せつ菜「そんなにも大きなイノシシが……」善子「だからお爺さんは退治するために、猟銃を構えて山深く分け入ったの」
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善子「山に入ると蝶が飛んでいたのだけど、お爺さんがくぐった木の枝に張られたクモの巣にちょうど引っ掛かって動きを止めたわ」
せつ菜「狩る者と狩られる者の暗示ですね……」
善子「その通りね……まだ日も高くイノシシが現れるまでは時間がありそうだから、お爺さんは捕らえた蝶を食べる蜘蛛を見つめていたのよ」
せつ菜「……」
善子「お腹を満たした蜘蛛が巣の端へと身を寄せたとき、待ち構えていた蛙に一飲みにされた」
せつ菜「……その蛙は?」
善子「蜘蛛を食べ終えた蛙が枝から地面へ飛び移ると、草むらに潜んでいた蛇の餌となったわ」
せつ菜「そうですか……」
善子「そうして蛇が満足すると、突然その姿が消えてしまったの」
せつ菜「どうしてですか?」 善子「蛇は山の主である巨大なイノシシの足の下へと隠されてしまった」
せつ菜「イノシシって蛇を食べるんですか」
善子「雑食なのよ、踏み付けにされた蛇をヒョイと咥え上げて、口の中へと流し込むイノシシ、そして対峙するお爺さん」
せつ菜「……」
善子「猟銃を構えて、ふと思った、蝶が蜘蛛に食われ、蜘蛛は蛙に食われ、蛙は蛇に食われ、蛇はイノシシに食われ」
せつ菜「狩る者と……」
善子「イノシシを狩った自分は……」
せつ菜「……」
善子「という一瞬の隙に、お爺さんはイノシシに突進されてその命を失ってしまいました、終わり」
せつ菜「ええっ!?」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています