善子「山に入ると蝶が飛んでいたのだけど、お爺さんがくぐった木の枝に張られたクモの巣にちょうど引っ掛かって動きを止めたわ」

せつ菜「狩る者と狩られる者の暗示ですね……」

善子「その通りね……まだ日も高くイノシシが現れるまでは時間がありそうだから、お爺さんは捕らえた蝶を食べる蜘蛛を見つめていたのよ」

せつ菜「……」

善子「お腹を満たした蜘蛛が巣の端へと身を寄せたとき、待ち構えていた蛙に一飲みにされた」

せつ菜「……その蛙は?」

善子「蜘蛛を食べ終えた蛙が枝から地面へ飛び移ると、草むらに潜んでいた蛇の餌となったわ」

せつ菜「そうですか……」

善子「そうして蛇が満足すると、突然その姿が消えてしまったの」

せつ菜「どうしてですか?」