海未「エマと山と私と」エマ「登山だねぇ〜!」
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海未(今日はエマと登山に来ています)ザッザツ
エマ「気持ちいいねぇ」ザッザツ
海未「ええ、本当に」ザッザツ
エマ「〜♪」
海未(エマは山の緑衣に幼い少女のように目を煌めかせていて)
海未(本来なら私もこの大自然を楽しむはずだったのですが――)
エマ「懐かしい気分だよ、海未ちゃん」ザッザツ
海未「えっ、ええ! エマは山育ちですから、そうですよね」
エマ「〜♪」ぽよん ぽよん
海未(おっぱいが揺れてるんですよッ!!!!!!!)ジーーーッ お台場 病院内 病室
海未「……ん」
エマ「! 海未ちゃん! 海未ちゃん!?」
海未「う……ここは……? あ、エマ──!?」
エマ「海未ちゃんっ!」ギュウッ
海未「え、エマ!? あ、あの!? えっと!? 大変嬉しいのですが、えっと一体!?」
エマ「海未ちゃん、自分が何したかわかってるの!?」ガバッ
海未「え、っと……同好会のライブ中に、部の方もライブをかぶせて──」
海未「そうです! かすみ、かすみのライブは!? エマ、かすみはどうなったんですか!?」
エマ「……海未ちゃん……もうちょっと自分の事を……」ボソッ
海未「……エマ?」 エマ「……ライブは──ライブは、大成功だったよ」
海未「! よし! よし! さすがかすみ! 見事です、よく部から視線を惹き付けましたね!」グッ
エマ「最初は私達もどうしたらいいかわからなかったんだけど……鞠莉ちゃんが部長を連れてきてくれたの」
海未「……部長を? 鞠莉が? 一体どういう……? 部長はまだ留学中では?」
エマ「そのことについては……絵里ちゃんから伝言をあずかってます! よく聞いてね?」
海未「……絵里から?」
エマ『海未ちゃん、穂乃果ちゃんの目を誤魔化せても私から視線を反らした時点で駄目よ。どうせ一人で何とかしようとしたんでしょう。こういう時は私を誤魔化さないと』
エマ『だからそんな海未ちゃんの為に、頼りになる沼津の金髪と部長さんと三人で電話したの。一時帰国って形だけど、あの子には戻ってきてもらう事にしてる』
エマ『こんな状況で部長が何も知らないなんておかしな話じゃない? 部長ならきっと貴女ではできないことを成し遂げてくれるはず』
エマ『海未ちゃん、よく反省するように』
エマ「だって」
海未「……完全にお見通しでしたか」
エマ「海未ちゃん」 海未「エマ?」
エマ「海未ちゃんが私たちの為にこんなに頑張ってくれたこと、とっても嬉しいんだよ? 感謝してもしきれないくらいに」
エマ「でもね──海未ちゃん、死にかけたって事、わかる?」
海未「!」
エマ「もちろん海未ちゃんがあそこにいてくれたから、かすみちゃんが歌うまで屋上にファンの皆を釘付けに出来たんだよ?」
エマ「でも──それでも、どうしてあんな風に自分を投げ出せちゃうの? 私にはわからないよ……海未ちゃん……」
海未「……昔からそうなんです。穂乃果と家出したときも。真姫の為に真姫の父上とやりあった時も」
海未「小学生のころ、穂乃果が家出するといって、私と一緒に神社で野宿を敢行しようとことがあるんです」
エマ「え」
海未「実にあっさり警察の方に保護されたのですが、穂乃果だけが上手く逃げて私だけが保護されたんです」
海未「穂乃果は物音をお化けと勘違いして先に逃げていたし、私も警察に捕まって逮捕されると思いこみ、足がすくんで動けなかったんです」
海未「逮捕なんてされずに私は社務所で保護されていたのですが、穂乃果が見つからないと嘆く警察の方が『この神社に泥棒が逃げ込んだらしい』と漏らしたんです」
エマ「!」 海未「その時の私、どうしたと思いますか?」
エマ「え、と。泣き出した、とか……」
海未「社務所を飛び出しました。小学生の頃の私の思う泥棒っていうのは、殺人犯とあまり変わらない『悪者』でした」
海未「穂乃果が死んでしまうかもしれない。殺されてしまうかもしれない。当時の私は『穂乃果がたいへん』という想いだけでしたが──」
海未「今思えば、それは穂乃果が死ぬことへの恐怖であり、同時になんとしてでも助けなければいけないという使命感でした」
海未「不思議ですよね。警察の方に捕まると思った時は動けないくせに。穂乃果が危険だと分かった時は、警察の人が捕まえられないくらい素早く身体が動く」
海未「……結局穂乃果は私達が最初に隠れていた場所で涙と鼻水だらけで蹲っていました。その時に私分ったんです」
海未「私はこういう人間なんだって。だから、エマたちの為に体を張ったのも、同じことなんです」
海未「──誰かを救う。誰かを助ける。もし私に出来ることがあるなら、すべてやる、と」
エマ「……海未ちゃんっ」ギュッ
海未「おっぱ!? え、エマ、あまりそう抱き着かれますと大変うれしいといいますかいえ今のは失言ですねこれはいやあハハハハ」
エマ「だめだよ……海未ちゃん、無茶しないで……」ギュゥゥ
海未「……エマ……」 エマ「私、私のせいで、海未ちゃんが死んじゃったらどうしようって、ずっと不安だったんだから……」
海未「エマの責任? 何を言うのですか、これは私の選択の帰結であり、あの時塔屋から逃げることも──」
エマ「海未ちゃんを巻き込んだのは、私のせいなんだよ!? 私が海未ちゃんにあんなこと言ってなかったら、海未ちゃんはこんなことになってなかった!」
エマ「私が、私が弱いから、海未ちゃん……ぐすっ 海未ちゃんが、こんな……もし死んじゃったら……」
エマ「私が海未ちゃんを、死にそうな目に、ひぐっ」
海未「エマ……」
エマ「穂乃果ちゃんの事は解るよ? ずっとずっと、幼馴染なんでしょ? 真姫ちゃんのこともわかるよ? 同じ部の仲間だからって」
エマ「でも、でも、私たちは友達だけど……普通はこんな風に、身体を投げ出せないよ……どうして……?」
海未「……エマ、それは──」
海未「……」
海未(どうしよう。エマのおっぱいが最高だから、というのがある意味事の始まりなんですけど……どうしましょう)
海未「……えっと、エマ」
>>204
正直に話す? 誤魔化す? >>誤魔化す
海未「エマが私の『友』である以上、私が命を賭ける意味はあります」
エマ「え……」
海未「エマの悲しい顔を見たくはなかったのです」
海未(おっぱいの事はもちろんありますが、これも私の本音です)
海未「貴女にはいつも笑っていて欲しい、そのためならなんだってします。この身命、賭してでもあなたの笑顔を取り戻す。それだけですよ、エマ」ニコ
エマ「ぅ、あ……そんな、そんなの──ずるいよ」
海未「え!? あ、ずるいですかね!? いやこれは結構本音に近い部分なんですよ! 嘘ではありません!」
エマ「えへへ、でも──うれしい、海未ちゃんにそう言ってもらえると」ニコッ
海未「かわいい」
海未(しまった脳を介してない発言!)
エマ「え!? も、もう、そんなことないよ! そ、れ、に! 結局あんなに無茶するのは駄目! わかった?」
海未「き、肝に銘じます!」 海未(そういえば確かに……私、希や絵里のおっぱいで巨乳は慣れ切っているのに、どうしてエマの事になるとこんなになるのでしょう?)
海未(そりゃもちろんエマのおっぱいは希や絵里以上の大きさです。ですが、数値的な迫力は愛の方が上ですし──)
海未(いいものを見たという感情があります。そのためにお礼として動いているというのももちろんあります)
海未(……エマの悲しそうな表情を見たくない、笑っていて欲しい……それはある意味、私の中でおっぱい並みに重要なことなのでしょうか……?)
ガラッ
璃奈「師匠!!」
エマ「璃奈ちゃん!」
海未「璃奈!」 璃奈「師匠、良かった……。鞠莉さんのヘリで連れていかれた時はどうなるかと思ったけど、本当に、良かった……」
エマ「璃奈ちゃん、ライブお疲れ様。私が抜けた分のカバー、ありがとう……」
璃奈「大丈夫。部長が指示を出してくれて上手くいった。部と同好会が違うって事も発表できたし、今はその話で学園中持ち切り」グッ
エマ「そう……じゃあ、ライブだけじゃなくて、部と同好会の事も上手く話が通せたんだ……」
海未「良かったですね、エマ、璃奈。私も頑張った甲斐がありました」
璃奈「師匠は無茶しすぎ。って、エマさんが飛び出していったから、それで気付けたんだけど……」
海未「……ああ、やっぱり最後に私を呼んだのはエマだったのですね。声が聞こえていましたよ」
エマ「! き、聞こえてたんだ……」
海未「はい。とても優しくて、眠りにつけそうな声でした」
璃奈「師匠、それは意識を失ったから」
海未「……」
エマ「……海未ちゃんは反省してください」
海未「はい……」 璃奈「それに愛さんも部を辞めた」
エマ「!」
海未「……そうですか。ランジュとはやはり」
璃奈「監視委員も活動禁止も元々愛さんの中では容認できなかったこと、っていうのは前から話をしていたけど」
璃奈「部が噂に併せてライブをするってことになって、愛さんはずっと同好会のライブに重ねて部がライブすることは承知できないって話になって揉めた」
エマ「……愛ちゃん……」
璃奈「で、愛さん抜きで果林さんとランジュさんの二人で今日のライブがあったらしくて……愛さんは今日付けで部を辞めたんだって」
エマ「か、りんちゃん……」
璃奈「愛さんは今同好会の皆と一緒に居る。部長がみんなの話を聞いて、みんなで話し合ってる」
エマ「……そう、なんだ」
海未「エマ、果林の事はひとまず……愛のことについて、もう一度考えてくれませんか」
エマ「愛ちゃん……」 璃奈「エマさん、愛さんは同好会を裏切ったわけじゃないの。ただ、愛さんは『根っからの悪い人なんていない』って考えがあって、それで──!」
海未「……」
璃奈「それで、それで……だから、お願い、します。愛さんを、怒らないで。嫌いにならないで。裏切り者だなんていわないで」
璃奈「どんな人にも分け隔てなく優しく接する愛さんだから、私も救われた。今ここに居るのも、愛さんのお陰だから、その愛さんの優しさを──」
エマ「──あんなに冷たい態度をとっちゃったけど……許してくれるかな?」
璃奈「!」
海未「エマ……!」
璃奈「うん、うん! 愛さんも謝りたいって言ってた! 実際に同好会を抜けたこととか、そういうの! だから!」
エマ「……愛ちゃんの駄洒落、久々に聞きたいね──」
海未「ええ、みんなで苦笑いするのも楽しみです」
璃奈「部長だけは笑うと思う」
三人「「「あはははははは」」」 ターイーヨーフリソソグヨー サイコーアイガサンサント
ハロハロー ハロハロー ココロカラノスマイル
璃奈「! 愛さんから電話だ」
海未「屋上の庭園に出ましょうか」
エマ「うんっ」 病院 屋上庭園
璃奈「もしもし、愛さん──」
海未「これで同好会もかなり持ち直せますね」
エマ「学校の皆も今のこの歪な状況を分かってくれたみたいだし、これから挽回できるよね」
海未「ええ。みんなの努力のお陰です」
エマ「もちろん海未ちゃんのお陰でもあるんだよ?」ニコ
海未「えっ、あ、ああ! ありがとうございます、エマ」ドキッ
海未(お、おかしい。なぜでしょう、エマの顔を直視できない……やけに心拍数も上がる……さっきからなんだかおかしいですよ私。エマは私の友達、そのはずです)
エマ「でも……果林ちゃんは、ライブに出たんだね……私達のライブの時間も知ってたはずなのに……」
海未「エマ……」
海未(これ以上エマに悲しい気持ちになってほしくはありません。果林の気持ちを、エマに伝えなくては)
海未「エマ、果林はですね──」
璃奈「あ、愛さん!? 愛さん! 愛さんっ!!」
エマ「璃奈ちゃん?」
海未「……どうしたのでしょう」 海未「璃奈、一体どうしたのですか?」
璃奈「愛さんが……愛さんが、みんなが……」
エマ「どうしたの璃奈ちゃん? 何があったの?」
璃奈「愛さん、電話に出たら急に私がどこにいるのかって。凄い焦った声で。病院に居るって言ったら、学校に来ちゃダメだって叫んでて」
海未「……それで?」
璃奈「後ろの方で凄い悲鳴みたいなのが聞こえて、かすみちゃんとせつ菜さんの声が聞こえてて」
エマ「悲鳴!?」
海未「それで、愛は?」
璃奈「その後愛さんが『みんなこっち!』みたいなことを叫んだあと、愛さんも悲鳴を上げて……あげて……電話、切れちゃった……」 エマ「え……」
海未「エマ、璃奈、二人は病院に居てください」クルッ
エマ「ど、どこに行くの海未ちゃん!?」
海未「ニジガクに行きます。一体何があったか確かめに行かなければ」
エマ「じゃ、じゃあ私も──」
海未「いいえ、エマはここに居てください。愛が何か避難誘導をしていたように聞こえますし、学園内に危険が起きているようです」
璃奈「海未さん、私は一緒に行く」
海未「璃奈、貴女もです。エマと一緒に病院に──」
璃奈「ここから学校まで結構距離がある。でも私のバイクならすぐに着く」
海未(……確かに、急ぎたい気持ちはある……背に腹は代えられない──ですね)
海未「璃奈、この際貴女がいつ免許をとったかは聞きません。緊急事態です。メットは二つありますか?」
璃奈「用意してる。璃奈ちゃんスーツのメットを流用すればいい」グッ
エマ「二人とも……」 璃奈「エマさんはここに居て。私たちなら大丈夫。師匠が居てくれる。無事に帰ってくる。無茶もさせない」
エマ「……」
海未「エマ、私たちを信じてください」
エマ「……」コクン
璃奈「師匠、先に降りてバイクの準備をしておく」タッ
海未「頼みました。私もすぐ行きます──エマ」
エマ「海未ちゃん、約束……してくれる?」
海未「はい。エマとの約束は、必ず守ります」
エマ「内容聞く前から……海未ちゃん、無事に帰って来てね」
海未「承知しました。必ず」
エマ「帰ってきて、何もかも元通りになったら──海未ちゃん、私海未ちゃんに伝えたい事があるの。だから絶対、無事に帰って来て」
海未「わかりました。──必ず聞きに戻ってきます、必ず帰ってきます。では!」タッ エマ「海未ちゃん……璃奈ちゃん……無事に帰って来てね……」 〜虹ヶ咲学園〜
海未「これは──固有結界が、学園そのものを包み込んでいる……!?」
璃奈「なにこれ、頭が、ぼーっとする……」
固有結界。この結界はランジュのもの。学園全体に結界を展開することで、学園内の人間を魅了しているといるのでしょう。
建屋の外に居るだけでこの濃さならば、同じくラブカストーン、或いはスターを持たない人間は即座に魅了、洗脳されてしまいます。
愛が避難誘導したり悲鳴を上げたりしたのは、この結界に巻き込まれたか、何かしら起きたか……。
海未「──一射入魂! ブルーアモール!!」
今この状況で璃奈まで魅了されてしまうわけにはいかない。私もまた結界を展開して璃奈の身を護ります。
璃奈「う、海未さん、その衣装……?」
海未「これが固有結界、かすみがあの時やった力と同じものです。もちろん、璃奈の頭をぼんやりさせたものも、同じものです」
璃奈「愛さんたちは、まだ学園の中に?」
海未「……そう考える方が妥当でしょう。かすみと一緒に居るなら、彼女が同好会の皆を守ってくれるでしょうが……」
海未「果林が果たしてどうなっているか」
璃奈「海未さん、行こう!」
海未「璃奈、私から離れないように!」 学園内に突入すると、私を見かけた生徒たちが一様に襲い掛かってきます。
璃奈「! 海未さんっ!」
海未「任せてくだ──さい!」
手に持った弓を番え、女生徒を狙います。射は結果を手繰り寄せるもの。中る動きから構えを導き出す!
駆けながら近寄る生徒に鏃を向けます。
射る、という感覚より、離す、という感覚。限界まで引き絞られた弦が乾いた音を立てて虚空を貫き、女生徒に突き刺さります。
璃奈「海未さん!?」
海未「大丈夫です、あれも私の固有結界の一つですから! 私の固有結界が解けるまではゆっくり眠れるはずです、行きますよ!」
璃奈「う、うんっ」
璃奈の手を引く。固有結界の強さは──講堂から。
ランジュは一体何を。この学園を乗っ取るつもりなのですか。そうまでして、自らの考えを押し通すつもりなのですか。
魅了された目をした女生徒たちを矢で射抜きながら突っ走ります。 〜虹ヶ咲学園 講堂〜
果林「はっ……はっ……」
ランジュ「ふふ。実力は確かについたみたいだけど……もうずいぶんと消耗しているわね、果林?」
果林「ほざいてなさい……今すぐにでも……その薄ら笑いを……ッ」
ランジュ「アタシをどうするって?」
果林「がっ──!」
衝撃。気道が締まる。一瞬視界が暗くなったかと思うと講堂に転がされる。
こつん、こつんと講堂に響くランジュの靴音。果林は歯を食いしばって膝を叱咤する。
ランジュ「オトモダチの為に、なんてそんなふざけた理由でアタシに勝とうだなんて、本当に愚かね」
果林「う、ぐっ」
自身よりも強力な固有結界に中てられて、それでも果林は身体を起こす。
ランジュ「へえ。まだ立てるんだ? やっぱりランジュの用意した環境は最高ね!」
果林「同好会で練習した方が──もっと、上だったかもね……」
ランジュ「へぇ? じゃあ試してみる? アタシの──」 「は、ぁ っ」
きゅっと。さっきの衝撃とは違い、静かに、けれどより強固な勢いで気道が締まる。
ひゅう、ひゅう、とわずかに呼気が漏れ出る程度で、吸う事も吐くことも満足にできない。
「ランジュに歯向かうなんて、アナタ、本当に愚か」
「はっ あ かっ」
くるしい。 いきができない。 えま。 わたしじゃ。 かてない。
「じゃ、果林。貴女も支配してあげる──」
まずい。 この ままじゃ わたし── 「ランジュ!!!」
講堂の扉を蹴り飛ばす。壇上に居るランジュを認めると、座席を蹴り飛ばしながら舞台へと身を躍らせます。
視界の隅で蹲る果林を見て、璃奈に叫びます。
「璃奈、果林を!」
「うんっ!」
通路を迂回して果林に駆け寄る璃奈を見つつ、私はランジュの前に立ちはだかります。
「やっと来たのね、海未」
「ええ、叩きのめしに来ましたよ、ランジュ」
もう散々に私たちは言葉を交わしあってきました。
突き詰めた結果が。
『正しいからそれに従うべきだ』
『正論では人は動かない』
ただそれだけの単純な問題です。
故に、私たちはもう言葉を交わすことは無い。
拳を握る。左肘を引く。右肘は前に突き出す。
ランジュも同じように構えをとります。
言葉で理解しあえない以上、私は私の全力を以て。彼女は彼女の全力を以て。
打ち倒す他にはない。 身体を寄せてきたのはランジュ。左。目で捉えられる。躱す。視線の隅で動く右脚を見逃しはしない。
振りぬかれる脚。上体を反らす。もう一周。左脚を右脚で撃ち落とす。勢いは殺さない。打ち下ろす様に右手を頭部に打ち込む。
左腕。弾かれて、距離を取る。
「っふ」
「はぁーっ」
お互いに呼吸をする。強い。が、勝てない相手ではない。彼女も手練れだが、武術という一点ではこちらが一枚上手だ。
更に深く息を吸って、吐く。構え方を攻めに切り替える。それでも自分からは踏み込まない。
白い髪が揺れる。攻めの構えに対し、彼女も同じく攻めの構えを崩さない。であれば。
頭の中で五つ数える。数え切ると、わずかに拳を動かす。誘い。ランジュの足が微かに動き、止まる。
呼吸の乱れ。屈んで、踏み込んだ。小さく構え、懐に潜り込む。足と足の間に自身の脚を置く。
彼女の胸と私の顔が接近し、そのまま拳を脇腹に撃ち込む。肘。左腕を鳩尾に潜り込ませる。
「!」
左腕に走る感触が人を打った時のそれではない。 ランジュ「確かに単純な殴り合いじゃ、アタシは勝てない」
海未「固有結界──!」
ランジュ「アタシの本気、見せてあげるから──」
ランジュ「Queendom」
海未「っ!」 固有結界の衝撃で吹っ飛ぶ。一回転、二回転、それで舞台に降り立つと、璃奈を見る。
唇をキュッと結んで私から目を反らさない彼女に、うまく笑えたかどうかはわかりません。
「支配される感覚、わかる?」
「ええ。この体の重さ、最悪の感覚です」
「拳を交えるのに、四肢が上手く動かないなんて……かわいそうね?」
「ハンデにしては随分甘いほどですが」
「言ってくれる!」
突っ込んでくるランジュを目が捉えられない。直感で頭を下げる。
髪をかすめて脚が虚空を裂く。反撃に移るなど考えない。すぐさま次の打撃に備えて、身をかがめて──。
「!?」
「海未さ──」 背後。ランジュが立っているのは、璃奈の目の前。
「璃奈──っ」
しまった。矢を──!
「間に合いましたぁっ!!」
講堂に鳴り響く轟音。そして爆炎。
「炎!?」
「せつ菜☆スカーレットストーム!! です!!」
場に似合わぬ、可愛くて大きな声と単語。講堂の入り口を見ればペッカペカの笑顔。
「せつ菜!!」
「とう!」
彼女も大きく跳躍すると、一跳びで舞台に降り立ちます。
「間に合いましたね、海未さん」
「せつ菜、貴女もラブカストーンを……」
「スカーレットカレッジ、優木せつ菜──ここに参上、です!」 海未「せつ菜、貴女体は上手く動きますか?」
せつ菜「いえ、正直めっちゃ重いです……。結界の中心部はさすがにきついですね!」
正直な感想の方が助かります。
ランジュ「二人……さすがに面倒ね」
爆炎が白い風で吹き飛ばされる。現れるのは傷ひとつないランジュ。
せつ菜「えぇっ!? 今の私の全力ですよ、あれ!」
海未「……せつ菜は璃奈と果林をお願いします」
せつ菜「……助力したいのですが……私には有効打がない以上、そうした方が良いですかね……?」
ランジュ「場所を変えましょ、海未」
海未「珍しく意見が一致しましたね、ランジュ」
白い風が吹いて、彼女は姿を消す。
せつ菜「消えた……」
海未「屋上、ですね」 せつ菜「璃奈さん、果林さん、大丈夫ですか!」
璃奈「私は平気。果林さんも大丈夫みたい」
果林「せつ菜……」ヨロヨロ
せつ菜「そうですか……良かった!」ニッコリ
果林「……私を責めないの?」
せつ菜「責める? なぜです? 私たちは仲間じゃないですか! 助け合って当然です!!」
果林「私は、いの一番に同好会を抜けて、部に……。それを責めても、文句を言う人間は……」
せつ菜「責める人間を、私は許しません!」
果林「!」
せつ菜「果林さんはエマさんの為に総てを失ってもいいと決意して、同好会を去った。違いますか?」
果林「……」
せつ菜「だったらそれのどこに果林さんを責めるところがあるというのです!? 私たちは互いを高めあうライバルであり、かけがえのない仲間じゃないですか!」
果林「せつ、菜……」
せつ菜「果林さん、私達は虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の一員です。仲間であり、それ以前に、友達じゃないですか!」 海未「せつ菜。ここは任せます。私はケリをつけに行かなくては」
せつ菜「任されました! 海未さん。どうか同好会を、虹ヶ咲学園を救ってください!」
璃奈「海未さん、無茶は絶対にしないで」
果林「海未ちゃん、ごめんなさい。結局何もできないままで」
海未「果林、私とあなたは友達じゃないですか。苦難に共に立ち向かってこそ、人の誉れです」
果林「……海未ちゃん……ありがとう」
海未「いえいえ、どういたしまして。──それでは、行ってまいります」タッ
せつ菜「私たちも行きましょう。かすみさんたちと合流しないと」
璃奈「愛さんもそこにいる?」
せつ菜「ええ。間一髪で助け出せましたから」
璃奈「……良かった」
果林「ふふ……みんなに会うのがこんなに怖いなんて、思わなかったわ」
璃奈「果林さん? どうしたの?」
果林「なんでもないわ──海未ちゃん、後は……お願いね」 走る、走る走る。階段を三つ飛ばしで駆けあがり、塔屋の扉を蹴り飛ばす。
「ランジューーッ!!」
「園田海未ィ!!」
全速力の勢いを殺すことなく、屋上を駆けてランジュの顔に拳を放つ。
彼女の鼻に私の拳が届くよりも先に、ランジュの拳が私の脇腹に突き刺さる。
私の拳は彼女の肌に触れることすらかなわず、けれど彼女の拳は私の脇腹を抉りぬいた。
「ごっ あ"っ!?」
体の動きが鈍い。真っ赤に燃える鉄の棒が、脇腹に刺さったような感覚に呼吸が止まる。
ランジュに近づけば近づくほど、彼女の結界の影響を強く浴び──体はより鉛を纏う。
「正しいでしょ!? ランジュが!!」 脚。彼女の軌跡を直感で読んで側頭部で両腕を交差させる。腕の上からでも脳天が揺れて吐き気が催してくる。
「最高のスクールアイドルを作る!! そのためには最高の環境を与えられるべきなの!」
「スクールアイドルは環境だけが決まるものでは──お"、がっ」
脚を振り払い、彼女の鳩尾めがけて振りぬいた拳が叩き落とされ、逆に鳩尾に衝撃が走る。
「すべての人間が奇跡を起こせると思わない事ね!!」
肘。微かに見て取って、けれど防ぐ動きが間に合わない。床に手をついて肘を避ける。そのまま転がって距離を取る。
「私たちは奇跡など、起こし、て──いません!」
もう一度踏み込む。更に姿勢を低く、這うように、けれど迅速に奔る。今度は拳ではなく、掌底。狙うは顎。
「私たちは私たちに出来る最善を尽くしただけです!」
右腕を掌底で叩き落とす。すぐさま左腕を彼女の右腕に這わせる。 「同好会の最善は、同好会に存在しない!」
彼女の腕を掴もうとした左腕に肘が刺さる。痺れる痛みなど。この距離で外しはしない。
「傲慢なっ!」
再度振りぬかれた脚は、上体を反らして躱す。振りぬかれた脚が地に着くより先に、彼女の襟を両手でつかむ。
体を鞭のようにしならせ、反らす。そのまま上体を勢いよく起こして──額を彼女の鼻っ面に喰らわせる。
「!!」
「彼女達の最善は彼女たちが創る! それを分かるんですよ、ランジュ!」
固有結界。私の額はそれに激突し、ランジュを後退させ、真っ向から睨む。
つう、と額から液体が流れるのを感じつつ、歯を食いしばる。
もう一度右手で掌底を作り、地面すれすれから跳躍しながら顎めがけて放つ。
「プロに囲まれた環境を、最善と呼ばずしてなんと呼ぶのかしら!?」
掌底は阻まれる。身を引いて躱すランジュは、大きく左腕を引いて。左脚が踏み込まれる。
「スクールアイドルは遊びじゃない!!」
「──ぁ」
身体の中から嫌な音と感覚が奔った。掌底で振り上げたがら空きの脇腹に、体重を乗せた一打をまともに受ける。
呼吸とも悲鳴ともとれない呻き声。 衝撃を殺せるわけもなく、受けた圧をそのまま全身で呑み込み後ろに吹っ飛ぶ。
捨てられた空き缶の様に地面を転がり、中身の液体が飛び出すかのように血を口から吐く。
「がっ、はっ」
「結局同好会なんて、ただのぬるま湯でしかないの。皆もっと輝ける。スクールアイドルとして輝ける才能を持つのに、それを燻ぶらせるのは、罪」
「そうは思わないの、園田海未」
ランジュの言葉は確かに正しいような気がしました。
身体をわずかに動かせば、全身に火がついたような熱い感覚が私を襲います。
μ'sがA-RISEに勝てたのは、たまたまだったのかもしれない。
遠くない未来に廃校になる浦女。Aqoursがラブライブで優勝し浦の星女学院という名を刻めたのは。
年々減りゆく後輩たちに希望を見せたのも、奇跡だったのかもしれない。
同好会の皆が切磋琢磨しあっても、ランジュが言う最高のスクールアイドルの形にはたどり着けないのかもしれない。
あの環境に身を置けば、愛や果林や、栞子は確かに急速に実力を高めた。
ならば、本当に彼女らの事を想うなら、皆部に移ったほうが良かったのでは。
彼女の言う事は、正しいような気がしました。 「海未、私はただ最高のスクールアイドルを生み出したいの。その為にランジュが踏み台になったって構わない」
「そもそもランジュは踏み台になんてできないほど高い場所に居るけれど──」
「ランジュはあの環境で、今の力を手に入れた。スクールアイドルであるなら、皆きっと望むはず。そう思うでしょ。海未」
或いはそうかもしれません。ランジュの歌は、ダンスは、声は、その凛とした魅了する瞳は、紛れもなく実力。
それを否定することはできません。
「正しい、のかもしれません」
燃えるような激痛が私の四肢の自由を奪う。
彼女の言う事は確かに正しい。
「あの環境に身を置けば──きっと、あなたの言う、最高のスクールアイドルに、なれる──」
「だったら!」
でも、貴女のそれは、ただ、貴女にとっての正しい、それだけなのです。
「けれど、彼女たちの望むスクールアイドルには、なれない」 ──あなたが応援してくれるから、私はスクールアイドルをやってるの。
──世界で一番かわいいかすみんだから、スクールアイドルになって皆を笑顔にしないと罪ですよね!
──演じることも、私。この己という私自身を、スクールアイドルを通して表現したいんです!
──ここはみんなが本気でいる場所。私が本気で高みを目指せる場所。こここそが私の居場所なのよ。
──愛さん、みんなが楽しいって笑える世界を作りたいんだ。それが今の愛さんの夢!
──彼方ちゃんは遥ちゃんに歌ってるところが好きって言われたからスクールアイドルをやってるんだよ〜。遥ちゃんの笑顔の為ってわけさ〜。
──私の好きを人に押し付けず、みんなの『大好き』を誰も否定しない世界を作る、それが私の野望です!!!
──優しい気持ちを伝えて、伝えられて、どんどん繋がって、広がって、世界中が優しい世界になる……これからもそんなライブをしていきたい!
──みんなとつながりたい。たくさんの人に気持ちを伝えて、心を通わせて、繋がりたい。それが私の願い。
──私は今まで否定してきたものすべてを、もう一度理解したい。だから私は、皆に許されたからこそ、ここに居られるんです。 彼女達は最初から彼女の言う最高なんて求めちゃいないんです。端から、観ている場所が違う。
ぽたり、と赤い血が床に落ちます。私から流れ出る血潮が、身体を冷やします。
「彼女たちの夢をカタチに出来るのは、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の部長が居て、十人のスクールアイドルが居て──」
震える両腕が上体を支える。
「彼女たちが仲間でありライバルで居られるあの場所以外、あり得ないんですよ」
力の入らない力を込めて、下半身を支える。
「貴女が用意する環境では、彼女たちの目指す最高には決してなれはしないんですよ、ランジュ」
ぽたりぽたりと滴る血を舌で舐めて、立ち上がる。
「鐘、嵐珠──故に私は、貴女を否定する」
「……だったら、ここで終わりよ。園田海未」
白い風が吹いた。違う。ランジュ。ランジュが体を寄せて来た。そう思った時にはもう、彼女の膝が私の胴に撃ち込まれた後だった。 部長「せつ菜ちゃん! 果林さん! 璃奈ちゃんも! みんな無事だったんだね!!」
せつ菜「皆さんもご無事で何よりです!」
璃奈「愛さん!」バッ
愛「りなりー! よかった、りなりー……」ギュッ
歩夢「果林さん、その怪我……!」
栞子「果林さん、こちらへ! せつ菜さん、貴女も怪我をしています!」
せつ菜「私は大した怪我では──」
しずく「えっと、確か鞄の中に消毒と……!!」
果林「……」
彼方「ほ〜ら果林ちゃん、そんなに暗い顔してないで、ここに座った座った」
果林「……私は、皆を捨てて部へ行った人間よ」
せつ菜「! さっきも言いましたが、私たちは──」
かすみ「そうです。果林先輩は、裏切り者です」
璃奈「かすみちゃん──!」
愛「……」
かすみ「せつ菜先輩が創って、先輩が守った同好会を捨てた、裏切り者です」
果林「そうよ。私は裏切った。こんな私が、やっぱり貴女達の輪に戻れるわけがないのよ」 歩夢「待って! 待ってください! 果林さん、かすみちゃん、本気で言ってるわけじゃないんです! ね、そうだよね、かすみちゃん!」
かすみ「……」
果林「……」
歩夢「そんな……あなたも、あなたも何か言って!」
部長「……他に何か言いたいことはあるかな、みんな?」
一同「……」
かすみ「裏切り者です、果林先輩は、かすみんたちを捨てた、裏切り者なんです……」
果林「……」
かすみ「……そう、思おうとしてきました」
部長「……」
かすみ「でも、どう考えても裏切ったなんて本当には思えなかったんです!」
果林「かすみちゃん……?」 かすみ「何度もそう思いました! 果林先輩も、愛先輩も、しお子も! みんな裏切ったって!!」
かすみ「でも心の奥底で三人を信じてるかすみんがいるんです! 最後に遺るのはいつだって皆を信じてるかすみんなんです!」
かすみ「実際に、しお子は自分の過去の行いを悔しいって思ってるから、ランジュの事を責められなくてどうしようもなくなっただけだった! かすみんはしお子を許します! みんなも許してます!」
かすみ「愛先輩の言ってる事、わかんなくもないんです! でももっとちゃんと説明してほしかった!! りな子だけにそんなわかる風に言ったってずるいだけです!」
かすみ「それでもやっぱり、裏切ったわけじゃなかった! それならかすみんは愛先輩を許します! みんなも許してくれました!!」
かすみ「だったら、だったら、だから! 信じるしかないじゃないですか!! かすみんの信じてる果林先輩を、信じたいじゃないですか!!」
かすみ「果林先輩! 答えてください!! 果林先輩は──本当に、本当に、かすみんたちを裏切ったんですか!?」
果林「私は──わたし、は」
部長「果林さん、嘘は駄目ですよ。ちゃんと私たちを見て、本当の事を教えてください」
せつ菜「果林さん……」
果林「私は、ランジュが、許せなかった。エマの居場所を壊したあいつが許せなかった。一秒でも早く、エマの幸せの場所を取り戻したかった」
果林「だから私は、部に移って、ランジュを打ち倒して、部を廃部にしたかった。それだけが、私にとって、たった一つのやり方としか思えなかったの」
果林「かすみちゃん。私は──私が部に言った理由は、ランジュを倒す為。エマの場所を取り戻す為……それだけなの」 歩夢「かすみちゃん……」
かすみ「……」
しずく「かすみさん……私も、私も──部に、移ろうと考えた事があったんです」
かすみ「しず子も……?」
彼方「!」
しずく「私、このままじゃかすみさんに負けちゃうって。だから、なりふり構わず、かすみさんに勝つ為に部に行こうって考えて」
かすみ「かすみんに……?」
しずく「うん。でも、真姫さんに言われて私の考えは間違ってるって気付かされて。かすみさんに勝つ為には、なおさらココにいてかすみさんと競い合わないといけないって」
しずく「私、ずるいよね。ずるくて卑怯で……それに比べたら、果林さんはすごくて──」
かすみ「でもしず子は留まったじゃん。果林先輩は、かすみんたちに相談もなしに、移ったんだから」
しずく「かすみさ──」
果林「しずくちゃん、貴女と私は決定的に違うの。私は一人勝手に行動したの。だから──」
かすみ「だから、落とし前は付けてもらいます!」グッ 果林「!」
歩夢「かすみちゃん、駄目!」
せつ菜「かすみさん!」
栞子「かすみさん、暴力は──!」
かすみ「えいっ」
ペシッ
果林「っ……え?」
璃奈「でこ……」
愛「ぴん……?」
かすみ「絶対に、ちゃんと、かすみんたちに相談してくださいよね!」 せつ菜「び、びっくりしました……」
彼方「今のうちに果林ちゃんに言いたい事があったら言っておくんだぞ〜?」
果林「彼方……もう、ほんとに……」グスッ
かすみ「な、なに泣いてるんですか、果林先輩……」グスッ
歩夢「良かったね……これで無事に同好会も元通り──」クルッ
エマ「──」タタタタッ
部長「今の──エマさん?」タッ
歩夢「え、ちょ、ちょっと──みんなから離れちゃ……あっ、待って!」タッ 彼方「話は戻るけどもせつ菜ちゃん、今どうなってる感じなのかなー?」
せつ菜「今ランジュさんが展開している『固有結界』のお陰で、学園内の『ラブカストーン』を持たない人間はみんな魅了されてしまっています」
せつ菜「でも、かすみさんと私は『ラブカストーン』を持っているので、同じように結界を展開して、ランジュさんの結界の影響を防いでいます」
せつ菜「とりあえず私たちのそばに居れば影響を受けることはありません」
しずく「そんな……! では、どうすれば今の状況を……」
璃奈「海未さんがランジュさんを止めに行ってくれてる」
愛「そっか、海未っちが……ぶちょー、アタシたちは何か……あれ? ぶちょー?」
栞子「歩夢さんも居ませんよ!?」
せつ菜「……え」
せつ菜「ええええええええええええええええええええ!?」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています