやない?それで」
凛 「うん!期待以上だよ」
絵里 「ありがとう」
《2球遅いボールのあとの、最後3球目。速球に差し込まれたか、セカンドゴロ。ランナー2人残塁。しかしまずはこの回、1点を返しましたソフトボール部。ゲームは3回の表へと進みます…》 【091】
《3回の表、μ'sの攻撃は…4番、ピッチャー、絢瀬選手》
一ノ瀬(まずは先頭バッターを出塁させないこと)
二本松(わかってるじゃない)
絵里 (まずは、先頭の私が出塁しすること…)
《2回の表は上位打線を三者凡退に抑えた一ノ瀬選手。迎えるは、先程、左中間を破るツーベースを放っている絢瀬選手。両エース、両4番の対決です》
一ノ瀬(正直、ただのスクールアイドルが、ここまでやるとは想像もしてなかった。完全に舐めてたよ)
《初球は速い球!内角厳しいところ!決まってストライク!》
一ノ瀬(それに関しては、素直に謝らなくちゃいけないようだ…。柄にもなく…嫉妬してたんだな…》
《次のボールも…内角膝元、決まってストライク、ツー》
一ノ瀬(初めてアンタたちを見たとき、メチャクチャ悔しかったよ…キラキラしててさ…)
《次のボールは…ファール!絢瀬選手、辛うじてバットに当てました》
一ノ瀬(こっちは、何年もソフトやってんのに、地区大会すら勝てなくさ…)
《4球目!…これもファール!追い込まれてから粘ります》
一ノ瀬(それなのに、そっちは結成して数ヶ月で、アッという間に学園のスターだよ。嫉妬しない訳がない!)
《次の投球!…際どい!…ボール。よく見た絢瀬選手》
絵里 (…手が出なかったわ…)
《マウンド上の一ノ瀬選手は鬼気迫る表情!ボールも気持ちが乗り移ったかのようにキレが増しています》
一ノ瀬(だけど…対戦してみてわかったよ…。自分たちには、必死さが足りてなかったということに!)
《投球5球目、投げた!ファール!これも厳しいコース…しかし、絢瀬選手も負けていない。お互いに力と力、意地と意地のぶつかり合いとなって来ました》 【092】
一ノ瀬(自分たちとは関係ないソフトの試合に、こうも全力で挑んでくるとは…。これが彼女たちの人気の理由なのかも知れない)
二本松(一ノ瀬?)
一ノ瀬(そう私が嫉妬していたのは…彼女たちの人気じゃなくて…純粋に夢を叶えようとしている、真っ直ぐな想いなんだ!)
《次のボール!打った!…が打球はバックネットに!ファール!》
二本松(さすが絢瀬さん。一ノ瀬のスピードにもパワーにも負けていない。そして何より…気迫に負けていない。うちの学校の生徒会長だけのことはある)
希 (えりち、力みすぎやって…)
穂乃果「絵里ちゃん、リラックス、リラックス!」
絵里 「!!…そうね…」
《1回打席を外します、絢瀬選手》
絵里 (落ち着きなさい、あなたは…賢い、可愛い、エリーチカ…やれば出来る娘なのよ)
《行き詰まる展開、観客も固唾を飲んで見守っています。さぁ、仕切り直し。カウントはワンボール、ツーストライク。投球7球目…》
一ノ瀬(でも、だからと言って…ソフトボールで負けちゃダメなんだ!…負けちゃダメだ!負けちゃダメだ!まけちゃダメだ…負けちゃ…ダメだぁ!!!)
《投げた!》
絵里 (打てる!!)
二本松(!?)
絵里 (えっ!?)
ブン!
《空振り〜っ!!さ、三振です!絢瀬選手、空振り三振!!今のはど真ん中にきたように見えたのですが…》
一ノ瀬「よしっ!!…勝った!絢瀬に勝った!」
二本松(今のボールは…) 【093】
絵里 (ハラショー…)
トボトボトボ
絵里 「浮いたわ…」
海未 「浮いた?…ボールが…ですか?」
凛 「ライズボール…にゃ」
穂乃果「ライスボールっておにぎりのこと?…えっ?今の花陽ちゃんが…」
花陽 「ぴゃあ!私は関係ないですぅ…」
凛 「ライ『ズ』ボールだよ…ソフトボール特有の変化球…。バッターの手元で浮き上がるように感じるボールのことにゃ」
絵里 「まさか、あんなボールを持ってるとは…」
凛 「偶然だと思うから、気にしなくていいと思うよ」
にこ 「偶然?」
凛 「だって、捕ったキャッチャーがビックリしてるもん」
二本松(極限まで高まった集中力が、とんでもないボールを生み出した。もっとも本人に『もう1球!』っ言っても『ムリ!』って返すだろうな…)
穂乃果「本当だ」 【094】
絵里 「ごめんなさい…何としても塁に出なきゃいけなかったのに…」
穂乃果「大丈夫!希ちゃんがなんとかしてくれるよ!」
海未 「また他力本願ですか?穂乃果はいつも人任せ…」
カキン!
《東條選手、初球を叩いて、鮮やかにセンター前ヒット!》
二本松《集中力が切れた直後の初球を、キッチリ狙ってきた。やっぱり東條は侮れない…)
穂乃果「ほらね!?」ニヤッ
海未 「はぁ…」イラッ
にこ 「ほらね!…じゃなくて、次のバッターは穂乃果よ!」
穂乃果「あ、そうだった!行ってきまぁす!」
にこ 「バット忘れてるわよ!」
穂乃果「あ、ホントだ…」アハハハ…
ことり「ん?これってデジャヴュ?」
花陽 「いわゆる『天丼』ってヤツですねぇ」
《μ's、ワンアウトからランナーが出ました。迎えるバッターは初回、体勢を崩しながらも、しぶとくセンター前にタイムリーヒットを放った高坂選手》
穂乃果「♪だって、可能性感じたんだ…そうだ、ススメ…ってね!」
一ノ瀬(この場面で鼻歌まじりで登場とは…不思議な娘だ…)
二本松(油断するな!)
一ノ瀬(もちろんだ!全力で抑えるよ)
【096】
《だいぶ風が強くなってきました。今はホームからセンター方向…。しかし上空、風は舞っているようで、ときおり、逆方向にも吹いています》
一ノ瀬(集中…集中…)
《ワンアウト、ランナー1塁、打席には6番、高坂選手。マウンド上は一ノ瀬選手》
一ノ瀬(いくよ!打てるものなら…打ってみな!)
穂乃果(さぁ、来い!)
《ピッチャー…投げた!》
キン!
《打った!いい当たり!…が、ショート真っ正面。6…4…3…と渡ってダブルプレー!!高坂選手、ゲッツー!一瞬でチャンスを潰してしまいました》
穂乃果「いやぁ、当たりは悪くなかったと思うんだけどねぇ…ツキがなかった…」
ツキデカタヅケルノワ
ミューズノ
リーダートシテ
シッカクジャナイカシラ
穂乃果「えっ!?誰?」
コンニチワ
コウサカサン
一同 「え?」 【096】
にこ 「統堂英玲奈!!…さん」
ツバサ「私たちも忘れないで」
あんじゅ「チャオ♪」
花陽 「ぴゃあ!A-RISEの皆さん」アワワ…
にこ 「な、なんでここに…さぁさ、汚いとこですが、どうぞどうぞ」サッサッサッ…
ツバサ「いえ、結構よ」クスッ
穂乃果「どうして…ここに?」
ツバサ「ちょっとネットを見てたら、面白そうなことをやってるな…と思ってね。散歩がてら観にきたの」
絵里 「ネット?…」
あんじゅ「えっ?してるでしょ?ライブ配信…」
エレナ「なかなか面白い試合をしてるじゃないか」
穂乃果「ちょ…ちょっと、ヒデコ!…これってまさか、ネットで中継してるの?」
ヒデコ「そうだよ!…あれ?言わなかったっけ?」
穂乃果「いや、聴いてないよ!」
絵里 (この娘たち、いったい何者?)
ヒデコ「もうμ'sへのコメントが凄いことになってるよ!ますますファンになったって!」
ツバサ(実は私も書き込んでたりする…)
真姫 「じゃあ、私のエラーも?」
ヒデコ「当然」
真姫 「ヴェ〜…」
ヒデコ「ふふっ…大丈夫!みんな『必死にプレーしてる姿に、勇気をもらった』って人ばっかりだから!」 【097】
ツバサ「じゃあ、私はこれ以上ジャマをすると悪いから、スタンドで応援しているわ」
穂乃果「あ、はい…」
あんじゅ「またね♪」
英玲奈「頑張れよ」
ツバサ「いい?この試合、なんとしとも勝ちなさい!勝って…私たちと同じマウンドに立ちなさい!待ってるわよ…」
スタスタスタ…
一同 「…」アゼン
凛 「今、同じマウンドって言ったにゃ〜」プププ…
希 「意外と天然なのかも…やね」
《イニング間に、A-RISEの乱入というサプライズが発生しましたが、試合は続いています。3回の裏、ソフトボール部の攻撃は、2番の六車選手から》
六車 (さっきは中途ハンパなバッティングをしてしまった。ここはファーストストライクから、積極的にいこう)
《先程の回からスローボールを使いだし、ピッチングに緩急がついてきた絢瀬選手。2番から始まる上位打線をどう抑えるか。まずは初球…》
六車 (打つ!)
ボコッ
《あっとこれは、タイミングがずれたか?高いバウンド…ファースト、前進して捕った…が…投げられない!投げられない!ベースカバーに誰も入っていませんでした》
絵里 「花陽、ごめんなさい!」
にこ 「ごめん!ボールの行方を目で追っちゃったわ」
花陽 「ドンマイです!次、集中です!」
凛 (さすがに、投内連携まではやってないから…こういうことは起こりえるにゃ)
希 (海未ちゃんのライトライナーといい、穂乃果ちゃんのショート正面のダブルプレーといい、いい当たりが結果に結び付いてない…。かたや、ソフト部は…完全に打ち取った当たりなんやけど出塁…。こういうのって、なんかイヤやなぁ…)
海未 (気を付けてください。『風』はソフト部に流れてます) 【098】
《ソフトボール部、初めてノーアウトでランナーが出ました。3点のビハインドを追った攻撃、クリーンアップを迎えます。バッターは五木選手》
凛 (理想的な形は内野ゴロでゲッツーだけど…さすがに、ショートは真姫ちゃんだし…それは無理だよね…)
希 (いや、凛ちゃん。真姫ちゃんじゎなくてもウチらには無理やわ)ワラ
絵里 (さっきは外のボールをキッチリ、センター前に運ばれたわね…)
凛希絵(じゃあ、アレ、やってみる?)
五木 (外を狙い打ったことは覚えているはず。だから次は内角攻め…と見せかけて…東條のことだ、ウラをかいて、もう一度、外にくる)
《ピッチャー、絢瀬選手…初球は…ボール。アウトコース、低めに外れて、ボールワン》
五木 (予想通り)ニヤッ
希 (えりち!)
絵里 (OK!)
《続く2球目…投げ…あっ!!》
五木(!!…スリングショットだと?)
《打った!打ち上げた…タイミングをずらされたか?これは、三塁線、高く上がったファールフライ。高坂選手、三塁キャンバス横で捕球体勢に入ります…》
穂乃果(!!…流される!!)
《あぁっと!落とした!落とした!落球!ボールはグラブに当たってフェアゾーンに落ちた!高坂選手、慌てて拾うがどこにも投げられない!オールセーフ!》
穂乃果「え、絵里ちゃん、ごめん…風が…」
絵里 「大丈夫、大丈夫!今のは仕方がないわ。気にしないで」 【098】
二本松「見たか今の?」
三井 「はい。スリングショットで投げてきましたね」
四谷 「あの五木っちゃんが、完全にタイミングを外されて泳いだバッティングになっていた」
九里 「しかしまぁ…色々、小賢(こざか)しいマネをしてくるねぇ」
四谷 「それに振り回されてる私たちもなんだかなぁ…って感じだけど」
九里 「さすがライトゴロ経験者!言うことが違うねぇ」
四谷 「あのなぁ!」
三井 「まぁまぁ、先輩方…」
二本松「仲間割れしてる場合か」
九里 「あぁ、すまん」
四谷 「お、おぅ…」
八代 「生徒会長って、経験者なのか?」
二本松「いや、そんなハズは…バレエはやっていたとは聴いたことはあるが…」
九里 「だとしたら、相当ポテンシャルが高い」
七瀬 「あんなのを混ぜてこられると、厄介だな」
二本松「とにかく、彼女たちを『ただのスクールアイドル』だと思わない方がいい…このままいくと…私たちは負けるぞ」
一同 (…)ゴクッ 【099】
《やはり風の影響が出てきたようです。ただでさえ素人のμ'sには、フライの処理が相当難しくなるでしょうね…》
一ノ瀬「さてと…」
《さぁ…この試合、最大級のピンチを迎えました。ノーアウト、ランナー二塁一塁で、バッターは4番の一ノ瀬選手…。一発出れば同点という場面を迎えました。今、マスコットバットを置き…ゆっくりと打席に向かいます。バックに流れるのは『ダースベイダーのテーマ』か?》
穂乃果(流れてないって…)ムフフ
希 (あちゃ〜、嫌な場面でラスボスの登場やね)
オネーチヤ〜ン、ガンバッテェ〜!
絵里(!?…亜里沙!?来てくれたの?ハラショー!!)
《おっと、絢瀬選手は妹さんが応援に駆けつけてるようですねぇ。これは心強い》
希 (一発だけは避けなきゃいけない場面やけど、歩かせるわけにも…)
絵里 (勝負よ、希!)キリッ
希 (!!…逃げのえりちなんて…らしくないやん…そうやな?)
絵里 (いくよ!)
希 (一か八か…)
絵里 (練習の成果を見せる時よ!)
《さぁ、サインが決まったか絢瀬投手、ダースべー…いや、一条選手に挑みます》
穂乃果(いやいや…ヒデコ、それは…)
《その初球!投げた!》
一ノ瀬(な!?)
ブン!
…
《…ス、ストラ〜イク!空振り!》
一ノ瀬(今のは!?) 【100】
二本松(ラ…ライズ…?)
一塁側(おいおい、マジか!?)
凛」 (にゃ〜!?)
花陽 (うわぁ…)
《バッターの一条選手、ソフト部ベンチ、そしてμ'sナインまでも、驚愕の表情…。それもそのはず…なんと、絢瀬選手がライズボールを投げました》
穂乃果(確かに試合前、秘策があるとか言ってた気がするけど…)
海未 (まさか、このことでしたか…さすよ、絵里!)
真姫 (どれだけ器用なのよ)イミワカンナイ
ことり(すご〜い♡)チュンチュン
花陽 (凛ちゃん、知ってた?)
凛 (知らなかったにゃ)ブンブン
にこ (そんなのがあるなら、最初から使いなさいよ!!)
希 (そうもいかない事情があるんやって…)
《ざわめきが止まらない試合会場。しかし、まだワンストライクを取っただけ。状況を整理しましょう。3回の裏、ソフト部の攻撃中。ノーアウト、ランナー二塁一塁。バッターは4番の一ノ瀬選手。カウントはワンストライク》
一ノ瀬(…もはや、尊敬に値するよ…絢瀬。感動すら覚える…)
《2球目…》
ブン!
《ライズぅ!!空振り!ツーストライク!》
一ノ瀬(悔しいな…) 【101】
《3球目、投げた!…》
ブン!
キャ〜!
ウワァ〜!
ドォッ!!
《来たぁ!ラ・イ・ズ・だぁ!空振り三振!!ワンアウト!絢瀬選手、見事な、投球。先程、ライズで三振を喫した相手に『掟やぶりの逆ライズ』でリベンジを果たしました》
絵里 (ふぅ…まずワンアウト…ね)
《ワンアウトを取ったものの、依然として怖いバッターが続きます。続くは5番の八代選手、最初の打席はファーストゴロ。しかし当たりは痛烈なライナーをファーストが弾いて、結果ゴロとなったもの。あわや強襲ヒットかという、鋭い打球でした》
八代 (ライズなんて、打ったことがない…浮き上がるということは…グリップの位置を高くして…振り下ろす?)
ブン!
ストラ〜イク!
八代 (…違うか…浮き上がる前に…打つ?)
ブン!
ストライク ツー!
八代 (な、スローボールだと!どこに、そんな余裕が…)
絵里 (手が滑ったわ…)
八代 (次は…なんだ?)
ズバッ
ストライク スリー!バッター アウト!
八代 (アウトローのストレート…手が出なかった…)
《絢瀬選手、東條選手の生徒会バッテリー、八代選手にまったく的を絞らせず、見逃しの三振に切ってとりました。これでツーアウト!》
絵里 (あとひとり…) 【102】
《ノーアウト、ランナー2塁1塁が、ツーアウト、ランナー2塁1塁に。バッターは6番の七瀬選手。先程はショートに打ち上げたサードフライ。この打席はどうか?》
ブワッ!
《おっと、強い風!時折、突風が吹いてきます。現在の風向きは…バックネット方向から左中間方向へと吹いています。雨こそ落ちていませんが、だいぶ雲行きが怪しくなってきました》
ボール!
ボール!
ボール!
ボール!
フォアボール バッター イチルイ
《あ〜なんと、ここで…まさかのストレートのフォアボール!!満塁です。ツーアウトながら、全ての塁が埋まりました》
希 「タイム!」
《たまらずキャッチャーの東條選手が、ここでこの試合、2度目のタイムを要求。マウンドに野手全員が集まります》
にこ 「どうしたのよ、急に…」
穂乃果「さっきのボールを投げればいいじゃん」
海未 「ところが、そう簡単にはいかないみたいです」
凛 「…残念だけど所詮『付け焼き刃』『一夜漬け』ってことだにゃ。まだキチッとコントロール出来ないんでしょ?」
希 「そうなんよ…それがこれまでライズを使えなかった理由」
海未 「加えて言うなら…ライズを投げたあと、他のボールもコントロールを乱しています。それが今の四球に繋がったのかと…」
希 「それも正解」
海未 「疲れだけの理由ではないと思いますが…後ろから見てて、投球フォームがバラついてるように感じましたので」
希 「ライズは、リリースする時に、手首のスナップを利かせ、ボールに独特の回転をかけるんやけど…今のえりちだと、そのあとに投げるボールのリリースポイントとかが、上手く修正出来なくなってしまうんよ…」
花陽 「そして…この『風』…ですね」
希 「そう。ソフトは、ボールが大きい分、風によって、必要以上に変化してしまうんや。今は向かい風になるから、逆に球威が落ちるんよ」
絵里 「だから、ここぞ!という場面でしか使えないの…ごめんネ!?」
花陽 「謝る必要なんてないですよ!だって、まだ点を獲られたわけじゃないんだし」
穂乃果「そうだよ。このピンチだって、もとはといえば、穂乃果のエラーから始まってるんだから」
絵里 「ありがとう、花陽、穂乃果」 【103】
凛 「ツーアウト、満塁…ツーアウト、満塁」ゴニョゴニョ…
にこ 「え、なに?」
凛 「ことりちゃん、セカンドに入って欲しいにゃあ!」
ことり「!?」チュン!
にこ 「ちょ、ちょっと待ってよ!そうしたら、アタシはどこに、行くのよ?まさかベンチだなんて言わないわよね?」
穂乃果「ヒデコと交替だったりして」ムフフ
にこ 「怒るわよ!?」
凛 「にこちゃんは、センターに入ってもらうにゃ」
にこ 「え、え〜!!あたしがセンター?」
真姫 「良かったじゃない、やりたかったんでしょセンターでしょ」ツン
にこ 「そうそうμ'sのセンターはやっぱり超絶かわいいニコニーじゃなきゃ…って…あのねぇ、こんなときにそんな冗談言ってる場合じゃないでしょ!!」
ワイワイ
ガヤガヤ
四谷 「アイツら、なんか、楽しそうだな…」
九里 「これがスクールアイドルという生き物なのか…)
二本松(…ん?)
《さぁ、マウンド場の輪が解けて、選手が元のポジションに戻り…ま…せんね…。キャプテンを務める星空選手が、主審に何かを伝えています。どうやら守備位置が変わるようです》
《まずセンターの星空選手がレフトへ、レフトの南選手がセカンドへ、そしてセカンドの矢澤選手がセンターへ…。3人のポジションが入れ替わったようです》
《そして、3人がそれぞれ守りにつきま…いや、待って下さい!…どういうことでしょう!?…センターの矢澤選手は2塁ベースの真後ろに立っています。確かにグラウンドの真ん中にはいますが…これはもう内野手と言っていいでしょう》
《なんと外野は左中間に星空選手、右中間に園田選手の2人体制!アイドル研究部 スクールアイドル μ's、大きな、大きな賭けにでました》 【104】
凛(満塁ってことは、内野ゴロなら、どこに投げてもフォースプレー…。ことりちゃんと真姫ちゃんには悪いけど…ボールが飛んできたら、とにかく抑えてもらって、近いとこに投げて欲しいにゃ…)
海未(外野への打球は、私たち2人でなんとかします)
《内野手5人の奇策は通じるのか?試合再開。バッターはソフト部唯一の2年生、三井選手が右バッターボックスに入ります》
三井 (この場面、絶対に長打は打たれたくないところ。それを考えれば…スローボールは…まず、ない!)
《初球は内科低めの直球…やや低いか…ボール!!》
三井 (ライズも高めに浮く危険性が有るため、投げづらい)
キン!
《次のボールを打って…ファール!》
三井 (狙いはストレート1本!フルスイング!)
《3球目…投げた!!》
カキン!
!!
《打った!打ち上げた!これはセンターフライ、伸びがない!ソフト部、万事休すか…星空選手、もう落下地点に入っている…いや、バックする、バックする…下がる、下がる…風に乗って…越えたぁ、入ったぁ、ホームラン!!》
絵里 (…)
希 (…)
花陽 (…)
ことり(…)
にこ (…)
真姫 (…)
穂乃果(…)
凛 (…)
海未 (…) 【105】
《マウンド上で崩れ落ちたのは、ピッチャーの絢瀬選手。そして…他のμ'sナインも、誰ひとり動けません》
《それもそのはず。ソフトボール部にとっては起死回生の、まさか…まさかのグランドスラム…満塁ホームランが飛び出しました!》
《μ'sは内野手5人体制の奇策も実らず、ボールははるか上空、いわゆるホームラン風に乗り、フェンスを越えて行きました。これで、5対4、ソフトボール部が逆転しました!!》
穂乃果「…」クックックッ
真姫 「…穂…乃…果…?」
穂乃果「あははは」
一同 「!!」
穂乃果「そりゃ、そうだ!」
一同 「…えっ?」
穂乃果「そりゃそうだよ!世の中そんなに甘くない!!」グッ
希 「穂乃果ちゃん…」
穂乃果「でも…まだ…まだ、終わったわけじゃないよ…」
にこ 「…穂乃果…」
穂乃果「みんな、まだ終わったわけじゃないよ!!まだ、3回の裏だよ。まだ終わってなんかいないんだよ」
海未 「穂乃果…」
穂乃果「μ'sはこれまで、何度も逆境を乗り越えて来たんだもん!これくらいのことで落ち込んでなんかいられないよ」
ことり「そう…だよ…ね」チュ〜ン
花陽 「穂乃果ちゃん!」パナ〜
絵里「はぁ、まったく…毎回、毎回、あなたには、呆れてものが言えないわ…」
穂乃果「ん?」ムッ! 【106】
絵里 「どうしたら、そんなにポジティブになれるのかしら…」フフフ
希 「えりち…」
にこ 「そうねぇ…まぁ、仕方ないでしょ!?それがあたしたちの決めたリーダーなんだから」
穂乃果「にこちゃん…」
凛 「にゃ、にゃ!?今日は凛がキャプテンにゃ!責任は凛がとるにゃ!!」
穂乃果「凛ちゃん」
凛 「だから、絵里ちゃんはさっさと投げて、この回を終わらすにゃあ」
絵里「…わかったわ、凛キャプテン!」
ストライク!
ストライク!
ストライク!
バッターアウト! スリーアウト チェンジ!
《…というわけで、九里選手…一言も喋ることなく三振で、3回の裏、終了です》
九里 (なんて、雑な扱われ方…) 【107】
《3回の裏に満塁ホームランが飛び出し、5対4とソフトボール部が一気に逆転!これから4回の表、μ'sの攻撃となります》
タッタッタッタッ
《おや、一塁側ベンチから、そのホームランを放った三井選手が走って来ました》
三井 「穂乃果…というか、μ'sの皆さん」
※穂乃果と三井は同級生
穂乃果「どうしたの?」
にこ 「嫌味でも言いに来たの?」
絵里 「やめなさいよ」
三井 「すみません、すごく言いづらいのですが…」
一同「…」
三井 「この回が最終回になります!!」ペコリ
一同「…えっ?」
三井 「すみません。本来なら7回までやる予定だったのですが…作者の都合…いえ間違いました…今後の天候が思わしくない為、やむ無く、この回で終了するように…と学校管理者から連絡が入りました」
希 「確かに、天気、荒れそうやもんね」
三井 「昨日の予報では、ここまで風が強くなるなんて、聞いてなかったのですが…今は強風警報が出てますし、大雨も降るようです」
真姫 「この回っていうのは、ここで終わりってこと?勝ち逃げするつもり?」
花陽 「真姫ちゃん、ダメだよ!先輩だよ」
三井 「ごめんなさい、上手く伝わらなかったみたいで…。このイニング、つまり4回の表裏までです」
穂乃果「よし!あと1回は攻撃出来るんだね!」
三井 「うん、そうだね」
海未 「その代わり、点が入らなければ…その裏はない…ということですね…」
絵里 「仕方ないわ…天候が相手では、どうにもならないもの。わかったわ」
三井 「では…」ペコリ
穂乃果「うん、お疲れ」サンキュ
タッタッタッタッ 【108】
希 「まぁ、正直えりちも限界に近いやろうし…それはそれで、丁度いいんやないかな」
穂乃果「でも、この回、最低1点は獲らなきゃいけないってことね」
にこ 「なに言ってるのよ!1点じゃ同点止まりじゃない。何がなんでも勝ち越すのよ!」
海未 「わかっています。引き分けでいいなんて、誰も思っていませんよ」
《さぁ、大変なことになりました。天候の悪化に伴い、急遽、この4回がラストイニング、最終回。現在リードしているのは、裏の攻撃のソフトボール部。つまり、μ'sが無得点であれば、その時点で試合終了となってしまいます》
凛 「かよちん、なんとしても凛まで回すにぁ〜!」
穂乃果「ファイトだよ!」
希 「塁に出なかったら、ウチがワシワシスペシャル、するからね」ニヤ
花陽「ぴゃあ!い…行ってきます!」
スタスタスタ
にこ 「希、花陽がワシワシOKだったら、どうするのよ?」
希 「それはそれで…うれしいやん!」ムフッ
にこ「あほ…」
《さぁ、泣いても笑ってもこの回が最終回。果たして、同点、あるいは勝ち越して裏の守備につけるのか?それとも、グランドスラムの1発に沈むのか?命運を託されたトップバッターは、7番、ファーストの小泉選手!》
花陽 (ここは小細工なしでシンプルにいこう。ストレート、チェンジアップ…それにライズ?どのボールでも、ギリギリまで引き付けて…思いきり…叩く!)
《前の打席では、ランナー満塁から、左中間フェンス直撃の、2点タイムリーツーベースを放っている小泉選手。ここは、どんな形でも塁に出たいところ。一方、ソフト部バッテリーは、どうやっても抑えたいところ。甘い球は禁物です》 【109】
二本松(さっきは、こっちが油断していたとはいえ、迷いのないスイングをしていた。この娘、侮れないよ!)
一ノ瀬(確かに。先頭打者は出したくないが、続く2人の力量を考えれば、まずは長打を打たれないことが、最優先だな…)
《ソフト部バッテリー、サインの交換が終わったようです。バッター、小泉選手に対して、初球…投げた!インハイ、ボー…いや、ストライクです!審判が少し遅れてコール。それだけ際どいところ》
花陽 (追い込まれたら…やられちゃう…)
《ピッチャー、一ノ瀬選手。早いテンポで2球目のモーションに入る…投げた!》
キン!
《ファール!振り遅れ!一塁線右に切れていきます》
二本松(追い込んだ。だが、ここは焦りは禁物)
一ノ瀬(あぁ)
《さぁ、3球目…インハイ…引っ張った!三遊間への当たり、ショート深いところ、飛び込んで捕った、起き上がって投げた!判定は?》
一塁側(アウト!)
三塁側(セーフ!)
セーフ!
《セーフだ!セーフだ!判定はセーフ!!小泉選手の足が僅かに早かったか?執念の内野安打です!》
花陽 (はぁ…はぁ…間に合った…。毎日の…階段ダッシュの…成果かな…はぁ…はぁ…)
凛)「今日のかよちん、カッコ良すぎにぁ〜♡」
《しかし、ショートの六車選手も素晴らしい守備を魅せました!このプレーに対し、観客から惜しみ無い拍手が送られています》
一ノ瀬(まぁ、ここまでは、想定内。むしろ、長打を打たれなかったことの方が大きい)
二本松(問題はこのあとだ…。むしろ、向こうは我々よりも頭を悩ますとこだろう…) 【110】
《μ'sノーアウトでランナーが出ました。打順は8番の南選手。先程の打席は、まったくバットに当たらず、三球三振。この場面ではどうか?》
凛「タイムにゃ!」
《あっと、μ'sベンチ、ここでタイムを要求です。星空選手が南選手を呼び寄せます》
二本松(同点を狙いにいくなら、間違いなく、送りバントでランナーを進めたいところ…)
五木 (正直、バッティングが期待出来る選手ではない。…であるなら、なおさらここは、送りバント…)
三井 (そうはさせないよ…私と五木さんがチャージして、絶対に阻止するわ)
《南選手がバッターボックスに戻ります。ソフトボール部はバントに備え、早くもファースト、サードが前進守備。これは、南選手にプレッシャーが掛かる。往年の川相選手でも決めるのは難しいかも知れません》
一ノ瀬(五木、三井、いくよ!)
五木 (…)コクッ
三井 (…)コクッ
《ピッチャーの一ノ瀬選手、一瞬、一塁ランナーを見たあと、すぐにキャッチャーのミットを見つめます。モーションに入った…投げた!》
ダダダダッ
ダダダダッ
《ストラ〜イク!南選手、ど真ん中のボールを見送りました…ストライク、ワン。投球と同時に、ファースト、サードが猛ダッシュ。あわよくば、ゲッツーを狙おうという守備陣》
二本松(バントをする気配がまったくなかった…?まさか強行策?)
《初球は様子を見たのか、南選手、平然と見送りました。しかし、投球はストライク。さぁ、次はどうする?ピッチャー、一条選手…モーションに入る…2球目を投げた!》
ダダダダッ
ダダダダッ
ブン!
《空振り!!なんと、ここでヒッティングです!》
五木 (今のは焦った…)
三井 (死んだかと思った…)
《肝を冷やしたのは、ファーストの三井選手とサードの五木選手か。バントシフトから、投球と同時に猛ダッシュで前進して来ましたが、まさかのヒッティング!この至近距離で打球が飛んできたら…と思うと、あまりに危険な場面でした》 【119】
二本松(面白い作戦だったが…当たらなければどうというとはない )
一ノ瀬(ふっ…しかし、これでツーストライクだ。策士、策に溺れるか…)
《南選手、ツーストライクと追い込まれてしまいました。ここでファースト、サードは定位置に戻ります》
凛 (ことりちゃん…チャンスだよ)
ことり(…)コクッ
《ピッチャー、一ノ瀬選手…一旦ロジン(バッグ)に手をやり、ボールをこねました。慎重にサイン交換を行い…頷いた。モーションに入る…3球目を…投げた!》
チュン!
一ノ瀬(!)
二本松(!)
五木 (!)
三井 (!)
《あ〜っと、バントだ!!打球は三塁線、勢いなく転がる…サード、ダッシュしてボールを…捕らない!捕らない!…敢えて捕らない…切れればファール…スリーバント失敗だが…》
五木 (…)チッ!
《止まった!止まった!フェア…フェアです!バント成功!なんと、ノーアウト二塁一塁です!!》
絵里「ハラショー!」
穂乃果「やったね、ことりちゃん!」
ことり「ちゅん、ちゅん!」ブイ!
海未 「上手く決まりましたね!」
凛 「ことりちゃんには、徹底的にバント練習してもらったから…その成果が出たにゃ〜」
絵里 「絶好の場面だったものね!」
希 (そう、ウチが今日のキーマンと見ていたもうひとりとは、何を隠そう『ことりちゃん』だったんよ。ホンマ、きっちり仕事をするなぁ…)
二本松(2球目の空振りは、守備位置を下げさせるためにわざと…?まんまと向こうの策に嵌まってしまった…認めたくないものだな…若さ故の過ちというものを…) 試合がどうなるのか予想してたらこっそりにこ姉ぇの方が進んでた 【112】
《4回の表、μ'sの攻撃は、内野安打2本で、ノーアウト、ランナー二塁一塁。同点のランナーだけでなく、逆点のランナーまで出塁しました。…あっと、ここはソフトボール部がタイムを要求。内野陣がマウンドに集まります》
一ノ瀬「ふぅ…簡単には勝たせてくれないな…」
五木 「いや、まったく、いい根性してるよ」
四谷 「根性だけじゃない。センスもある」
一条「ホントに…アイツら何でアイドルやってるんだろう?」
六車 「まったくだ」
二本松「それはそうなんだが…その話はあとにしよう…。それより、ここをどう守るかだ」
五木 「セオリー通りなら、十中八九、送りバントの場面」
三井「逆点のランナーが塁にいますから、普通だったら、送って三塁二塁にしますよね?」
五木 「だけどなぁ…」
三井 「さっきのこともありますし…」
二本松「…う〜ん…取り敢えずバント7、ヒッティング3の意識で守って。最優先は三塁ランナーの封殺。三塁は踏ませない。次が…どこでもいいから、ゲッツー。最後に…確実なアウトひとつ」
内野陣「了解!」
二本松「こっちは、進塁打を打たせない配球に徹する」
三井 「はい」
二本松「一条、お前は途中で気が抜けるのが悪いクセだ。集中しろよ!」
一ノ瀬「わかってる。三井、シノ、むぐるー、五木っちゃん…頼むな!」
三井 「はい!」
四ノ宮「OK!」
六車 「まかせな!」
五木 「さぁ、いくよ!」 一ノ瀬さん、ファーストネームが一条、つまり一ノ瀬一条っていうの? >>188
失礼しました。
旧設定が一条だったので。
東條と名前が被るので変えたのですが、つい間違えてしまいました。
…で…今から彼女の名前は『一ノ瀬一条』にします。 【113】
《ソフトボール部、内野陣が守備位置に散りました。試合再開です。4回の表、最終回。1点を追うμ'sの攻撃は、ノーアウト、ランナー二塁一塁で、バッターは9番、ショートの西木野選手》
にこ 「真姫ちゃん、わかってるわね。ただで帰ってきたら承知しないよ」
真姫 「私を誰だと思ってるのよ」
絵里 「頼んだわよ」
真姫 「やるだけのことは、やるつもり」
穂乃果「真姫ちゃん、ファイト!」
海未 (ここまできたら、もう技術云々は関係ありません。気合いです!)
《西木野選手、バッターボックスに入ります。先程は空振りに倒れましたが、ここはひとつでもランナーを進めたい場面…》
真姫 (はぁ…何で今、ソフトボールなんてやってるんだろう?…こんなに真剣に…意味わかんない…)
《ピッチャー、プレートに足を揃えました》
真姫 (あの時、穂乃果が、私の前に現れなければ…)
《身体をかがめて、キャッチャーのサインを覗きます》
真姫 (あの日、花陽が私の生徒手帳を拾ってくれなかったら…)
《小さく頷いた。さぁ、投球モーションに入ります》
真姫 (私は一生、仲間と同じ目標に向かって走っていくことの楽しさを、知らずに過ごしたかもしれない…)
《投げた!》
ズバッ
ストラ〜イク!
《内角、厳しいところ。西木野選手、初球は見送りました》 【114】
《ピッチャーの一条選手、早くも次の投球に入る…投げた!送りバントもさせじ…と、またもインコース厳しいところ!少し高いか?ボールです》
二本松(バントする気配が微塵も感じられない…ヒッティングか?)
真姫 (凛は私の為に、付きっきりでバッティングを教えてくれた…1日や2日でどうにかなるものじゃないのに…本当に面倒な連中ね)フフッ
《一ノ瀬選手…早いテンポで投げ込んできます》
真姫 (バットは短く持つ…脇を締める…顔は正面を向ける…左足は少し引く…だったわね?)
二本松(構えがコンパクトになった?バントか?)
真姫 (ボールから目を離さない…テイクバックは小さく…)
《3球目、投げた!》
真姫 (イチッ…ニィ…腰から回す!!)
ガコッ!
真姫 (当たった!)
《西木野選手、内角のボールを打ちましたが、ボールは足元に落ちてファール!》
真姫 (今のはダメ!力み過ぎ。力を入れるのはインパクトの瞬間だけ…)
二本松(打ちにきた…)
一ノ瀬(…)
《カウントはワンボール、ツーストライク…追い込まれた西木野選手。追い込んだソフトボール部、バッテリー。どこに投げるか?》
二本松(1球、様子を見るぞ)
《投球4球目…》
カツン!
《外の球、一塁線、右に切れてファール!キャッチャーは外し気味に構えていましたが、バットの先っぽ、辛うじて当たりました》 一ノ瀬さんが一条さんにお嫁に行ったら一条一条さんになっちゃうのか 【115】
一ノ瀬(しぶとい!)
二本松(いや…最初の打席もタイミングは合っていた…強い当たりならゲッツー取れる!内野、打たせるぞ!)
《カウント2ボール2ストライクからの投球は5球目…》
ボコッ!
《打った!詰まった!ボテボテの当たり!サード前進…取って二塁に送る!二塁フォースアウト!一塁転送!一塁は?…セーフ!一塁はセーフです!!》
真姫 「はぁ…はぁ…はぁ…」
二本松(狙い通りだったが…ジャストミート出来なかったか)
《良く走りました西木野選手!ダブルプレーは、免れました》
穂乃果「うっしゃあ!!」
凛 「ナイスバッティング!ナイスラン!!」
花陽 「真〜姫〜ちゃ〜ん!!」
真姫 (三塁から大声で呼ばないでよ…恥ずかしい…)カオマッカ
花陽 (やったね!)ニコッ
真姫 (でも、ありがとう、花陽…。あなたがいなかったら、今頃私は…)
凛 「さぁ、次は凛の番だね!なんとしても、かよちんをホームに迎い入れるにゃ〜!!」 【116】
凛 「♪リンリンリリン リンリンリリンリン リンリンリリン リ〜リ凛ちゃん!…っと」
#恋のダイヤル6700より
《4回の表、μ'sの攻撃は打順トップに戻って、星空選手。バットをぐるぐる回して、軽快にスキップしながら、打席に向かいます》
《ワンアウト、ランナー三塁一塁、一打同点のチャンス!犠牲フライでも1点という場面》
海未 (…三塁ランナーが、凛でしたら楽勝かもしれませんが…)
《ここは守る方としては難しい場面。一塁にランナーがいるので、ゲッツーが取れれば、その時点で試合終了です》
《ですが、バッターは脚の速い星空選手。そう簡単にはいかないでしょう》
《しかし仮に同点止まりなら、ソフト部は裏の攻撃が残っています。三塁ランナーが帰るのは仕方ないと割り切って守るのか?》
《はたまた、なんとしてもここで試合を終わらせるのか?》
二本松(バッター、脚、速い。セカンドゲッツー、無理。内野、捕ったらバックホーム)パッパッパッ
《キャッチャーの二本松選手が、守備陣に指示を送ります。内野は…前進守備、外野も浅め!絶対に三塁ランナーは帰さない!ソフトボール部の意地が見てとれます》
凛 (野球なら、この場面、スクイズも考えたいところ…。だけどソフトボールは、ピッチャーの手からボールが離れるまでは『離塁』禁止…。かよちんが、どれだけ頑張って走ってくれても、さすがに無理があるにゃ…)
《星空選手、スキップから一転、厳しい表情で左バッターボックスに入ります》
凛 「さぁ!思いっきりくるにゃ〜!」
一ノ瀬「何を…1年生のクセに生意気にゃ〜!」
…
一同 (にゃ〜!?)
五木 (つられてる)ブフッ
二本松「熱くなるな、落ち着け!」
一ノ瀬 「!!…あ、あぁ…私としたことが…」 【117】
《一ノ瀬選手、一旦プレートから足を外し、大きく深呼吸をしました。額の汗を拭います。左右を見回して、守備位置を確認。セカンド、ショートは極端な前進守備》
真姫 (…あ!?…)
《ロジンに手をやり、ボールをグラブに収めます。ワンアウト、ランナー三塁一塁。風は…今は逆風、向かい風。ライトからホーム方向に強く吹いています》
《バッターは俊足の星空選手…ピッチャー、モーションに入る…投げた!投球はボール…》
スタスタスタ…
二本松(!!)
四ノ宮(!!)
六車 (!!)
凛 (!!)
《あっと一塁ランナー走ってる!キャッチャー二塁に送…球できない…ベースカバーに誰も入っていませんでした…これは西木野選手、冷静。前進守備の隙を衝いた見事なディレイドスチールです》
穂乃果「真姫ちゃん、やるねぇ!」
ことり「うん!」
海未 「でも…」
穂乃果「でも…?」
絵里 「そうとも言えないかも…」
穂乃果「?」
《さぁ、μ's…今度は一打逆転のチャンス…ですが…ソフトボール部キャッチャー、二本松選手、立ち上がりましたね…あぁ、敬遠です、敬遠…》
海未 「こうなりますね…」
《ここは一塁が空いたところで、満塁策を取る。会場からは、ブーイングが聞こえます》
凛 「にゃ〜!凛と勝負にゃ〜!!」
二本松「またの機会にな…」
《星空選手、結局歩かされました…これでワンアウト、ランナー満塁》
凛 「この話の主役は凛じゃなかったのかにゃ?」 【118】
《ソフトボール部は、初回にも、5番の東條選手を歩かせての満塁策をとりましたが、その時には6番高坂選手にセンター前タイムリー、7番小泉選手には左中間を破られる2点タイムリーツーベースヒットを打たれ、都合3点を失っています》
にこ (えっ?次、アタシ?…な、なんで、こんな大事な場面でにこなのよ…)ガクガク
ことり「にこちゃん、大丈夫?足、震えてるよ」
にこ 「だ、大丈夫!…な、訳ないでしょ!いまだかつて、こんな状況に、出くわしたことがないんだから…」
ことり「そうだよね…」
にこ 「緊張するなっていう方が…」
穂乃果「にこちゃんらしくないね?」
にこ 「わからない?ネット配信されてるのよ!ここで恥を晒そうものなら、あり得ないくらいボロクソに書かれて、一生立ち直れない程のダメージを負うんだから」
ことり「そ、そこまでは、さすがに…」
にこ 「甘い!SNSの誹謗中傷を舐めてもらっ…」
希 (…)ワシワシワシ…
にこ 「ちゃ…困…る…ひゃひゃひゃひゃ…ちょ、ちょっと…なに…ウヒャヒャヒャ…する…の…ウヒャ…よ!!」ハァ…ハァ…
希 「どう?少しはリラックス出来たやろ?」
にこ 「はぁ…はぁ…打席行く前に、悶え死ぬとこだったわ!!あとで覚えてなさいよ!」
希 「やっぱ、そうでなきゃ。弱気なにこっちなんて…似合わんよ…」
にこ 「!!」
希 「ええやん、ダメでも。全力でぶつかっていけば、誰も文句は言わんやろ?」
にこ 「…」
希 「アイドルっていうのは、笑顔を見せるのが仕事やなくて…笑顔にさせるのが仕事…や、なかったっけ?」
にこ 「…」ジーッ 【119】
にこ 「…ふん!まだまだ、甘いわね。『全国のファンを…』じゃなくて『全宇宙のファンを…』でしょ」ニヤ
希 「…そやね…」ニコッ
にこ 「打ったらイチゴミルクおごりなさいよ!!」
スタスタスタ…
海未 「にこ、バットを忘れていますよ!」
スタスタスタ…
ガシッ
スタスタスタ…
希 (作者もしつこいなぁ)w
《4回の表、μ'sの攻撃は、ワンアウト満塁。バッターは2番、センターの矢澤選手。 最初は送りバント、次の打席は粘りましたが、空振りの三振。今日、3回目の打席》
にこ 「にっこにっこに〜!」
一ノ瀬(ビクッ)
にこ「あなたのハートに、にっこにっこに〜。笑顔届ける、矢澤にこにこ〜…いい?ニコニーは絶対負けないんだからぁ!」
一ノ瀬「何を!…いっちのぉ〜せ〜!三振取る取る一ノ瀬一条!!…わ、私だって…素人相手に絶対負けるわけにはいかないんだ!!」
一同(ブフッ!)
五木 「いっちのぉ〜せ〜?」
三井 「三振取る取る?」
二本松「あほ!張り合うとこが、違うだろ!」
一ノ瀬「…はっ!!…私としたことが…」
二本松(精神的な揺さぶりにきたか…)ポリポリ
五木 (この少しの間で、かなり感化されてる…)
希 (一ノ瀬さんも、えりちと同じ路線を歩むんかな?…) 【120】
《グランド内で、一瞬、ショートコントが展開されましたことを深くお詫び致します…》
花陽 「真姫ちゃん、満塁だからゴロだったら、どこに転がっても、迷わずスタート切ってね」
真姫 「わかったわ」
花陽 「ライナー、フライは飛び出さない!」
真姫 「わかった」
《さぁ、試合再開。同点、はたまた勝ち越しなるか、μ's。ピンチを切り抜けるか、ソフトボール部。マウンド上でコントを終えた一ノ瀬選手、正気に戻って、ボールをセットします》
一ノ瀬(まったく、人をバカにするのも程がある!なにが『いっちのぉ〜せ〜』…だっ!)
二本松(それは、お前がやったんだ!)
《内野は中間守備。打球によってホームゲッツーといった感じ》
にこ (この場面…中途半端が一番ダメ!思い切りいくわよ!)
《注目の初球…投げた!おっと、高め!キャッチャーが立って捕りました。あわやワイルドピッチかというボール…一ノ瀬選手、力が入ってます》
二本松(一条、リラックス、リラックス。肩の力を抜け!)
一ノ瀬(それが出来れば、苦労しない!)
にこ (追い込まれるまでは、際どい球には手を出さない)
《続く2球目…大きく腕を回して…投げた!…ストライク!今度はアウトロー》
にこ (あれは、打ってもファーストゴロ…。とにかく内野の頭を越さないと)
《続く…3球目…投げた!低め外れた…ボール。カウントはツーボール、ワンストライク。よく見ています、矢澤選手》
二本松(矢澤か…なかなか、選球眼がいい。前の打席も、ファールで粘られたし…勝負が長引けば、押し出しの危険性が増す…)
五木 「打たせていこう!」
六車 「ガッチリいくよ!」
四谷 「バッチこ〜い!」
一ノ瀬(わかってるけど、打たれたら、終わりなんだ…よっ!)
《このボールはインハイ!厳しいところ!…主審の手は?…上がらない、ボールです!ボール!さあ、スリーボール、ワンストライク。次がボールなら、押し出し、同点です!》 【121】
一ノ瀬(今のがボールだと?)
二本松(さすがに、今の判定はキツいな。このあとは…クリーンアップか…。簡単には歩かせられないなぁ…。やはりここは…打たせて取るしか)
一ノ瀬(!!…ど真ん中?…)
二本松(自分の力を信じろ!)
一ノ瀬(…)
《さぁ、一ノ瀬選手…覚悟を決めたか?たっぷり間合いを取ったあと、プレートに足を揃えました。ロジンに手をやり…ボールをこねて、グラブに納めます。改めて、キャッチャーのサインを覗き、小さく頷いた。そして…モーションに入る。大きく腕を回して…投げた!》
にこ (き・た・!ど・ま・ん・な・か・!)
キン!
《打ったぁ!》
一ノ瀬(!!)
《う、打ち上げました!レフトに高〜いフライ。これは…犠牲フライは厳しいか…三塁ランナーは、一応タッチアップの構え…ん?風でボールが押し戻されている!?レフト、前進、前進…走って、走って…跳んだ!ダイビングキャッチ!捕った、捕った、捕りました!》
花陽 (いける!!)
《それを見て、三塁ランナー、ホームを狙う!》
七瀬 「させるかっ!!」
《レフト、素早く立ち上がり、バックホーム!!ワンバウンドでいい球が返ってくる!ランナー回り込んでヘッドスライディング!追いタッチになった!!クロスプレー…判定は?…》
…
…
…
【122】
アウトォ!
…
…
…
《ア…アウトです…判定はアウト!…ダブルプレーです…つまりこの瞬間、ソフトボール部の勝利が決まりました。試合は5対4、ソフトボール部の勝利です》
花陽 (…)
《小泉選手、ホームベース上、うつ伏せのまま、立ち上がれません…》
凛 (かよちん…)
《矢澤選手の放った打球は高く上がったレフトフライ。タッチアップするにはやや浅いかと思われました》
《しかしボールは逆風に押し戻され…最後はレフトの七瀬選手が前方にダイビングしてキャッチ》
《捕球体勢が悪いとみるや、三塁ランナーの小泉選手、思いきってホームに突入。回り込みながら左手でベースをタッチしにいきましたが、返ってきたボールもストライク!》
《追いタッチにも見えましたが…判定は無情にもアウト…同点にすることはできませんでした…》
にこ 「ほら、いつまでも寝てるんじゃないよ!整列するよ」
真姫 「肩、貸すわ」
《小泉選手、今、2人の選手に抱えられて、ようやく身体を起こしました。引きづられるようにして、列の最後尾に。選手が整列します》
レイ!
アリガトウゴザイマシタ!
《今、両チームのキャプテン…一ノ瀬選手と星空選手が、ガッチリ握手を交わしました。あぁ、他の選手も握手やハグをしています。…そして、最後まで観戦していた観客からは、惜しみ無い大きな拍手が送られています!》 【123】
二本松「絢瀬さん、本来なら感傷に浸っていたいとこだし、グランド整備もしなきゃいけないのだが、この空模様だ。急いで撤収した方がいい」
五木 「片付けは私たちでやる」
絵里 「わかったわ、お願いするわ」
一ノ瀬「高坂さん、今日はありがとう。色々、勉強になったよ」
穂乃果「いえ、こちらこそ。私たちも楽しかったです」
ポツ
一ノ瀬「ん?…」
ポツ
ポツ
穂乃果「あ…」
ポツ
ポツ
ポツ
ポツ
ポツ
ポツポツポツ…
ザー…
穂乃果「うわっ!降ってきた!」
絵里 「みんな急いで校舎に戻って!撤収よ!」
ウヒャ〜
バシャバシャバシャ… 【124】
海未 「ここで例の台詞ですよ、穂乃果!」
穂乃果「例のセリフ?あっ…アレね!」
穂乃果(スゥ〜)
穂乃果「雨や〜め〜!!」
ザー…
ザー…
穂乃果「今日はやみませんねぇ」
絵里 「でしょうね…」
にこ 「くだらないこと言ってないで、早く中に入るわよ!!」
ことり「待って!花陽ちゃんと凛ちゃんが!」
絵里 「えっ?」
希 「あっ…まだ、あそこに立ったままやん…」
にこ 「まったく世話が焼けるわね!真姫ちゃん、行くよ!」
バシャバシャバシャ
真姫 「ちょっと、待ってよ!」
バシャバシャバシャ
にこ 「花陽、とりあえず、中に入りなさい!ここで突っ立ってても、風邪を引くだけよ!」
真姫 「凛も!」
花陽 「…かえれ…ま…せん…」
にこ 「ちょっと、なに言ってるのよ?」
真姫 「ほら、凛も。花陽を連れて中に行くわよ!」
凛 「…凛も…帰れないにゃ…」
にこ 「いいから、早くしなさいよぉ」 【125】
バシャバシャ…
穂乃果「花陽ちゃん、凛ちゃん!」
ことり「本当に風邪ひいちゃうよ」
海未 「花陽も凛も、気持ちはわかります。でも、今は…」
花陽 「…先に帰っててください…」
にこ 「…花陽…」
花陽 「…私…みんなに迷惑を掛けちゃい…」
バシッ!!
花陽 (!!)
絵里 「にこ!!」
希 「にこっち!!」
にこ 「先輩を差し置いて、自分ひとりで責任取ろうって言うの?いくら作者が花陽推しだからって、いいカッコしないで!」
花陽 「にこちゃん…」
にこ 「冗談じゃないわ!だったら、最後の打席、あのチャンスで凡打に倒れたアタシの責任はどこに行くのよ!」
花陽 「…ち、違うよ…あれは、花陽が、ホームに突っ込まなければ、まだチャンスが続いてたのに…」
希 「そんなん、結果論やん」
花陽 「でも…事実です!」
希 「花陽ちゃんは手抜きして走ったん?アウトになると思って走ったん?違うやん!全力で走って、でも、アウトになってしまった…。そんなん誰も責められないやん」
絵里 「そう、そんなことを言ったら、私がホームランを打たれなければ勝っていた試合…。悔やんでも悔やみきれないわ…」
穂乃果「それを言うなら、穂乃果だってフライを落としちゃったし、ダブルプレーでチャンスを潰しちゃったし」
真姫 「絵里のホームランのきっかけを作ったのは、私のふたつのエラーでしょ!なんで、みんな私を責めないのよ…」
ことり「私がもっと戦力になれれば…」 【126】
海未 「みんな、おかしいです!誰も、誰が悪いなんて思ってません。むしろ、よく闘いました。全員、胸を張って下さい!」
穂乃果「海未ちゃんは、張るほどないけどね」
海未 「あなたに言われたくありません!なんですか、こんなときに!」
凛 (クスッ)
海未 「あ、今、笑いましたね?凛は私の胸を見て笑いましたね!?」
凛 「…いや…笑って…ない…にゃ…」ニヤッ
海未 「あなただって『フラット3』の一員じゃないですか!」
凛 「…だって、にこちゃん!」
にこ 「ぬわぁんでよ!今、アタシは関係ないでしょ!!」
アハハハ…
ワイワイ
ガヤガヤ
七瀬 「アイツらこの雨の中、楽しそうに何やってるんだ?」
三井 「さぁ…でも高坂さんっていつもあんな感じですから」
九里 「それだからスクールアイドルなんてものが出来るんだろうなぁ」
絵里 (まったく…さすが穂乃果ね。ちょっとした一言で、場の雰囲気を変えてしまう)
希 「まぁまぁ、反省会はあとにして、今は中に入らんと…」
ことり「事前に運動部が使うシャワールームを、借りられるよう頼んでおいたから…」
絵里 「そういうことだから…いい?戻るわよ」
凛 「行こう、かよちん」
花陽 (コクッ)
バシャ
バシャ
ビシャ 【126】
穂乃果「いやぁ〜勝ちたかったねぇ〜!」
凛 「勝ちたかったにゃあ〜!!」
海未 「はい、それは悔しくないて言えば嘘になります…」
穂乃果「勝ちたかった…よ」ヒック
海未 「な、ちょっと、穂乃果?」
穂乃果「海未ちゃん、悔しいよぉ」ヒック
海未 「急に何ですか…あなたが…泣くのは…反…則です…よ…」グスッ
花陽 「うっぐ…うっぐ…」
凛 「か、かよちん…」
真姫 「…うぅぅ…やめてよ…花陽…泣かないでよ…」
花陽 「うわ〜ん」ドワッ
凛 「うにゃ〜ん」ブワッ
真姫 「花陽、凛…だから泣かない…で…って…うわ〜ん」
絵里 「もう…みんな…」グスッ
にこ 「にこは泣いてなんて…いないわよ…雨が…目に当たって…そう見えるんじゃない?…」グスッ
ことり「えへへ…にこちゃん…この雨…しょっぱいねぇ…」グスッ
希「目が潤んで前が見えないのも、雨のせいやね…」グスッ
穂乃果「勝〜ち〜た〜かったよぉ〜〜!!」 【128】
………
……
…
ガチャ
穂乃果「やっほ〜!今日も練習頑張ろう…って、どうしたの? みんなでパソコンを覗き込んで…」
凛 「昨日の試合の動画を観てるにゃ」
穂乃果「おぉ!穂乃果も家で何回も見ちゃったよ。やっぱり最後の本塁突入シーンはさ、結果がわかっててもドキドキしちゃうよね」
にこ 「動画の視聴者が選ぶベストプレーランキングでは2位ね」
凛 「かよちんのスライディング、カッコ良かったにゃ〜」
花陽 「あれでセーフなら、もっと良かったんだけどね…」
凛 「そして、凛のダイビングキャッチが…堂々の1位にゃ!!」
真姫 「はいはい。もう何度目よ、その自慢」
凛 「うるさいにゃ〜」ポコポコポコ
海未 「どうやら、いつものみんなに戻っているようですね」
ことり「うん、良かったね!」チュン
ガチャ
絵里 「みんな集まってるみたいね?」
希 「風邪ひいてへん?今日の練習は大丈夫?」
凛 「全然。あのあとちゃ〜んと休んだから、もう、大丈夫にゃ」
にこ (若いわね…)ボソッ
凛 「にゃ?」
にこ 「何でもない…」
トントン
絵里 「はい!?…」 【129】
ガチャ
絵里 「一ノ瀬さん!二本松さん!」
凛 (『いっちのぉ〜せ〜』にゃ!)コソコソ
花陽(凛ちゃん!)シッ!
二本松「まず、昨日はありがとう。最後はあの雨のせいで、ろくに話ができなかったから…」
一ノ瀬「みんな風邪ひかなかったか?」
絵里「ご心配なく、とりあえず無事みたい。そちらは?」
二本松「お陰さまで…」
希「まぁまぁ、立ち話もなんやから、中に入りぃ」
一ノ瀬「あ、あぁ」
二本松「じゃあ…失礼する。…あ、そうだ、その試合に付き合ってもらったお礼というか…、差し入れというか…?」
ガサゴソ
一ノ瀬「良かったら食べてくれ」
一同 (そ、それは!?)
一ノ瀬「『穂むら』という店の饅頭ただ!なかなか美味いらしいぞ」
一同 (クスッ)
一ノ瀬「ん?和菓子は嫌いか?」
絵里 「えっ!?ううん、そんなことないわ」ムフフ
花陽 「確かに、今、流行ってますもんね…『炎(ほむら)』って」
にこ 「時事ネタはやめなさい!」
一ノ瀬「?」
二本松「?」 【130】
海未 「ありがたく頂きます」ニコッ
穂乃果「そ、そうだね」アセアセ
一ノ瀬「?」
花陽 「お茶、いれましょうか?」
一ノ瀬「いや、気は使わないでくれ。そういうのは慣れていない」
花陽 「はぁ…」
二本松「あなたは野球経験者?」
花陽 「わ、私!?え、いや、小さいときにキャッチボールをしてた程度で…」
二本松「そうは見えないな…バッティングにせよ、走塁にせよ、実にセンスがいい」
花陽 「あ、ありがとうございます」
二本松「そして…園田さん…だっけ?」
海未 「は、はい」
二本松「あなたも今すぐ、うちに来て欲しいくらい。才能がある」
海未 「光栄です」
一ノ瀬「試合前にも言ったが…最初は試合といいながら、こっちのバッティング練習に付き合ってもらう程度で考えていた」
にこ 「失礼な話ね」
一ノ瀬「そう思う。ゲームが始まってすぐにわかった。自分が誤っていたことに。正直、スクールアイドルって存在を嘗めていたんだ。だから、まずその事について、謝罪したい」
穂乃果「謝罪なんて…ねぇ?」
海未 「はい。何事も、やるからには全力で行うのが、私たちのモットーですから」
穂乃果「海未ちゃんは、ちょっと度が過ぎるけどね」
一同 「あははは…」 【131】
二本松「お陰で素晴らしい試合が出来た。感謝する」
絵里「こちらこそ。楽しかったわ」
一ノ瀬「間違いなく、練習試合をする予定だった学校よりも…強い」
二本松「断言しよう。あなたたちなら少し練習すれば、地区予選くらいなら、軽く突破できる」
穂乃果「穂乃果たち、そんなにスゴいんだ」
にこ 「お世辞に決まってるじゃない!」
凛 「でも、嬉しいなぁ!」ルンルン
真姫 「…で、あなたたち…何を企んでるの?…」
一ノ瀬「ん?」
二本松「えっ?」
ことり「真姫ちゃん!?」
真姫 「わざわざ、そんなことを言いにきたんじゃないんでしょ?」
絵里 「何か知ってるの?」
真姫 「さっき、うちのクラスの子から聴いたのよ…ソフトボール部が凛を探してたって」
穂乃果「!!…それってまさか…引き抜き?」
一ノ瀬「引き抜きとは、口が悪い。スカウトと言って欲しい」
二本松「単刀直入に言おう。星空凛、ソフトボール部に入らないか?」
μ's 「!!」
凛 (…)
二本松「その脚力、守備範囲、そしてその知識をもってすれば、今すぐにでもレギュラーだ」
一ノ瀬「…そこの生徒会コンビも誘いたいところだが…3年は直ぐに引退だからな」
二本松「勝手なことを言うが、君はステージよりもグラウンドで大暴れする方が似合っていると思う」
にこ 「ホント、勝手ね」 【132】
花陽 (…でもそれは、二本松さんの言う通りかも知れない…)
絵里 (確かに、この3日間、凛はいつもにも増して、元気だった気がする…)
二本松「別に自分の好きなことをやる…っていうのは、悪い話じゃないと思うが」
一ノ瀬「私の好きな詩を教えてあげよう…『遅すぎることなんて本当は、ひとつもありやしないのさ。何するにせよ、思ったときが、きっと、相応しいとき』…どうだ?」
#泣かないで恋人よ
一同 (意外とまともなことを言う…)
凛 「うん…そうだね…」
真姫 「凛!?まさか」
凛 「確かに、凛がスクールアイドルやるなんて、これっぽっちも考えたこともなかったにゃ」
花陽 「凛ちゃん…」
凛 「凛は歌もダンスも下手だし、可愛い衣装も似合わないし…正直、凛がここにいるのは、場違いだと思ったりもしてる…」
希 「凛ちゃん…」
凛 「野球に未練がないって言ったらウソになるし、野球は今でも、大好きにゃ」
海未 「凛…」
凛 「でも、今は、それと同じくらい…ううん、それ以上に、みんなと過ごす時間が、大好きにゃ!!」
穂乃果「凛ちゃん!」
凛「今、凛は、穂乃果ちゃんと海未ちゃんの漫才見てたり、にこちゃんと真姫ちゃんをからかったりして過ごす毎日に、とてつもない幸せを感じてるんだ」
海未 「さらっと、おかしなことを言いましたね…」
にこ 「聞き捨てならないセリフがあったわ」
真姫 「私も聴いた」
凛 「そ、それに…」チラッ
花陽 「?」
凛 「かよちんと離れるなんて、絶対に無理にゃ〜」
花陽 「凛ちゃん!!」 【133】
にこ 「…ってか、それが一番の理由でしょ?」
凛 「にゃは!…だから、折角だけど…お断りすっるにゃ〜」
一ノ瀬「ふはははは…。そりゃ、そうだ。世の中そんなに甘くない」
μ's (ん?どこかで聴いたセリフね…)
一ノ瀬「大丈夫、断られるのは想定内だ。ダメ元で訊いてみただけだ」
二本松「ただし、戦力として欲しいのは事実。心変わりがあったら、いつでも来てくれ」
凛 「多分ないと思うよ」
一ノ瀬「ダメ元ついでにもうひとつ…いや、あとふたつ、頼みがあるのだが」
にこ「意外と図々しいわね」
一ノ瀬「再来週から地区大会が始まるのだが…我が部はまったく注目もされていないから、応援席がガラガラなんだ」
穂乃果「それは、寂しいですね。誰か観ててくれないと、気合いが入らないというか…」
一ノ瀬「そうなんだ!そこで、時間があれば…で構わないんだが、応援に来てくれないか?」
海未 「ええ、そんなことなら…」
一ノ瀬「チアガールとして」
海未 (ブホッ!)
ことり「ちょっと、海未ちゃん、大丈夫?」
海未 「チアガールはダメです!あんなに短いスカートで、人様の前で脚をあげて踊るなんて…あぁ、ダメです、ダメです!破廉恥すぎます!」
二本松(アイドルの衣装も、そんなに変わらないだろうに?)
希 「まぁまぁ…海未ちゃんの話は置いておいて…もうひとつの頼みって、なんやろ?」
一ノ瀬「あ、あ…その…え〜と…」
希 「?」 【134】
一ノ瀬「曲を…教えてくれ…」
希 「曲?」
一ノ瀬「今度の…お前たちのライブの時に、一緒に歌えるようになりたいんだ…」
穂乃果「それって…」
ことり「来てくれるんですかぁ?ライブ!」
一ノ瀬「応援に来てくれたらな…そのお返しに…だぞ!」
二本松(素直じゃないねぇ)
真姫 「いいわ。あとでスマホに落としてあげる」
一条 「そうか、うん、ありがとう」
二本松「実は私たち、μ'sに嫉妬してたんだ。『アイドルなんて、ルックスだけでしょ』…って。でも、初めてパフォーマンスしてるとこを見たとき『負けた!』…って思ったよ。何だろう、人を引き込むパワーっていうのかな」
一ノ瀬「真っ直ぐな…一途な想いが伝わってきた。それを忘れてたんだ…私たち。そして、昨日の試合を通じて、改めてそれを感じたんだ。『何事も一生懸命取り組む気持ち…それが大事なんだ』って」
二本松「だから競技は違うけど、お互いを…刺激し合える存在になりたいんだ」
一ノ瀬「立候補させてもらってもいいかな?そのライバル的存在に」
穂乃果「もちろんです!」
二本松「ありがとう。では、後輩共々、宜しく頼むよ。…おっと、そろそろ時間だ…じゃあな」
一ノ瀬「たまには一緒に練習しような」
凛 「…」ニコッ
ガチャ
一ノ瀬「邪魔したな」
バタン 【135】
穂乃果「はぁ…なんか、中身の濃い時間だったねぇ…」
花陽 「とりあえず、お茶にしましょう。お饅頭も貰ったし」
穂乃果「穂乃果はいいよ…」
花陽 「えっ?あの『穂むらのお饅頭』だよ?」ニヤニヤ
一同 (プッ!)
穂乃果「花陽ちゃんも意地が悪いなぁ」アハハハ
真姫 「でも凛が向こうに行くって言わなくて、ホント、良かったわ」
凛 「へぇ…真姫ちゃん、心配してくれてたんだぁ」
真姫 「あ、当たり前でしょ!一応仲間なんだから…」カオマッカ
凛 「あ〜照れてるにゃ〜」
真姫 「ちょっと、からかわないでよね…あっ!」
にこ 「そう言えばさっき、どさくさに紛れて、おかしなことを言ったわね?」
凛 「にゃ…?…覚えて…ない…にゃ…」
海未 「私も聴きましたよ」
真姫 「そんなに私のことをからかうのが好きなの?」
凛 「何かの…間違いだよ…かよちん!逃げるにゃ!!」ダッ
花陽 「な、凛ちゃん!引っ張っていかないでぇ!誰か助けてぇ」ヒェ〜
絵里 「まったく、騒がしいわねぇ…」
希 「ホント、相変わらずやねぇ…でもウチには、この賑やかさが心地ええんよ」
絵里 「…うん、私も…」
希 「えりちもウチも、ホンマ、μ'sに救われた」
絵里 「うん…そうね…」 【134】
穂乃果「…あのさ、前々から疑問に思ってたんだけど…アイドル研究部って、文化部?運動部?」
絵里 「それは…文化部じゃない?」
穂乃果「でも、筋トレとかダンスとか、やってることは運動部並みだよね?いや、それ以上かも」
希 「じゃあ間を取って『運化部』はどうやろ?」
穂乃果「『うんかぶ』?…ちょっと、それは響きがあまりキレイでないというか…」
絵里 「そうね…」
希 「なら『文動部』やない?」
穂乃果「おぉ!なんか文武両道みたいだね。じゃあ、それでいいか」
ズズズズ…
穂乃果「…って、ことりちゃん!静かだと思ったら何してるの!?」
ことり「さっき、花陽ちゃんがお茶いれっぱなしで出て行っちゃったから…一服してたんだよ」チュンチュン
希 「ウチももらおかな、お茶」
ことり「はい、どうぞ」
希 「ありがとさん」
穂乃果「なんだか、眠くなって来ちゃった…寝ちゃおうかな」
絵里 「練習は?」
穂乃果「う〜ん…どうしようか…」ドリームカムトゥルー 【135】
コラ〜
マチナサイ!
リン、アナタノネェ
ツカマエラレルナラ、ツカマイテミルニャ〜
絵里 「あの娘たち、まだ、やってるの?」
希 「仲がいい証拠やない?えりちも混ざってきたら?」
絵里 「私が?…ふふふ…今さらこの歳になって『鬼ごっこに混ぜて』なんて言えると思う?」
希 「言えるんやない?今なら」
絵里 「…そっか…そうかもしれないわね…」
穂乃果「だからお饅頭はもう要らないってばさ」ムニャムニャ
希 「…って穂乃果ちゃん、もう寝てるやん!」
絵里 「μ'sのリーダー…よね?」
希 「あはは…」
絵里 「はぁあ〜…なんか私も練習する気が失せちゃったなぁ…」マッタリ…
希 「いいんやない?たまには…ゆっくり休むのも…」
絵里 「そ…う…ね………」zzz…
希 「えりち?」
絵里 (穂乃果…希…みんな…ありがとう。今、私は最高に幸せよ…)
希 「お〜い…ホンマに寝ちゃったん?」ニマッ
ことり「ダメですよ!イタズラしちゃ!」メッ
希 「!!…そ、そんなん、するわけないやん」アセアセ…
マテェ
マタナイニャ〜
【SS】μ'sがソフトボールをする話
〜完〜 ソフトから青春ストーリーにまとめられて、面白かったです ・μ'sの今更感
・設定に無理がある
・ギャグがつまらない
・ストーリーが陳腐
・存在感のないことり
以上 皆様、お付き合い頂きありがとうございました。
お陰さまで、今回は落とすことなく完結することができました。
また、ネタが浮かんだら書きたいと思います。 おつでした。ソフトボールにかなり詳しそうだけど経験者なのかな。というか自分がほぼ無知なだけなんだけど >>225
野球設定は完全にオリジナルです。
※質問の答えになってます?
ただ…以前読んだ『穂乃果が野球部を作って音ノ木坂を廃校の危機から救う』というSSから発想を得た…というのはあります。 >>230
・すみません。μ'sしか書けません。
・承知してます。
・お笑いって難しいですね。
・エロ抜きで書いたらこうなりました。
・もう少し見せ場を作ってあげれば良かったですね。 面白かったけど、メタ発言多すぎなのはちょっと…な気がする >>232
単なるスポーツオタクです。
競技自体は『やったことがある』…程度です。 >>235
ありがとうございます。
書いた内容に不安があったりすると、つい言い訳をしたくなってしまうようです。
以降、気を付けます。 >>197で真姫が一塁から二塁へ盗塁を決めた場面。
これはディレイドスチールとは呼ばない。
ディレイドスチール(Delayed steal)は、走者一塁三塁の場面で、一塁走者と三塁走者により行われる連携プレーである。
1.投球と同時に一塁走者が二塁へ向かう。
2.捕手が二塁へ送球する間に三塁走者が本塁を突く。
三塁走者は一塁走者と時間差を付けて進発するのでこのように呼ばれる。
この場面では捕手が二塁へ送球しなかったので三塁走者はスタートできなかった。
よってディレイドスチールは成立しない。ただのスチールである。 >>239
読んで頂きありがとうございます。
ディレイドスチールについてですが…
【デジタル大辞泉】
野球で、投手が打者に投球しているとき以外のすきをついて行う盗塁。
【精選版 日本国語大事典】
〘名〙 (delayed steal) 野球で、捕手が投手に返球するとき、または投手や捕手が牽制球を送るすきに乗じて行なう盗塁をいう。
…とあります。
その他、調べて頂くとわかると思いますが、だいたい似たような説明がなされています。
本文では(わかりづらいかも知れませんが)真姫はキャッチャーが捕球後(実況がボールと言ったあと)スタートを切っているので上記の例に則り使用いたしました。
尚、ディレイドスチールとはランナー一塁でも使われるプレーなので『ランナー三塁一塁で行われる連携プレー』を指すものではないと理解しております。
ご指摘の場面では「一塁ランナーが『ディレイドスチールを仕掛け』送球、および挟殺プレーの間に三塁ランナーが本塁に突入する」という作戦だと思われます。
仰る通り三塁ランナーは動きませんでしたので、成立しなかったのは「『ダブル』スチール」ではないでしょうか。
間違っていたらすみません。
再度ご教示頂ければ幸いです。
では、今後とも宜しくお願い致します。 >>239及び188、200、227の者です。
調べてみました。
あなたのおっしゃる通りでした。
一塁走者と三塁走者が時間差でスタートを切るので、バレーボールの時間差攻撃(Delayed spiking)のある意味縁類と考え、2人の走者の連携プレーを指してそう呼ぶものと長い間思い込んでいました。
知ったかぶりは私の方でした。ご気分を害されたなら、謝ります。申し訳ありません。
また、私の埒もない書き込みを正面から受け止めて回答して下さったこと、及び私が正しい知識を得るきっかけを下さったこと、感謝いたします。
失礼します。ごっつぁんであります。 >>241
お役に立てて何よりです&多数のレスを頂いたようで感謝です。
逆にちゃんと読んで頂いていたことにお礼申し上げます。
では、また。
次回作を書いた時にはご支援の程、宜しくお願い致します。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています