ルビィ「片割れのジュエル」 3スレ目
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千歌「……ライブの内容は?」
善子「決勝と同じ、あなたがセンターでサビ前にロンバク宙を決める」
千歌「……っ……!!」ゾク
花丸「千歌ちゃん、マルたちは出来ないなんて思ってないからね」
善子「だからそこは問題じゃない、大事なのはやるかやらないか……でしょ?」
千歌「善子ちゃん、花丸ちゃん……」
善子「明日、待ってるから。行きましょ花丸」
花丸「うん、千歌ちゃんごちそうさまでした」
千歌「…………」カサッ
─ Aqours 3年生卒業ライブ ─
千歌「…………私は」 ─
梨子「善子ちゃんたち、千歌ちゃんに教えたみたいです」
鞠莉「そう、いよいよね」
鞠莉「それにしても梨子、まさか貴女の生徒会長としての最後の仕事が千歌っちのライブの協力になるなんてね」
曜「うんうん、初めに無理矢理引っ張ってこられて入部させられたことを考えると、なんかこう……くるものがあるよね。エモーショナルってやつ?」
梨子「曜ちゃん、準備は終わったの?」
曜「まあね、だからこっち来ちゃった。みんなは先帰っちゃったけど」 鞠莉「曜は梨子と一緒にいたいから帰りたくないのよねー分かるわ〜」
曜「鞠莉ちゃんっ!」
梨子「フフッ……ありがとう曜ちゃん」
曜「うっ……」
梨子「私も同じだよ、帰りたくないからここに残ってたの」
鞠莉「フー! 言うじゃない梨子!」
梨子「はい、私も鞠莉さんと離れたくなかったので」
鞠莉「……え?」 梨子「気付かなかったんですか?」
梨子「私ね、もっと鞠莉さんと一緒にいたかったんですよ」
クルッ
梨子「なんで、私が最後まで、生徒会長を続けたと思ってるんですか」
曜「……」
梨子「わたしっ……もっとここに、いたかったの…っ…」
鞠莉「……ズルいわよね梨子って」
鞠莉「いま、そんなこと言わないでよ」ポロポロ ……
千歌「ただいま」
志満「おかえりなさい」
美渡「また辛気臭い顔してんの、今度は何があったわけ」
千歌「分かってるくせに」
美渡「ってことは聞いたんだね」
千歌「……正直、怖いよ。やりたくない」
千歌「今度も上手くいかなかったらって思うと……手が震えるの」
美渡「……」
千歌「今までこんなこと、なかったのに」 美渡「……頃合いってやつかな」
志満「そうね」
千歌「え?」
美渡「よいしょ……っと」ドサッ
千歌「なにその荷物」
志満「まだあるわよ……ふぅ」ダン
美渡「ほれ、一枚読んでみ」スッ
千歌「……手紙?」
美渡「そう、そこに入ってるやつ全部批判の手紙」
千歌「っ!!」
美渡「と思うじゃん? ところがどっこい、違うんだよなこれが」 千歌「…………」カサッ
千歌ちゃんへ
ライブ見ました、ばくちゅうは上手くいかなかったけどとてもかっこよかったです
つぎのライブはいつやりますか? 次もぜったい見に行きます。
千歌「……これ、あの子の」
志満「ええ、ファンレター」
志満「それも家に来たものはぜーんぶAqoursじゃなくて千歌ちゃん個人へのものなのよ」
千歌「こんなに……っ!?」
美渡「ま、賛否両論あったのは事実だけど」
美渡「少なくとも、ここに来たことがあって、あんたのことをよく知るお客さんはそうは思わなかったってことだね」 千歌「……!」バッ
千歌ちゃんの笑顔にいつも励まされています
またライブやってー!
旅館で働いてる千歌ちゃんすごく可愛かった!
千歌「……」カサッ
応援しています。頑張って!
いつでも元気いっぱいで明るい千歌ちゃんが大好きです
たくさんの勇気と感動をありがとう
千歌「……」 美渡「千歌」
美渡「結果が全てだって言うなら、今そこにあるものだってその一部じゃないの」
美渡「それとも負けたから、こんな言葉は全部嘘だって本音じゃないって、そう思ってる?」
千歌「…………思ってない」
クシャ
千歌「思うわけ……ないよっ……!!」ポロポロ
美渡「ならもうやることなんて決まってるじゃん」
志満「千歌ちゃん、ファンの期待に応えるのもスクールアイドルとして大事なことなのよね?」
千歌「うん……私、やるよ」ゴシゴシ
千歌「今度こそやってみせるよ、最高のライブを!」
そして翌日……3月5日
東京
果南「そろそろだね……ていうか同接5万って凄いなあ、まだ始まってないのにこの数字とは」
ダイヤ「そもそもの知名度に加えてSaint Snowの宣伝もありましたからね」
ダイヤ「ラブライブ連続優勝グループのお墨付きとあらば興味を持つ人も多いでしょう」
果南「でもルビィちゃんが頼んだとはいえ、よく引き受けてくれたよね理亞ちゃんも」
聖良「……」
聖良「トップにいる者の発言は常に責任を伴う、しかしそれ故の説得力がある」 果南「それって」
聖良「ええ、以前私がAqoursの皆さんに言った言葉です。きっと理亞も覚えているでしょうね」
聖良「そして、あの子はそれを分かったうえでルビィさんの申し出を受けた」
聖良「つまり、それだけ期待しているってことですよ」
聖良「色んな人が、このライブにね」
果南「……そうだね」クス
ダイヤ「フフッ、もうすっかり人気者ですわね」 雪穂「うわー緊張してきた、プレッシャー凄いだろうなあ……」
穂乃果「楽しみだねー雪穂」
雪穂「私はそんなに軽く見れないよ」
穂乃果「大丈夫だよ、きっと」
雪穂「どうしてそう思うのさ」
穂乃果「うーん、何となく!」 雪穂(不安だ……でも)
雪穂(ルビィちゃんも理亞ちゃんも千歌ちゃんを信じているんだよね)
雪穂(たとえ少しの不安があったとしても、それでも)
穂乃果「千歌ちゃーんルビィちゃーん頑張れー!」
雪穂「よし、私もネガティブやめよう。応援しないと!」
穂乃果「えっ珍しい!」
雪穂「怒るよ!!」 ─会場
ガヤガヤ ザワザワ
よしみ「マイクよし、カメラよし、照明よし!」
いつき「オールオッケーでーす!」
むつ「了解、千歌ー! こっちはいつでも大丈夫だよー!」
千歌「分かったー! ありがとうみんなー!」 千歌「よし、じゃあ行こうか」
千歌「ルビィちゃん、善子ちゃん、花丸ちゃん、梨子ちゃん、曜ちゃん、みんなも今まで本当にありがとう」
千歌「これが本当に6人での最後のライブ! 乗り越えよう! 全員で!」
「「「うん!!」」」
千歌「いくぞーー!! Aqoursーーーーっ!!!」
「「「「サーーンシャイーーーーーーン!!!」」」」
……
…
少女「……」
「また見てるの? Aqoursのライブ」
少女「うん」
ー♪
千歌「」
少女「……ねえ、お母さん」 「なに?」
少女「私、大きくなったらスクールアイドルになる」
少女「私Aqoursみたいな」
少女「千歌ちゃんみたいなスクールアイドルになりたい」
「フフッ……そう」 「え、なにAqoursライブやってたの!?」
「お前知らなかったのかよ! 凄かったんだぞ! トレンド独占してるしほら!」
1.千歌ちゃん
3.Aqours
4.卒業
6.バク宙
8.ロンダート
「くあーっ! マジかーーっ!!! ていうか1位千歌ちゃんなの!?」
「いや、あれは他推しでもなるわ。実際──」
「俺もそうしたしな」 穂乃果「いやあー最高だったねーAqoursのライブ!」
雪穂「うん……」
穂乃果「なんていうか、輝いてたって感じ!」
雪穂「もうちょっと具体的な感想ないの?」
穂乃果「むっ、そういう雪穂はどうなのさ!」
雪穂「私? 私は……そうだね」
雪穂「もっと応援したいって思った」 雪穂(危なっかしくて、心配で……でも)
穂乃果「何それ! 私とそんなに変わらないじゃん!」
雪穂(ああ、そっか……今わかった)
雪穂(似てるんだ、あの子)
雪穂「うん、そうかもね」 千歌「───ありがとうございました!!」
「ありがとうございました!!」
ワアアアアアアアアアア!!!!
チカチャーーーン!!!
曜「やったね、千歌ちゃん」
千歌「うん、みんなのおかげだよ……本当にありがとう」
千歌「本当に……」
梨子「千歌ちゃん……」 千歌「ルビィちゃん、次のリーダーはルビィちゃんに任せるよ」
千歌「Aqoursのこと、頼んだよ」
ルビィ「うん」
千歌「善子ちゃんと花丸ちゃんも」
善子「……分かってるから」
花丸「…………」
千歌「あははっやだなーもう! そんなにしんみりしないでよ!」 善子「だって……」
花丸「行かないで……」
千歌「……大丈夫、私たちは信じてるから」ギュゥッ
千歌「ルビィちゃんたちなら、絶対に最高のスクールアイドルになれるって……信じてるから」
千歌「だから……ね?」
善子・花丸「……っ……」ポロポロ
梨子「千歌ちゃん、曜ちゃん、そろそろ」
曜「うん、今行く」 千歌「それじゃあ───「待って!!」
ルビィ「…………」
善子「ルビィ……」
花丸「ルビィちゃん……」
ルビィ「最後に一つだけ、言いたいことがあるの」
千歌「……なに?」 ルビィ「前からずっと思ってた……千歌ちゃんは」
ルビィ「いつも真っ直ぐで、元気で、明るくて」
ルビィ「失敗してもまた前に進んで……それでっ」
ルビィ「そんな千歌ちゃんを見て、みんな元気になって!」
ルビィ「私たちも頑張ろうって思えて! だから!!」
千歌「…………」 ルビィ「だから、思ったの」
ルビィ「千歌ちゃん」
ルビィ「今の千歌ちゃんは───」
ルビィ「まるで穂乃果さんみたいだね」
千歌「───!!」
『よし! 決めた!』
『曜ちゃん! 私スクールアイドルになる!』
『私μ'sみたいなスクールアイドルになりたい!』
『やろう! 一緒に!』
『私も!?』
『うん! 帰ったら果南ちゃんも誘うの! なんか前やってたみたいなこと言ってたし!』
『果南ちゃんもかあ、本当にやる気みたいだね千歌ちゃん』
『えへへっ! よーしやるぞーー!!』
『私も輝くんだ! μ'sのように!!』
その日、私たちは改めて
頑張るだけでは越えられない壁があることを知った。
……ポタッ
曜「」ポロポロ
梨子「曜ちゃん……?」
曜「本当は、勝たなくちゃって思ってた……心のどこかで」
曜「これで最後だから、負けたら終わるから……だけど……だけどっ」
曜「今はよかったって思える……っ……私じゃない……ルビィちゃんがそれを言ってくれるだけで」
曜「無駄なんかじゃなかったって、そう思える……っ……!」
梨子「……」ギュッ
曜「くぅっ……ぅ……ああああぁぁぁ……!!」
そして、幸せの青い鳥は自分たちのすぐ近くにいたんだということに
気付かされて
千歌(……ずっと、何かやりたいって思ってた)
千歌(やりたいことが出来てからは、ずっと、遠くのものを追いかけてた)
千歌(それが、私の求めていた輝きなんだってそう思って……)
千歌(だけど)
千歌(そうか、そうだったんだ)
私はもう、ずっと前から
手に入れていたんだね
千歌「…………っ……はは……なに、それ」
最高の褒め言葉だよ。
ルビィ「片割れのジュエル」
二年生編 終わり
三年生編へ続く
長くなりましたが二年生編はこれで終了です、お付き合いいただきありがとうございました
最後の三年生編についてですが、また新しくスレを立ててそちらで投下する予定です
なるべく早めに立てようと思っていますのでその際はよろしくお願いします
ここまで読んでいただきありがとうございました 涙がぽろぽろ出てしまった
乙
またスレ残ってたら誘導してほしいな 問題を次年度に持ち込まなくてよかった
(多分)最終章の3年生編も期待してます 自分は長編SSなんて読まないんだけどこれだけは別だわ
読みやすいし面白いよね ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています