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穂乃果「スタートレック」絵里「 イントゥ・ダークネス」 Part3
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0002名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/15(日) 01:19:41.31ID:ZOKFNpye
◇登場人物◇


高坂穂乃果 ・・・・・・・ 宇宙艦隊大佐。宇宙船U.S.S.ミューズ号キャプテン

園田海未  ・・・・・・・ ミューズ号副長。ヴァルカン人と地球人のハーフ。中佐

南ことり  ・・・・・・・ ミューズ号主任通信士。大尉

西木野真姫 ・・・・・・・ ミューズ号医療部門主任。少佐 

小泉花陽  ・・・・・・・ ミューズ号一等航海士。少尉

矢澤にこ  ・・・・・・・ ミューズ号主任機関士。少佐

東條希   ・・・・・・・ ミューズ号主任操縦士。大尉

南條絵里  ・・・・・・・ 諜報部門セクション31所属。中佐

南提督   ・・・・・・・ 宇宙艦隊提督。ミューズ号前キャプテン

絢瀬提督  ・・・・・・・ 宇宙艦隊提督

絢瀬亜里沙 ・・・・・・・ ミューズ号科学士官。大尉
0003名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/15(日) 01:23:16.47ID:ZOKFNpye
……

コツ,コツコツッ.....

教師「高坂、寝るなよー?」


穂乃果「えっ?あ、はーい・・・・」


教師「・・・・では、テキストの473ページを開いて」

穂乃果「・・・・・・」パラパラ

教師「えー、前回の授業で話したように」

教師「20世紀後半の地球には、多数の軍事独裁政権が樹立され」

教師「それらが地球上の覇権を巡って激しく争うようになった」

教師「果てしなく続き、終りの見えない戦火の中で、人々の権利と自由は大いに抑圧された」

教師「しかし何故、このような世界情勢が形作られたのか。今日はその背景から見ていく」

穂乃果「・・・・・・」
0004名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/15(日) 01:23:56.06ID:ZOKFNpye
〜 宇宙暦2252年 地球.東京.音ノ木坂学院 〜


教師「人類社会に軍国主義が蔓延したその理由には」

教師「遺伝子工学の発展が要因として深く関わっているとされる」

教師「その始まりは、二度目の世界大戦が終わった直後」

教師「地球の科学者たちの間で、人間を人為的に進化させようという機運が高まった事だった」

教師「核弾頭をはじめとするテクノロジーのもたらした破壊を目の当たりにして」

教師「兵器に頼らず、無用な破壊も起こさず、必要最小限の力で戦争を終わらせる」

教師「人類という生物そのものの能力を高める事に、その可能性を見出したんだな」

穂乃果「・・・・・」ポ―・・・・
0005名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/15(日) 01:25:54.41ID:ZOKFNpye
教師「そうして、各国の科学者たちは優れた人間を作る研究・開発を密かに進め」

教師「やがて、新しい世代の子どもたちを生み出すことに成功した」

教師「遺伝子改良を施した特殊な胚を投与されて誕生した彼らは皆、」

教師「それまでの人類よりもはるかに強靭な身体と高い知能を得ていた」

教師「例えば、筋力や体力は5倍、肺活量は50%増加といった感じだ」

教師「これが、みんなも名前だけなら聞いたことがあるだろう」

教師「"Augments"、いわゆる"優性人類"とか"超人類"などと呼ばれる人々だった」

教師「この言葉、重要だから覚えておくように」

穂乃果「・・・・・」ウツラウツラ

穂乃果「・・・・はっ!」フルフル
0006名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/15(日) 01:27:50.20ID:ZOKFNpye
教師「優性人類の最初の世代は60年代までに大人へと成長し、」

教師「社会の表舞台へ進出すると、あらゆる分野で目覚ましい活躍を見せるようになった」

教師「ある者は兵士として投入され、戦場で大勢の敵を殺し、」

教師「またある者は科学者や技術者としてより強力な兵器を開発した、」

教師「さらに、経済の流れを操って地球の富を独占する者もいれば、」

教師「独裁者として君臨し、国民を奴隷として支配する者もいた」

教師「こうして、地球は少数の選ばれた人間が大多数の人々を力で抑えつけ」

教師「さらに支配者同士でお互いを攻撃し合うという構図が出来上がったという事だ」

穂乃果「・・・っ・・・っ」コクッコクッ
0007名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/15(日) 01:29:09.51ID:ZOKFNpye
教師「ついでに言うと、超人類計画には兵器開発だけでなく」

教師「飢餓や疾病を克服するという別の目的もあったと言われる」

教師「遺伝子改良で、どんなに過酷な環境にも耐えられるよう人体が手に入れば」

教師「人類が長い間悩まされてきた多くの問題が解決される」

教師「食料や資源や領土を巡って争う必要も無くなる。つまり、」

教師「戦争の起きる理由自体が無くなった平和な世界が実現できると考えていたらしい」

教師「まあ、結果を見ればその期待が完全に裏目に出たと言わざるを得ないけどな」

穂乃果「」ZZZzz.....
0008名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/15(日) 01:29:58.39ID:ZOKFNpye
教師「とにかく、21世紀に入るまでに各国で登場した独裁者の多くが、」

教師「超人類の出身だったと言われる。その中でも最も強大な力を誇ったのが、」

教師「ロシアから日本に至る大帝国を築いた女帝、エリーt・・・・」

穂乃果「」ZZZzz.....

教師「・・・・・」ハァ

教師「高坂ッ!」バンバンッ

穂乃果「はっ!?はいいぃっ!」ビクッ

教師「まったく・・・立ってろ!」

穂乃果「はーい・・・・」ガタンッ

・・・・・。
0009名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/15(日) 01:36:55.88ID:ZOKFNpye
〜 8年後 〜


ザッザッザッザッ.....

絵里「・・・・・・・・」

穂乃果「真姫ちゃん、拘束室に来て」

真姫「"直ぐに行くわ"」



前後左右をヒデコら6名の保安部隊に固められ
容疑者・南條絵里は上階へと護送されていった。

敵地への潜伏という、犯したリスクの大きさに反して
彼女の逃避行はあっけない幕切れを迎えた。

だが、彼女は抵抗する素振りも見せず、只真っ直ぐ前を見据えていた。
自らに注がれるクルー達の好奇と憎しみの入り混じった視線も
まるで無い物のように、背筋を伸ばして歩いていくその姿は
見る者にある種の威厳や矜持すら感じさせた。



ザッザッザッ.....

穂乃果「ことりちゃん、南條を逮捕したと艦隊本部に伝えて。」

穂乃果「ワープコアが修理出来次第戻るよ」

ことり「はい、キャプテン」

穂乃果「海未ちゃん、着替えてくるから終わったら一緒に来て」

海未「はい、キャプテン」

穂乃果「それじゃ・・・」

タッタッタッタッ.......
0010名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/15(日) 01:41:29.24ID:ZOKFNpye
ことり「・・・・・・」

海未「・・・・・・」

ことり「・・・思ったより、早く終わったね」

海未「ええ」

ことり「あの人が、クリンゴンを倒してくれたお陰だけど・・・・」

ことり「そこはちょっと釈然としないというか、悔しい感じがするけど」

ことり「あそこまで逃げてて、何でこんなに簡単に捕まったんだろうって」

海未「地球に戻り、取り調べればいずれ明らかになるでしょう」

ことり「・・・・・・」

海未「・・・・・・」
0011名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/15(日) 01:42:13.47ID:ZOKFNpye
ことり「これで、良かったんだよね?」

ことり「これで、浮かばれるんだよね?殺された人たちも・・・・・」

ことり「お母さ、南提督も・・・・・」

海未「・・・・ええ」


ことり「・・・・・ねえ、海未ちゃん」

ことり「海未ちゃんの気持ちを考えてなかった事、そこはダメだったと思ってる」

ことり「本当にごめんなさい、自分の気持ちばかりで・・・・」

ことり「でもね・・・・これは忘れないでほしいんだ」

ことり「大切な人や物を失うのが悲しいのは、海未ちゃんだけじゃないって」

ことり「海未ちゃんを失う事で」

ことり「海未ちゃんがあの日感じたのと同じ思いを経験する人がいるって事を」
0012名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/15(日) 01:47:42.28ID:ZOKFNpye
ことり「私はもう、昨日お母さんを失ってそれを経験した」

ことり「だから海未ちゃんみたいに、もう二度と同じ思いを経験したくないって思ってる」

ことり「だからお願い。これからは自分の命も心も、もっと大切にして」

ことり「論理的かどうかじゃない、正直な気持ちを私に教えて」

ことり「少しでも、海未ちゃんの力になりたいから・・・・」

ことり「悲しい事も、辛い事も、共有して乗り越える。恋人ってそういうものなんだよ?」

海未「・・・・・・」

海未「あなた方をもっと理解できるよう、努力しまsっ!」

\👩‍❤‍💋‍👩/

ことり「これは印だよ。仲直りと、約束の」

スタスタスタ......

海未「・・・・・・・・」
0013名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/15(日) 01:58:41.04ID:ZOKFNpye
――・・

――――――

――――――――――


真姫「なぜ降伏したのかしら?」スタスタ

穂乃果「分からない。だけどあの人、クリンゴンの警備隊を一人で倒したんだ」

真姫「まるで超人類のようね・・・・」

真姫「200年以上も前に滅んだ種族の生き残りがいるとも思えないけど」

穂乃果「うん、だから調べてほしいんだ」

真姫「任せといて」



真姫を伴い、穂乃果と海未は絵里の収監された独房のあるデッキへ向かった。

壁、床、天井、寝台に至るまで全部が白で統一された独房の中心に
捕虜は休めの姿勢で直立していた。

廊下に面した壁は透明のガラス張りになっており、真っ白い空間に
一か所だけ開いた虚空に通じる穴のような、彼女の黒ずくめの佇まいが
遠目からでもはっきりと見えた。



絵里「・・・・・・」

採取口(カチッ,パカッ)

真姫「ここから腕を出して、血液サンプルを採る」

絵里「・・・・・・」スッ

💉プシュッ,ツ―.......



真姫が透明な壁面に採取口を設置し、蓋を開けると
継ぎ目一つ無かった壁に腕を一本通せる程の小さな穴が穿たれた。

絵里は大人しく指示に従い、右腕の袖をまくって穴から出した。
0014名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/15(日) 02:03:04.81ID:ZOKFNpye
ツ―......

絵里「なぜ船は動かないの、キャプテン?」

穂乃果「・・・・・・」

海未「・・・・・・・」

絵里「予測しないワープコアの作動不良?それでクリンゴン領域から動けないと」

真姫「・・・・何でそれを知ってるの?」

絵里「私の洞察力は優れているのよ、キャプテン」

穂乃果「・・・・・・」



真姫が採血する間、絵里は静だがよく通る声で、己の明晰を披露してみせた。
彼女の態度は尊大ではあったが、単なるはったりなどではないと感じさせる
確かな自信がそこには込められていた。

置かれた立場を理解していないかのような不遜な言葉を
ガラスの向こうの三人は無視しようと努めた。



穂乃果「終わった?」

真姫「ええ」

穂乃果「分析をお願い。私はブリッジに戻るから」

クルッ,スタスタ......

絵里「私を無視すれば、この船のクルー全員を死なせることになるわ!」

ピタッ

穂乃果「・・・・・💢」

海未「キャプテン、彼女はあなたを操ろうとしています」

海未「これ以上捕虜とは交流しないほうが・・・」

穂乃果「1分だけ時間をくれないかな?」

海未「・・・分かりました」
0015名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/15(日) 02:07:23.02ID:ZOKFNpye
穂乃果「・・・・・っ!」キッ

👢ズンッズンッ

穂乃果「あなたの立場を説明してあげるよ」ズイッ

穂乃果「あなたは、犯罪者なんだよ」

穂乃果「罪もない人たちを大勢殺したあなたの命を終わらせる許可を、私は受けてる!」

穂乃果「なのに、あなたがまだ生きている唯一の理由は、私が許可しているから」

穂乃果「船長の私がね!」

穂乃果「だから、分かったなら余計な事言わずに黙ってて!」


絵里「・・・・・・それで、キャプテン?」

絵里「嫌だと言ったら、また私を殴るの?何度も何度も、腕が萎えるまで・・・」

絵里「明らかにそうしたがってるのに何故?何故私を生かしているの?」

穂乃果「あれは間違いだった」

絵里「いいえ、違う」

穂乃果「違うって、何が・・・?」
0016名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/15(日) 02:12:51.32ID:ZOKFNpye
絵里「それは、あなたに良心があるからよ」

絵里「私があなたに投降したのはね、高坂さん」

絵里「私を殴るというその行為とは裏腹に、良心が備わっていると思ったからよ」

絵里「もし良心が無ければ、あなたに真実を言っても無駄だから」

穂乃果「・・・・・・」



キャプテンの警告に動じる様子もなく、絵里は語り続けた。

彼女は明らかに、自分の行いに対して何の罪悪感も感じておらず
それを上辺だけでも取り繕う気さえ無いようだった。

自分以外の者の意思などまるで意に介さないばかりか、
その一人である穂乃果の抱いた葛藤や苦悩を見透かし
それすらも自らの思惑の内にあると言ってのける。

彼女のその姿は苛立ちや怒りを越えた薄気味の悪さを覚えさせた。



絵里「23.17.46.11・・・・・地球からそう遠くない座標よ」

絵里「私があんな行動をとった理由を知りたければ、行ってみるといいわ」

穂乃果「私がその言葉を信じるような理由が1つでもあるの?」

絵里「理由なら72個あるわ。しかもこの船に乗ってる」

絵里「理由は最初からずっとあなたの船にあったのよ、キャプテン」

絵里「嘘だと思うのなら、魚雷を一つ開けてみなさい」

穂乃果「・・・・・・・・」



彼女の仄めかす真実、それがキャプテンと船を掌中に誘い込み
新たな謀略に利用するための餌であることは容易に察しがついた。

だが、彼女の言葉はたとえ罠だと分かっていても
まるでそれ自体に何らかの魔力があるかのように抗い難く感じた。

一体何が、この女をこれ程まで尊大にさせているというのか。
肉体も精神も常軌を逸したこの女が、その目で何を見据えているのか。

それを知りたいという欲動が自分を支配しようとするのを、穂乃果は感じた。
0017名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/15(日) 02:19:53.01ID:ZOKFNpye
〜 地球.東京湾岸某所.ナイトクラブ 〜


ワイワイガヤガヤ.....


にこ「・・・・」🥃ゴクッゴクッ

虎太郎「・・・・・・・」

にこ「ぷはぁ・・・・んで、何が頭にくるって」ゴトッ

にこ「にこが船を改造して、性能を強化した。なのにあんな簡単に降ろして!」バンッ

にこ「この宇宙ナンバーワンエンジニアのにこが危ないって言ってんのによ!?」バンッバンッ

にこ「んでアンタは何してた?貝みたいに黙ってあたしを見てた!」

こたろう「・・・・・・」


📲ピリリリッ,ピリリリッ,ピリリリッ,カチッ


にこ「は〜い?」

穂乃果「"にこちゃん、私だよ"」

にこ「おお、ビックリ!」

にこ「高坂髪型ばっちり穂乃果キャプテンじゃない!」

にこ「へへ、聞いた?言ってやったわ」

虎太郎「・・・・・・」
0018名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/15(日) 02:21:59.56ID:ZOKFNpye
穂乃果「ねえ、今どこにいるの?」

にこ「"うーップ、そっちは?"」

穂乃果「もしかして、酔ってるの?」

にこ「"自由時間に何してようが勝手でしょ、ハノケチェン?」

穂乃果「まあ、そうなんだけど・・・・にこちゃんに頼みがあるの」

穂乃果「今言う座標を書いてほしいんだ。23.17.46.11、書いた?」

📱

にこ「数字4つ程度忘れると思う?はははっ、たく信用無いわねぇ」

にこ「・・・・3つ目は何て?」

穂乃果「"・・・・46だよ"」

穂乃果「"何があるのかは穂乃果にも分からないけど・・・・"」
0019名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/15(日) 02:24:10.60ID:ZOKFNpye
📱

穂乃果「多分行けば分かるはずだよ。あの魚雷、やっぱり怪しいよ」

にこ「"それは謝罪と受け取っておくけど、受け入れるかどうかは考えるわ"」

穂乃果「ふふっ、最初に降りるって言いだしたのはにこちゃんだよ?」

にこ「"降ろしたのはアンタでしょっ!"」

📱ブツッ

穂乃果「おーい、矢澤少佐?」

穂乃果「切られちゃった・・・・・大丈夫かな?」
0021名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/15(日) 02:29:21.62ID:ZOKFNpye
にこ「あぁもう、あんなやつ・・・・誰が頼まれてやるかっての!」

虎太郎「・・・・」ジー

にこ「何よ?」

にこ「嫌よっ、行かないから!」

虎太郎(・_・)

にこ「・・・・・・・」

虎太郎(′・_・`)

にこ「〜〜〜〜〜〜〜ッ!!」

にこ「ああもうっ、しょうがないわねっ!」

にこ「行けば良いんでしょっ?行けばっ!」ガタンッ

虎太郎(・_・)

虎太郎( ^_^ )
0022名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/15(日) 02:31:01.22ID:ZOKFNpye
――・・

――――――

――――――――――


真姫「あなたとうとうイカれたの?本気でアイツの言う事を聞くつもり?」

穂乃果「・・・・・・」

真姫「提督を殺して、あなたまで殺しかけたのよ?」

真姫「なのに挑発されたからって、それに乗って魚雷を開けるのがいい考えなの?」


穂乃果「それはそうなんだけど・・・・」

穂乃果「なんであの人は私たちを救ったのかな?」


海未「私はドクターに賛成です」

真姫「はあ・・・・あなたに賛成されても全然嬉しくないけど」

海未「お二人とも感情の制御を学ぶべきです」

海未「こういう場合は論理に従って・・・」

真姫「論理ですって?」

真姫「あいつは私たちを操って、船を吹っ飛ばそうとしてるの、間違いないわ」

真姫「それをあなたは論理でって・・・」
0023名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/15(日) 02:33:07.79ID:ZOKFNpye
穂乃果「いや、彼女が降伏した理由は分からないけど、それじゃない」

穂乃果「とにかく魚雷は開ける。問題は方法だよ」

真姫「だけど穂乃果、にこちゃんもいないのに・・・・」

真姫「4トンのダイナマイトをパカッと開けられる人がどこにいるの?」


海未「っ!それなら・・・」💡

海未「提督の娘が魚雷に興味を持っていました」

海未「それに、彼女は武器の専門家です。使えるかもしれません」
0024名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/15(日) 02:34:48.21ID:ZOKFNpye
穂乃果「?・・・提督の娘って?」

海未「絢瀬亜里沙。新しい科学士官がIDを偽っていたんです」

穂乃果「」

穂乃果「・・・何で今まで黙ってたの?」

海未「言う機会が無くて。今できました」

穂乃果「・・・・・」

穂乃果(ついこの間、同じようなやり取りがあったような気がするんだけど・・・)

穂乃果(クロノスに降りるって自分で言った手前、責められない・・・・)
0025名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/15(日) 02:37:04.44ID:ZOKFNpye
――・・

――――――

――――――――――


スタスタスタスタ....

亜里沙「魚雷は兵器室にあるんですか?」

穂乃果「発射準備してあるけど、あの中身は何なの?」

亜里沙「それを探るために、転属命令を偽造して乗り込んだんです」

亜里沙「すいませんでした、何か迷惑をかけたのなら謝ります」

亜里沙「私、絢瀬亜里沙です」

穂乃果「高坂穂乃果だよ。改めて、よろしく」

亜里沙「じゃあ、魚雷へ」



新入りクルーの二度目の自己紹介を、キャプテンは快く受け止めた。
自らも不正に乗船した経験がある手前、逆の立場に立たされて
それを咎める気にはならなかったからだった。

また、絵里の口車に乗るのは癪だったが、
それを聞いてしまった以上、気になって仕方がないのも事実。
今は一刻も早くあの魚雷について知りたかった。



亜里沙「私、ある時父が新型魚雷のプロトタイプを開発しているという噂を聞いたんです」

亜里沙「どういうものかと父に聞いたけど、目も合わせなかった」

亜里沙「その後自分で調べようとしたけど、公式記録から新型魚雷の記載が消えてたんです」

穂乃果「その魚雷を、私に託したってこと・・・?」

亜里沙「あなた噂より賢そうですね、キャプテン」

穂乃果「噂って?何の?」

スタスタ....
0026名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/15(日) 02:38:52.51ID:ZOKFNpye
〜 格納庫 シャトルポッド 〜


ガサガサ,ゴソゴソ.....

亜里沙「この箱、持っててください」ゴトッ

穂乃果「うん、よっと・・・・」

亜里沙「私、クリスティン・チャペルの友達です。 あ、そのケースはそっちに」

穂乃果「クリスティンね、どうしてる?」

亜里沙「今は辺境宇宙で看護師をしています。幸せそうです」

穂乃果「ああ、それは良かった」

亜里沙「・・・・・」ピタッ

亜里沙「誰の事か全然わかってないんでしょ?」

穂乃果「あはは・・・・」
0027名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/15(日) 02:40:34.46ID:ZOKFNpye
穂乃果「で、ここへは何をしに?」

亜里沙「このシャトルすぐに飛べます? あと、あちらを向いててください」

穂乃果「何で?」

亜里沙「・・・あちらを向いてて」

穂乃果「・・・分かった」クルッ



キャプテン高坂は、亜里沙の経歴詐称を不問にしただけでなく
魚雷の解体に必要な機材をシャトルに積み込む作業まで手伝った。

そのもう一つの理由は、彼女が天性の人たらしであり
美しい女性が好きな、艦隊随一のプレイガールでもあったから・・・。



亜里沙「ミューズの中で魚雷を開けようとするのは危険すぎますが・・・」

亜里沙「理想的な場所がありました。近くの小惑星です」ヌギヌギ

亜里沙「そこで開けますが、それには誰か助手が・・・・」クルッ

穂乃果「<●><●>」ジ―ッ

亜里沙(下着姿)「・・・・」

亜里沙「あっち向いてて、早くっ!」シッシッ!
0030名無しで叶える物語(茸)
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2019/12/15(日) 15:38:03.23ID:s5SRhECf
雪穂は
0031名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/15(日) 21:53:41.49ID:ZOKFNpye
――・・

――――――

――――――――――


ドア(プシュ―ッ)

ミカ「ブリッジにキャプテン!」


穂乃果「希ちゃん、絢瀬博士と真姫ちゃんは小惑星に着いた?」

希「うん、キャプテン。今魚雷を降ろしとる」

穂乃果「よし、クリンゴンの動きは?」

希「まだ何も。でも、このままやとすぐに見つかるな」

穂乃果「ことりちゃん、艦隊に南條逮捕の報は伝えたかな?」

ことり「はいキャプテン、応答はまだ無いけど」

📲ピロリッ

花陽「"機関室からブリッジへ。あ、もしもし聞こえますか、キャプテン?"」

穂乃果「花陽ちゃん、いい知らせを頂戴ね」
0032名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/15(日) 21:56:46.60ID:ZOKFNpye
🔧ガチャガチャ,ギリリッ,カンカン......

花陽「故障個所を発見しました」

花陽「でもダメージがかなり大きいです。今修理してますが・・・・」

穂乃果「"故障の原因は何だろう?”」

花陽「えっと、それは分かりません。でも私が全責任を取ります!」

穂乃果「”別にいいよ、多分花陽ちゃんのせいじゃないから。それより修理をお願いね”」

花陽「はいっ」



希「シャトルの方、準備完了したみたいや」

穂乃果「真姫ちゃん、ありがとう。絢瀬博士が手先が器用な人をって言うから」
0033名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/15(日) 22:01:02.26ID:ZOKFNpye
〜 中立宇宙域.無人衛星 〜

🧰ガタガタッ,ゴトッ

真姫「よいしょっと・・・・」

真姫「確かに、無人星に美人と二人っきりなんて夢のようだわ」

真姫「魚雷さえなければだけど」

穂乃果「"西木野博士、デートに行かせたわけじゃないよ?"」

真姫「さてと、では自慢の腕でどのようにお手伝いいたしましょうか?」

穂乃果「"真姫ちゃんってば・・・・"」
0034名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/15(日) 22:04:30.97ID:ZOKFNpye
亜里沙「魚雷の威力を知るためには弾頭を開けるしかありません」🔧

亜里沙「だから、燃料コンパートメントにアクセスします」ガチャガチャ

亜里沙「でも、この魚雷の弾頭は生きてる」ゴソゴソ

真姫「お嬢さん、私はゴーン人の緊急帝王切開をしたことがあるわ」
   
真姫「8つ子だった。しかもアイツらやたらと噛みついてくるのよ」

真姫「まあつまり・・・」ゴトッ

真姫「この真姫ちゃんのゴッドハンドに任せれば心配ないってこと」パンパンッ



機材を地面に降ろしながら、真姫は豪語した。

普段こそキャプテンの言動に振り回されている印象が強い彼女だったが
その実態は穂乃果とは違った意味で相当な自信家だった。


亜里沙が魚雷の解体場所に選んだ無人衛星は、
岩と砂利を敷き詰めただけの地平が果てしなく続いていた。

辺り一帯360度、どこを見渡しても山や川さえ見当たらない。
目印らしい目印と言えば、二人の乗って来たシャトルだけ。

そんな殺風景の真ん中で、二人の士官は解体作業を始めた。
0035名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/15(日) 23:04:39.31ID:ZOKFNpye
ガチャッ,ガチャガチャ....

亜里沙「西木野先生」

亜里沙「内部ケースに沿って光ファイバーケーブルの束があるので」

亜里沙「上から23番目のワイヤーを切って、他の物には触らないでください」

亜里沙「いいですか?」

真姫「ええ、他のを切るなんてとんでもない・・・」ゴソゴソ

亜里沙「先生、合図を待ってください」

亜里沙「起爆プロセッサーをリブートしてますから」カタカタ



魚雷の側面のカバーを開け、ぎっしりと詰め込まれた内部機構の隙間に
真姫がニッパーを持った手を入れる。

その傍らで、亜里沙が透視用のスコープを使い、目視できない内側の
配線を確認し、開封に必要な動作を見極め、指示していく。

兵器工学と医学。二つの分野のプロフェッショナルを必要とする
難解で精密な作業。それを見越して西木野家の令嬢の助力を得たのは
亜里沙の英断であり、幸運でもあった。



カチカチッ

亜里沙「・・・・よし、準備はいいですか?」

真姫「もう万全よ」

亜里沙「それじゃ、幸運を」

ブツッ
0036名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/15(日) 23:10:15.50ID:ZOKFNpye
チュイ――ン,ガチャガチャッ

亜里沙「やってます、今やってます・・・!」

真姫「穂乃果、彼女を転送しなさい!」グググッ

魚雷(ピピッ,ピピッ,ピピッ.....)

亜里沙「ダメです、それじゃドクターが死にます!」

亜里沙「私にやらせてください!」



死の危機に直面しても尚、真姫は亜里沙の身の安全を優先しようとした。
そこはクルーの身命を預かるドクターとしての信念の現れであった。

だが、それは亜里沙とて同じ。真姫とは反対側のカバーを素早く取り外すと
起爆信号を発する雷管プロセッサの解除を試みる。

自ら始めた事を投げ出して、巻き込んだ仲間を見捨てる
そんな不名誉は死んでも受け入れたくない。


魚雷(ピッピッピッピッ.......)

真姫「10・・・・・9・・・・・8・・・・」


希「絢瀬博士の信号を補足、転送できます」

穂乃果「・・・・・」

ことり「・・・・・」ゴクリッ
0037名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/15(日) 23:11:17.77ID:ZOKFNpye
間違えた。やり直し
0038名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/15(日) 23:11:42.55ID:ZOKFNpye
魚雷(ガコッ,ガシャ―ンッ!)

真姫「っああ!!」

亜里沙「!!」

魚雷(ウィウィウィウィ......)



恐れていた事態は予想以上に早くやって来た。

真姫が指示に従ってワイヤーを切ったその瞬間、開いていたカバーが
勢いよくスライドし、魚雷の腹部を閉じた。執刀医の手を挟み込んだままで。

魚雷は内部から不審な電子音を発し始め、それと同時に
ブリッジのビュースクリーンに赤いタイマーが大きく映し出された。



ミカ「キャプテン、起爆シークエンスが起動。弾頭は30秒後に爆発します!」

真姫「"どうしてこうなったのよ!?腕が挟まれて抜けない!"」

穂乃果「二人の信号を補足、転送で船に戻して!」

海未「転送装置は魚雷とドクターの違いを認識できない」

海未「ドクターだけを転送できません」

穂乃果「・・・・!」

穂乃果「絢瀬博士、解除できる?」
0039名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/15(日) 23:12:59.36ID:ZOKFNpye
🔩チュイ――ン,ガチャガチャッ

亜里沙「やってます、今やってます・・・!」

真姫「穂乃果、彼女を転送しなさい!」グググッ

魚雷(ピピッ,ピピッ,ピピッ.....)

亜里沙「ダメです、それじゃドクターが死にます!」

亜里沙「私にやらせてください!」



死の危機に直面しても尚、真姫は亜里沙の身の安全を優先しようとした。
そこはクルーの身命を預かるドクターとしての信念の現れであった。

だが、それは亜里沙とて同じ。真姫とは反対側のカバーを素早く取り外すと
起爆信号を発する雷管プロセッサの解除を試みる。

自ら始めた事を投げ出して、巻き込んだ仲間を見捨てる
そんな不名誉は死んでも受け入れたくない。


魚雷(ピッピッピッピッ.......)

真姫「10・・・・・9・・・・・8・・・・」


希「絢瀬博士の信号を補足、転送できます」

穂乃果「・・・・・」ドクンドクン

ことり「・・・・・」ゴクリッ
0040名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/15(日) 23:14:49.67ID:ZOKFNpye
ガチャガチャッ,カチカチ...

真姫「4・・・・3・・・・・!」

魚雷(ピピピピピピピピッ!!)

亜里沙「〜〜〜〜〜ッ!」

真姫「っ!!」

亜里沙「くそっ!」グイッ

バキッ,ベリベリベリッ!

魚雷(ガシャンッ,プシ――ウウゥゥ......)

真姫「きゃあっ!」ドサッ

ギュウウウゥゥン....



タイムリミットの間際、亜里沙は最期の手段に出た。
プロセッサを魚雷本体から力任せに引きはがし
命令の伝達回路そのものを断ち切る。

間一髪の所で魚雷は沈静化し、
同時に機体の屋根部分に当たる上部カバーがスライドした。



ことり「・・・・・」ホッ

穂乃果「はぁ・・・・」ガクッ

海未「解除は成功しました、キャプテン」

穂乃果「西木野博士、大丈夫?」
0041名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/15(日) 23:18:14.33ID:ZOKFNpye
亜里沙「ふぅ・・・大丈夫ですか、西木野先生?」

真姫「ええ、今度こそ死ぬかと思ったけど・・・」

亜里沙「不正なアクセスを検知すれば即座に起動するようにプログラムされていたようです」

亜里沙「本当にごめんなさい、こんな事に巻き込んで・・・・」

亜里沙「でも、ここまで厳重に燃料を保護してるなんて」

亜里沙「だって、その必要性が・・・・真姫さん?」

真姫「・・・・・」

亜里沙「・・・・・っ!」


穂乃果「"ねぇ、真姫ちゃん?"」

真姫「穂乃果、凄いものが入ってるわ・・・・」

男「」

シュコー.....シュコー.....



命拾いした二人は、開かれた魚雷の中を覗き込んで言葉を失った。

そこにあったのは、燃料を入れたタンクではなく
霜に覆われたガラス張りのカプセル。
そのさらに内側には、目を閉じた一人の男が横たえられていた。

・・・・・・。
0042名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/16(月) 00:40:48.78ID:C6PafQ9R
>>30
出したかったけど役が・・・
0043名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/16(月) 00:47:47.11ID:C6PafQ9R
大事な所でトチった・・・・
0044名無しで叶える物語(茸)
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2019/12/16(月) 08:23:58.45ID:qtVHnMnb
保守
0045名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/16(月) 20:03:32.57ID:C6PafQ9R
――・・

――――――

――――――――――


穂乃果「これって何なんだろう?」

男「」シュコー,シュコー

亜里沙「よく考えてあります」

亜里沙「燃料コンテナの部分が人工冬眠カプセルに改造されてあるんです」



魚雷の中から取り出されたカプセルは、解体を行った二人の手で
直ちに医療部門に運ばれた。

多くの科学者たちに取り囲まれ、検分を受ける間も
中の男は昏々と眠り続け、目を覚ます素振りも見せなかった。



穂乃果「生きてるの?」

真姫「ええ、生きてるわ。だけど正しい手順で蘇生させないと死んでしまう」

真姫「私にはその知識が無い・・・」

海未「新しい技術ですか?」

亜里沙「いえ、人工冬眠は大昔の技術です」

真姫「星間航行に何年もかかってた時代は、こういう風に人を冷凍させて老化を防いでた」

真姫「21世紀にワープ技術が開発されてから、その必要が無くなったの」

真姫「そこで、彼の興味深いところなんだけど・・・・」

真姫「この男は300歳よ」

ほのうみ「「・・・・・!!」」
0046名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/16(月) 23:04:42.24ID:C6PafQ9R
――・・

――――――

――――――――――


タッタッタッ......

穂乃果「・・・・・・」

穂乃果「何故、魚雷に男の人が入ってるの?」

絵里「・・・・・」

絵里「・・・女も、男も、全ての魚雷に入っているわキャプテン。私が入れた」

穂乃果「あなたは何者なの?」

絵里「・・・・・」



次々と明らかになる不可解な事実。その答えを求めて
穂乃果と海未は再び独房へ向かった。

南條絵里は、壁際の寝台に背筋を伸ばして腰かけ、目を閉じていた。
瞑想する隠者のような静けさを湛えた姿は
最初に檻に入れられた時から変わっていなかった。

この女は、一体何者なのか。ミューズ号がこの二日間で遭遇した
全ての謎に対する問いが、キャプテンのこの一言に集約されていた。



絵里「・・・・・遠く過ぎ去った過去の遺物よ」

絵里「当時の戦乱の世を平和に導くため、遺伝子を改良された超人類」

絵里「だけど犯罪者の烙印を押され、流刑の地へと送られたの」

絵里「私たちの持つ力を恐れた人々によってね」
0047名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/16(月) 23:11:57.05ID:C6PafQ9R
絵里「何世紀も眠ったわ。いつか世界が変わっているようにと願いながら」

絵里「だけどヴァルカン星の破壊の結果、艦隊は盛んに辺境宇宙の調査を始めた」

絵里「そこで私の船が発見され、私一人が覚醒させられたの」



誰かに問われるのを待ち望んでいたかのように
絵里はそれまで仄めかすばかりだった自らの出自について語り始めた。

彼女の辿って来たという数奇な運命を聞き、穂乃果は絵里が時折、遠い目で
見つめていたものの正体を理解した気がした。

21世紀、その圧倒的な力をもって地球上に君臨した栄光と闘争の日々。
その他大多数の人類にとっては、恐怖と圧制に脅かされた暗黒の時代。

にわかには信じ難い彼女の物語が事実であることは
クロノス星で披露した一騎当千の剛力が証明していた。



穂乃果「南條絵里の経歴を調べたけど、1年前までそんな人どこにも在籍してかった」

絵里「南條絵里の件は作り話よ」

絵里「絢瀬提督は自らの目的を果たすために私を起こしたのだから」

絵里「私の素性と、本当の目的を隠すために張られた煙幕よ」

絵里「私の、名前は・・・エリーチカよ」
0048名無しで叶える物語(えびふりゃー)
垢版 |
2019/12/16(月) 23:18:09.19ID:hLASJDx/
いつの間に続きが!
0049名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/17(火) 00:26:49.22ID:/eMqO+7E
穂乃果「エリーチカ・・・・・」

穂乃果「じゃあ、噂は本当だったんだね」

穂乃果「新天地を求めて宇宙に脱出したって。都市伝説だと思ってたけど」

穂乃果「でも、どうして宇宙艦隊の提督があなたに助けを求めるの?」

穂乃果「わざわざ凍った300歳の女を起こしてまで・・・・」

絵里「何故なら私は、優秀だからよ」

穂乃果「優秀って?何に?」


絵里「全てによ」

絵里「文明化された社会に牙を剥く野蛮な敵と立ち向かう為、絢瀬は戦士の頭脳を欲しがった」

絵里「私の頭脳をよ。兵器や戦艦を作るために」

海未「提督が忠誠を誓った艦隊の規則全てを破ったというのですか?」
   
海未「ただあなたの知性が欲しいというだけの理由で?」
0050名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/17(火) 00:36:19.93ID:/eMqO+7E
絵里「知性ではなく残虐性をよ」

絵里「知性だけでは戦闘で使い物にならないわ」

絵里「考えてもみて、海未?」

絵里「規則の一つも破れないあなたが、どうやって戦場で敵の骨を砕くのかしら?」

海未「・・・・・」


絵里「宇宙艦隊を軍隊化する理想を叶えるため、絢瀬は私に魚雷を設計させたわ」

絵里「そして、その魚雷を無防備な惑星に撃ち込ませるため、あなたを派遣した」

絵里「ご丁寧に、敵の宇宙域であなた達の船が壊れるよう細工まで施してね」

絵里「それも全ては、ある避けられない結果を招くために」

穂乃果「・・・・・・」


絵里「クリンゴンが魚雷を発射した者を探せば、あなた達は容易に見つかる」

絵里「そうなれば絢瀬提督は・・・・」

絵里「やりたくてたまらなかった戦争を遂に始めることができるの」
0051名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/17(火) 00:47:39.33ID:/eMqO+7E
穂乃果「・・・・・違う」

穂乃果「違うよ、私は見てた」

穂乃果「あの時、丸腰の士官を攻撃してきたのはあなただった」

穂乃果「あなたが、あの人たちを殺したんだ!」


絵里「絢瀬が、私のクルーを奪ったからよ・・・・」

穂乃果「あなたは人殺しだよ!」

絵里「奴は、クルーを人質に私を操ったの!」


絵里「・・・・・」

絵里「私は、自分の設計した魚雷の中に奪われたクルー達を一人づつ隠した」

絵里「だけど、それが見つかった」

絵里「私は仕方なく、あの子たちを残して一人で逃げた」

絵里「でもその時、私には絢瀬に対するある確信があった・・・」

絵里「奴は、私の大事な人々を一人残らず殺したに違いないという・・・・!」ギリッ



自らをエリーチカと名乗った女の頬を一筋の涙が伝った。

肩を震わせ、声を詰まらせる姿は、それまで冷淡で人を食ったような態度を
貫いてきた彼女が初めて見せた人間らしい感情と言えた。

冷酷非情な独裁者と歴史に記された伝説の女帝にも、同胞を愛し
彼らに降りかかった悲運に涙するだけの情緒があることを穂乃果たちは知った。
0052名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/17(火) 00:52:56.39ID:/eMqO+7E
絵里「それで同じように報復したの」

絵里「私のクルーは、私にとって家族よ、穂乃果」
   
絵里「あなたには家族の為にできない事なんてあるの?」

穂乃果「・・・・・」



エリーチカの投げかけた問いに、穂乃果は答えられなかった。

彼女の行いは決して許されるべきものではない。だが
その行いが仲間に対する親愛によるものであると知った今
ノーと答える事も出来なかった。

穂乃果自身、南提督の死に対して同じ思いを抱き
その心に突き動かされてここまで容疑者を追ってきたのだ。

多くのクルーを率いるキャプテンとして、彼らを守り導く者として
人が他者に対して抱くごくありふれた思いを否定できなかった。



穂乃果(家族のため、仲間のため・・・・)

穂乃果(この人も、私と同じなんだ・・・・)

🔊ブッ,ビ―ッ

希「"接近警報や。ワープで向かって来る船がいる"」

穂乃果「クリンゴン?」

絵里「ワープ・・・?」

絵里「いいえ、違う。あなたにも分かっている筈だわ」

希「"違うな、クロノスからやない"」

穂乃果「・・・・エリーチカを医療室へ、保安部員を6名つけといて」

士官「了解」

絵里「・・・・・・」

タッタッタッ....
0053名無しで叶える物語(茸)
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2019/12/17(火) 14:48:02.66ID:BJqMUFBt
殺した理由を分かって貰いたくて、わざと捕まったのか
0054名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/12/17(火) 19:25:28.87ID:232/TVfh
保守
0055名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/17(火) 23:34:26.58ID:/eMqO+7E
――・・

――――――

――――――――――

タッタッタッ....

警報(ウ―ッ!ウ―ッ!ウ―ッ!)

ミカ「ブリッジにキャプテン!」

穂乃果「その船の到着時刻は?」

希「3秒後や」

穂乃果「シールドを」

希「はい、キャプテン」



船長の席に戻った穂乃果は、防衛体制を取るように指示した。
エリーチカの真実を聞いた今、最早味方でさえも近づく者は信用できなくなった。

エンジンは損傷し立ち往生、目と鼻の先には強敵、内にも強敵。
今、ミューズ号は全くの孤立無援となっていた。



☄ズゴオォンッ!!

ゴゴゴゴゴゴゴ......

クルー「「「「!?」」」」

希「なんや、これは・・・・・・」
0058名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/17(火) 23:51:22.86ID:/eMqO+7E
ブリッジにいた誰もが、目の前の光景に圧倒された。

亜空間を突き破って姿を現したのは
連邦最大級の艦であるミューズを遥かに上回る超巨大艦船だった。

その姿形こそミューズと類似してはいたが、色は黒く塗りつぶされ
見る者を威圧、屈服させんとする禍々しいオーラを放っていた。

ミューズ号の白銀の船体は、その威容が作り出す影に星々を遮られ
急速に輝きを失っていった。

この時、ミューズのクルー達が抱き続けてきた疑念は確信へと変わった。
自分たちが、恐るべき陰謀に巻き込まれていたのだという確信へと。



ことり「キャプテン、通信です・・・」

穂乃果「スクリーンに映して」

穂乃果「後、船内にも放送を。みんなに見せるんだよ」

⚡💻ブツッ

???「"キャプテン高坂・・・・"」


穂乃果「絢瀬提督、これは驚きました・・・・もの凄い船ですね」

絢瀬「"私も驚いたよ、命令に反して南條を捕虜にするとはな"」

穂乃果「そうですね・・・・仕方なくです」

穂乃果「ワープコアが予想外に壊れたもので。それももうご存知ですよね?」
0059名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/17(火) 23:59:05.88ID:/eMqO+7E
絢瀬「"・・・・・意味が分からない"」

穂乃果「あれ?それが分かったから、修理を手伝いに来てくれたんですよね?」

穂乃果「そうじゃなかったら何で・・・」

穂乃果「宇宙艦隊のトップがわざわざ中立地帯にまでいらっしゃるんですか?」

センサー(ピ―,ピピピ.....)


希「この船をスキャンしとる」

穂乃果「何か探しものですか、この船で?」

絢瀬「"捕虜はどこだ?"」

穂乃果「・・・・・・」

穂乃果「宇宙艦隊の規則に則って、"エリーチカ"を地球に連れ帰り、裁判にかけます」


絢瀬「"ああ、くそ・・・"」フルフル

絢瀬「"奴と話したのか・・・それだけは何とか阻止したかったが・・・・"」
0060名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/18(水) 00:03:56.03ID:zFeFtDJb
ことりが巨艦からの通信に応じると、ビュースクリーンの
向こう側の様子が映し出された。薄暗い画面の中心には座席が据えられ
そこに船の司令官が座っている。

絢瀬提督だった。提督はエリーチカの名前を出すと
普段から厳めしい顔をより一層苦く渋いものにした。



絢瀬「"戦術的リスクを冒して奴を起こしたのは・・・"」

絢瀬「"奴の超人的頭脳がやがて来る危機に際し、役に立つと信じたからだ"」

絢瀬「"だが間違いだった。奴の大量殺人は私の責任だ"」
   
絢瀬「"だから君に頼む、奴を渡すんだ。この始末は自分でつける"」


穂乃果「それじゃ、彼女のクルーたちについてはどうしましょうか?」

穂乃果「クリンゴンに魚雷を発射し、72名を殺し、戦争を始めますか?」


絢瀬「"奴が魚雷の中に仲間を仕込んだのだ"」

絢瀬「"だが君に余計な負担を掛けたくなくて黙っていた"」

絢瀬「"奴一人で何ができるか見ただろう、もし残りも目を覚ましたらどうなると思う?」



提督はあくまで冷静に、ここでエリーチカを葬る道理を説いた。

しかし、それがミューズにさせようとして失敗した不正の隠蔽を
提督自らの手で完了させるための方便であることは明らかだった。

エリーチカの存在が公になれば、彼女を使って秘密裏に行ってきた事も
全て白日の下に晒され、提督自身も犯罪者として裁かれることになる
戦争に備えるどころではなくなるのだから。



〜 医療室 〜

絵里「・・・・・・・・」

真姫「よく言うわよ」

亜里沙「・・・・・」
0061名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/18(水) 00:33:30.74ID:zFeFtDJb
絢瀬「"奴は『自分は平和の番人だ』とでも言ったか?"」

絢瀬「"奴は若い君を操っているんだ。分からんか?"」

絢瀬「"エリーチカとそのクルーは戦争犯罪人の死刑囚だ」

絢瀬「"犠牲者がこれ以上増える前に刑を執行するのが、我々の使命だろう?"」

絢瀬「"いいか、もう一度だけ言う。これが最後だ高坂"」

絢瀬「"シールドを解除し、奴の居場所を言え"」



たとえ穂乃果が協力を拒んでも、力づくでそれを実行する。
提督の言葉と、彼の乗る巨艦から、そんな強い意志と警告が伝わってくる。

クリンゴンに先手を打ちたい立場として、何としても責任を逃れたいと
思うのは無理もない事だった。



穂乃果「・・・・分かりました」

穂乃果「彼女は機関室にいます。ですがすぐに転送室に移動させます」

絢瀬「"よし、後は引き受けよう"」

ブツッ
0062名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/12/18(水) 12:07:31.55ID:MSVriOBl
保守
0063名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/12/18(水) 15:33:24.94ID:t3Nh72iO
おとなしく引き渡されるのか?
0064名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/18(水) 19:19:38.65ID:zFeFtDJb
穂乃果「希ちゃん、シールドは降ろさないでよ」

希「了解」

海未「キャプテン、エリーチカの居場所を間違えて伝えたのは
   どういう意図があるのか教えていただけますか?」

穂乃果「最初に捕虜は至急に連れて帰ると言ったでしょ?」

穂乃果「その通りにするんだよ」ポチッ

穂乃果「花陽ちゃん、ワープできる?」



陰謀の黒幕を前にしても、穂乃果の決意は揺るがず
むしろ真実を目の当たりにしてより強固なものになった。

独り善がりな戦略のために南提督や多くの同胞を死に追いやり
その責任を有耶無耶にしてなおも戦争へ向けて邁進する。

それは艦隊と連邦に対する重大な裏切りである。
決して看過できるような行為ではない。



花陽「穂乃果ちゃん、何をしたいかは分かります。でも・・・」

花陽「もしこの状態でワープ航行すれば、コアに深刻なダメージを与えます!」

穂乃果「"でも、できることはできるの?"」

花陽「えぇと、あの・・・・」

花陽「〜〜〜〜〜っ!」

花陽「理論上できなくはないですが、決してお勧めできませんっ!」
0065名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/18(水) 19:23:54.04ID:zFeFtDJb
また、戦争をしたいが為に事実を隠蔽しようとしている人間の
言葉に従って捕虜を渡したところで
そこで穏便に事を終わらせる筈がない事くらい容易に察しがついた。

したがって、今のミューズが自主的に選べる選択肢は一つ。
逃げること以外になかった。



穂乃果「分かった・・・・希ちゃん、目的地を地球に」

希「了解」

穂乃果「さあ、かっ飛ばすよっ!」

レバー(ガシャンッ)


ワープナセル(ギュウウウゥ――――ン......)

ミューズ(ズギュウウウウウンッ!!)



ミューズ号は提督の乗る黒船の脇をすり抜け、
傷を圧して亜空間へ飛び込んだ。

一刻も早く地球へ帰りつき、差し迫った危機を知らせ
提督の恐るべき計画を阻止するために。
0066名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/18(水) 23:49:03.59ID:zFeFtDJb
――・・

――――――

――――――――――


真姫「よかった、とりあえずは動き出した」

絵里「・・・・・」

絵里「ワープすれば安全だと思ったら、間違いよ」

真姫「えっ?」

亜里沙「・・・・っ!」ハッ

亜里沙「まさか!」ダッ



エリーチカの呟いた意味深な一言。亜里沙はそれに思い当たる節があった。

背筋に走った冷たい感覚を振り払うように
彼女は医務室を飛び出し、ブリッジへと走った。



タッタッタッ!

亜里沙「ハァ、ハァ・・・・!」
0067名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/18(水) 23:54:57.53ID:zFeFtDJb
穂乃果「ことりちゃん、本部に連絡して」

穂乃果「船籍不明の船に中立地帯まで追跡されたって」

ことり「ダメ、通信機能がダウンしてる・・・・」

ドア(シュインッ)

シュタタッ!


亜里沙「ブリッジへ入る許可を!」

穂乃果「絢瀬博士・・・」

亜里沙「父が追い付いてきたら、攻撃を止められるのは私だけです」

亜里沙「話をさせてください」

穂乃果「でも、ワープ航行には追い付けないよ?」

亜里沙「それが追いつけるんです!」

亜里沙「父は最新鋭ワープ機能を船に搭載した!」


希「穂乃果ちゃんっ!」

希「あり得ない信号を捉えた・・・!」

穂乃果「えっ・・・・?」
0068名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/19(木) 00:02:10.66ID:T35VUXQy
ヴヴヴ.....

ヴヴヴヴウウウゥ〜〜.......

ヴェンジェンス(ヴヴヴヴヴウウゥ―――――ン・・・・・・)

ヴェンジェンス(ヴヴオオオオォォォ〜〜〜〜ッ!!)

希(嘘やろ・・・・・!?)



超自然を信じる希が、自らの目で見た光景を疑った。
ワープするミューズの遥か後方から、振り切った筈の
提督の船が凄まじい速度で追い上げてくる。

はじめは亜空間の中に生じた小さな黒点に過ぎなかった船は
瞬く間にミューズに覆い被さる影となって背後に迫った。

そして、未知の巨大艦船が披露する驚異の光景はそれだけに留まらなかった



ギュオオオオオオオ―――ッ!!

🚀ズキュン,ズキュウゥン!

💥ドガアァン!! ドゴゴゴッ!!

穂乃果「うわああっ!!」



戦争に備えて秘密裏に開発された最新技術は、既存の連邦艦船を上回る
航行速度だけでなく、それを維持したままでの攻撃をも可能にしていた。

提督の船から放たれた魚雷は、まるでそれ自体がワープ装置を積んでいるかのように
亜空間を突っ切り、ミューズ号の船体背面部に命中した。
0072名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/19(木) 00:21:52.72ID:T35VUXQy
🚀ズキュウゥンッ!ズキュウゥンッ!ズキュキュキュキュウゥ――ンッ!!

💥ドゴォ.....ドゴォン,ドゴオオォンッ!!

ベリベリィッ!!

🌪ズオオオォ―――ォォッ!!

「「「きゃあああああぁぁ〜〜〜〜っ!!」」」

「「「うわああああああぁぁぁぁぁ・・・・・・・!」」」

ミューズ((( ドゴオッ,グラアッ......ギギギギガガガガガッ!! )))



凄まじい揺れが船内のあらゆる人や物を滅茶苦茶に撹乱し
平衡を失ったミューズは激しくスピンしながら(or錐もみしながら)
亜空間より弾き出された。

被弾した外殻は大きく引き裂かれ、その付近にいた多くのクルー達が船外へと
吐き出されて犠牲となった。

既存の技術を遥かに凌駕する圧倒的な力の前に、ミューズはただ翻弄されるしかなかった。



⚠ウ―ッ!ウ―ッ!ウ―ッ!

穂乃果「うぅん・・・・ここはどこ!?」

希「地球の月から23万7000キロ」

穂乃果「被害を調べてっ!」

ミカ「武器も使用できません」

フミコ「隔壁に亀裂が生じています!」

穂乃果「場所はどこ?」

アンドロイド「第一船体デス!」
0073名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/19(木) 00:25:18.95ID:T35VUXQy
≪訂正≫

🚀ズキュウゥンッ!ズキュウゥンッ!ズキュキュウゥ――ンッ!!

💥ドゴォ.....ドゴォン,ドゴオオォンッ!!

ベリベリィッ!!

🌪ズオオオォ―――ォォッ!!

「「「あああああぁぁ―――っ!!」」」

「「「うわああああああぁぁぁぁぁ・・・・・・・!」」」

ミューズ((( ドゴオッ,グラアッ......ギギギギガガガガガッ!! )))



凄まじい揺れが船内のあらゆる人や物を滅茶苦茶に撹乱し
平衡を失ったミューズは激しくスピンしながら亜空間より弾き出された。

被弾した外殻は大きく引き裂かれ、その付近にいた多くのクルー達が船外へと
吐き出されて犠牲となった。

既存の技術を遥かに凌駕する圧倒的な力の前に、ミューズはただ翻弄されるしかなかった。



⚠ウ―ッ!ウ―ッ!ウ―ッ!

穂乃果「うぅん・・・・ここはどこ!?」

希「地球の月から23万7000キロ!」

穂乃果「被害を調べてっ!」

ミカ「武器も使用できません!」

フミコ「隔壁に亀裂が生じています!」

穂乃果「場所はどこ?」

アンドロイド「第一船体デス!」
0075名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/19(木) 00:29:14.65ID:T35VUXQy
ゴゴゴゴ......

ズキュン,ズキュウゥン!ドガアァン!!

ズウゥンッ!


ガタタタッ!

ことり「きゃっ!!」ヨロッ

穂乃果「っ・・・・・回避行動!今すぐ地球へ向かって!」

亜里沙「キャプテン、待って!」

亜里沙「私が父と話をしない限り、船の全員が殺されます!」

警報(ウ―ッ!ウ―ッ!ウ―ッ!)

穂乃果「くっ・・・・!」

穂乃果「ことりちゃん、繋いで」

ことり「了解!」カチッ

亜里沙「提督・・・・・私です。亜里沙です!」


ドオォンッ!ドドドオォンッ!

ドゴォン......

シーン....

希「攻撃が、止んだ・・・・」
0076名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/19(木) 00:31:17.66ID:T35VUXQy
⚡💻ピリリリッ,ブツッ

絢瀬父「"・・・・・・"」

絢瀬父「"お前は・・・その船で何をしている?"」



亜里沙は父の乗る艦に向かって呼びかけた。

標的を追って亜空間を離脱し、なおも執拗に攻撃を続けていた敵艦は
彼女の声を聞くとたちどころに沈黙し、ミューズは安定を取り戻した。

再び通信が入ると、提督は吃驚も露わに娘を問い質した。



亜里沙「話を聞いていました」

亜里沙「自分の犯した間違いを正そうとしてるのよね?」

亜里沙「でもお父さん・・・・私、信じませんから」

亜里沙「育ててくれた父が、無実のクルーが大勢乗った船を撃墜できるなんて」

亜里沙「でも、私が間違っているのなら、私ごと撃墜してください」
0077名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/19(木) 00:35:55.66ID:T35VUXQy
絢瀬「"・・・・・・"」

絢瀬「"いいや、そんなことはしない"」ブツッ

亜里沙「え・・・・」

💫シュイイイイ.......

亜里沙「!?」

穂乃果「転送!?」

亜里沙「穂乃果さん・・・・!」

穂乃果「転送を妨害できる?」

士官「いいえ、できません・・・・!」

亜里沙「い、嫌っ・・・いやあああああああああっ!!」ダッ

✨シュイイイイィィ――ンッ,カッ!

穂乃果「亜里沙ちゃんっ!」



助命を求める娘の嘆願は父親に一蹴された。

提督が画面から消えた直後、亜里沙の周りに金の糸のような光が出現し
彼女の身体に巻きつき始めた。転送の合図だった。

想定外の反応に平静を失った亜里沙は纏わりつく光を振り払うように駆けだした。
しかし、ブリッジの出口に辿りつく前に、光が彼女の全身を包み込んで消えてしまった。
0078名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/19(木) 00:39:32.65ID:T35VUXQy
明日早いので中途半端ですがここまでにします。再開はまた日付が変わる頃に
次はもっと慎重に校正しないと・・・・
0079名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/19(木) 01:06:12.17ID:T35VUXQy
前2章よりもグダついてて、本当スイマセン・・・
0080名無しで叶える物語(茸)
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2019/12/19(木) 08:23:04.47ID:malWcCOB
誰も読んでないから問題ない
0081名無しで叶える物語(茸)
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2019/12/19(木) 17:48:54.22ID:rACRMfAR
読んでるよー
0082名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/19(木) 23:50:12.11ID:T35VUXQy
絢瀬父「"キャプテン高坂"」

絢瀬父「"君は逃亡犯・南條絵里と手を組み、敵の宇宙域で私の命令に背いた"」

絢瀬父「"よって、私は君の船を撃墜するしかない"」

絢瀬父「"フェイザー砲の用意を"」


穂乃果「いや、待ってください提督、待って!」

絢瀬「"苦しませはせん、船尾側の魚雷は全てブリッジを狙え"」

穂乃果「私のクルーは命令に従っているだけです!」

穂乃果「だから今回の行動の責任は全て、私が一人で追うべきものです!」

穂乃果「今エリーチカの居場所を教えますから、クルーの命は助けてください!」


絢瀬「"・・・・・・・"」

穂乃果「お願いします・・・・」

穂乃果「どんなことでもします、クルーの命だけは・・・・」
0083名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/19(木) 23:52:05.46ID:T35VUXQy
娘を奪還した提督は、計画の妨げとなる者を抹殺する意志を隠さなくなった。
裏切者の烙印を押された穂乃果は、しかし必死でその意志を思い留まらせようとした。

自ら相手を欺いて逃走を図り、それが失敗すれば掌を返して許しを乞い
情けにすがろうとする。恥も名誉も体裁も無い悪あがき。
クリンゴンでなくとも唾棄する醜態である。


しかし穂乃果は構わなかった。今回のミッションは、師の無念を
己の手で果たしたいというキャプテンの我がままが発端だ。

それにクルーを付き合わせた末に巻き添えで死に追いやるなど
誰よりも情に厚いキャプテンである穂乃果にとっては自分一人が
死ぬよりも耐えがたい事であった。


自分を信じてついてきた仲間を守るためなら何だってする。
それはエリーチカが問いかけた姿そのものであった。

・・・・・・。
0084名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/19(木) 23:53:42.28ID:T35VUXQy
絢瀬父「"それは中々の謝罪だな"」

絢瀬父「"だが私は・・・"」

絢瀬父「"最初からクルーを助ける気は無かった"」

絢瀬「"発射準備!"」

穂乃果「そんな・・・・!」

海未「・・・・・!」



提督の下した無慈悲な宣告に、一同は戦慄した。
それ程までに、戦争がしたいのか。

宇宙の平和を守り、人道と世界の発展に尽くす。
彼女たちが信じ、全うしようとしていた艦隊の理念が
音を立てて崩れていくのを感じた。



ことり「・・・・・・」

希「・・・・・・」

ミカ「・・・・・・・」

フミコ「・・・・・・」

ヒデコ「・・・・・・」

穂乃果「みんな、ごめん・・・・」
0085名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/20(金) 00:05:19.76ID:4XshWKte
ガショッ,ウウィイイィ―――ッ,プシュウウゥ

ギギギギ......

粒子砲(カチッ......チッ......チッ)



己の信念と良心に従い、進んできた道の先にあった結果がこれである。
無念の思いで、力なくつぶやくしかなかった。

敵艦の船首から、二門の巨大な主砲が突き出て首をもたげ、ミューズに狙いを定める。
その砲身に沿って蛇腹状に並んだパワーゲージの光が全て灯った時
それが充填完了の合図。

最大出力で放たれた粒子砲がミューズを焼き尽くし
原子レベルで跡形もなく蒸発させる。真実は宇宙の闇の中へ葬り去られるのだ。



ギュウウウゥゥッ,ッ.......ガクンッ

ウウウゥ......フッ....

シーン......

絢瀬父「んっ?」

絢瀬父「何だ?」

砲手「魚雷、発射できません」

パイロット「シールドダウン、パワーが落ちてます」

航海士「機関室の誰かが主導でシステムをリセットしたようです」

絢瀬父「誰かってのは誰だ・・・・?」

絢瀬父「誰なんだっ!?」
0086名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/20(金) 00:11:42.80ID:4XshWKte
海未「魚雷とパワーが停止です」

穂乃果「???」

🔊ブツッ

???「"にっこにっこにー!"」

???「"ミューズ号のみんなぁ、聞こえるかなあ?"」

穂乃果「にこちゃん!?」


にこ「"そうよ、あんたに言われた座標に行ってみたの"」

にこ「"そしたら、この船を見つけた。木星の軌道上でこっそり建設してたわ"」

にこ「"で、とっさに潜り込んだってわけ"」

穂乃果「その船に乗ってるんだね!?」

にこ「"そうなんだけど、艦隊の提督に反逆行為をしちゃったから・・・"」

にこ「"今すぐこの船から降りたいの。転送を頼むわ!"」


穂乃果「あははっ!」

穂乃果「奇跡のアイドルだよ・・・・・・本当に!」

穂乃果「今はパワー不足で転送できないから待機してて」

にこ「"パワー不足って・・・船に何があったの?"」

”コツ―ン,コツ―ン....”

にこ「"やばっ!またかけるわっ!"」ブツッ

穂乃果「にこちゃん!」
0087名無しで叶える物語(SIM)
垢版 |
2019/12/20(金) 04:35:21.25ID:SfVvVjxT
ズキュンズキューン(笑)

キンキンキンキンレベルで草生えますよ
なろう(笑)だけじゃなくて少しは普通の小説も読めやw
0088名無しで叶える物語(SB-Android)
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2019/12/20(金) 10:11:28.09ID:QbBg/ExP
>>78
誤字があっても理解はできます。
解らなければ質問するまでのこと。
お気になさらず。
0089名無しで叶える物語(SB-Android)
垢版 |
2019/12/20(金) 10:15:39.63ID:QbBg/ExP
>>79
謝ることには及びません。楽しく拝読しています。続きを期待しております。
0090名無しで叶える物語(茸)
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2019/12/20(金) 15:29:36.16ID:NQQ1E1Fd
にこさすがだけど、にこ自身がピンチだ
0091名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/21(土) 01:22:08.97ID:sZsBTbXV
穂乃果「・・・・海未ちゃん、船の状態は?」

海未「今の状態では、攻撃することも逃げることもできません」

穂乃果「・・・考えがある」

穂乃果「ことりちゃん、にこちゃんと繋がったら私に繋いで」

ことり「わかった」

穂乃果「海未ちゃん、船をお願い」スタスタ

海未「キャプテン、それには反対です」

穂乃果「何に?まだ何も言ってないよ」



追い詰められたミューズに思いがけずもたらされた千載一遇の好機。
喧嘩別れした友人が与えてくれたこのチャンスを逃せば、次こそ明日は無い。

穂乃果はすぐさま行動を開始した。間髪を置かず異を唱える海未を受け流し
状況を打開する切り札の所へ向かおうと、ブリッジの出口をくぐる。

後を任された筈の海未も、キャプテンを制止しようと
その背後に続いて共にターボリフトへ乗って階下へ降りた。



スタスタスタ.......

海未「提督の船を外から攻められないとなると、中から乗っ取るしかない」

海未「しかし大勢では気づかれるから、少人数で乗り込むつもりでしょう」

海未「ならば任務の同行者には戦闘能力に長け・・・」

海未「あの船の内部を知っている人間を選ぶはずです」

海未「つまりあなたは、我々の攻撃目標だったエリーチカと手を組むつもりですね?」
0092名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/21(土) 01:27:18.26ID:sZsBTbXV
穂乃果「手は組まない、利用するんだよ。"敵の敵は友達"でしょ?」

海未「その諺に従った王は民衆に首を切り落とされた筈では?」

穂乃果「うん、でもいい諺だよ」

海未「では、私も行きます」

穂乃果「いや、海未ちゃんは残って」

スタスタ....


海未「・・・・・・・」ガシッ

穂乃果「うわっ・・・海未ちゃん?」

海未「行かせるわけにはいきません!」

穂乃果「・・・・・・・」

海未「ここでの私の任務は、あなたに最も賢い選択をさせる事です」

海未「今のあなたにはまずできない決断を!」

穂乃果「・・・・・・・」



医療デッキへ続く廊下で、海未は前を向いたまま歩き続ける穂乃果の
腕をつかみ、無理やり自分の方を振り向かせた。
それは普段の海未ならば決して行使しない最も強引な手段であった。

しかし、キャプテンが場当たり的な賭けに出て
命を危険に晒そうとするのはこれで何度目か知れない。
それを阻むためにはもう副長としてなり振り構ってはいられなかった。

いつになく強い語気に気圧され
ようやく穂乃果は海未の方に向き直り顔を合わせた。
0093名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/21(土) 01:36:18.96ID:sZsBTbXV
穂乃果「そうだよっ!」

海未「っ!?」

穂乃果「今、穂乃果がしようとしているのは非論理的で、本能的な決断だよ!」

穂乃果「・・・穂乃果には、何をするべきかなんて分からない」

穂乃果「でも、何ができるかは分かる」

穂乃果「だから、ミューズには何をするべきかが分かる人が必要なんだよ」

穂乃果「それは私じゃない、あなたなんだよ。海未ちゃん」

穂乃果「だから、みんなをお願い」

タッタッタッ.......

海未「・・・・・・」
0094名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/21(土) 01:37:17.23ID:sZsBTbXV
立ち尽くす海未をその場に残し、穂乃果は踵を返して遠ざかっていった
海未はその様子を、その場に立ち尽くしたまま見ていた。
胸中で、キャプテンの言葉が繰り返し響くのを感じながら。


クルーを守るために手段を選んでいられないのはキャプテンも同じ。
その手段に地位を顧みずに挑むのは、決して副長を信頼していないからではない。
真実はその逆、安心して船を任せられる者の存在があるからこそ。

強引にでもキャプテンを引き留めるつもりが、逆に彼女が心内に秘めた
そんな思いをぶつけられて、戸惑う事になった。


信頼、友情、愛情、そして良心・・・人間同士が互いを思いやる多くの感情
それらは時に、相手が願い求めているのとは逆の行動に走らせ
すれ違いや対立を生む。

穂乃果もことりも、そんな矛盾に苦しみ傷つきながらも尚
それを力に変えて進み続けようとしている。

論理によって感情を抑制し、調和と平穏を成すことを是とする
ヴァルカン人の生き方とは対照的な地球人の生き方である。


ヴァルカンの父と地球の母から生まれ、二つの種族の血を受け継ぐ者として
自分は二つの相反する生き方とどう向き合えばよいのか。
自分の中にも確かに息づいている感情をどうするべきなのか。

その答えを、海未はまだ見つけられていなかった。

・・・・・・。
0095名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/21(土) 01:40:09.98ID:sZsBTbXV
――・・

――――――

――――――――――


穂乃果「あの船の事を教えて」

絵里「・・・・ドレットノート級。通称U.S.S.ヴェンジェンス」

絵里「スピード3倍、サイズ2倍、最新鋭の武器、乗組員は必要最小限」

絵里「他の船と違い、戦艦として作られた」


穂乃果「あなたがやったことについては、これから必ず償わせる」

穂乃果「でも・・・今は力を貸して」

絵里「何と引き換えに?」

穂乃果「クルーは家族だと言ったよね。その人たちの安全を保障する」

絵里「・・・・キャプテン」クスッ

絵里「自分のクルーの安全も保障できないのに、それができるというの?」

穂乃果「・・・・・・」

穂乃果「真姫ちゃん、それ何してるの?」
0096名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/21(土) 01:53:02.64ID:sZsBTbXV
(×8×)

真姫「死んでるトッリブルよ」

真姫「エリーチカの血小板を、この子の壊死した組織に注射してる」

(×8×)t💉プシュッ

真姫「エリーチカの細胞は凄い再生能力を持っている。理由を知りたいの」

穂乃果「ふーん」

穂乃果「で、どうする?一緒に来る?」

絵里「・・・・・・」
0097名無しで叶える物語(茸)
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2019/12/21(土) 01:55:44.33ID:yt0+O6Ez
>>87
なろうレベルでも容認からここに描いてるんじゃないですかねぇ?
0101名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/21(土) 15:45:29.04ID:sZsBTbXV
――・・

――――――

――――――――――


にこ「・・・あんた、何をするって?」

📱

穂乃果「"そっちへ行く。希ちゃんが今、船の姿勢を微調整してる"」

にこ「でもこっちへって、どうやって?」

絵里「"アクセスポート101A"」

絵里「"7番ハンガーのドアをオーバーライドしてエアロックを開けなさい"」

にこ「あんた馬鹿?誰か知んないけど・・・」

穂乃果「"大丈夫だよ、この人の言うとおりにして"」

📱

にこ「いや、大丈夫じゃないわよキャプテン・・・・」

にこ「宇宙でエアロックなんか開けたら、私は凍って死んで爆発しちゃう・・・!」
0102名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/21(土) 15:48:17.22ID:sZsBTbXV
海未「大尉、現在の位置からニューバルカンへの通信は可能ですか?」

ことり「やってみるよ」

海未「ありがとう」

海未「希、相手の船の状態は?」

希「システムはまだ起動してない、姿勢を調整中や」



一人ブリッジに戻った海未は、キャプテンの椅子に座り
操縦士がミューズの姿勢を調節するのを見守った。

希の繊細な操縦テクニックで、側面のスラスターが断続的に噴射し
船はシミュレーターの導出した座標に近づいていく。

即ち、船から放たれた穂乃果とエリーチカが描くと想定される
飛行の軌道上に敵艦のエアロックが重なる座標に。



スラスター(ボシュウウウゥ.......ボシュウウウゥ.......)

ゴゴゴゴ......



ミューズとヴェンジェンスの間には、先程の砲撃を受けて船体から
撒き散らされた大小の破片が漂い、人工的な小惑星帯が形成されていた。

その中を命綱も無しに泳いで相手の船に飛び移る。
それも弾丸のような速さで飛びつつ、行く手を阻む無数のデブリを
避けるという離れ業に挑もうというのである。

キャプテンが自ら実行しようとしているそれは
最早作戦とも呼べない自殺行為に等しかった。
0103名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/21(土) 15:53:42.64ID:sZsBTbXV
穂乃果「にこちゃん、そっちの調子はどう?」

📱

にこ「"キャプテン、悪い知らせよ"」

にこ「"奴ら、船のコンピューターにロックを掛けたわ。攻撃態勢まで残り・・・"」

にこ「"3分よ。次は奴らの攻撃を止められないかもしれない、待機せよ"」

タッタッタッタッ.......



ブリッジが作戦の手筈を整える間、穂乃果とエリーチカは
船外活動用の防護スーツを着て、機関部に設けられた
ディスポーザーの内の一つに入った。

梯子を使ってシャフトを降りると、保安クルーに蓋を閉じさせ
にこが向こう側のエアロックを解除するのを待つ。



希「中佐、ディスポーザーを相手の船のポート101aに向けた」

海未「キャプテン、準備完了です」

穂乃果「”了解。にこちゃん・・・”」

📱


船内のゴミや危険物を粉砕して廃棄する為の、直系2メートル程度の狭い横穴
その内部は皮肉にも、魚雷の発射管によく似た構造だった。

本来ならば、冬眠カプセルを積んだ魚雷を彼らの主人の元へ送り届ける筈だった。
それが届け先の当人と一緒に、自分が発射されるのを待つことになるなど
どうして想像しただろうか。
0104名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/21(土) 16:00:23.12ID:sZsBTbXV
〜 U.S.S.ヴェンジェンス号 101番格納庫 〜


ドア(ガシャンッ,ウィ―ッ)

にこ「今ハンガーに着いたわ、もう少しだけ待って」

タッタッタッ......

にこ「はあっ、はあっ・・・・・・」

にこ「はあっ、はあっ・・・・走ってます、待機せよ!」

にこ(何て長さなのっ!?)

タッタッタッタッタッ......



ミューズ側の準備が万端、作戦決行の合図を待つだけとなった頃
にこが辿りついた格納庫。

そこは兵器もシャトルもなく、ただ中小のコンテナが隅の方に
無造作に積まれただけの閑散とした空間が広がっていた。

目的のエアロックのある突き当りに向けて走り出すと、
青い照明が僅かに照らすだけの薄暗い格納庫の中に
エンジニアの靴音と荒い息遣いだけがこだました。



タッタッタッ......タンッ!

にこ「うわわわ・・・」

にこ「どうかなキャプテン、随分かわいいドアよ・・・」

にこ「かわいいってのは、小さいのよ。良いとこ4平米しかないわ」

にこ「橋の上を走る車から飛び降りて、ショットグラスに飛び込むようなものよ」
0105名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/21(土) 16:02:10.65ID:sZsBTbXV
穂乃果「大丈夫、前にもやった」

絵里「・・・・・・?」

穂乃果「ああ、垂直に降下してこういうドリルの編板に・・・・・」

穂乃果「まあいいや。にこちゃん、オーバーライド装置は見つけた?」

にこ「"まだよ、まだッ!"」



にこは廃棄孔の中の二人に説かれるように、格納庫を元来た方へ取って返すと
入り口付近にあったコンソールに飛びついて開閉システムの上書き作業を開始する。

格納庫の端から端まで、その奥行きは数百メートル
ミューズの内部に設けられたそれと比較して倍の長さがある。
それだけの距離を全力疾走で往復するのは、にこにとって大変な労苦になった。

ただ、これからジェット機のような速さで突っ込んでくる二人が
減速、着地するための滑走路としては十分に機能する長さがある。
それは幸いだった。



海未「"キャプテン"」

海未「"言っておきますが宇宙空間には多数のゴミが存在します"」

穂乃果「海未ちゃんは後で。にこちゃん、もう良い?」

にこ「"そんな簡単じゃ・・・2秒待ってよ、このイカれキャプテン!"」
0106名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/21(土) 16:29:12.34ID:sZsBTbXV
真姫「ねえ、上手くいくと言ってよ・・・・」

海未「私にはそう言えるデータも確信もありません」

にこ「"キャプテン、もうちょっとよ"」

真姫「・・・・お陰で気が楽になったわ」ハァ

海未「・・・・・」



キャプテンの無鉄砲が行き付く所まで来てしまった。誰もがそう思っていた。
弾丸のような速さで飛びつつ、行く手を阻む無数のデブリを避ける離れ業に
挑もうというのである。

それを"大丈夫、きっとうまく行く"などと言うのは
たとえ論理性を考慮しない気休めであっても、楽観的であり過ぎた。



"信頼しているが故に、ですよ ――‥"

"あなた達二人が協力すれば、互いの能力を最大限に引き出すことができる ――‥"

海未(これが、そうだというのですか?)

"ひとまず論理は脇に置いて、自分が正しいと思う事をなさい ――‥"

"時には自分の感情に従う事も大切です ――‥"

海未(今が、その時だというのですか?)



或いは彼女なら、もっと気の利いた答えを知っているのだろうか。
一年前、古くからの知己より授けられた言葉を思い出し
海未は心の中でその人物に問いかけていた。
0107名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/12/21(土) 16:30:58.83ID:sZsBTbXV
コンソール💻(ポチッ,カタカタ......)

ハッチ(ガチャンッ!)

にこ「来い来い来い来い・・・」カタカタ

コンソール💻("OPERATIONAL")ピピピッ,ピポッ

にこ「よっしゃ!いけた、ドアを開けられるわ!」


穂乃果「・・・・行ける?」

絵里「そっちは?」

穂乃果「・・・・海未ちゃん、ぶっ放しちゃって」
0108名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/21(土) 16:34:32.21ID:sZsBTbXV
海未「はいキャプテン」

希「・・・・・・」コクッ

ことり「・・・・・・・」ゴクリ

海未「"シークエンス完了まで3・・・"」

海未「"2・・・"」

海未「"1"」

エアロック(ガバンッ!)

💨ボシュッ!

ボボボボボボッ!
0110名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/21(土) 16:44:29.62ID:sZsBTbXV
ディスポーザーが開け放たれ、穂乃果とエリーチカは
一瞬のうちに宇宙空間へ吐き出された。

夜空を切り取る光線の如く、二人の女がデブリの中を突っ切って飛んでいく。
船内と外との気圧差で一気に吸い出された時点で
彼女たちは時速数百キロの域にまで加速した。



ズゴゴゴゴ......ビュオンッ...ビョオッ!

士官「"キャプテンの前方432に障害物!"」

海未「"キャプテン、前方に障害物です"」

穂乃果「了解!」

🚀ブシュウウゥッ!ボボオッ!

ディスプレイ(ピピピピッ)

真姫「"穂乃果っ!コースを外れたわ!"」

穂乃果「分かってるよ、見えてる!」

🚀ボシュウッ!ボシュッボシュウウゥッ!!

🌠ビョオオオッ,ヒョオンッ!



仮に隕石が脇をかすめても、真空状態の宇宙では実際には全く音がしない。
更に超高速では視覚から得られる情報も殆ど当てにならない。
故に進路上にある障害物との衝突を避けるには、ブリッジからの指示に頼るしかない。

穂乃果たちも、ブリッジからの指示と、ヘルメットに搭載されたバイザーとを頼りに
宇宙空間に漂う無数のダストを回避していった。
0111名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/21(土) 16:52:00.13ID:sZsBTbXV
ュッ,シュルシュルシュルッ......

にこ「フーッ、フーッ・・・・・・」

キュッ,グルグルグル.....


???「動くな」

🔫ジャキッ!チュイ――ン....

にこ「!?」ビクッ

📱ボトッ,カランカラッ....



穂乃果がブースターの噴射を使って巧みに軌道を調節する間
にこは扉の開口に備え、コンソールのシートベルトを腕に巻き付けていく。

その最中に突然、背後から聞こえる低い声と金属音。

頭の後ろに何か固いものが突き付けられるのを感じ
にこは口に咥えていた通信機を床に落とした。



希「"キャプテン、ディスプレイコンパスで32.243度軌道修正してください"」

穂乃果「了解、もうすぐ実施する」

ディスプレイ(ピピピッ,ピピピッ,ピピピッ.....)

穂乃果「にこちゃん、ドアの準備できてる?」
0112名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/21(土) 16:57:08.59ID:sZsBTbXV
にこ「・・・・・・」ダラダラダラ💧

士官「ここで何してる?」

にこ「エ、エアロックコンソールのメンテナンスにこ☆」

にこ「うわぁ・・・背高いねぇ・・・・」

穂乃果「"にこちゃん、応答せよ"」

にこ「・・・・・・」ダラダラダラ💧



穂乃果の呼びかけに、にこは答えなかった。答えられなかった。

ベルトを巻き付けていない方の手を上げ、恐る恐る声のした方を振り返ると
そこに保安部員らしき屈強な大男が立ち、にこを見下ろしていた。

にこの頭一つ分を軽く上回るその男の片手にはフェイザーが握られていた。
自分の方に突き付けられた銃口が鈍く光るのを目にして
にこの小さな体はツインテールの先端まで硬直した。



ビュオオオオッ......

穂乃果「にこちゃん、どうしたの?」

ことり「"聞こえてないみたい。信号を調整中、お待ちください"」

🚀ボシュウッ,ボシュウッ......

🌠カッ,ピシッ!

穂乃果「!?」
0113名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/21(土) 17:02:52.97ID:sZsBTbXV
ピキッ,ピキピキ......

穂乃果「・・・くそっ」

海未「"キャプテン、何ですか?"」

穂乃果「ヒビが入った・・・・ことりちゃん、にこちゃんに繋がった?」

ことり「"まだだよ、呼びかけてる"」



穂乃果は飛び続けながら、機関士の身に
何か良くないことが起こったのを直感で悟った。

しかし、置かれた状況は仲間の身を案じるだけの余裕を与えてはくれず
それどころか更なるアクシデントをもたらした。

ことりが機関士の代わりに応答した直後、
顔の右側から乾いた音が聞こえ、視界の隅に白い点が浮かんだ。

その点は最初、ディスプレイに付着した埃と見紛う程小さかったが
やがてそこから蜘蛛の巣状の白い筋が伸び、
じわじわとディスプレイ全体に広がり始めた。



📲

通信機(ことり)「"通信機は生きてるけど、なぜか答えないの"」

士官「それは何だ?」

にこ「あなた、艦隊の士官かなあ・・・?」ダラダラ

士官「そっちの手も出せ」

にこ「それともぉ・・・・民間の警備員かな?」ダラダラダラ
0115名無しで叶える物語(えびふりゃー)
垢版 |
2019/12/21(土) 20:00:02.87ID:8hWqCo9g
にこ次第か…
0116名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/12/22(日) 13:42:46.81ID:XHX1f9ca
保守
0117名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/22(日) 23:10:17.95ID:+Td8LNTg
ビュオオオオォ,ゴゴゴ.....

希「"障害物を感知!"」

海未「"エリーチカ、回避を。前方に障害物あり"」

絵里「見えてるわ」

🚀ボシュウッ,ヒュオッ......ボシュウゥッ!

シュッシュッ,シュバババッ!

シュボッ,シュルルルルル......💥ゴンッ!

絵里「っ!!」

💥ゴッ,ドガッ,ビュルルルッ!



エリーチカはデブリの密集する危険地帯の中を飛んでいた。
彼女は初めて装着したブースターを体の一部のように自在に操り
紙一重で障害物を躱していった。

だが、その瞬発力、適応力を以てしても、全てを避け切ることはできなかった。
彼女がデブリに激突して体勢を崩すと、
ミューズのスクリーンからシグナルが消えてしまった。



🔊ピ―ピッピッピッ!

スクリーン("SIGNAL LOST")

海未「希、エリーチカは無事ですか?」

希「分からん、障害物が多すぎて、どれがエリチなのか・・・・」

穂乃果「"にこちゃん!?"」

海未「探してください、すぐに」

希「今探してるところや・・・!」

希「キャプテン、ターゲットの位置を修正して。上下に183、左右に473度や」
0118名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/22(日) 23:18:10.34ID:+Td8LNTg
🚀ボシュウッ......ヒュボッ,ボシュウッ,シュルルッ

ヘルメット(ピシッ,ピキピキ,ピキキキ....)

ディスプレイ(ピピピッ,ピピピッ,ピピピッ,ブツッ.....)

ディスプレイ(..........)

穂乃果「・・・・・」



穂乃果のディスプレイはヒビの浸食に耐え
辛うじて作動していたが、やがて完全に機能を停止した。

そこに示されていた目標までのコース、距離、速度、角度・・・・
敵艦到達に必要なあらゆる情報はキャプテンの視界から消え失せた。



穂乃果「海未ちゃん、ディスプレイが死んでコースが出ないっ!」

海未「"ディスプレイコンパス無しでの到達は、数学的に不可能です"」

穂乃果「もう・・・・帰ったら人の励まし方教えてあげるよっ!」

☄ゴゴゴゴオォ......



穂乃果は副長が容赦なく突き付けてくる現実を拒絶した。

標(しるべ)が失われたが、もう止まることも引き返すこともできない。
そして、宇宙の藻屑となる運命を大人しく受け入れるには時間が余り過ぎている。

ならせめて、最後の瞬間まで足掻く位してもいいだろう。
それが人間という生き物なのだから。
0119名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/22(日) 23:27:43.40ID:+Td8LNTg
希「海未ちゃん、さすがにこれは・・・・・」

海未「・・・・・・・・」



しかし、にこが沈黙し、エリーチカが行方知れず
その上キャプテンまで命綱を失ったとなれば
元々にわか仕立ての作戦が破綻しつつあるのは明らか。

穂乃果がいくら強気になろうとも、いくらミューズに強運があろうとも
奇跡はそう何度も立て続けに起きるものではない。
絶望的な状況に、希さえも諦めかけた。その時だった



ピピピ....パパッ

スクリーン(🕸"ELICHICA"")

希「!?」

絵里「"私のディスプレイは作動しているわ"」

絵里「"穂乃果は1時の方向、200メートル前方よ"」



ビュースクリーンに、消えていたエリーチカのビーコンが再び現れ
小惑星帯の中程で途絶していた航跡を描き始めた。
それと同時に、スピーカーから発された冷徹な声が操縦士の耳に届く。

ミサイルのような衝撃でデブリに叩き付けられたにも関わらず、彼女は生きていた。
0120名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/22(日) 23:30:43.02ID:+Td8LNTg
ビュオンッ,ブシュウウゥッ!!

絵里「右に寄って、私についてきなさい」

穂乃果「・・・・・!」

ボシュッ!....ボシュウッ....シュルルルッ!

ゴゴゴゴゴ.....

穂乃果「・・・・・・・」チラッ

絵里「・・・・・・」ニヤッ



起死回生。穂乃果はエリーチカの誘導に従って
右腕のブースターを噴射し、彼女に接近した。

互いに手を伸ばせば繋げそうな至近距離に並び、相方に目をやると
彼女もバイザーの奥からキャプテンの方を見ていた。
その口角がほんの一瞬だけ、どうだと言わんばかりに吊り上がった。

宇宙の光と闇の表裏一体を表すような二人の飛行士。
彼女らは協力して小惑星帯を抜け、
最後の関門を内側から開けるようにこに呼びかけた。



穂乃果「にこちゃん、もうすぐだよ。歓迎して」

穂乃果「聞こえる?応答せよにこちゃん!」

海未「"Ms.矢澤、聞こえたら10秒後です"」

穂乃果「にこちゃん!」

ゴゴゴゴゴ.....
0121名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/22(日) 23:39:33.91ID:+Td8LNTg
海未「"10・・・・9・・・・8・・・・・"」

士官「そのカウントダウンは何だ?」

にこ「そ、空耳かなぁ?にこ、わっかんなーい・・・・・」✊グググ

海未「"7・・・・・"」


☄ゴゴゴゴ......


穂乃果「"にこちゃん、聞こえる?"」

アンドロイド「1800m・・・・1600m・・・・・」

海未「5・・・・・」

穂乃果「"ねえ、にこちゃんってば!"」

海未「3・・・・」

穂乃果「"聞こえるにこちゃん?お願い!"」
0122名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/23(月) 00:39:54.70ID:qRRPocB5
にこ「本当にゴメンね・・・・」

士官「何が?」

穂乃果「"にこちゃん、ドアを開けて!"」

海未「"開けなさい、にこ!"」

穂乃果「"矢澤ァ!"」

にこ「っ!!」バッ

\🚨/ガチッ!

エアロック(ガシャンッ!)



にこは右腕に巻きつけたベルトを固く握り締めると、
左手でコンソールの一際大きなボタンを力いっぱい叩いた。

エアロックが開け放たれ、格納庫内の空気が勢いよく船外へ放出される。
風船の空気を抜いた時の何十倍もの凄まじい気流に引っ張られて
にこの華奢な身体は宙へ浮き上がり、ベルトがぴんと張り詰めた。



士官「!?」

🌀ゴオオオオオオォッ!!

士官「うああああああああぁぁっっ〜〜〜〜〜〜〜!!」

☄ビュオンッ!

穂乃果「うおおおおおぉぉっ!!」
0123名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/23(月) 00:55:11.30ID:qRRPocB5
大男の士官は起きたことを理解する間もなく気流に捕らわれ
エアロックから宇宙空間に吸い込まれていき
それと入違いに穂乃果とエリーチカが格納庫に突入した。

危険を伴う艦隊の任務、その中でやむを得ず武力を行使することも
あるかもしれない。にこもそう覚悟していたつもりだった。

しかしその本分はどこまでもエンジニアであり、兵士ではない。
目の前の男、それも同胞の命をこんな騙し討ちのような形で
奪うことに対して、謝罪せずにはいられなかった。



うあああアアアアァァ.........!

🌀ゴゴゴゴオオオッ....!

にこ「うううぅんっ・・・・・えいっ!」

\🚨/ガチッ,ガシャンッ!

ドサッ

にこ「ぐえっ!」

絵里「はっ!」

ズザザザザササアァ――――ッ......

穂乃果「う"おっ、おおっ、うあっ!」

シュルルルッ,ズザッ,ドンッ,ゴロゴロゴロロロ........ビタッ!

穂乃果「はうあっ!ああぁ・・・・」



にこがコンソールに手を伸ばして再びボタンを叩くと、
エアロックが閉じ、空気の流出が停止。身体が床に落ちた。

ヴェンジェンスに迎え入れられた穂乃果とエリーチカは
船内の人口重力を受けて急速に減速、やがて半弧を描くように落下し、
磨かれた床を滑り、跳ね、転がり、にこのいる格納庫の
入り口付近でようやく止まった。
0124名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/23(月) 00:59:21.28ID:qRRPocB5
穂乃果「ううぅん・・・・」

にこ「ようこそいらっしゃい」

穂乃果「はあっ、はあっ・・・うん、会えて嬉しいよ」フラフラ

にこ「この人は?」

穂乃果「エリーチカ、こちらにこちゃん」ヨロヨロ

にこ「どうも・・・」

絵里「・・・・・奴らが気づく」

絵里「ブリッジへの道を知ってる。案内するわ」



辺りを見回してエリーチカが言った。
にこには一瞥をくれただけでスーツを脱ぎにかかる。

挨拶代わりとしてはこの上なく冷淡だが、今は悠長に慣れ合っている
時間は無い。穂乃果も彼女に倣い、装備を手早く切り替えた。



つ🔫ジャキッ

穂乃果「麻痺のモードに」

絵里「奴らのは違うわ」

穂乃果「じゃあ撃たれないでね」

タッタッタッタッ.......
0125名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/23(月) 01:15:05.28ID:qRRPocB5
何故か規制されたので中々投下できませんでした
また1日以上中断するかも
0126名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/12/23(月) 19:03:35.15ID:3wfh15zK
いよいよ潜入。書ける時に書いて下さい
0127名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2019/12/23(月) 19:22:32.18ID:YPOoTscM
いくらレスが一つも貰えないからって人がいそうな時に自演ageとか、やってて虚しくないかにゃー?w
0128名無しで叶える物語(SB-Android)
垢版 |
2019/12/23(月) 19:33:51.73ID:gzvcdV8q
この馬刺しくんは前々からしょうもない自演やってるよ
このつまらんSS書く時間と自演にかける情熱を他のことに使えばいいのにね
0129名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/12/24(火) 15:44:24.67ID:RSdB0h2C
保守
0130名無しで叶える物語(えびふりゃー)
垢版 |
2019/12/24(火) 22:12:40.35ID:OcgyHI8a
保守
0131名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/25(水) 00:00:15.68ID:NkSU3v60
>>128
つまらないSS書いて読ませてすいません
0132名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/25(水) 00:04:01.45ID:NkSU3v60
――・・

――――――

――――――――――


🔊ピロロロッ,ピ――ッ

ことり「やった・・・・!」

ことり「ご依頼の通信が繋がりました」

海未「スクリーンへ、出してください」

ことり「お待ちを」

💻ブツッ,ヴィ――ン......



穂乃果たちが敵艦への潜入に成功したのと時を同じくして
ことりが試みていたヴァルカンの入植地との交信が成功した。

敵が沈黙したこの状況は孤立無援のミューズが艦隊本部との通信を回復し
救援を要請する好機である。

その中で、目と鼻の先にある地球ではなく敢えて遥か遠方にいる
同族を頼った理由、それはエリーチカ以外にこの戦局を
打開し得るもう一人の人物と会うため。



ザザッ,ザザアッ,ガガガッ......

???「・・・・・・久しぶりですね、Ms.園田」

海未「お久しぶりです。Ms.園田」



スクリーンに展開された映像は不安定な通信でノイズがかかっていたが
向こう側に座るヴァルカン人女性の姿ははっきりと確認できた。

彼女は非常に年老いて、顔には深い皺が刻まれ往事の髪の青さは失われていた。
しかし、金色の瞳に宿る叡智は長い歳月を重ねて若き日のそれよりも遥かに深みを増し
凛とした佇まいは少しも損なわれていなかった。

ニューヴァルカン大使・園田海未と宇宙艦隊中佐・園田海未
二人の海未が挨拶を交わした。
0133名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/25(水) 00:09:23.71ID:NkSU3v60
〜 ヴェンジェンス号、コントロールブリッジ 〜


プシュ―ッ

コツコツ......

士官「提督、お連れしました」

亜里沙「・・・・・・」

絢瀬「・・・・・・お前との話は後d」

🖐パシンッ!💥

絢瀬「っ!?」

亜里沙「ハァ、ハァ・・・・っ!」

亜里沙「私、あなたの娘で恥ずかしいわっ!」



ヴェンジェンスに強制転送された亜里沙は、ブリッジへ連行された。
絢瀬提督の前に引き出されると、彼女は父親の頬に平手を叩きこんだ。

昨日まで誰よりも尊敬していた父が連邦を戦禍に陥れようとする
逆賊へと成り下がってしまった。その失望は計り知れなかった。

穂乃果やことり、そして海未が味わってきた喪失の痛みを
父親の堕落によって亜里沙もまた知る事となった。



絢瀬「・・・・取り押さえておけ」

亜里沙「くっ・・・・嫌、放してっ!」ズルズル

士官C「先程、ハンガーデッキのエアロックの一つが開きました」

絢瀬「・・・・・・・エリーチカめ」
0134名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/25(水) 00:12:29.57ID:NkSU3v60
タッタッタッタッ.....

にこ「こんなデカい船を歩きで移動するの?」

絵里「ターボリフトを使えば、すぐ知られて閉じ込められるわ」

絵里「この道は機関室に隣接している」ピッピッ

絵里「近くで武器を使えば、ワープコアに影響しかねないから奴らは撃ってこない」

絵里「さあ、こっちよ」スタスタ

にこ「何処で見つけたの?」ヒソヒソ

穂乃果「ああ、後でゆっくり話すよ」ヒソヒソ

タッタッタッタッ.....
0135名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/25(水) 00:19:11.22ID:NkSU3v60
海未「では手短に・・・・」

海未「あなたの世界で、エリーチカという女性に出会いましたか?」

老海未「"・・・・・・・"」

老海未「"・・・・・・・知っての通り"」

老海未「"私はあなた達の運命を変える可能性のある情報は与えないと誓いました"」

老海未「"あなた達の道はあなた達だけで、進むものです"」

海未「・・・・・・」

老海未「"それを承知の上で、お話ししましょう"」



エリーチカの名を聞いた大使は一瞬驚き、かぶりを振りつつ嘆息した。

遠い昔の忌まわしい記憶が呼び起こされると共に
同じ災厄が今再び若き友人たちに降りかかろうとしている事を悟り
悪戯な運命を憂う老人の姿がそこにはあった。

彼女は一時の間、神妙な面持ちで考え込んでいたが
やがて躊躇いがちに語り始めた。



老海未「"エリーチカはミューズが遭遇した最強最悪の敵です"」

老海未「彼女は賢く、残酷で、何の躊躇もなくあなた達を皆殺しにするでしょう」

海未「倒しましたか?」

老海未「犠牲を払って・・・倒しました」

海未「どうやって?」



ヴァルカン星の崩壊が起こらなかった並行世界から
時空を超えてこの宇宙にやって来た、もう一人の園田海未。

ツバサ一派のもたらしたタイムパラドックスで分岐したもう一つの時間軸を生き
130年に渡って銀河系の歴史と運命を目撃してきた彼女ならば
エリーチカと超人類たちについてもより多くの事を知っていて不思議ではない
或いは彼らと戦う術も。

船とクルーを託されたキャプテン代理として海未が選んだ
最善ではないが行使するに足る切り札。必要最小限の賭けだった。



TO BE CONTINUED......
0136名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/25(水) 00:31:29.44ID:NkSU3v60
次いつまた規制かかって最悪落ちるかも分からないので
不本意ですがここで一区切りにします

読んでいただきありがとうございました
0137名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/25(水) 00:36:14.06ID:NkSU3v60
次スレで終わらせるつもりでまたちまちま書き溜めていきます。
0138名無しで叶える物語(SB-Android)
垢版 |
2019/12/25(水) 11:36:31.98ID:8wszUjZQ
楽しみに待ってます。
0141名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/12/26(木) 11:22:07.55ID:XbCOkwlu
続き楽しみにしてます
0142名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/26(木) 20:08:19.28ID:7YvsjtVy
補足:優性人類,超人類(Augment)

20世紀半ば頃、遺伝子実験によって人工的に生み出された人間の種族。

通常の人類と比較すると筋力と耐久力は5倍、肺機能が1.5倍、寿命が2倍等
あらゆる身体能力が飛躍的に向上しており、血液に病気や怪我から即座に回復する
強い再生能力を有している。また、脳の認知機能も極限まで高められている。

しかし、その代償として人間に元々備わっていた攻撃的な性格も増強されており、
強い欲望や暴力衝動、良心の欠如などの精神病質が見られた。
0143名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/26(木) 20:10:53.63ID:7YvsjtVy
結果として、彼らの台頭は世界情勢をかえって悪化させ、
古い世代の人類は淘汰されるか、奴隷的な支配を受ける事になった。

後に優生戦争(Eugenics Wars)と呼ばれた一連の戦火は地球を荒廃させ、3000万人以上の人々が
犠牲となった。戦争は最終的に優性人類同士の戦いとなり、互いを攻撃し合って疲弊した所を
旧人類の反撃に遭い、超人類は半ば自滅に近い形で滅ぼされた。

しかし以後の地球では遺伝子操作を用いた人体の改造は固く禁じられ、そのまま宇宙時代に至る
0144名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/26(木) 20:12:46.31ID:7YvsjtVy
補足2:エリーチカ

21世紀初頭、優生人類による諸勢力の中で最も強大な力を誇った独裁者。
ロシアから日本を含む東アジアに至る大帝国を築き、女帝として君臨した。

一方で自ら戦争を仕掛けた事は無く、他の独裁者が行ったような粛清や虐殺さえ一度も行わなかった。そのため後代の歴史家からは「最も偉大な暴君」と呼ばれる

公には2014年頃、帝国の崩壊と共に死亡したとされたが、実際は忠誠を誓った80人の部下たちと共に
地球を脱出(もしくは追放)、コールドスリープ状態で辺境宇宙域を漂流していた。
0146名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/12/26(木) 20:18:35.24ID:7YvsjtVy
>>128
繰り返しになりますが、つまらない物を読ませて本当にすいませんでした。
0148名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/12/27(金) 11:38:11.22ID:Zrb+Zcta
ガンダムSEEDの世界みたいなもんだね
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