鞠莉「ふぁ……」エマ「鞠莉ちゃん?」
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エマ「鞠莉ちゃんがあくびなんて珍しいねぇ」
鞠莉「Oh、sorry。はしたない姿を見せたわね」
エマ「なんだか疲れた顔してる、大丈夫?最近忙しいの?」
鞠莉「あらやだ、そんな顔に見える?イヤねぇもう」
鞠莉「―理事長としての仕事が溜まっちゃってね、ちょっとサボってたから」ペロッ
鞠莉「このあとも理事長室に戻って書類の整理をしないと」
エマ「練習のあとにまだ残るの?そんなに頑張ると倒れちゃうよ」
鞠莉「平気よ、今日中には終わる予定だから」
鞠莉「さ、張り切って練習始めましょう」
エマ「待って、練習はいつでもいいから今日は鞠莉ちゃんのお仕事を手伝わせてくれないかな」
鞠莉「そんな、いいわよ。私の仕事をあなたにやらせる訳にはいかないわ」
エマ「ううん、2人でやれば早く終わるんだから。わたしにもやらせて、ほら行こう」グイッ
鞠莉「あ、ちょっとエマ」 理事長室
鞠莉「もう、エマってば見かけによらず強引ね」
エマ「えへへ、あんな話聞いたら放っておけないよ」
エマ「なにかわたしに出来る事、ないかな?」
鞠莉「そうね……そこまで言うならお願いしちゃおうかしら」
鞠莉「私が書類をチェックしていくからエマはそれをファイルに閉じていってちょうだい」
エマ「は〜い、わかりましたぁ」
鞠莉「今書類を出すからね……―よいしょ」ドサッ
エマ「わぁ、すごい量。これひとりでやるつもりだったの?」
鞠莉「いつもやっている事よ、私にとってはこれが日常」
エマ「ふわぁ〜理事長さんって大変なんだねぇ」
エマ「やっぱり私が来てよかった、一緒に頑張ろ」
鞠莉「えぇ、よろしくお願いね」 じゃあ私が間に入って書類を受け渡ししていくね、一旦ね 鞠莉「―これで最後、と」
鞠莉「エマ、お疲れ様。おかげで暗くなる前に終わったわぁ」
鞠莉「正直助かった、ありがとね」
エマ「いえいえ、鞠莉ちゃんのお役に立ててよかったよ」
エマ「ファイルに閉じるだけでも一苦労、鞠莉ちゃんはこんな事をしながらスクールアイドルもやっているんだね、すごいなぁ」
鞠莉「まぁ今回はスクールアイドルの方にかまけてこっちの方が疎かになってしまったんだけど」
エマ「それをサボってたって言うなんて、それは違うよ」
鞠莉「うふふ、間に合わなくなっちゃったのは事実でしょ」
鞠莉「慣れない事をして疲れたでしょう、お茶にしない?」
エマ「いいねぇ、―あ、そう言えばね」ガサゴソ
エマ「練習が終わってから鞠莉ちゃんと一緒に飲もうと思って、これ持って来たの」スッ
鞠莉「あら、なんだかいい香りが……これは、ハーブティー?」
エマ「うん、お店で見つけてね。あとはわたしが焼いたクッキーも」
鞠莉「まぁ、それもおいしそうなクッキーね」
鞠莉「本当は私のお気に入りのコーヒーでもごちそうしようと思ったけどエマがせっかく持って来てくれたから今日はそのハーブティーをいただきましょうかね」
エマ「うん、今用意するね」 この二人って二人だけの会話の時はイタリア語使うんだろうか エマ「はぁい、おまちどおさま」カチャッ
鞠莉「ん〜ハーブの香りは心が安らぐわねぇ、リラックス出来るわ」スンスン
鞠莉「それじゃ、いただきます」
鞠莉「―ほぅ……口に入れると更に華やかな香りが広がるわね、とてもおいしい」
エマ「ハーブティー飲むとホッとするよねぇ〜」
エマ「クッキーも食べてみてよ」
鞠莉「そうね。随分大きなクッキー、食べ応えがありそうね」パクッ
鞠莉「―んん……無骨な見た目に反してホロリととろける繊細な味ね」
鞠莉「エマの優しい気持ちが伝わって来るようだわ、このクッキーも絶品ね」
エマ「鞠莉ちゃんに褒めてもらえると嬉しいな、自信がつくよ」パクッ
エマ「―うん、我ながら上手に焼けてる。とってもボーノ♪」 鞠莉「ごちそうさま、ハーブティーもクッキーもおいしかった」
鞠莉「疲れが溶けていくようだわ、あぁ〜」ノビー
鞠莉「んっ、んん〜」グニグニ
エマ「鞠莉ちゃん、肩痛いの?」
鞠莉「まぁね、もうずっと肩凝りに悩まされて困っちゃうわ」
鞠莉「あなたも肩凝りひどそうよね」
エマ「そこまで辛くはないけど確かに肩は凝るかなぁ」
鞠莉「そうでしょそうでしょ〜」シュバッ
鞠莉「これだけ胸が大きいとお互い苦労するわよねぇ」ワシワシ
エマ「あはは、そうなのかな?」
鞠莉「あら、果南だったら顔を真っ赤にして怒るのにエマは平気なの?」
エマ「ちょっとびっくりしたけど平気だよ」
鞠莉「Oh……大物ゆえの余裕ってヤツね」
鞠莉「―あとで訴えるとか言わないでね」
エマ「え?」キョトン 鞠莉「エマはスイスから留学して来たのよね」
鞠莉「日本までたったひとりで来て、あなたの方こそ疲れているんじゃない?」
鞠莉「なにか困ってる事とかない?大丈夫?」
エマ「最初慣れるまでは大変だったけど今はそれほど、周りの皆も助けてくれるし」
エマ「―ただ、たまに故郷の事を思い出してね。故郷の家族や景色が夢に出て来る事もあるんだ」
鞠莉「里帰りしたいなとか……」
エマ「思うね〜だけどそう簡単には帰れないでしょ」
鞠莉「まぁね、日本とスイスは決して近くはないですものねぇ」
鞠莉「―あ、そうだ」
鞠莉「エマ、今日のお礼にぜひ連れて行きたい所があるんだけど」
エマ「連れて行きたい所?」
鞠莉「そう、流石にスイスに連れて行く事は出来ないから私の別荘に行きましょ」
鞠莉「別荘で2人のーんびりと過ごすの、いいと思わない?」
エマ「わぁ、別荘?それは素敵なアイディアだね」
鞠莉「でしょでしょ、よーし!!そうと決まれば善は急げよ。1度家に帰って支度をして。準備が出来たら迎えに行くから」
エマ「わかったぁ」 寮 エマの部屋
エマ「支度をするって事は今夜はお泊まりかな?着替えどのくらい持って行けばいいんだろ」
エマ「明日から3連休だからとりあえず多目に持って行こうかな」ギュウギュウ
エマ「―こんなものでいいか」チラッ
エマ「準備出来たら迎えに来るって言ってたけどどうやって来るんだろう」
ババババババ……
エマ「ん?なぁにこの音?」キョロキョロ
エマ「あ、あれは……!!」ガラッ
鞠莉「チャオ〜エマ‼迎えに来たわよ〜」
エマ「すご〜い!!ヘリコプターだぁ」パァァ
鞠莉「さ、乗って。私の別荘まで空の散歩としゃれこみましょ♪」
エマ「で、でも私ヘリコプターって乗った事なくて……」
エマ「ちょっと、怖いかも……」
鞠莉「大丈夫大丈夫、マリーがそばについてるわよ」
エマ「よ、よし……それじゃ、お邪魔します」
フワァ
エマ「きゃあっ!?浮かんだ‼鞠莉ちゃ〜ん‼」ガシッ
鞠莉「落ち着いて、上空に上がるまでの辛抱よ」ナデナデ
エマ「うううぅ〜」プルプル 鞠莉「―ほらエマ、もう大丈夫だから目を開けてみなさい」
エマ「ふぇ?」パチッ
エマ「―わぁ〜すご〜い‼私お空を飛んでる〜♪」
エマ「街があんなに小さく‼なんてロマンチックなの‼」
鞠莉「うふふ、気に入ってくれたかしら?」
エマ「うん、最初飛び立つ時は怖かったけどこんなキレイな景色を見られるなんて夢みたい」
エマ「ふぁ〜ほぁ〜」キョロキョロ
鞠莉「夕暮れ時だからじきに夜景も楽しめるようになるわよ」
鞠莉「夜の街はそれはもう宝石のようにキレイなんだから」
エマ「それは楽しみだねぇ〜」
エマ「えへへ〜ヘリコプターって楽しいなぁ」
鞠莉(エマったら子供みたいにはしゃいじゃって、かわいいわねぇ)
エマ「ねぇねぇ鞠莉ちゃん、あの湖面白い形してるよ」
鞠莉「どれどれ……本当、上から見るとああいう形をしていたのね」
エマ「えへへ♪ヘリコプターに乗せてくれてありがと鞠莉ちゃん」ニコッ
鞠莉「うふふ♪どういたしまして」ニコッ
ババババババ…… 鞠莉「さぁ空の散歩もそろそろ終わり、別荘に着くわよ」
エマ「夜景を見るのに夢中になってたけどもう真っ暗だね」
エマ「随分山奥まで来たけど、こんな所に別荘があるの?」
鞠莉「えぇ、私の1番のお気に入りの場所なの。明るい内に見せてあげられればよかったんだけどね」
鞠莉「着いたわ、足元に気を付けて」
エマ「よいしょ。―あれ、この別荘……なんだか故郷の家と似てる」
鞠莉「あら、暗いのによく気付いたわね。この別荘はスイス風の建築様式で建てた物なのよ」
鞠莉「せめて里帰りした気分になれれば、と思ってね」
エマ「鞠莉ちゃん……」
鞠莉「疲れたでしょう、中に入って休みましょ」ガチャッ
エマ「うん、お邪魔しまーす」 エマ「わぁ、中に入った途端木の匂いが。すぅ……はぁ〜」
エマ「懐かしいなぁ、まるで故郷に帰って来た気分だよ」
鞠莉「それはなにより、お腹空いたでしょ。夕食が出来ていると思うから荷物を置いたら食堂へ行きましょ」
エマ「もう夕ご飯まで出来てるなんて、なんだか申し訳ないなぁ」
鞠莉「あなたの好みがわからなかったから私のリクエストで今夜はステーキにしたわ」
鞠莉「疲れていると無性にお肉を食べたくなるのよね」
エマ「いいねぇステーキ、普段食べないから嬉しいよ」
エマ「こんな分厚いお肉初めて見た」
鞠莉「冷めない内に食べましょ、いただきます」
エマ「いただきま〜す」
エマ「あむっ、―あちゅっ、はふはふ……」
鞠莉「焼きたてよ、やけどしないように」
エマ「おいし〜このお肉柔らかいね〜」
鞠莉「最高ランクのお肉だからね〜」モグモグ
エマ「あはは、これ食べたら他のお肉じゃ満足出来なくなりそうだね」
鞠莉「そしたら私の所に来なさい、いつでもごちそうしてあげるわ」 シェフ「お嬢様、私達はこれで失礼します」
エマ「あ、ごちそうさまでした」ペコリ
鞠莉「ありがとう、おいしかったわ。お疲れ様」
エマ「あの人達帰っちゃうの?」
鞠莉「あの人達は今夜泊まる準備をしに来てくれただけなの、急な話だったからね」
エマ「それでわざわざここまで?」
鞠莉「だからもう帰ってもらったのよ、あとは私とあなたの2人きり」
鞠莉「言ったでしょう、2人でのーんびり過ごすって」
鞠莉「私、家にいると誰かしらいるからひとりの時間って中々取れないのよね。息が詰まっちゃうの」
エマ「なるほど、ここは鞠莉ちゃんの避難場所なんだね」
鞠莉「明日の朝からは私達だけでご飯の支度もやりましょ、せっかくの休暇なんだもの。誰にも邪魔されずに」
鞠莉「食材だけはたっぷり用意してもらったから食べ物には困らないわよ」
エマ「わぁ、なんだかわくわくしてきたね」
エマ「鞠莉ちゃんと一緒にお料理するの、楽しみだな」
鞠莉「ふふ、頼りにしてるわよ。エマ」 鞠莉「さぁ、お腹もいっぱいになったし今度はお風呂に入りましょうかね」
エマ「故郷にいた頃はお風呂なんて滅多に入らなかったな」
鞠莉「欧米ではシャワーの文化が根付いているからね、でも私お風呂って大好きなの」
鞠莉「体を湯船に沈めて体を伸ばしのんびり……お風呂ほどリラックス出来るものはないと思うわ」
エマ「私も日本のお風呂大好き、皆で入るのが楽しいよね」
鞠莉「今夜のお風呂は特別よ、うふ」
エマ「特別?」
鞠莉「さぁエマ、こっちへいらっしゃい」ガラッ
エマ「すんすん……バラの香りが……あっ」
エマ「浴槽にバラの花びらが浮いてる‼オシャレ〜」
鞠莉「私、こうやって花びらを散らしてお風呂に入るのが好きなの。バラの香りでリラックス効果倍増ね」
エマ「へぇ〜果林ちゃんもこういう事やってそう、私もやってみようかなぁ」 エマ「はぁ〜気持ちいい〜」
鞠莉「ふぅ〜いい湯加減ね」
エマ「私、体大きいから2人一緒に入れるか心配だったけど大きな浴槽で助かったよ」
鞠莉「腕や足を伸ばしたってまだ余裕があるわ、ほーら」ノビー
鞠莉「あぁ〜生き返るわぁ」
エマ「このバラの香りもいいねぇ、落ち着く」チャプ
エマ「こういう時、なんて言うんだっけ?天国と地獄?」
鞠莉「極楽って言いたいのかしら?」
エマ「あ、そうそう極楽極楽〜」
鞠莉「エマはもう少し日本語の勉強をしないといけないわね……」
鞠莉「さ、今度は2人で体の洗いっこしましょ。ひとりだと手が届きにくい所もあるからしっかり洗ってあげる」
エマ「よろしくね鞠莉ちゃん」
鞠莉「それじゃいくわよ〜それっ」ゴシゴシ
エマ「きゃはははっ、くすぐったいよ〜」
鞠莉「あらあら、エマはここが弱いのね〜」ゴシゴシ
エマ「あはははっ……も、もうそこばっかりこすって……も、やめて……くふふっ」
エマ「よーしわたしもお返しだ〜」ゴシゴシ
鞠莉「うふふっ、や、やめなさいエマ……まだ終わってないって……あははっ」
キャッキャッ ゴシゴシ…… 鞠莉「あ〜ちょっと悪ふざけが過ぎたわね、のぼせたかも。エマ、大丈夫?」ホカホカ
エマ「わたしも少しのぼせたかも〜」ホカホカ
エマ「でも楽しかったね〜いつもはひとりで入ってるからさ、鞠莉ちゃんと一緒に入れてよかったよ」
鞠莉「私もよ、たまには子供に帰ってふざけるのもいいものね」
エマ「く……ふぁ……」
鞠莉「あら、今度はエマがあくびしてる。急に別荘に連れて来ちゃったものね」
鞠莉「私の仕事も手伝ってもらったし、今日は早いところ寝ましょうか」
エマ「うん……本当はもっと色々お話したかったんだけど……ごめんね」クシクシ
鞠莉「いいのよ、明日もあるんだから。お話はその時にでも」
鞠莉「私も今日は疲れたわ、ゆっくり休みましょ」 次の日
エマ「う、う〜ん……」
エマ「あぁ〜よく寝た……他の家のベッドでも案外眠れるもんだなぁ」チラッ
エマ「―鞠莉ちゃん、いない。もう起きたのかな?」
エマ「わたしも起きよっと」ムクリ
エマ「なんだかいい香り〜これはコーヒーかな」ヒクヒク
鞠莉「おはようエマ、まだ寝ててよかったのに」
エマ「おはよう鞠莉ちゃん、早起きだね」
鞠莉「ゲストよりお寝坊さんでは困るでしょ、今朝食の用意をしてるからもう少し待っててね」
エマ「一緒に作るなんて言ったのにやってもらって悪いねぇ」
鞠莉「今日の夕食は一緒に作ってみましょうかね、エマに教えてもらいたい料理があるの」
エマ「わたしに教えられるものだといいけど」
エマ「―やっぱりわたしも手伝うよ」
鞠莉「それじゃ、そこからお皿とか出してもらっていいかしら」
エマ「はーい」 鞠莉「さぁ出来たわ、簡単な物だけど」
エマ「わぁ、金色にピカピカ光ってる‼なにこれ〜?」
鞠莉「シャイニーサラダにシャイニースープ、そして……」
鞠莉「パン好きのエマの為に用意したシャイニーブレッドよーん♪」ペカーッ!!
エマ「きゃあっ眩しい〜なにこのパン直視出来ないよ〜」
エマ「こんなものどうやって作ったの?」
鞠莉「ちっちっち……それはTopsecret、企業秘密なのデース」
エマ「あぁ〜そんな事言われると余計気になる〜
鞠莉「ま、味の保証はするわ。安心して食べてちょうだい」
鞠莉「昨日は出せなかったコーヒーも淹れたわ、ぜひ一緒に飲んでみて」
エマ「部屋を出た時からいい香りがしていたんだよね、おいしそう」
エマ「いただきま〜す、―はむっあむあむ……」
エマ「―ううう〜ん、サラダもスープもよくわからないけど味は抜群においしい‼病み付きになりそう‼」
エマ「このシャイニーブレッドも言葉に出来ない味……こんなおいしいパン食べた事ないよ〜」
エマ「もう……もう……やめられな〜い♪」パクパクパクパク
鞠莉「エマなら気に入ってくれると思っていたわぁ〜」ニコニコ エマ「―ふぅ……朝からお腹いっぱい食べちゃった」
エマ「このコーヒーも本格的だね、お店を開いたらきっと人気出るよ」
鞠莉「あら、それじゃもしお店を出す時はエマにウェイトレスでもやってもらおうかしら」
鞠莉「とびきりかわいい衣装を着て接客してもらうわよ〜」ニヤニヤ
エマ「かわいい衣装かぁ、鞠莉ちゃんも着るの?」
鞠莉「わ、私?私はマスターだからカフェコートね」
エマ「鞠莉ちゃんにもウェイトレスの衣装似合いそうだけどな〜」
エマ「ごちそうさま、洗い物はわたしがやるね」
エマ「このあとはなにをするの?」
鞠莉「別荘の近くに牧場があるの、久し振りにあの子に会いに行きましょうかね」
エマ「あの子?」
鞠莉「と〜ってもかわいいのよ、エマが見たら一目惚れしちゃうかもね」 牧場
エマ「へぇ、広い牧場だね〜」
鞠莉「牧場も一緒に作りたかったからあえて山奥に別荘を建てたのよ、むしろ牧場の方がメインかもしれないわね」
エマ「この景色……故郷を思い出すよ、わたしの家でも牧場をやっていてね、妹弟達と一緒に動物のお世話をしていたんだよ」
鞠莉「動物が好きなら安心ね、ついて来て」
鞠莉「紹介するわ、この子がスターブライト号。私の姉妹も同然の存在よ」
エマ「わぁ、お馬さんだ。かわいい〜」パァァ
エマ「ね、撫でてもいい?」
鞠莉「もちろん、撫でてあげて」
エマ「えへへ、スターブライト号ちゃ〜ん」ナデナデ
ブルフフフン……スリスリ
エマ「あ、くっついて来た。いい毛並み〜」サワサワ
鞠莉「この子、割りと人見知りなのにここまでなつくなんて……」
鞠莉「エマを連れて来て正解ね、スターブライト号も喜んでるわ」
ツンツン……グイグイ……
エマ「ん?わたしのお尻を押して、もしかしてお散歩したいのかな?」
鞠莉「エマを乗せてもいいと思って誘っているのね、せっかくだから乗ってみる?」
エマ「そういう事なら喜んで♪よろしくねスターブライト号ちゃん♪」 ポックポック……
鞠莉「エマ、大丈夫?」
エマ「うん、この子すっごくいい子だねぇ。初めて乗せてもらったのに素直に言う事聞いてくれる」
鞠莉「それはきっとスターブライト号もあなたなら安心と気を許したのよ、馬って自分が認めない人間は簡単には乗せたりしないから」
エマ「故郷でもお馬さんにはよく乗っていたからね、少しは気持ちもわかるんだ」
エマ「いい子いい子、うふふふ」
鞠莉「そこまで仲良くなるとなんだか妬けるわねぇ」
鞠莉「ま、エマが楽しいのならよかったわ」
エマ「よっこいしょっと」
エマ「鞠莉ちゃん、スターブライト号ちゃんに乗せてくれてありがと。自然に囲まれた牧場もとても居心地がよくて最高だったよ」
鞠莉「それはなによりね、じゃあ別荘に戻りましょうか」
エマ「うん、じゃあねスターブライト号ちゃん」ナデナデ
ヒヒーン 鞠莉「さて、今朝言った通りエマに教えて欲しい料理があるんだけど」
鞠莉「私ね、小さい頃に家族でスイスに旅行に行ったの」
エマ「へぇ、鞠莉ちゃんスイスに行った事があるんだ。どこに行ったの?」
鞠莉「首都のベルンと言う所よ、今思い返せばスイスの首都はジュネーブやチューリッヒだとずっと思っていたからなんだか意外よね」
エマ「意外と知られていないんだよね〜それ」
鞠莉「その時ベルンのレストランで食べたアルペンマカロニって料理がとてもおいしくてね」
鞠莉「今でも忘れられないの、作り方知ってる?」
エマ「あぁ、それなら知ってるよ。おいしいよね〜うちのママがよく作ってくれたよ」
エマ「よーし、それなら今夜は久し振りにスイス料理を作っちゃおうかな♪」
鞠莉「張り切るのはいいけどひとりで全部作らないでよね」
エマ「わかってるって、ちゃんと教えてあげるから」 エマ「マカロニを茹でて、その間に玉ねぎ、マッシュルーム、ベーコンを薄く切って」
鞠莉「ほうほう」トントントン
エマ「小麦粉とバター、牛乳を混ぜてホワイトソースを作る」マゼマゼ
エマ「少し白ワインを入れるとおいしくなるよ」
エマ「マカロニが茹で上がったね、そっちはどうかな」
鞠莉「こっちも切り終わったわ」
エマ「そしたら切った具材を炒めてしんなりしてきたらマカロニを入れるよ」
鞠莉「結構簡単ね」ジュージュー
エマ「いい感じだね、あとは耐熱皿に入れて上からチーズを乗せて予め温めておいたオーブンで焼くだけだよ」
鞠莉「ふぅん、これなら作れそうね。焼き上がりが楽しみだわ」
鞠莉「あらエマ、ほっぺにホワイトソースが付いてるわよ」ヒョイペロッ
エマ「やだ、私ったら。恥ずかしいな」
鞠莉「このソース、このままでもイケるわね。ふふふ」 鞠莉「う〜ん、香ばしい香りがしてきたわねぇ」
エマ「そろそろいいんじゃないかな」パカッ
エマ「うん、いい焼き目が付いてる。完成だよ」
鞠莉「やったわね!!早く食べましょ」
エマ「私もお腹ペコペコだよ〜」
エマ「アルペンマカロニの他に定番のチーズフォンデュも作ってみたよ、ここにはなんでも揃ってたから助かったよ」
鞠莉「いいわねいいわね、スイスに旅行に来た気分」
エマ「私も故郷に帰って来たみたいだよ」
鞠莉「―あぁ、この味この味。ベルンで食べた物より数倍おいしいかも」モグモグ
エマ「自分達で作ったからそうだよねぇ、懐かしいなぁ」モグモグ
鞠莉「チーズフォンデュもまた絶品ね、名物になるのも頷けるわ」
エマ「2人で料理するの楽しいね、また一緒にやろうね」
鞠莉「えぇ、今度はマリーがイタリアの料理を教えてあげるわ」 鞠莉「ごちそうさま、コーヒーを淹れたから飲みましょ」
エマ「ありがとう、私コーヒーってあまり飲まなかったけど鞠莉ちゃんの淹れてくれるコーヒーはおいしいから好きになりそうだよ」
鞠莉「そのまま私のコーヒー無しじゃいられなくしてあげるわ」
鞠莉「はぁ……今日ものんびり過ごす事が出来たわね」
エマ「少しは気分も変えられたかな?」
鞠莉「そうね、やっぱり疲れた時はこうして俗世から離れた自然に触れるのが1番のストレス解消よね」
鞠莉「理事長なんてやってると色々とストレスも溜まるからたまには息抜きもしないと」
エマ「そうだよ、偉い肩書きがあっても鞠莉ちゃんは私と同じ年なんだから。あまり無理しちゃダメだよ」
鞠莉「それはわかってるんだけどね……ダイヤや果南にも私はひとりで抱え込み過ぎだってよく言われる」
鞠莉「あの時エマに声をかけてもらってよかったわ、あのままだったら本当に倒れていたかも」
エマ「せめてここにいる間はお仕事の事は忘れて、ね」
鞠莉「うん、あなたと一緒なら嫌な事も忘れられそうだわ」
鞠莉「じゃ、カップを片付けて寝ましょうか」
エマ「うん、なんだかあっと言う間に1日が終わっちゃったね」
鞠莉「楽しい時間はあっと言う間に過ぎる、そういうものよ」 エマ「すぅ……すぅ……」
鞠莉「……」
鞠莉「ん……ううん……」ゴロン
鞠莉「うーん……」ゴロン
エマ「ん……?」
エマ「鞠莉ちゃん、どうしたの?」
鞠莉「起こしちゃったかしら、ごめんなさい」
鞠莉「昨日は眠れたんだけど今日はなんだか眠れなくて」
エマ「さっきコーヒー飲んだから?」
鞠莉「いつもなら寝る前にコーヒー飲んだって平気なのよ、なのになぜか今夜は……」
鞠莉「休みが明けたらまた理事長としての仕事が始まる、ちゃんとこなせるのか……」
鞠莉「なんて、しょうもない事が頭から離れないのよね。情けないわ」
エマ「情けないだなんて、そんな事ないよ」
エマ「そうだ、眠れないのならわたしが子守唄を歌ってあげる」
エマ「さ、おいで鞠莉ちゃん」
鞠莉「いや私、そんな子供じゃ」
エマ「いいからいいから。はい、ぎゅ〜」ギュッ
鞠莉「んむっ!?ちょ、エマ」シロクロ
鞠莉(エマ……なんだかすごく甘い匂いが)
エマ「眠〜れ〜眠〜れ〜♪は〜は〜の〜むぅね〜に♪眠〜れ眠〜れ〜♪は〜は〜の手ぇに〜」ポン……ポン……
鞠莉「ん……んにゅ……」ウトウト
鞠莉(まるでママに抱き締められているみたい……私……私……)
鞠莉「―すぅ……すぅ……」
エマ「うふふ、おやすみ鞠莉ちゃん。大丈夫、疲れた時はわたしがこうやって抱き締めて歌を歌ってあげるからね」ナデナデ 翌朝
鞠莉「ん……」パチッ
エマ「すぅ……すぅ……」
鞠莉「エマ……あれからずっと私を抱き締めてくれていたのね」
鞠莉「ぐっすり眠れた訳だわ、ふふ」
エマ「ん……」パチッ
エマ「あ、おはよう鞠莉ちゃん」
鞠莉「おはようエマ、ありがとね。あなたの子守唄と温もりのおかげでよく眠れたわ」
エマ「それはよかった、鞠莉ちゃん中々離してくれなかったからそのまま寝ちゃったんだよね」
鞠莉「え?私が?」
エマ「うん、『ママ……ママ……』って言って私の胸を触ってたよ」
鞠莉「なっ……!?私そんな事してたの!?」カァァ
鞠莉「ご、ごめんなさい!!寝ていたとは言えエマにそんな事をしてたなんて」
エマ「いいよ、気にしないで。果林ちゃんや彼方ちゃんもよくわたしに甘えてくるから」
エマ「鞠莉ちゃん、もうひとりで抱え込まないで。悩んだ時や疲れた時はわたしに話して。わたしはいつでも鞠莉ちゃんの味方だから」
鞠莉「え、エマ……」ウルウル
鞠莉「やだもう……朝から泣かせないでよ」
エマ「鞠莉ちゃんもわたしにこうやって故郷を思い出させてくれたからね、当然の事だよ」
エマ「これからも一緒に頑張っていこうね」ニコッ
鞠莉「えぇ、これからもよろしく。エマ」ニコッ その後
鞠莉「ふわぁ〜」
エマ「くすっ、鞠莉ちゃん大きなあくび」
鞠莉「なんだかまた疲れが溜まってきたみたいでねぇ、あぁ〜誰かに話聞いて欲しいなぁ」チラチラ
エマ「もう、素直に言えばいいのに。ほらおいで」
鞠莉「素直だから、こうして来たじゃないの」ムギュッ
鞠莉「また少しだけ……抱き締めて」
エマ「少しと言わず、いつまでも抱き締めてあげるよ」ナデナデ
鞠莉「それだと私違う意味でダメになりそうだわ、ほどほどにしないとね」
鞠莉「―ふぅ、ありがと。気が楽になったわ」
エマ「そっか、よかったぁ」
エマ「……」
エマ「鞠莉ちゃん……あのね」
エマ「わたしも……ちょっと疲れたみたいで」
エマ「抱き締めてもらっても……いいかな?」チラッ
鞠莉「うふふふ〜Offcourse、もちろんいいわよ〜ん♪」ニヤニヤ
鞠莉「なんなら私も子守唄歌ってあげるわ、さぁおいで」
エマ「えへへ、ありがと♪」ポフン
鞠莉「お〜よしよし、マリーにたっぷり甘えなサーイ」ナデナデ
エマ「たまにはこうやって甘えるのもいいね〜」
エマ「―鞠莉ちゃん、いつか一緒にスイスに行こうね」
鞠莉「いいわね、その時は案内よろしく。エマ」 終わりです。支援、最後まで読んでいただきありがとうございました。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています