梨子「私は桜内梨子。スパイダー・リリーよ」Vol.2
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前回までのあらすじ
謎のクモに噛まれた桜内梨子は、クモの能力を手に入れスパイダーウーマンになった!
※前スレ
https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1563291407/ 梨子「…………」
「とは言っても、まだ薬は試作段階でね。まだ完全に消し去ることは出来ない────明日にはまた戻っていることだろう」
梨子「!!」
「だから継続的に摂取させていたのだが……君がさっきひとつダメにしてしまった」
梨子「ぁ……あの、点滴……?」
「そういうことだ」
梨子「っ…………、……!」ギリ
「さて、目覚めてくれてことだ。君にも私の研究成果を見てもらおう」
梨子「……何を見せるつもりですか。別の女の子を切り刻む姿でも見せる気?」
「まだ強気な口を聞けるとは……伊達にヒーローを名乗ってはおらんな」
「私の研究は蜘蛛の力だ。君に力を与えた蜘蛛を……もう一度作り出す、それが私のこれまでの研究」
梨子「これまで……?」
「君という存在が現れたことで、私の研究は次のステージを見た」
「君の量産だよ、スパイダーリリー」
梨子「…………!!!」 「しかもただの女子高生である君とは違い、戦いのプロである軍隊や裏社会を牛耳るマフィアの屈強な連中たちをスパイダーマンにする」
「超人兵士を作り出す……そんな薬があれば、あらゆる国家が欲するとは思わないかね?」
梨子「そん、なこと……!!」
「私がさせない……と? その力を失いつつある君が?」
梨子「……っ」
「安心してくれたまえ、君の安全は保障しよう。薬品の製作が完了すれば君は解放するし、無事に沼津へと送り届けよう……普通の女の子として、ね」
「……まあ、研究のために多少の苦痛は我慢していただくことになるがね」
「ではまた来るよ。逃げようとは思わないことだ」
バタン
梨子「……」
梨子「私の力が……消える……」
梨子(頭がぐちゃぐちゃ……)
梨子(目が覚めたらアメリカで、私がこの力を手に入れるきっかけになった、あの蜘蛛を作り出した人に捕まっていて……)
梨子(……なんでアメリカなんだろう、って思ったけど……そっか)
梨子(私が最後に電車で戦ってたあの頭の大きな人……アメリカのマフィアだったんだ)
梨子(きっと私を捕まえるよう依頼されて……それで誘き寄せるために大きな事件を起こしてたんだ……)
梨子(……私、バカやっちゃったよ……鞠莉さん、曜ちゃん、ナターシャさん……千歌ちゃん……みんな……ごめん、ごめんね……)
梨子「弱くて、ごめんね……っ」グスッ
梨子(……この日、私は疲れて寝落ちするまで、ずっと泣き続けていた。ごめんね、ごめんねと……呟きながら) 長らくお待たせして申し訳ありません
今回はここまで
今後の展開は賛否あるかも… きつい展開が続くなぁ…スパイダーマンだもんな…
頑張れ梨子ちゃん 命の保障が一応されてるだけマシではあるけど中々辛い 梨子(────それからの毎日は、痛みと戦う毎日だった)
梨子「ぅあ、っあ……ぐ、ぅゔ……っ」
梨子(身体の内側から焼けるような痛み────能力を壊すという薬品ともう1つ別の薬品が体内で喧嘩しているためらしい────に耐える日々)
梨子(生きたまま身体が作り変えられる感覚に耐え、時々血を抜かれて別の研究に使われる)
梨子(私の知らないところで私の身体を使った研究が行われている────らしいけれど、私自身は、この痛みに耐えるだけの毎日)
梨子(鎮痛剤を打たれても、多少和らぐだけ)
梨子(激痛が全身を襲い、酷い時にはあまりの痛みで身体の穴という穴から液体を垂れ流しながら叫び続けた)
梨子(自室とは違う、研究室でその経過を観察され……ある程度のデータが取れたらその日は終了。解放される) 梨子(逃げようとは、何度もした)
梨子(行動は研究所内に限ってはほとんど自由が許されていたから……隙を見ては逃げ、武装した警備員に捕まる)
梨子(あの博士や他の研究員がいなくなった夜中に部屋を抜け出して……けれど当然、出入り口には鍵がかけられていて外には出られない)
梨子(窓から降りようにも、ここは3階……いつもなら怖くないのに、壁に張り付く力のない私には恐ろしくてたまらなかった)
梨子(そんな生活の中でも、なんとか気持ちを折れさせずにいられる場があった)
梨子(それは────) 〜子ども部屋〜
コンコン
ガチャッ
梨子「こんにちは」
金髪の少女「あ、リコ」
赤髪の少女「きてくれた!待ってたんだよ!」
梨子「ごめんね……その、博士のお手伝いが長引いちゃって」
赤髪の少女「そっかー! じゃあ仕方ないね!」
梨子「……うん」
梨子(この子たちは……生まれつき身体が弱いみたいで、この施設で作ららた薬品の被験体になりつつ育てられている、らしい)
梨子(あの人────博士は、私の研究とは違う内容だと言っていたから安心、のはず)
梨子(……信用はしてないけどね。最低最悪の人なんだから) 赤髪の少女「ねえねえ今日もお歌聞かせて! リコの歌、大好きなんだ!」
梨子「ふふ、今日も? 毎日だね」
赤髪の少女「私たち、この部屋の本は全部読みきっちゃったし、二人で出来る遊びは全部やりきっちゃったもん」
赤髪の少女「博士の許可がないと外に出ることもできないから、リコの外の話や歌ぐらいしか楽しみがないんだ」
金髪の少女「エマのやつ、ずっとリコのことばっか言っててうるさかったんだ」
赤髪の少女「しょーがないじゃん楽しみだったんだから!」
梨子「あ、あはは……」
梨子(ここに来てから1週間くらいした頃……だったっけ)
梨子(その日の研究から解放されて、ベッドと机しかない自分の部屋に戻るときに……廊下の端にあるこの部屋を見つけたんだ)
梨子(子供用のダブルベッドと、大きなおもちゃ箱、たくさんの絵本や図鑑が詰まった本棚)
梨子(そして壁に大きな鏡が取り付けられた……だけど窓はひとつもない、そんな部屋)
梨子(私はそこで、この子たちに出会った)
梨子(最初は警戒されてたけど……すぐに懐いてくれたっけ)
梨子(投与される薬品の痛みに耐えるだけの日々に、この子たちとふれあう時間は、私に安心と精神の平穏を与えてくれたの)
梨子(それにもし、もし……私の力を研究することで、私の体の強さだけをこの子たちに分けてあげられたら、なんて……) 赤髪の少女「ねえ、リコはアイドルなんだよね?」
梨子「あ、アイドルって……そんなすごいものじゃないよ? えっと、学校の部活でやってるだけで」
赤髪の少女「学校! いいないいな〜」
金髪の少女「学校かぁ……私たちずっとここにいるから学校行ったことないんだよな」
赤髪の少女「絶対楽しいと思うよねメリー!」
金髪の少女「でも宿題とかやらなくちゃいけないんだろ? 面倒だよ」
梨子「でも、友達もたくさん出来るよ?」
金髪の少女「友達なんて……別にいらないし」
赤髪の少女「えー! それじゃ寂しいよう!」
金髪の少女「べ、別に……エマとリコがいれば…………いいから」
赤髪の少女「!! めり〜!!」ムギュウ
金髪の少女「く、苦しいよエマ……」
梨子「……よしよし」ナデナデ
ふたり『んへへ……』 赤髪の少女「……ねえリコ」
梨子「なあに?」
赤髪の少女「私たち……いつか学校に通えるようになるかなぁ」
梨子「……そう、だね……通えるように、ならなくちゃね」
赤髪の少女「うん!」
梨子「……メリーちゃんとエマちゃんは、外に出られるようになったら、どんなことがしたいの?」
赤髪の少女「学校にいきたい! お勉強して、お友達を作って、それからそれから……)
梨子(あとあといっぱい美味しいもの食べて、メリーとふたりでリコのアイドルを見に行く!」
梨子「エマちゃん……ふふ、素敵な夢だね」
赤髪の少女「でしょ! にひひ〜」
梨子「じゃあ私もふたりのためにいっぱい練習しておかないとね!」
赤髪の少女「やったー!楽しみだねメリー!」
金髪の少女「え……ま、まあ……な」
赤髪の少女「素直じゃないんだから〜」
金髪の少女「う、うるさいな……もう」 赤髪の少女「やった〜! エマは何したいんだっけ? ねえねえ言ってごらんよ〜」
金髪の少女「ぅえっ……私に振られないように静かにしてたのに……」
赤髪の少女「恥ずかしがらずにほらほら〜」
梨子「エマちゃんは何がしたいの?」
金髪の少女「わ、私は……別に、何がしたいってほどじゃないけど……」
金髪の少女「……海が見たい」
梨子「海?」
金髪の少女「うん、海」
梨子「それなら……ニューヨークにも大きな海が────」
金髪の少女「あっ……そ、それとは違くて……」
梨子「?」
金髪の少女「……その、えと」
赤髪の少女「ほーらはやく言ってみなよメリー♪」
金髪の少女「う、うるさいなエマは……」 金髪の少女「だ、だからな……私が見たいのは……その、ね」
金髪の少女「……リコの住んでるとこの、海……が、見たいんだよ……」
梨子「────」
金髪の少女「おっきな砂浜と、船が見えて……その、リコが歌う元気をもらったっていう……海をさ……見たいんだ」
梨子「メリーちゃん……」ジワッ
金髪の少女「!」
赤髪の少女「リコ泣いてるの?! お腹痛いの?」
金髪の少女「わ、私が言ったことが嫌だった!? ごめん……それなら謝るから泣かないで……」
梨子「ち、違う……違うの、違うんだよ……っ」ギュウッ
ふたり『ぅわぷっ…』
梨子「嫌じゃない、全然嫌じゃないよ」ナデナデ
ふたり『……』
梨子「むしろ嬉しくて……それで、涙が出ちゃった……だけなの」
金髪の少女「ほんと……?」
赤髪の少女「お腹痛くない?」
梨子「うん、ほんとだよ……えへへ。痛くない痛くない」ゴシゴシ 梨子「そうだね。いつか一緒に……私の暮らしてる日本の、沼津の海……一緒に観に行こう」
梨子「絶対、約束だよっ」
金髪の少女「……うん、約束」
赤髪の少女「メリーだけずるい! 私も行きたい!」
梨子「ふふ、もちろんエマちゃんも一緒だよ」
金髪の少女「仕方ないから連れてってやるよ」
赤髪の少女「メリーに連れてってもらうわけじゃないでしょ!」
金髪の少女「ま、私からリコに頼んどいてやるからさ」
赤髪の少女「リコもう良いって言ってるけど!」
金髪の少女「それは私に言ってるんだよ〜だ」
赤髪の少女「なーんーでー!?」
梨子「はいはい、ふたり一緒にね〜」
赤髪の少女「わーい!」
金髪の少女「しょーがないなーエマは」
赤髪の少女「むー!」
コンコン
梨子「!」 ガチャッ
「失礼するよ────、と」
梨子「……」
赤髪の少女「あ、先生!」
金髪の少女「……もうそんな時間?」
「ああ、今日のお薬と検査の時間だよ」
赤髪の少女「もうちょっとお話ししたかったのになー……」
「また明日にしなさい。お薬と検査はちゃんと続けないと意味がないんだからね」
赤髪の少女「はぁい。じゃあリコ……行ってくるね」フリフリ
金髪の少女「また明日も待ってるからな、私たち」
梨子「う、うん……また、明日ね」フリフリ
「君も部屋に戻りたまえ。私の部下が3時間も待っているんだ、あまり手間をかけさせないでやってくれ。彼女も暇じゃない」
梨子「……はい」
バタン
梨子「…………戻ろう」
梨子(私と彼女たちのおしゃべりは、いつもこんな形で打ち切られる)
梨子(私が博士から解放されて、彼女たちの部屋に来て……彼女たちが連れ出されるまでのおよそ3時間ほど) 梨子(部屋に戻ると女性研究員が部屋の前で待っていて……)
「今晩の食事と点滴です。さあ中へ」
梨子(と促され、言われるがままにベットへ横になり、いつもの点滴を打たれる)
梨子(私の中にある蜘蛛の力を破壊する薬品の点滴だ)
梨子(私が勝手に抜くのを防ぐために左腕に拘束器具を装着させられ、その上から管を通して薬品を流し込まれている)
梨子(どれだけ無理やり引っ張っても、壊そうと床に叩きつけても、ビクともしないかった)
梨子「……今日のご飯は、ハンバーガー……?」
梨子「お米が恋しいな……なんて、食べ物に文句を言えてるだけ、まだ私は大丈夫なのかな」
梨子「……うん、私はまだ大丈夫。大丈夫……耐えられる。いつか必ず……逃げて助けを呼ぶまでは」 梨子(大きなハンバーガーをかじりながら、ふと白い壁を見る」
梨子「……」
梨子「もう、1ヶ月……」
梨子(時間の把握は、部屋の壁に傷をつけて数えていた)
梨子(テレビやケータイのような、外部から情報を得られるものは全て私には与えられなくて、とにかく自分が目覚めてからの日数だけを記録していた)
梨子(夜に寝て、朝起きたら1本傷つける。そんな感じで、ね)
梨子「鞠莉さんが探してくれてるはず……だけど、こんなところ……」
梨子(助けを待つのは絶望的とさえ思える。日本ではない場所の、さらに場所も分からないような研究所……さすがの鞠莉さんでも……)
梨子「ウェブシューターさえあれば逃げられるのに……どこで無くしたんだろう……」
梨子「曜ちゃんの帽子とマフラーもだ…………」
梨子「……私、パワーがないと本当にただの無力な女の子だ……」
梨子「…………でも、でも」
梨子「…………諦めたりするもんか。私が諦めたら……助けに来てくれた時、胸を張れないんだから……」
梨子「……そして、メリーちゃんとエマちゃんを、沼津に連れて行ってあげるんだ」
梨子(ここでの生活の中で、二人の存在は私の中で確かな希望となっていた)
梨子(そう、明日を生きる希望に────) 梨子の周りからラブライブ要素が少なくなってることが梨子の孤独感を高めてて自分は好き エマちゃんに何かあったら虹で愛着が湧いてる分キツイな…
この後の展開が怖い 〜子供たちの部屋〜
梨子「え……明日は会えない……?」
赤髪の少女「そうなんだぁ……明日は朝からずっと検査があるんだって、先生が」
金髪の少女「検査だけじゃないだろ。昼からはお薬もいっぱいやるんだ」
梨子「お、おくすりをやるって……」
赤髪の少女「お薬やだなぁ……苦いし、注射は痛いし……」
金髪の少女「でもエマ、明日は早く終わったらお庭に出ていいって言ってたじゃないか」
赤髪の少女「そうだった! リコも一緒に行こ!」
梨子「え、っ……わ、私も……?」
赤髪の少女「だめ……?」
金髪の少女「リコも庭に出る許可をもらわなくちゃいけないのか……?」
梨子「え、えっと……き……聞いておくね、うん! もし私も許可が出たら……一緒に行こっか」
ふたり『! 約束だよ!!』ギュウッ
梨子「う、うん……約束、約束ね……」ナデナデ
赤髪の少女「じゃあ今日は明日の分もたくさん歌を聞かせてもらおー!」
梨子「ふふ、今日もお歌?」
赤髪の少女「だって私たち、良くなったら日本までリコのコンサートを見に行くんだもん! その時のために曲を知っておかないとだよね、メリー!」
金髪の少女「まーな」
梨子「むぅ……でも、私だけ歌ってばっかりは恥ずかしいし……」
金髪の少女「ん……じゃあエマも一緒に歌えばいいじゃん」
梨子「え?」
赤髪の少女「!?」 金髪の少女「最近、毎晩付き合わされてんだ。エマがずっとリコの歌を真似してて寝かせてくれなくてさ」
赤髪の少女「ちょ、ちょっ……メリー何言ってるの内緒って言ったじゃん!」
梨子「……ほんと?」
赤髪の少女「あ、ぇと……うぅ……///」
金髪の少女「ほんとほんと。聞かされ続けた私まで覚えるくらいだよ」
赤髪の少女「……///」
梨子「……ふふ、そっか、そうなんだ……ふふふ」
赤髪の少女「り、リコ……///」
梨子「それじゃあ3人で歌おっか」
金髪の少女「えっ」
赤髪の少女「!」
赤髪の少女「そうだよ! メリーも聞いて覚えてるんだったら一緒に歌わなきゃ!」
金髪の少女「ゃ……い、今のは、違くて……」
赤髪の少女「違わなーい! ね、リコも聞きたいよね?」
梨子「うんっ」
金髪の少女「……ほ、ほんとか? 私なんかが……」
梨子「ほんとだよ! みんなで歌おうよ。その方が楽しいでしょ?」
金髪の少女「……こ、今回だけだかんな!」
赤髪の少女「メリー素直じゃなーい!」
金髪の少女「エマがバカすぎるだけだろー!」
赤髪の少女「素直なだけだもーん!」
梨子「それじゃあ何から歌おうか?」
ふたり『青空Jumping Heart!』 〜日本・沼津〜
────ホテルオハラ・鞠莉の研究室
カタカタ…カチャ、カランカラン…
「……少しは休んだらどうですかお嬢様?」
鞠莉「ん……ナターシャ。何か言った?」
「働きすぎよ、あなた。部屋にこもってから24時間は経ってる」
鞠莉「もうそんなに経ってたのね……でもその甲斐あったわ」
「……どこまで進んだの?」
鞠莉「フッフーン! 見てごらんなさい、この胸に煌めくSunshineを!」
「それは……!」
鞠莉「ついに完成したわよアークリアクター! と言っても、まだprototypeだけど」
「もう、そこまで……」
鞠莉「スーツの材質やデザインは今、AIにやってもらってるとこだから、あとは本当にこれの完成を待つだけね」
「……本当にいいの?」
鞠莉「what?」 「それを、スーツを完成させてしまったら……あなたはもう、戻れなくなる。今ならまだ、ちょっと賢い女子高校生のお遊びとして引き返せるわ」
鞠莉「……ナターシャ?」
「この世界に踏み込んでしまったら……あなたはもう、今までの生活はできない。浦の星女学院の理事長をし、スクールアイドルをし、大切な仲間とともに時間を過ごす────」
「そんな素敵な人生を、あなたは……」
鞠莉「……構わないわ」
「……」
鞠莉「私はもう、大切な人たちが傷つくのを見ているだけなんて嫌なの。私の指示したせいで大怪我を負ったり、死んでしまう人を見ているだけなんて、それこそ、耐えられない」
鞠莉「だけど今、私はその人たちを守る力を、あと少しで手にすることができるの」
鞠莉「……それを手放してまで送る生活が、素晴らしいわけ、ないじゃない」
「────、────」
「そう……ね。あなたはそういう人よね……お嬢様」
鞠莉「ふふ、それにマリーってこういうとこセンス抜群だし? ナターシャが思ってるよりも上手くやっちゃうカモ♡」
「……ふふ、そうね。それこそ、その通りかもしれない」 「でも約束して、鞠莉。あなたの力は、世間に公にしないと」
鞠莉「問題nothing! マリーだってそれくらいは理解してるわ! 謎の鉄仮面男、日本の平和を守る! って新聞の見出しで大笑いしちゃいましょ!」
「……ええ」
鞠莉「さ、A.I.N.A.! スーツの具合はどう?」
A.I.N.A『はい、マリー。スーツに使用可能な合金をリストアップしたのでまずこれから────』
「……」
「どの世界でも私の仕事は同じようね……お給料はあっちの倍はもらわないと気が済まないかも」
鞠莉「何か言ったナターシャ?」
「いいえ、別に。とりあえずシャワーでも浴びたらどうかしら。正直……臭うわよ」
鞠莉「what!? う、嘘でしょ……A.I.N.A.、ほんと!?」
A.I.N.A.『私にそんな機能はありません。が、記録している限り3日間はシャワーもお風呂も入られていないかと』
鞠莉「うぐぐ……寝る時間すら惜しいっていうのに……」
「スーツの素材選びでしょ? 私が適当にしておいてあげるから、入っていらっしゃい」
鞠莉「適当って! 適当って言ったわね今!」
「いいから行ってくる!」
鞠莉「も、もぉ……A.I.N.A.、私が許可するまで勝手に始めちゃダメよ!」
A.I.N.A.『かしこまりました』
「……さてと、私もお仕事始めましょうか。A.I.N.A.、リリーを探すから手伝って。今日から視野を国外にまで広げていくわ」
A.I.N.A.『かしこまりました。スーツの材質選びは構わないのですか?』
「シャワーに行かせる口実だから構わないの。あとで鞠莉が自分で選ぶでしょう」
A.I.N.A.『なるほど、さすがですね』
「……これくらい普通よ。本当に普通」
「今までの仕事に比べたら────ね」 3日間シャワー浴びてない鞠莉ちゃんのにおい嗅ぎたい 〜アメリカ・ニューヨーク〜
研究所
コンコン
ガチャッ
「おはよう。よく眠れたかな」
梨子「……もうお昼過ぎですよ」
「ああ、別の作業で忙しくてね。君は今日は休暇のつもりだったのだが、少し見てもらいたいものができた」
梨子「……?」
「いやなに……なにも聞かされずただただ研究されるだけの日々は退屈だろう?」
「そろそろ、君にも君の携わる実験の素晴らしさを理解してもらおうと思ってね」 〜研究室〜
ウィーン…
梨子「……ここは」
「ここは蜘蛛の飼育部屋……とでも言おうか。様々な蜘蛛を保管している部屋だよ」
「蜘蛛のための研究室はまた別にあるのだが……まあ、それはまた別の話だ」
梨子「……」
「まずは私の最初の研究の話をしよう」
「……あらゆる国のあらゆる蜘蛛を集め、卵の状態から放射線を浴びさせてその変異を観察する────というのが私の研究の起源だ」
「そこから遺伝子を組み替え続けているうちに、1匹の蜘蛛にある変異が起きた」
「なんとその蜘蛛に噛み付かれた別の生命に、なんと蜘蛛の特性が発現したのだ。……そう、君にパワーを与えたあの蜘蛛だ」
「私は新たなる生命の進化を目の当たりにしたよ。極限環境に適応し、なおかつ他の生命に自身の特性を与える……これを進化と呼ばずしてなんと言う?」 「すぐに私は論文をまとめた。もちろん発表するためにね」
「そして学会へ発表するために輸送していた際に────沼津駅でトラックが事故を起こしてね。その結果、君がその蜘蛛の力を手にするに至ったわけだが」
「私としては大きな誤算だったよ。そうだろう? 世界を作り変えるほどの大きな研究結果を失ったのだから」
「だが私は諦めるつもりはなかった。一度生み出すことができたのが、また必ずもう一度作り出せると、そう信じていた」
「蓄えていた資金を全て使い、あらゆるコネクションをも利用した。……だが、二度とあの蜘蛛を生み出すことはできなかった。手順も設備も全く同じだったというのにだよ」
「次第に研究員は次々と私の元から去っていき、ついには資金が尽きるところまで行ったが……このアメリカのマフィアが私の研究に興味を示してくれてね」
「スパイダーソルジャーを生み出すことを約束した私に、彼は金と人員と、研究するために必要な場所を提供してくれた」
「そして最後に貴重な検体……つまり君に来てもらって、今に至る」
梨子「……誘拐した、の間違いでしょう」
「ふふ、招待したと言っていただきたい。多少暴力的な方法だったかもしれないがね」
「さあ見てくれたまえ。この蜘蛛の遺伝子を打ち込んだ最初の個体だ」カチカチ ウィーン…
梨子(彼がコンソールを操作すると、部屋の中央に小さなガラスの箱が現れた────中にいるのは、1匹の蜘蛛)
梨子(ケース越しに、部屋の薄暗い照明に照らされたその蜘蛛は)
梨子「綺麗……」
梨子(私にそう思わせた)
「美しい桜色だろう? まるで君のようではないかね」
梨子「……私の……?」
「私にとっては孫のように可愛らしい存在だよ」
梨子「……」
「打ち込んでからそろそろ1ヶ月経つが、変異はかなり進んでいる。まずは糸の強度が格段に増しているし、敏捷性や顎の力も打ち込む前とは大違いだ」
「あれだけ失敗に失敗を重ねていたというのに、君が来てからというもの、まるで嘘のように研究が進んでいる」
「本当に君には感謝するばかりだ」
梨子「……」 「やはり君の存在は……私の研究は素晴らしい」
「人に蜘蛛の遺伝子を掛け合わせることで君のような超人が生まれ、蜘蛛に君の遺伝子を掛け合わせたことでこの蜘蛛のような変異が起きた」
「今では数百の蜘蛛に君の遺伝子を与え、同じように進化をするか経過を見ているが────やはり個体差か」
「この個体ほど変異が進む個体はなかなか生まれなくてね……やはりこの個体は奇跡だ」
「最初の一匹目がこれほどまでに変異してくれるなんて……ああ、思ってもいなかったとも」
梨子「……」
蜘蛛「……」カサカサ
梨子「!」
蜘蛛「…………」ジー…
梨子「……?」
蜘蛛「……」
梨子「……」
梨子「なぜ……そんなものを作ろうなんて」
「今の私にとって蜘蛛は実験の始まりに過ぎない。私の研究の最終目的は────新人類を生み出すことだ」
梨子「新、人類……?」 「蜘蛛の力を得た君を作り出せたんだ、不可能ではないだろう?」
「この技術が実用段階に達すれば、鳥の特性を得た人間や犬の特性を得た人間が生み出せるようになる」
「すると、どうだ? 人間は人間のまま、他の生物の強みを自身の特性として扱えるようになる」
「魚と組み合わせれば海で暮らせる人間が! チーターと組み合わせれば車のように速く走れる人間が!」
「……夢のようではないかね?」
梨子「……確かにすごいかもしれません」
「だろう! 理解してくれるか……ああ、さすが私の娘だ……!」
梨子「……けど」
「……けど?」
梨子「だからって、動物や人間をそんなモルモットのように扱うなんて、私は……」
「モルモットではないさ。研究の礎だよ」 「君や彼らの協力のおかげで、私の研究は格段に進歩したのだ」
「モルモットではなく協力者だよ。かけがえのない、ね」
「力を貸してくれる大切な君たちを、モルモットなどと呼べるはずもないじゃないか。我が愛しの娘、リリーよ」
梨子「貸して、なんて……」
「本当に素晴らしい────君から作り出した血清はまだ人間への投与実験は行なっていないが……完成すれば、いずれは人間を君のようなスパイダーソルジャーが誕生するだろう」
「君のように蜘蛛の糸を使いこなし、銃弾を避け、怪力乱神を振るうスパイダーソルジャー」
「この血清を某国に売れば、莫大な金が手に入る。その金で研究を続け、いずれは新人類を私が作り出す────!」
「ああ、素晴らしい……なんと素晴らしい……!! まるで神のようではないかね!」
梨子「………………そんなことをして、戦争を起こす気ですか」
「……それは私の預かり知るところではない。私はあくまで超人を……あらたなる人類を生み出してみたいだけだよ」
梨子「……狂ってますね」
「科学者とは狂っていなければできない職業さ」
梨子「……」
「さあ次の部屋に行こう。奇跡を起こす瞬間を共に見ようじゃないか」 ・・・
梨子「こ、れは…………っ」
梨子(通された部屋は狭くて暗い────側面に大きなガラス張りの窓が付いている……まるで動物園の通路のようで)
梨子(そのガラスの向こうにある光景が、私に衝撃を与えた)
金髪の少女『あれ……リコじゃないか?』
赤髪の少女『ほんとだ! リコ! リコー!』
金髪の少女『なんか……すごい顔してないか? リコ、聞こえてる?』
赤髪の少女『おーいリコー? どーしたの、私たちの検査を見にきてくれたのー?』
梨子(その中には、私のよく知った子どもたち────エマちゃんとメリーちゃんのふたりが、いた)
梨子(無機質な金属の壁に囲まれた部屋の中央に、ふたりがいて────薄い手術衣のような着物から、痛々しい注射の痕が覗いている)
梨子(おそらくその傷は衣服で見えない部分にまで……)
梨子(そして私の目を釘付けにしたのは、ふたりに取り付けられた大きく、機械と一体化した首輪────!!) 梨子「こ、れは……っ……どういうことですか! ふたりに一体なにを……!」ガシッ
ギリギリ…
「乱暴はよしてくれないか……シャツにシワができるだろう」バシッ
梨子「ぅっ……」
「彼女らから聞いていなかったのかね。検査をしているのだよ」
梨子「検査!? これのどこが検査なの!? これじゃまるで実験────っ、まさか、まさか……!!」
「さあ、これから面白いものを見せてやろう」
梨子「これのなにが、っ……おもしろい、ものって……どこが面白いの!!?」
「君も知っての通り、彼女たちは身寄りのない孤児でね。修道院や孤児院に捨てられた子供の中で、特に身体の弱い子供だ」
「ここはそんな子供たちを引き取り、治療しながら育てている────」
「────というのが表向き」
梨子「!!!」
「彼女たちも私の協力者でね。君の研究をする傍ら、ラットのような小動物では成果の出にくい実験を行なっている」
「人として扱わなくていい実験材料として、彼女たちはとても役に立ってくれているよ」
梨子「人として、扱わな……い……? なに、を……そんな、そんなことっ……て……」
梨子「こ、こんなこと許されるわけない! 警察が、これを知ったら……っ」
「キングピンが全てもみ消してくれるさ。さっきも話したが、私と彼らは友達でね」
梨子「あ、あのマフィアの……っ!?」
「さて、お待ちかねの『面白いもの』だ」 「見えるかね? あのふたり、名前は……ああ、知っていたね。君は彼女たちと仲良しだったから」
「さて、ふたりの首の装置が見えるだろう」
「あれには君から作り出した血清が入っていてね。このリモコンで操作すれば彼女に血清が投与される」
梨子「血清…………っ、て…………え……?」
梨子「まって……まだそれは、人に使えるものじゃないって、さっき……」
「よく覚えている。感心だよリリー。その通り、血清はまだ試作段階……人体実験はまだ行っていないし、そもそもまだ人体に使用できる段階ではない」
「ラットに投与した時はパワーに耐えきれず内蔵が破裂したか」
梨子「ッ……!!!」
「これを人間に使ったらどうなるか……面白い実験だろう? ラットのような小さな生き物では耐えきれずに死んだが、人間であれば……あるいは彼女らの望む、人並みに強い肉体程度には強化が起こるかもしれん」
梨子「やめ、て……そんなことをしたらメリーちゃんが……!!」
「人は時として歩く前に走ることを先に学ぶ必要があるのだよ。今がその時だ」
金髪の少女『なあ博士』
「……」カチ
プツ…
「何かね?」 金髪の少女『これ終わったら外に出ていいんだよな……?』
「ああ。もちろんだ」
赤髪の少女『だったらだったら! リコも一緒にお庭で遊ばせてよ! リコと3人で外を歩いてみたいんだ!』
金髪の少女『朝からずっと痛いの我慢して、頑張ってきたし……それくらいは、許してくれるよな……?』
「構わないとも────」
「────最後にこれを我慢できたらね」
梨子「!!」
少女たち『えー?』
梨子「やめて、お願い……やめて……!!」
「よく見ていたまえ、リリー」カチ
梨子「やめて────!!」 プシュ
金髪の少女「んゃっ……!」
赤髪の少女「メリーどうしたの?」
金髪の少女「な、なんか首の後ろがチクって……なんだろ……」
赤髪の少女「見てあげる! んと、あれー……だめだぁ……首の機械が邪魔で見えないや……痛っ!」
金髪の少女「エマも? なんだよ変なの……」
梨子『────!! ────!』ドンドン
金髪の少女「リコ……? なんだよ窓なんか叩いて……」
赤髪の少女「すごい怖い顔してる……どうしたんだろう。何かあったのかなあ?」
金髪の少女「わかんな、ぃ……ん、んゔぇっ……!」ビチャビチャ
赤髪の少女「うわっ! な、なに……え、これって……血……? メリー、メリー!?」 金髪の少女「あ゛ぁぁあっ……!! ぁ、に゛……こ、れぇ……ぁぐ、っあ……!」ブチブチッ
金髪の少女「いぎ、っ……ぎ、あ゛……いだ、ぃ……いたい! いだい……ぁ゛、ぁああ…………っ!!」ブシャッ!!
赤髪の少女「メリー!メリー!!」ユサユサ
金髪の少女「ぃ、だい……ぎ、ぃ……ぁ、ずげ、っ……え゛まァ、あ……たす、けて……ぁ、ぅあ゛ぁぁあっ!!!」ブチブチブチッ!!
赤髪の少女「な、なにこれえ……ねえ、めりっ……ぁ、ああ……!!! やだ、やだ……メリー!! ぁぁぁああ……」
金髪の少女「が、ぁぁっ……あ、ああ……痛い、いだぃ゛……っあ゛ぁあ……い゛たい……ぃぃい、ぎ、ぁあ……ッ!!」ブチブチブチブチ!!
梨子『────!!!』
赤髪の少女「ぁ、ぁぁあ……あぁぁっ……!! メリー、メリー……!! メリー……!!!」
金髪の少女「ぅ、ゔぁぁッ……あ゛あぁあぁあ………………!!!!!」ザワザワザワ…
・・・ 梨子(メリーちゃんの姿が、変化した)
梨子(全身を黒い毛が覆い、頭に無数の眼が蠢く。両腕は鋭い爪を持った細く長いものになり、胴から同様の腕が2本ずつ生えて……その姿は、まるで────)
「素晴らしい……! こんな変異ははじめてだ! まさか蜘蛛の力を持った人間を作り出すはずが、まさにその逆! 人の形をした蜘蛛の怪物になってしまうとは!」
梨子「ぁ、あぁぁ……ぁぁ……!!」
梨子「あ、なたの……あなたのせいで────!!!」グッ
「まったく……君は過激な女の子だねリリー」
梨子「ふざけないで!! メリーちゃんの姿を見てなんで笑っていられるの!?」
「実験に想定外はつきものだろう? むしろ嬉しいことじゃないか」
梨子「嬉しい……? なにを言って……メリーちゃんが、メリーちゃんがあんな風になってしまってなにが嬉しいの!!?」
「まだまだ試作段階だったということが分かった上に、面白い変異が起きただろう? これはこれで使い所もありそうだが────さて、その手を離してもらおうか」バシッ
梨子「ぅっ……!」 金髪の少女だったもの『GrrrRRrRrR…………!!』ガキィン!!!!
「無駄だぞメリー。これは強化ガラスだ、その部屋で爆弾を使ったとしても割れることはない」
金髪の少女だったもの『AAAAaAaaaAAaAaaaAaaaaAAAA!!!!!』ガン!ガン!ガン!
赤髪の少女「ぁ、あ……め、りぃ……めりー……」ガタガタ
梨子「────、────!!」バッ
「どこへ行こうというのかね? 君にあれを殺す力があると?」
梨子「…………!!」ダッ!!
タッタッタッ!!
梨子「っ、は……く……っ……!!」
梨子(この1ヶ月……ずっと研究所の中を歩き回ってた)
梨子(ひとりで、ずっと……ひとりで……)
梨子(でも、あの子たちは……メリーちゃんとエマちゃんは、私に元気をくれた)
梨子(そんなふたりを、こんな……こんなことに…………!!!)タッタッタッ
梨子(私にあの子たちを救える……? いや、関係ない……私は、私は────!!)
梨子「……あった!」
梨子(研究所を歩き回ったから、間取りはなんとなくわかってる……この部屋だ!)
梨子「エマちゃん、っ……エマちゃん……!!」
バンッ!
赤髪の少女「……!! り、こ……りこ……!」
梨子「助けに……きたよ!!」 赤髪の少女「めりーが、メリーが……ぁ、ああぁぁっ!! ぁぁぁぁん!」ギュウッ
梨子「……っ」ギュウッ
金髪の少女だったもの『FUuUuuUuuuurrrr……』ギギギギギギ…
梨子「…………何もしてこない……?」
赤髪の少女「りこ……リコ……」ガタガタ
梨子「……行こう、エマちゃん」
赤髪の少女「で、でもメリーが、メリーが……!!」
梨子「……私が後で必ず連れ戻すから。今は……お願い」
赤髪の少女「ぅ、ぅぅぅうう……っ……」
梨子「……エマちゃん」
赤髪の少女「…………うん」
梨子「私の後ろに隠れて……そのまま壁を背にしてドアから出て」
赤髪の少女「……メリー…………」
梨子「……」
金髪の少女だったもの『u……a、…………』
梨子「……」
バタン 赤髪の少女「…………リコ」ギュウッ
梨子「……怖かったよね。ごめん、ごめんね……」ギュウッ
赤髪の少女「めりぃが……めりぃが、ぁぅぅ、ぅぁあぁぁあ、あぁ……っ……!!」
梨子「……ごめんね……ごめんね……」ギュウッ
梨子(私が、されるがままに研究されていたせいで……ふたりがこんな目にあわされるなんて、思ってもいなかった)
梨子(私のせいだ……私から作られた薬のせいで、メリーちゃんがあんな姿に……っ)
梨子(私のせい……私が抵抗しなかった、死ぬ覚悟で逃げなかったから……っ)
赤髪の少女「ぅう、ぅぁぁあ、ぁぁあっ!! めりぃ、めりいぃい……!! ぁぁあああ……!!」
梨子「ごめんね……ごめんね……」
梨子(私は……慟哭し続けるエマちゃん抱き締めながら、謝罪の言葉を吐き続けるしかなかった) ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています