鞠莉「シャイニーでチャーミングでプレシャスな日々」
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生徒会室内、校内放送設備前――
鞠莉「――以上で全校生徒の皆さんへのお知らせを終わります。今日も一日お疲れ様でした。明日もまた、シャイニーでチャーミングでプレシャスな日になりますように」
ピンポンパンポーン…
鞠莉「…ふぅ」
コンコン
鞠莉「ん、はーい」
ガチャ
曜「失礼しまーす。アナウンスお疲れ様、鞠莉ちゃん!」 鞠莉「あら、曜。どうしてここに?」
曜「お疲れ様、って言いたくて!」
鞠莉「それだけのために、わざわざ?」
曜「鞠莉ちゃんの声だったから、猛ダッシュで駆けつけちゃった!あ、廊下は走ってないけどね!」
鞠莉「ふふっ、どっちなのよ」
曜「えへへっ!でも、鞠莉ちゃんのアナウンスって初めて聞いたかも」
鞠莉「普通は他の先生の仕事だからね。今日は臨時の代役なの」
曜「いい声だったよ。読むのも上手だったし!」 鞠莉「ありがとう。本音を言うと、少し緊張してたから、そう言ってもらえて嬉しいわ」
曜「そうなの?」
鞠莉「ええ。ドキドキしすぎて、マイクの音量を入れ忘れたまま喋ってたくらいなんだから。気付いたときには、自分で笑っちゃったわ」
曜「あははっ!なら、いいリハーサルだったね!」
鞠莉「そんなところね。曜は、校内放送ってしたことある?」
曜「高校に入ってからは無いかなー。中学の頃は、交代でお昼の放送とかやったことあるけど」
鞠莉「放送といえば、私が帰ってきたばかりのころ、町内放送でライブのお知らせをしたことがあったわよね。ちかっちと梨子の3人で」 曜「あー、あったね!鞠莉ちゃんも聞いてたの?」
鞠莉「もちろん。告知というよりも、ちょっとしたコメディだったけど」
曜「あはは、お恥ずかしい。そっか、なんだか懐かしいなぁ」
鞠莉「曜はハキハキしてるし、声質もキュートだから、アナウンサーとか声の仕事も似合いそうね」
曜「そうかなぁ。初めて言われたよ」
鞠莉「機会があれば、中学以来の校内放送に挑戦してみたら?」
曜「んー、機会があればね!」 ……………………………………
自動販売機前――
鞠莉「決まった?」
曜「うん、メロンソーダにする!」
鞠莉「あら、珍しいのを選ぶのね」
曜「こういう機会じゃないと、なかなか飲まないからねー」
ピピッ、コンッ
曜「おおっ」
ブゥーン…
曜「わあ…!」 鞠莉「あらあら、そんなに目をシャイニーさせちゃって」
曜「このコップが落ちる音と、ドリンクが出てくるワクワクが良いんだよ!なんだか気分が上がっちゃう!」
鞠莉「なるほどね。その感覚、わからなくはないかも」
曜「それにさ、気分的なものかもしれないけど、こういうタイプの自動販売機って、普通のよりも美味しく感じる気がするんだ!」
鞠莉「確かに、ドリンクのバリエーションも豊富だしね。あと、マシンによっては豆を挽いて抽出してくれるものもあるのよ」
曜「ああ、パーキングエリアとかで見るね。リアルタイムの内部映像とか音楽が流れるやつ」
鞠莉「自分ではあまり買わないけど、つい注目しちゃうわね。ある種のエンターテインメントとでもいうべきかしら」
曜「さすが鞠莉ちゃん、いいこと言う!そうそう、そうなんだよ。待ってる間のワクワクって、きっとエンターテインメントなんだよ!」
鞠莉「ふふっ、調子いいんだから」
曜「えへへっ!あっ、できたできた。鞠莉ちゃんは何にする?」
鞠莉「そうねぇ。私は――」 ……………………………………
曜「うーん…」
鞠莉「曜、おはよう」
曜「ああ、鞠莉ちゃん。おはよーそろー…」
鞠莉「あらら、全然おはようって感じじゃないけど、大丈夫?」
曜「んー、最近よく眠れなくて…」
鞠莉「寝不足なの?」
曜「どうにも寝つきが悪いんだ。夜中に目が覚めちゃうし…」 鞠莉「それは、辛いわね。心当たりは?」
曜「特には…体調が悪いとかもないんだ。眠れないから、ちょっと元気が出てこないだけで」
鞠莉「それを体調悪いっていうんじゃないかしら。私が愛用してるラベンダーのアロマがあるんだけど、使うとぐっすり寝られるの。明日持ってくるわね」
曜「ああ、あの匂いかな」
鞠莉「あれ、曜に見せたことあったっけ?」
曜「直接はないけど、鞠莉ちゃんの髪からたまに、ラベンダーのいい匂いがするなーって思ってて」 鞠莉「わずかな残り香を感じ取るなんて、さすが曜。抜群の嗅覚ね」
曜「犬みたいな言い方しないでよー」
鞠莉「曜って仔犬っぽいところがあるし、例えとしてぴったりだと思うけど」
曜「まーりーちゃーん?」
鞠莉「ふふふっ、イッツジョーク。仔犬みたいに素直でキュートなところは、本当だけどね」
曜「も、もうっ、またそんなこと言って…」
鞠莉「それにしても、不眠の原因がわからないのは不安ね。何か変わったことや、思い当たることはないの?」
曜「うーん、見当もつかないなぁ。強いて言うなら、最近は食後にコーヒー飲む練習を始めたくらいで…あれ、どうしたの鞠莉ちゃん。いきなりぽかーんとしちゃって」 ……………………………………
鞠莉「それでね、そのときダイヤが――あっ」
曜「ん、どしたの?クレーンゲームの方なんか見ちゃって」
鞠莉「いえ、ふとね、あの子と目があって」
曜「あの子?ああ、あのクマのぬいぐるみ?」
鞠莉「ええ、まるで私のことを見つめているみたいだったから」
曜「おっきくてラブリーだね、胸のところにほら、ハートマークがあるよ!」
鞠莉「サイズや、横向きに倒れてるところを見ると、ゲットするのは難しそうね」
曜「そうだね。よしっ、見てて」
鞠莉「えっ、やるの?」 曜「ここで会ったのも何かのご縁ってね。さてさて、久々だから上手くいくかな…ここだ!」
鞠莉「掴んだ!」
曜「勝負はここからだよ。このまま落下せず、取り出し口まで持ちこたえてくれれば…やったぁ!」
鞠莉「すごいじゃない!一回で取れちゃうなんて!」
曜「狙い通りでよかったよ!ってことで、はいっ!」
鞠莉「えっ、くれるの、私に?」
曜「もちろん!そのために取ったんだから!」 鞠莉「けど、せっかく曜がゲットしたのに」
曜「鞠莉ちゃんにはいつもお世話になってるからさ。ちょっとしたプレゼントってことで!それに、この子も鞠莉ちゃんのことが気になってただろうし!」
鞠莉「曜…ありがとう、大事にするわ」
曜「えへへ。キミは幸せ者だぞー、鞠莉ちゃんと一緒に居られるんだから」
鞠莉「!」
曜「それだけのサイズを持って歩くのは大変だよね。私、袋もらってくる」
鞠莉「あ…いえ、大丈夫よ」
曜「でも、ぬいぐるみを抱いたままじゃ歩きにくいでしょ」
鞠莉「いいの」
曜「そう?」
鞠莉「うん。今日は、このままがいいの」 ……………………………………
曜「あー、やっとテストが終わった…」
鞠莉「お疲れ様。手応えはどう?」
曜「大丈夫…だと思うけど、今回は試験範囲が広かったから、いつもより大変で。ふぅ…」
鞠莉「元気ないわね。エネルギーを使い果たしちゃった?」
曜「それもあるけど、なんか頭が痛くって」
鞠莉「大丈夫?おでこをちょっと失礼」
曜「んっ」 鞠莉「あら」
曜「えっ」
鞠莉「これは…」
曜「えっ、な、なになに?」
鞠莉「…いい、曜。よく聞いてね。これは、きっと――」
曜「…ごくり」
鞠莉「――ただの平熱よ」
曜「だああっ!な、なんだったのさ、今の間は」 鞠莉「うふふっ。もったいぶった方が、雰囲気があるかなって」
曜「何のための雰囲気なのさ、もう」
鞠莉「熱がないのは一安心ね。うっかり知恵熱が上がっちゃったら、大変だもの」
曜「そこまでオーバーヒートはしてないと思うけど、うーん、頭が重い。こういう時は、特効薬に限るかな」
鞠莉「特効薬?」
曜「よし、早速調達しに行かなきゃ!鞠莉ちゃんも付き合って」
鞠莉「一緒に行くのはいいけど、どこに行くの。保健室は反対で」
曜「違うよ、これこれ」
鞠莉「これって、自販機じゃ」
曜「これだよ、この赤いボトル。勉強疲れには、コーラでリフレッシュだよ!」 ……………………………………
曜『ヨーソロー!渡辺曜の全速前進!天気予報のお時間です!』
曜『昨日、今日と晴れた日が続いて、いかにも初夏って感じの天気だったね。半袖で過ごしてる人も多いと思うけど、明日は一転して曇り空。気温もぐっと下がるでしょう』
曜『雨の心配はなさそうだけど、外出のときは何か羽織るものを持っておいた方がいいかもしれないね。季節の変わり目で体調を崩しやすいから、健康管理にもご注意を!』
曜『日中ははっきりしない天気だけど、夜にはよく晴れる見込みだよ。たまには星を眺めてみるのも、素敵だよね』
曜『それじゃあ、また次回の天気予報でお会いしましょう。シャイニーで素敵な週末を、ヨーソロー!』 ダイヤ「…えっと、なんですか、これ」
鞠莉「わからない?天気予報よ」
ダイヤ「それはわかりますが、なぜ曜さんが」
鞠莉「曜の得意技だからよ。知ってるでしょ、体感天気予報。これがびっくりするくらいよく当たるの」
ダイヤ「知っていますが、理由になっていません」
鞠莉「アナウンスもなかなか上手でしょ、私の思ったとおりね。天気は生活に役立つ情報だし、何より曜がとっても可愛いから、人気が出ること間違いなし!きっと大注目のコンテンツになるわ!」
ダイヤ「でーすーかーらー!」 ……………………………………
曜「見ててね、鞠莉ちゃん!今からなんと!このみかんを宙に浮かせてみせるから!」
鞠莉「わお、それは楽しみね!」
曜「いくよー、はああ…!」
鞠莉「渡辺さん、真剣な表情で、みかんを持つ手に力を集中しています!」
曜「う、ううーっ…!」
鞠莉「さあ、果たして宣言通り、みかんを浮遊させることができるのか!?」
曜「はーっ!」
鞠莉「う、浮きました!ご覧くださいみなさん!みかんが宙に浮いています!」 曜「へへっ、凄いでしょー!」
鞠莉「アンビリーバボー!…なーんて!なかなかの名演技だったけど、指で穴を開けて持ち上げてたんでしょ?」
曜「はてさて、なんのことかなー。あ、このみかん、食べる?」
鞠莉「ご馳走になるわ。ふふっ、ほら、くぼみのところに穴が開いて…あれっ?」
曜「ふふっ」
鞠莉「穴が、ない…?」
曜「さーて、次は1年生ちゃんたちに披露してこようかなー」
鞠莉「ちょ、ちょっと待って!今のどうやったの、ねぇ!?」 ……………………………………
『浦の星女学院購買部テレビショッピング!』
曜『わー、ぱちぱちぱちー!』
鞠莉『ということで始まりました、浦の星女学院購買部のテレビショッピング!この番組は、理事長兼特命販売部長の小原鞠莉と』
曜『アシスタントの渡辺曜の二人でお送りします!ところで鞠莉ちゃん、今日は一体どんな商品を紹介してくれるの?』
鞠莉『皆さんはこんな経験をしたことがありませんか?合宿中にあと少しで何かをひらめきそうなのに、結局何も得られないまま、チケットをひたすら消費し続けてしまう、なんてことが』
曜『あるある!センターになって何度も挑戦するけど、お目当てのスキルをひらめくまでに、かなりの時間とチケットを使っちゃうんだよねー』 鞠莉『そんな時に役立つのがこちらの商品!「小原家特製ひらめきバッヂ」デース!』
曜『わあ、見せて見せて!あ、カメラさん手元を写して。ほらこのバッヂ、ピコーンって電球が閃くマークのデザインになってる。鞠莉ちゃん、これを使うとどうなるの?』
鞠莉『サプライズすることなかれ。このバッヂを使うと、なんと!リーダーは必ずスキルをひらめくことができマース!』
曜『す、すごーい!でも、一体どういう仕組みでひらめくの?』
鞠莉『そこはえっと、スピリチュアルでシャイニーでピピピのピースな、とにかく企業秘密デース!』 曜『なるほど、つまり最先端テクノロジーの結晶ってことだね!』
鞠莉『エグザクトリー!これを使えば合宿効率は格段にアップ!スキル習得にお悩みな皆さんの助けになること間違いなしデース!』
曜『これでスキルをたくさん身につければ、ライブの時に大活躍だよ!こんな凄いの、どこで手に入るの!?』
鞠莉『もちろん、ご購入は浦の星女学院購買部で!電話やメールでのお取り置き、ご予約、お問い合わせも受け付けております!』
曜『購買部ホームページに紹介動画をアップしたから、気になる方はぜひチェックしてね!お相手は私、渡辺曜と』
鞠莉『小原鞠莉でした。みんなの学生生活がシャイニーでチャーミングでプレシャスなものになりますように!』
曜『またねー!』
鞠莉『See you〜!』 ダイヤ「…で、これはなんですの」
鞠莉「見てわからない?テレビショッピングよ」
ダイヤ「ですから…いえ、この際それは置いておきますが、テレビショッピングと銘打った割には、購買部まで直接買いにかなければならないのですか?」
鞠莉「そこはほら、色々とあるのよ。特定商取引法とか、多分」
ダイヤ「はあ。まあ、私には詳しいことはわかりませんが…」
鞠莉「そうだ!ダイヤも出演してみない?」
ダイヤ「はいい?」
鞠莉「ゲストとして登場するのよ。ダイヤのお墨付きとあれば、きっと多くの人が番組を見て、商品に興味を示してくれるはず。ご協力、よろしくね!」
ダイヤ「出・ま・せ・んっ!」 ――――――――
「浦の星女学院テレビショッピングー!」
曜「いえーい、ぱちぱちぱちー」
鞠莉「さあ、始まりました、浦の星女学院テレビショッピング!今回の商品は――」
曜「ストップ、ストーップ!」
鞠莉「もう、どうしたのよ、いきなり目立とうとして」
曜「番組が始まったばかりだっていうのに気が早いよ、鞠莉ちゃん。自己紹介もまだじゃない」
鞠莉「だって、素敵な商品をいち早くみんなにお知らせしたいんだもの」 曜「その気持ちはよくわかるけどね、本日はなんと、素敵なスペシャルゲストをお呼びしてるんだ!」
鞠莉「まあ!一体どんな方が来てくれてたのかしら?」
曜「生徒会長の黒澤ダイヤさんでーす!どうぞー!」
ダイヤ「番組をご覧の皆様、ごきげんよう。生徒会長の、黒澤ダイヤですわ」
鞠莉「ハァイ、ダイヤ!」
曜「こんにちは、ダイヤさん!」 ダイヤ「本日はゲストということでお招きいただきました。こういう番組は不慣れではありますが、どうぞよろしくお付き合いくださいませ」
曜(ふふっ、ダイヤさんノリノリだね!)
鞠莉(言ったでしょ、思ったとおりだって!)
ダイヤ「さあ、鞠莉さん、曜さん。本日は一体どんな商品を紹介してくださるのですか?」
鞠莉「自然な進行よ、ダイヤ!今日オススメするのは、聞いてサプライズ、見てアメイジングのこの商品!小原家がそのノウハウを結集して開発した、シャイニーでブリリアントな――」
終わり 全弾撃ち尽くしました。いろいろわちゃわちゃするようまりでした。
↓は前に書いたものです。よろしければ併せてお願いします。
曜「アクシデンタル・コンタクト」
https://fate.2ch.net/test/read.cgi/lovelive/1588490802/
ありがとうございました。 ようまりのブレーキの聞かないトロッコみたいな感じすき ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています