ルビィ「片割れのジュエル」 3スレ目
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サファイア「前回までの、片割れのジュエルあらすじ!」
サファイア「2年生になったマルちゃん率いるスクールアイドルAqoursは、ラブライブ!出場に向けて練習の日々を送っていたの」
サファイア「でも練習で実力はついてもライブの経験が足りない! どうしよう……そう思っていたある日のこと」
サファイア「顧問の鞠莉ちゃん先生から、なんとSaint Snowが開くGW北海道ライブツアー、それにAqoursも参加させてもらえるというお話しが!」
サファイア「マルちゃんの大活躍もあってライブツアーで見事成功を収めたAqours一同! その後に作ったPVも評価されて無事汚名返上を果たしたのです!」 サファイア「さて、次に場面は変わって6月、マルちゃんたちはお姉ちゃんからスクールアイドル選抜強化合宿の話を聞くの」
サファイア「その合宿に参加するメンバーとしてAqoursの中から推薦されたのはなんとルビィちゃん! 私だったら絶対マルちゃんにするけどなあー」
サファイア「まあそれは置いときまして、いよいよ夏休みに入り1年に1度の大イベント、ラブライブ!サマーフェスティバル2020通称フェスライブに向けてマルちゃんたちAqoursも」
サファイア「お姉ちゃん、果南ちゃん、そして聖良お姉ちゃんという強力な助っ人と一緒に夏合宿を行うことに!」
サファイア「一方でルビィちゃんのほうはと言うとこっちもまた凄くて、なんと合宿の指導者はあのA-RISEの綺羅ツバサさん!」
サファイア「だけど一緒に練習をやるパートナーはルビィちゃんにとって相性最悪の理亞ちゃんで、折角の強化合宿なのに上手くいかない毎日……」 サファイア「しかーし! そこは流石マルちゃん! 自分からルビィちゃんの敵になることでルビィちゃんの奥底に眠っていた勝ちたいという欲求を呼び起こしたんだ!」※
※花丸ではなく善子です
サファイア「それによって覚醒したルビィちゃんはぎくしゃくしていた理亞ちゃんとも向き合い、二人はついに結束!」
サファイア「紆余曲折を経て強い絆で結ばれた二人は自分たちのため、そしてお姉ちゃんたちのためにフェスライブで優勝することを決意!」
サファイア「そしてその宣言通りルビィちゃんと理亞ちゃんは見事フェスライブデュオ部門にて優勝!! おめでとうーっ!!」
サファイア「お姉ちゃんと梨子ちゃんも和解したし、まあ他にも色々あったんだけど、まとめて言うならこの夏休みで前よりずっとAqoursの絆は強くなったの!」
サファイア「さあ! 次はいよいよラブライブ予選! これからAqoursはどうなっていくのか、皆さんお見逃しなく!」 サファイア「……と思ったけどちょっと待って、その前に言いたいことがあるんだった」
サファイア「ねえみんな、マルちゃん可愛かったよね。やっぱり可愛かった、すごく可愛かった!」
サファイア「歌もダンスも上手になってるし、前より美人さんになってるし、流石私のお嫁さん!」
サファイア「でもなあー……マルちゃんおっぱいの方も成長したからそろそろ男の人に変な目で見られないか心配だよ」
サファイア「今回のフェスで有名になったし……ん、そういえば」 サファイア「あーっ思い出した!マルちゃんといえばね! そろそろ季節も秋になるけど、そのときもねー可愛かったんだよー!!」
サファイア「読書の秋ってあるでしょ? マルちゃん本を読むの好きだったからジーっと本を見てるマルちゃんも可愛くてねー!」
サファイア「ライブで踊っているときももちろん可愛いんだよ! そんなの分かりきってるよ! でもそれだけじゃないのがマルちゃんの魅力なんだよね!」
サファイア「普段のおっとりとした感じが愛くるしいっていうか! 少しぼんやりとした雰囲気もこうね! キュンときちゃうなあーって!」
サファイア「でもやっぱり笑った顔が一番でさ! だから私はマルちゃんと一緒にアイドルやりたいなって思ったわけで!」
サファイア「あとねあとね! 私とマルちゃんが初めてお喋りしたときもね…………」
……
…
善子「…………う、うぅん……」モゾ
ルビィ「ふわぁ……」ゴシゴシ
善子「あールビィ、おはよう……」
ルビィ「おはよう善子ちゃん……どうしたの? なんか、何とも言えない顔してるけど」 善子「ルビィの方こそ……まあ私は……うん」
善子「その、花丸への好きが強すぎる花丸推しが私に延々語りかけてくるっていう謎の夢を……」
ルビィ「それ、私も……」
善子「ルビィも?」
ルビィ「うん……どんな人だったかは覚えてないけど」
善子「へえ、妙な偶然の一致もあるものねえ……」 ガチャ
花丸「二人とも起きたんだね。おはよう」
ルビィ「おはよう花丸ちゃん」
善子「早いのね、それに心なしか嬉しそうに見えるわよ」
花丸「凄くいい夢見れたから」
花丸(久しぶりにアオちゃんに会う夢見ちゃった)エヘヘヘ
花丸(大きくなったアオちゃん綺麗だったなあ……) 善子「そんなに顔がだらしなくなるほどなの」
花丸「うん。あっそうだ善子ちゃんのお母さんがお風呂沸いてるからーって」
花丸「マルは一足先に入らせてもらったけど」
善子「そう、分かったわ」
ルビィ「あとで入るね」 花丸「それにしても今日も暑いね、いつになったら涼しくなるのかなあ」ヌギッ
善子・ルビィ「!!」
花丸「はぁー……」パタパタ
ルビィ「何やってるの花丸ちゃん! 上着脱いだら駄目でしょ!」
花丸「え」ビクッ
善子「胸くらい隠しなさいよ! でかでかと谷間なんか曝け出して! 誰か見てたらどうするの!!?」 花丸「だ、誰かって……ここ善子ちゃんの部屋だよね?」
ルビィ「いいからこれ着て!」
善子「ボタンも上まで閉めて!」
花丸「な、なんで」
善子・ルビィ「なんとなく!!」
花丸「えぇーっ……」 ……
花丸「──うう、酷いずら……」
善子「あんたも女の子ならもう少し貞操観念持ちなさい」
花丸(いつもはあんまり言ってこないのに……)
善子「でもまあ、暑いっていう気持ちは分かるけどね」
善子「夏休みが終わってから早一週間、そろそろ8月も終わるっていうのに」
花丸「ねー」 善子「来週から9月……季節は秋かあ、去年は嫌な思い出しかなかったわね」
花丸「あはは……そうだね」
善子「一次予選は9月の頭からだっけ?」
花丸「うん、確かマルたちの出番は2日だったと思うけど」
善子「本当にあっという間ね、どんだけ矢継ぎ早にやるのって話よ」
花丸「今年は色々大事な年だったから仕方ないずら」 善子「まあね。けど、どんなに慌ただしくて大変でも」
花丸「今度こそは……」
ガチャ
ルビィ「絶対! リベンジ!」
善子「ナイスタイミング」
花丸「いつからいたの?」
ルビィ「ついさっきだよ、穂乃果さんのマネしてみたくて」エヘヘ 善子「……あのねルビィ、やりたかったのは分かるけど」
ルビィ「?」
善子「髪くらいちゃんと拭きなさいよ」ハァ
ルビィ「大丈夫、それも含めて穂乃果さんのマネだから」
花丸「おぉー……完璧だね」パチパチ
善子「悪影響か!!」 その頃……
浦の星女学院、体育館
千歌「ふぅーっ……次いきます!」
バッ トン クルン タン!
「!」
千歌「……っと、よし上手くいった!」
曜「おお、また成功!」
鞠莉「失敗の回数もだいぶ減ってきたわねー、いいじゃない千歌っち!」
梨子「はい。ロンダートとバク転、どちらも単体だけならもう十分なんじゃないかな」
梨子「フォームも最初の頃よりずっと綺麗になってるし」 初めて覗いてみたけど冒頭見て
架空のサファイアが延々一人で妄言を語り続けるだけのSS()かと思ってビックリした 曜「うん、あとはその連携だけだね。それさえ上手くいけば!」
梨子「問題なのはあと一週間で間に合うのかってところだけど……」
曜「……あ、そっか。そのための曲も作らないとだもんね」
梨子「あとダンスのフォーメーションとかも色々あるし」
曜「それに衣装もだよね……」
鞠莉「そう考えると厳しいわね」
千歌「ん、一次予選では使わないよ?」
曜・梨子「え?」
千歌「そっちは前から用意してた曲でいこうよ、その方が絶対上手くいくと思うし」 曜「いいの? それで」
千歌「いいのいいの、大丈夫」
千歌「寧ろ作戦としてはそっちの方がいいし、ね鞠莉ちゃん?」
鞠莉「……ふーん、成程ね。確かにそうかも」ニヤ
梨子「作戦って?」
千歌「前に果南ちゃんとロンダートのことで話したんだけどさー、そのときにね……」 千歌「───というわけなのだ」
曜「おお、いいねそれ!」
梨子「そうだね、私も賛成」
千歌「じゃああとはルビィちゃんたちだけだね、鞠莉ちゃん連絡よろしく!」
鞠莉「オッケー、任せなさい!」
千歌「さーて、それじゃあ気合い入れていきますか!」
千歌「目指せ一次予選突破! 最終予選まで勝ち残るぞー!!」
曜・梨子「おーっ!」 とりあえずここまで、二年生編後半戦スタートです
よろしくお願いいたします 誘導も前スレリンクもありがとう
今回も楽しみにしてる アオちゃんめっちゃ明るい子やん……
なんか悲しくなってきた おつおつ
よくよく考えてらデュオで優勝、準優勝、入賞したメンバーでほぼ構成されてるグルーブなんていい意味でも悪い意味でも注目集めそう その帰り道…
曜「いやーそれにしても」
曜「私たちがフェスでライブをやってる間に、千歌ちゃんたちも色々考えてたんだねー」
梨子「フフッ、そうだね」
梨子「みんなそれぞれこの夏の間に自分の出来ることをやってたって感じがする」
曜「梨子ちゃんもそうだよね、ダイヤさんとのこと」
曜「……良かった。本当に」
梨子「曜ちゃん……」 曜「そういえば、前にそのことで梨子ちゃんと二人っきりで話したのもちょうどこの辺りだっけ」
梨子「そう、かも」
曜「懐かしいなあ」
曜「……」
曜「私ね、梨子ちゃんとダイヤさんの話聞いて思ったんだ」
梨子「どんな?」
曜「ルビィちゃんがダイヤさんのことを想っているっていうのは勿論そうだけど」
曜「それは、梨子ちゃんも同じだってこと」 曜「ルビィちゃんが黒澤家に育てられてきて、だから大切な存在だっていうのは分かるよ」
曜「でもそれが梨子ちゃんを否定していることに繋がってるわけじゃないんだなって。今更だけどさ」
曜「育った環境が違っても、ルビィちゃんには確かに梨子ちゃんと同じ血が流れている。改めてはっきりと分かったんだ」
曜「だって二人ともそっくりなんだもん、見た目の話じゃないよ?」
曜「内面の話」
曜「どっちも周りに気を遣って、でもちゃんと前に踏み出す強さがあって」
曜「そうして自分から変わっていくことが出来る。たとえ迷ったとしても行動に移せるんだ」
曜「梨子ちゃんはルビィちゃんのおかげって言うかもしれないけどさ、私は」
曜「ルビィちゃんも梨子ちゃんがいたから変われたんだと思うんだよね」
曜「もちろん善子ちゃんや花丸ちゃん、ダイヤさんのおかげもあるけど。きっとそれだけじゃない気がするなあ」 曜「だからさ、その……なんだろう」
曜「あんまり比較しなくていいんじゃない? ダイヤさんとさ」
梨子「……バレてたんだ、気にしてるの」
曜「……まあ、何となくそうなんじゃないかなって」
曜「いやでもそんな思い詰めてるわけでもないし、わざわざ言うのはどうだろうとは思ってたんだけど」
曜「放ってもおけなかったといいますか「曜ちゃん」
梨子「ありがとう。曜ちゃんの気持ち、凄く嬉しい」
曜「え……っと、それならよかった」 梨子「でも曜ちゃん、ちょっと間違ってるよね」
曜「え?」
梨子「曜ちゃんだって私の背中を押してくれてるんだから」
梨子「去年も、今年の夏も……そして今も。それは私の中でずっと変わらずに続いてることなんだよ」
梨子「私ね、曜ちゃんがいなかったらここまでこられなかった。曜ちゃんがいたから一歩踏み出せたの」
梨子「それだけは何となくじゃなくてハッキリと言える」
梨子「だって今の私にとって、一番信頼できる人だもん」
曜「!」 梨子「……って少し堅苦しかったかな。ごめんね」
梨子「ただ、今言ったことは本当だよ」
梨子「ありがとう曜ちゃん。ダイヤさんのことはもう気にしないことにする」
梨子「曜ちゃんが私にそう言ってくれたなら、私もそれを信じて頑張ってみるよ」ニコ
ギュッ
曜「り、梨子ちゃん!?」
梨子「だからこれからも見ていてね、私のこと」
梨子「それじゃあまたね、曜ちゃん」クルッ
スタスタ……
梨子(うーん、流石に抱きつくのはやりすぎだったかな……)
梨子(でも私、どうしてそんなことしたんだろう?)
シーーーン
曜「…………」
曜「……どうしよう」
曜「私、今……絶対、顔変だ」
曜「〜〜っ……毎回ズルいんだよもう〜……!」ヘタ 新スレも乙
相関図も変わりみんな良い表情になりいいですね 乙乙
恋愛感情でチームが崩壊しないことを祈るのみ
そういや男って出てくる予定ある? >>47
男キャラは今後出る予定があるとすれば黒澤家のお父さんくらいだと思います
あとはモブ程度の存在でそこまで話の大筋には関わらないです >>48
メンバー間での恋愛感情も結構入って来てるし男と付き合うキャラいるんじゃないかと思ってた
答えてくれてありがとう ─それから一週間後
9月、予選会場
「えーでは結果の方を発表します!」
「一次予選突破は……Aqours−−!!」
千歌「……や」
6人「やったーーーー!!」
ワーーーーーー!!
鞠莉「コングラチュレーション! みんなお疲れさま!」 「曜ちゃーん! こっち見てー!!」
「梨子ちゃん綺麗ーー! ルビィちゃんかわいいーー!!」
「善子ちゃーん! 花丸ちゃーん!」
千歌「いやーみんな凄い声援だねー!」
千歌「流石フェスライブ上位勢! 知名度が違いますなー!」
鞠莉「そうね、それに比べると千歌っちへのエールは」
千歌「無いね! これっぽっちも! でもそれでいい!」
鞠莉「今はまだ、ね。本当の勝負はここから2ヶ月後に行われる最終予選!」
千歌「うん! それまで皆にはたくさん目立ってもらうよ!」
千歌「私の存在が薄くなるように!」
「「「了解!」」」 鞠莉「よし、じゃあ今日はこのまま皆で一次予選突破のお祝いやるわよー!」
千歌「おお! 流石鞠莉ちゃん気前がいいー!」
鞠莉「パーッといきましょう! パーッと!」
梨子「あはは…相変わらずの」
曜「豪勢っぷりだね……」
鞠莉「……あ、でもその前に真面目な話を一つ」
6人「?」 鞠莉「イベントも終わって予選も通過して、いよいよラブライブに向けて本格的に取り組むことになった今だからこそ言っておくわ」
鞠莉「ルビィ、善子、花丸、まあ答えは分かりきってるけど。もしあなた達が来年もスクールアイドルを続けるつもりなら」
鞠莉「今のうちに始めておいたほうがいいわよ」
鞠莉「作詞作曲の引継ぎ」
ルビィ・善子・花丸「!」
鞠莉「今は千歌っちや梨子がいるから大丈夫だし、その体制で続けるけど」
鞠莉「それも長くもって、来年の3月……ラブライブの決勝まで」 鞠莉「衣装や振り付けはルビィがいるから問題ないとしても、その二つが出来なくちゃ話にならない」
善子・花丸「……」
鞠莉「二人とも、一度しっかり考えておくことね。ルビィのためにも、自分たちのためにも」
鞠莉「来年のスクールアイドル部はあなた達三人しかいないわけだし」
鞠莉「負担をかけずに作業を分担するなら、どうしたってそうなるんだから」
鞠莉(まあそれは、廃校確定のせいで新入部員が入ってこない弊害みたいなものだけど)
鞠莉(そのことにどうこう言っても状況は変わらない、例え厳しくてもやるしかないのよ) 鞠莉「勿論私も顧問として出来る限りのサポートはするわ、必要なものがあれば揃えるし、申請とかの手続きもこっちでやる」
鞠莉「だから───「分かった」
善子「任せて」
花丸「しっかり引き継いでみせるずら」
鞠莉「……ええ、よろしくね」フフッ
鞠莉「千歌っち達もお願いね」
千歌「あ……はい」
梨子「分かりました」
鞠莉「曜も引き続きルビィを頼むわ」
曜「ラジャ!」ビシ 鞠莉「さーって! それじゃあ真面目トークも終わったことだし早く行きましょうか!」
グイッ
善子「なっ……」
花丸「ちょ……と鞠莉さん」
鞠莉「ほらほら遠慮しないの!」ズルズル
善子「いや別に遠慮してな……」
花丸「自分で歩けるずらーっ」
ルビィ「善子ちゃん花丸ちゃん!?」タッ
千歌「……」
梨子「どうしたの千歌ちゃん」 千歌「ううん……やっぱり色々考えてるんだなーって鞠莉ちゃん」
千歌「私、ライブや練習のことばかりで引継ぎとか、全く頭になかったもん」
曜「私も、さっきはつい返事しちゃったけどルビィちゃんとはそんなの関係なく一緒に作業してたってだけだし……」
梨子「それはそうでしょ」
千歌・曜「え?」
梨子「私たちをライブのことだけに集中させるのがあの人の仕事で、それは別に会場の手配とか他校との合同練習に限った話じゃない」
梨子「いつもあんな調子で振り回してるからあまり悟られることはないけど」
梨子「私たちが思う存分スクールアイドル活動をやれてるのは鞠莉さんのおかげなんだよ」
梨子「本当に、凄い人なんだから」クス
千歌・曜「……」 「こらー! そこ三人早く着いてきなさいー!」
梨子「はーい! じゃあ私たちもそろそろ行こっか」
スタスタ
千歌「……なんだろう、なんか」
曜「うん」
千歌「鞠莉ちゃんちょっと羨ましいかも」
曜「それね」
さらに一ヶ月後…
10月中旬
千歌の部屋
千歌「だからさーインスピレーションっていうの?」
千歌「こうビビッときたものを、ババッと書いて、その後サササッと曲に合わせる感じ!」
花丸「千歌ちゃん、もうちょっと具体的にお願いするずら……」
千歌「うーん、って言われてもなあ〜……」
千歌「私の場合感覚でやってるからなんとも」
花丸「こういうのもなんだけど、それでよく今まで詞を書けてたよね千歌ちゃん」 千歌「え? それはさ、私が上手く言葉に出来なくてムズムズしているところを花丸ちゃんがサポートしてくれたからでしょ?」
千歌「こう…ストンと納得のいくような単語や名前とかをさっさっさって当てはめていく感じで」
花丸(今日はいつにも増して擬音が多いなあ…)
千歌「流石は読書好き! 知識人ってやつだね!」
花丸「あ、ありがとう」テレ
千歌「それに私、花丸ちゃんはもうちょっと頑張れば何とかなると思うんだよね」
千歌「確かにイメージを思いついてるのは私だけど、それを一番いい形で言葉にして詞に載せてきたのは花丸ちゃんなんだから」
千歌「ほらアレだよ! あの……原作と作画の担当が分かれてる漫画みたいな!!」
花丸「分かるようで分かりづらい微妙な例えだね……」 千歌「だから発想というか、イメージさえ思い浮かぶようになればそんなに難しいことじゃないと思うんだ」
花丸「イメージ……」
千歌「でもそれが上手くいかないから苦労してるんだよねー、どうしたものか」ウーン
千歌「花丸ちゃんはさ、何が足りないと思う?」
花丸「えっとその前に……今の話をまとめると、つまり千歌ちゃんが言いたいのは」
花丸「マルには文章力があるけど発想力はないから、それさえ補えば作詞も大丈夫だってことだよね」 千歌「そうそうそんな感じ」
花丸「それならやっぱり、情報とか知識とかじゃないかな」
千歌「え、でも花丸ちゃんは」
花丸「アイドルについてのって意味、確かにマルもスクールアイドルについて色々勉強はしてきたけど」
花丸「それは最低限の部分だけだったんだなって、ルビィちゃんや理亞ちゃんを見て思っていたの」
花丸「マルの好きな本の作家さん達もよく言うことがあるんだ、発想力で大事なのは」
花丸「知識と、理解と、好奇心と、感性と……それらを活かすための柔軟性。組み合わせに使う応用力だって」 千歌「ほえ〜……じゃあ」
千歌「もっとスクールアイドルについて詳しくなればいいわけだ!」
花丸「うん。あとは話作りとかかな」
千歌「え、話作り? なんで?」
花丸「たとえばラブソングでも、一人の女の子が振られたりとか結ばれたりとか、そういうストーリーがあってそれで感動を与える歌もあるから」
花丸「それも必要なのかなって」 千歌「なるほどーそれなら……」
千歌「……おっ閃いた!」ポン
花丸「千歌ちゃん?」
千歌「映画だよ映画をたくさん見るの! あとライブのDVD!」
千歌「映画は1〜2時間で起承転結がしっかりまとまってるからそういう話作りに役立つってどこかで見たことある!!」
花丸「どこかって……?」
千歌「分かんない! でも多分大丈夫!」
花丸(なんでこんなに自信満々なのかな) 花丸「だけど……そうだね、確かに知識を蓄えるならやっぱりその辺りが一番……」
千歌「で! その次なんだけど!」
花丸「次?」
千歌「うん、映画やライブを見た後にね」
千歌「自分で書いてみるんだよ! お話を!」
花丸「……え? どういうこと?」 千歌「つまり創作活動だよ! その映画やライブを見て感じたものを花丸ちゃんが物語にして書くってこと!」
千歌「漫画でも本でも! もちろん曲の歌詞でも!」
花丸「!」
千歌「これなら知識を蓄えつつ発想力も鍛えられる! 一石二鳥の練習方法なのだ!」
花丸「確かに……凄いよ千歌ちゃん!」
千歌「でしょでしょ!? そうと決まれば早速映画館へレッツゴー!」
花丸「おー!」
花丸(別にお店で借りてもいい気がするんだけど……まあいっか)
オー!!
善子「向こう側、急にうるさくなったわね」
梨子「そんなに珍しいことでもないけどね」
善子「でしょうね」
梨子「あはは……でもあれだけ元気があるってことは、順調にいってるって感じかな」
梨子「私たちも負けてられないね、善子ちゃん」 善子「って言っても、作曲能力なんて一朝一夕で身に付けられるものじゃないでしょ」
善子「簡単なものならともかく公の場に出すものならね、この一ヶ月で身をもって思い知ったわ」
善子「まあそれでも私がやるしかないんだけどね、花丸は元々作詞側の手伝いだしそっちの方が本人的にも向いてると思うから」
善子「それに何より機械に疎い花丸にこの役割は無理だしね※DTMとか※DAWとか使い方絶対分からないでしょあの子」
梨子「そ、そうかも……」
DTM ※デスクトップ・ミュージックの略称、コンピューター、パソコンを使って音楽制作をすること全般を指す
DAW ※デジタル・オーディオ・ワークステーションの略称、パソコンで音楽制作するためのソフトウェアのこと 梨子「でも、なんかいいよね」
善子「何が?」
梨子「適材適所っていうのかな、お互いがお互いに相手が出来ないことを自分の得意なことで補いあって、それを繋ぎ合わせて一つの形にしていく」
梨子「誰が欠けても成り立たない……善子ちゃんたち三人を見てると、凄くそう感じるの」
善子「……別に、そんなの梨子達だってそうでしょ」
梨子「フフッ、かもしれないね」
善子「まあでも、ありがたく受け取っておくわ」
梨子「素直じゃないんだから」 善子「いいから続きやりましょ、次は何するの」
梨子「取りあえずこの一ヶ月で基礎知識やコード進行は理解出来るようになったから、次は数だね」スッスッ
善子「数って?」
梨子「そのままの意味だよ、数をこなして音楽をより身近なものに感じてもらうの」
善子「身近ねえ……もう充分身近だと思うけど」
善子「ほら、今までだって梨子の作曲の過程とか見てるわけだし」
梨子「私から見たらまだ足りないの、それに」 梨子「あのね善子ちゃん」
梨子「作曲が出来る人と出来ない人の違いって、才能以前にまず経験の差なんだ」
梨子「大抵の人はやらないから分からない、分からないから出来ない。ただ単にそれだけの話」
梨子「要はやってるかやってないかの違いで、それは傍から様子を見ているだけじゃ埋まらない」
梨子「プロが絵を描く様子を見ただけで、自分の絵が上達するわけじゃないでしょ?」
善子「確かにそうかもしれないわね」
梨子「まずは実際にやってみることが大事なの、だけど」
梨子「一般的に曲作りは文章とかと違って、別に出来なくても日常生活に支障をきたさない。それが余計に差を広げる」ピロン
梨子「だから好きでやらない限りはそうなってしまうのも仕方ないの……っと、終わったみたいね」 善子「で、何やってるのさっきから」
梨子「今、鞠莉さんに頼んで善子ちゃんのスマホに色んなジャンルの楽曲をリスト分けして送ってもらったわ。多分合わせて300くらい」
善子「さっ……本当に来てるし!?」バッ
梨子「1日で一気に全部聴く必要はないけど、その代わり毎日それを聴くことサボりは絶対に駄目」
梨子「そして聴き終わった曲から順に、スマホの作曲アプリで実際にそれらをコピーして感覚を掴む。これを繰り返す」
梨子「大事なのはそれぞれの曲のパターンを理解すること、知識だけじゃなく感覚でね。そしてインプットとアウトプット」
梨子「聴いて、真似して、覚えて、分析して、作って、弾く。この一連の流れに少しでも早く慣れるためにも」
梨子「私や善子ちゃんの家にいるときだけじゃなくて、外出中でもその課題はやってもらうから」 梨子「それと、引き続きピアノの方の練習もやるからね」
梨子「パソコンで作曲出来るからって言っても、やっぱり生の音は聴いておいた方がいいと思うし」
梨子「歌いながら演奏するっていうのも大切だから、曲作りだって楽器を弾けるのと弾けないのとじゃ結構違うよ?」
梨子「まあ色々言っちゃったけど、今日のところは私の部屋にいるからピアノの練習優先ね」
梨子「さっき言ったのは帰ってからでいいよ、ちなみに明日からやるは禁止。今日から始めて」
善子「スパルタ!!」 梨子「これくらいで何言ってるの、一朝一夕で出来るものじゃないって言ったのは善子ちゃんでしょ?」
善子「そうだけど!」
梨子「じゃあ決まりだね、はいここ座って」
善子(ああもう、梨子って自分の好きな分野になると途端にこれなのよね……普段よりピリッとしてるっていうか、手加減も一切無しだし)
善子(けど、初心者が上達するためにはこれくらいが丁度いいのかもしれないし……)
梨子「善子ちゃん、返事は?」ニコ
善子「……分かったわよ! やるわよ! ピアノ教えてください梨子先輩!」
梨子「よろしくね、じゃあ今回はこの曲を弾いてみようか」
その頃
ホテルオハラ
ルビィ「……終わった!」
曜「ルビィちゃんお疲れさま! 頑張ったねー!」
ルビィ「うん、曜ちゃんも色々ありがとう」
曜「あはは、力になれたようで何よりだよ」
ルビィ「鞠莉さんもありがとう、場所や素材用意してくれて」
鞠莉「ノープロブレム、これくらいどうってことないわよ♪」 曜「しっかし私たちが合宿やフェスライブをやってる間に、まさかルビィちゃんたちがこんな衣装を考えていたなんてねー」
ルビィ「ツバサさんの課題でね、曲やダンスの振り付けは間に合ったんだけど」
ルビィ「流石に全員分の衣装は厳しかったから」
鞠莉「でもそれ以外は全部こなしたってわけでしょ? あの期間中に」
鞠莉「そう考えるとやっぱりあの強化合宿に呼ばれた子達って相当レベル高かったのねー」
曜「だよね、二人だけで作ったわけだし」
曜「作詞と作曲かあ……向こうのほうは大丈夫かな」
鞠莉「花丸はあまり心配ないと思うけど、問題は善子ね。あっちは完全に初心者だし」 ルビィ「私も何とかしたいけど、作曲は理亞ちゃんに任せてたから力になれないし……」
鞠莉「うーんそうよね、課題だからといってなんでも共同作業ってわけじゃないわよね」
ルビィ(……ん? 課題?)
ルビィ(……あっそうか、それなら)スマホ
曜「でもそこまで気にすることかな」
曜「善子ちゃんには梨子ちゃんがついてるんだし、あまり問題ない気がするんだけど」
鞠莉「梨子が頼りにならないって話じゃなくて、色んな人に見てもらったり教えてもらったほうがあの子の助けになるかなと思っただけ」
鞠莉「所詮高望みってやつね、まあ私も多少はかじってるけど忙しいし……あまり面倒見れないのよ」 曜「そっかあ……確かに鞠莉ちゃんの考えも分かるけど、私は難しいと思うなそれ」
曜「だって千歌ちゃんが始めたときも、梨子ちゃんが転校してくるまでは作曲が出来なくて困ってたわけだし」
鞠莉「そういえば、それでライブが出来なくてダイヤに(仮)を付けられてたのよね。懐かしいわ」
曜「そうそう。だからこの辺りってそういった音楽に詳しい人、全然いないんだ」
鞠莉「困ったものね……」
ルビィ「じゃあ、呼ぶ?」
曜「ルビィちゃん? 呼ぶって……」
鞠莉「一体誰を?」 ルビィ「えっとね、多分来るのは冬休みになると思うんだけど」
ルビィ「私の頼れるお友達。今理亞ちゃんの方にも連絡とったけど多分大丈夫だと思う」
鞠莉「理亞に?」
ルビィ「うん、それでね鞠莉さん」
ルビィ「その冬休みのことで鞠莉さんと話したいことがあるの」
鞠莉「私に?」
ルビィ「あのね───」
─そして11月、ラブライブ最終予選当日
会場
ワイワイ ガヤガヤ
千歌「うわー賑わってるねー!」
曜「流石最終予選だけあってかなり注目されてるって感じ」
梨子「いよいよだね千歌ちゃん」
千歌「うん、練習はばっちり、準備も万端!」
千歌「あとは本番で成功させるだけ!」 鞠莉「みんなそろそろ時間よ、控室の方に移動して」
千歌「はーい、鞠莉ちゃんも応援よろしくね!」
鞠莉「ええ、頑張ってねみんな」
鞠莉「決勝に進出した後、またここで合流しましょう。その後お祝いよ!」
千歌「うん! よーしやるよみんな!」スッ
千歌「Aqoursーーーーーー!!!」
「「「サーーンシャイーーーーン!!!」」」
……
観客席
鞠莉「よいしょっと、さてさてどうなるかしらね」
「あの、理事長ですよね?」
鞠莉「あら? あなた達も来てたのね」
むつ「もちろんですよ! それに来てるのは私たちだけじゃありませんよ!」
いつき「クラスのみんなで千歌たちの応援に行こうって話してて!」
鞠莉「へえ、それは頼もしいわね」
鞠莉「きっと千歌っちたちも喜ぶわよ」 よしみ「でも、大丈夫かな千歌……」
むつ「こらこら、今そんなこと言ったって仕方ないでしょ」
よしみ「だってさあ……」
いつき「こんな時だからこそ、せめて私たちだけでも千歌の応援をしてあげないと」
鞠莉「ん? もしかして、千歌っちへの声援だけスルーされてること言ってる?」
いつき「いや、その……はい」 むつ「前からAqoursのファンだった人たちはそんなことないんですけど」
むつ「今はそっちが少数派ってくらい増えちゃいましたからねーAqoursに注目する人たちが」
鞠莉「そうよね、あなた達は千歌っちの頑張りをずっと近くで見てきたものね」
鞠莉「だからこそ今の千歌っちの扱いに納得いかないのは分かるわ、けど」
鞠莉「こうなってしまうのが特別あり得なかったわけじゃない」 鞠莉「私たちが普段目にしているテレビの取材とかで取り上げられるスーパースターだって」
鞠莉「向こう側からすればほんの一握りで、それ以外を私たちが知る機会はまずないでしょ? その業界に興味を持ってる人でもない限りね」
鞠莉「だけど、そういった選ばれてない人たちだって当然惜しみない努力をしているはずなのよ」
鞠莉「それなのに、そんな事実すら世間の皆様には知って貰えない」
鞠莉「何故ならほとんどの人が彼らに関心を持たないし、興味もないから」
鞠莉「でもそのことで周囲を責められないし責めたこともないでしょ? だって、スクールアイドル以外の私たちもその世間一般に含まれているんだから」
鞠莉「今はたまたまこっち側の、事情を知るほうに回ったってだけ」 よいつむ「……」
鞠莉「どこにでもあることなのこういう話は、そして」
鞠莉「今のAqoursは、もうそういったところにまで足を踏み込んでしまったの」
鞠莉「それはリーダーであり、現在進行形でその事実と向かい合ってる千歌っちが一番よく分かってる」
鞠莉「それこそ、今よりずっと前からね……」
───
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千歌『もう一回! もう一回お願いします!』
果南『だから駄目だって、もう終わりの時間でしょ』
千歌『えー! まだ全然やってないのにー!』
果南『今日は始める時間が遅かったからね、昨日もだけど』
千歌『それ私のせいじゃないもん!』
果南『いや分かってるけど』
鞠莉『千歌っちー果南ー、そろそろ閉めるわよー!』
果南『ほら鞠莉も来たし、また明日やろう千歌。ね?』
千歌『また明日って、明日で特訓最後じゃん! あーあ、家の手伝いさえなければなあ……』 鞠莉『二人ともお疲れさまでーす! で、どうなの調子は?』
果南『あと一歩ってところかな、まだ成功はしてないけどそろそろいける気がする』
鞠莉『へえ、楽しみね。一体どんなものが見られるのかしら』
鞠莉『フェスライブもみんな優秀な成績を残したし、そこに千歌っちの新しいパフォーマンスが入れば百人力ね!』
千歌『いやーそれほどでもー……あるかな?』
果南『こらっ成功する前から気を緩めない』 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています