【戒め系SS】穂乃果「3000怖い」
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3000
sanzen
さんぜん 三
。 。゚ 千
3 ゚ リ ´Д`゚ )っ゚ サ
0 (つ / ン
0 | (⌒) ゼ
0 し⌒ ン 駆け足タッタッタッ……
穂乃果「こっ……」
「怖いっっっっ!!!!」
「怖いよぉぉぉぉ!!!!」
「3000が怖いよぉぉぉぉ!!!!」
「どこまで逃げても、3000が追っかけてくるよぉぉぉぉ!!!!」
3000の幻を追い払おうと、両腕ブンブンッ!!
穂乃果「くっ、来るなぁっ!!!!」
「3000っ!!来るなぁぁぁぁっ!!!!」
(と、その時!!) ガラガラガラガラッッッッ!!!!!!!!
穂乃果「ひぃっっっっ!!!!」
(突如、紫色の地面にヒビが入り、足下にポッカリ開いた無限の闇の中へ––––)
穂乃果「きゃああああああ!!!!!!!!」
(穂乃果は真っ逆さまに、ヒュウウッと転落していった––––)
––––––––––––––––––
––––––––––––
––––––––
–––– 穂乃果「はっっっっ!!!!」
ガバッ!!
〜PM5:25、穂むら・穂乃果の自室〜
ことうみ「!!!!」
ことり「ほ、穂乃果ちゃん!!!!」
海未「やっと気がつきましたね!!!!」
穂乃果「ゼェ……ハァ……」両目剥き出し
寝汗ビッショリ……
穂乃果「…………」
「…………え?」
「ここは……私の部屋?」 (意識が回復した穂乃果が、ベッドの上で目を白黒させている)
穂乃果「あ、あれ?」
「確か私たち、カラオケBOXにいたんだよね……?」
「それがどうして、私の家に……」
ことり「なにも覚えてないの?」
海未「あなた、一曲歌い終わった後に、とつぜん意識を失ったんですよ?」
穂乃果「…………あ」
(混濁していた穂乃果の記憶が、徐々に鮮明さを取り戻し始めた––––) 海未「まったく……」
「あの後、私たちがどれだけ迷惑を被ったか……」
ことり「穂乃果ちゃんのお家の人に連絡して、車で迎えに来てもらったんだよ」
海未「あなたを車まで搬送する間、野次馬たちの視線の痛かったこと……」恥辱に耐えてる
穂乃果「…………そうだったんだ」
「…………ごめんね」
「ふたりに迷惑掛けちゃって」疲弊した声
ことうみ「…………」 海未「それはそうと、穂乃果……」
穂乃果「?」
_, -──- 、.
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海未「なんですか?『サンゼン』って」
穂乃果「」ドキリッ ことり「穂乃果ちゃんったら……」
「気絶してる間、ずっとうなされてたんだよ」
「『サンゼンこわい……サンゼンこわい……』って」
穂乃果「…………」目をそらす
海未「穂乃果っ!!!!」
穂乃果の両ほっぺグニュウウウウウ!!!!
穂乃果「いいいいいいっ!!!!」涙目
海未「私の両目を、よ〜〜〜〜く見なさい……」
穂乃果「う、うみひゃん……」
海未「これでもまだ、私たちに隠し事をしますか?」
瞬きもせずに、穂乃果を凝視する海未ちゃんアイ……
穂乃果「…………」 ことり「1人で抱え込んでないで、私たちに頼ってよぉ……」涙ポロポロ
穂乃果「…………」
(ついに観念した穂乃果が、事の真相を語り始めた)
穂乃果「じ、実は……」 _
〃 / `ヽ
j{ {ノ|ノヽリ 時を巻き戻すわね
. 〈八ト゚ ー゚ノ)〉
/_if丞{つ
ιくヒ士|>
し'ノ 〜昨日の昼下がり、校舎・中庭にて〜
にこ「いくわよ!!穂乃果!!」
「このセンタリングで、勝負を決めるのよ!!」
サッカーボールを宙高く蹴り上げる!!
穂乃果「…………にこちゃん!!」
飛んできたボールをトラップ!!
穂乃果「にこちゃんが繫いでくれた、この友情のパス……」
「これを決めなきゃ、男じゃない!!」女です
ゴールキーパー凛「来るなら来いにゃ!!」
両手をめいっぱい広げて……
ゴールキーパー凛「何人たりとも、このゴールを割らせないよ!!」
穂乃果「喰らえっ!!南葛っ!!」
「これが私の…………!!」 ┏┓ ┏━━┓┏━━┓┏┳┓┏━┓┏┓┏┳┓ ┏┓
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⊂リ`・ヮ・)
. ヽ ⊂ )
ピキィィン!! (⌒)|
Σ ○`J
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┗━━━┛┗━━━┛ ┗┛ ┗┛┗┛ キィィィィィィィン……
穂乃果「あっ……アレッ!?」
にこ「ちょっと!!どこへ向かって蹴ってんのよ!!」
凛「ゴールを遥かに超えて、場外ホームランだにゃ〜〜!!」
_人人人人人人人人人人人人人人人_
> ガチャアアアアンッ!!!! <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄
にこりん「」
穂乃果「あ…………」
(どうやら穂乃果の必殺シュートは、ゴールではなく、理事長室の窓ガラスを、文字通り割ってしまったようだ)
穂乃果「………………」
にこ「………………」
凛「………………」 ☆現実逃避タイム・スタート☆
穂乃果「…………や」
「やったよ!!にこちゃん!!」
「試合終了1分前で、ついに逆転したよ!!」
「コレで私も、スーパーヒーローだよ!!」
♪ _ _ _
♪ く7Z/ `ヽ
,| ,|ノノ^Y,}
リi|`・ᴗ・リ ♪
(( ( つ ヽ、
〉 とノ )))
(__ノ^(_)♪
ゴール名物・ホノダンス
にこ「でかしたわよ!!穂乃果!!」
「未来のなでしこJAPANのエースストライカーは、あんたに決まりよ!!」 凛「くっ……くっそ〜〜〜〜!!!!」
地面をドンドンッ!!
凛「スーパーグレートゴールキーパー星空凛とあろう者が……」
「最後の最後で……とんだ失態だにゃ……」歯ぎしり
穂乃果「今から祝勝会が、楽しみだなぁ〜〜!!」
にこ「見なさい、穂乃果!!」指差し
「穂乃果に夢中なチャンバが、こっちに向かって走ってきて……」
理事長「誰がチャンバですってぇ〜〜〜〜!?」
↑ビブラート全開
三馬鹿「あ…………」 (現実逃避から目が覚めた3人の前に現れた理事長は、例えるならば、羅刹の鬼の化身と言ったところか)
理事長「ちょっと!!あなた達っ!!」尖り声
「誰ですかっ!!窓ガラスを割ったのは!?」
凛「ランティス所属の鈴木愛奈って奴です」 \ /
\ 丶 i. | / ./ /
\ ヽ i. .| / / /
\ ヽ i | / / /
\
-‐
ー
__ げ ん --
二 = 二
 ̄. こ つ  ̄
-‐ ‐-
/
/ ヽ \
/ 丶 \
/ / / | i, 丶 \
/ / / | i, 丶 \ 凛「いったいにゃあ〜〜〜〜……」涙目
理事長「今の時代、下手なジョークでも裁判沙汰になるんですよ!?物を考えて言いなさい!!」 __
'´ 、`ヽ
i 人ヽリ)
イw(´ヮ`ハ それから?
と) 芥)つ
く/_i_i_>
し'ノ 〜放課後・部室〜
/⌒ _..二.._\
xく⌒Iニニユ_}
. / ,、丶` ``丶、
.′ / \
: ) `、
| U /\\ `、 `、
| | |/ - _-__ `、 `、
| | |⌒ニ- __ _≫x. |{ \
八 reシ⌒ reメA |\
|{|i {|〉V)ツ V)ソ )〉 八 )
|八 { __'_ 〈∧ {
|/介トミ. /: : : ; ///\
/八 込、 |_ : : _} ′\
| | 介i `¨ ¨´ イ{
____| |个u `¨¨´| 八
/| 八 {i| \ 圦〕iト\.,,_
/ i:| |i \辷____〕i〔___|__| \\ト、
/ i:| |i ]≧=‐-:i〔i:i:i:i:i| | | )、
. ′ i:|.リ ]ei:i:i:i:i八i:i:i:i〈__, | | /{
} i:| `_i:i:i:i:i/ }〉i:i:i:i:/ ∨ {
/ / `_:i:i// /i:i:i:/ '. {
絵里「まったく……」腕組み
「とんでもないことをしてくれたわねぇ……」 海未「あんなに怒っている理事長は、初めて見ましたよ……」
軽蔑しきった表情で……
海未「そんなにサッカーがしたいのならば、そこらの少年サッカー団にでも入団すればどうですか?」
「頭のレベルが小学生なあなた達には、さぞかしお似合いでしょうねぇ……」怖い笑顔
三馬鹿「…………」床に正座
リ`・ _ ・) J(*’ _ ’*)し (・ ω ・)
( J J ( J J ( J J
( 、_)_) ( 、_)_) ( 、_)_)
(並の神経の持ち主ならば、これだけ威圧的なお説教を喰らえば、たちまち許しを請うに違いないだろう)
(だが、そこは叱られ慣れている三馬鹿である––––) にこ「ほら、みなさいよ……」ヒソヒソ
膝で穂乃果をつっつき……
にこ「穂乃果が不吉な技名をつけるから、こんな結果に……」ヒソヒソ
穂乃果「え〜〜〜〜っ!?」ヒソヒソ
凛「ホント!!なにがノーエグジットだよ!!」ヒソヒソ
「時代はもっと、パーシャルでポジティブで、単純明快な技名を求めてるんだよ!?」ヒソヒソ
穂乃果「わ、私が厨二病だとでも言いたいの!?」ヒソヒソ
「にこちゃんの『ぴょんぴょこドリブル』や、凛ちゃんの『くるりんハンド』よりはセンスあるっしょ!?」ヒソヒソ
机バンッッッッッッッッッ!!!!!!!! 三馬鹿「ヒッ!!!!」身が縮む
絵里「全っ然反省してないようね!!あなた達!!」
「この請求書、一体誰が責任を取るつもりなのよ!!」金切り声
3人の前に、ビシッと突きつけっ!!
請求書
窓ガラスの弁償代
¥9000円也
理事長
穂乃果「きゅ……9000円!?」
海未「あなた達が割った、理事長室の窓ガラスの弁償代ですよ」
「これでもまだ、事の重大さに気づかないというのですか?」
凛「凛、法律の授業を選択してないから分からないにゃ」 \ /
\ 丶 i. | / ./ /
\ ヽ i. .| / / /
\ ヽ i | / / /
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二 = 二
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/ ヽ \
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/ / / | i, 丶 \
/ / / | i, 丶 \ 凛「さっ……さっきと同じ場所を殴られたぁ〜〜!!」涙目
にこ「底抜けのアホ……」ジト目
絵里「まったく……バカに付ける薬ってないものかしら?」腰に手を当て
海未「どうでしょう……絵里」
(突如、打って変わって柔和な口調になった海未が––––)
海未「この際……ガラスの弁償は、この3人に全額負担させるっていうのは」ニコニコ
穂乃果「えっ」 絵里「そうね……」
「こんな馬鹿げた事に、私たちも巻き込まれたくないし……」ポニテかき上げ
にこ「ちょっと!!なに勝手に話を進めてるのよ!!」
「弁償代は、部費で賄えばいいじゃない!!」
海未「はぁ?」
「あなた達3人の尻ぬぐいに、どうして私たちの部費を使わなければならないのですか?」
絵里「こんな私的な事に部費を使うだなんて、ミトメラレナイワァ!!」
にこ「ぐぬぅ……」
(正論を言われては、口から先に生まれたような矢澤にこでさえも、為すすべもない) 海未「決まりですね」
「たった今から、この請求書はあなた達3人のものです」
凛「あ、ゴメンね。海未ちゃん」
「凛、事務所の検閲を通ったモノしか受け取らない方針だから」
海未「…………」
海未、「はぁ〜〜〜〜っ」と拳に息を吹きかける……
凛「わっ!!わかったからわかったから!!」
「だからもう、げんこつはやめてよぉ!!」怯える 海未「では、1人3000円でお願いしますね」
凛「そ、そんなぁ〜〜」
「凛、いま財布の中は、火の車だってのにぃ……」
にこ「にこだって……」弱りきる
「いきなり3000円用意しろだなんて……」
海未「親に頼んで、おこづかいを前借りしてくることですね」
「法に触れない手段で、明日までに耳をそろえてキッチリ用意してくださいよ」ドライな口調
穂乃果(ううっ……)
(既におこづかいは、何ヶ月分も先の前借りをしちゃってるし……)
(明日までに3000円だなんて、お母さんになんて言えば……) 「´~'';;ー::..、,,___
ヽ. '''''''::;;;;;:O`'':::::..、__ ,_
ヽ. ''''''''::;;;;;;;;;;;`''::::..、__ |ト、
ヽ.____ '''::;;;;;;;;;;`''::::..、__ ノノ l
それから? 从*´ ヮ`ル `ヽ. '''''::;;;;;;;;;`:::':..、.|
ヾ. ̄ ̄`ヽ〉 ''''::;;;;;;ヽ.
ヽ 三三三彡 __,,,`:.,,________
`ヽ. ー―''''´'''''''''''''''''''''''''''''''''''''_/
,ノ ヽ. - 、 _,,. -''´
,,/ .ヽ. ヽ. _,,. ‐''´;;;ヽ.
,,/ j`ヽ. `ー''´ ;;;;l
/_, --―――''´ `ヽ ;;;;|
 ̄ `ヽ. ;;;;| (夕暮れの通学路を、ひとりトボトボと家路に向かう憂えた少女––––)
穂乃果「ああ……」
「考えたくもない……」
「どうやって明日までに、3000円を工面すればいいのか……」
〜穂むら〜
扉ガラララ……
穂乃果「ただいまぁ……」上の空
雪穂「あっ、お姉ちゃん」
穂乃果「ん〜〜?雪穂?」
(母の姿は店内にはなく、代わりに雪穂がカウンターに立っていた) 穂乃果「……お母さんは?」
雪穂「さっき居間で見かけたときは、家計簿を付けてたけど……」
穂乃果(うっわ〜〜……)
(最悪のタイミングじゃん……)
(お母さんって、いっつも家計簿を付けてるときは機嫌が悪いんだよね……)
(そんな時に『3000円貸して』って言おうモンなら、親子の縁を切られるのは必至……)
(時機が悪いと見た穂乃果は、母への懇願を諦め、自室へ向かおうとしたが––––)
スタスタスタ……
(居間の前を横切る以上、否が応でも居間の様子が、穂乃果の視界に飛び込んでくる––––) 〜穂むら・居間〜
穂乃果「…………ん?」
「お母さん、いないや……」
(テレビが付けっぱなしのままに放置されていた居間には、ついさっきまで誰かが居たような痕跡があった)
穂乃果「あ、家計簿……」
(テーブル上に散乱していた母の面影は、自室にむかうハズだった穂乃果を、磁石のように吸い寄せた)
穂乃果「お母さん……家計簿付けてるときは、いっつも頭が痛そうな顔をしてるけど……」
「ひょっとして、ウチって貧乏なのかなぁ……」
(一抹の不安を感じた穂乃果が、こっそり家計簿を盗み見したところ––––) 穂乃果のお小遣い前借り分 4000円
穂乃果にたかられた分 2700円
穂乃果が店の商品を 1675円
盗み食いした損失分
穂乃果がキャリア支払いで 8000円
スクスタのガチャ回した分
穂乃果「ひぃっ…………」青ざめ
「バレてないと思ってたけど、しっかりチェックされてた……」
「娘がこんなに散財してたら、そりゃあ頭を抱えるよね……」
穂乃果「…………ごめんなさい、お母さん」
「将来、私が大人になって小金持ちになったら、高級な老人ホームに入所させてあげるからね……」
持ってた家計簿を、テーブルに置き直し…… 穂乃果「え〜〜っと、それから……」
「テーブルには、大量のレシートと……」
「…………」
(金策の事で頭がいっぱいだった穂乃果の目は、『それ』に釘付けとなった)
穂乃果「もうっ!お母さんったら!!」
「財布を置きっぱなしにするなんて、不用心にも程があるよ!!」
(小洒落た根付をぶら下げた母の財布が、穂乃果に囁いた)
(この中には、大勢の福沢諭吉や野口英世が監禁されているぞ––––と)
穂乃果「………………」
穂乃果「ゴクリ……」
(魔に魅入られた穂乃果が、はたして財布の中を覗きこむと––––) ,,r'"´ ̄ ̄`""´´~`'‐、
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野口英世G「やぁ」 /三ンyイミ=-、__
,川ミミミヾミヾミヾミヾミヽ、
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野口英世H「やぁ」 穂乃果「わぁ……」息をのむ
「英世がいっぱいだぁ……」
財布をもつ手プルプル……
穂乃果「た……例えばだよ?」
「例えばの話だよ?」
「これだけ英世がいたらさぁ……」
起伏のない顔で……
穂乃果「3人ぐらい行方不明になっても、気づかないよねぇ〜〜……」
スタスタスタ……
ほのママ「…………あれ?」
「穂乃果、いないの?」 (既に穂乃果が去った後の居間の前で、立ち尽くすほのママ––––)
ほのママ「変ねぇ……」
「さっき、穂乃果の声がしたような気がしたんだけど……」
「何か、用事でもあったのかしら?」
(犯行は、母がトイレに行ってる約3分間の間に行われた) 〜その夜……夕食時〜
ほのママ「穂乃果〜〜!!」大声で
「はやく降りて来なさ〜〜い!!」
「ご飯が冷めちゃうじゃな〜〜い!!」
雪穂「寝てるのかなぁ?お姉ちゃん」
ほのパパ「…………」ご飯モグモグ :::::::::/:::::::::::::: : : : : : : :/ :..:/ /:./: : ::::::::::::::::: : :|: |:|`¨¨¨乙...,,__: : : : : : : :::::::::::::::::::::|
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ー‐|:ハ::::::..: : :|: : : | 斗-=元=气k∨ゝ}:..:| 厶斗=元==气 /}: :}: : ::::| |::::::::::
,ノl| |:::::..: : :| : : :{ 《 乂辷r少 ⌒ } ∨{ 乂辷r少 》/ 1:./: : ::::: ′/
l| :::::..:.: :| ∨ :, ` ー== \ ー== ´ |/: :::::::/ //
l| \::: : | V:{ :: /: :::::::/ イ/ /
l| ,. --――-- ! ,,.. ----―‐‐…… ./
> ´ `¨¨¨¨..,,¨¨¨¨¨¨¨¨´ `
` ..,, 丶
` ..,, 〜穂乃果の部屋〜
(照明も付けずに、真っ暗闇な部屋の片隅でブルブルと震えているのは––––)
穂乃果「やった……」
「やってしまった……」
(激しい自己嫌悪に陥っている穂乃果の手に握られているのは、汗で湿った千円札が3枚––––)
穂乃果「小学4年の時に、『ちゃお』の最新号が欲しくて、雪穂の貯金箱から500円玉を失敬した事があるけど……」
「今回はそれを遙かに上回る、神をも恐れぬ大悪事だよ……」
「…………はぁ〜〜」
溜め息混じりに……
穂乃果「なんて悪い子なんだろう……私って」 〜再び、居間〜
ほのママ「もぉ……」呆れ顔
「いっぱしの有名人になっても、ぐうたらなのは直らないようね」
雪穂「お姉ちゃんにそこまで求めるのは、酷な注文だと思うよ」
頬杖をつく……
ほのママ「私にはどうしても理解できないわ」
「あの子が受賞に値するだなんて……」
雪穂「??」
「賞??」鳩豆顔
ほのママ「ウフフ……」
「これはまだ、穂乃果には内緒なんだけどね……」
雪穂「え?」
ほのママ「実は明日の、PTA会議でね……」ニヤニヤ
ほのパパ「…………」味噌汁ズズーッ
从*´ ヮ`ル それから
| | どうしたの?
| |
| |
| |
| |
| |
| |
_| ⊃/(___
/ └-(____/ 〜翌日・部室〜
絵里「にこ、穂乃果、凛……」
「ちゃんと弁償代を持ってきたのでしょうね?」
穂乃果「…………」
ことり「大丈夫?穂乃果ちゃん」オロオロ
「朝からずっと、顔色が優れてなかったけど……」
穂乃果「…………」 |: : : :/丶、 / : : : : : : : : : : : : / : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :‘,
|: : く \/ : : : : : : : : : : : : / : : : : : : : : :|: : : : : : : : : : : : : : : : ‘,
|: : : : ー=ミ / : : : : : : : : : : : : / : : : : : : : : : : |: ,。*'゚廴__ : : : : : : : : : : |
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: : :/: : : : : / |: : : : : : :| { ` V : : : : |′´ |: : : |: : : 从
.′:/: : : : : / i|: : : : : : :| x≦f 笊苅ミV : : |:| 斗 笊苅ミメ | : : ハ: :/: :∧
{: : {: : : : : :{ 从 : : : : : ‘, \ ヒzzzソ ∨: :N 弋zzzzソノ : : /」}/: : : :∧
∨ ト : : 从 .′: :、: : : : ‘, \{ / : /,ノ : : : : : ∧
V{ \ : : ハ {: : : : :\: : : : :、 . : /: : : : : : : :} : ハ
. \ ヽ: : } ∨: : : : : \: : : \ ' /ィ" : : : : : : } : ∧ : :}
}: / ∨: : : : : : :`⌒ヽ} __ __ /: : : : : : : :/: / V }
ノイ ∨: : : : : : : : : 个 . . 个 : : : : : : : /: / V}
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x≦ | i| \ / :| i| ゚'*。.
/′ / V〉 `¨¨V¨¨´ / / V〉 \
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〃 | | {ニ//ニニ//:`Y¨Y´ /ニニ//ニニ} | |
{ | | ∨/ニニ//ニニ|ニi|//ニニ//ニニ/ | | } (この土壇場にきて、穂乃果の良心が最後の抵抗を見せていた)
穂乃果(…………できない)
(やっぱり、私にはできないよ……)
(こんな泥棒みたいなマネは……)
(絵里ちゃんや海未ちゃんには、なんとか頼みこんで期限を延ばしてもらって……)
(この3000円は、お母さんの財布の中に戻そう……)
(いまの穂乃果にとって、一縷の望みは––––)
穂乃果(そ、そうだよね……)
(みんなで怒られれば、怖くないよね?)
(昨日の様子からだと、にこちゃんや凛ちゃんだって、きっとお金を工面できなくて……)
凛「ふっふ〜〜ん!!」ふんぞり返り 海未「おや……?」
「えらく得意げじゃないですか、凛」
絵里「その様子だと、期待していいのかしら?」
凛「お母さんへ素直に話して、お金を貰ってきたよ!!」
穂乃果(…………え?)
花陽「え、えらいよ!!凛ちゃん」
真姫「どうやら、取り越し苦労だったようね」
「あなたの事だから、有耶無耶にするんじゃないかって危惧してたけど……」カミノケクルクル
凛「エヘヘ〜〜……」ニンマリ
(と、みんなから誉められて上機嫌な凛が、ブレザーのポケットから取りいだしたるは––––)
凛「はい!!絵里ちゃん!!」 絵里「プフッ!!」
凛「あ〜〜っ!!絵里ちゃんが笑ったにゃ〜〜!!」
絵里「〜〜〜〜〜〜〜〜」ツボった
希「エリち……」百年の恋も冷める
凛「この子、笑いのレベルが赤ちゃんなのぉ〜〜!!」雑なものまね
海未「凛!!それが高校生のやる事ですか!?」
目に角を立てて……
海未「お札に折り目を付けるだなんて、バチが当たりますよ!!」
凛「フンだっ!!せめてもの抵抗だよっ!!」 絵里「アハハハッ……」
海未「絵里も何ですか!?」
「こんな子供だましなネタで笑うだなんて、程度が知れますよ!!」
絵里「ご、ごめんごめん……あはは」
凛「ねぇねぇ!!知ってる!?絵里ちゃん」
「お札に印刷されてる、この捺印みたいなのに、おちんちんが隠されてるんだよ!!」指差し
希「はいはい、凛ちゃん……」
背後から凛の口を塞ぐ!!
希「お薬の時間やから、病室で静かにしてようね……」
凛「うぐっ、うぐうぅぅぅ……」モゴモゴ 穂乃果(クッ……)
(まさか凛ちゃんが、約束を違わずに持ってきたのは想定外だったよ……)唇噛みしめ
顔をクルッと、にこへ向けて……
穂乃果(こうなりゃ後は、お金とは縁が薄い矢澤さんに、全幅の期待を寄せるしか……)
にこ「ほんと、バカよねぇ〜〜!!凛ったら」
「素直に渡せばいいのに、変化球でいくから……」 絵里「そういうにこは、ちゃんと3000円持ってきたのかしら?」
希「無理そうだったら、月々300円の10回払いでもええんよ?」ニシシッ
にこ「ばっ、バカにしないでよっ!!!!」
(侮辱されて、顔を紅潮させたにこは––––)
バンッッッッ!!!!
(財布の中から千円札を3枚取り出し、机の上へ憎々しげに叩きつけた)
シーーーーン……
にこ「…………??」
「ど、どうしたのよ?みんな……」 メンバー達「…………」
花陽「ねぇ、にこちゃん……」
「正直に言ってよ」
にこ「へ?」
花陽「こうなる前に、どうして私たちに相談してくれなかったの?」目がウルウル
真姫「念のために聞くけど……にこちゃん」
「このお金、どうやって『きれい』にしたの?」
にこ「ちょっ……あんた達……」
凛「とうとうヤッてくれたにゃ!!にこちゃん!!」
「もうこのアイドルグループは終わりだ〜〜!!」
にこ「なっ!!何よっ!!」
「みんなして、変な妄想を膨らませちゃって!!」
「お小遣いを前借りしてきただけで、なんでこんなに疑われなきゃなんないのよっ!?」むくれる 穂乃果(う、嘘でしょ……?)
(この2人のことだから、絶対踏み倒すと思ってたのに……)
(これじゃあ、穂乃果ひとりだけ逃げるわけにはいかなくなったじゃん……)
海未「さて……」 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
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__________________________________
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:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::穂乃果へ冷たい視線を飛ばす海未……:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 穂乃果「ひっ!!」背筋ゾクッ
海未「残るは、穂乃果だけですね」
絵里「まさか私たちのリーダーが、ガラス代を支払えないだなんて事はないでしょうねぇ?」皮肉な笑み
穂乃果「うっ…………」
ことり「まさか、穂乃果ちゃん……」
「朝から様子がおかしかったのは、お金を用意できなかったから……」
穂乃果「い、いや……」
「そ、そのぉ〜〜……」
海未「………………」
「その様子では、どうやら弁償代を用意できなかったようですね……」
穂乃果「あわわわわ……」
脂汗タラタラ…… 穂乃果「う、海未ちゃん!!せめて、次のおこづかいが入るまで待って……」
海未「あなた、おこづかいは当面先まで前借りしてるって、前に私に言ってましたよねぇ?」
穂乃果「うぐっ!!」
ことり「ねぇ、海未ちゃん……」助け船
「支払いの期日は延ばせないの?」
海未「今日中までに支払うって、すでに理事長との約束を取り交わしてますから……」
ことり「そっか……」ションボリ
穂乃果(ちょっと!!簡単に諦めないでよ!!)
(いつもの『おねがぁ〜〜い!!』を使って、海未ちゃんの考えを改めさせてよぉ!!)
海未「…………仕方がありませんね」
「せめて、この手段だけは取りたくはなかったのですが……」
穂乃果「…………?」 (海未はヤレヤレといった面持ちで、携帯を取り出し––––)
絵里「ちょ、ちょっと海未?」
「何をする気なの?」
海未「弁償代を取り立てに、これから穂むらへ向かいます」毅然
穂乃果「う、ウチへ!!??」
海未「ええ……ですから」
「穂乃果の家の人へ、事前にアポイントメントだけは取っておこうと思って……」
穂乃果「は……はわわ……」愕然
穂乃果(や、やだよ……!!)
穂乃果(お母さんの3000円を、無断で使うのもイヤだけど……)
穂乃果(こんな形で、ガラスを割ったのを家族に知られるのは、もっとやだよ!!) 海未「じゃあ、電話をしますね」
(海未が慣れた手つきで、穂むらに電話を掛けようとしたところへ––––)
穂乃果「…………まっ」
「待って!!!!」右手で制止をかけて
携帯を弄る手ピタッ!!
海未「…………え?」
穂乃果「おっ、お金なら……」
「お金ならちゃんと……」
穂乃果「…………ここに」
海未「…………穂乃果?」
(きのう誘拐してきた野口英世3人を、ゴソゴソと財布から取り出した穂乃果は––––) 穂乃果「…………はい」
3000円差し出し……
穂乃果「これでいいんでしょ?」海未の目を見ずに
海未「…………」
(海未は穂乃果の震える手から、3000円を受け取った)
海未「…………確かに」
絵里「これで3人分合わせて、9000円……」
「ガラスの弁償代が、ようやく支払えるわね」
お札の束を、テーブル上でトントンと整え……
絵里「じゃあ、このお金を納めに理事長室へ行ってくるわね」
海未「頼みましたよ、絵里」 穂乃果(ついに……)
(ついにお母さんのお金を、使い込んじゃった……)
(穂乃果、人の道を踏み外しちゃったよ……)
全身を駆け巡る悪寒……
穂乃果(もう、後戻りはできない……) ,,-' _,,-''" "''- ,,_  ̄"''-,,__ ''--,,__
,,-''" ,, --''"ニ_―- _ ''-,,_ ゞ "-
/ ,,-",-''i|  ̄|i''-、 ヾ {
(" ./ i {;;;;;;;i| .|i;;;;;;) ,ノ ii
,, ( l, `'-i| |i;;-' ,,-'" _,,-"
"'-,, `-,,,,-'--''::: ̄:::::::''ニ;;-==,_____ '" _,,--''"
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._,-"::::/  ̄"''--- i| |i ヽ::::i
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`''-,_ヽ:::::''- ,,__,,,, _______i| .|i--__,,----..--'''":::::ノ,,-'
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 ̄ ̄"..i| .|i
.i| |i
\ | / /
それから? 从*´ ヮ`ル
〜通学路〜
(母のお金を横領した罪悪感の前には、さしもの穂乃果も抗いがたく––––)
(その後の練習でも、穂乃果の表情を覆った影が晴れることは無かったのである)
(そして、2年生組で下校中の事––––)
トボトボトボ…………
穂乃果「………………」死人の表情
ことり(かなり堪えてるね……穂乃果ちゃん)
(練習の間も、全く一言も発しなかったし……) 海未「いい加減、過ぎたことは忘れなさい。穂乃果」
「みんなの前では言えませんでしたが……」
「………………」
「その……」
言いづらそうに、頬をポリポリ……
海未「ちゃんと責任を取ったのは、立派でしたよ」
穂乃果「………………」心に響かず
海未(…………)
(何か言って下さいよ、穂乃果……)
(私だって、好き好んで憎まれ役をやったワケじゃないんですよ?)
(ああでもしないと、グループの規律が守れないと思って、つい……) ことり(もうっ!!海未ちゃんの鬼軍曹!!)
(元はといえば、海未ちゃんが頭ごなしに責めるからじゃん!!)怒りプンプン
(見かけによらず、打たれ弱いんだから!!穂乃果ちゃんって)
ことり(……よしっ!!)
(意気消沈な穂乃果を元気づけるべく、ことりは行動に移した)
(穂乃果の前へ、器用に回り込んで––––)
ことり「♪ほ〜〜のかちゃんっ!」甘々ボイス ,, ―'´ ̄`ヽ、 _
. /{ ̄`ヽ. . . . ./:_:_:_{_ γ´  ̄ ̄ ` 、
/...}: : : :--‐… ´. . . . . . . . ヾ._._._. . . . . . . . \
⌒{....{/. . . . . . . . -----/. . . . . . .\. . . . . . \
. . ./. . . . . . /_____ 〃/. . . . . . . . . \. . . . . . ヽ ヒョコッ!!
., '゜. ...../j/´ ` / ′. . . . . . ...|. . . \. . . . . .}
. . . ./ ≫===ミト、 { {. . . . . . . .......|. . |. . .リ. . . }ヽ
. ..../ 〃 x‐い‐ 、ヾハ ー- 、 . . ......|. . |. . . ..} . 人. }
/{/ {i//し゚/iハ 从 \_,,,,ノ. . j. . . .ノイ. . }ノ
.........⌒ヾ__0jノ \ /}. . . . . . . .ハ
(:::::::::::::ヽ ___ 丶. . . .}i.... . . :,
:::::ノ ≫==ミト、 \ ノ.}. . . . .′
\ ,:: x‐い 、ヾハ ∨ . . . . |
___ {//し゚小 }} .′. . . ...|
/::::::::::\\ \/0/iリ }iニ/. . . . . . ′
´ ̄ ̄丶:::ーヽ ...... ヾィ 〃 /. /. . . . /
| ヽ:::::} (:::::::::::ヽ /イ. . . . ./
、 }::/ :::::::ノ / . . . ...イ
\ / /. . . . /....} 穂乃果「……ことりちゃん?」
ことり「このまま家に帰ったって、沈みきった気分は晴れないと思うよ?」
「それよりも、今から3人でどっか遊びに行こうよ!!」眩しい笑顔
穂乃果「遊び?」トロンとした目
海未「そ……そうですね!」
「私もちょっと、昨日から穂乃果に辛く当たりすぎましたし……」
「ここらで、手打ち式といきましょう!」
(やはり、穂乃果をここまで追い込んだ事に負い目を感じていたのか––––)
(いつもは寄り道を渋る海未が、珍しく即決で乗った)
穂乃果(…………そうだね)
(延々と気に病んでるだなんて、私らしくないし……)
(一番の特効薬は、何かに夢中になって、早く忘れる事だよね) 海未「久しぶりに3人で、山手線を一周しましょうか?」
ことり「もうっ!!海未ちゃんったらぁ〜」
「前にそれやった時、リストラされて行く場のないリーマンみたいで、いたたまれなくなったじゃん!!」しらけ顔
「JKが憂さ晴らしをする所といえば、カラオケが相場だよ!!」
海未「……そうですか」ちょっと残念
穂乃果「あ、でも……」
ことうみ「??」
ことり「どうしたの?穂乃果ちゃん」
穂乃果「穂乃果、豪遊できる程のお金を持ってないや……」シュン
ことり「………………」
(穂乃果の為なら何だってやる所が、南ことりという女の真骨頂なのだ) ことり「大丈夫だよ!!穂乃果ちゃん」
「穂乃果ちゃんの分は、海未ちゃんが奢ってくれるから!!」
海未「なっ!!!!????」ギョッ
「私だって、月末で懐具合が……」
海未の左手の甲をツネツネッ!!
海未「いっっっっ!!」
ことり「誰のせいで、穂乃果ちゃんが落ちこんでると思ってるの?」海未の耳に囁き
海未「うっ……」タジタジ
(クールはピュアに弱い––––ラブライブ世界の常識を、垣間見た瞬間である) ことり「よ〜〜〜〜しっ!!」
「じゃあカラオケで、決定だね!!」
海未「はぁ……」左手をサスサス
「ま、いいでしょう」
海未「穂乃果、駅前のカラオケBOXへ行きますよ」
穂乃果「…………」
「海未ちゃん、ことりちゃん……」
ことうみ「??」
穂乃果「…………ありがとう」 . /: : : : : : :/: ! /: : : : : : : : : : : : : : : '": : : : : :\
/: : : : : : :/ :└‐/: : : : : : : : : : : :/: : :/ ´: : l|: : :\
/: : : : : : :/ : : : :/: : : : : : : : : : //: ://: : : : : :|: : : : ‘,
. /: /: : : :/ : : : : ′: : : : : : : :/___{/ .:′: : : : : |: : : : : ‘,
/ イ: : : : :/ : : : : : |: : : : : : : 〃´ `ヽ{: : : : : /: :|_: : : : :
/ { : : : /: : : : : : :i|: : : : : : :/ ,xー==ミ 、 {: : : : / : ノ ‘, : : :|
‘, : : {: : : :/⌒i: : : : : : :{ (:::::(__ハ}ヽ} ‘, : :/{/ }: : : |
‘, : :{: : :i{ rヘ リ: : : : :从 \z少 ‘,/ `ヽ/: : : ′
∧: ∨八 {う /{ : : : :{ .. .. .. { x==ミ /: : : :{
∧: ∨: :\__ ‘, : :从 {__)ぅ} }′: : 从
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人: : : :/ニニ从: /ニニ\\{: :`¨:¨´:/}: 八{
/_ヽ: :{ニ / }/ニニニニニ¨¨¨¨≧=く ノイ }}
. /ニニ\ ニニニニニニニニニニニ/ニニニニ\ リ
/ニニニニニニニニニニニニニニ/ニニニニニニニニ 、
. /ニニニニニニニニニニニニニニ〃ニニニニニニニニニ∧
/ニニニニニニニニニニニニニニ/ニニニニニニニニニニニニ∧ (穂乃果の顔に、久しぶりに陽気が差し込み始めてきた)
ことり「そうそう!!」
「やっぱ穂乃果ちゃんは、笑顔が一番だよ!!」
海未「その調子で、いっぱい歌って見せて下さいね」
穂乃果「うんっ!!」ニコニコ
「よ〜〜しっ!!そうと決まれば、駅前まで競走だよっ!!」
ダッ!!!!
ことり「あっ!!穂乃果ちゃん」
海未「やれやれ……」
「宥めるだけ宥めたら、今度は有頂天になって……」
両手を開いて、頭を振り……
海未「あまり元気づけるのも、考え物ですね」 (口では皮肉を叩きながらも、復活した穂乃果を見つめる海未の表情もまた、喜色に溢れている)
穂乃果「へっへ〜〜〜〜ん!!!!」
「穂乃果が1番乗りしちゃうんだからねぇ〜〜〜〜!!!!」稚児の心持ち
(駅前へ向かって爆走する穂乃果の姿は、とても親の財布に手を付けたとは思えない程に、健康優良児に見えた)
(が––––)
(ふと、路傍の電柱に張られた広告を見たのがマズかった) 『JR秋葉原駅から徒歩5分!!
新築3LDKマンション
3000万円〜 』 穂乃果「」
(広告に踊ってある『3000』の数字を見た瞬間––––)
心臓ズキンッ!!
(穂乃果の心臓は、まるで怪力漢に握り潰されたかのような、激しい痛みを覚えた)
海未「??」
「どうしたのですか?穂乃果」
(苦悶の表情で胸を押さえ込み、立ち止まってる穂乃果の元へ、ふたりが駆けつけると––––) ことり「…………!?」
「どうしちゃったの!?」
「すごい冷や汗だよ……」マジマジ
穂乃果「あ……」
「な、何でもないよ!!何でも!!」
ことうみ「????」
穂乃果「ほらほらぁ!!グズグズしてると置いてっちゃうよ!!」
ダダダダダダダ…… 穂乃果(忘れてやる……)
(何が何でも、忘れてやる……)
(3000円の嫌な記憶は、楽しい思い出で上書きしてやるんだ……)
(広告から一歩でも遠くへ逃れようと、穂乃果は一路、秋葉原駅前へ走り去った) アイツの噂でチャンバも走るのは流石にネタが古いっすよ理事長 しまむらまた顕示欲が抑えられなくなって戻ってきたか 理事長「ちょっと!!あなた達っ!!」尖り声
「誰ですかっ!!窓ガラスを割ったのは!?」
凛「ランティス所属の鈴木愛奈って奴です」
ここで愛奈ちゃんが出てきたのって元ネタあるんですか? 悪いことしたらすぐ態度に出る穂乃果ちゃんやっぱ天使 自分と折半せずンミチャーに全額出させるコッティーはナチュラルに貢がせるタイプですね 〜UTX高校前、交差点〜
信号待ちの3人……
穂乃果「あ〜〜もうっ!!」イライラ
「ここの信号、いっつも長いんだから!!」
「せっかく独走してたのに、ふたりに追いつかれちゃったじゃ〜〜ん!!」
(いつまでも青に変わらない信号機に憤慨している穂乃果の頭上で、UTX校舎に備え付けの巨大モニターでは––––)
アナウンサー『この時間までに入っている、全国のニュースです……』
穂乃果「…………ニュース?」 ,,-‐、
l :lll!
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_ _lil, ._,,.:-\:::::゙':、 ゙l;::,:‐'" .,.:';"-,,,゙'::、
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l | l '" /
゙'、 | l |
(,,,.___ __l l ノ
. l <l l_゙゙゙゙ ゙''''''‐‐‐--、'"
|  ゙゙゙゙゙̄‐‐‐‐---゙i アナウンサー『本日、アメリカ大リーグのイチロー選手が、日米通算3000本安打を達成しました』
穂乃果「」
心臓ズキリ……
穂乃果(さ、3000……)
アナウンサー『この快挙に、元プロ野球選手で、やはり3000本安打の記録を持つ張本勲さんが『アッパレ』を送りました』
穂乃果「」真っ青
心臓ズキンズキンッ!!
海未「やっぱすごいですね、イチロー選手は……」
海未のブレザーをグイグイ……
海未「……ことり?」
ことり「う、海未ちゃん……」
「穂乃果ちゃんが……」オドオド
海未「え?」
ことり、穂乃果に向けて指を指す…… |: : : : : : |: : : : :|: : :/ {:.| |: : : :|: : : :/ } / ____∨:: : : : : : |: :|: : : : |
: : :|: : : : : : |: : : : :|: :/ ̄ ¨¨l |¨¨|: : : :|: : :/ `//ー‐ ´ ̄ `V.: : : : : :|: :|: : : : l
: : :|: : l : : : |: : : :/|: ′ __リ |: : : :l : / // _u____ 1.: : : : : |: :| : : : ,
: : :|: : l : : : |: : : :l |/ ,. ≠气ミト、:、: : }:/ ,: u x=≠气ミト、 | : : : : : |: :l : : :,
: : :|: : l : : : |: : : :| __〃 \ }i{/ / ‘,__ j: : : : : :.| /: : : ′
: : :|: : l : : : |: : : :|.r《 | \ ...i| 》t .: : : : : : :, :. : : /
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/: : / .:.:.|.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.〕> <〔:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:.:.:.:.:.:.:.:.:j{ \ 穂乃果「…………」顔面蒼白&足ガクガク
海未「ほ、穂乃果っ!?」
穂乃果「…………」さらに滝のような汗
海未「やはり、どこか体調が……」
穂乃果「……あ」
「も、もうっ!!ふたりとも疑り深いなぁ!!」
「穂乃果は元気モリモリ、夢がMORIMORIなんだから!!」年バレるぞ
「ほらっ!!この通りっ!!」
往来で、ラジオ体操第二!!
ことり「ちょっ!!穂乃果ちゃん////」
海未「何ですか!!往来でガニ股だなんて////」
(穂乃果の浮き沈みの激しい挙動もそこそこに––––3人はようやく、カラオケBOXに入店した) 〜カラオケBOX・個室ルーム〜
扉バタンッ!!
穂乃果「…………」ジト目
室内をくまなく、キョロキョロ……
リ;`◉皿◉)
ことり「??」
海未「穂乃果……?」
(壁に貼られたポスター、モニターやマイクの品番……)
(警戒心の権化と化した穂乃果のチェックが、部屋の隅々にまで渡る)
(あの忌々しいナンバーが、部屋の何処かに隠れてないか––––) 備え付けのフードメニュー表を熟読……
穂乃果「…………」終始無言
ことり(何かを探してる……のかな?)
海未(やはり今日の穂乃果は、どこか変ですね……)
(まるで、何かに怯えているような……)
(いつにもましてエキセントリック風味な穂乃果
に、不審者の姿を見たことうみであった)
穂乃果(よし……)
(どこにもないね……)
穂乃果「ふぅ〜〜〜〜……」安堵の表情 海未「あの……穂乃果」
穂乃果「ん?」
海未「あなた、何か私たちにも言えない悩みを抱えているのでは……?」
穂乃果「え…………」
ことり「正直に言ってよ……穂乃果ちゃん」気を揉む
穂乃果「いい加減にしてよっ!!ふたりともっ!!」
「もうガラスの件は、蒸し返さない約束でしょ!?」
「穂乃果の鬱憤を払うのを、手伝ってくれるんじゃなかったの!?」
シーーーーン…… 海未「…………そうですか」冷淡
「ならば私は、もう何も言いません」
「今までのことは忘れて、仕切り直しと行きましょう」
穂乃果「そうこなくっちゃ!!」指パッチン!!
ことり(…………これでいいのかなぁ?)
(無理にでもはっちゃけようとする穂乃果と、終始訝しがることうみの相反するコントラストが、室内をあまねく支配していた)
穂乃果「じゃ、トップバッターは海未ちゃんね!!」
海未「わっ、私ですか?」
ことり「珍しいねぇ」
「いっつもカラオケに来ると、穂乃果ちゃんが我先にと歌うのに……」目を丸くする
穂乃果「あ、うん……」
「ちょっと、喉が渇いてるからね……」
(事実、ここに来るまでの間に大量に汗をかいた穂乃果は、軽度の脱水症状に見舞われていた) ストローを咥え、ウーロン茶をゴクゴク……
穂乃果「ぷはぁ〜〜っ!生き返るぅ〜〜!!」
海未「では、お言葉に甘えまして……」
ことり「何を歌うか、もう決めてあるの?」
海未「ええ……」
「母がよく、家の中で口ずさむ曲なのですが……」
穂乃果「おおっ、楽しみぃ〜〜!!」
曲をリクエスト……
海未「では……」マイクを手に取り
(やがて、室内中央に設けられたモニターに、曲名が表示された) 女ひとり
作詞:永 六輔
作曲:いずみ たく
穂乃果「ふ〜〜ん、知らない曲だねぇ……」
(10代の娘には不似合いに思えるムーディーなBGMをバックに、海未が歌い始めた) ,...:'.:.:.:.:.:.:.;.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`:.、
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. リ',:.l ,." \ |.:l
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' ゙, ヽ / `" \. ,' リ
海未「♪京都〜〜、大原・三千院〜〜」
穂乃果「」
心臓ズギャアアアアアアン!!!!
海未「♪恋に疲れた女が、ひとり〜〜」
穂乃果「…………」顔面土気色
ストロー咥えたまま、ウーロン茶ブクブク……
ことり「ど、どうしたの!?穂乃果ちゃん!!」 (穂乃果の急変に泡を食ってることりを尻目に、完全に自分の世界に入り込んだ海未が熱唱を続ける)
海未「♪結城に塩瀬の素描の帯が〜」
「♪池の水面に揺れていた」
「♪京都〜〜、大原・三千院〜〜」
穂乃果「」 /ヽ _ ...-──- ..._
/⌒>─<>.イ´ >、
l ヽ. / / \
| < У / ヽ__.ィヽ ヽ :.
| :: V〃 .' |ハ.| |~^''ヾヽ ゙.:.
| :: ,' | |:| l! | |l | | | !l
| | | ハ| ヽ| |l / | || !|
|l ! |/´l ̄`ヽ | リ´ ̄ ̄`| ||l|
|l | |l |、_rfチミxヽ リ'ィ斧ぅzx ! ハ,' リ
|从 li| K 乂zり` \〃乂zりヾ>/ /, {
リ リハ l ハ` | | | | /イ∠! |
| : : :∧l lハ | | :! | | /'/ィ^)}|
| : :.,' V、\ヽ| | _ _ | | /ノ:/! |
V:./ ト、\>| | - | | .イ`~: | |ハ
ヽ\ ノイ |: : : ≧:..._ .. イ: : |: : :.:| |へ:、
`ヽ |ハ从: : :,⊥  ̄ |: : :| : : リ从 \
ヽ\:._ノ ≧-r、r' V:リ: : ノ |/
__.. -≦| ヽ ||lヽ_|≧z、 ノ
海未「♪恋に疲れた女が、ひとり〜〜」
ことり「ちょっ!!ちょっと海未ちゃん!!」
両手でバッテン印!!
ことり「ストップだよ!!ストップ!!」
海未「……えっ?」 (ことりの悲鳴で現実に呼び戻された海未は、慌ててリモコンを手に取り、楽曲を中止した)
穂乃果「………………」涙目
海未「!!!!」
「ど、どうしたのですか!?穂乃果!!」
ことり「海未ちゃんが歌ってるのを見てたら、急に顔色が……」
穂乃果「………………」胸を押さえる
海未「穂乃果……」
「やはり今日はもう、家に帰った方が……」
(3000も恐ろしいが、それにもまして親友に余計な心配をされる方が、穂乃果には苦痛であった)
穂乃果「…………」キッ
「まだだよ、海未ちゃん」
「まだ穂乃果、一曲も歌ってないよ」 ことり「もう、やめようよぉ……」悲痛
「カラオケを提案した私が、間違ってたよぉ……」
「ここで無理して歌って、万が一、穂乃果ちゃんの体に……」
穂乃果「一曲も歌わずに帰って、何がカラオケだよ!!」気色ばむ
「穂乃果、何が何でも歌うよ!!」
ことり「もうっ!!知らないっ!!」匙投げ
(ことりの制止に耳を貸さず、穂乃果は何を歌おうか液晶リモコンに目移りしている)
穂乃果「あ〜〜もうっ!!何を歌おっかなぁ!!」
(誰の目からでも、穂乃果がヤケを起し、自暴自棄に陥ってるのは明らかであった)
穂乃果「パプリカ!!パプリカ歌っちゃうよ!!」
〜筆者、最近の曲を全然知らないのでカット〜 穂乃果「ふぅ〜〜〜〜っ……」
口元を拭い……
穂乃果「やっぱ大声を出して歌うのって、スカッとするねぇ〜〜!!」
ことり「もう、滅茶苦茶だよぉ……」絶句
「体調が悪いのに、最後まで歌い切っちゃって……」
海未「もはや、処置無しですね」
穂乃果「昨日から鬱屈していた気持ちが、どっかへ吹っ飛んじゃったよ!!」
海未「はいはい、そうですか……」ヒエヒエ
(モニター上では、穂乃果のパフォーマンスに対しての採点が行われている––––) ドラムロール・ ドドドドドドドド……
穂乃果「さぁ〜〜、何点かなぁ!?」ワクワク
_人人人人人人人人人人人_
> ジャーーーーン!! <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄
YOUR SCORE
3000点!!
穂乃果「」
ことうみ「…………え?」
ことり「何……この点数」キョトン
「100点満点じゃないの?」
海未「どうやら、機械の故障みたいですね」
「店員を呼んだ方がいいのでは……」
バタンッ!!!!
ことうみ「!!!!????」 -―――‐- 、
--´-、 / ̄ \\
. /: ∠ ̄ /| :,
// ̄ {::| / :,ヽ
r ミ 丶 _/ :, \
{ ′ ′
乂炒' __ ト、│
\ `¨XX ⌒' |: ‘ト、
ヽXXXX j{__炒 ノ ∧ |: : | }
XXX `¨¨¨¨´ /:..:}./: :..|_ノ
、 ⌒¨¨ ー-- / : : } : : ,:′/
:.\______,ノ⌒7⌒¨7: : : :/: : /
/ノ: : :/: : : : : : / : : : /: : / (哀れ、HPが0になった穂乃果は、白目を剥いて倒れるという醜態を、親友ふたりに披露してしまった)
海未「ほっっ!!穂乃果っ!!!!」
ことり「穂乃果ちゃあああああんっ!!!!」
穂乃果「」口から泡ブクブク
––––
––––––––
––––––––––––
–––––––––––––––––– ,_____,,..
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|ロロロロロロロ|| .┌──、_,
ξロロロロロ ;,,|| ,.l|____くz.
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|ロロロロロロロ|| l. |##三三三三|
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λ, ,.ξ :::::;;,,:::::::;;;;;::::::::/「「「「「/;,I三三三;#;;|
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|「メ;;;「「「「「|l
リ; ´Д`) ハァ……
と つ ハァ……
/ 、(⌒)
(_,,) (ムンクの『叫び』が如きサイケデリックな空と、荒廃しきった大地の中で––––)
駆け足タッタッタッ……
穂乃果「ハァ……ハァ……」苦痛の色
(姿無き追跡者を振り切ろうと、穂乃果が当て所のない逃走をしている)
ハァ……ハァ……
穂乃果(遠くへ……)
ハァ……ハァ……
穂乃果(出来るだけ遠くへ……)
ハァ……ハァ……
穂乃果(3000から逃げ切れるぐらいに、遥か遠くへ……)
(と––––) 千歌「あっ!!穂乃果ちゃん!!」
穂乃果「!?」ビクッ!!
「ちっ、千歌ちゃん!?」
「…………」
「その襷は……?」
(突如、穂乃果の目の前に現れた千歌は、『西浦みかん大使』と書かれた襷を身に纏っていた)
千歌「エヘヘ……」鼻を擦り
「この度、高海千歌は、みかん大使になったのです!!」敬礼!!
穂乃果「そ、そうなんだ……」
千歌「穂乃果ちゃんに、とっておきのお土産を持ってきたよ!!」
穂乃果「…………えっ?」
(千歌が指をパチンと鳴らした、その瞬間––––) _______.__.__
, '"――――‐ , '"――ヽ`i:1 ●●●●●●●●●
./ .//~ ̄ ̄l.|.|::| | ●●●●●●●●●●●
..i∫∫( c||^ヮ^|| .i ! i |.|::| |●●●●●●●●●●●
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. .li:-.., ___ ,..-:iコ ..::__~_!i_|__|l__!_!__!_!__!_!__l__!|
l!_} ≡≡ {_」;i..::' /⌒ヽヽll::!=イ二li,:''"⌒)二/_/ ⌒ヽヽ(ニ(]
. {i=i::l=[二]=l::i=i::」 |i.(*).i;;;;|:lii□□:l`ー-''";:::::|;;;;;;|ii.(*) i;;;|
 ̄ ̄ゞ三ノ ̄ ̄ ̄ゞ_ノ ̄  ̄ゞゞ三ノ~  ̄ゞゞ_ノ~ (大量のみかんを荷台に搭載したダンプカーが出現した)
穂乃果「こっ」硬直
「これは何?千歌ちゃん……」
千歌「運転手さ〜〜んっ!!」
「もう降ろしていいですよ〜〜!!」
ウィィィィィィィィィィン……
穂乃果「!!!!????」
(千歌の合図を切っ掛けに、大がかりな駆動音を立てながら、荷台が傾き始めた)
(そして––––)
ドサドサドサドサ〜〜〜〜ッ!!!!
(オレンジ色の津波が、瞬く間に穂乃果を飲み込んだ!!)
穂乃果「うぎゃああああああ!!!!!!!!」
千歌「西浦みかんの主力品種『寿太郎』3000個だよ!!」
「穂乃果ちゃんにも、みかんの素晴らしさを知ってくれたら嬉しいな!!」無垢な笑顔
穂乃果「ぐっ……ぐるしいっっっっ」 ●●●●●●●●●
●●●●●●●●●●●
●●●●●●●●●●●●●
●●●●●●●●●●●●●●●
●●●●●●リ;`◉ Д◉)●●●●●● (夥しいみかんの山の下敷きになった穂乃果の両腕が、助けを求めて、必死に宙を掻く––––)
穂乃果「だっ、誰か助けてぇぇぇぇ!!!!」
せつ菜「どうしたんですか!!!!????穂乃果さん!!!!!!!!」
穂乃果「あっ!!せつ菜ちゃん!!」
「良いところに来たね!!『地獄に仏』ってヤツだよ!!」
「このみかんを、早くどけてよ!!」
せつ菜「了解しましたっ!!!!!!!!」
穂乃果「うっ……」両耳キーーン!!
せつ菜「いきますっ!!!!!!!!」
大げさなポーズを取り……
せつ菜「必殺っっっっっっっ!!!!!!!!」 _人人人人人人人人人人人人人人人人人人人_
> せつ菜☆スカーレットストーーム!! <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄
.ゞ@",-´'ヽ
l@ノШゝ)
, ノcリ>▽<イ ☆☆☆☆☆☆☆☆
ノノと}》o《{) ☆ 只今の騒音 ☆
く_/i_iゝ ☆ 3000db ☆
l_i_j ☆☆☆☆☆☆☆☆
穂乃果「ぐああああああああ!!!!!!!!」
両耳押さえて悶絶っ!!!! 3000
sanzen
さんぜん 三
。 。゚ 千
3 ゚ リ ´Д`゚ )っ゚ サ
0 (つ / ン
0 | (⌒) ゼ
0 し⌒ ン 駆け足タッタッタッ……
穂乃果「こっ……」
「怖いっっっっ!!!!」
「怖いよぉぉぉぉ!!!!」
「3000が怖いよぉぉぉぉ!!!!」
「どこまで逃げても、3000が追っかけてくるよぉぉぉぉ!!!!」
3000の幻を追い払おうと、両腕ブンブンッ!!
穂乃果「くっ、来るなぁっ!!!!」
「3000っ!!来るなぁぁぁぁっ!!!!」
(と、その時!!) ガラガラガラガラッッッッ!!!!!!!!
穂乃果「ひぃっっっっ!!!!」
(突如、紫色の地面にヒビが入り、足下にポッカリ開いた無限の闇の中へ––––)
穂乃果「きゃああああああ!!!!!!!!」
(穂乃果は真っ逆さまに、ヒュウウッと転落していった––––)
––––––––––––––––––
––––––––––––
––––––––
–––– 穂乃果「はっっっっ!!!!」
ガバッ!!
〜PM5:25、穂むら・穂乃果の自室〜
ことうみ「!!!!」
ことり「ほ、穂乃果ちゃん!!!!」
海未「やっと気がつきましたね!!!!」
穂乃果「ゼェ……ハァ……」両目剥き出し
寝汗ビッショリ……
穂乃果「…………」
「…………え?」
「ここは……私の部屋?」 (意識が回復した穂乃果が、ベッドの上で目を白黒させている)
穂乃果「あ、あれ?」
「確か私たち、カラオケBOXにいたんだよね……?」
「それがどうして、私の家に……」
ことり「なにも覚えてないの?」
海未「あなた、一曲歌い終わった後に、とつぜん意識を失ったんですよ?」
穂乃果「…………あ」
(混濁していた穂乃果の記憶が、徐々に鮮明さを取り戻し始めた––––) 海未「まったく……」
「あの後、私たちがどれだけ迷惑を被ったか……」
ことり「穂乃果ちゃんのお家の人に連絡して、車で迎えに来てもらったんだよ」
海未「あなたを車まで搬送する間、野次馬たちの視線の痛かったこと……」恥辱に耐えてる
穂乃果「…………そうだったんだ」
「…………ごめんね」
「ふたりに迷惑掛けちゃって」疲弊した声
ことうみ「…………」 海未「それはそうと、穂乃果……」
穂乃果「?」
_, -──- 、.
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海未「なんですか?『サンゼン』って」
穂乃果「」ドキリッ ことり「穂乃果ちゃんったら……」
「気絶してる間、ずっとうなされてたんだよ」
「『サンゼンこわい……サンゼンこわい……』って」
穂乃果「…………」目をそらす
海未「穂乃果っ!!!!」
穂乃果の両ほっぺグニュウウウウウ!!!!
穂乃果「いいいいいいっ!!!!」涙目
海未「私の両目を、よ〜〜〜〜く見なさい……」
穂乃果「う、うみひゃん……」
海未「これでもまだ、私たちに隠し事をしますか?」
瞬きもせずに、穂乃果を凝視する海未ちゃんアイ……
穂乃果「…………」 ことり「1人で抱え込んでないで、私たちに頼ってよぉ……」涙ポロポロ
穂乃果「…………」
(ついに観念した穂乃果が、事の真相を語り始めた)
穂乃果「じ、実は……」
––––––––––––––––––
––––––––––––
––––––––
–––– 3人「………………」
海未「なるほど」
「そういうワケだったのですか……」
穂乃果「…………」
「ゴメン……海未ちゃん」
「あの3000円、お母さんの財布から抜き取ったヤツだったんだ……」
穂乃果(…………終わった)
(きっと、海未ちゃんの事だから、メチャクチャ怒るに違いない……)
穂乃果(……でも)
(今はむしろ、怒ってくれた方が逆に安心するよ……)
(長年の逃亡生活に疲れ果てた犯人の如く––––穂乃果の心身は、海未の叱責に救いを求めていた) 海未「………………」
ことり「…………海未ちゃん」
「今回の事は、穂乃果ちゃんも悪いけど……」
海未「わかってますよ。ことり」
「あなたの言わんとすることは……」
ことり「え……?」
海未「確かに、親の財布からお金を盗った穂乃果の罪は重いです」
穂乃果「…………」
海未「ですが……」
(と––––)
(それまで険しい表情で、穂乃果の懺悔を聞いていた海未が、一変して自分の過ちを責めるかのように––––)
海未「よくよく考えてみれば、私にも責任の一端があります」
ことほの「………………」 ※ ※ ※ ※ ※
(あなた達3人の尻ぬぐいに、どうして私たちの部費を使わなければならないのですか?)
(たった今から、この請求書はあなた達3人のものです)
(親に頼んで、おこづかいを前借りしてくることですね)
(法に触れない手段で、明日までに耳をそろえてキッチリ用意してくださいよ)
※ ※ ※ ※ ※ _, . . ,-ー: ':'': :ー- 、.,
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i: i: : : : : : ; : /i:,'_,,. - '; ; : : j'i:|‐- ,!:l、: ; : : : :',: ,
|: ! : : : : : ; :,'´|j ';i : :,' リ リ '; i : : : : !: !
l: i: : : : : : i ! ,,z==ミ、 'l: / ,;ャ==ミ、';l: : : : :|',:l
'; ',: : : : : :':i〃 _)゚小 !' ' _.)゚.炒 !: : : ; j リ
. ; ',: : : :',: :i弋'、ンツ ゞ ニ-'"j : : ,'://'
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i : : \: :ヾ'、 ノ,イ
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i :j : : :i :: : : : :,j `' 、 __ , イ: : l : : |'; i
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,'/ !: _,:j -f" { ` 、 / ヽ `',‐-:.', ゙、
,.-"''"´ j ', /゙ヽ .! ', `` ' ー、
f .、 f ', /i .',、 ,{ ゙、 ; ',
i ゙, .i ''ヽ_ノ i o.',ヽ/.! ゙、 i ', 海未「あの時、つい感情的になって、『明日までに弁償金を持ってこい』と捲し立てなければ……」
穂乃果「…………」
海未「私の短慮が原因で、穂乃果の判断を誤らせる結果になってしまいました」後悔の念
(予想外の海未の温情が、かえって傷口を広げていくようで我慢ならなかった穂乃果は––––)
穂乃果「もうやめてよ……海未ちゃん」無表情
「変に気を遣われても、惨めになるだけだから……」
ことり「そんなぁ……」
穂乃果「それよりもっと、穂乃果を叱ってよ」
「何なら、絶交しても構わないから」
穂乃果「……だって」
「穂乃果、それだけ悪い事をしたんだもん」
(そう言ったきり、穂乃果はおじぎ草の如く顔を俯け––––) / } j/イ ! / /i{ { { /_ノノ ̄ \: | {| {| ,′ }
ノ|! { i 〕 ! !{| jノ { :( __,,.. -ヘ \ { {{ { ,′
__j !| ' {| {、 いi| ,: : : : : : : : : :! ` }! ,′ /
j八 ハ 〕 {ぃ 乂{ {.: : : : : : : : : } i | ′ i {
! 〉 いヽ ハ : : : : : : : :/ }}/ { l
} l| i〉 ぃ /!「 ̄⌒ヽ、.′ _,ノ/ { l
ト、 ij { } } / jノ '/ / i
{ぃ、 イ|{ ! j/ ,rfニ⌒ヽ、 ,′ / {
Vハ川 !{ i | 八 _ァ| ∧! !i !
イ jノ八ぃ l / ` ⌒''一′ ! /.| {i l 川
/ ,ハ / jハ{ 〈 l イ トい j/ リ
r 1 j/ / \ _,. -i { / ハ !ル′
∨ , ′ , ′ /´ `ニ二, ′/ l 〈 / jハ
\/ /、ヽ _,. -‐/ , ′ i 〈/ i
-/ / \ / / l ∨ |
(ふたりとの交信を、一切断ち切った) ことり「ダ、ダメだよぉ……」
「そうやって極端に、自分を責めるのは……」
「穂乃果ちゃんの、昔からの悪いクセだよぉ……」悲痛な面持ち { / / / .::// {:.:{ il }} } '
| /// / .::// | :{ :{:{ :i| :| ',
. l :::| /// . .:// ー--- -‐|十从 i| } :| .:l ,
l:::| / :| : :{ .::{:{ , __,..,,、 ⌒ノリ 、 .:} .:| l
l::| / :| .: :. ::从 ,.ィrセ7フて'弌 ノL.__メ :j:l |
l::| /{ :| .:: ; ::| ヘ〈, {(:::ruしッ _ └ ノ :リ :l :|
|:| .::l l | .::{: ' ::| ゚(__)。、:::::ン ,x弌ト、 \/ l :|
l:| .:.:l l 从 八 ヽ ::| ゚  ̄` ,'し:[_,心, / | ,' ,
|| .:.:| :l { \ \ \ ::ヾ:::ヽ::ヽ:: {_::::゙ッソ }L | / ,'
| .:.::| l:|八 (::{\\ \ , `ヾO゚ ム リ / /
リ .:.::| l| \ ` \\ :::ヽ::ヽ::. / // /
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'::i | :ii / / .ノ ` - -‐ ''「.:.:.:.:.:| :.:|
|::i | ii / / / /.:.:.:.:.:.:.:.|.:.:.:.:.:l :.:|
|::i | ii _, ‐/ ,′ / \:.:.:.:.: |.:.:.:.:.:! |:.:|
|::i | _,. ‐''´ / | {l ヽ.:.:.:.|.:.:.:.:.: |:.:|
_.. ‐ '´ / | l \|.:.:.:.: |:.:| 海未「…………」
ことり「ねぇ海未ちゃん、なんとかならないの?」
海未「…………」深く考え込んでる
海未(あ……)
(白髪……)
(気がつくと、穂乃果の髪には数本ほどの白髪が覗かせている––––)
(この白髪こそ、穂乃果が3000円シンドロームにきりきり舞いさせられた痕跡であった)
海未(精神的なダメージが、よっぽど大きかったのでしょうか…………)
穂乃果「………………」貝になってる
海未(大分、反省してるみたいですし……) 海未「…………ことり」
「穂乃果にお金を貸してあげて下さい」
ことり「え?」
海未「私も穂乃果に、お金を貸しますから」
穂乃果「…………貸す?」
(海未とことりは、2人で折半しあった3000円を、穂乃果に差し出した)
穂乃果「え……」キョトン
「このお金は……?」
海未「本当に後悔しているのならば……」
「そのお金を持って、おば様に謝ってきなさい」
穂乃果「!!!!」 ことり「私たちへの返済は、お金に余裕がある時で構わないから……」
「この事は、私たち3人だけの秘密だよ?」
海未「凛やにこが知ったら、『えこひいきだ!!』だのと騒ぐでしょうからね」
穂乃果「そ、そんな……」恐縮
「穂乃果の悪事に、ふたりを巻き込むだなんて……」
ことり「もうっ!!まだ遠慮する気!?」
「全部聞いちゃったんだから、私たちは一蓮托生だよ!?」語気強く
穂乃果「い……いちれん……?」
海未「『どんな事があろうと、運命を共にする』って意味ですよ」
「まさに、今の私たちにピッタリな言葉です」 穂乃果「う……」
「海未ちゃん……」
「ことりちゃん……」涙ポロポロ
「〜〜〜〜〜〜〜〜」お口ワナワナ
鼻水をすすり、涙を拭き拭き……
穂乃果「2人の厚意……疎かにはしないよ!!」
3000円を受け取り……
穂乃果「穂乃果、これからお母さんに謝ってくる!!」 〜居間〜
穂乃果「ねぇ、お母さん……」
「実は、大事なお話が……」
襖スゥーー……
雪穂「……ん?」
「お、お姉ちゃんっ!?」仰天
「いつ意識が戻ったの!?」
穂乃果「ゆっ、雪穂っ!?」
(肝心の母の姿は、居間には無く––––)
ほのパパ「…………」テレビ視聴中
(代わりに、寝っ転がりながら雑誌を読みふける雪穂と、仕事が一段落つき、テレビを見ながらくつろぐ父が居るばかりであった) 雪穂「さっきはビックリしちゃったよぉ〜〜!!」
「お姉ちゃんったら、白目を剥いたまま海未さん達に運ばれてきたんだもん……」
穂乃果「ね、ねぇ雪穂……」
「……お母さんは?」
雪穂「は?何いってんの?お姉ちゃん」
「お母さんなら今さっき、お姉ちゃんの学校へ行ったよ」
穂乃果「が、学校!?」
雪穂「今日はPTA会議があるって、ずっと前から言ってたじゃん!!」面倒くさそうに
(学校、PTA会議––––)
(それらのワードが雪穂の口から飛び出た瞬間、穂乃果の足の裏が、嫌な予感でムズムズし始めた) 穂乃果「何を話し合うんだろう……」
「この時期に、PTA会議って……」
(と––––)
(不安がる穂乃果を見た雪穂が、ニヤリと悪童の顔になり––––)
雪穂「お姉ちゃん、また何か学校でやらかしたんじゃないの?」ニヤニヤ
穂乃果「」
穂乃果(ま……)
(まさか…………)
(理事長……ガラスの件を、お母さんに喋るんじゃ……) (我が身に破滅が近づきつつあることを、予感した穂乃果は––––)
雪穂「お……お姉ちゃん?」
(背後で呼び止める雪穂の言葉など全く耳に入らず、フラフラと自室へ帰還した) 〜穂乃果の自室〜
襖スゥーー……
穂乃果「…………」
ことり「あっ、穂乃果ちゃん!」
海未「どうでしたか?穂乃果」
「ちゃんと、謝罪できま……」
穂乃果「…………」
穂乃果、両膝ガクリと崩れ落ち…… : : : : :.}=={: : : : :/: : : : : : : : : : : : :, : : : : : : :\
: : : : / \, : : : : : : : : :../: : : : : : :, : : : : : : : : :,
: : : : | ,, / : : : : : : : : :/..:..: : : : : :|: : : : : :│: :‘.
: : : : |/ ′: : : : : : : :/:.:..: : : : : : :|⌒¨Z.,__|:.: : :‘.
: : : : | i : : : : : : : : /.{: : : : : : : : :| |: : : :..:i
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: : : : ハ:..:.|: : : : : :i: :′ ∨: : : : : : l | |: : : :| |
: : : /: : ',:.:|: : : : : :|: | ,.斗: : :|: : | | `ー― |: : : :| |
: : /: : : : 。|: : : : : :|: |''" 乂: :|: : |ノ _,.斗ァ}: : : ,}ノ
:.:/: : : :./`|: : : : : :|リ _,.斗rミ \: :/ イノ{::ノ / : : / |
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: : : / /:ゝ|: ハヘ、 :ハ`¨¨´ ::'::':/イ:.:/ ヽ
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穂乃果「もうダメだぁ……」絶望の色
ことうみ「!!!!????」 (穂乃果は居間で雪穂から聞いた話を、一字一句誤らずに、2人に伝えた)
穂乃果「いまごろ学校で、理事長がお母さんに告げ口してるに違いないよ……」
「お母さんが家に帰ってきたら、きっと3000円の出所を追求してくる……」
「そうなったらもう、穂乃果はあの世行きだ……」
(頭を抱えて打ちひしがれてる穂乃果を見て、事態が急変した事を察知したことうみは––––)
海未「グズグズしてる暇は無いですよ!!穂乃果!!」
穂乃果「…………え?」 海未「理事長がガラスの件を言い出す前に、おば様を摑まえて謝罪するのです!!」
穂乃果「海未ちゃん……」
ことり「そうだよ!!穂乃果ちゃん!!」
「他人から知らされるより、自分から自首した方が罪は軽くなるよ!!」
穂乃果「…………そ」
「そうだね!!」
「穂乃果、これから急いで学校へ行ってくる!!」奮い立つ
(2人のアドバイスで再び立ち上がった穂乃果は、けたたましい足音を響かせながら、廊下を走り抜け、階段を下り––––)
(そして––––) 玄関の扉ガララッ!!
穂乃果「いってきま〜〜すっ!!!!」
ダダダダダダダダ……
(街灯が輝き始めた夕暮れの道を、学校目指して全速力で突っ走って行ったのである)
(その後ろ姿を、穂むらの玄関で見守っているのが––––)
ことり「ねぇ、海未ちゃん……」
「穂乃果ちゃん……今から行って、本当に間に合うのかなぁ?」漠然と
海未「さぁ……分かりません……」
「ですが……」
「穂乃果の贖罪が本物でしたら、天に願いが届くかも知れません……」
(穂乃果の前途を願う2人の背後から、雪穂の間の抜けた声が流れてくる) 雪穂「ど、どうしちゃったの?お姉ちゃん……」
ことり「あ、雪穂ちゃん!」
海未「穂乃果なら今、おば様を追って学校へ……」
雪穂「えっ?学校!?」目を見張る
(ふと……ふたりの頭に、疑問がもたげ始めた)
ことり「ねぇ、雪穂ちゃん……」
「さっき、穂乃果ちゃんへ言った話は、本当なの?」
雪穂「??」
ことり「今日のPTA会議は、穂乃果ちゃんについてだって……」
雪穂「ど……どうしたんですか?ことりさん」
海未「ちょっと、お伺いしますが……雪穂」
「どうして、穂乃果が学校で失敗した事を知っていたのですか?」
雪穂「はぁ?」
(海未はこれまでの経緯を、わかりやすく噛み砕いて雪穂に説明すると––––) 雪穂「やだ……私……」
右手を口に当て……
雪穂「お姉ちゃんが、急に怯え始めたから……」
「つい面白がって、あんな嘘を……」
ことり「嘘っ!?」
雪穂「ひょっとしたら私……取り返しの付かない事をしちゃったのかも……」声がこわばる
海未「どういう事ですか!?雪穂!!」
(責任を感じ始めた雪穂は、昨日の夕食時に、母から聞かされた事を語り始めた––––) 〜雪穂の回想〜
ほのママ「ウフフ……」
「これはまだ、穂乃果には内緒なんだけどね……」
雪穂「え?」
ほのママ「実は明日の、PTA会議でね……」ニヤニヤ
「学校を廃校から救った穂乃果へ、PTAから特別に栄誉賞を贈ろうって話が進んでるのよ」
ほのパパ「!!」
雪穂「え、栄誉賞!?」
思わず身を乗り出す雪穂……
ほのママ「最初は私の方から、断ったんだけどねぇ」
「『そんなのを贈ったりしたら、あの子が調子に乗るだろうから、辞めてほしい』って……」
「でも理事長……つまり、ことりちゃんのお母さんが引いてくれないのよぉ」
「『あなたの娘さんは、私たちにも出来なかった偉業を成し遂げたんだから、誉められても罰は当たらないわ』って」 雪穂「し、信じられない……」
「家の中では、自堕落なお姉ちゃんが……」
「父兄の人達から、賞を貰うだなんて……」
ほのママ「ねぇ……雪穂」囁くように
口に人差し指を当てて
ほのママ「さっきも言ったけど……」
「この事は、本決まりになるまでは、ゼッタイ穂乃果には内緒よ?」
雪穂「わ、わかってるよ……」
ほのパパ「…………」自分の事のように鼻高々
〜回想おわり〜 雪穂「私が知ってるのは、ここまでです……」
ことうみ「…………」唖然
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海未「ま、まずいです……」
「非常にまずいですよ……」激しく動揺
ことり「え?」
海未「考えても見なさい……」
憂い色を浮かべて…… 海未「穂乃果に栄誉賞を送るかどうかという、会議の最中にですよ?」
「いきなり穂乃果が現れて、『ごめんなさい、お金を盗みました』だなんて、言おうものなら……」
ことり「あ…………」お口ぽっかり
海未「きっと、9割9分まで決まっていた穂乃果の受賞が、取り止めになってしまうに違いありません!!」
雪穂「とっ!!取り止め!?」
(事ここにいたって、せめて最悪の事態だけは回避しようと、海未は––––)
海未「ことり!!雪穂!!」
「私はこれから大至急で、穂乃果を止めに行きます!!」
「2人はここで、留守を頼みますよ!!」
ことり「あっ!!海未ちゃん!!」
ダダダダダダダッ……
(先発した穂乃果を掴まえるべく、薄暮に染まった道を走り去っていったのである) 〜学校・PTA会議〜
理事長「で、ありまして……」ハキハキ
「高坂穂乃果さんの輝かしい偉業に、異論を挟む人はいないハズです」
「彼女の功績を称えて、我々から何かしらの賞を贈るのは、当然の義務だと考えております」
(会議室内に居並ぶ父兄達へ、理事長が持論を展開する最中––––)
海未ママ「おめでとう、きぃちゃん……」
「ホント、いい娘さんを育てましたね」
ほのママ「もうっ!昔から皮肉が上手いんだから……」
「穂乃果が適当に投げたサイコロが、偶然いい目に出ただけよ!!こんなの」
海未ママ「謙遜、謙遜……」ニコニコ (つとめて平常の様に振る舞うほのママだったが、どうしても顔がほころび、ニヤニヤを隠すことが出来ずにいる)
海未ママ「しかし、こんな事って初めてですよね?」
「穂乃果ちゃんが、父兄や先生たちから絶賛されるだなんて……」
ほのママ「私だって、今でも信じられないわよ」
「小中学校の頃の懇談会なんて、いっつも穂乃果の迷惑エピソードが上がって、私の肩身が狭かったというのに……」シミジミ
海未ママ「穂乃果ちゃんの行動力が、成長に追いついたって事なのかしらね……」
理事長「それでは、決を採りたいと思います」 海未ママ「ついにその時が来ましたよ、きぃちゃん」
ほのママ「ああ……」
「あの穂乃果が……」
「穂むら創業以来のうつけ者だと思っていた、あの穂乃果が……」
(予想外な娘の成長に万感の思いを馳せ、ほのママの目尻に、熱いモノがこみ上がってくる)
理事長「高坂穂乃果さんの栄誉賞授与に賛成の方は、拍手を––––」
扉ガラララッ!!
理事長「…………えっ!?」
穂乃果「ぜぇ……はぁ……」肩で息
ほのママ「」硬直
「………………ほの、か?」 室内ザワザワ……
理事長「ど、どうして高坂さんが……」
海未ママ「なんだか、大急ぎで来た様に見えますが……」
穂乃果「はぁ……はぁ……」
「…………」息を整え
「お……」
「お母さん……」
ほのママ「????」
「何しに来たのよ!?一体……」
(覚悟を決めた穂乃果は、顔をしかめたほのママの前へ歩み寄り––––)
(ポケットから、友情の3000円を取り出し––––)
(そして––––)
穂乃果「…………ご」
「ごめんなさいっっっっ!!!!」 リ;`> 口 <)
γ⌒ヽ < ガバッ!!!!
/ へ \ヽ
/ \ \\
/ / \ \\
( ⌒ ̄ ̄ ̄`ヽゝ \\_
>ー――--- ノ ゝ__フっ__フ
と_,,-――――''" ほのママ「!!!!????」
「ちょっと!!他人様の前で何を……」
穂乃果「本っっっっ当に、ごめんなさいっっっっ!!!!」
床に額を擦りつけっ!!
ほのママ「な、何を誤って……!!」
3000円を、手前に置いて…… i/////////i/// i//////////////./i///i `ヽi//////// i///////i
i/////////i.// .i.//i//////////// .i//,′ i//////// i///////i
i i///////.i.i/.i i./.i.i////i////., ′ i/./ i////////.i///////i
i.i///.,'///.レi/i ___!/i .i.///,i/ レ\ // i////////i///////i
i.i///.i///.i i.i Y.∨//ハ.i. 7.<_ i/////// i///////.i
i i///.i///i .i .z==.x ヽi ∨/i ヽ ′ ゚ .‐ __ i/////// i///////.i
i i/// i///i _.)zX゚ ̄.ニミx ∨i _. -ニ___ ゚ i///////.i///////,′
/,'i/// i/.i/.i .ハ/ん_,ノヽヽ ヽ 7= ¨.三¨=ミx .,'///////i ///////
//i////i/ii/ii ! .i ゝノ. , ' .ィ ._}_`ヽ ゚ミx ,'///////,'///////
/.i////ト..ハ.i( ̄ ヽ----' .{i.` ゝ ノ i.`iZ` ,'/////i//i///////i
/ ハ////iヾ ヽ ー ' ゝ _ .ノ .リ`. .,'/////.i//i//////i.i
i/ハ∧∧.\// ¨ =i.゚‐‐.、 ,.'///////i/ハ//// i/i
i/i ∨/ト i/.i.ヽ ` > __ノ,.'///////.i/i .i////ト∧
i.i i.ヽ∧ヽハ // / ///////_」i/i////∧ハ
i .i//\ヽ.ハ __ ////,.'//_ ィ i//∧∧∧ヽヽ
i .i////`//_> ´ `゚゚ ー-- 、 //./// i//.i/.!//∧.∧.∧\ヽ _
∨/// .\ _ z' - //.ハ∧/.ト///__///∧∧`ヽ ̄
y \ _ ‐ ゚/ ' .,' .ヽヽ ヽ-゚_=`ヽ/∧/∧ヽヽ
ハ .\ ._ - .¨ ./. ,′ i\ヽ¨  ̄` ヽ_ヽ_∧.i/.i
/ .i > 、__ -‐ ¨ ,.′ .,′ i ヽ.`ー---¨,-- \,'/i
,′ i / ././\ / ,.′ | `ー‐‐ ゚  ̄`ヽ
i i / .,' ,' i\ / ./, .| _ -‐  ̄`ヽ
i i / ,' ,' _.i .iヽ_.ィ゚ ,.'.,' .| / ハ
| i / .i .i ./ !.i.∨-、 , ' ,′ . | ./ ハ _人人人人人人人人人人人人人人人人人人人人_
> すべてをお話ししますぅぅぅぅ!!!! <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄ 〜そして、数分後……〜
海未「ぜぇ……はぁ……」肩で息
(遅ればせながら、会議室の前までたどり着いた海未だったが、もはや手遅れである事に、うすうす感づいている)
海未「…………穂乃果」
「結局、あなたに追いつくことが出来ませんでした……」
「きっと、穂乃果はもう会議室の中へ……」
_人人人人人人人人人人人人人人人人人人人_
> こぅぉの、おバカァァァァッ!!!! <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄ 海未「ひっ!!!!」ビクン!!
(会議室のドアの窓越しに、恐る恐る中を覗いた海未が見たモノは––––)
ほのママ「どおりで財布の中のお札の数が、記憶と食い違ってると思ったのよ!!!!」
穂乃果「ううううう…………」涙ポロポロ
(頭に角を生やさんとばかりに激昂したほのママが、会議室のカーペットの上にちょこなんと正座している穂乃果へ向けて––––)
ほのママ「しかも、何!?」
「それだけでは飽きたらずに、学校の窓ガラスを割ったのを、親に隠しておくだなんて……」
ほのママの拳プルプル……
ほのママ「よくもまぁ、こんなに大勢の人が見てる前で、赤っ恥をかかせてくれたわねぇぇぇぇ!!!!」
(果てることのない罵声を、一方的に穂乃果へ浴びせている光景であった) . ____
. x-ハ. : : : : : : : : : :.
/:(ィ : : : : : : : : : : : :.`:.
. ,.:/: : : :/: : :L___: : : :',: :.
. /l|: : : :∧: : :|~⌒',: : :.l: :|
|从:W- VY-‐ l: :./:.:.| ヒック……
ヘ:l━ ━ !ィ ).:人
. 人‖ 皿‖ ィ-、j:/ ヒック……
. N`≧=チ / |
r' |〈へ// /!
| |、`。l ′ / .|
| |'ヘ / / |
|_| _|_」 .′ `}
. (~⌒) (⌒y7ーイ-、
(⌒¨/⌒¨ー‐L イ^ 〉
. ー^ー‐┴─'⌒¨¨
穂乃果「ごべんなざぁい……」鼻水ドバドバ
「ごべんなざぁぁぁぁい……」大号泣
海未「…………クッ」
自分の未熟さを呪いながら……
海未「…………遅かった」 ほのママ「みなさんっっっっ!!!!」
(怒りと羞恥心で、顔が真っ赤に腫れ上がったほのママが、泣きじゃくる穂乃果の頭を腕ずくで床へ押さえ込みながら––––)
ほのママ「こんな娘が栄誉賞だなんて、とんでもない話ですっ!!!!」
「どうかこの件は、無かったことにして下さいっっっっ!!!!」
(それまで和やかなムードで執り行われていたPTA会議は、一転して蜂の巣をつついたような騒ぎとなった)
海未ママ「きぃちゃん……」いたたまれない
理事長「こ、高坂さん……」同様
穂乃果「うああぁぁああん……」
「ごべんなざああぁぁああい……」 (かくして、穂乃果の栄誉賞受賞は幻に消え––––)
(代わりに、校内に出没していたネズミ達を、ホウ酸入りおにぎりで退治した花陽が受賞することになった)
〜おわり〜 最近のしまむらキャラが可哀想なSSばかりで抜けない しまむら最近バッドエンドというか読後感悪いの多いぞ 一見、妥当な海未ちゃんの判断が全て裏目に出てますね
親鳥は窓ガラスの件を知っていて尚、穂乃果に栄誉賞を与える気でいた。だから会議の場に踏み込むのはヤブ蛇だった訳です
戒め系SSとの事ですが、誠実にいきるべきか、狡猾に生きるべきか、読み手に委ねられています
最も、窓ガラスを割らないように気を付けるべきなんですよね… キャプテン翼ごっこをしなければ窓ガラスも割れなかった ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています