梨子「私は桜内梨子。スパイダー・リリーよ」
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〜部室〜
善子「ねえ、あのニュース見た？」
千歌「ほぇ……にゅうす？」
善子「毎日やってるじゃない！ ……もしかしてニュース見ないの？」
千歌「えへへ……アニメとかドラマしか見ないもんで……」
善子「嘘でしょ……スクールアイドルなら社会情勢にも目を向けないと」
千歌「むむ、善子ちゃんにそんな風に言われてしまうとは……」
千歌「……それで、なんのニュースなの？」
善子「ヒーローのニュースよ！」
千歌「ヒーロー？ ヒーローって……仮面ライダーとか、ウルトラマンみたいな？」
善子「まあそんな感じね！ でもあんな怪人とか怪獣を相手に戦うんじゃなくて、街の平和を守るヒーロー」
千歌「それがニュースになってるの？」
善子「ええ、パソコンで見れるからちょっと貸して」ｶﾁｶﾁ
千歌「あっ……作詞してたのに……」
善子「すぐ終わるわよ」ｶﾁｶﾁ
善子「YouTubeで……ほら、これよ」 《ここ数年で全国的に増えつつある犯罪を撲滅するため、警察は自治体と協力し、巡回などの犯罪撲滅運動を行ってまいりました》
《その甲斐もあり、年々の犯罪率は減少傾向にありましたが……この半年間における犯罪率が飛躍的に高まっているとの情報を警察が発表しました》
千歌「最近物騒だもんね……この前なんて大阪で警察の人の銃を盗んで逃げた人もいたってラインニュースで見たなぁ」
善子「いいから見てて」
《こうした犯罪率の伸びを受け、警察は地域の住民に対する呼びかけや、巡回を増やすなどして対策を設けています》
《しかし、それでも人の目には限度があり、犯罪率を大きく下げることはできていません》
《殺人、強盗など、悪質な犯罪が増えている一方で、静岡県沼津市で謎の人物が見かけられているというのです》
千歌「あ、沼津だって」 《このVTRをご覧ください》
《これは事件の起こった銀行を利用していた女性のカメラ撮影によるものですが……画面左側、銃を持つ男たちの前に現れた謎の人物》
《顔は……何かマスクやお面のようなもので隠れていますが、音声が残っています》
『やあどうもこんにちは。日も高いうちから大勢で銀行にツアー？ でもその服暑そう、全身真っ黒で……わあわあわあ！ 銃は人に向けちゃダメだって教わらなかったんですか？！』
『ちょっとちょっと！ 銀行強盗なんて最近流行らないですよ？ 今のトレンドはATM……って、危ないでしょ！ 撃たないでって！』
『わ、っとと！ 私じゃなかったら穴だらけになっちゃってるところ……みんな大丈夫？ 怪我してる人いな……さそうね。よかった』
『ああもう、こんなことして人生棒に振っちゃって大丈夫なの？ 地道にコツコツ働いた方がいいと思うんだけど……っと！』
《謎の人物は男たちの発砲にも物ともせず、次々と男たちを撃退。謎の糸のようなもので捕縛してしまいました》
《その後、間も無く到着した警官隊に犯人たちを引き渡すと、そのままどこへともなく立ち去ってしまったとのことです》
《この声から、この人物は少女のように思われますが、依然としてその正体はつかめておりません》
《専門家の間では、『CGではないか』、『彼女は現実に現れたヒーローだ』、などと意見が分かれており、真偽のほどは未だつかめておりません》 善子「……どう？」
千歌「……ほんとなの？」
善子「ほんとでしょ！ 実際見たって人もいるんだから」
千歌「ふぅん……」
ｶﾞﾁｬ
ダイヤ「おはようございます……あら、まだ二人だけですの？」
千歌「あ、ダイヤさん！ ダイヤさんもこのニュース知ってる？」
ダイヤ「ニュース？」
善子「レディ・スパイダーのニュースよ！」
千歌「え、そんな風に呼ばれてるの？」
善子「ネットではね。ほら、クモの糸みたいなので犯人を捕まえてるし、壁や天井に張り付いたりもしてるから」
千歌「ほえー」 ダイヤ「そのレディ・スパイダーというのは存じ上げておりませんが……要は沼津に現れる犯罪を見つけてはそれを解決している人物のことでしょう？」
善子「そうそう」
ダイヤ「……たしかに勇気のある行動ですが、わたくしは恐ろしくて仕方ありませんわ」
ダイヤ「聞くところによれば、その正体はわたくしたちとほとんど変わらぬ少女であると……なおさら恐ろしい」
善子「なによ……かっこいいじゃない」
ダイヤ「けれど、まだまだ子供なんですよ？ ただの勇気で犯罪者に挑んで命を落とすようなことがあれば……わたくしはとても良い気持ちにはなれません」
善子「……むう」
千歌「ま、まあまあ！ ともかく、けーさつが悪い人たちを早くやっつけてくれたらいいんだよ！」
千歌「そしたらこのクモ女さんもこんなことしなくなると思うしっ」
ダイヤ「……そうですわね。黒澤家も警察に力を貸していますし、一刻も早い解決を目指さなくては」 善子「でも……この人のおかげで沼津の犯罪は防がれてるのよ？」
ダイヤ「そもそも犯罪の起こらない街にするべきなのよ？ ……あなたの言いたいことはわかるけれど、一番は平和なんですから」
善子「……そうね」
ダイヤ「というわけで、本日の部活はお休みですわ。早く帰って安全にしておくんですわよ」
ちかよし『え！？ なんで！！』
ダイヤ「なんで……ですって？」
千歌「梨子ちゃんも曜ちゃんも教えてくれなかったよ……！？」
千歌「梨子ちゃんなんか帰りのホームルーム終わったら教室から飛び出していったよ！？ なんか急ぎの用事があるって……」
善子「ルビィと花丸も何も言わずに……って言うか、私がレディ・スパイダーの話がしたくて誰より先に飛び出したわ……」 ダイヤ「あなたたち2人だけが、らいんに返事をしなかったんです。他のみなさんはちゃんと部活の休みの旨を了解していますわ」
千歌「……あれ、でもそしたらダイヤさんはなんで？」
善子「そうよ。あなたも間違えて来たんじゃないの」
ダイヤ「……あなたたち2人が返事をしなかったからもしやと思って見にきたんです！！」
千歌「うぐっ……」
善子「ぅえぇ……」
ちかよし『ごめんなさ〜い……』
ダイヤ「さあ帰りますわよ！」 〜バス〜
ﾌﾞﾛﾛﾛ……
千歌「それが本当に臭くて〜」
ダイヤ「うう、臭いの激しいものは苦手ですわ……絶対にわたくしに近づけないでください」
千歌「持ってこないよ〜」
ダイヤ「本当にお願いね……と、わたくしはここで」
善子「ええ、また明日。明日は朝練あるんでしょ？」
ダイヤ「はい、もちろん。でも物騒ですから、気をつけて」
ちかよし『はーい』
ﾊﾟﾀﾝ 善子「千歌ももうすぐよね」
千歌「あー……そうなんだけど、今日はちょっと沼津まで行かなくちゃいけなくて」
善子「何か用事？」
千歌「うん、ちょっとお買い物に」
善子「へえ、じゃあ付き合うわよ。私も暇だし」
千歌「ほんと！？ じゃあ善子ちゃんとデートだね〜」
善子「い、意味わかんないこと言うなっ！///」 〜夜〜
千歌「はー……遊んだ遊んだ。楽しかったね〜」
善子「ふふ、そうね。……というか、バス大丈夫？」
千歌「……やばいかも。急いで駅まで行かなきゃ」
善子「じゃあ近道知ってるわ。ちょっと暗いけど、大通りから行くより5分は短縮できるから」
千歌「ほんと！？ じゃあお願い！」
ﾀｯﾀｯﾀｯ
善子「早く！」ﾀｯﾀｯﾀｯ
千歌「う、うん……っ」 千歌「こ、こっち……？」
善子「そう！ 暗いけど、人通りが少ないからそのぶん早く行けるの！」
千歌「で、でもなんか怖いなぁ……ふう、ふう」
善子「あともうちょっとだから……っ」
「────おい」
善子「えっ……」
千歌「わっ……」 チンピラA「なんだなんだ？ 女の子がこんな暗いところ歩いちゃダメなんじゃあないかぁ？」
善子「ぁ、あの……え、っと……」
千歌「っ……」
チンピラB「おうおう、危ないからお兄さんたちが大通りまで送ってってやろうか？」
チンピラA「むしろ家まで送ってやれよ。大通りっても危ないからよ最近」
チンピラB「さすが優しいね。じゃあお兄さんたちの車まで行こうか？」
善子「っ、ぅう……」ﾌﾙﾌﾙ
千歌「……」
千歌「いえ、結構です。私たち……家は近いので」 チンピラB「遠慮すんなって！ 近くてもそこまでで何かあっちゃ危ないからよお？」
チンピラA「お兄さんたちの言う通りにしといた方がいいと思うけどねえ？」
千歌「大丈夫、ですから……いこ、善子ちゃん」ｷｭｯ
善子「ぅ、うん……」
チンピラA「いいから待てって！」ｶﾞｼｯ
千歌「ひっ……やっ！」
チンピラB「おっと騒ぐんじゃねえぞ？ 夜は声が響いて迷惑だからなぁ」
千歌「や、めっ……離してくださいっ！」
善子「千歌……っ」 チンピラA「はいはい、お嬢ちゃんはこっちでオレと遊ぼうね」
善子「やだ、やだあっ！ やめっ……たすけてっ！」
チンピラB「うるせえな……一発殴って黙らせとくか？」
チンピラA「仕方ねえ。あんまキツくやんなよ？可哀想だからよｗｗ」
千歌「ゃ、やだっ！ やめて……善子ちゃんには何もしないで、私は……私なら、好きにしていいからっ！」
善子「千歌……何言って……」 チンピラA「だってよ？ どうするよ」
チンピラB「あぁ〜？ ひとりじゃすぐぶっ壊れちまうだろ。やっぱ2人は要るって」
チンピラA「だよなｗｗ」
善子「ひっ……ぅう、っ」
チンピラB「じゃ、こっち行こっかぁ？」
「こんな暗い道で楽しそうにできるって何かいいことでもあったの？」
チンピラA「あ────？」 スパイダーレディじゃなくてレディスパイダーか
ガガ的な 「よっと！」ﾊﾟｼｭﾊﾟｼｭｯ
チンピラA「ぐぁっ！」ﾊﾞｼﾊﾞｼｯ!!
チンピラA「んだぁっ！？ 動かね、っ……！」
チンピラB「な、っんだこれ……！」
「壁とキスでもしといてっ！」ﾊﾞｼｯ!!
チンピラB「がっ……！」
「駄目押しにもうウェブをプレゼント」ﾊﾟｼｭｯ
ﾊﾞｼｯ!
チンピラB「むぐっ……むー！むぐぐくっ……！！」
「静かにしといてくれる？ 夜は声が響いて迷惑ですから」
「……おしまいっと。女の子に声かけるの下手すぎ。紳士に生まれ変わって出直してきなさい」ﾊﾟﾝｯﾊﾟﾝｯ 「さてと……大丈夫？」
千歌「は、はぃ……」
善子「ぁ、ぁあ……っ！」
「……っ！」
千歌「あ、あの……っ」
「ぁ……は、はい？」
千歌「たすけてくれて、ありがとうございました！」
「う、ううん、いえいえ、あなたたちが無事でよかった」
千歌「危なかったです……もう少しで、乱暴されそうに……」 「そうだね……ごめんなさい、私ももう少し早く来れれば」
千歌「い、いえ！ 助けてもらっただけで私は…………そ、それより、あなたってもしかして」
善子「レディ・スパイダー！！」
「！？」
善子「レディ・スパイダーでしょ！ ニュースでよく見た！」
スパイダー？「あ、あの……えっと」
善子「あ、握手してください！」
スパイダー？「は、はい……ええ、もちろん」ｷﾞｭｳｯ 善子「ちか、私やばい……本物と握手してるわ……っ」
千歌「よ、よかったね善子ちゃん……？」
スパイダー？「それにしても、私……そんな呼ばれ方してるんだ」
善子「えっ……違うんですか？」
スパイダー？「ええ、違う。全然違うよ」
善子「じゃあ、あなたの本当のお名前は……」
スパイダー？「私は……リリー」
リリー「スパイダー・リリー」 善子「スパイダー・リリー……」
千歌「かっこいい……」
リリー「それじゃ、私はこの悪い人たちを警察に突き出さなくちゃいけないから。あなたたちも早くかえるんだよ？」
ちかよし『は、はい！』
リリー「じゃあね、バイバイ」
千歌「ありがとうございました！」
善子「ありがとうございました！」
ﾊﾟｼｭﾊﾟｼｭｯ
ﾀﾝｯ
リリー「……もしもし、警察ですか？ 沼津駅近くの……はい、暴漢が……」 ・・・
ｽﾀｯ
リリー「ふう……今日の人助けは……ひったくり3件、事故2件、……それと」
ｸﾞｲｯ
ﾊﾞｻｯ
梨子「千歌ちゃんと善子ちゃん……か」
梨子「……ふう。助けられてよかったぁ……」
梨子「もう少しで……はあ、もっと範囲を広げなくちゃいけないかな」
梨子「ラジオとかニュースのを聴きながら行っても遅いもんね……」
梨子「沼津だけじゃなくて隣の市まで見に行ってたらこんな時間に……」
梨子「……千歌ちゃんたち、バスに間に合ったかな？ ……ここからじゃ流石に見えないや」
梨子「あとで善子ちゃんのお家覗いてみようかな」 梨子（……私は桜内梨子）
梨子（もともとは東京に暮らしていたただの高校生……だけど、今はスパイダー・リリー）
梨子（スパイダー・リリーとして沼津や内浦周辺を守ってる）
梨子（それは、やっぱりこんな能力を持ってしまった責任があるからで────） レズカップルを守る正義のヒーロー
スパイダーリリーか
アリだなアリよりのアリだわ スパイダーマンシリーズ見直してネタを考えてみようかな 毎回同じ二人を守るのか色んなカプを守るのかで評価変わるぞ 映画を参考ににするのはいいけど最初の三部作はあんまりいい終わりじゃないからなー
他のはあんまり知らないけど 二代目は友人であり敵であるハリーが初代より酷い目にあうし、一番新しいのは子供っぽすぎるからルビィやチカでもないなら合わないし なんの魅力もないな
スパイディもサンシャインもカプも何も好きじゃない奴が書いたんだろうな アンチしてるの茸ばっかりで草
ここまで設定練ったなら書けるでしょ早くして さりげなくちかよしで尊い、ぜひこの二人を成就させてやってよリリー！ 友人や街を守る親愛なる隣人になる話なら読みたいけど、ちかよしの噛ませになるんだったら嫌だな 噛ませ？ちかよしのみならず色んなカプを助けるのが使命だろ？そうして孤独になってくのも本家スパイダーマンと同じだしな グリーンゴブリンは資金力的にマリダイルビ
そうなるとMJはかなまる辺り
果南辺りは夢あるのも一緒
とにかくはよ 最初からちかよしなのに潰したい人達がいるみたいですね、例の推しの人達ですか？ 好きなように書いてるからちかよしなんだろ
最近ヨハネとチカスレは荒らされすぎだわ カプにさせるならようちかだろ ちかよしとか何言ってんだ でた場違い渡辺推し
>>1から読んで出直してこいよ ダイヤやルビィやリリーとのスレ立てるくせに千歌や善子含め自分以外のカプは潰そうとする独占欲と自尊心の塊こと曜オタ ウェブとかスーツは自作なのか誰かに作ってもらったのか気になる 善子がグエン
千歌がMJ
善子が死んで千歌がヒロインになる そういうの不要だ渡辺推しと大差ない
それこそちかよし噛ませでヘイト集めるね >>61
ようちか推し=渡辺推し
っていうのそろそろ卒業しようか >>60>>61で曜推しじゃないと思う奴はアスペを疑うべき これだからちかりこ好きは…
展開まで原作通りが好きなら原作だけ読んどけよ なんだよ 続き来たのかと思ったらまたこのパターンか 普通に親愛なる隣人スパイダーリリーやるつもりだったんだけど…
千歌と善子を一緒に行動させただけでこんなになるのかそうか それ以上に部活休みを伝えに来たはずダイヤさんが「まだ2人だけですの？」とか言ってるのが一番納得できない添削しとけばよかった いやいやいいよ気にしないで
毎回同じやつがシュバって来るだけだから好きに続けて下さいお願いします >>75
善子=グエン
千歌=MJ
曜=ノーマン
でやれや >>75
デート云々やら暴漢に身を差し出す云々やっといて一緒に行動させただけとか中々の百合脳っすね、セクロスくらいしないとカプとかは言わなそう >>75
俺は普通に先輩後輩として微笑ましく見てたよ
気にせずやりたいように書いてほしい スパイダーリリー？
お前はコリアンリリーだろこのキチガイ朝鮮ガイジ桜内梨子が 善子「逃げて！早く！！」
梨子「善子ちゃん！！」
善子「うっ…意識、が…………」
ヨハネ「…クッ、フフ」
ヨハネ「まさか貴女だったとはねぇ…。スパイダー“リリー”？」
スパイダーあるある、友人が敵になる 設定好きだからすごく続きが見たいけど、ないっぽいな、、、 梨子（要するに私のこの力────クモの力は生まれつきで持ってたわけじゃないの）
梨子（こんな地味で普通な私が……こんな力を持つことになってしまったのは、この街に来てから）
梨子（確か、あれは……） 梨子（……そう、あれは雨の降っていた日）
〜数ヶ月前〜
千歌「りーこちゃんっ」
梨子「っ……た、高海さん……？」
千歌「千歌でいいってばっ！」
梨子「え、ええと……それで、どうしたの……？」
千歌「んっふっふ〜……じゃーん！ スクールアイドル、やりませんか！」
梨子「や、やらないですよ！？ 何回も断ってるのにぃ……」
千歌「むう……これで通算6敗かぁ。まだまだ諦めないからね！」
梨子「もう諦めてくださ〜い……」
千歌「やーだ！ 絶対梨子ちゃんに入ってもらうまで諦めないからね！」
梨子「私以外を当たってください……」
千歌「やーだーもーん！」 千歌「じゃあ今日もうちの前の砂浜で曜ちゃんと練習してるから、気が向いたら見に来てほしいな！ それだけで気持ちも変わるかもしれないし！」
梨子「き……気が向いたら、……」
千歌「うん！ それじゃあまた明日ね！」
千歌「さあ曜ちゃん私たちの青春を始めるのだー！」
曜「また断られたんだね……」
千歌「いやあなかなか手強くて……」
曜「無理に誘わなくたっていいんじゃないの？」
千歌「あんな美少女を誘わないわけにはいかないよ！」
曜「困ってるのに……」
〜帰路〜
梨子「……スクールアイドル、かぁ」
梨子「地味な私にそんな華やかなこと、できるわけないのに……」
梨子「海岸で練習するって言ってたっけ……」
梨子「でも、今日は沼津に買い物に行かなくちゃいけないから見に行けないな……うん」
梨子「……うん」
梨子「早く済んだら……見てみようかな」
梨子「……うん、見てみるだけ」 〜沼津〜
梨子「ふう……内浦から沼津までって、結構遠いんだ」
梨子「渡辺さんは沼津から通ってるって言ってたけど……いつもこんなに時間かかってるんだ……」
梨子「……あれ？ そういえば、今日は千歌ちゃんと練習するって言ってたけど……夜は大丈夫なのかな」
ﾎﾟﾂﾎﾟﾂ
梨子「えっ……雨！？」
梨子「わ、わっ……は、早くいかないと……っ」ｺﾞｿｺﾞｿ
ﾊﾞｻｯ
梨子「折りたたみ持っててよかった……」
梨子「雨降ってきちゃった……高海さんたち、大丈夫かな……」
梨子「……私も急がなきゃ」ﾀｯﾀｯﾀｯ 〜カフェ〜
梨子「はぁ……これでおしまいだよね」
梨子「お母さんも車出してくれたらいいのに……もう」
梨子「でも少しだけお小遣いもらえたし……まあ、いっか。ふふっ」
梨子「……さて、と」ｽﾏｽﾏ
梨子「降水確率80%……」
梨子「空も真っ黒だし、今日はやまないのかも」
梨子「高海さんと渡辺さん、もう帰ったかな……」
梨子「……私も早く帰らないと」
梨子「最近、事故とか事件とか多くて危ないし」
梨子「お茶とケーキだけ……ゆっくり楽しんで、帰ろっと」
梨子「……ふふ」 ｺﾞﾛｺﾞﾛ…
梨子「雷まで。おさまるまでもう少しここにいようかな……」
ｺﾞﾛｺﾞﾛ…
ﾋﾟｼｬｰｰﾝ!
梨子「わっ……近くに落ちたよね……」
ｷｷｰｯ!!
梨子「ッ！？」ﾋﾞｸｯ
ｶﾞｼｬｰﾝ!!!
梨子「な、なにっ！？」ﾀﾞｯ
〜沼津駅前〜
ｻﾞﾜｻﾞﾜ…
梨子「っ……けほ、けほっ……」
梨子「煙臭い……」
梨子「！！ 事故……！？」
梨子「トラックの下敷きになってる人が……！ た、助けなきゃ……」
梨子「だ、誰か！ 誰かいませんか……！」
梨子「っ……誰も、いないの……？ この時間に、なんで……」
梨子「と、とにかく助けないと……」
梨子「警察に電話しながらでも、しなくちゃ……」pipipi
prrr… ﾀｯﾀｯﾀｯ
ｻﾞｻﾞｯ
ｸﾞｯ
梨子「大丈夫ですか……っ！？ 今、警察を呼んでますから……！」ｸﾞｯ
男「ぁ、ぅぐっ……足が、動かない……っ」
梨子「！？ は、早く繋がって、繋がって……っ」
『もしもし、こちら警察────』
梨子「！ も、もしもし！ いま、事故がっ……トラックが横転して、人が下敷きに……足が挟まって動けないんです！」
『落ち着いてください。まずはその場所と状況を……』
梨子「は、はい……ええと、沼津駅の────」 梨子「────痛ッ！！！」ﾊﾞｯ
『どうされました！？』
梨子「っ、うぅ……ご、ごめんなさいなんでもなくて……」
梨子（いま、何かに刺された……？ 手を、なんか……クモみたいな……っ）
梨子「他に、人はいなさそうで……この人、だけで……っぷ、ぅえ……っ」
『もしもし、もしもし……？』
梨子「ご、めっ……なさ……なんだか、気持ち悪くて……っ」
『近くで火が起きたりしてませんか！？ 一酸化炭素中毒の可能性が────』
梨子「火は、ないですけど……とにかく、はやく……っ」
『はい、もう手配済みです。2分以内に到着しますのであなたは離れた場所に────』
梨子「でも、いま私が離れたらこの人は……」
『今あなたにできるのは自分の身の確保です！ すぐ救急と消防が到着しますから────もしもし、聞いていますか！？もしもし！』
梨子「はぁ、はっ……だめ、気持ち悪い……」
梨子「無理……っ」ﾌﾗｯ
ﾊﾞﾀﾘ ・・・
ｳｰ……ｳｰ……
梨子「んん、っ……」ﾑｸｯ
梨子「私、なんで倒れて……」
梨子「えっと……そう、警察に電話してたら何かに刺されて、気持ち悪くなってふらふらして……」
梨子「……ぁ、そうだ……さっきの人は……！」
梨子「あ……救助されてる……」
梨子「……よかった」
梨子「もう大丈夫そうだし、私も帰ろ……あ、荷物、カフェに置いたままだったっけ」 〜バス〜
ﾌﾞﾛﾛﾛ…
梨子「ぅうん……頭、まだクラクラする……」
梨子「なんだか自分の体じゃないみたい……熱かなぁ。雨で濡れちゃったせい……？」
梨子「早く帰って寝よう……あんな事故もあっちゃったし……」
梨子「……あの人、大丈夫かな……」ﾎﾟﾘﾎﾟﾘ
梨子「うぅ……刺されたところ、かゆくなってきちゃった。赤く腫れてる……やだなぁ、もう」
梨子「……まだ内浦まで少しあるし、ちょっとだけ寝ておこうかな……」
梨子「……zzz」 ・・・
『次は────』
梨子「ふぁ……んん、んむ……」
梨子「降りなきゃ……」
梨子「よいしょ、っと……」ｸﾞｲｯ
梨子「……？」ｸﾞｯｸﾞｯ
梨子「えっ！？」
梨子「ま、待って……なんで！？ 手が取れない……っ」ｸﾞｲｯｸﾞｲｯ
梨子「私、立ち上がろうとしてポールを掴んだだけなのに……どうして！？」ｸﾞｯｸﾞｯ
梨子「うーんっ……ぅうん……っ」ｸﾞｸﾞｯ
梨子「早くしないとバスが……んんっ！ んーっ！」ﾋﾞｷｯ
梨子「ぇ……」
梨子「…………おれ、て……」ｻｰｯ
梨子「わ、わわわっ……ご、ごめんなさっ……ぁ、あわわ……」
『降りてくださーい』
梨子「は、はいい！ ごめんなさいぃいーー！」ﾊﾞｯ
ﾃﾃﾃｯ
ﾌﾟｼｭｰ
ﾌﾞﾛﾛﾛ……
梨子「……取れてよかった」
梨子「けど、ポールの根元折れちゃった……ごめんなさい、本当にごめんなさい……」
梨子「……って、普通、折れるのかな……？」 梨子「……流石に高海さんたちはいないか」
梨子「帰ろっと……」
〜梨子の家〜
梨子「ただいま……」
梨子ママ「おかえりなさい。雨、大丈夫だった？」
梨子「ううん、びしょ濡れ……お風呂入ったらもう寝ちゃうね」
梨子ママ「晩御飯は？」
梨子「いらない……なんだか熱っぽくて」
梨子ママ「あら大変。温かいスープ作ってあげるからそれだけで食べちゃいなさい」
梨子「うん……ありがと」
梨子ママ「荷物預かるわ」
梨子「はい……」ｸﾞｲｯ
梨子ママ「え、なにこれ……梨子、ちょっと！？」
梨子「え……？」
梨子ママ「なにこの……蜘蛛の巣？ ちょっと、あなたどこ通ってきたのよ！」
梨子「え、そんな……私、バスで帰ってきたのに……！」
梨子ママ「でもほら、この蜘蛛の巣……梨子の手から伸びて……」
梨子「えっ！？ ……え、えっ……」
梨子「ぇえぇえぇええっ！！？」 〜梨子の部屋〜
梨子「どうなってるの……？ シャワーを握ったら手から離れなくなったり、手から蜘蛛の糸みたいなのが出たり……」
梨子「……私、どうなっちゃったの……？」
梨子「自分が怖い……まるで自分の体じゃなくなっちゃったみたいで……」
梨子「…………もしかして、あのときに変なクモに刺されたせい……？」
梨子「………………ま、まさかね。そんな、ことできるわけ……」
ﾍﾟﾀ
梨子「……ごくり」ﾍﾟﾀ
ｸﾞｯ
梨子「……！」
ﾍﾟﾀﾍﾟﾀ…
梨子「か、壁に……私、壁に張り付いてる……」
ﾍﾟﾀﾍﾟﾀ
梨子「そんな……天井だよ？！ なんで、落ちないの……私、手も足も完全に壁に張り付いてる……」
梨子「こんな、ことって……」
梨子「私、クモになっちゃったの……！！？」 〜翌日〜
梨子「……わかってきた」←徹夜
梨子「この壁に張り付く力は集中すれば離すことができるみたい」
梨子「一晩中繰り返してたら、なんとなくコツは掴めたかも……うん、くっつく、離れる……って風に意識したら簡単にできるようになったかも」
梨子「それに蜘蛛の糸……これは手のひらを開いたまま、中指と薬指だけを折り曲げると手首から出てくるみたい」
梨子「蜘蛛の糸はとっても強くて、アメリカ軍が軍事利用できないか本気で研究してるんだって」
梨子「私の手から出る糸もすっごく強くて、屋根に貼り付けてぶら下がっても全然千切れたりしなかった」
梨子「でも、数時間経ったら消えてなくなっちゃうみたい」
梨子「蒸発してるのかな……？ わからないけど、とにかくずっとずっと残ってるとかじゃないみたいでよかった……」 梨子「……でも、こんなことができるようになったけど」
梨子「……私、人間じゃなくなっちゃったのかな……」
梨子「普通の人間じゃ……」
梨子「わたし……」
「りーーっこちゃん！」
梨子「わあっ！？」
千歌「おっはよー！」
梨子「た、たかみさん……」
千歌「もう！ 千歌でいいってば！」
曜「私もいるよ〜！ おはよーそろー！」
梨子「渡辺さんも」
曜「私も曜でいいよ〜」
梨子「……う、うん」
千歌「さあ梨子ちゃん、今日こそはスクールアイドルに」
梨子「っ……」
千歌「お、これは迷ってる！？」
曜「いや、そんな感じじゃなさそう……梨子ちゃん、大丈夫？」
梨子「ご、ごめんなさい……入れません！」
千歌「えー！？」
梨子「ごめんなさい！」ﾊﾞｯ
梨子（こんな、普通じゃない私がなれるわけない……っ！） 〜中庭〜
ﾀｯﾀｯﾀｯ
梨子「はぁ、はあ……」
梨子「わたし……足まで早くなっちゃった……」
梨子「やっぱり普通の人間じゃ……」
曜「普通！いま普通って言った！？」
梨子「ひゃあっ！？」
曜「ヨーソロー！」
梨子「わた……よ、うちゃん……？」
曜「うん！」
千歌「よーちゃんりこちゃんはやすぎ〜……！ 置いてかないでよ〜……」ﾃｺﾃｺ
梨子「ち、か……ちゃん、まで」
千歌「あ、やっと千歌ちゃんって呼んでくれた！」
梨子「な……なに……？ 勧誘は……」
千歌「今日はしないよ！ だけど誘いはするよ」
梨子「え……？」
曜「なんだか様子が変だったからさ、今日は普通に友達として遊びに誘ってみようってことになったんだ」
千歌「へい彼女！ 放課後、もし暇だったら私たちとカラオケにでも行かないかい？」
曜「退屈はさせないぜい〜？」
千歌「ぜい〜！」
梨子「……え、っと」
曜「……やばい千歌ちゃん、チャラ男キャラはダメだったみたいだよ」
千歌「大変だ！ じゃあ……王子様？」
曜「よしきた！ 梨子姫、さあ我らと共にダンスと歌を楽しみませんか？」
千歌「わたし、千歌王子と曜ちゃん王子があなたを夢の世界へとお連れいたします！」
梨子「っ、ふふ……くふふ、うふふふっ」
千歌「……笑われた！」
曜「というよりは……面白がってくれてるみたい？」
梨子「……ありがと。じゃあ……私を連れて行ってくれますか？」
ようちか『！ ……よろこんで！』 〜現代に至る〜
梨子「……あの二人と行動するうちに、自分のことも受け入れられるようになって……今があるんだっけ」
梨子「普通じゃなくても私は私。……千歌ちゃんと曜ちゃんが私を私として愛してくれたから」
梨子「ふふ……それから増えていったAqoursのみんなも、私を私として見てくれてて」
梨子「……いつもありがとう」
『ｻﾞｻﾞｯ────』
梨子「！」
『────で事件発生。付近の警官はただちに急行せよ。繰り返す────』
梨子「さてと……スパイダー・リリーの出番ね」ｸﾞｯ
リリー「明日はお休みだし、少しくらい遅くなっても平気だよね……っ！」ﾊﾞｯ! ﾋｭｯ
ﾊﾟｼｭｯ
ﾋｭｯ
リリー「沼津まで来ると建物が多いからスイングしやすくて……内浦だと走るしかないんだよね」ﾊﾟｼｭｯ
ﾋｭｯ
リリー「その分、人目も多くてよく見られるようになっちゃったけど……」ﾊﾟｼｭｯ
リリー「だからいつもフード付きのパーカーと、マスクで顔を隠してるんだけど」ﾋｭｯ
リリー「そのうちちゃんとした衣装でも作ってみようかな？ 曜ちゃんとルビィちゃんに教えて貰えば……っと」ﾊﾟｼｭｯ
リリー「事件って……ええと、ふんふん」
リリー「暴走族？ だったら……っ」 ﾌﾞｰｰﾝ!!
暴走族A「ヒャッハハハ！ おせえおせえ！ 俺らを止められるやつぁいねーなぁ！！」
暴走族B「警察も追いつけてないぜ見てみろ！」
暴走族A「おいおい！ ミラーの点どころからミラーに映ってすらいねえじゃん！」
リリー「え、ほんと？ 私にも見せてくれない？」
暴走族A「おう見てみろ、後ろに誰も……って！」
暴走族B「なんだこいつ！！」
リリー「やっほーこんばんは！ もう夜遅いからって信号見ないと危ないよ？ あ、田舎の夜は信号無くなるんだっけ」
暴走族A「バカにしてんじゃねえ！」ﾌﾞﾝﾌﾞﾝ
リリー「わっ！ おっと！ 当たらないよ！」ﾋｭｯ
ｽﾀｯ
暴走族B「クソ！ 屋根に乗りやがった！」
暴走族A「お前あれだろ！ 最近よくでてるクモ女だろ！ ちょっと有名になったからって調子乗りやがって！」
リリー「違いますー！スパイダー・リリーですー！ 可愛い名前があるんだからそう呼んで！」
暴走族B「ざけんなクソ！ おりやがれ！」ｸﾞｲｯ
ｷｭﾙｷｭﾙｷｭﾙ!
リリー「わ、ちょっと！ 自分からスリップさせないで！」ｶﾞｼｯ
暴走族A「ドリフトも知らねえのか！ もっとやってやれ！」
暴走族B「わかってるよ！」 リリー「わあわあ！ ちょっと、周り見て本当に……ああもう！」ﾊﾞｯ
リリー「みんな危ないよ！ ほら離れて！」ﾊﾟｼｭﾊﾟｼｭｯ
通行人「きゃあっ！」ﾊﾟｼｭｯ
通行人「うわあ！」ﾋｭｯ
リリー「よし……轢かれそうな人をウェブで避難させる作戦成功……っと」
リリー「ウェブの扱いもだいぶ上手になってきたね、私」
暴走族A「まだ乗ってんのかてめー！」
リリー「もう降りますよ！ ……あなたたちもね」
暴走族B「あぁ！？」
リリー「そー……れっ！！」ﾊﾟｼｭｼｭｼｭｯ!!
リリー「ふ、んんんむむむっ……！！」ｸﾞｲｯ…!!
暴走族A「なにして……おい、スピード落ちてんぞ！」
暴走族B「アクセルベタ踏みだよ！ なのに進まねえ……っ」
リリー「ビルとビルにいっぱいウェブ出して……、車を止めようとしてるんですぅ……私が……っ！」ｸﾞｸﾞｯ…
暴走族B「う、嘘だろ！？」
リリー「よい、しょっ……！！」ﾊﾟｯ
ｶﾞｼｯ
リリー「ふ、んぐぐぐっ……！」ｸﾞｸﾞｸﾞｸﾞｯ!!
暴走族AB『うわぁぁあぁあぁっ！！？』
リリー「スピードを殺してから、持ち上げれば……もう動けないよね……はあ、ふう……」
リリー「あとは警察に突き出して事件解決……っと」 ・・・
ｽﾀｯ
リリー「ふう……また警察に追われるところだったよ……」
リリー「まあ、そうだよね……私、警察から見たら一般人だもん。いくらスパイダー・リリーだからって、一緒に町を守る友達としては見てくれないよね」
リリー「……もっと地道に活動して仲間意識を持ってもらわなくちゃ」
リリー「それで協力者もできて、情報をもらえたりしたら……なおさら事件解決に貢献できたりするかも」
リリー「ふふ、頑張らなくっちゃ」
リリー「だけど今日はもうヘトヘト……もうすぐ終バスだし、屋根にお邪魔してそのまま内浦まで送ってもらおっと」
リリー「……の前に、善子ちゃんかな。ちゃんと帰れてるか確認だけして、バス停に向かおう」ﾊﾟｼｭｯ
ﾋｭｯ
？？？「…………hmm」 スパイダー・リリー
第1話「マスクをかぶるとキャラも変わる」おしまい とりあえず今考えてる設定について
スパイダーウェブはサム・ライミ版みたいに手首から出る
理由は梨子ちゃんにウェブシューター開発とか絶対無理だもん
見た目は長ズボンと長袖のフード付きパーカーにお面だか目出し帽的なマスクで顔を隠してる状態
イメージ的にはサム・ライミ版のプロレスに参加した時の服とか、ホムカミのホームメイドスーツ 続き来てくれてめっちゃ嬉しい！
自称地味子が仮面被るとキャラ変わるのは王道ですよね 次も楽しみにしてます いいぞいいぞ！
無理せず自分のペースで続けてどうぞ グエンはよしこでいいよ。ゴブリン化したマリーにぶち殺される展開で 〜朝・十千万〜
梨子「千歌ちゃんはやく〜！ もうすぐ学校のバス来ちゃうよ〜……？」
千歌「わひゃっへるよぉ！ もごもご……んぐ」ﾓｸﾞﾓｸﾞ
曜「朝ごはん中みたいだね」
梨子「今日は珍しく曜ちゃんが遅刻してないのに……」
曜「時間ぴったりであります！ ……ほんとは走っていきたいところなんだけど」
梨子「そ、それは千歌ちゃんが倒れちゃうからやめてあげて……」
曜「梨子ちゃんは平気なの？」
梨子「えっ……ぁ、えっと……わ、私もダメ……だけど」
曜「やっぱり果南ちゃんくらいじゃないとね〜」
梨子（危ない危ない……）
志満「梨子ちゃんと曜ちゃんも朝ごはん食べていく〜？」
曜「え、ほんと？ いただきまーす！」
梨子「曜ちゃん！？」
千歌「どうせ次のバスでも間に合うんだから食べとこーよ！」
梨子「間に合わせてよぉ……」
志満「いざとなったらお姉ちゃんが送って行ってあげるから〜」
梨子「すみませんいつも……」 梨子「いただきます…」ﾓｸﾞﾓｸﾞ
曜「志満姉のごはん、いつも美味しい！」
志満「あら、嬉しいわ。曜ちゃんも今日も可愛いわねえ♡」
曜「いやいや〜」ﾓｸﾞﾓｸﾞ
千歌「梨子ちゃん目玉焼きにお醤油つかう？」
梨子「ううん、大丈夫だよ。私、今日はソース使うから」
千歌「ソース派なんだ……」
梨子「気分で変えて、どっちでも……かなぁ？」
千歌「ほえー」
曜「そういえば梨子ちゃんって最近よくご飯食べるよね」
梨子「えっ……そう、かなぁ？」
千歌「あ、確かに！ 前まで昼休みのお弁当だけだったけど、最近部活前にパン食べたりしてるもん」
梨子「ぁ、ええと……ほら、その……カラダ動かしてお腹が空いちゃって」
曜「うんうん、いっぱい動いて汗かくとお腹空いちゃうもんね！ 私も早弁して練習前におにぎり食べて練習後におやつ食べてるもん」
千歌「曜ちゃんは食べすぎなのだ……」
曜「でも太ってないでしょ？」
千歌「そのぶん筋トレしてるんでしょ？」
曜「どっちかというと、動いた分たべてる感じだよね」
千歌「ふむー……」
梨子「千歌ちゃんもお代わりした分は運動しなくちゃ、だね」
千歌「むむ……じゃあ梨子ちゃんもだよ！」
梨子「ふぇ？」
千歌「もうごはん無くなってるよ？ ほら志満姉がお代わりよそってる」
梨子「ぁ……///」
志満「いっぱいたべてね〜」
梨子「ぁ、えと……こ、これは……///」
曜「お腹空いてるんだね」
梨子「……うぅ///」 梨子（クモの能力を得てから……2ヶ月と少し）
梨子（あれから私の生活は大きく変化した）
梨子（夕方までは今まで通り学校に通い、授業を受け、Aqoursとして活動する）
梨子（学校が終われば、私は制服を脱いで沼津へ向かう）
梨子（そこでは私は桜内梨子じゃなく、マスクを被った街を守るスパイダー・リリー）
梨子（手首から出せるクモの糸はとっても便利。これで私はビルの合間をスイングして街中を飛び回ることができる）
梨子（ふふ、それだけじゃないんだよ。悪い人がいたら、クモの糸で捕まえちゃうことだってできるのです）
梨子（それに私が得たのはクモの糸を出すだけじゃない。クモのスーパーパワーと吸着能力、危機察知能力まで使えるんです）
梨子（おかげで腕力や脚力、身体全部が強くなっちゃって……力加減を間違えちゃうと体育の授業が大変）
梨子（でも、そのパワーのおかげで悪い人たちと戦うことができるようになりました。最初は怖かったし……ううん、今でももちろん怖い）
梨子（でも、私の大好きな街が犯罪で溢れてしまうのはもっと怖いから……私はこの力を、街を守るためにつかう）
梨子（でも、あくまで私はヒーローじゃない、ただの街のみんなを守りたいだけのスパイダーガール）
梨子（私を受け入れてくれて、私に自信を持たせてくれた沼津を守りたいだけの、スパイダー・リリー）
梨子（少しずつ知名度も高くなってきてるみたいだし、もっともっと頑張らないと！） 梨子（というわけで、どれだけ食べても食べてもお腹がぺこぺこになっちゃうのです……///）
千歌「ごちそーさま！ いこ！ よーちゃんりこちゃん！」
曜「ガッテンであります！ 梨子ちゃん！」
梨子「ふえっ！？ 私まだおかわりして……」
ようちか『うそ〜！！？』
梨子「ぁ、あわわ……」ﾓｸﾞﾓｸﾞ
曜「先行ってバス待ってもらうようにお願いしてみる！」
千歌「うん！ 梨子ちゃんはやく……！」
梨子「わ、っ……私はいいから、千歌ちゃんも先に行ってて！ すぐに向かうから！」
千歌「ほんと……？」
梨子「大丈夫、間に合わせるから……！」
千歌「……わかった！ 先行ってるね！」ﾊﾞﾀﾊﾞﾀ
梨子「うん！」
梨子「……ごちそうさまでした！ お姉さんいつもありがとうございます！」
志満「いえいえ。いいから急いで行ってらっしゃい」
梨子「はい、行ってきます！」 ・・・
梨子「はあ、ふう……！」ﾀｯﾀｯﾀｯ
梨子「ば、バス来てる……！」
梨子「まっ……待って〜！」ﾀｯﾀｯﾀｯ!!
ﾌﾞﾛﾛﾛ…
梨子「そ、そんな……っ」
ようちか『りこちゃーーーん！』
梨子「千歌ちゃん！曜ちゃーん！」
ﾌﾞﾛﾛﾛ…
梨子「そ、そんな……乗り損ねちゃった……」
梨子「……学校まで2、3キロくらい。ゆっくり歩いて30分……」
梨子「授業には問題なく間に合う時間だけど、朝のレッスンには間に合わない……！」
梨子「こういう時にクモのパワーがありがたく感じちゃうね。……乗り遅れたのもクモのパワーのせいだけど」
梨子「……いちに、さんしっ……にーに、さんしっ」ｸﾞｯｸﾞｯ
梨子「すー……はー……」
梨子「スパイダー・リリー……いきますっ！」ﾀﾞｯ!! ﾀﾞｯﾀﾞｯﾀﾞｯ!!
梨子「は────」
梨子「はやいはやい！ 私、こんなに早く走れたの初めて！」
梨子「スパイダー活動してるときはスイングばっかりだし、自分の力がどれくらいなのかあんまり意識してなかったから……」
梨子「私、本当にすごくなっちゃったんだ……っ！」ﾀﾞｯﾀﾞｯﾀﾞｯ
梨子「でも人に見られたらまずいかも……？」
梨子「だったら……っ」ﾊﾟｼｭｯ
ﾀﾞﾝｯ!
梨子「屋根の上とか、山の方を飛んでいけば見られないしスイングできるから速いよね……っ！」ﾊﾟｼｭｯ
ﾋｭｯ
ﾊﾟｼｭｯ
ﾋｭｯ
梨子「あ、バス……」
梨子「ふふ……それじゃあ競争ね！ 負けないですよ〜！」ﾊﾟｼｭｯ 〜学校前〜
ﾌﾟｼｭｰ……
曜「梨子ちゃん大丈夫かな……」
千歌「も、もしかしたら志満姉にお願いして送ってきてもらってるかもだし！」
曜「でもなんの連絡もないよ？ それだったらラインくらいするはず……」
梨子「あ、ふたりとも！」
ようちか『！！？』
梨子「うふふ、遅かったね〜」
曜「り……りこちゃん……？ だよね……？」
梨子「はい、梨子ですっ！」
千歌「……ず、ずいぶん早かったね……？」
曜「早いというか、速い……」
梨子「えへへ……実は、通りがかりのスパイダー・リリーが送ってくれたんだ〜」
千歌「えっ！ あのスパイダー・リリーが！？」
曜「すぱいだー？」
千歌「ニュース見てないの？ ほら、最近沼津で犯罪が起きたら必ず現れて悪い人たちを懲らしめてるレディ・スパイダー！」
曜「あぁ、あのレディ・ガガみたいな」
梨子「スパイダー・リリーです！」
曜「ぁ……うん、ごめん」
千歌「それで、スパイダー・リリーがいたの？
梨子「うん！ ……お嬢さん、困っているみたいですね？ 私が助けてあげましょうか？ ……って！」
千歌「ほえ〜！ すご〜い！」
梨子「えへへ〜」
曜「梨子ちゃんテンション高いね……」
千歌「テンション上がるよそりゃあ！ だってあのスパイダー・リリーだよ？！ 私も助けてもらったことあるし！」
曜「え、そうなんだ？」
千歌「かっこよくて強くてステキな沼津のヒーローなんだよ！」
曜「へ〜！ 会ってみたいな〜」
梨子「……いやぁ///」( ⸝⸝⸝• ̫ • ⸝⸝⸝ )
ようちか『なんで梨子ちゃんが照れてるの……？』 千歌「でも、そっかあ〜！ リリーさんがこんな近くにも……」
曜「そんなすごいの？」
千歌「すごいんだよ〜！ あとで善子ちゃんに頼んでまた動画見せてもらおうね！」
曜「うん！」
梨子（ふう……ちょっと調子に乗りすぎちゃったかな……恥ずかしくなってきちゃった///）
梨子（でも、こうやってみんなに知ってもらえれば……もっと活躍の幅も広がるかもしれない）
梨子（頑張れリリー。あなたはもっともっとみんなのために役に立つんだよ……！） 〜部室〜
ようちかりこ『おはようございま〜す』
ダイヤ「おはようございます」
果南「おはよ〜」
善子「ギラン！ 朝だというのに無駄に元気ね2年生ズ！」
曜「朝ごはんたくさん食べたであります！」
千歌「なのだ！」
梨子「あはは……」
ルビィ「ルビィ、朝ごはんたくさん食べるとお腹いっぱいで動けなくなっちゃうなあ……」
花丸「まるもです……ほどほどに、が一番ずら」
ルビィ「そうだねっ」
千歌「ねえねえ、それより善子ちゃん！ スパイダー・リリーの動画を曜ちゃんに見せてあげてよ！」
善子「へ？ いいけどどうしたのよ」
千歌「曜ちゃん、リリーさんを知らないんだって！」
善子「なんですって！？ 遅れてるわねリトルデーモン！」
曜「いやあ、スポーツニュース以外見なくて……」
ダイヤ「スパイダー……？ ああ、昨日言っていた……」
千歌「ダイヤさんも見てみてよ！ 私と善子ちゃん、この人に助けてもらったんだよ〜！」
善子「めちゃくちゃかっこよかったわ！」
果南「へ〜！ そんな人いるんだ。私も見せてよ」
梨子「……///」
梨子（大勢の前で話されると照れちゃうな……///） 〜動画視聴中〜
果南「わ、すごいね。これって本物のピストル？」
善子「多分ね。このあとの報道によると武器商から買ったらしいわ」
曜「それだけこの銀行強盗に賭けてたのかな……？ 捕まっちゃったけど」
千歌「リリーのおかげだよ！ 警察だったら人質を警戒してなかなか動けないだろうけど、リリーは一人でするっと潜り込んで一瞬で全員倒しちゃうもん！」
善子「まさにスパイダー……彼女こそスーパーヒーローだわ」
梨子「……///」
ルビィ「でも、もし人質の人たちが撃たれてたらどうしたんだろう……」
梨子「……！」
善子「バカねルビィは」
ルビィ「なんでぇ！？」
善子「だからリリーは自分だけに気が向くように相手を煽ってるんでしょ？」
花丸「でも、ルビィちゃんと言う通りずら。相手がその挑発に乗らなくて、人質を盾にしてたら……」
梨子「……」
善子「そ、それは……」
ダイヤ「確かにその通りね。けれど、実際彼女の作戦がうまくいったのは事実ですわ」
ダイヤ「挑発に乗りやすい相手だと予測を立てて行動していたのでしょう」
るびまる『むう……』
梨子「……」
梨子（確かにその危険性はあったし、怖かったけど……）
梨子（……よく思ってくれる人がいる一方、批判の声は必ずあるよね）
ルビィ「このリリーさんも……怪我しなくてよかったね」
花丸「うん……助けに行った人がそのまま捕まるっていうことも、あるわけだし」
梨子（……こう思ってくれる人たちがいるから、私はもっともっと頑張って、みんなに受け入れてもらえるようにならなくちゃいけないんだ）
梨子（────頑張れスパイダー・リリー。もっともっと頑張れスパイダー・リリー！） ダイヤ「……さ、もういいでしょう？ そろそろレッスンを始めますわよ」
果南「でも鞠莉がまだ来てないよ？」
ダイヤ「どうせいつもの遅刻ですわ。そのうち、大急ぎでヘリコプターで来るんでしょう」
千歌「投げやりなのだ……」
曜「鞠莉ちゃん、自由だから」
善子「まさにギルティ……」
ルビィ「あ、そうだ！ 今日、新しい衣装の採寸したいからみんなあとで測らせてくださいっ！」
曜「そーだった！ ルビィちゃんよく覚えててくれたよ〜」
ルビィ「えへへ〜」
花丸「まる、最近太った気がして怖いずら……」
果南「そのときは私のトレーニングメニューで一気に絞ろうね〜」ﾎﾟﾝﾎﾟﾝ
花丸「つらいのはだめずらぁ……」 梨子「採寸かぁ……」
梨子（そういえばクモのパワーを得てから、身体付きも少し変わったんだっけ……）
梨子（測ってないから分からないけど、見た目でわかるくらいだから……すごいことになってるかも）
千歌「よーし！ 新衣装の発表を楽しみに、レッスンいくぞー！」
みんな『おー！』 〜屋上〜
果南「それじゃあ準備体操する前に、次のライブに向けてのこと少しだけ話しとくね」
みんな『はーい』
果南「まず私たちが目指すのはラブライブ地区予選。私たちは東海地区予選に参加して、そこで優勝する」
果南「そしたらラブライブ本選に出場できる。ここまではオッケー？」
千歌「うん！」
果南「ん……で、最初にやるのが地区予選の第一回戦。ここで東海地方のスクールアイドルの半分近くが削られるから、最初の成績で半分以上に残らなくちゃいけない」
果南「だからまず私たちが目指すべきは」
ダイヤ「もちろん優勝ですわ！」
よしまるびぃ『極端！？』
ダイヤ「半分なんて目指していては半分にすら残れません！ ラブライブに出場し、そこで優勝するのが最終目標なのですから、地区予選でも優勝するに決まっています！」
果南「あはは……ま、そういうことだから、ハードになるけど頑張るんだよ〜？」
みんな『はぁい……』
果南「元気ないよー」
みんな『はい！』
千歌「じゃあまずは身体作りから────」
ﾊﾞﾗﾊﾞﾗﾊﾞﾗﾊﾞﾗ…
曜「……お、この音は」
果南「……小原家でしょ」
千歌「そのネタもう飽きたよ……」
果南「そう？ あはは」
ﾊﾞﾗﾊﾞﾗﾊﾞﾗﾊﾞﾗ…
梨子「……？」 ﾊﾞﾗ…ﾊﾞﾗﾊﾞﾗﾊﾞﾗ…
梨子「あ、あの……何かおかしくないですか……？」
ダイヤ「何か、とは？」
梨子「エンジンの音が何か変な気が……うまく回ってないような……」
ﾊﾞﾗﾊﾞﾗ…ﾊﾞﾗ…ﾊﾞﾗ…
梨子「んー…………」
果南「……ねえ、あれ煙出てない？」
千歌「えっ！？」
梨子「……！」ﾊﾞｯ
ルビィ「ほ、ほんとだ……鞠莉ちゃん！」
花丸「あわわ、あわわわわ……こ、こういうときは消防車……？ レスキュー……！？」
善子「ど、どれ呼んだって意味ないわよ！ 空軍よ！ ヘリコプターのエキスパートを！」
ダイヤ「日本に軍はありません！ ……ではなく、とにかくここを離れませんと！」
千歌「こ、こっち向かってきてるよ！？ 梨子ちゃん……あれ？」
曜「梨子ちゃんいない……あれ、梨子ちゃん！？」 ﾊﾟｼｭﾊﾟｼｭｯ
ﾊﾞｯ!!
曜「わっ……な、なに！？」
ちかよし『！！』
千歌「リリーだ！」
善子「スパイダーリリー！」
ダイヤ「あれが……」
果南「鞠莉を助けてくれるの！？」
リリー「あのヘリコプターは私に任せといて！ あなたたちはそこから離れておいて！」ﾊﾟｼｭｯ
リリー「学校に持ってきててよかった……マスクとパーカー……！」
リリー「ズボンはジャージしかなかったけど、仕方ないよね……！」ﾋｭｯ
ﾊﾞﾗﾊﾞﾗﾊﾞﾗﾊﾞﾗ… ﾋｭｯ─────ﾋﾟﾀｯ
リリー「もしもし？」ｺﾝｺﾝ
鞠莉「what！？」
リリー「よかった、助けに来ました。さあ脱出しましょうお嬢さん！」
鞠莉「ま、待って……て、手が震えてベルトが外れなくって……」
リリー「！？ ドア開けてそっち行くから、墜落させないでよ！」ｶﾞﾁｬｯ
ﾊﾞｯ
リリー「っと……よし」ｶﾁｬｶﾁｬ
リリー「外すけど、いい？」
鞠莉「yes……」
リリー「……せー、のっ！」ﾊﾞｷｯ!
リリー「外れた！ さあしがみついて！」
鞠莉「ん……っ！」ｷﾞｭｳｯ
リリー「……さあ飛ぶよ！」
鞠莉「yes！」
ﾊﾞｯ リリー「乗ってるのはあなただけ！？」ﾊﾟｼｭｯ
鞠莉「わ、私ひとりで運転してきたの！」
リリー「すごいことしますね……もう！」ﾊﾟｼｭﾊﾟｼｭｯ
ﾋｭｯ
ｽﾀｯ
リリー「さあ行って！ 私はヘリをなんとかするから！」
千歌「鞠莉ちゃん！」
ダイヤ「鞠莉さん……！！」
鞠莉「み、みんな……！」
リリー「ふう……よし！」
ﾊﾟｼｭｯ
ﾋｭｯ リリー「このままだとヘリは学校の裏の山に落ちる……爆発なんかしたら山火事になっちゃう」
リリー「それだけは防がないと……！」ﾊﾟｼｭｯ
リリー「どうやって防ぐ？ あれを身体で受けとめられるほど私は強くない……」
リリー「なら海に落とす？ ……だめ、今から乗り込んで舵をとるなんて私にはできない。そもそも運転の方法がわからない！」
リリー「なら、やっぱり受け止めるしかないね……！」
リリー「どうやるって？ 決まってるでしょ！」
ﾊﾟｼｭﾊﾟｼｭｯ!! ﾊﾟｼｭｼｭｼｭｯ!!
ﾊﾟｼｭｼｭｼｭｯﾊﾟｼｭﾊﾟｼｭｯ!!ﾊﾟﾊﾟｼｭｯ!
リリー「落下地点に……こうやってウェブで巨大なネットを作ってあげればっ！」
ﾊﾞｷﾊﾞｷﾊﾞｷﾊﾞｷ…!!
ﾊﾞｼｨｯ……ｷﾞｷﾞｷﾞｷﾞｷﾞｷﾞ……
リリー「……キャッチ成功！ スパイダー・リリーの大勝利っと！」
リリー「……あとはエンジンだけ止めておけば、ガソリンが漏れても爆発はしないよね」ｶﾁｬｶﾁｬ
リリー「……あ、これかな？」ｶﾁ
ｷｭｩﾝ…ﾋｭﾝﾋｭﾝﾋｭﾝ…
リリー「これにて一件落着！ 朝から大仕事だったね！」 ・・・
リリー「やあお嬢さん。お怪我はありませんか？」
鞠莉「wow！ ありがとう、あなたのおかげで助かったわ！」
ダイヤ「本物の……」
果南「スパイダー・リリー……？」
ルビィ「はわわ……」
花丸「女の子の声……」
リリー「ふふ、私の正体に関してはあんまり喋らないでもらえますか？ 秘密にしてるの」
花丸「は、はい！」
善子「あ、あの！ 覚えてますか……？ 私たち、このまえ助けてもらった……」
リリー「もちろん！ 怪我がなくてよかったよ」
ちかよし『おおーー！』
曜「本当にスパイダーなんだ……」
鞠莉「ふふ、まさかヘリコプターの新しいエンジンの訓練も兼ねて登校してたらこんなことになっちゃうなんて。てへぺろ☆」
ダイヤ「な、何してるんですかあなたは本当に！ リリーさんが来なければ、あなたは……っ」
鞠莉「まあまあダイヤったら！ 生きてたんだからダイジョーブ！ 緊急避難モードもあるんだから〜」
ダイヤ「でも、でもっ……あなたを、失うようなことがあれば……っ」
鞠莉「ダイヤ……ごめんね、心配かけちゃって」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ リリー「それじゃあ私はこれで────」
鞠莉「……Hey スパイディ」
リリー「はい？」
ｷﾞｭｳｯ
リリー「！」
鞠莉「本当に助けてくれてありがとう。今できるお礼の品はないから……ハグで許して？」
リリー「ふふ、何よりのお礼だよ。ありがとう」
鞠莉「……放課後、私の部屋まで来て」ﾎﾞｿﾎﾞｿ
リリー「……え？」
鞠莉「待ってるから。来ないとあなたの正体をバラすわ」ﾎﾞｿﾎﾞｿ
リリー「え…………」
鞠莉「……はいっ！ 今度助けてもらったらKissもプレゼントしてあげちゃうね♥」
リリー「ぁ、ええと……うん、もう危ないことはしないように。それじゃあ……ね、うん」ﾊﾞｯ
果南「ありがとー！」
千歌「またねー！」
ﾋｭｯ
ﾋｭｯ
ｽﾀｯ
リリー「……」ﾊﾞｻｯ
梨子「……え？」
梨子「鞠莉、さん……？」 >>176
わかる
マリーはこういう役回り似合うね 〜校庭〜
鞠莉「sorry sorry！」
ダイヤ「sorryではありませんわ！？ あ、あなた……一体何をしてるんですか！」
鞠莉「んーっとぉ……小原グループの新規事業的な？」
ダイヤ「し、新規事業……？」
果南「なにそれ？」
鞠莉「メカトロニクスよ♪」
ちかるびまる『めかとろーにくすー……？』
善子「……軍事開発でもするつもり？」
鞠莉「ノンノン！ そんなdangerousなことしないよ！」
鞠莉「ただ、最近の犯罪者って怖いじゃない？」
果南「まあ、そうだねえ……」
ダイヤ「全国的に増加の一途ですしね」
善子「私と千歌も……乱暴されそうになったしね」
千歌「うん……スパイダー・リリーに助けられた」
鞠莉「あ、それならマリーも助けられちゃったわね♪」
曜「あれは犯罪とは関係なくて鞠莉ちゃんが悪い気もするけど……」
鞠莉「てへぺろ？」
ﾀｯﾀｯﾀｯ…
梨子「み、みんなぁ〜……」
千歌「梨子ちゃん！」
曜「どこに行ってたの！？」
梨子「え、えっと……先生に！ その……ヘリが落ちそうだったから、警察と消防に連絡してもらってて……」
果南「いきなり居なくなるから驚いたんだよ？」
梨子「すみません……」
鞠莉「……」 梨子「ぁ……鞠莉さん、無事でよかった」
鞠莉「……ふふ、おかげさまで」
梨子「っ……」ｿﾞｸｯ
梨子（ま、まさか本当にバレて……？）
鞠莉「ねえ聞いてよリコ〜！」ｷﾞｭｳｯ
梨子「！」
鞠莉「マリー、あのレディ・スパイダーに抱きかかえられちゃったの！」
梨子「は、はい……？！」
鞠莉「大丈夫かい？ とても美しく可憐な嬢さん。最高でかっこいい私がいま助けてあげるからね！（イケボ）」
鞠莉「って、もう〜♡」
梨子「は……はぁ、ええと……」
梨子（そんな言い方してないのに〜……）
ダイヤ「とにかく、あのような危ないことはもうしないでくださいまし」
鞠莉「えー」
ダイヤ「えー、ではなく！」
鞠莉「でもぉ……ダイヤも知ってるでしょ？ あなたの家も警察に協力してるんだから」
ダイヤ「……それは」
花丸「それって……どういうことずら？」
ルビィ「鞠莉ちゃんのおうちも、ルビィのおうちみたいに警察に協力してるってことだよ」
花丸「ほぇ……」
ダイヤ「黒澤家からは人員と情報。小原家からは資金とエレクトロニクス……機械開発ですわ」
鞠莉「監視用ドローンとか、警察用車両のエンジンとか♪」
善子「ちょっとした特殊部隊ね……小さなアベンジャーズでも作る気？」
梨子「その、監視用ドローンって……」
鞠莉「もう稼働してるよ？ とっても小さいから、普通じゃわからないかも？」 梨子「稼働してる……？」
鞠莉「Yes！」
梨子「……だから最近警察の動きが早いんだ」ﾎﾞｿｯ
梨子（私が活動し始めてからの体感だけど……）
千歌「鞠莉ちゃんもダイヤさんもすごいなぁ……」
ダイヤ「わたくしは何もしてませんわ。親の仕事です」
鞠莉「マリーはマリーが結構首突っ込んでるけど！」
果南「危ないことはやめなよ〜？」
鞠莉「危険なことは大人たちに任せてるから平気よ♪ マリーは面白そうなことだけ！」
花丸「そのうち報復とか……」
善子「ちょっと……やめてよ」
鞠莉「ヘーキヘーキ！ その時はスパイディが守ってくれるもの♪」
鞠莉「……ね、梨子？」
梨子「っ……そ、そう……ですね」 鞠莉「さてと、そろそろ先生たちに色々聞かれちゃいそうね」
鞠莉「ヘリの回収は家に連絡入れといたし、あとは放課後のミーティングまでお預けで♪」
ダイヤ「はあ……本当に困った人ですわ……」
果南「まあ……鞠莉っぽいけどね」
鞠莉「ふふん！」
ダイヤ「……というか、ミーティングですって？」
鞠莉「ゴメンネ！ 今夜は8時から大事な約束があるの！」
鞠莉「だからレッスンは休止で！」
ダイヤ「な、何を勝手に！」
鞠莉「ダイヤ、お願い」
ダイヤ「む……」
ダイヤ「〜〜〜っ……はぁ」
ダイヤ「分かりました……明日からはいつも通り、ですわよ」
鞠莉「thank you！」ﾁｭｯ♥︎
ダイヤ「……さ、あなたたちも着替えて教室に。もうじき授業が始まりますから」
みんな『はーい』
梨子（8時……に、鞠莉さんの部屋に……） 〜放課後〜
梨子「……はぁ」
千歌「ため息ですかな？」
曜「しかも結構深めでありますなぁ」
梨子「ふたりとも……」
千歌「どしたの？」
曜「どしたのどしたの？」
梨子「ううん……たいしたことじゃないんだけどね」
曜「だったらそんなに深いため息なんかつくかなあ……」
千歌「悩み事なら相談に乗るよー？」
梨子「うん……でも、自分で考えなくちゃいけないことだから。話せるようになったら話すから、その時は聞いてくれる？」
千歌「……わかった！」
曜「じゃあ今日は気晴らしに千歌ちゃんちでカラオケでもやろっか！」
千歌「いいね！ うちのLive DAM stadiumが火を噴くよ〜！」
梨子「あ、えっと……」
千歌「カラオケ……ダメ……？」
梨子「そうじゃ、なくて……」
曜「何か用事がある？」
梨子（鞠莉さんの呼び出しは8時……）
梨子（少しくらいなら……いい、かな？ 最近ふたりと遊べてないし）
梨子「うん、それじゃあ行ってもいいかな？」
ようちか『やったー！』 〜十千万・カラオケルーム〜
千歌「〜！！」
曜「〜♪」
梨子「〜♪」
千歌「次はこれなのだ！」
曜「いいぞちかちゃーん！」
千歌「曜ちゃん合いの手！」
曜「よーし！」
梨子「……ふふ」ﾊﾟﾁﾊﾟﾁ
梨子（6時半……もう少ししたら出なくちゃ、かな）
梨子（でも、鞠莉さんのところに……本当に行くの？）
梨子（行かなきゃ正体をバラす……そう言われた）
梨子（でも鞠莉さんが私の正体を知ってるって証拠はない……）
梨子（でも、朝に言ってた監視用ドローン……あれで私の顔が見られていたら……？）
梨子（いくら顔を隠してると言っても、パーカーのフードとお面をマスクにしてるだけ）
梨子（人目のつかないところで外したりもしてるから……もし、それをドローンで見られたりしてたら……）
梨子（……バラされたく、ない。そしたらみんなに迷惑をかけちゃう）
「〜こちゃん」
梨子（……やっぱり行くしか） 「……〜ちゃん！」
「梨子ちゃん！」
梨子「！」ﾋﾞｸｯ
曜「うわの空だったよー？」
梨子「ぁ……ご、ごめんなさい、考え事してて……」
千歌「もー！ せっかくの私たちのデュエットがー！」
梨子「ごめんね、ごめんね……！」
千歌「罰として梨子ちゃんも歌うのだ！」
梨子「う、うん……えっと、何を歌えばいいの？」
千歌「これ」
梨子「え〜！？ 私、知らないよ〜！？」
千歌「一緒に歌ってあげるから行くよー！」
曜「合いの手よーちゃんの出番かな！」
千歌「みんなで歌うの！」
曜「ん、わかった！」
梨子「うわ〜ん！」 ・・・
梨子「ふう……たのしかった……」
千歌「久しぶりにいっぱい歌った〜」
曜「喉が……けほ」
千歌「飴あるよー」
曜「VC3000のど飴〜」
梨子「それじゃあ、私……そろそろ」
千歌「あれ？ 晩御飯たべてかないの？」
梨子「行きたいけど、ちょっと用事があって……」
千歌「こんな時間から？」
曜「こら千歌ちゃん、そういうの良くないよー？」
千歌「むむ……ごめんなさあい」
曜「よしよし」
梨子「ごめんね……今度は沼津でお茶でもしようよ。私、いいお店見つけたんだ」
曜「梨子ちゃんのおごり？」
梨子「えっ！？」
曜「ふふ、ジョーダンだよ！ ……それじゃあ、また明日ね」
千歌「また明日〜」
梨子「もお……うん、また明日」
ﾊﾟﾀﾝ
志満「ご飯、食べていかないの？」
梨子「ぁ……お姉さん」
梨子「千歌ちゃんにも同じこと言われちゃいました……また明日、食べに来てもいいですか？」
志満「あらあら、いつでも来ていいのよ？ ふふ、ゆでたまご、用意しておくわね」
梨子「わあ、嬉しいです！ ありがとうございます！」
梨子「……それでは、また」
志満「ええ、また明日ね？」
梨子「お邪魔しました！」 〜梨子の部屋〜
梨子「……ふう」ﾇｷﾞﾇｷﾞ
ｺﾞｿｺﾞｿ
リリー「んしょ、っと」ｸﾞｯ
リリー「ここから走れば……10分もいらないかな」
リリー「……よしっ」ﾊﾟｼｭﾊﾟｼｭｯ
ﾀﾝｯ
ｽﾀｯ!
リリー「スパイダー・リリー、行きますっ！」ﾀﾞｯ 〜淡島ホテルサロン〜
リリー「……」
リリー「どうやって島まで渡ればいいの！？」
リリー「何も考えてなかったけど……そういえば鞠莉さんのおうちって淡島の奥のホテルでしょ？！」
リリー「私……これ、泳いでいく……？」
ﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞ…
リリー「……あれは……船？」
ﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞ……ｼｭｰﾝ
リリー「船着場についた……って、ことは」
「こんばんは。お待ちしておりました、リリー様」
リリー「……やっぱり」
リリー「えっと……これに乗れってことですか？」
「ええ、お嬢様から仰せつかっております。8時までにあなた様をホテルへお連れしろ、と」
リリー「私が断ったらどうするつもり？」
「それはあなたが一番よくご存知かと」
リリー「……わかりました。行きます」
「賢明なご判断です」 〜ホテルオハラ・屋上テラス〜
鞠莉「ふんふふ〜ん♪」
ﾋﾟｯ…ﾋﾟｯ…
鞠莉「ふふ、ちゃんと見えてるよ〜？ さてと、カーチェイスなんてAmericanな事件はサクッと解決させちゃいましょうか」
prrr...
鞠莉「もしもし、スティーブ？ カーチェイスは楽しんでる？」
鞠莉「sorry！ でももう追い詰めるルートは計算できたからデータで送るね！ 南西のstreetにbarricadeを用意しておいてくれる？」
鞠莉「そこに追い込んで一網打尽にするの！」
鞠莉「マリーはこれから大事な用事があるから、あとはドローンちゃんの情報で動くよーにっ！」
pipipi...
鞠莉「さてと……」
鞠莉「いらっしゃい、スパイディ」
リリー「……お邪魔します」 リリー「今のは……」
鞠莉「警察と電話してたの。試作ドローンからの情報を元に暴走車の走行ルートを割り出して捕まえようと、ね」
リリー「……すごいですね。そんなことができるんだ……」
鞠莉「これは情報と分析のおかげ。計算ができれば誰でも予測できる簡単な話よ」
鞠莉「それ以上にすごいのは……あなたという存在」
リリー「……」
鞠莉「あなたのことは調べさせてもらったわ。spiderの能力を持った人間……spider girl」
鞠莉「2ヶ月くらい前の沼津駅前での車両事故。横転したトラックの下敷きになった人を助けようとして、貨物として載せられていた遺伝子改造された特殊なspiderに噛まれて目覚めた」
リリー「……！」
鞠莉「その時から、もうドローンは動いていたの。だからあなたがクモに噛まれた瞬間も映像があるし、それ以降のあなたの活動も全て抑えてる」
鞠莉「ちかっちと善子を助けたときも」
鞠莉「今日みたいな暴走車を無理やり受け止めて丸め込んだりね
鞠莉「……あなたにそんな正義感があるなんてね」
鞠莉「梨子」
リリー「……」
ﾊﾞｻｯ
梨子「……最初から知ってたんですか」
鞠莉「ええ、そういうことになるね」 梨子「……」
鞠莉「そんなに警戒しないで？ あなたを捕まえたりする気はないから」
鞠莉「最初からそのつもりなら、わざわざ呼び出さずに警察に情報を流せばおしまいだもの」
梨子「じゃあ、なんで……？」
鞠莉「ふふ、急かす子は嫌われちゃうよ？ まずはcoffeeでも飲んでゆっくりしていってよ」
梨子「……冗談を聞かせに呼んだわけじゃないはずです」
鞠莉「大事な話をするために呼んだことを理解しているなら、そこに座ってcoffeeを飲みなさい」
鞠莉「話はそれから」
梨子「……わかりました」
鞠莉「ナターシャ、私と彼女にcoffeeを」
「かしこまりました」
梨子「い、いつの間に……」
鞠莉「ふふ、ナターシャはマリーの専属メイドなの。とっても強いんだから。リリーにも負けないかも♪」
梨子「……」
「お待たせいたしました」ｺﾄ
梨子「は、はやい……！？」
「すでに準備は済んでいましたので」
鞠莉「気が利くでしょ？」
「それでは私は外にて待機していますので」
鞠莉「thank you」
ﾊﾟﾀﾝ
鞠莉「……それじゃあ話を始めましょうか」 梨子「話って、一体……」
鞠莉「あなたのこと」
梨子「わたしの……」
鞠莉「映像で確信は得ているけど……改めてあなたから聞いておきたいの」
鞠莉「あなたがスパイダーちゃんなんでしょう？」
鞠莉「沼津を、三島を、内浦を……この周辺地域を守るヒーロー、spider girl」
梨子「スパイダーちゃんって……私は、スパイダー・リリーです」
鞠莉「その名前は自分で？」
梨子「……はい」
鞠莉「センスあるいい名前。マリーは好きよ、リリー」
梨子「やめてください……今は梨子なんです」
鞠莉「あら、マスクを外すと梨子なのね？ マスクしてるときは全然違うキャラなのに」
梨子「それは……なりきってるときは、集中してて……自分とは違う自分になる、っていうか」
鞠莉「なるほどねえ〜」
鞠莉「それで、これがマスク？ 触っていい？」
梨子「はい……でも、ただのお面ですよ。戦ったり飛び回ったりするから、外れにくいように加工してますけど」
鞠莉「ふーん……よくこの視界であんなに動き回れるね。ﾅﾝﾆﾓﾐｴﾅｰｲ!!」
梨子「も、もう返してください！」
梨子「この力を手に入れてから……いろんな情報が目に飛び込んでくるようになったんです」
梨子「特にスパイダー・リリーの仕事をするときは集中したいから……視界を狭くすると、私の見たいものだけがよく見えるようになるんです」
鞠莉「hmm……面白いわね」
梨子「そうですか……？」
鞠莉「ええ、とっても！ じゃああのクモの糸は？」
梨子「それは……クモの力を手に入れたときに、手首から出せるようになって……」
鞠莉「出してみて」
梨子「えっ」
鞠莉「ほら、窓に向かって！」
梨子「え、ええと……こう……」ﾊﾟｼｭｯ
鞠莉「wow！ wonderful！」 鞠莉「ずっと回収したかったんだけど、いままでそれが叶わなかったんだ……ねえ、これ、もらっていい？」
梨子「えと……は、はぁ」
鞠莉「thank you！ これでクモ糸の研究ができるわ！」
梨子「け、研究……」
鞠莉「これで……」
梨子「……あの？」
鞠莉「あ、ううん、こっちの話。ナターシャ、これ持ってって」
「かしこまりました。失礼いたします」
梨子「ま、またいつのまに……」
鞠莉「それで……ねえ、梨子。これが一番話したかったことなんだけど」
梨子「……ぁ、はい」
梨子（一番話したいこと……今日呼ばれたことの、確信？ 一体何を……）
鞠莉「その服装、めっちゃくちゃダサくない？」
梨子「……」
梨子「はい！？」
鞠莉「やーだ！ ヒーローなんでしょ？ ヒーローがそんなダサいレオタードみたいな服装とかやだー！」
梨子「で、でも戦隊のヒーローとかも全身タイツですし……」
鞠莉「あれはカッコいいデザインがあるじゃない！ あなたのは普通の服と体操用のレオタードみたいでなんか不恰好」
梨子「そ、そんなぁ……」
鞠莉「機能も何もない。言ってみれば視界を狭めて集中を高めるだけ」
鞠莉「つまり改善の余地の塊ってこと」
梨子「は、はあ……？」
鞠莉「だからね、つまり────私があなた用のスーツを作ってあげる」
梨子「……はい！？」
鞠莉「え、分かんなかった？ backupしてあげるって言ってるんだよ？」
梨子「そ、それは……言ってることは理解できますけど、言ってる意味が……」
鞠莉「もー……梨子ったら頭のモース硬度10なの？」
梨子「！？」
鞠莉「じゃあちゃんと説明してあげる」 pi pi pi
鞠莉「いま画面に映してるデータ……これはあなたが活動を始める前の沼津での犯罪率と、終息するまでの平均時間」
pi
鞠莉「こっちがあなたが活動を始めてからの犯罪率と終息までの平均時間。わかる？ あなたが現れてから犯罪率は少しずつ減ってるし、発生から短時間で終息してる」
梨子「こんな、データが……」
鞠莉「警察はあなたを犯罪者と同じように見てる……けれど、私は確信していたわ。あなたの存在が、今後の犯罪に対する抑止力になるって」
梨子「私が……？」
鞠莉「yes」
鞠莉「私があなたのデータを隠しているのはそういう理由。警察に渡せばすぐにあなたは逮捕されちゃうから」
梨子「……」
鞠莉「だからマリーが秘密裏にあなたをsupportする」
鞠莉「警察に技術提供してる私だからこそ、あなたに情報を流す事もできるし、この技術であなたにハイテク武器を作ることもできるの」
梨子「……それは、確かに……魅力的なお話です」
梨子「もっと簡単に犯罪を見つけられる方法があれば、って……ずっと思ってました」
梨子「それに私の戦う手段も……その、あんまり好きじゃないけど、殴ったり蹴ったり……それに、ウェブで捕まえるくらい」
梨子「だから、鞠莉さんの……サポートがあるなら、とても嬉しいです」
鞠莉「でしょ！ マリーにかかればロケランや電撃ブレードも……」
梨子「でも、私は犯人を殺したいわけじゃないんです」
鞠莉「ん」
梨子「私は犯人も、被害者も、誰も殺したくない。傷つかないように止めたいだけなんです」
梨子「だから……そういうことなら、バックアップは必要ありません。嬉しいお話ですけど、喜べません」
鞠莉「……」 梨子「私は……ただ、私を受け入れてくれた、私を励ましてくれた沼津が平和になってほしいだけなんです」
梨子「みんなにこの街を愛してもらえるように。みんなにこの街を自慢できるように」
梨子「そんな、愛される、自慢できる街になってほしいだけなんです」
梨子「そんな街で……ヒーロー気取りが犯罪者を殺して回るなんて、それこそ何より物騒じゃないですか？」
梨子「だったら、私は今のままがいいです。誰も傷つけずに止めたい」
梨子「私は警察に追われるとしても、今のまま、この小さな街を守るヒーローでいられたら、それで」
鞠莉「……そう」
梨子「すみません……鞠莉さん。せっかくのお話ですが、私は……」
鞠莉「ますます気に入ったわ！！」
梨子「！！？？？」
鞠莉「さいっこう！ 誰も殺さないヒーロー！ 傷つけず助け、守るヒーロー！ wonderful！」
梨子「え、えぇぇぇえ……！？」
鞠莉「それならそれでマリーは全然いいの！ あなたに協力できるなら、マリーはもうなんだっていい！」
梨子「えぇぇぇええ……」 鞠莉「マリーはね、梨子」
梨子「は、はい……」
鞠莉「あなたと同じなの」
梨子「……へ？」
鞠莉「私だけじゃない、ダイヤも……果南も、ちかっちも、沼津に住んでる人みんなが同じ」
鞠莉「この街が大好きだから、この街を平和にしたい。平和なこの街を自慢できるようになりたいの」
鞠莉「あなたと同じなのよ」
梨子「……私と」
鞠莉「だからね、マリーに梨子をsupportさせて？」
梨子「……私は、でも」
鞠莉「駄々こねるならちかっちに言っちゃお！ ケータイケータイ……」
ﾊﾟｼｭｯ
ﾊﾞｼｯ!!
鞠莉「アウチ！？」
「お嬢様！？」 梨子「千歌ちゃんたちには何も言わないで……お願い」
鞠莉「平気よナターシャ。大丈夫だから」
「……かしこまりました」
鞠莉「……約束するわ、梨子。あなたの秘密は私が何に変えても守る」
鞠莉「だからマリーと一緒にこの街を守ってくれる？」
梨子「……」
梨子「分かりました。鞠莉さん、私に力を貸してください」
鞠莉「……Yes！」
梨子「……ふぅ」
梨子（まさか、こんなことになるなんて……）
梨子（鞠莉さんのサポート、バックアップで私の活動がどうなるのか……まだ想像もつかないけれど）
梨子（きっと、今までとは比べ物にならないくらい動きやすくなるんだろうな……）
梨子（……うん、少し楽しみかも）
鞠莉「ところで、梨子？」
梨子「は、はい？」
鞠莉「これ、外してくれないカナ……」
梨子「ぁっ……ごめんなさい、数時間経たないと取れなくて……」
鞠莉「えー！？」
梨子「ごめんなさい、ごめんなさい！」
鞠莉「なたーしゃ〜！」
「はい。回収したクモ糸の成分から、分解液ができあがっています」
鞠莉「さっすがね！」
梨子「……すごい。私、今までそんな……」
鞠莉「すごいでしょ？ うちの技術、楽しみにしておいて」
梨子「……はい！」 鞠莉「それじゃあ今からあなたについて全力で研究させてもらうから！」
梨子「！？」
鞠莉「例えばそのクモ糸の限界量！ どれだけ出せば出なくなるのか……研究させてもらうわ」
鞠莉「あとは腕力、脚力、カラダの丈夫さ……吸着力とか、とにかくdataで取れるものは全て取らせてもらうわ」
鞠莉「ナターシャ、リリーに運動しやすい服を渡してちょうだい。これから地下のラボで計測に入るから！」
「では梨子様、こちらへ」
梨子「ぇ、ぇえ〜！？」
鞠莉「そのままスリーサイズとか測ってスーツ作成に取り掛かってちょうだい！」
「かしこまりました」
梨子「ま、まっ……て、わっ！ 恥ずかしいですから〜！」
梨子（そんなこんなで鞠莉さんのバックアップを受けることに……）
梨子（どうなるの、私〜！？） ・・・
鞠莉「ほらほらもっと出して！ 出なくなるギリギリまで絞るよ！ ほらほらもっと出せるでしょ？！」
梨子「ぅううん……手首が痛くなってきた……」ﾊﾟｼｭﾊﾟｼｭﾊﾟｼｭﾊﾟｼｭｯ!!
・・・
鞠莉「ふむふむ……2トンまでは指一本で支えられるんだ……すごい吸着力」
鞠莉「次は持ち上げてみて〜」
梨子「ふ、っぬ……くくっ……んぅぅうう……！」
鞠莉「持ち上げるのは10トンクラス！？ すごいわ……これが人間の身体で出せるPowerなの……？」
・・・
鞠莉「ほら、ちゃんと避けないと危ないよ！」
梨子「目隠ししてる人に鉄球なんて投げないでください！ わわ、っ……やっ……！」ﾊﾞｯ ﾋｭｯ
鞠莉「危機察知能力もかなり高い……し、見えてる場合でも反射神経でピストルの弾を避けられるの……？」
鞠莉「すごい……」
梨子「遊んでませんか私で〜！？」
鞠莉「ちゃんと活かせるデータだから！」
梨子「早く終わってください〜！！」 〜2時間後〜
「お疲れ様でした。以上で現在想定されている全てのメニューの完了を報告いたします」
梨子「はぁ……ふう……」
鞠莉「OK. あとはデータをもとに新しいスーツを構築するだけね」
梨子「新しいスーツ……？」
鞠莉「Yes！」
鞠莉「あのダサダサスーツじゃ格好つかないでしょ？ だからマリーがcoolでbeautyなニュースーツを作ってあげようかなって☆」
梨子「だ、ダサダサ……」
鞠莉「ふふ、デザイン自体はもう出来上がってるの。あとはこの2時間で取れたデータをもとに機能を追加していけばいいだけね〜」ｶﾀｶﾀ
梨子「そ、そうなんですか…………ん？」
梨子「あの……機能って……？」
鞠莉「ふふ、それは使ってみてからの……ううん、スーツを着てみてからのsurpriseね！」
梨子「サプライズ……」
鞠莉「マリーのイメージによれば、ヒーロー活動が今までとは比べ物にならないくらいやりやすくなるはずよ」
梨子「イメージなんですか！？」
鞠莉「no problem！ 梨子から取れたデータをもとに構築と調整を繰り返してるから最初からかなりフィットしてるはず。あとは実際の使用感から微調整を繰り返して完璧に仕上げるだけ」
梨子「は、はぁ……」
鞠莉「さあ、ヘリに乗り込んだら沼津に直行するわよ！ スーツはもう積み込んであるから、そこで着替えてね」
梨子「えっ……今からですか！？」
鞠莉「新スーツ、試したくないの？」
梨子「えと、試す試さないっていう話では……」
鞠莉「マリーが試したいから今から行くの！」
梨子「はぃ……」 マリーのサポートは頼もしそうだけどデータ全部を取られちゃうってのはちょっと怖いな
続きが気になる ﾋｭﾝﾋｭﾝﾋｭﾝ…ｷｨｨﾝ…!!
ﾊﾞﾗﾊﾞﾗﾊﾞﾗﾊﾞﾗ……!!
〜ヘリ内部〜
鞠莉「早速だけど梨子、沼津で銃撃戦が発生中みたい！ wow！ まるで映画ね！」
梨子「銃撃戦って……ここ、日本ですよね……？」
鞠莉「Japanese Mafiaの抗争みたいねぇ……沼津にもいるんだね。ダイヤんちで全部管理してると思ってたよマリー」
梨子「ダイヤさんのおうちはそっち系じゃないですよ……」
鞠莉「イッツジョーク☆」
鞠莉「って、それはいいから早く着替えないと。マリーの方はもう8割くらいデータ入力完了してるんだから」 梨子「は、はい……でもこれ、すごくぶかぶかなんですけど……」ｲｿｲｿ
鞠莉「大丈夫！ 着込んだら手首をそっと撫でてみて」
梨子「え、と……これですか？」ｿｯ
ﾊﾟｼｭｩｯ
リリー「……！ スーツが身体に吸着した……」
鞠莉「これで中に着込む必要ないでしょ？」
リリー「すごいです！」
鞠莉「ふふ、それだけじゃないんだけど……その説明は後でね！」
リリー「え……あとで？」
鞠莉「battlefieldに到着！ さあ出撃の時間だよリリー！」
リリー「え、ええと……」ﾁﾗｯ
ﾄﾞﾀﾀﾀﾀﾀ!!
ﾊﾞｷｭｰﾝ!! ﾄﾞｵｵｫﾝ!!
リリー「……ほんとに戦争してるみたいなんですけど」
鞠莉「それを止めるのもスパイダーリリーのお仕事でしょ？」
リリー「今までこんな大きな仕事したことないですよ！？」
鞠莉「いいから行くの！」ﾄﾞﾝ!
リリー「わーーーーーーーーーーー！！？」
ﾋｭｰﾝ
リリー「はあ、もぉ…………でも、なんだろう。不思議とやれそうな気がする」
リリー「新しいスーツの着心地は最高だし」ｸﾞｯﾊﾟｯ
リリー「視界は普段と変わらないくらい開けてるのにクリア……よく見える」
リリー「…………よし！」ﾊﾟｼｭｯ
ﾋｭﾝｯ!
リリー「スパイダーリリー、行きます！」 ・・・
「テメェらぶちかませや！ 一発でも多く銃弾食わせてやれ！」
「うおおお！！」ﾄﾞﾀﾀﾀﾀﾀ!!
「退くなや！ 行け！行け！」
「おおおお！！！」
リリー「もしもーし！喧嘩はダメですよー！」ﾊﾟｼｭｯ
「んだぁ！？」
リリー「危ない武器は全部お預かり！ 銃刀法違反って知ってます？」
「チッ！ 噂のクモ女か！」
リリー「あ、知ってるんですか！ でもクモ女って名前は可愛くないから嫌いです」
リリー「スパイダーリリーって呼んでくださいな！」
「死ねやガキ！」ﾄﾞﾀﾀﾀﾀﾀ!!
リリー「わっとっとっと！」ﾊﾞｯ
リリー「喧嘩ってレベルが上がると殺し合いになるんですねー！ でも殺人は罪に囚われるんで、トムとジェリーみたいな可愛い喧嘩にしてくださいよ！」ﾊﾞｼｯ!!
「ぐっ……！」
「野郎……！」ｶﾁｬｯ
リリー「女の子に野郎なんて言わないでもらえますか！ これでも結構繊細なんだから」ﾊﾟｼｭｯ
「うわ気持ち悪ィ！ 銃口に蜘蛛の巣が……っ」
リリー「はい没収！」ﾋｭｯ
リリー「そしてパンチをプレゼント！」ﾊﾞｷｯ!
「ぐぁ……ッ！」
リリー「まだまだやる気ある人いますー？」
「ぶっ殺す！！」
「ウオォーー！」
リリー「……全員ってことですね」
リリー「はい、はい……わかりました、みんなまとめてお縄ですよ！」 『絶好調そうねリリー！』
リリー「ま、鞠莉さん！？ 一体どこから……」
鞠莉『マスクに内蔵してあるマイクとイヤホンから！ そろそろ楽しい楽しい新機能の説明の時間よ！」
リリー「は、はぁ……」
鞠莉『そのマスクにはAIが搭載してあるの。あなたの声と指示で両手首に装着されてあるウェブシューターの機能が使えるようになるわ』
リリー「ウェブシューター……？ あ、そういえばいつもとウェブの出る感じが違う……かも」
鞠莉『あなたの手首から出るクモ糸────ウェブを、そのシューターを通して特殊加工ができるようにしてあるの』 鞠莉『例えばそうね……スプラッシュ！』
リリー「す、スプラッシュ！？」
────スプラッシュウェブが装填されます
リリー「な、何か表示が出たんですけど！？」
鞠莉『百聞は一見にしかずよ！ 撃ってみて！』
リリー「は、はい！」ﾊﾞｼｭｯ!!
リリー「…………え？」
「うぁっ……！」
「く、動けねっ……！」
「んじゃこらぁぁ！？」
鞠莉『大成功！ スプラッシュウェブはね、一発のウェブを分散させて、複数の敵に同時に放てるの！』
リリー「す、すごい……」
鞠莉『さらにウェブボールは……』
リリー「ええと、ウェブボール！」ﾊﾟｼｭｯ
ﾋｭｯ────ﾎﾞｺﾞｯ!
「ぉ、ごっ……はっ……！！」
鞠莉『ウェブを丸めた弾丸で相手に物理ダメージを与えるの！』
リリー「わあ……っと、危ないから刀振り回しちゃダメですよ！」ﾊﾞｼｯ
「目障りな野郎だ……！」
リリー「そんなに目に留まります？ むしろありがたいかも！」ﾋｭｯ
ｸﾙｯ─────ﾄﾞｺﾞｯ!
「ぐはっ……」
鞠莉『さあその調子でみんな倒しちゃってー！ 警察が到着するまでに9割くらい！』
リリー「はいっ！」 ・・・
リリー「ふう……一丁上がり。危ない人たちのお団子の完成っと」ﾊﾟﾝﾊﾟﾝ
鞠莉『nice fight！ いいお仕事だったよリリー」
リリー「ええ、どうも……はあ、ふぅ」
鞠莉『それじゃあヘリまで戻ってきてくれる？』
リリー「わかりました」 〜ヘリ内部〜
梨子「ふぁああ……怖かったぁっ……」
鞠莉「え、ほんとに？」
梨子「ほんとですよ……」
鞠莉「その割には結構楽しそうだったけど……」
梨子「あれは……その、相手に注意を向けさせるために……」
鞠莉「そうなんだ……マスク被ると人が変わるっていう地味キャラにありがちなやつかなって思ってたわ」
梨子「ひどい……」
鞠莉「ふふ、ジョークよ。梨子はとっても可愛くて素敵だもん♡」
梨子「おだてには乗りませんっ」
鞠莉「ほんとなのにぃ」
鞠莉「……で、どうだった？ ニュースーツは」
梨子「……すごかったです」
梨子「いつもより動きやすいし、よく見えて……入ってくる情報がAIのおかげでわかりやすく整理されて、ストレスにならなかった」
梨子「何より……このウェブシューター。これで戦い方の幅がとっても広がります！」
鞠莉「でしょー！ マリーの自信作なの！」
鞠莉「あなたの手首の腺から分泌されるクモ糸を利用して、何か武器が作れないか考えたの」
鞠莉「でもリリーは人を傷つける武器は好まないでしょう？ だったら、今までの戦い方、ウェブで敵を搦めとる戦法を強化しようと思って」
梨子「……ありがとうございます。ほんとに、すごいです」
鞠莉「ふふ、そのぶんいっぱい働いてもらうから！」
梨子「はい！ スパイダーリリー、がんばります！」
鞠莉「ちなみにそれと連動して警察の情報が流れるようにスマホも改造しておいたから」
梨子「！？」
鞠莉「スマホとマスクは同期してあるから、そのまま電話もできるのよ？」
梨子「すごい……」 鞠莉「ウェブの種類はもっとたくさんあるから、こらから戦いながら見つけていって？ AIから聞き出すのもアリだけど」
梨子「あ……喋れるんですか？」
鞠莉「Yes♪」
梨子「そうなんだ……スーツの人……でいいのかな？」
鞠莉「ふふ、それは梨子の呼びやすいように」
鞠莉「さあ……ニュースパイダーリリーの初陣は大成功！ 警察もそろそろ無視できない活躍ぶりね」
梨子「……そうでしょうか？」
鞠莉「もちろんだよ！ この調子でどんどん活躍して、警察と協力を取れるようになっていってね〜？」
鞠莉「沼津から犯罪を消滅できるまで」
梨子「……はい」
梨子「がんばります」
鞠莉「うん♪」 鞠莉「さてと、マリーはそろそろおうちに帰って今日のデータをまとめなくっちゃ」
鞠莉「梨子はどうする？」
梨子「私は……もう少し街を飛び回ります。今日はほとんど何も出来てないですから、少しでも困ってる街の人を助けないと」
鞠莉「そっか。なら、今日はここでお別れだね」
梨子「はい。本当にありがとうございました」
鞠莉「ふふ、マリーはリリーのスポンサーだよ？ スポンサーは売り出し中のアイドルには出し惜しみしないの！」
梨子「アイドルって……」
鞠莉「また必要な機能があれば言ってちょうだい？ 検討してみるから」
梨子「……はい」
鞠莉「それじゃあまた明日、学校で」
梨子「はい、学校で」
梨子「おやすみなさい！」ﾊﾞｯ
ﾋｭｰﾝ…… ﾊﾞﾗﾊﾞﾗﾊﾞﾗﾊﾞﾗ…
鞠莉「……ナターシャ」
「なんでしょう」
鞠莉「これで犯罪は減らせられる……かな」
「彼女の頑張り次第かと」
鞠莉「……そうだね。リリーには頑張ってもらわないと」
鞠莉「沼津で起きる犯罪は大なり小なり全て滅ぼさなくちゃいけない」
鞠莉「Aqoursのためにも……私たちのためにも」
「……」
鞠莉「さ、帰ったらまたコーヒーを淹れてくれる？」
「かしこまりました」
鞠莉「ふふ、仕事の後はあなたのコーヒーって決まってるの」
「毎日のことですから、今更言われなくとも」
鞠莉「もう、言ってみたかったんだからいいの！ 水差しちゃダメでしょ？」
「失礼いたしました」
鞠莉「…………さあリリー？ 頑張ってちょうだいね」 ﾊﾟｼｭｯ
ﾋｭｯ
リリー「ひゅーーっ！！」ﾋｭｯ
リリー「みなさーん！ 改めましてスパイダーリリーでーす！ これからはこの服装だから、よろしくね〜！」ﾊﾞｯ
リリー「はいそこ空き巣はダメですよー！」ﾊﾟｼｭｯﾊﾟｼｭﾊﾟｼｭｯ!!
リリー「夜中だからって暴走もダメですよ！」ﾋｭﾝｯ!
「きゃあっ！」
リリー「おっとごめんなさい急いでて！」
リリー「みんなどいてどいて〜！ これから夜間学校で犯罪撲滅の授業なの〜！」ﾋｭｯ!!
ﾊﾟﾝｯﾊﾟﾝｯ!!
リリー「さっそく先生がいらっしゃったみたい！ 銃刀法違反についてスパイダーリリーが分かりやすく教えちゃいますよ〜！」ﾀﾝｯ!
リリー「あ、これじゃあどっちが先生かわかんないかも！ まあいっか！」
リリー「スプラッシュウェブでピストル全部奪います！」
────了解致しました。
リリー「そ〜れっ！」ﾊﾟｼｭｼｭｼｭｯ!!
リリー「ピストルの一本釣り〜……なんちゃって！ ふふっ」
リリー「も〜！ 新スーツ最高〜！！」 スパイダーリリー
第2話「スパイダーとリリーの間の・つけるの面倒になったので以後つけません」おしまい 現在公開可能な情報
・スパイダースーツ
梨子のイメージカラーであるサクラピンクをベースに使った全身タイツ状のスーツ。
以前の服装のリスペクトとしてフード付き。
ぶっちゃけスパイダーグウェンみたいな感じ。
・ウェブシューター
スパイダースーツの手首に装着されたハイテク装置。
リリーの手首から分泌されるウェブを通すことで、シューターに内蔵された多種多様なウェブを使用できる。
これにより戦いの幅が広がり、今まで以上の立ち回りが可能となった。
・スパイダースーツのマスク
イヤホンとマイクが内蔵されており、外部と通信が可能。
また、AIが搭載されており、口頭で指示を出すことでウェブシューターの機能を選択・使用ができる。
会話もできるらしい。
AIによって視界に映る情報が整理され、リリーとして活動する際に役立つ。 乙！ 全身タイツリリーとかえっろ
マリーにもなんかありそうだし次回に期待です マリー・オズボーンなのかマリー・スタークなのかだな 知らん間に続けてたんだ
めっちゃ面白い
>>222
すこ マリーは鉄女になるのか
はたまた緑の怪物になるのか…
続きがきになる
乙 ps4のやつやってるとピーターの苦労が思い知らされる
梨子ちゃん頑張れ マリーが味方についてどう動くのかしら
続き楽しみに待ってる 〜千歌の家〜
梨子「曜ちゃんが船旅に？」
千歌「うん！ 曜ちゃんのお父さんは船乗りさんなんだよ」
千歌「だから毎年、夏が来るとその船に乗って1週間くらい旅に出るんだ」
梨子「へぇ〜！ だから今日はお休みだったんだ」
千歌「私も乗せてもらったことあるんだけど、おっきな船なの！ 曜ちゃんパパは船長で、たくさんの部下の人たちがいてて」
梨子「ふんふん……」
千歌「セーラー服を着た船乗りさんたちがずらーっと並んでて、一斉に敬礼するんだよ」
千歌「びし〜って！」
梨子「かっこいいね〜」
千歌「だよね！ 帰ってきたら写真見せてもらおうね！」
梨子「うん！」
千歌「というわけでAqoursは1週間くらい曜ちゃん抜きで練習になります」
梨子「曜ちゃんの分をイメージしながら練習しないといけないんだね……大変そう」
千歌「これも試練だと思えば乗り越えられるよ！」
梨子「ふふ、強いね千歌ちゃんは」
千歌「スクールアイドルだもん♪」
梨子「……そうだね、スクールアイドルだもんね」
pipipi...
梨子「！」
梨子「……さてと、そろそろ私、帰らないと」
千歌「ほぇー？ もう？」
千歌「まだおやつの時間過ぎたくらいだよ？」
梨子「今日は……その、お母さんと夕飯を作る約束だから……買い物に行かなくちゃいけなくて」
千歌「むむ……美味しそうな匂いですな……」
梨子「そ、それじゃあ今度作ってあげるから……ね？ 今日は……」
千歌「うん、わかった！ ちゃんと埋め合わせはお願いね〜？」
梨子「……うんっ！ じゃあ、また」
千歌「また明日のレッスンでね〜」 ﾊﾟﾀﾝ
ﾀｯﾀｯﾀｯ…
pi！
梨子「はい……！」
『リリー？』
梨子「梨子ですよ……鞠莉さん」
鞠莉『鞠莉じゃなくてマリーよ、梨子』
梨子「もぉ……それで、何があったんですか？」
鞠莉『例によって軽犯罪の横行。親愛なる隣人、スパイダーリリーの出番でしょう？』
梨子「……わかりました、すぐに行きます」
鞠莉『No！ それには及ばないわ！』
梨子「……ほぇ？」
ﾊﾞﾗﾊﾞﾗﾊﾞﾗﾊﾞﾗ…
鞠莉「もう近くまで来てるからねーー！」
梨子「んもぉ……」
梨子「……さ、行きますか」 ・・・
リリー「私はスパイダーリリー」
リリー「ひょんなことから……ひょんなことというか、結構な大事件なんだけど……」
リリー「ともかく、そんな感じでクモのスーパーパワーを手に入れた女子高校生」
リリー「私の活躍を見た、先輩の鞠莉さんのおかげで最近はますます活躍の幅が広がって、私の知名度も大幅アップ！」ﾊﾟｼｭｯ
ﾋｭﾝｯ!
こどもたち『リリー！ がんばって〜！！』
リリー「ありがと〜！」
パン屋「お嬢ちゃん！ タマゴサンド余ってたから差し入れだ！ 持ってきな！」
リリー「やった！ これ美味しいから大好きなの！ また個人的に立ち寄らせてもらいまーす！」
おばあちゃん「ああリリーちゃんいい所に……私のハンカチが風に飛ばされちゃってねぇ」
リリー「お安いご用ですよおばあちゃん！」ｽﾀｯ
リリー「さあどうぞ」
おばあちゃん「ありがとうねぇ。お礼と言ってはなんだけど、さっき買ったチュロスをおすそ分けするわ」
リリー「あ、ありがとうございますっ」
鞠莉『差し入れなんかもらってる場合じゃないんだけど！』
リリー「おっとっと……それじゃあまたねおばあちゃん！」ﾊﾟｼｭｯ
ﾋｭｯ
ﾊﾞｼｭｯ!!
ﾋｭﾝｯ!
リリー「すごいですね鞠莉さん！ 私のこと、みんなリリーって呼んでくれてるんですよ！ 最近ニュースでもスパイダーリリーって！ もうレディスパイダーなんて誰も言わないの！」
鞠莉『もう何回も聞いてるから……』
リリー「だって言いたくなっちゃうんですもん〜」
鞠莉『それよりリリー、その先の美術館よ。賊が侵入してる……絵画やオブジェが盗まれる前に懲らしめてあげて！』
リリー「わかりました！」
リリー「さぁてと……綺麗なものにおびき寄せられた虫さんたち！ 美しく華麗なクモのお姉さんが退治しちゃうよ！」
リリー（────そう、私は沼津を守るヒーロー、スパイダーリリー）
リリー（未だ取り逃がした犯罪者は、ひとりもいない） 〜そのころ。遠くの国、遠くの海〜
ﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞ…
曜「んーっ！ やっぱり船ってサイコーだな〜っ！」ﾉﾋﾞｰ
曜「空には輝く大きな太陽！」
曜「見渡す限りの水平線！」
曜「そして〜」
ﾊﾞｼｬｯ ﾊﾟｼｬｯ!
曜「船に寄り添うみたいに泳ぐイルカさんたち」
曜「ふふ、千歌ちゃんたちに見せてあげたいな〜」ﾊﾟｼｬﾘ
曜「うんうん、いい感じに撮れた！ 今年はAqoursみんなにお土産用意したんだ」
曜「ふふ、世にも珍しい星型の砂！」
曜「小瓶に入れて9個用意したからね……ふふ、綺麗だなあ」ﾁｬﾗ…
曜「太陽に透かしてみると……ふふ、キラキラ光って本当にお星様みたい」
曜「果南ちゃんとか喜ぶかなぁ？ 天体観測好きだしなぁ」
曜「あとは善子ちゃんとルビィちゃんも喜んでくれそう！ こういうの、好きだと思うし」
曜「あと梨子ちゃんも────」 ﾄﾞﾝ……!!
曜「わっ！！？」ｸﾞﾗｸﾞﾗ…
曜「な、なに……？ 爆発音みたいな……」
曜パパ「曜！」
曜「あ、パパ……今のって！？」
曜パパ「いま通信が入ってきた。なんでも、近くの海底火山で火山ガスを利用した水中発電機の実験をしてるらしい」
曜「実験……？」
曜パパ「とにかくこの海域から早く離れなくちゃならない。曜、船室に入れ。脱出するまで甲板に出ることは許さんれ
曜「う、うん……わかった！」
ﾄﾞﾝ……ｯ!!!
曜「ぁ、っ……わ……！」ﾎﾟﾛ
曜「あ……ちょ、お土産が！ 待ッ……！！」
ｺﾛｺﾛ……
曜「あぶな、っ……！」ﾊﾟｼｯ!
曜パパ「曜！！」
曜「え……？」
ｸﾞﾗｯ……
曜「ぁ────」
ｻﾞﾊﾟｧﾝ……！！！
曜パパ「曜────！！！」 ｺﾞﾎﾞﾎﾞﾎﾞ…
曜（あ、やばい────私、溺れてる……？）
曜（泳ぐの得意なはずなのに、身体が動かない……） ────
「1号に変動が」
「海中に小さな影が見えます」
「どうせ魚よ。始めれば逃げて行くわ」
「始めるぞ。我々の発明が世界を変えるんだ」
「実験開始」 ・・・
ﾊﾞﾁｯ
曜「────？」
ｺﾞﾎﾞｯ
ｺﾞﾎﾟﾎﾟ……
ﾊﾞﾁﾊﾞﾁｯ
ｺﾞﾎﾞﾎﾞﾎﾞ……！！
曜（待、って……わたし、かえらないと）
曜（とも……だちが、なかまが……）
曜（ぱぱ、まま……みんな……っ）
ﾎﾞｺﾎﾞｺﾎﾞｺﾎﾞｺ……!!
曜（────なに、これ）
曜（わたし、の……からだが……水に、溶けてく……？）
曜（ゃ、だ……やだ、やだやだやだやだ……！！）
曜（たすけ、っ……ちかちゃ、んっ……りこちゃん……！）
ｺﾞﾎﾞｯ
曜（たすけて、たすけっ……ぁ、ぁああ…………ぁあああぁぁあ………………！！！） うおおおお
そういう展開か！
続き楽しみにしてます！
面白いです！ 一番最初の三部作しか見てないから予習したいけど展開知りたくないから見られないジレンマ ────からだがとけていく。
ゆらゆらと。
どろどろと。
からだがとけて、まざっていく。
みずとひとつになっていく。
からだがきえて。
うみとひとつになっていく。
うでも、あしも、おなかも、むねも、あたまも、こころも。
わたしのすべてがとけてとけてとけてとけて。
とろけてまざってみずになる。
わたしはどこ？
めはみえてる。
かんかくもある。
なのにからだはなくて。
わたしはどこにあって、わたしはなにになっているの？
いまわたしがかんがえてるあたまはどこ？
わたしがかんじているこころはどこ？
────わたしは、だれ？
わたしは、わたなべよう────
ほんとうに────？ ────！
なにか、こえがきこえる。
だれをよんでいるの？
────う！
わたしはもうとけちゃったから。
わたしをよんでも、へんじもできないし、さわることもできないのに────
────よう！！
曜「────はっ！！」
「曜……あぁ、ぁあっ……曜、曜、曜……！！」ｶﾞｼｯ
曜「…………は、ぁ……ぇ……？」
「曜……俺がわかるか？ 曜……」
曜「…………ぱ、ぱ」
曜パパ「あぁ……ああ、そうだ……！ 曜、無事でよかった……っ！」ｷﾞｭｳｯ
曜「わたし……」
曜パパ「覚えてないのか……？ いい、いいんだ……今は落ち着くまで動くな」
曜「ここは……」
曜パパ「付近の海岸の病院だよ。とにかくしばらくは安静にしておけ……それから日本に帰国しよう」
曜「……う、うん」 曜パパ「俺は先生を呼んでくる。曜、お前は出るんじゃないぞ？」
曜「ぁ……うん」
ｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞﾗ
ﾊﾞﾀﾝ
曜「わたし、確か、海に落ちて……」
曜「そうだよ……落ちて、そこで……からだ、が……」
曜「はぁ、っ、はっ……はぁっ……」
曜「からだ、が……水に、溶けて……はぁ、っぜひゅ……ッ」
曜「み、みず……みず……」
曜「ぁ……テーブルに、ペットボトルの水が……」ｸﾞｯ
ﾊﾞｼｬｯ
曜「は────」
曜「…………え？」
曜「わた、しの……て、手が……」
曜「手が…………み、ずに……ぁ、ぁあああっ……」 曜「ぁあぁぁあああああああ！！！」
曜「わたしの、私の手が……ぁぁぁあ、ぁああっ……！！ やだ、やだっ！」ﾊﾞﾁｬｯ
曜「あ、つめなきゃ……私の手、手……手がなくなったら、衣装が作れない……」
曜「Aqoursのみんなに迷惑が……ちかちゃん、りこちゃん……みんなに……」ﾊﾞｼｬｯﾊﾞﾁｬｯ
ｽﾞｽﾞ……
曜「ぁ、んぅう……っ」ｽﾞｽﾞｽﾞ…ｯ
曜「は……ぁ、手が……戻った……？」
曜「ある……ある、ある……私の手……よかった……」
曜「身体が水に溶けたなら……集めれば、元に戻るんだ……あ、はは……ははは」
曜「は、っ…………」
曜「なに、これ………………」
曜「わた、し……水の、化け物になっちゃったの……？」
曜「これじゃあ、もう……みんなに、会えない……」
曜「こんなの、わたしじゃ……」ﾄﾞﾛ…
曜「ぁ、ぁあっ……ま、た……ッ」
曜「やだ、やだ……やだぁ……みず、水が……」
曜「そうだ……ボトルの水を飲めば……っ」ｶﾞｼｯ
ｺﾞｸｯｺﾞｸｯｺﾞｸｯ……
曜「っ、ぷあ……はぁ、はっ……」ｽﾞｽﾞｽﾞ…
ｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞ…ｯ!!
曜「ぁ、な、に────？」
曜「うでが、が……大きな、水のかたまりに……？」
曜「ゃ、だ……これじゃ、本当に化け物だ……」
曜「ぁ、ぁああっ……やだ、やだよ……たすけて、ぱぱ……たすけて、たすけてよぉッ！！！！」
ｺﾞｼｬｯ!!! ﾀｯﾀｯﾀｯ
ｶﾞﾗｯ!
曜パパ「曜！！！」
曜パパ「────曜」
曜「ぁ、ぁぁあっ！！ あぁぁ、あぁっ……あぁぁああ！！！」
曜パパ「落ち着け、俺だ！ お前の父さんだ！」ｶﾞｼｯ
曜「やだ、やぁっ……ぁぁ、ああっ……！！」ﾌﾞﾝﾌﾞﾝ
曜パパ「先生……曜は、っ」
医者「きっと海に落ちたことを思い出して取り乱しているんです……とにかく落ち着けなくては！」ﾊﾞｯ
医者「落ち着いて、私はあなたの医者です！ もうあなたは助かったんです！ 落ち着いて、落ち着いて！」
曜「ぁ、ゃぁっ！ わたし、ちがぅの！ たすかってなっ……ぁぁ、やだ、やだぁあっ！！」
曜パパ「曜……」
曜パパ「……一体、なにがあったんだ」
曜パパ（水をかぶったのか……びしょ濡れの曜に、水浸しの床、壁）
曜パパ（まるで大きなかたまりをぶつけられたかのような跡がある、部屋の壁……）
曜パパ（曜……いったい、なにが……？） 〜浦の星女学院〜
千歌「えっ！！ 曜ちゃんが！？」
鞠莉「うん……海に落ちて、一時意識不明だったんだって」
梨子「そんな……」
千歌「助かったんだよね！？ もう平気なんだよね！！」ｶﾞｼｯ
鞠莉「っ……お、落ち着いてちかっち。曜はもう救助されて、現地の病院でケアもされてる」
鞠莉「もうすぐ帰国するわ。私の家から人を送ってあるから問題はないわよ」
千歌「そっ、か……そっか、そっか……よかった……」
梨子「曜ちゃん……」
鞠莉「でも、海に落ちたショックでひどく不安定になってるらしいから……内浦に戻すのはどうかと思うの」
千歌「……そんな」
果南「トラウマって簡単じゃないからね……海を見ただけで取り乱すかもしれないし」
ダイヤ「しばらくは自宅で休養を取ってもらうのが一番かもしれませんわね……」
花丸「曜ちゃんに会えないんですか……？」
鞠莉「あんまり頻繁に押しかけるのは良くないかもだけど……みんなでお見舞いに行きましょ？ 不安な時こそ友達が支えてあげなくちゃ」
ルビィ「うん！ ルビィ、曜ちゃんに新しい衣装の案を見せたくって……」
花丸「おらも、曜ちゃんに教えてもらってたステップができるようになったから見てほしいずら！」
千歌「……みんな」
梨子「曜ちゃんが帰ってきたら、みんなでお見舞いに行かなくちゃ……ね、千歌ちゃん」
千歌「……うん、うん！ そうだね！」 おつおつ
曜ちゃんが心配だ……
恥ずかしながら元ネタを知らないのでどんな展開か予想がつかなくて楽しみ 梨子ちゃんにも助けを求めてたけどこれからの展開を想像すると苦しくなるな… そりゃこうなるよな
普通に海に落ちただけでもトラウマになるレベル >>278
まして自分の身体が水になって突然溶け始めたら恐怖だよなあ……
蜘蛛の糸も大概とはいえさらに精神的なダメージきつそう 忙しすぎて書けなくてごめん
構想はあるからのんびり進めます明日以降 お疲れ様です
エタらないでいてくれてるだけありがたいよ PS4のスパイディやりながら意識高めてるから大丈夫 というか映画に出てないヴィラン選ぶんだな
こういうのって書きやすさでメジャーなやつにすると思うんだけど 恥ずかしながら映画のスパイダーマンしか見たことないから、よく分からないけど、ユニバのスパイダーマンのアトラクションに出てくるやつなのかな？ Aqoursでやるならある意味書きやすいんじゃないかな
映画での知識しかない自分としては先が読めなくて面白い 保守ありがたい
地の文とか書かないからスパイダーマンの映画あたり見てると戦闘シーンとかはイメージしてもらえるかも
擬音だけだから限界はあるかもだけど あとヴィランはどうせならってことで映画には出てない人をって考えてます
ハイドロマン以降は分かんないけど 敢えて選んでるのか
お馴染みのヴィランが来ても盛り上がるだろうしどちらにせよ楽しみだよ 最初に出会うヴィランが友達である曜ちゃんになるかもしれないって梨子ちゃんもきっついだろうな 〜曜の家〜
千歌「えっ……会えないの……？」
曜ママ「ごめんね千歌ちゃん、みんな……曜、まだ眠ってて」
千歌「そんな……」
梨子「千歌ちゃん……」
ダイヤ「失礼なことをお聞きいたしますが……曜さんは入院しなくても構わないのですか？」
曜ママ「本当は検査があるからしなくちゃいけないんだけどね……曜がどうしても家がいいって言うから」
曜ママ「検査のために、毎日病院には行かなくちゃいけないんだけど」
ダイヤ「……」
鞠莉「もしよかったら、私のツテでいい精神科医を紹介できます。曜さんの調子が優れないようでしたら、お電話ください」
曜ママ「ふふ、ありがとう。優しい友達がいて曜は幸せね」
千歌「おばさん」
曜ママ「なに？」
千歌「……曜ちゃんが会えるようになったら、すぐに連絡して」
曜ママ「いの一番に千歌ちゃんたちに連絡するから。もう少しだけ待ってあげて？」
千歌「……うん」
ルビィ「あの……これ、お見舞いに……」
曜ママ「あら、みかん？ ふふ、曜も喜ぶわ」
花丸「おら……んん、私たち、曜ちゃんが早くよくなることを祈っています」
曜ママ「本当にありがとう。大丈夫、曜は丈夫だから。すぐにでもあなたたちに会いに行くと思うわ」
善子「……はい」
千歌「それじゃあ……お願いね、おばさん」
曜ママ「ええ」
曜ママ「……ごめんね、みんな。また来てあげて」
千歌「うん……」
みんな『おじゃましました』 『曜ちゃん会えなかった……』
『そうだね……』
『しょげても仕方ありません。曜さんが帰ってきた時にあらためて迎えてあげるのが────』
ｼｬｯ
ｺﾝｺﾝ
ｶﾞﾁｬｯ
曜ママ「開けるわよ、曜」
曜「……開けながら言わないでよ」
曜ママ「……本当にいいの？ 千歌ちゃんたち、せっかく会いに来てくれたのに」
曜「いいんだよ。……今はそんな気分じゃないから」
曜ママ「気分って……」
曜「わかるでしょ？ ……こんな私、見せられないよ」
曜ママ「曜……」
曜「あの時のことを思い出すだけで手が震えるんだよ……？ またパニックになっちゃうかもしれないんだよ！？」
曜「そんなっ……みんなの前で、もしそんなことに、なったらぁ……っ」ｶﾞｸｶﾞｸ
曜ママ「曜……！」ｷﾞｭｳｯ
曜ママ「大丈夫、大丈夫だから……またみんなと遊べるようになるから。また海で泳げるようになる、飛び込みもできるようになるから……」
曜「なれない、もうっ……ダメなんだよ、私……」
曜（だって、私……人間じゃなくなっちゃったんだから────！） 〜夕方〜
ｽﾀｯ
リリー「さぁて、今日の沼津は〜っと……」
リリー「ふんふん……今のところパーティは開催されてなさそうかな？ 誰も喜ばないパーティだけど」
リリー「それならそれで小さなお助けをするだけだし、構わないんだけどね」
リリー（曜ちゃんに会えなくて解散して、そのまま私はスパイダー稼業に勤しむことに）
リリー（鞠莉さんは今日は別件で忙しくて通信サポートはないみたいだけど、私は休むわけにはいかない）
リリー（通信がなくてもマスクに搭載されてるAIのおかげで今までとは段違いで情報が得られるようになったしね）
リリー「さてさて」
ｳｰ!!
リリー「お、さっそくサイレン？ やっぱり休ませてくれないよね沼津は！」ﾀﾞﾝｯ!
ﾊﾟｼｭｯ
ﾋｭﾝｯ! 男「俺の邪魔をするんじゃあねぇ！ ぶっ殺してやろうかおい！！」ﾌﾞﾛﾛﾛ!!
ｶﾞｼｬｰﾝ!
男「このアレクセイ様は誰にも止められねえ！ オラオラオラオラ！！」ﾌﾟﾌﾟｰ!
ｳｰ!
男「ちっせえパトカーだぜ！ そんなもんで俺のダンプが止められるかよ！」
リリー「確かにこんな大きな車だとパトカーでぶつかってもどうしようもないよね」
男「だろ？！ 俺様の改造ダンプはそれだけじゃねえ。重火器積み込みまくりの戦車だぜ！」
男「……は！！？」
リリー「やっほー？」ﾌﾘﾌﾘ
男「ンだてめぇ！！ いつから隣に座ってやがった！」ﾊﾞｯ
リリー「おっと」ﾋｮｲ
リリー「いつから……うーん、今？」
男「死ね！」ﾌﾞﾝﾌﾞﾝ
リリー「ちょっとちょっと前見て運転してよ！危ないでしょ通行人が！」
男「ちょこまかと鬱陶しい……！！」ｼﾞｬｷ
リリー「あー……んー……」
リリー「エアガn」
ｽﾞｶﾞﾝ!!
ｼｭｰ……
リリー「……なわけないよね」
リリー（股の間を通り抜けてった……スパイダーセンスがなかったら危なかったかも） リリー「そもそもこんな車どこで手に入れたのさ！」
男「女子供にゃわからねえ男の世界ってもんがあんだよ！」ｶﾞﾝ!
リリー「ふーん」ﾋｮｲ
リリー「そういえば私、お父さん以外の男の人が運転する車で隣に乗ったの初めてかも」
男「あ？ なにボケたこと言ってんだクソガキ」
リリー「で、そのまま逮捕するのも初めてかもっ！」ﾊﾞｯ
男「は────」 リリー「よいしょっと！」ﾀﾝｯ
ﾊﾟｼｭﾊﾟｼｭｯ!
ﾋｭﾝｯ!
リリー「それではご覧ください！ 華麗なスパイダーリリーによる洗車のお時間です！」
リリー「まず車から降りましてー」
リリー「フロントガラスから綺麗にして参りましょう！」ﾊﾟｼｭｼｭｼｭｯ!!
男「くそっ……なんだ！？ 前が見えねえ……！！」
リリー「真っ白になったところで次の工程！ おじさんが降りやすいようにドアを開けてあげま────」
ｶﾞｼｬｯ
リリー「えっ……なに？」
リリー（トラックの横が変形した……ううん、変形というか展開……）
AI《危険：M134》
リリー「えー！？ なんかっ……が、ガトリング砲みたいなのでてるんですけど！！」
男「喰らいやがれ……クモ女！」ｶﾁ
M134 ｷｭﾙｷｭﾙｷｭﾙ────
リリー「街中でそんなの撃ったら危ないでしょ！ というか銃刀法どうなってるの最近の犯罪者さんたちー！」ﾊﾟｼｭﾊﾟｼｭｯ!!
リリー「はい上向いてー！」ｸﾞｲｯ!!
M134 ｽﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞ!!
リリー「で、引っこ抜いて……！」ｸﾞｸﾞｯ!!
ﾊﾞｷｯ!
M134 ｶﾞﾗｶﾞﾗｶﾞﾗﾝ… 男「クソ！ なら出し惜しみは無しだ────」
リリー「え、まだあるの！？」
ｳｨｰﾝ……ｶﾞｼｬｯ!! ｶﾁｬｶﾁｬ……ｶﾞﾁﾝ!!
リリー「えーっと……ミサイル10個くらいと、さっきのガトリングがもう一個、爆弾っぽいのに触腕みたいな……」
リリー「ねえ、最終的にはどこ目指してるの！？ トランスフォーマーにでもなるつもり！？」
男「こいつで東京をぶっ壊してやるんだよ！」
リリー「じゃあ最初から東京でやればいいでしょ！」ｽﾀｯ
リリー「……」
リリー（まずガトリングと爆弾を無力化して……次にミサイルと腕……よし、よし）
リリー「それではスパイダーリリーの洗車のお時間第二幕の始まりです！」
リリー「まずはガトリングの根元にウェブを絡ませて無効化しちゃいますよ！」ﾊﾟｼｭﾊﾟｼｭｯ!!
M134 ……
リリー「そしたら飛んでくるでしょう爆弾を……」ﾊﾟｼｭﾊﾟｼｭｯ
リリー「ウェブで受け止めてお団子にしちゃって、それから天高くまでスーパーシュゥゥゥーーッ！」ﾊﾞｼｯ
ﾋｭｰﾝ…
ｽﾞﾄﾞｵｫｫﾝ!!
リリー「超エキサイティング！ こんなにスリルのあるサッカーもないよね！」
リリー「さて、お次は……」
ﾊﾞｼｭﾊﾞｼｭﾊﾞｼｭｳｩｩｩ!
リリー「そうだよね、ミサイルくるよね！」 〜狩野川沿いの道〜
曜「……ひとりで出てきちゃった」
曜「部屋にいても自分の身体と向き合うことしかできないし……気分転換に、いいよね？ ……水辺は怖いから、近寄れないけど」
曜「すー…………はぁ。沼津の匂い。私……帰ってこれたんだ」
曜（そう、帰ってこれた。だけど────私はもう以前の私じゃない）
曜「っ、ぅ……」ｽﾞﾙ…
曜（意識してないと、身体が水になってしまうんだ……）
曜（私はあの海の中で、何かの実験に巻き込まれて……身体が変化してしまった）
曜（それはお医者さんでも分からない変化。どんな検査でも発見できなかった……身体が水になってしまうという、変化）
曜（水を体内に取り込めば、そのぶん身体が膨張して……大きくなる）
曜（大きくなればなるほど、それは水の塊のようで……私が水の化け物になってしまったことをありありと示している）
ｳｰ!!
曜「今日もサイレンが鳴ってる……最近、サイレンを聞かない日ってないかも」
曜「……見に行ってみようかな。あんまり離れたら、何かあったとき怖いけど……」
曜「……水を取らなかったり、意識してれば身体が変わることもないし」
曜「……ちょっとだけ」ﾃｸﾃｸ ﾄﾞﾝ……!!
ﾄﾞｺﾞﾝ……!!
曜「わっ……爆発……？」
曜「いつもよりすごいことになってるな……」
ﾌﾞﾛﾛﾛ!!
ﾄﾞﾝ…!!
曜「……音、近づいてきてるかも」
曜「離れたほうがいいかな……」ﾀｯﾀｯﾀｯ ﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞ!!
曜「や、やばいかも……ほんとにこっち来てる……っ！」ﾀｯﾀｯﾀｯ
ﾄﾞｵｵｫﾝ!!
曜「うわっ！」ｽﾞﾃﾞｯ
曜「ぁ────」
リリー「ああもう！ 道路の補修工事だって安くないし時間もかかるんだからそんなばんばん撃たないでよ！！」ﾊﾟｼｭﾊﾟｼｭｯ!!
ﾊﾞｼｯ!!
ﾋｭﾝｯ!
曜「ぁ、れは……スパイダーリリー……だっけ」
曜「……よかった、あの人がいるなら安心だね……」
リリー「はぁ、ったく…………あ！ちょっと待って！！」
曜「え────」
少女「ぅえぇぇえん！！うぇえええん！」
曜「ぁ────！！！」 曜（道路の真ん中に女の子が……っ！ 親は……！？）ｷｮﾛｷｮﾛ
曜「はぐれたんだ……避難してる時に！」
曜「危ない……って、それは私も同じか……！」ﾀﾞｯ
曜「あ、あはは……私なにしてんだろ！ あの子助けて、スパイダーリリーの手助け？ むしろあの人に任せたほうが私もあの子も安全な気がするけど……」
曜「……身体が動いたんなら、仕方ないよね」ﾀｯﾀｯﾀｯ!!
曜「よし、あと少し……あのトラックが来るまでまだ────」
ﾋｭﾙﾙﾙ────
曜「え────」
曜（み、さ）
曜（いる────）
リリー「あっっっっっぶないでしょーがーーーー！」ﾊﾟｼｭﾊﾟｼｭｯ!!
ﾌﾞﾝｯ
ﾄﾞｵｵｫﾝ!!
リリー「ミサイルは人に向けて撃っちゃダメって習わなかったの！？ 習わないよね普通！」
曜「はぁ、はあっ……はあ、……」
曜（リリーが上に投げてくれなかったら、私……っ）
曜「……っ、でも……これで助けられる！」ﾀﾞｯ ﾀｯﾀｯﾀｯ……
少女「うぁぁああん！！」
曜「お待たせ！ 逃げるよ！」
少女「うぇえぇぇっ！ ままぁぁああ！」
曜「ちょ、暴れないで……ほら、逃げるから！」ｶﾞｼｯ
少女「ぁぁああぁああ！ うわぁぁああ！！」ｼﾞﾀﾊﾞﾀ
曜「ねえ、お願いだから……」
ﾌﾞﾛﾛﾛ!!
曜「ぁ、やばい……」
リリー「っ……ぁ」
リリー（な、なんで曜ちゃんが……！？）
リリー（と、とにかく────）
リリー「勇敢なお嬢さーん！ その子は私が預かるから、君は離れて！」ﾊﾟｼｭﾊﾟｼｭｯ
ｽﾀｯ
リリー「さあ早く！」
曜「は、はい……！！」
リリー「よし、お嬢ちゃんは向こうに行こうね！」ﾊﾟｼｭｯ
少女「ぅうぅぁあうぅぁう！！」
ﾋｭﾝｯ!
曜「……よかった。それじゃあ、私も……」
ﾌﾞﾌﾞﾌﾞーーー！
曜「え────」 曜（クラクションの音）
曜（どんどん大きくなってくる車）
曜（あ、これ……だめだ）
曜（わたし、ひかれるんだ）
曜（……スパイダーリリーの顔が見える）
曜（女の子を抱きかかえたまま、必死の顔で私に蜘蛛の糸を飛ばしてる────でも、間に合わない）
曜（だってトラック、もう私の目の前だもん────）
ﾊﾞｼｬｯ
リリー「ようちゃん────────！！！！！！！！！」 リリー（トラックは曜ちゃんと重なるように、道路沿いのビルに突っ込んで動きを止めた）
リリー（すぐに警察がトラックを取り囲み、運転手の男を取り押さえて────）
リリー「────曜ちゃん、どこ」
リリー「ようちゃん、曜ちゃん！ 曜ちゃん！！」
リリー「AIさん……曜ちゃんを探して！ すぐに、今までトラックの前にいたんだから！」ﾋﾟﾋﾟｯ
AI《探知不能：付近に生体反応なし》
リリー「嘘！嘘……曜ちゃん、曜ちゃん……！！！」
リリー「もっとよく探して！ トラックの影とか、ビルの瓦礫の中とか……とにかく探して！ 私の友達なの……大切な、大切な……っ」
AI《探知不能：生体反応なし》
リリー「そんな……そんなっ……曜ちゃんが死んじゃったなんて……っ」
AI《否定：怪我人なし。死者なし》
リリー「え……？ じゃあ、曜ちゃんは……？」
AI《探知不能：反応なし》
リリー「どういう、こと……」 リリー「曜ちゃん……じゃないの？ さっきの……ううん、あれは絶対に曜ちゃんだよ……」
リリー「私が間違えるはずない……だって、あの勇敢な行動は絶対に曜ちゃんで────」
AI《探知完了：反応あり》
リリー「えっ────」
曜「ぅ、うぅ……」
リリー「……曜ちゃん」
リリー「曜ちゃん、曜ちゃん！ 曜ちゃん！」ｶﾞﾊﾞｯ
曜「ぅっ……く、苦しい……」
リリー「はっ……ご、ごめんなさい！ 怪我は……？」
曜「わ、わかんない……です、けど……ない……」
リリー「よかった……何があったか覚えてる？ とにかく助かったんだよ……」ｷﾞｭｳｯ
曜「……確か、女の子を助けようとして、車に…………轢か、れて……」
曜「ひかれ、て────」ﾋﾞｸｯ
曜「ぁ、ぁあっ……ぁあ、ぁぁぁああぁぁ……」
リリー「！？」
曜「ぁ、ぁぁあっ！！ わたし、わたッ……し、ぁ……嫌、いや……イヤ……っ！！」
リリー「どうしたの！？ ねえ、落ち着いて、曜ちゃん────！」 〜曜の家〜
曜ママ「ごめんなさいね……まさか、勝手に出歩いてるとは思わなくて」
梨子「いえ……それより、曜ちゃんは……」
曜ママ「……海に落ちたのは、聞いてる？」
梨子「……はい」
曜ママ「それが原因で、水を見るのパニックになってしまうようになったの。それに関係なくても、その夢を見たり……思い出したりするだけで、あなたの見た曜みたいに暴れたりしちゃうのよ」
梨子「……そんな、ことが……」
曜ママ「ゆっくりケアしていけば少しずつ治っていくってお医者さんからは聞いてるんだけどね……」
梨子「……」
曜ママ「今日は、もう遅いから帰ったほうがいいわ。また今度、改めてAqoursのみんなにもお話に伺うわね」
梨子「はい……」
梨子「……おじゃま、しました」
曜ママ「……ありがとね。あなたがいてくれて本当によかった」
梨子「友達、ですから」
曜ママ「ええ……これからもあの子のこと、よろしくね」
梨子「はい、もちろんです」
梨子「……では、失礼します」
曜ママ「……うん、ありがとう。またね、梨子ちゃん」
ﾊﾟﾀﾝ 梨子「……海に落ちて、パニック……」ﾃｸﾃｸ
梨子「水を見たら……」
梨子「あの轢かれる瞬間に、フラッシュバックしたのかな……」
梨子「恐怖の感情が、自分の一番恐怖を感じた瞬間を思い出させた……とか……？」
梨子「……ともかく、無事でよかった……」
梨子「何がスパイダーリリーなのかな、私……曜ちゃんなら足も速くて身軽だから、って……注意が散漫になってた」
梨子「人の速さなんて、車に比べたら意味ないのに……私、本当にバカだ」
梨子「これで曜ちゃんを失ってたら、私……わたし……っ」
梨子「っ、ぐす……」
梨子「……これは、神様からの警告なんだよね、きっと」ｺﾞｼｺﾞｼ
梨子「誰かを助けるつもりなら、全てを助けろって……それが私の責任。スパイダーリリーとしてみんなを助けると誓った私の責任なんだ」
梨子「あれが曜ちゃんじゃなくて……千歌ちゃんだとしても、果南さんだとしても、鞠莉さんだとしても、ダイヤさんだとしても、ルビィちゃんだとしても、花丸ちゃんだとしても」
梨子「安心するな、常に気を張って……助ける対象を間違えちゃダメなんだ」
梨子「……みんなを助ける。それが……スパイダーリリーなんだから」 ・・・
みちをあるいていると、おおきなおとがうしろから。
ぶーっぶーっ。
くるまのくらくしょんだ。
あぶないね。あぶないよ。
あぶないから、どうろのはしににげなくちゃ。
でも、だめだ。
くるまはこっちにむかってる。
わたしにむかってはしってきてる。
だれかがわたしにてをのばしてる。
てをつかもうとしてくれてる。
たすけようとしてくれてる。
でもでもまにあわないの。
それじゃわたしはたすからないの。
だってもうくるまはわたしのめのまえだから。 でも、だいじょうぶ。
ぜんぜんへいき。いたくもかゆくもないんだ。
だって、わたしはみずのばけものだから。
くるまにはねられても、ほら、だいじょうぶ。
からだがみずになってはじけとんで。
またあつまってからだにもどるから。
けがひとつないんだ。
だって、わたしはみずのばけものだから。
からだはひとだけどほんとはみずで。
しんぞうものうみそもちもないみずのばけもの。
だからこころもない。
へんだな、へんだな。
じゃあわたしはどこでかんがえて、どこでなやんでるんだろう。
おかしいな、おかしいな。
わたしがわたしじゃなくなっちゃうみたい。
わたしはどこにいっちゃうんだろう。
こわいな、こわいな。
にんげんじゃなくなったらみんなはなれちゃう。
ばけもののわたしはにんげんとともだちでいられない。
やだな、やだな。
ひとりぼっちはやだな。
ともだちがいなくなるのはやだな。
ねえ、ねえ。
だれかわたしを◼︎◼︎◼︎◼︎────。 ﾊﾞｰｰｯ!!
曜「っ、は……ぁ、！」ﾀﾞｯﾀﾞｯﾀﾞｯ
曜「はぁ、っは……ひかれ、っ……来ないで……っ！」ﾀｯﾀｯﾀｯ
ﾌﾞﾛﾛﾛ……!!
曜「うわ、っ……！」ｽﾞﾃﾞｯ
曜「は……、はっ……ぁ、は……っ」
ﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞ!!
曜「ぁ、あぁっ……あぁああ…………っっ！！」
ﾊﾞｼｬｯ!!
ﾋﾟﾁｬ
ﾋﾟﾁｬ
ﾊﾞｼｬｼｬｯ
ｼﾞｮﾎﾞﾎﾞ……ﾋﾟﾁｬﾝ ﾋﾟﾁｬ…ﾋﾟﾁｬ…
ｽﾞｽﾞｽﾞ……ｽﾞﾙﾙ
ｽﾞﾁｭ、ｸﾞﾁｭｯ……ｽﾞｽﾞｽﾞ…
ｻﾞｻﾞｻﾞｻﾞ…ｽﾞｽﾞｽﾞ……ｯ
ｽﾞﾆｭｩｩ……ｸﾞｸﾞｯ
曜「────────はっ」
曜「ぁ、……はあ、っ、あ」
曜「ぁ……あ、ぁぁあ……ぁ……っ」
曜（生きた水の夢を見る）
曜（あらゆる衝撃を物ともせず、危機が訪れる瞬間に水へ変化し、回避する）
曜（その水は宿主の思い、気持ち、あらゆる感情の全てを無視しておのれを守るために行動する）
曜（そう────あの時の私のように）
曜（私はトラックに轢かれる瞬間に水の塊になって弾け飛び）
曜（やがて集まり、元の形に戻った）
曜（元の形に、私の形に）
曜（私は、生きている）
曜（生きている……ううん、違う。間違っている）
曜（死なない身体になったんだ） 曜（死なない、死ねない）
曜（危機が訪れれば、水の塊となって私の身体は溶けて散らばり、また集まって私に戻る）
曜（水を体内に取り込めば身体は膨らみ、大きな水の塊になる）
曜（初めて目が覚めたあの時……水を飲んだ私の手は、大きな水の手になった）
曜（私はそれを振り払おうとして、壁に叩きつけ……その壁に大きな穴をあけた）
曜（私は、あの時────あの女の子を助けようとした時。もしかしたら、水の力が働いていたら、殺してしまっていたのかもしれない……）
曜（誰も怪我をさせなくてよかった）
曜（それだけが、私の救いかな……）
曜（水の化け物になってしまった私の、救い────） ・・・
曜（毎日同じ夢を見る）
曜（生きた水の、夢を見る）
曜（その水は仲間を求め、街に出る）
曜（どんな仲間なのな。同じ水の化け物なのか、それとも）
曜（でも、彼女は化け物だから）
曜（歩くだけで物を壊してしまう）
曜（現れるだけで人々を脅かしてしまう）
曜（だって彼女は化け物だから）
曜（人の世界では生きていけない、化け物だから────） 〜数日後・夜〜
ﾊﾟｼｭﾊﾟｼｭｯ
ﾋｭﾝｯ!
リリー「それ、どういうことですか！？」ﾊﾟｼｭｯ
鞠莉『だから……巨大な水の化け物だよ！ まるでゴジラみたいに狩野川から急に現れて……川沿いの防波堤を破壊しながら海へ向かってる！』
リリー「水の化け物って……映画じゃないんですよ！？」ﾋｭﾝｯ!
鞠莉『あなただって映画みたいなもんでしょ！ とにかくリリー、急いで！』
リリー「急いでますよ！」ﾊﾟｼｭｯ
ﾋｭﾝｯ! 〜狩野川・上土町付近〜
ｻﾞﾊﾞｧｧｯ!!
水の化け物『GUOOOOOOOOO!!!!!!』
ｽﾀｯ
リリー「なに、あれ……？」
鞠莉『あれが水の化け物よ』
水の化け物『AAAAAAAAAAAAA!!!』ﾌﾞﾝｯ!!
ﾄﾞｺﾞｯ!
ｺﾞｼｬｯ!!!
リリー「叫びながら暴れてる……鞠莉さん、これ本当に現実なんですか！？」
鞠莉『現実よ！ リリー、戦うしかないわ！』
リリー「っ……でも、どうやって……」
鞠莉『近くの住人の避難が完了するまで気をそらして、可能なら食い止めて！』
リリー「水相手にですか！？」
鞠莉『つべこべ言わない！ ヒーローでしょ！』
リリー「っ……もう！」ﾊﾞｯ リリー「私は毎日、困ってる人を助けるただの隣人なのに〜！！」
リリー「それっ！」ﾊﾟｼｭﾊﾟｼｭｯ!!
水の化け物『GOOOOOOO!!』ﾌﾞﾝｯ!!
リリー「っ……やっぱり、ウェブなんて効果ないよね……！」
リリー「だったら、っ」ﾊﾟｼｭﾊﾟｼｭｯ
リリー「ほーら！ 鬼さんこっちだよー！」
水の化け物『FUUUUUuuuuu……!!!』ﾌﾞﾝｯ!!ﾌﾞﾝｯ!!
リリー「よし、距離を取れば腕の振りも当たらな────」
水の化け物『GOAAAAAA!!!!』ﾊﾞｯ!!
リリー「ぇ、」
ﾊﾞｼｬｧｧｯ!!
リリー「ご、ぼっ……ぶはっ……！」ｺﾞﾎﾞﾎﾞﾎﾞｯ
リリー「っぅぐ……っ」ﾄﾞｻｯ!! ｺﾞﾛｺﾞﾛ…ｯ
リリー「痛っ……た…………」
リリー「伸びるパンチって、どういうこと……」
ｻﾞｻﾞｻﾞｻﾞ…
リリー「あぁ……川の水を吸い上げて身体にしてるってことね……」 リリー「はあ、っ……痛い……」
リリー「でも……やらなくちゃ。街を壊させなんてしない……」
リリー「あなたの正体は分からないけど、とにかく止めさせてもらうよ！」
リリー「水の巨人さーん！」
水の化け物『GRUUUUU……』
リリー「……無視かー」
リリー「まあさっきまでの感じ、意思疎通は無理だよね……」
リリー「もうこれ以上先には進ませない！ 巨人さん、とりあえずここで止まってもらうよ！」ﾊﾟｼｭﾊﾟｼｭｯ
ﾀﾞﾝｯ!
ﾋｭﾝｯ!
ﾊﾟｼｭｯ
ﾋｭﾝｯ!
リリー「AIさんウェブ装填！ ウェブボール！」
────ウェブボール装填完了。
リリー「それっ！」ｼｭﾎﾞｯ!
水の化け物「GU……ッ！！」ｸﾞﾗｯ 書き込めるようになってた…
昨日はあのあと禁止ワードからの規制で書き込めないしauは読み込みすら出来ないで散々でした リリー「次は……えーっと……」
リリー「動きを止めるのにいいウェブない！？」
AI《検索完了：フリーズウェブ》
リリー「フリーズ……凍結ってこと！？」 リリー「すごい……じゃあボールにフリーズを混ぜ込めますか？！」
フリーズボールウェブ装填完了。
リリー《仕事の速さなら世界一かも！》
リリー「よし……凍って！」ﾊﾞｼｭﾊﾞｼｭﾊﾞｼｭ!!
ﾊﾞｼｯ!!
水の化け物『GA……A……』ﾋﾟｷｯ
ﾊﾟｷﾊﾟｷﾊﾟｷ
水の化け物「」ﾊﾞｷ…ﾝ…
リリー「はあ、っふう……」ｽﾀｯ リリー「なんとか……無力化、出来たのかな……？」
pipi
リリー「！」
鞠莉『リリー、聞こえる？』
リリー「鞠莉さん！ ……水の巨人は凍らせちゃいましたよ」
鞠莉『ええ、いい作戦だったと思うわ。街への被害も最小限だしね……さすがスパイダーリリー』
リリー「でも、結構やられちゃって……スーツもところどころ破けちゃいました」
鞠莉『そろそろmaintenanceしなくちゃと思ってたし、ちょうどいいかも。とりあえず巨人はあとで警察とダイヤの家とマリーの家の者たちで検分させるから、梨子はホテルまで来てくれる？』
リリー「え、ここからですか……？」
鞠莉『こっちからヘリも向かわせるから、合流したらそれに乗ってきて』
リリー「はあい」pi
リリー「……水の巨人さん、ごめんね。あなたが暴れたら……街が壊れてしまうの」
リリー「あなたのこと、鞠莉さんたちが調べにくると思うけど……暴れちゃダメだよ。私の大切な人たちを傷つけるのは、私が許さないからね」 ﾊﾟｼｭﾊﾟｼｭｯ
リリー「……さ、パトロールしつつ淡島まで向かおっと！」ﾀﾝｯ
────■■■■■。
リリー「……え？」
梨子（名前を呼ばれた、そんな気がした）
梨子（それはどこから呼ばれたのか、誰に呼ばれたのか……正しく理解はできなかったけれど）
梨子（なぜか、振り返った私の視線の先────）
梨子（水の巨人さんのそばの防波堤に、よく知る友人が立っているように見えた）
梨子（明るく勇敢で、泳ぐのが大好きな浦の星のヒーロー）
梨子（そして今は、自宅で療養しているはずの────）
リリー「────よう、ちゃん？」
梨子（目を疑った私は、まばたきと共に目元をゴシゴシこすり、AIの補正によってズームアップさせた、同じ場所を再度確認する）
梨子（……誰もいなかった。人の影はもちろん、何かの気配すら感じられない）
リリー「……気のせいか」
リリー「曜ちゃんのことが心配すぎて幻覚見ちゃったのかな…………はあ、良くないなこういうの」
リリー「あの日……曜ちゃんがうまくトラックを避けてくれていなければ、私は今頃……」
リリー「……今度こそ、曜ちゃんや私の大切な人に何かがあれば、必ず助ける」
リリー「私の全てを賭けてでも……」ｸﾞｯ
リリー「だから水の巨人さん！ 本当に暴れちゃダメだからね！」ﾀﾞｯ
ﾋｭﾝｯ!
ﾊﾟｼｭｯ
ﾋｭﾝｯ! ちゃんとスパイダーマンできてるかだけが不安
いつも読んでくれてありがとう おつおつ
自分はスパイダーマンとして楽しんで読んでるよ 乙
とうとう暴れ始めちゃったんだな……
リリーのメンタルもどうなるかちょっと心配 ラブライブもスパイディも好きじゃないことは伝わった
愛もないし下手糞だから二度と書かないでくれ 乙
自分は楽しんで読んでるから、頑張ってください！ 乙
まだ危なっかしいけど梨子ちゃんがヒーローの素質を持ってる感じが好き おつおつ
恥ずかしながら原作をよく知らないけれど楽しく読んでます 〜ホテルオハラ・鞠莉の研究室〜
梨子「お待たせしました」
鞠莉「お疲れ様、梨子。疲労回復に甘いフルーツティーを用意しておいたから」
梨子「ぁ……ありがとう、ございます」
梨子「ずず……ぁ、おいしい」
鞠莉「さて、あの水の巨人だけど」
梨子「！ はい」
鞠莉「いま、うちのグループと警察が確認作業をしているけれど……まだ何もわかってないわ。当然だけど」
梨子「……はい」
鞠莉「突如として狩野川に現れ、暴れまわっていた水の巨人……いったい何者なのか」
鞠莉「あんまり推測とか好きじゃないケド、仮説だけでも立てておかないと今後のmissionに関わるから、付き合ってもらえるかしら？」
鞠莉「梨子が戦った時の感覚も聞きたいし」
梨子「わ、わかりました」
鞠莉「まず、あれの正体だけど……梨子はどう思う？」
梨子「……私は、とにかく信じられません。あんなのがいるなんて……まるで、映画みたいで」
鞠莉「水の化け物……確かに創作の世界ね。fantasyのゴーレムみたい」
梨子「ゴーレム……」
鞠莉「泥の人形のことよ。魔法使いが操って戦わせる、操り人形ってヤツ？」
梨子「……」
鞠莉「もしこの世界にそんな魔法があるなら、あれはきっとその類。でも違うとすれば」
梨子「違うとすれば……？」
鞠莉「ゴジラみたいに、なんらかの生命体の突然変異。または、あなたの同類」 梨子「それって、いったいどういう……」
鞠莉「前者は分かるでしょ？ ゴジラ、有名だもの」
梨子「それは、まあ……ええと、恐竜の時代に生きてた生物が水爆実験で目を覚まして……」
鞠莉「あ、そっちじゃなくて」
梨子「？」
鞠莉「ゴジラの幼生が水爆実験の放射能を浴びて変異したっていう」
梨子「……そうなんですか？」
鞠莉「seriesによって出自も変わるみたいねぇ……まあ、今はそれはどうでもいいんだけど」
鞠莉「ともかく、そんな感じでなんらかの生命体が水を操る能力を得た……または水になれるようになった」
鞠莉「後者もほぼ同じだけど、その生命体が人間であること」
梨子「人間が……っ」
鞠莉「この差は大きいわよ？ 何も知らない生物や動物なら、捕まえて保護、もしくは殺処分」
鞠莉「だけど人間なら……」
梨子「……」
鞠莉「それは犯罪者。私たちが憎み、今まで幾度となく戦い、捕まえてきた彼らと同じ」
梨子「……犯罪者」
鞠莉「今までの犯罪者とは比べものにならないから、便宜上スーパーヴィランって呼ぶことにしましょう」
梨子「ヴィラン……？」
鞠莉「英語で『敵』ってこと。つまり、私たちは今後アレを『敵』として戦わなくちゃいけない、ってこと」
梨子「で、ですが……あの暴れ方は、街を破壊しようとしていた風には……」
鞠莉「それでも、街を破壊したことに変わりはないの。怪我人だっているんだから」
梨子「ですが……！」
鞠莉「悪意も敵意もなく、それでも人を轢いたら犯罪者でしょ？ それと同じ、犯罪を犯せばその時点で犯罪者なの」
梨子「……っ」
鞠莉「梨子……あなたは今までそんな犯罪者から人々を守るために戦ってきた。そうでしょ？」
梨子「それ、は……そうですが……っ」 鞠莉「だったらあの巨人とも、今までと同じように戦わなくちゃ。あなたの大切な人が傷つくのは、嫌でしょう」
鞠莉「あそこは善子と曜の家からも近い場所だった。もし何かの拍子で瓦礫が彼女たちの家に飛んでいたら？ その瓦礫で家が潰されて、彼女たちが死んでしまったら────」
梨子「やめてください！！」
鞠莉「……sorry. 熱くなりすぎちゃった、マリーの悪い癖ね」
鞠莉「ごめんなさい、梨子」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
梨子「わかりました。戦います、戦いますが……私にはあの巨人さんを犯罪者として見れません」
梨子「あんなに苦しそうに暴れていたのに……そんな風に見ることはできません。だから、またあの巨人さんが暴れたら、私は止めるために戦います」
梨子「街を守るために、大切な人を守るために、あの巨人さんを救けるために」
鞠莉「……うん、それで構わないわ。あなたは今まで通り、戦ってくれれば。あなたが戦ってくれるなら、マリーも今まで通りsupportできる」
鞠莉「さて、真面目な話はおしまい！ これからはお疲れ様会でもしましょ！」
梨子「………………へ？」
鞠莉「ナターシャ！ お菓子とお茶の用意を！」
「すでにできております。お嬢様」
鞠莉「good job！ さあ梨子、今夜は朝までゆっくりのんびりお茶会よ〜！」
梨子「あ、朝まで……！？ でも、あの私、おうちに……」
鞠莉「明日は学校ないんだし、平気平気！ おうちにはナターシャから連絡させてあるから」
「はい。うちの娘をよろしくお願いします、と」
梨子「そ、そんな〜……」
鞠莉「スーツのmaintenanceもしたいしね？ ナターシャ、よろしく」
「かしこまりました」
梨子「え、ぇぇえ〜……」
鞠莉「とりあえず調査結果が来るまでは待機していてほしいの」
梨子「！」
鞠莉「それまではあの巨人の名前でも考えながらのんびりしましょ？ 名前は付いていることに意味があるんだもの」
梨子「は、はぁ……」 〜狩野川・戦闘跡〜
「クレーンの用意はできたな！」
『はい！』
「よし、まずは鉄骨を組みあげろ！ この化け物を囲うように組み、足場を作れ」
「俺たちの班は川の水質調査だ！ 降りるぞ！」
『はい！』
・・・
「にしても、本当に凍ってるのか……？」
「そうみたいだ。あのスパイダーリリーとかいうやつが戦ってくれたおかげで、被害も最小限にとどめられてる」
「は、おありがてえ。こっちは技術畑だ、戦う武器は作れても戦いは無理だからな」
「その分、俺たちが全力でサポートしなくちゃいけないんだ」
「うちの親会社が技術提供してるらしい。俺たちの調査結果もこれからの対策に使われるんだろうさ」
「そうだったんだ……私、今までいろんな生物の調査はやってきたけど、こんなのは初めて。だって水の巨人なんて……まるで漫画の世界だもん」
「魔法かなんかで作った人形みてーだもんなぁ」
「本当に……こんな大きなのが暴れていたなんて、信じられない。大きくて力強さがあって……今にも動き出しそう」
「やめてくれよ脅しやがって……」
「なんだよ怖いのか？ 大丈夫だよ、ガチガチに凍ってる」
「でも、その漫画とかだと……こういう時に限って封印破って動き出すんだよ？ ばきばきーって」
「だからやめろって！ さっさと水汲んで始めようぜ！」
「ついでにこいつの破片でも取っとこう」ｶﾞﾝｶﾞﾝ
「怖いモン知らずかよ……」
「水汲んだよ」
「よし、こっちもってこい！」 ｶﾀｶﾀ…
「よし、データ送信完了……あとはサンプルを持ち帰って研究所で改めて調査だ」
「まさか……この巨人から取れた成分が、川のものとほぼ同じなんてね」
「川の水で身体を作ってるのかもしれないな。漫画のゴーレムみたいに」
「そんなことが出来るって……魔法使いなのかな。この巨人の正体は」
「さあな……とにかく俺たちの仕事は水質調査。巨人本体のことは上に任せとけ」
「そうだな。さっさと戻ろうぜ、トラック回してくる」
「うん、よろしく」
────、────、
「……？」
「どうした？」
「今、何か音が……」
「音？」
────、────、
「……おい、待て……なんか揺れてないか？！」
「は、早く道路に上がろ！ なんかやばい！」
ﾀｯﾀｯﾀｯ ｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞ……
「な、なんだ！？」
「鉄骨組み上げやめ！ 離れろ、クレーン隊も！」
「この巨人から音が聞こえるぞ！」
「いいから離れるんだよ！！
ｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞ……
ﾊﾞｷｯ
ﾊﾞｷﾊﾞｷﾊﾞｷﾊﾞｷ…ｯ!!!
「お、おい……割れてねえか……？」
「巨人が……わ、割れる……っ」
「早く離れろ！」
ｶﾞｼｬｧｱｱﾝ!!!
「うわぁああああ！！！」
ﾊﾞﾗﾊﾞﾗﾊﾞﾗﾊﾞﾗ…
ﾎﾞﾁｬｯ ﾊﾞﾁｬｯ
「っ……」
「……あ、れ……？」 「……消えちまった」
「巨人が……割れて、消えてしまった……！！」
「いったい、どうなって……」
「逃げた、のか………………？」 いたい。
いたいいたい。
いたいいたいいたい。
やめて。
やめてやめて。
やめてやめてやめて。
どうしてたたくの。
どうしていたいことするの。
わたしなにもしてないのに。
わたしはただでかけたかっただけなのに。
だいすきなうみをみにいきたかっただけなのに。
せっかくきょうはうみをみてもへいきなきがしていたのに。
どうしてわたしをうみにいかせてくれないの。
あなたはだれなの？
ねえ。
わたしのじゃまをしないでよ。
わたしはなにもしないから。
あなたもなにもしないでよ。
いっしょにうみをみればいいんだよ。
わたしのともだちもつれていくから。
あなたもいっしょに。
じゅうにんでうみを──── 〜曜の部屋〜
曜「……ハッ！ はあ、はっあ……」ｶﾞﾊﾞｯ
曜「ぁ……夢、か……」
曜「っう、……変な夢だ……」
曜「なんでいきなりスパイダーリリーに襲われる夢なんか……あのとき助けられたのが、変な恐怖になってるのかな……」
曜「喉乾いた……でも、水を飲んだら、また……」
曜「……でも飲まないのもダメだよね。水は私の身体だもん……いのち、だもん」
曜「ママー……」
曜「……ママー？」
曜「いないのかな……取りに行こっと」ﾋﾟﾁｬ
曜「ん、わっ！ な、なにこれ……床が水浸し……」
曜「私が寝てる間に何かしたのかな……？ よく見たらパジャマも濡れてるし……」
曜「……今まで寝てる間は何もなかったのに」
曜「私……どんどんおかしくなっていっちゃうな……」ﾌﾙﾌﾙ
曜「ぅ、っく……千歌ちゃん……みんな……」
曜「あいたいよ……うぅ、っぐ……」 おつおつ
やっぱヴィランになっちゃうよなあ、どうなるんだろ…… おつ
なんとかハッピーエンドを迎えて欲しい……
続きが気になって仕方ない 今日の日はさようならを流しながら見ることになるのかもな 〜十千万〜
『こちらが事件……事件といってよいのでしょうか。壮絶な破壊の限りが尽くされた跡地……まるで爆撃にあったかのような現場となっています』
『今見ていただいているのは、番組の視聴者の方が撮影した映像です。画面真ん中にいるのは巨大な人影。その身体は水でできている、水の巨人です』
『その周りを飛び回っているのは内浦のヒーロー、スパイダーリリー。彼女の活躍により、被害は最小限に食い止められました』
千歌「…………ここって」
千歌「……」ｽﾏｽﾏ
Aqours（9）
チカ：善子ちゃん曜ちゃん無事！！？」
Yohane：私は無事よ
Yohane：家の近くだけど、少し離れてたから
Yohane：それより曜の方が近いから心配なんだけど…
チカ：わたしちょっと曜ちゃんに電話してみる
Yohane：私ももう何回もかけてるのよ！
千歌「曜ちゃん……」ｽﾏｽﾏ
prrr...
prrr... 〜ホテルオハラ・研究室〜
鞠莉「ハイドロマン！」
梨子「……へ？」
鞠莉「さっきの水の巨人の名前よ。ハイドロマン、水の人」
梨子「はあ……」
鞠莉「これから我々はあの水の巨人をハイドロマンと呼称します。分かりやすくていいわ」
梨子「ええ、と……」
梨子「それで、解析結果の方は……」
鞠莉「ん〜〜…………全然ダメ」
梨子「ええー！？」
鞠莉「送られてきたデータは全部川の水と同じ成分なの」
鞠莉「で、凍らせたハイドロマンのカケラのサンプルも調べたけど……川の水とまったく同じ」
鞠莉「あいつ、川の神様とか……？」
梨子「ま、まさかそんな……」
鞠莉「hmm……でも、必ず正体はあるはずよ。GHOSTやGODなわけ、あるわけないもの」
鞠莉「ナターシャ、街に散らばせてある全てのマイクロドローンの映像を解析して。特に狩野川付近にあるやつを重点的に」
「すでに進めております」
鞠莉「GOOD」
鞠莉「リリーはまたハイドロマンが現れたら戦うことになる。それまでは休息しておいて？ ……ただでさえこの何も実りを得なかった解析データを待たせて徹夜させちゃったから」
梨子「……はい、もう、くたくたで」
鞠莉「あっちにbathroomがあるわ。身体を温めて、隣のbedroomで休みなさい。着替えはナターシャに用意させておくから」
梨子「ありがとうございます……失礼、します」ﾊﾟﾀﾝ 鞠莉「……きっと正体はあるはずなのよ……なくちゃおかしい……」
鞠莉「もしハイドロマンが、リリーのように突然変異した人間であれば、変身した瞬間の映像があるはず……」ｶﾀｶﾀ
「お嬢様、先程から携帯電話がうるさいようですが」
鞠莉「え……？ ぁあ、気づかなかったわ」
鞠莉「ちかっち？ Aqoursのグループラインで何を……」
鞠莉「……」
鞠莉「……そういえば曜と善子の安全確認ができてなかった」
鞠莉「oops！ 私としたことが……」
鞠莉「ナターシャ」
「ヘリ、回しますか？」
鞠莉「お願い」
「かしこまりました」 ﾊﾞﾗﾊﾞﾗﾊﾞﾗﾊﾞﾗ…
鞠莉（曜の家のある地域の避難所は……確か）ｶﾀｶﾀ
鞠莉（……あった。ここね）
鞠莉（ドローンを動かせれば早いんだけど……映像解析してる時は動かせないのがつらいわ）
鞠莉（データだけサルベージして動作させられるように改良しなくちゃ）
鞠莉（善子はラインで連絡が取れてるから安全は確認できてる。だから曜だけでも顔を見ておかないと）
鞠莉（さて……）
prrr...
鞠莉「……もしもし？」
『もしもし鞠莉ちゃん！！？』
鞠莉「あうち！」ｷｰﾝ
『あ、ご……ごめん、急いでて……』
鞠莉「ちかっちったら……んん……それはわかってるわ。曜のところに行くつもりなんでしょ？」
千歌『え、なんでわかったの……？』
鞠莉「私も今から向かうところなの」
千歌『！！』 鞠莉「ほかのみんなも曜のこと心配してるけど、私が1人で行くほうがいいって押さえつけてきた。でもちかっちはマリーが何を言っても聞かないでしょ？」
千歌『……うん』
鞠莉「だったらマリーといきましょう。今どこ？ 拾いに行くわ」
千歌『今は────』
鞠莉「────わかったわ。すぐに着くから動かないで」
千歌『うん、ごめんね……』
鞠莉「みんなちかっちと同じ気持ちよ。果南もダイヤもダイヤもルビィもマルも善子も……梨子も」
鞠莉「だから、私たちが代表して曜の安全を確かめに行くの」
千歌『……うん』
鞠莉「あの事故が起きてから、まだ曜は万全じゃないの。そんな時にこんな事件が起きてる……私たちで笑顔にしてあげましょうね」
千歌『……うん！』 〜研究室〜
ｶﾞﾁｬｯ
「ごめんなさい、着替えを持ってくるのを忘れて────」
梨子「すぅ……すう……」
「……大変ね、あなたも」
「まだ小さいのにヒーローとして戦うことを余儀なくされるなんて……本当に、どこかの世界で見たことがあるようだわ」
「うちのお嬢様は危なっかしいところがあるから、あなたも助けてあげて？ アレでも行く宛のなかった私を拾ってくれた恩人なの」
「異変が起きるまではもう少し休んでいて。私はあなたが戦えるように情報を集めておくから」
「……でも、その情報があなたにとって戦いやすくなるとは限らないけれど……私を恨まないでね」 〜避難所〜
千歌「……曜ちゃん！！！」
ｻﾞﾜｻﾞﾜ…
千歌「曜ちゃん……曜ちゃん、どこ……？」
鞠莉「避難所の受付に聞いてくるわ！」
千歌「曜ちゃん……」ﾌﾗｯ
鞠莉「あ、ちょっと！」
千歌「いないんだよだって！ まだ避難してないんだよ！」ﾀｯﾀｯﾀｯ
鞠莉「もっ……勝手に動かないでよー！」
ﾀｯﾀｯﾀｯ
千歌「曜ちゃんち、っ……行かないと……！」ﾀｯﾀｯﾀｯ
鞠莉「でも、避難命令出てるのよ！？」
千歌「避難所にいなかったらまだ避難してないってことでしょ！？」
鞠莉「警察が地域の家全てに確認してるのに……」
千歌「じゃあ避難所間違えてるのかも！ 鞠莉ちゃん近くの避難所に電話してみてよ、私は家まで行ってみるから！」ﾀｯﾀｯﾀｯ
鞠莉「っンもぉ〜！！！」 ﾀｯﾀｯﾀｯ
千歌「はぁ、っはあっ……」
千歌「ようちゃん、ようちゃん……っ！」
「千歌ちゃん！」
千歌「────！！」
千歌「おばさん！」
曜ママ「ちか、ちゃん……曜が、曜が！」
千歌「え……」
曜ママ「曜が、いないの……」
千歌「────」
曜ママ「避難命令が、出てっ……ハァ、……曜を連れて避難しようと、したら……部屋に、いなくて……」
曜ママ「ずっと、探し回ってるのに…………何か、連絡とかきてない……！？」
千歌「……家に、は……？」
曜ママ「いな……いなかったのよ……」
千歌「違うよ、今は……今はいないの！？ 戻ってきてるかも！」ﾊﾞｯ
曜ママ「ぁッ……千歌ちゃん！！」 〜曜の家〜
ｶﾞﾁｬｯ!!
千歌「曜ちゃん！」ﾀﾞｯ
ﾀｯﾀｯﾀｯ
ｶﾞﾁｬｯ
千歌「リビング、いない……じゃあ、曜ちゃんの部屋！」
ﾊﾞﾁｬｯ! ﾊﾞｼｬｯ!
千歌「わ、水浸しっ……な、なんで……！？」
千歌「……曜ちゃん……？ いるの……？」
千歌「……曜ちゃん、いるの？ あけるよ────」
ｶﾞﾁｬｯ ｻﾞｻﾞｻﾞｻﾞ…
千歌「部屋の中から、水が溢れてきてる……」
千歌（それは部屋の中央、小さな人影……のような水の塊）
千歌（その中に、いる。私の会いたかった人が────）
千歌「……曜、ちゃん……？」
曜「────ちか、ちゃ……ん」ｺﾞﾎﾟﾎﾟ…
千歌（久しぶりにあった親友は、水の塊の中にいて）
千歌（なのに普通に会話ができてて、まるで……ようちゃんが水の中で生きているような────）
曜「ゃ……っ、見な、いで……っ！」ｺﾞﾎﾞｯ
千歌「……曜ちゃん……」ﾊﾞﾁｬﾊﾞﾁｬ
曜「ち、近づかないで！ っ……私、実は私……もう、わたし……に、っ……にんげんじゃ……」
千歌「ようちゃん……」ｷﾞｭｳｯ
曜「ぁ────」
千歌「……無事でよかった」
曜「……ぁ、ああっ……ぅ、うあ……」
曜「ちか、ちゃん……千歌ちゃん……！」
曜「会いたかった……私、会いたかった……千歌ちゃん、ちかちゃん……！」ｷﾞｭｳｯ
千歌「曜ちゃんっ……わたしも、会いたかったよ……っ！」 〜研究室〜
「映像解析完了、ね────」
「……フゥ」
「…………困ったことになったわね」
「予想的中？ いや……それより、これは」
「────ヤバイかも」
梨子「すぅ……すぅ……」
「……小さなヒーロー。覚悟しておいて────私もできるだけサポートはしてあげる」 「さてと」ｶﾁ
prrr...
pi
「お嬢様、聞こえますか？」
鞠莉『聞こえてるわ。解析できたの？』
「ええ、抜かりないわ。そちらはいかがです？」
鞠莉『……ちかっちとはぐれた』
「はぁ…………何してるんですか？ 何のためにヘリを向かわせたんですか」
鞠莉『だってあの子、自分で勝手に動いちゃって……というか曜が避難所にいないのよ！ 近くの別の避難所に電話したけど来てないみたいだし……』
「ドローンの解析終わったので探させます」
鞠莉『あ、そうだわ！ 解析終わったんなら、犯人────ハイドロマンの正体、わかったんでしょう？』
「ええ、まあ」
鞠莉『何よ……急いでるの。早く答えなさいナターシャ』
「……覚悟なさい、お嬢様」
鞠莉『え……？』
「ハイドロマンの正体は────」 ただでさえ戦いにくい水の塊が相手なのに正体までこれじゃあな…… 保守代わりに提唱
アベンジャーズのブラックウィドウがラブライブ世界に転生した説 保守
毎回気になるところで終わるから、毎回続きが楽しみで仕方なくなる、、、
面白いです。
続き楽しみにしてます。 いつも保守してもらってありがとう
今週中更新できるかちょっとわからないくらい忙しくて疲労で倒れ寝る そんなに疲労溜まってるんですか、、、
無理せずにゆっくり体調第1で頑張って下さい🙏 お疲れ様
気長に待ってるから寝れる時に寝てくださいな 続けてくれるならゆっくりで全然問題ない
お大事になさってください 保守
気長に待ってるから、ゆっくり続けてもらっていいんやで 〜曜の部屋〜
曜「……私ね」
千歌「……うん」
曜「海に……落ちたんだ。近くの海底で何かの実験をやってたらしくて、船体が大きく揺れて、それで」
曜「普段ならそれくらいなら平気なんだけど……なんでか、その時はそのまま海底に引きずり込まれるように沈んでっちゃって……」
曜「……そしたら、海の底で、何かの光に包まれた」
曜「そしたら……身体がどんどん、水に……海に、溶けて……いっ、て……それ、で……」ｶﾞｸｶﾞｸ
千歌「……」ｷﾞｭｳｯ
曜「っ……」
曜「……それ、で……気づいたら、助かってた……病院にいたんだ、私。近くの国の……海岸沿いの、病院」
曜「でも私は助かってなかっ、た……身体が水になったんだ……」
曜「意識が不安定になったり、イメージが崩れたりすると……身体がどろどろ溶けて水になっちゃう」
曜「あと……水を飲んだりすると、身体が水の塊になっちゃうんだ……」
曜「だから、喉が渇いたときは……気をつけて少しずつ飲まなくちゃ……こんな、風になる」
千歌「こんな、風……」
千歌「水の塊の中に、いる……こんな風に？」
曜「これは……私もはじめて、だけど……身体が、水の塊になって、大きくなっちゃうんだ」
千歌「……」 千歌（少し落ち着いてから、曜ちゃんはぽつぽつと話してくれた）
千歌（今まで何があったのか。曜ちゃんの身に何が起きたのか。どうして今まで、私たちと会えなかったのか）
曜「私……もう、人間じゃなくなっちゃったんだよ……こんな、水の化け物になっちゃったんだ……っ」
千歌（ずっとこの苦しみを抱えて、ひとりで部屋にこもってたんだ……曜ちゃんは）
千歌（誰も傷つけないように────自分が傷つかないように）
千歌（なにより、自分を人間じゃないと責め苛んで……自分で自分を傷つけて……）
千歌「……ばかようちゃんだよ、ばか」
曜「ちか、ちゃん……」
千歌「そんなの、関係ないよ……！ 曜ちゃんが人間とか、化け物とか……曜ちゃんは、曜ちゃんでしょ？ 身体が水になっちゃった以外、曜ちゃんじゃなくなったことってあるの？！」
曜「ぅ、う……な、い……私、ずっとずっとAqoursの渡辺曜だし、千歌ちゃんの友達の……曜、だよ……」
千歌「なら……なら、何も変わんないよ。曜ちゃんは、曜ちゃんだもん。水の化け物なんかじゃない、私の大切な友達」
千歌「ね！」
曜「ち、かちゃ……っ」ﾎﾟﾛﾎﾟﾛ
千歌「……明日になったらAqoursのみんなに会いに行こうよ。みんな曜ちゃんのこと、心配してるんだ」
千歌「そのせいでみんな練習に力入んなくって……だから、曜ちゃんの姿を見せたらきっとみんなも元気になるから！」
曜「っ、ん……ぅん、ゔん……あい、たい……私、みんなに会いたいよ……っ」
千歌「うん！ ……じゃあ、そろそろ行こ！」ｸﾞｯ
曜「ぇっ……い、行くってどこに？！ そういえば、千歌ちゃんなんでここに……」
千歌「ニュース見てないの？！ さっきまで狩野川で水の巨人が暴れてたんだよ！ スパイダーリリーと戦って！」
曜「ぇ────」
千歌「今は氷漬けになってるみたいで……鞠莉ちゃんが言ってたんだけどね！ だから大丈夫、近くの避難所まで行こ！ おばさんも探してたし！」
曜「ま、待って……水の巨人、って……」
千歌「……絶対違うよ。曜ちゃんじゃないよ。きっと……同じことになった別のひとだよ」
曜「ねえ、でも……私、起きたら部屋が水浸しで……ママもいなくて……っ」
千歌「大丈夫、大丈夫だからっ……大丈夫だから！」
曜「ちがう、ちがう……わたし、きっと……わたし、ねてるあいだに、そんな……ぁ、ぁああぁっ……ぁあ、ぁああ……！！」
千歌「曜ちゃん、曜ちゃん！！」ｷﾞｭｳｯ
曜「ち、か……ちゃ、ん…………」
千歌「……千歌を信じて」
曜「………………わか……った」 千歌「早く着替えて着替えて！ そんなびしょ濡れのまま出たらぼーかんに襲われちゃうよ！」
曜「ま、待って……どの服も濡れてて……」
千歌「も〜！」
曜「…………ちかちゃん」
千歌「ほえ？」
曜「ほんとに……わたしじゃ、ないよね」
千歌「絶対違うよ」
曜「私ね……夢を見てたんだ、さっきまで」
千歌「曜ちゃん」
曜「内浦の海が見たくて……鞠莉ちゃんが連れて行ってくれたびゅうおまで行こうとしてて……」
千歌「曜ちゃん」
曜「そしたら、あの、あ……あの、あの人が、っ……出てきて、邪魔するんだ……っ」ｶﾞｸｶﾞｸ
千歌「曜ちゃん！」
曜「ど、うしよう……私、やっぱり私、わたしが……」
千歌「曜ちゃん！ 絶対違うから！」
曜「ちか、ちゃ……ちか……」
千歌「……ちがうから。そんなわけ、絶対ないんだから」
曜「ぅ、うぅぅっ……」
千歌「……ほら、着替えよ！ 綺麗な服あったよ！」
曜「ぅ……ぅ、ん……」 ・・・
ﾀｯﾀｯﾀｯ…
曜「はぁ、はあ……」
千歌「ふう、ふぅ……」
曜「……こ、れ……ひどい……」
千歌「巨人さんが暴れて壊れたんだって……怪我人は出てないみたいだけど……」
曜「……」ﾌﾞﾙｯ
千歌「……ちがうから」
曜「っ……うん」
千歌「えっと……そうそう、この先の公民館が避難所に────」
「止まりなさい」
千歌「え────」
曜「……！」
ﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞ!
千歌「え、ちょっ」
曜「な、に……っ」
「動くな！」ｼﾞｬｷ
ｼﾞｬｷ!!
ｼﾞｬｼﾞｬｼﾞｬｼﾞｬｷ!! 千歌「ぁ、ぅうう……」
曜「は、……ぁ、はあ……」
「高海千歌、渡辺曜……君たちの身柄を拘束させてもらう」
千歌「ぁ……な、……なん、で……？」
「誰か、この子を連れて」
「ハッ！ ……行こう、君は安全なところへ」ｶﾞｼｯ
千歌「わ、ちょっ……」
曜「……！！」
「あ、暴れないで！ 我々は鞠莉お嬢様に君を保護するよう派遣された！ 安心しなさい！」
千歌「じゃ、じゃあなんで私だけなの！ 曜ちゃんは！？ 鞠莉ちゃんの言いつけなら、どうして曜ちゃんは助けてくれないの！」
「や、やめなさい！ あの子は……別の場所へ連れていくように言われているんだ」
千歌「じゃあ私もそっちに連れてって、ください……！ 曜ちゃんと一緒じゃないと、私……っ」ｼﾞﾀﾊﾞﾀ
「こら、暴れないで！ 隊長、なんとかしてください……！」
「高海千歌さん、大人しくしてもらえないと拘束することになります。お願いだから手荒なことはさせないで」
千歌「いいよ！ それで曜ちゃんと一緒にいさせてくれるなら────」
ﾊﾞﾁﾊﾞﾁﾊﾞﾁ!!
千歌「ぁ────────」ｶﾞｸｯ
曜「ちか、ちゃ────」
「……弱いスタンガンだから安心なさい。少し気を失っているだけ」
「……さあ渡辺曜さん。あなたには我々と来てもらいます」
曜「はぁ……はあ、はぁ……」
「あなたにその自覚があるかどうかは問いません。我々は上の命令に従うだけ」
曜「はぁ、ぅうっ……は、ぁ……ふ、ゔぅ……っ」
「抵抗をするならあなたも彼女と同じように眠ってもらう……もしくは、また氷漬けにでもしてしまいましょうか」
「とにかく、抵抗はしないように。上からも可能な限り手荒なことはするなと言われています」
「私の言葉がわかりますか？ さっきまでは誰の言葉にも耳を貸さず、暴れまわっていたようですが」
曜「ふゔぅ、ゔっ……ち、……ゃんを…………」ｽﾞｽﾞｽﾞ
「……なに？」
曜「ち…………か、ちゃ……ん、を」ｽﾞﾙﾙ…
曜「はな、して────！！！」ｽﾞｵｫｫｯ!!! 「総員退避！」
曜「かえせ！！ ちかちゃんをッ……はなせ！」ﾌﾞﾝｯ!!
「ぐあっ！？」
「ぁぁあ！！」
「くっ……刺激しすぎたか！？」
曜「さわるなっ！！ ちかちゃんにさわるな、はなせ！」ﾌﾞﾝｯ!! ﾌﾞﾝｯ!!
「ぁぐ、っ……！」
「くそっ……！！」ｼﾞｬｷ
「待て！ 撃つな────」
ｽﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞ!
曜「ぁ────！！？？！！！」
曜「ぁ、あ……ぁぁ、あ……」ﾖﾛ
曜「うた、れ……わた、し……ぁ、でも……わたし、みずだから……しなないんだ……」
曜「あ、あはは……あはははっ……」
「な、なんだ……こいつ、様子が……」
「退避！退避ー！ 本部、本部！ こちら捜索チーム！ 標的が暴れ出した！」
「救援求む！ 標的は渡辺曜────ハイドロマンだ！」
曜「ぁあ、ああ…………わたし、わたし……やっぱり、みずのばけものなんだ……」ｽﾞｽﾞｽﾞ…
曜「ごめ、んね……ちかちゃん……」ｽﾞｽﾞ…
ｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞｽﾞ……!! ハイドロマン『OOOHHHHHHHHH！！！！』ｽﾞｵｫｫｯ!!
ﾊﾞﾗﾊﾞﾗﾊﾞﾗﾊﾞﾗ──
鞠莉「っ……曜……信じたくはなかったけど……本当にあなたなのね……」
pipipi…
鞠莉「……」
pi
『聞こえますかお嬢様』
鞠莉「聞こえてるわナターシャ。ハイドロマンが現れた」
『……そう呼ぶってことは、なりふり構っていられないてことね？』
鞠莉「……ハイドロマンである以上、彼女は犯罪者よ。マリーの仲間であろうと、大切な友達であろうと……」
鞠莉「関係はないわ」
鞠莉「ちかっちを回収次第、ここを離れるわ。リリーを起こしなさい」
『……わかったわ。でも、あの子には』
鞠莉「……ええ、伝えないほうがいい。伝えたらリリーはきっと戦わない」
鞠莉「そうなったら誰も曜を止められなくなる。止めてくれる人がいなくなってしまう」
鞠莉「最悪のパターンだけは回避しなくちゃいけないの」
『了解。……お嬢様』
鞠莉「なに？」
『いざって時は私も』
鞠莉「ふふ、スーパーヴィランに対抗できるの？ 特殊な力を持ってないあなたが」
『あなたよりはありますよ。房中術とかね』
鞠莉「それ、ハイドロマンに効果あるの？」
『さあ？ やってみれば何か変わるかも』
鞠莉「冗談はやめて。早くリリーを起こしてこっちに寄越すの」
『ふふ、はいはい』
pi
鞠莉「こんな時までjokeを飛ばすなんて……いったい誰の影響なの？」 〜ホテルオハラ・研究室〜
「起きなさいスパイダーガール」
梨子「ぅ、うんん……ん……」
梨子「ぁ……んん、ぇ……」
梨子「……なたーしゃ、さん……？」
「ええ、私。お嬢様からの呼び出しよ。ハイドロマンが現れた」
梨子「ほぇ……」ﾎﾟｹｰ…
梨子「……」
梨子「えっ！！？」
「早く支度して？ グスグズしてると誰か死ぬかも」
梨子「ッ……スーツは────」
「ここにあるわ。メンテナンスも完了してる」
梨子「ありがとうございます」ｲｿｲｿ
ｸﾞｯ
ｼｭﾙ
ｶﾁｬ
ｼｭｯ
リリー「……よし」 「ここの地下に無人ジェットがあるわ。もう出られるように設定はしてあるから、あとはあなたが外にしがみつくだけ」
リリー「ありがとうございます！ ……鞠莉さんは？」
「先に沼津でハイドロマンを食い止めようとなんかやってる」
リリー「そんな適当そうに……って、危ないじゃないですか！」
「ええ、だから早くあなたを寄越すように言いつけられた。だから起こしたのよ」
リリー「じゃあ行きます、私！」
「少し待って」
リリー「そんな時間は……！」
「あなたはこれから、きっと大変な戦いに巻き込まれる」
リリー「……え？」
「その結果、もしかしたらあなたは大きな傷を負うかもしれない。これから先、戦うことを恐れるようになるかもしれない」
リリー「あ、あの……」
「大人が喋ってる時はちゃんと聞かないと。先生に言われなかった？」
リリー「ぅ……っ」
「あなたには大きな力がある。だからそれに伴う責任も、きっと大きなもの」
「いちどその力で戦うことを決めたのなら、最後まで責任は果たしなさい。あなたのその純粋で美しい心はとても強いあなたの武器。だけど、それはあなたの弱点よ」
「だからその時こそ思い出すの。あなたが何のために戦うことを決めたのかをね」
リリー「……戦う理由、ですか？」
「それがきっと、壊れかけたあなたの心を治してくれる。私の忠告、忘れないで」
リリー「……はい、わかりました。でもナターシャさん、あなたはいったい……？」
「私？ 私は……ただのしがないメイドよ。ありえないほどに《妖艶》な……ね」
リリー「……たしかに」
「……ジョークにはジョークで返すのが礼儀じゃない？」
リリー「え、冗談だったんですか？！ てっきり本気かと……」
「……まあいいわ。早く地下に降りなさい。すぐに飛ばすわよ」
リリー「はい！」
「……Увидимся позже」
リリー「え？」
「いってらっしゃい、って言ったのよ」
リリー「ぁ……はい、いってきます！」 乙！
更新してくれてありがたい！
次回も楽しみにしてます 乙！
｢大きな力には大きな責任が伴う｣ スパイダーマンの名言きましたね 乙です
やっぱりマリーはそういう道を採るのかうーん…… 明日か明後日には少しくらい進めたいと思います
エンドゲームも発売日したことですし 申し訳ない進められなさそう…
もうちょっと待っててください… どうでもいいけどキャプテンマーベルの吹き替えって水樹奈々(梨子ママ)なんやね 〜狩野川付近〜
ハイドロマン『OHHHHAAAAAAAAAA！！！！』ﾌﾞﾝｯ!!!!!
ﾄﾞｺﾞｯ!
「クソ！ クソクソクソ！！」ｽﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞﾀﾞ!!
「やめろ撃つな！退避しろ！」
「街をぶっ壊しやがって……！！」ﾋﾟﾝｯ
ﾌﾞﾝｯ!
ハイドロマン『Fuuu……ッ！！』ﾊﾞｯ!
【手榴弾】ｺﾞﾎﾟﾎﾟ…
ｽﾞﾄﾞｵｫｫﾝ!!
ハイドロマン『GyaAAaAaaaahhHHHhhhh！！！』
「ヘッ……！ 腕が吹っ飛びやがった！」
「もっと投げろ！ 全部ぶっ飛ばしてやるんだ！！」
ﾊﾞﾗﾊﾞﾗﾊﾞﾗﾊﾞﾗ…
鞠莉「────ダメよそれじゃ」
鞠莉「だって、ハイドロマンは水の化け物なのよ」
ﾄﾞｺﾞｫｫﾝ!!
ｽﾞﾄﾞｵｫｫﾝ!!
ハイドロマン『GAァッ！？ ァアAAaAaa！！ GUUuu……ッ！』ﾊﾞｼｬｼｬ…
「効いてるぞ……！！ 全部持ってこい、跡形もなく吹き飛ばして────」
ハイドロマン『────』ｽﾞｽﾞｽﾞ…
「なっ！！ 腕が再生して……！？」 鞠莉「腕だけじゃないわ。ハイドロマンの身体は水そのもの────狩野川から無尽蔵に水を組み上げて身体を修復していく」
ハイドロマン『OOOHHHH────！！！！」
「そんな、ことって……！！」
「いいから逃げろ！ 私たちの手に負える相手じゃ────」
ハイドロマン「Aaaahhhhhhh！！！！」ﾌﾞﾝｯ!!
「ぁ────」
ｶﾞｼｯ!!!
「っ…………ぁ、れ……」
ﾊﾟｷﾊﾟｷ…ﾋﾞｷｯ……
リリー「お待たせしました！ 怪我はないですか？」
「あ、あなたは……レディスパイダー……」
リリー「スパイダーリリーです！ ……鞠莉さんの部隊の人ですよね？ あとは任せて、怪我人の救助をお願いします」
「……すまない、助かった。やつは欠損した部位を川の水で修復させる。今は川だからいいが、この先の海に行かせてしまったらきっと……」
リリー「……なんとかします。案はないけど……頑張って考えます。とにかく、みなさんは避難と救助を」
「……よろしく頼む」ﾀﾞｯ
リリー「……」 ハイドロマン『huuu……』
リリー「ハイドロマン……さん。あなたはどうしてそんなに暴れてるんですか……？」
リリー「一体何が気に入らなくて沼津の街を────」
pipipi
鞠莉『リリー、聞こえる？』
リリー「！ はい、聞こえます！」
鞠莉『私のヘリが見える？』
リリー「はい、見えます。危ないのでもっと離れててください」
鞠莉『no problem. あの子の射程からは離れてるわ』
リリー「でも……」
鞠莉『とにかく一度こっちに来て？ ちかっちもいるから』
リリー「え、っ……千歌ちゃんが！？」
・・・
ﾊﾟｼｭﾊﾟｼｭｯ
ｽﾀｯ
リリー「千歌ちゃん……！！」
千歌「……」ｸﾞｯﾀﾘ
鞠莉「……曜を探しに来て、ハイドロマンに襲われかけていたところを回収したの。今は気を失ってるけど、怪我はないわ」
リリー「よかった……」
リリー「じゃあ……曜ちゃんは……？」
鞠莉「曜は……」
リリー「……？」 鞠莉「曜は……まだ見つかってない。避難所まで管理ができてないの」
リリー「そんな……！！」
鞠莉「でもまだ死傷者はいないの。ドローンでも確認されてる事実だから安心して」
リリー「……わかりました」
鞠莉「あなたはとにかくあの化け物を倒すことだけを考えて。freeze ballがハイドロマンに効果的なのは前の戦いでも、さっきあなたが隊員を助けたときにも確認できてる」
鞠莉「今度こそあれでコテンパンに倒しちゃって」
リリー「コテンパンって……でも、凍らせたのに動き出しちゃったんですよね……？」
鞠莉「……そ、それは」
リリー「動きを止めるだけじゃダメですよね。本当に倒すなら凍らせるより蒸発させなくちゃ……」
リリー（でも、それでハイドロマンが死んじゃったらダメ……あの人も助けなくちゃいけない）
リリー「……とにかくやってみます。千歌ちゃんをお願いします」
鞠莉「ええ」
鞠莉「……よろしくね」
リリー「はい！」 急な低速周りの人も自分もなってる人いるけど、大阪なんかあったのかなぁ ﾊﾟｼｭｯ
ﾋｭﾝｯ!
リリー「ハイドロマンさん！」ﾊﾞｯ
ハイドロマン『ゔぅうuUuu……』
リリー「……やっぱり苦しそう。好きで暴れてるわけじゃないってことだよね？！ ハイドロマンさん、私の声が分かるならやめて！」
ハイドロマン『GuuuaaAAAAAA！！』ﾌﾞﾝｯ!!
リリー「うわちょっと！」ﾊﾟｼｭｯ
ﾊﾞｯ
リリー「危な……凍った腕で殴るなんて当たったら痛いでしょ！？ 凍らせたの私だけど……」
ﾊﾟｼｭｯ
ﾋｭﾝｯ!
ﾋﾟﾀｯ
リリー「ハイドロマンさん聞いて！ 私はあなたも助けたいの！ 何が苦しくて暴れてるの！？ 教えて！」
ハイドロマン『YaAaAaa！！』ﾌﾞﾝｯ!!
ｺﾞｼｬｯ!!!
リリー「うわっ！？」ﾊﾞｯ!! リリー「んもぉ……っ！」ｽﾀｯ
ハイドロマン「ゔAAaぁaあaaaa！！』
リリー「まずい……このままじゃ前と同じだよ……」
リリー「AIさん、ハイドロマンを倒すのにいいウェブないですか！？」 AI《検索に少々時間がかかります》
リリー「じゃあどうすれば……」 リリー「……とにかく動きを止めなくちゃ」
リリー「フリーズボール装填！ とにかく凍らせて動きを止めます！」
AI《装填完了》
リリー「……話はそれからにしましょう。行きます！」ﾊﾞｼｭﾊﾞｼｭﾊﾞｼｭ!!
ハイドロマン『ぐ、uっ……A、Gu……ッ！！！』ﾊﾟｷﾊﾟｷ…
ﾋﾟｷｯ……ﾊﾟｷﾊﾟｷ……
ハイドロマン『い……ta……ィ……っ』
AI《両腕および身体の凍結を確認》
リリー「よし……！」ﾊﾟｼｭｯ ｽﾀｯ
リリー「……身体の上に乗るのを許してね」
ハイドロマン『Uguu……』
リリー「ハイドロマンさん……私はスパイダーリリー。あなたと……多分おなじ、突然人間じゃなくなっちゃった女の子」
リリー「私はクモの能力を手に入れて……最初は驚いたし、自分が人じゃなくなったんだって、怖かった」
リリー「でもね……ある日、友達が私の心を救ってくれた。ひとりぼっちだった私を、人間じゃなくなっちゃった私を、人として、友達として受け入れてくれた」
リリー「だから私、その友達のために……この力を人助けに使おうって思ったの。そうすれば、もしいつか私の大切な人に危険が及んでも、助けられるから」
リリー「あなたは……大切な人はいないの？ 友達とか、家族とか……」
ハイドロマン『────』
リリー「その人のために、その力……使ってみない？ 私と一緒に。うまく使えないなら、一緒に練習するし────」
ハイドロマン『■■■■■────」
リリー「えっ」
ﾋﾞｼﾋﾞｼ…
リリー「え、嘘！？」
ﾊﾞｷﾊﾞｷﾊﾞｷﾊﾞｷ……!!!
ｶﾞｼｬｧｱｱﾝ!!!
ハイドロマン「GaaaaaaaAAAAAAA！！！」ｶﾞｼｯ
リリー「ぅ、ぐっ……水の塊に掴まれるってこんな感じなん────」
ハイドロマン『Aaaahhhhhhh！！！！』ﾌﾞﾝｯ!!
ﾄﾞｺﾞｯ!
ｶﾞｯ! ｶﾞｼｬｯ!! ｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞ……ｯ!!
鞠莉「ッ……梨子……！」
千歌「っ、ん……」ﾋﾟｸﾝｯ ・・・
ｶﾞﾗｶﾞﾗ…
リリー「い……ったたた……」
リリー「……普通の人間だったら、こういうのでも死んじゃってるんだよね……」
リリー「でも私はスパイダーリリーだから、強くて……死なないっ！」ﾊﾟｼｭﾊﾟｼｭｯ
ﾋｭﾝｯ!
リリー「でも……さっきの、ハイドロマンさん……」
リリー「『千歌ちゃん』って、言ったような────」
ハイドロマン『GuuuUUUU！！』
リリー「！」
ハイドロマン『U、ゥ……uぅう……っ！！』ｸﾞｸﾞｯ
リリー「ヘリに手を伸ばして……っ！ 鞠莉さん！」
鞠莉『リリー聞こえる！？ ハイドロマンが……っ！』
リリー「いま行きます！」ﾊﾟｼｭｯ
ﾋｭﾝｯ!
鞠莉『ここにいるのはもう足手まといよね……マリーはちかっちを連れて淡島まで退避するわ！ リリー、大変だろうけど……』
リリー「任せてください！ 鞠莉さんはとにかくヘリを────」
ﾊﾞﾗﾊﾞﾗﾊﾞﾗﾊﾞﾗ!!
ハイドロマン『！！』ｻﾞｻﾞｻﾞｻﾞ!!
リリー「う、嘘でしょ！？ なんで追いかけるんですかー！！」ﾊﾟｼｭｯ
ﾋｭｯ
ﾊﾟｼｭｯ
ﾋｭﾝｯ!
鞠莉『追いかけてきてる！？』
リリー「追いかけてます！ このままじゃハイドロマンさんが海に！」 鞠莉『っ……だからって街中に逃げれば今度は……』
リリー「どうしましょう……」
鞠莉『やっぱりちかっちを……』
リリー「え？ 鞠莉さん今なんて────」
鞠莉『ぁ、いや……なんでも……ないわ』
鞠莉『ハイドロマンは水が命。海にたどり着かれたらきっと手に負えなくなるわ』
リリー「わかってます！ だからどうすればいいのか指示を……っ」
鞠莉『ッ……わかってる、分かってるけど……！』
鞠莉『ああもう、話してるうちにもうびゅうおよ！！』
リリー「……分かりました。ヘリを止めてください、私が守ります！」
鞠莉『えっ！？』
リリー「一定の距離を保ってホバリングしててください！ 私が守りますから！」
鞠莉『そ、そんなことできるの……？！』
リリー「やるんです！ 私は……人を守るためにスパイダーリリーになったんだからっ！」 ﾊﾟｼｭﾊﾟｼｭｯ
ﾋｭﾝｯ!
リリー「さてと、ハイドロマンさん！ 第3ラウンド始めようよ！」ﾊﾟｼｭｯ
ハイドロマン『■■■■■■────！！！』ﾌﾞﾝｯ!!
リリー「っく！」ﾋｭﾝｯ
リリー「巨大なのに素早いなんて……ほんと、どうなってるの！？」
ハイドロマン『■■■■────！』
リリー「フリーズボール、連射」ﾎﾞｼｭｼｭｼｭｼｭｼｭｯ!!
ハイドロマン『GuuuUUuuUuu……！』ﾋﾟｷｯﾊﾟｷﾊﾟｷ…!
リリー「全部腕でガードされた！？」
ハイドロマン『■■■■■■────！！！』ｺﾞｫｯ!!
リリー「ぁ、まず────ッ！」ﾊﾟｼｭｯ
ハイドロマン『────！』ｺﾞｼｬｯ!!!
リリー「がッ……ぁ……っ！！」
ﾋｭｯ────
ﾄﾞｺﾞｯ!
ｶﾞｯ ｺﾞﾛｺﾞﾛ……ｯ
リリー「ぎ、っぅ……」
AI《想定の500％のダメージ。肋骨の骨折を感知》
リリー「だ、よね……ひゅ、ぜひゅっ……」
リリー（まず、いかも……息できない……っ） リリー（氷の腕で、殴られたら……こんな痛いんだ……あはは、でもこれだけで済んでよかった……）
リリー「……まだ、生きてるもん」
ハイドロマン『GOAAAAAAAAAA！！』ﾌﾞﾝｯ!!
リリー「っ、つ……ふっ！」ﾊﾟｼｭｯ
ﾋｭﾝｯ!
ﾄﾞｺﾞｫｫﾝ!!
リリー「ひっ……あれ食らったら流石に潰されちゃってたかも……」
AI《おそらく死んでいたでしょう》
リリー「そんなこと言わなくていいですから……」
ハイドロマン『■■■■────！！』ﾊﾞｯ
リリー「わ、手伸ばしてきた！ 水に強そうなウェブとかないですか！？」
AI《エレクトリックウェブ、装填完了》
リリー「エレクトリック……電気？ 水に電気ってポケモンじゃないんだから……」
リリー「と、とにかくやってみよ！」ﾊﾟｼｭｯ
ﾊﾞﾁﾊﾞﾁﾊﾞﾁ!!
ハイドロマン『GIッ！？』
リリー「あ、ひるんだ！」 リリー「そっか……ハイドロマンさんは水の塊でも元々は人間だもんね……痛覚はあるのかも」
リリー「それならっ！」
リリー「エレクトリックウェブで壁を作ります！」ﾊﾟｼｭﾊﾟｼｭｯ!!
ﾊﾟｼｭｯ
ﾋｭｯ
ﾊﾟｼｭﾊﾟｼｭｯ!!
ハイドロマン『────！』ﾌﾞﾝｯ!!
リリー「避けてっ！」ﾊﾟｼｭﾊﾟｼｭｯ
リリー「糸を張り……っ」
ハイドロマン『！？』ﾊﾞﾁｯ!
リリー「エレクトリックウェブの壁で動きを止めて、凍らせ────」
ハイドロマン『────！！！』ﾄﾞｼｭｯ!!
リリー「ぇ」
ﾄﾞﾊﾞｯ!!
リリー「ごぼっ……！？」
リリー（そ、そんな……水鉄砲みたいに腕を伸ばして……っ）
リリー（今までやってなかっただけで、こんなこともできたんだ……そっか、水だから……ほんとは人型にこだわる必要なんてないのかも……っ） ハイドロマン「……………………」ｽﾞｽﾞｽﾞ
リリー「ぷはっ……けほ、っふ……」
ｷﾞﾘｷﾞﾘ…ｯ
リリー「ぅ、あっ……！」
ﾐｼｯ!!
リリー「ぁ、っ……ぁあああ……っ！！！」
鞠莉「梨子……っ！！」
鞠莉「まずい、まずいまずいまずい……！！」
鞠莉「ナターシャ、何かないの！？ あの子を守れるような武器は……っ！」
『ありますよ。ミサイルとか』
鞠莉「そんなもの使ったらあの子たちが死んじゃうわよ！！」
『ええ、もちろん。でもお嬢様、あなたの使命は犯罪者を撲滅することなんじゃないんですか？』
鞠莉「ぇ────」
『あなたはさっき、渡辺曜を犯罪者として処分すると言った』
『なら、なりふり構っていられないのでは？』
鞠莉「っ、……」 『準備は進めておきます。あとはあなたの命令ひとつでハイドロマンを蒸発させられるわ』
『……私は、そうならないことを祈っているけどね』
鞠莉「……最悪」
鞠莉「本当に最悪なメイドねあなた……！」
『よく言われますよ。あなたにね』
リリー「うあ、ぁぁぁああ……っ！！！」
鞠莉「っ……！！」
鞠莉「……」
鞠莉「ナターシャ、5秒経ったら────」
ﾊﾞｯ
「曜ちゃんやめてーーーーーー！！！！」
ハイドロマン『────！！』
鞠莉「！！」
千歌「はぁ、はあっ……」
千歌「……ようちゃーーん！！」
ハイドロマン「ぁ、あ……あ……っ」 鞠莉「ちょ、っ……ちかっち危ないよ、なにして────！」
千歌「だって、だって鞠莉ちゃん……！！ 曜ちゃんが……っ」
鞠莉「……ちかっち」
千歌「目が覚めたら訳わかんないとこにいるし、曜ちゃんは……暴走しちゃってるし、スパイダーリリーと戦ってるし……っ」
千歌「とにかく、やめさせなくちゃダメなんだよ！」
千歌「曜ちゃん！ 聞こえるならやめてーー！！」
ハイドロマン『ぁ、あ……ち、かちゃ────』ｽﾞｽﾞｽﾞ…
ｽﾙ…
リリー「う、ああ……ぅ……」
リリー（い、たすぎて何も分かんない……ちか、ちゃん……？ よかった、気がついたんだ……）
リリー（ハイドロマンさんも動かなくなって、小さくなって……分かんないけど、落ち着いてくれたのかな……）
リリー（でも、なんか……落ちて────）
ﾄﾞﾀｯ
リリー「ぅっ………………は、ぁ…………痛い……」 千歌「……よかった、曜ちゃん」
ハイドロマン「……」ｽﾞｽﾞｽﾞ…
鞠莉「ちかっち、あなたは……」
千歌「……うん、曜ちゃんから全部聞いて知ってる。事故であんなになっちゃって……自分でもどうしようもなくなっちゃうんだって」
鞠莉「……そう」
鞠莉「そう、だったのね……」
千歌「……ねえ、鞠莉ちゃん。鞠莉ちゃんのところなら、曜ちゃんを治してあげられないかな……？」
鞠莉「……ええ、もちろん。どれだけ時間がかかっても、必ずあの子を救ける方法を見つけてみせる」
千歌「あっ！ あと、リリーさんの怪我もだよ！ 曜ちゃん、わざとじゃなくてもすごい怪我させちゃってるよねあれ！ 落ちて動いてないし……！」
鞠莉「そうね、リリーも────」
『あー……お嬢様？』
鞠莉「なに？ もうハイドロマンは無力化したわ。あとは二人を回収して戻────」
『あの……あと60秒で着弾するんでなんとかしてもらえます？』
鞠莉「えっ」
千歌「ほぇ？」 鞠莉「何してるの！？ 私stopって言ったわよね！？」
『言われてません。5秒経ったら発射しろとまでしか』
鞠莉「嘘でしょ！？ ちょ、もういらないんだってば！ なんで急にここでポンコツ出すのよ！」
『だから私は言われた通りにしただけですから……リリーを叩き起こしてなんとかさせてください』
鞠莉「ちょっ……あ、切られた！」
千歌「ま、鞠莉ちゃん……？」
鞠莉「……ちかっち、飛び降りましょ」
千歌「え」 鞠莉「このヘリに向かってミサイルが飛んできてるの！ もう30秒しないうちに来る！」
千歌「えーーーっ？！ それって曜ちゃんを殺す気で────」
鞠莉「ハイドロマンにはそれほどの威力はないけど！ 私たちは死ぬだけよ！ とにかく飛び降りないと────！」ｸﾞｲｯ
千歌「う、嘘！ わ、ちょぉぉぉぁああぁあああーーーーーー！！！」ﾀﾞｯ
ハイドロマン「！！」ｽﾞｽﾞｽﾞ…ｯ
ちかまり『きゃぁああーーーーーっ！！』
ハイドロマン「ぁ、ちかちゃっ……まり、ちゃ……っ！！」
ﾊﾟｼｭﾊﾟｼｭｯ
ハイドロマン「！」
リリー「待ってて！今行く！」ﾋｭﾝｯ!
リリー「AIさん、ウェブでミサイルの威力抑えられますか！？」
AI《フリーズウェブを幾重にも巻けばある程度は可能かと》
リリー「じゃあそれやります！ フリーズウェブ出せるだけあのミサイルに向けて発射で！」ﾊﾞｼｭﾊﾞｼｭﾊﾞｼｭ!!!!
ﾊﾟｼｭｯ
ﾋﾞｭﾝｯ!
ｶﾞｼｯ
リリー「二人キャッチ！ 目と口を閉じて耳を塞いで！」
千歌「わ、わっ、わっ！！リリーさん！」
鞠莉「いやーーー！！」
ｼｭﾙﾙﾙﾙﾙ────
ｶｯ!!!! ・・・
ｻﾞｻﾞｰﾝ…
ｻﾞｰﾝ……
ﾊﾞｼｬ…ﾊﾞﾁｬｯ…
ｽﾞﾙﾙ…ｽﾞﾙｽﾞﾙ……
ﾊﾞｼｬｯﾊﾞｼｬｯ……
曜「はぁ……はあ……っ」
曜「……けほ、っ…………もう、水……怖くないや、へへ……」
曜「……よいしょ、っと……」
ｺﾞﾛﾝ
ちかまり『』
梨子「」 曜「……スパイダーリリーって、梨子ちゃんだったんだ。ごめん……分かんなくて、とにかく千歌ちゃんを助けなきゃって……」
曜「私……友達を助けようとして、友達を傷つけちゃったんだね……」ｸﾞｽｯ
曜「ごめん、ごめんね……私、もうみんなに顔向けできないよ……ご、めっ……ぅううぅぅっ……」
曜「わた、わたし……どこか、遠くへ行くから……っ！ もうみんなの、いない……っ」
千歌「よ、ちゃ……」
曜「！」
千歌「……」ｷﾞｭｳｯ
曜「ちか、ちゃ……ん……」
曜「ぅ、ぅうっ……ううぁ、ぁぁっ……」
「助かったわハイドロマン……じゃなくて、渡辺曜さん？」
曜「つ、っ……はあ、っく……」ｺﾞｼｺﾞｼ
曜「……あなた、は」
「私はナターシャ。そこのお嬢様のメイドよ」
曜「……鞠莉ちゃんの」 「そう。私のヘマから彼女たちを救ってくれてありがとう。感謝してるわ」
曜「で、でも……私、これじゃ償えないくらい……暴れて、壊して……傷つけて……」
「そうね」
曜「……」
「でもあなたは自分で制御して最後は彼女たちを救った。それは大きな進歩じゃない？」
曜「で、も……」
「あなたをこれから小原グループの医療チームが徹底的に治療する。メンタルも身体も、徹底的に」
曜「え……？」
「そこのお嬢様なら、きっとそう言う。私も、お嬢様の大切な人が少なくなるのは見たくはないの。それに……その力。いつか、そのクモの子の助けにもなれるかもしれない」
曜「……梨子ちゃんの、助けに……」
「あなた、人助けに興味はある？」 〜数日後・沼津市内の病院〜
梨子「もう完治してますよぉ……」
鞠莉「まだ検査が残ってるからもうすこし我慢なさい」
梨子「そんな……！ ……というか、千歌ちゃんやハイドロマンさんはどうなったんですか！？」
梨子「あれから何も教えてくれないじゃないですか……」
鞠莉「んー……まあ、いっか。教えてあげる」
梨子「お願いします……」
鞠莉「ちかっちは無事に家に帰って学校にもう行ってるわ。梨子がいないせいでAqoursの練習ができないってvery angry」
梨子「そ、そんな……うぅ、やっぱり早く帰りたい……」
鞠莉「ハイドロマンももう無力化に成功して、いまはマリーのところで保護してるわ。あなたに会わせるわけにはいかないけど」
梨子「なんでですか？」
鞠莉「相手の希望よ」
梨子「そんな……」
鞠莉「ふふ、それほど不安に思う必要はないから安心して？」
梨子「……はあ……」
梨子「というか、やっぱりのんびりしてる暇ないですよ！ 私、早く戻らないと……スパイダーリリーがいないと街は……っ」
鞠莉「ふふ、それはno problem♪」
梨子「え……？」
鞠莉「今頃きっと────」 〜沼津市〜
女性「ちょっ……や、やめてください！」
「オイオイなんだよなんだよ！ そんな格好しといてやめてはねぇだろ？」
女性「こ、これはあなたが今破いて……！」
「ぁあ〜？ 何言ってるか分かんねえ」
女性「そんな……っ、だ、誰か！ 誰か助けて！」
「あー無駄無駄。ここ、人通り少ないし。ま、いっぺんヤられてくれや。お望みならヤク漬けにでもしてやっからよ」
女性「っ……そん、な……」
「そんじゃ楽しくいきましょ────」
「アクアキーーーック！！」
「あ？」
ﾄﾞｺﾞｯ!!!
「ぅぐぼぇっ……！！？」
女性「きゃっ！？」
ｺﾞﾛｺﾞﾛ
ｶﾞｼｬｰﾝ! 謎の人物「女の人に乱暴なんてよくそんなことができるなぁ……そんな悪事はこの私が許さないよ！」
「げほ、っぐへっ……て、てめぇが噂の蜘蛛女か……？」
謎の人物「クモ……？ あ、梨子ちゃ……んん、スパイダーリリーのことか！ 違う違う、私はスパイダーリリーじゃないよ！」
「あぁ？！ んなこたどうだっていいんだよぶっ殺してやるだけだからよオイ！」ﾁｬｷ
謎の人物「おわ、ナイフだ」
「ヘッ！ ぶっ刺してそのマスクの下の汚ねえツラでも拝んでやろうかよ！」ﾌﾞﾝｯ!!
ﾋﾟｼｬ
「……は？」
謎の人物「あー……あはは、物理攻撃は効かないんだよね私……」
謎の人物「……ほら、水だから」ﾊﾞｼｬｯ
「は、は……はっ……？」
謎の人物「ま、そういうわけだから覚えててよ私のこと！ 新米ヒーローだから！」ﾊﾞｷｯ!
「ぁふん……」ﾊﾞﾀﾘ ・・・
女性「…………あ、あの」
謎の人物「あ、怪我はないですか？ 遅くなっちゃってごめんね！」
女性「ぁ……///」ﾄﾞｷｯ
謎の人物「あれ……もしもーし？」
女性「あ、ぇと……その、……へ、平気です！」
謎の人物「そっか！ よかったよかった！ 初仕事で怪我させてたら怒られるとこだったよ〜」
謎の人物「ヨーソロー！ それじゃあ私、これからパトロールがありますので！」
女性「は、はい！ ……あの、お名前を……」
謎の人物「あ、そっか。名前……覚えてもらわなきゃだもんね」
謎の人物「私の名前は……」
アクアガール「アクアガールであります！」 スパイダーリリー
第3話 「昨日の敵は今日の友だち」おしまい おつー
ハッピーエンドでよかった… Aqoursの名前を持つ新ヒーロー誕生ですな 〜ホテルオハラ・地下研究所〜
「あの子、うまくやってるみたいです。さっきから楽しそうな報告が何度も」
鞠莉「そうね……あなたのカウンセリングのおかげだわ。ナターシャにそんな特技があったなんて」
「人をうまく乗せるのは得意なので」
鞠莉「ふふ、有能なメイドを持って嬉しいわ。たまにやらかすけど」
「あれはお嬢様の指示が悪いですが」
鞠莉「……口も減らないけど」
鞠莉「それで……ナターシャ」
「はい」
鞠莉「今回の件で理解したわ。きっと世界にはハイドロマン……今はアクアガールだけど、のように特殊な能力を持った犯罪者がいると思うの」
「そうね。私の記憶にもそれらしいものが」
鞠莉「あら……あなた、記憶が戻ったの？」
「戻ってないわ。ただ、聞いたことがあるような気がするだけ」
鞠莉「……不確定要素すぎるわね。でもまあ、そういうものなんでしょうけど」
鞠莉「とにかく、あの場で私は役立たずだった」
「そうですね。あの子にとっては戦いにくかったでしょうね」
鞠莉「それで考えたのよ」
鞠莉「私も戦えるようになれば、ってね」
「と、言うと……なに？ 超人にでもなるつもり？」
鞠莉「まさか。私の特技はお金とモノづくりよ？」
「……まさか」
鞠莉「ええ、アーマースーツでも作ってみましょうか」
「…………」
鞠莉「それでカラーリングなんだけど、やっぱりマリーのカラーでヴァイオレットは入れたほうがいいわよね？！」
鞠莉「スタイルは女性的にキュートで美しく……で、武器はスマートなスーツに収められるよう極限まで小型化して……」
「赤と金はどうかしら。目立たなくていいかも」
鞠莉「えー……」 おつおつ、王道でとても良い
ナターシャさんもなんかありそうだな 乙！
スパイダーリリーとアクアガールの共闘も見てみたい AIに喋らせるとNGワードになる説…
AIにも名前つけなきゃいけないかな…？ 更新ありがとうございます！
ハッピーエンドでよかったぁ 肋が折れてる状態で人ふたり抱えるリリーさんぱねぇ
何はともあれハッピーエンドでよかった バッドエンドにならなくて本当に良かった…
ところで監督？主役のおらちゃんの活躍はまだずら？ 小原家側の対応の不味さにヒヤヒヤしっぱなしだったがちゃんと救われる展開で良かった……
続きも楽しみ 乙です
これからキャラをどう動かしていくのか気になる 〜沼津市〜
ﾊﾟｼｭｯ
ﾋｭｯ
ﾊﾟｼｭｯ
ﾋｭｯ
リリー「みなさんどうも！ 私はスパイダーリリー」
リリー「今日も沼津の平和を守るスパイダーガール！」
リリー「ちょっと前までハイドロマンさんっていう強い人と戦ってて、その怪我で動けなかったんだけどもう平気！」
リリー「今日からまた街の平和を守るために働きますっ！」
リリー「さてさて、今日の沼津はどんなパーティを開催してるのかな────」ﾊﾟｼｭｯ
ﾋｭﾝｯ!
・・・
ｽﾀｯ
リリー「……えっと」
「」
リリー「暴行の痕……転がったナイフ……破り捨てられた……布？」
リリー「見るからにこの人がやって、誰かに懲らしめられた風だけど……」
リリー「もしもーし」ﾕｻﾕｻ
「ふがっ……」
リリー「どーも？」
「う、うわぁ！ 化け物！」
リリー「むっ……私、化け物じゃなくてスパイダーリリーなんですけど！」
「た、助けてくれ！ 水の化け物に襲われたんだ！」
リリー「……水の化け物？」 「そうなんだよ！ 俺がひっかけた女と遊ぼうとしてたらよ、なんか訳のわかんねえ女が出てきて俺をボコっていったんだよ！」
リリー「……ひっかけた女」
「そいつにも逃げられちまったみてえだし……ツイてねえよ！」
リリー「……あなたふつうに悪い人じゃないですか！」ﾊﾟｼｭｯ
「うげっ！？」ﾊﾞｼｯ
リリー「その話聞いて私が味方する訳ないでしょ！？ 盗人猛々しいじゃないけど、やっぱり悪人は性根まで悪人だよねほんと！」ﾊﾞｼｭｯﾊﾞｼｭｯ
「な、まっ！ 動けなっ……ンでだよ！」
リリー「警察に通報しとくからね！ 2時間は自力じゃとれないからそれ！」
「フザケンナおい！ 待てっ！」ｼﾞﾀﾊﾞﾀ
リリー「はいはいおやすみ」ﾊﾟｼｭｯ
ﾀﾞｯ
ﾋｭﾝｯ!
ﾊﾟｼｭｯ
ﾋｭｯ
リリー「……水の化け物に襲われた？」
リリー「まさか、まさかね……」 リリー「だってハイドロマンはもう悪さはしないって鞠莉さんが言ってたし……」
リリー「でも確かに、あれからハイドロマンさんは見てない……けど、ハイドロマンさんの正体も知らない……」
リリー「鞠莉さんとナターシャさんは知ってるみたいだけど……なんで私には教えてくれないのかな……」
リリー「……わからない」
リリー「でももしかしたら今日、また会えるかもしれない……パトロール、続けてみよ！」
ﾋｭﾝｯ!
ﾊﾟｼｭｯ
ﾋｭﾝｯ!
リリー「さあ沼津のみんな！ 困ってたら手をあげて！」 〜数時間後〜
リリー「……なんで今日は事件が起きてないの？」
リリー「というか、今思えば私がお休みしてる間も大きな事件が起きてなかった……」
リリー「ううん、まさかそんな……お隣の三島でも事件が起きてないなんて……」
リリー「……まさか」ﾊﾟｼｭｯ
ﾋｭｯ
リリー「やっほーみんな！ スパイダーリリー復活だよー！」
リリー（とにかく声かけとパトロール！） ・・・
リリー「あ、あの路地！ 暴漢の御用達の……よし！」ﾋｭﾝｯ!
ｽﾀｯ!!
リリー「こんばんはみなさん！ 今日も元気に……」
リリー「……え？」
昏倒する暴漢ズ『』
リリー「……も、もう倒されちゃってる……！？」
リリー「いったい誰が……！」
女性「け、警官さんこっちです！！」
リリー「！？」
女性「ぁ……えっと、スパイダーさん」
リリー「あの、あなたもしかして！」
女性「は、はい……ここでこの人たちに襲われて……」
リリー「誰が助けてくれたの！？ 教えて、ねえ！お願い！！」
女性「は、はひぇえ……」 女性「え、えっと……その、別の人が助けてくれたんです！」
・・・
リリー「結局それしか分からなかった……」
リリー「どうなってるの……？」
リリー「いつもなら鞠莉さんから事件や犯罪の情報が通信でもらえるのに……ナターシャさんからも何もないし……」
リリー「鞠莉さんの手助けがなかったときだって、こんなことはなかったよ」
リリー「……ううん、私、何を間違えてるんだろう」
リリー「平和が一番なんだから、それを履き違えちゃダメ」
リリー「私だけじゃない、私以外にも街を守ってくれる人がいる……それって、平和に近づく大きな一歩だよ」
リリー「私と警察と、その謎のヒーロー……みんなで力を合わせればきっとこの国から悪事が……」
「いやー……救けた救けた！ ヒーロー活動って気持ちいいな〜」ﾃｸﾃｸ
リリー「……ん？」
「さてさて……夜食にヴィンセントのチーズハンバーグでも食べに行こっと！」ﾀｯﾀｯﾀｯ
リリー「ちょっと待って！」
「ほぇ？」 リリー「あの、あなたもしかして……その、そのコスチューム……」
「え、えっと……りk……じゃなくて、スパイダーリリーさんだよね！」
リリー「うん、そうですスパイダーリリー！ ……は、よくて、あなた！」
「はい！」
リリー「……もしかして今日、というか私がいない間、街を守って……くれてたり……？」
アクア「あ、うん！ つい最近ヒーロー始めました、アクアガールです！ ヨーソロー！」
リリー「よ、よぉそろ……？」
アクア「うん、本名は渡辺曜っていうんだけどね」ﾇｷﾞﾇｷﾞ
曜「知ってる？ 浦の星でスクールアイドルしてるんだけど〜」
リリー「」
曜「あれ？ あのー……」
曜「あ、そっか……梨子ちゃん知らなかったよね入院してたし」
曜「そう！ 私が今日も昨日も一昨日も困った人を救けて、悪い人を懲らしめてた新米ヒーロー！」
曜「曜ちゃんもといアクアガールであります！」ﾋﾞｼ
リリー「」
曜「……おーい梨子ちゃーん？ 息してる？」
曜「まずい？ マスクとるよ！？」ﾊﾞｯ
梨子「……」
梨子「わ、え、ちょっ！？ な、なんでマスク……わ、っ！ よ、ようちゃっ！？ え、なんっ……どういうことーー？！！」
曜「あ、あはは……とりあえずご飯食べない？ 美味しいお店あるんだ！ 時間が時間だけど、まあバレないでしょ！」
梨子「え、ぇえぇえ〜！？」 〜ヴィンセント〜
曜「こっちこっち〜」
梨子「う、ぅん……」
「ご注文はお決まりでしょうか？」
曜「手ごねチーズハンバーグとライスのセットで！」
梨子「ゎ、えと……わ、私は……モッツァレラチーズとトマトソースのパスタを」
「かしこまりました」
曜「……ね、大丈夫でしょ？」
梨子「ぅ、うん……って、そうじゃなくて！」
曜「あー、うん、私のことだよね」
梨子「うん……その、なんでこんな危ないことをしてるんですか……？」
曜「……それは、でも梨子ちゃんも同じじゃない？」
梨子「……私のことは今はいいの。曜ちゃんのこと……です」
曜「えっと……説明が難しいな……」
曜（ナターシャさんにはまだ梨子ちゃんには伝えないようにって言われてるし……）
曜（……でも、友達に隠し事はしたくない！）
曜「長い話になるけど……聞いてくれる？」
梨子「……うん」ｺｸｺｸ 梨子（曜ちゃんの話してくれた内容は……鉄パイプで殴られた時よりも重く強く私の頭を打った）
梨子（先月の海での事故から、その身体に起きた異変……暴走）
梨子（それは、つまり────）
梨子「……ハイドロマンさんは、曜ちゃんだった……ってこと、だよね」
曜「そうだよ」
梨子「曜ちゃん……曜ちゃん……っ」ｶﾞﾀｯ
曜「わ、わっ！ どうしたの……お、落ち着いて……ほら、みんな見てるから……」
梨子「ぅ、ぅぅっ……」
梨子「ごめん、ごめんなさい……私、私……っ」
曜「……梨子ちゃんは悪くないよ」
梨子「でも、私っ……曜ちゃんのことを、敵だと思って……倒そうと、私……っ」
曜「……」 曜「でも、私は梨子ちゃんに救けられたからここにいるんだよ？」
梨子「ぇ……」
曜「梨子ちゃんが私を止めようとしてくれた。それで、千歌ちゃんが声をかけてくれた。だから私は止まれた」
曜「二人のおかげで、私は元の私に戻れたんだ」
曜「……ほんとに、最後……ギリギリでだけどね」
梨子「……そういえば、私……あのとき、ミサイルの爆発から千歌ちゃんと鞠莉さんを守ろうとして……」
梨子「……鞠莉さんからは、誰か知らない人に救けられたって聞いたけど、それって」
曜「あはは……まあ、ええと……お恥ずかしながら……今思えば、それが私の初めてのヒーロー活動だったのかも」
梨子「……曜ちゃん」
曜「それからナターシャさんに声をかけられて、ゆっくり話して……落ち着いて」
曜「やっと自分の身体のことも受け入れられるようになったら、じゃあこの身体のせいで街を壊したりみんなを傷つけたり怖がらせたりしたから」
曜「なら……次はこの力でみんな守ろうと思った」
曜「……梨子ちゃんみたいに」
梨子「っ……」
曜「にひひっ！ それに二人なら、これからどんな敵が来てもお互い救けあえるでしょ？」
梨子「よ、ぉちゃん……っ」
曜「にひひっ！」 梨子「だ、めだね……私、こんな……泣き虫だったら、っ……ヒーローなのに……っ」
曜「ヒーローの前に女の子で、子供でしょ！」
曜「私もまだまだナターシャさんに診てもらわないといけないし、一緒だよ」
曜「……だから、これから私たちで一緒に守っていこ？」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
梨子「……ぅん、うんっ！」ｺﾞｼｺﾞｼ
「お待たせいたしました」
曜「ごはんも来たところだし、まずは腹ごしらえだよ！ 腹が減っては戦はできぬってね♪」
梨子「……ふふ、そうですね……うん、いただきますっ」
曜「あ、そういえばお財布持ってないんだった」
梨子「！！？」 〜ホテルオハラ・研究室〜
鞠莉「……自分から話したの？」
曜「話しました……」
鞠莉「はあ……」
梨子「えっと……」
鞠莉「まあ、いいわ。ゆくゆくは話さなくちゃいけないことだったしね」
鞠莉「一番心配だった、話したことで梨子がリリーをできなくなること……も、不安はなさそうね」
梨子「はい、大丈夫です」
鞠莉「ん！ じゃあこれからもマリーはsupportを続けるからよろしく！」
ようりこ『はい！』
鞠莉「それで、曜」
曜「？」
鞠莉「ナターシャが戦闘訓練だって」
曜「訓練！？」
鞠莉「ええ」
曜「それって修行ってこと？」
鞠莉「まあ、そういう感じ？ 曜の戦い方って、身体が水なことを活かして特攻って感じでしょ？」
曜「えっと……確かにそうかも。ケンカとかしたことないし、なんかこう、もうとにかくいけーっ！て感じで」
鞠莉「でしょ？ powerも前のあなたと変わってない。だからちゃんとした戦い方をナターシャから教えてもらいなさい」
曜「はぁい……って、じゃあ梨子ちゃんは？ 梨子ちゃんも普通の高校生だよ？」
梨子「ぁ……そういえば、私、修行はしたことないかも……」
鞠莉「梨子はクモのpowerが備わって強くなってるし、危機察知能力で大抵の攻撃は避けてるよね？」
梨子「そ、そうですね……どんな程度の危険かは分かりませんが、なんとなくビビッと来て……身体が自然に回避してる……っていうか」
曜「ずるーい」
鞠莉「曜の運動神経の良さも呆れたものだけどね……それだけで暴漢たちをノしてるんだから」
曜「えへへ」
鞠莉「……とにかく、あなたはちゃんと戦えるようにすること。いいわね？」
曜「ヨーソロー！」 スパイダーリリー
第4話「スパイダーリリーはアメリカのヒーローでアクアガールは日本のヒーローって感じでイメージしながら動かしていきたい所存」
この短さで4話とか言うのはどうかとは思うけど4話ですお許しを 何かで見たぞスパイダーリリー
確かssの題名挙げたら>>1が内容を書いてくれるってやつ おつです
曜ちゃん強化されてなかったんかい… 流石五輪強化選手は違いますな 水の質量に任せて殴ると強いよ！って感じです
ここで言ってるのは純粋な戦闘技術と膂力の話
詳しくは次のお話で もう少し待ってて…
今日からは忙しさは少しマシになるはずなので
今週中には必ず 無理して毎日更新して死にかけてるあの作者のようにはなるなよ 次のヴィランを考え始めると
もうAqoursと関係ない人がヴィランになり始めるから、ラブライブSSとしてこれはどうなんだろうと思い始めてしまった 話の広げ方が多彩なのは良いことだと思う
なんにせよ楽しみにしてるから好きに描いてくれい ナターシャとかいうオリキャラ出てる時点で今更って感じもあるか…
ありがとうございます
そんな感じで考えてきます！ オリキャラというかラブライブにいないキャラクターかな…
明日進めます いや、オリキャラだったのかあと思って
てっきりかしこいかわいい人の偽名かと… ナターシャはブラック・ウィドウとしか思っとらんかった
別にオリキャラ出してもマーベルのキャラ出しても全然良いと思うけどね
読んでる人はマーベルファン多いだろうし マーベルもアメコミも知らんけどそこからそのまま持ってくるよりはオリキャラの方がいいな オリキャラでも曜ちゃんみたいに今後もメインキャラとして登場するんじゃなく、一話限りのヴィランって感じならいいんでない？ 個人的には書き手側がやりやすいようにやってくれたら問題ない
楽しみにしてる 仕事終わって今やっと自由な時間になったけど明日もお仕事ゆえ今日はちょっと無理ずら…
明日こそやれるように少し書き溜めしておきます… 〜ホテルオハラ・訓練場〜
アクア「アクアキーック！」ﾌﾞｩﾝ!!
「踏み込みが甘いわ。もっと相手を殺すつもりで来なさい」
アクア「でもそんなことしたら死んじゃうであります！
「大丈夫よ。人間、そんな簡単に死なないから」ﾊﾞﾁﾊﾞﾁﾊﾞﾁ
アクア「そっちのビリビリする棒のほうが死んじゃいそうだよ〜！」
「ふふ、お気に入りなの」
アクア「むむ……負けないぞー！」ﾀﾞｯ!! 鞠莉「……戦闘スタイルはキック主体。あなたに似てるわね」
梨子「そ、そうですか……？ 私は、でもウェブで引き寄せて……って戦い方ですし」
鞠莉「引き寄せるだけじゃなくて、ウェブで捕まえた敵に飛びかかって蹴り飛ばしてるじゃない」
梨子「……言われてみれば、確かに」
鞠莉「ふふ、スイングキックはあなたの得意技じゃない」
梨子「いやぁ、そんなことは……」
梨子「……そういえば、曜ちゃん……私に救われたって言ってたんです」
梨子「私、なにもできなかったのに……」
鞠莉「そうかしら？ でも梨子は曜のHeartを動かした。なにもしてないわけじゃないわよ」
梨子「……できてませんよ。ハイドロマンさんが曜ちゃんだと知ったのはついさっきだし、むしろ爆発に巻き込まれて海に落ちた私たちを助けてくれた……」
鞠莉「でも曜はあなたとちかっちに救われたって言ってたよ？ ちかっちの声と、誰かを助けようとするあなたの姿に目を覚まさせられたって」
梨子「……」
鞠莉「事故の結果に得た力だけど……それを人のために使うと決めたのはあの子自身なの。まっすぐな瞳で言っていたわ……何処かの誰かさんみたいに」
梨子「……///」
鞠莉「ふふ、あの姿を見て、あなたみたいに誰かの助けになりたいと思ったんじゃないかしら」
梨子「……はい。だと、嬉しいです」 梨子「でも、どうして修行なんて……？」
鞠莉「さっきも説明したでしょ？ 曜の力はwaterになること。そしてごく一部のwaterを操ること」
鞠莉「前のハイドロマンだって川のwaterを吸収、操って自分の身体にしていたでしょう？」
梨子「……はい」
鞠莉「waterになれるから基本的にdamageは受けないし、身体の一部をwaterに変化させて相手を溺れさせることができる」
鞠莉「けど、純粋な戦闘力でいえばそんなに高くはないの」
梨子「そうでしょうか……？ 私、ハイドロマンさんと戦った時はかなり大変で……」
鞠莉「あれはwaterの質量があったからよ。ある程度のwaterを吸収すれば戦闘力は上がるわね」
鞠莉「でも常に周りにwaterのある状況で戦えるわけじゃないでしょう？」
梨子「それは……たしかに」
梨子「でも、それなら水を携帯しておけば」
鞠莉「確かにある程度の戦闘力は補える。けど、持ち運べるwaterの量にも限界あるでしょ？」
鞠莉「だから、それがなくても戦えるようにっていう修行。もしくは能力の強化ね」
梨子「強化……」
鞠莉「もし空気中からwaterを集められたら……最強だと思わない？」
梨子「空気中から……！ それは、すごいです！」
鞠莉「フフン♪ 実際可能かどうかはやってみなくちゃ分からない……けれど、試してみる価値はあると思うの」
梨子「そうですね！ それで曜ちゃんが傷つくことが少なくなるなら……っ」 アクア「せいやーっ！」ﾌﾞﾝｯ!!
「勢いが足りない」
アクア「むーっ！」
「あなた、身体の水を操って攻撃はしないの？」
アクア「身体の水……？」
「水といえば高圧水流で物体を切り裂くウォーターカッターがあるじゃない」
アクア「おお……出来たらカッコいいかも！ 必殺技みたい！」
アクア「名前はどうしようかなぁ……アクアカッター？ アクアソード？ うーん……悩むなぁ……」
「まず、それが出来るかどうかでしょう？」
アクア「あ、そうですね！ ……んと、こうかな……」ﾊﾞｯ
アクア「貫手の指先に水を集めて……かためる……？」ｼｭｵｫ…
アクア「むぐぐぐ……」
アクア「えいや！」ﾋﾟｭｰ…
ﾁｮﾛﾁｮﾛﾁｮﾛ……
アクア「あ、あれ……？」
「水の圧縮ができてないわね。もっと加圧して、小さな穴から水を高速噴射させるように……」
アクア「ぜ、全然わかんない……」 鞠莉「ふふ、必殺技だって。おこちゃまね」
鞠莉「でもせっかく水になれるんだし、それを活かした技があればいいのかも」
梨子（必殺技……いいなぁ）
鞠莉「梨子？」
梨子「あ、いえ」
鞠莉「まあ、曜の修行は私たちに任せておいて？ あなたはパトロールに戻らないと」
梨子「あ、はい。そうですね」
鞠莉「ちょうど西伊豆スカイラインを暴走してるおバカさんたちがいるから、懲らしめてきてくれる？」
梨子「あんな怖い道で……」
鞠莉「ほらほら、ヘリ出してあげるから」ｸﾞｲｸﾞｲ
梨子「わ、わかりましたっ！」
梨子「……曜ちゃんとコンビを組むの、楽しみにしてます」
鞠莉「そのうちトリオになるかもね」
梨子「……へ？」
鞠莉「なんでもないわ！ さあスパイダーリリー、出動よ！」
梨子「わ、私そんな感じでいつも動いてないですー！！」 〜2ヶ月前〜
「お前が事故など起こすからだぞ！！」
「本当に申し訳ありません！！」
「謝って済む問題じゃない！ 我々の研究成果だぞあのクモは！？」
「本当に、本当に……っ」
「もうお前の顔など見たくない……クビだ、もう二度と顔を見せるな……」
「そ、そんな！ 待ってください、わたしには家族が……」
「黙れ！ お前は研究チームから除名だ！」ｶﾞﾁｬｯ
「そんな、そんなっ……ぁあ、ぁああぁぁ……」
「失せろ……ぶっ飛ばされんうちにな」ﾊﾞﾀﾝ
「……おのれ……っ」
「先週だ……！ 遺伝子を組み替え、放射能に適応するクモを作り出したというのに……」
「あいつが移送中に事故を起こし、逃がしたから……！」
「おのれ、おのれ……！！」
「あのクモの遺伝子を取り込ませたラットにどんな変化が起きたかも忘れたのか！？」
「まるでクモのように壁を這い、天井を歩いていたんだ！」
「はは、はははっ！ そうだ、我々は生物に別の生物の特性を与えることに成功していたんだ！」
「なのに、なのにだ！！ クソッ！」ﾀﾞﾝｯ!
「私のたったひとつの研究成果を……っ」 ・・・
「博士……もう諦めましょう。あれから何度やっても成功しないじゃないですか！」
「黙れ……！ あれは私の夢なんだぞ！？ お前も同じように言っていたじゃないか、翼の生えた人を生み出すのが夢だと！」
「ですが、あのクモがいなくなってしまったら……」
「また作ればいいだけだ！ 一度は出来たんだ……それなら二度目だって出来るはずなんだ！」
「博士……」
「そうだ、今度は龍を作ろう！ 蛇に鳥の特性を掛け合わせるんだ！」
「……」
・・・
「頼む、あの資料を読んだだろう！？ あれなら可能なんだ……他の生物に違う生物の特性を掛け合わせ、空想上の生き物を作り出すことが……！」
『ええ読みました。読んだ上で言わせてもらいます、それは全くの夢物語だ。あり得る話ではない』
「本当なんだ！ 私はラットにクモの特性を与えることに成功したんだ！」
『ではそのラットを見せてください』
「そ、れは……っ……移送中に、事故で……」
『口ではなんとでも言えます。すまないが博士、支援はできないよ』
「ああ待って、お願いだ……！！」
ﾌﾟﾂﾝ
「くっ……」 「クソ……クソッ！！」
「なんで分かってくれないんだ……！ この私の、素晴らしい研究を！」
「可能なんだ……私は、私は……」
「……博士」
「あぁ、ああ……君か……君ならわかってくれるだろう？ 同じ研究チームだったもんな、一緒に見ていたじゃないか！」
「ええ、博士……でも諦めましょう？ もう無理です……」
「な……なに……？」
「私はこの研究から降りさせていただきます」
「なっ……！！」
「すみません博士」
「っ……なんで、どうしてだ！」
「今のあなたは病んでいる！ 過去の成果に取り憑かれ、新たなものを見ようとしない、研究者としてそれはどうなんです！」
「私は病んでなどいない！ 正常だ！ 研究者として、素晴らしい研究成果を再現しようとしているんだ！」
「あれは唯一無二だ！ 私以外にあれを成し得る者などいない！」
「それが病んでいるというんです！」
「ああわかった、もういい。君は帰れ、二度と私に顔を見せるな！ 私一人でやってやる、私がノーベル賞を受賞する姿をテレビの前で眺めているがいい！！」
「……バカな人ですよ、あなたは」
ﾊﾞﾀﾝ
「……一人でもやってやる。必ず、私は……」 ・・・
「……ぶはっ」ｶﾗﾝｶﾗﾝ
「くそ……なんなんら……どいつも、こいつも……ひっく」
「くひぃ……げふ」
「へへ……わたしはぁ……つくってたんだぁ……」
「くもをぉ……らっとと、かけあわせてぇ……」
「ほんとにやってたんだぞぉ！！」ﾌﾞﾝｯ!!
ｶﾞｼｬﾝ!
ﾊﾟｯ
《ここ数年で全国的に増えつつある犯罪を撲滅するため、警察は自治体と協力し、巡回などの犯罪撲滅運動を行ってまいりました》
「んぁ！？ にゅーすかぁ？」
《その甲斐もあり、年々の犯罪率は減少傾向にありましたが……この半年間における犯罪率が飛躍的に高まっているとの情報を警察が発表しました》
《こうした犯罪率の伸びを受け、警察は地域の住民に対する呼びかけや、巡回を増やすなどして対策を設けています》
《しかし、それでも人の目には限度があり、犯罪率を大きく下げることはできていません》
《殺人、強盗など、悪質な犯罪が増えている一方で、静岡県沼津市で謎の人物が見かけられているというのです》 《このVTRをご覧ください》
《これは事件の起こった銀行を利用していた女性のカメラ撮影によるものですが……画面左側、銃を持つ男たちの前に現れた謎の人物》
《顔は……何かマスクやお面のようなもので隠れていますが、音声が残っています》
『やあどうもこんにちは。日も高いうちから大勢で銀行にツアー？ でもその服暑そう、全身真っ黒で……わあわあわあ！ 銃は人に向けちゃダメだって教わらなかったんですか？！』
『ちょっとちょっと！ 銀行強盗なんて最近流行らないですよ？ 今のトレンドはATM……って、危ないでしょ！ 撃たないでって！』
『わ、っとと！ 私じゃなかったら穴だらけになっちゃってるところ……みんな大丈夫？ 怪我してる人いな……さそうね。よかった』
『ああもう、こんなことして人生棒に振っちゃって大丈夫なの？ 地道にコツコツ働いた方がいいと思うんだけど……っと！』
《謎の人物は男たちの発砲にも物ともせず、次々と男たちを撃退。謎の糸のようなもので捕縛してしまいました》
《その後、間も無く到着した警官隊に犯人たちを引き渡すと、そのままどこへともなく立ち去ってしまったとのことです》
《この声から、この人物は少女のように思われますが、依然としてその正体はつかめておりません》
《専門家の間では、『CGではないか』、『彼女は現実に現れたヒーローだ』、などと意見が分かれており、真偽のほどは未だつかめておりません》 「……これ、は」
「これは……クモだ」
「クモだ、クモだ！ うはは、はははは！ やはりそうだ、これは……私の生んだあのクモではないか！？」
「沼津……ああ、思い出したぞ。あの使えない奴が事故を起こした場所じゃないか」
「はは、ははははっ！！ やはり私の研究成果は……生きていた！ そしてあの少女がそれを得たのだ！」
「ああ、ああ……やはりそうだ、私の研究成果は夢などではない……！」
「そうか、そうか……人間とかけあわせてしまえばいいのだ……！ ニュースの女は慈善事業のようだが、ははは」
「これをやってのければ、きっとスポンサーだってつく！ 私を蹴り落とした奴らだって手のひらを返すに違いないぞ！」
「あぁ、ああ！ そうだ……そうだ！」
「……まずはこいつのニュースを全て集めなくては。最終的にはこいつ自身を研究し、クモの特性を持った人間を複製する……」
「そこからあらゆる生物の特性を持った人間を生み出すのだ……！ 鳥のように大空を自由に飛び、魚のように水の中で生きる究極の生物を……！！」 おつおつ
リリーの身の安全もだけど、マリーの伏線が怖いなぁ いつも申し訳ないです…
もう少しお待ちくださいませ もはや更新確認して保守するのが日課になってきてる
保守 〜浦の星女学院〜
梨子「……zzz」
千歌「りーこちゃん」
梨子「ほぇっ……ぁ、ん……はぃ……」
千歌「なんだかお疲れ様だね？」
梨子「……そんなことない、ですよ」
千歌「ほんとかなぁ？ ね、よーちゃ……」
曜「zzz……」
千歌「……曜ちゃんまで寝てる」
梨子「ふふ……曜ちゃんも疲れてるみたい」
千歌「むー」
千歌「練習きつい？ 果南ちゃんに言おっか？」
梨子「だ、大丈夫だよ！ ラブライブまで時間もないんだもん、休んじゃいられないよ」
千歌「でも、それで身体を壊したら……」
梨子「それは千歌ちゃんだって……同じでしょ？」
千歌「チカはへいきなのだ！ だってリーダーだもん！」
梨子「……リーダーだからこそ、だよ」
千歌「むう」
梨子「千歌ちゃんはリーダーだけど、みんなで力を合わせてここまで来たんだから。千歌ちゃん一人で頑張りすぎてもダメなんです」
千歌「おおー、梨子ちゃんいいこと言うねえ」
梨子「そ、そうかなぁ……？」
千歌「うん！ 特に最近、かっこいいなって思うこと多いもん」
梨子「な、ないないないです！ そんなこと……」
千歌「ふふ、じゃあチカだけが知ってるってことだね！」
千歌「曜ちゃんの秘密に加えてふたつめだ。にしし」
梨子「曜ちゃんの……？」
千歌「あ、な、なんでもない！ トイレ行ってくる！」ﾀﾞｯ
梨子「あっ」
梨子「……」 梨子「……曜ちゃんの秘密、なら」
梨子（私たちの秘密こそ……千歌ちゃんには話せないよ）
梨子「……ね、曜ちゃん」
曜「……zzz」 〜夜・沼津〜
アクア「っしょ！」ｽﾀｯ
リリー「だいぶ使いこなせるようになってきたね！」
アクア「うん！ 修行の成果、出てるかも！」
────「あなた、クモの子みたいに何か素早い移動手段を考えたほうがいいわよ」
アクア「ってナターシャさんに言われたから考えたけど……いい感じだよ！」
リリー「水を手や足から逆噴射して大ジャンプ……一定どれだけの高圧噴射なんだろう」
アクア「でも、あんまり使いすぎると身体縮んじゃうんだよねー」
リリー「……ち、縮む？」
アクア「うん！ ほら、私の身体の水で飛んでるわけだから」
リリー「ってことは……使うほど身体が小さく？」
アクア「そーゆーこと！」
リリー「大丈夫なの、それ……？」
アクア「まあ、ボトルに入れて携帯してるからある程度は平気だし、近くに狩野川もあるから！」
リリー「うーん……いざという時に困ったりしちゃいそう」
アクア「ま、そこは気合でなんとかするし！ 無理な時は梨子ちゃんに助けてもらうから！」
リリー「ちょ、名前！」
アクア「おっと……」 リリー「もぉ……気をつけてね？」
アクア「わかったでありまーす」
リリー「……もぅ」
リリー「さて、パトロール再開……」
ｳｰ
アクア「サイレンの音であります！」
リリー「そうだね。またいつものカーチェイスかな？」
アクア「いつものって……」
リリー「暴走族とか、銀行強盗とか……飽きない人たちなの」
『ハロー！ リリー、アクア、聞こえる？』
リリー「はい鞠莉さん！」
アクア「おぉ、初めての通信！ バッチリであります！」
『通信良好のようね！ もう聞こえてると思うけど、いつもの銀行強盗よ！ 夜中の銀行に忍び込んでお金を盗んだの』
リリー「飽きない人たちですね……」
『まあ別のグループだけど』
アクア「毎日強盗しなきゃいけない使命感でもあるのかなぁ」
リリー「ふふ、まあ、困ったさんたちは私とアクアガールで懲らしめちゃいますから！」
『ええ、よろしく！』
リリー「はい！ 行きましょうアクアガール！」
アクア「ヨーソロー！」 ﾌﾞｰｰﾝ!!
ｳｰ!!ｳｰ!!
「オイオイ！ やべえってパトカーめっちゃ来てんじゃん！」
「大丈夫だっての！ こっちはアメ車様だぜ！？ 日本車なんぞミラーの点にしちゃるわ！」
「お、おお……！ あとはどこまで逃げるかだな！」
「どっか適当な飛行場まで逃げて……適当な飛行機でもパクって適当な国に高飛びよ！」
「運転出来んのかよ！？」
「車と同じだろ！ ヨユーヨユー！」
「すげー！ よっしゃあ行けー！」
ｳｰ!!ｳｰ!!
ｶﾞｼｬﾝ!
「ちょい！ ぶつかってんじゃねえか！」
「これくらいで追いつかれたりしねえよ！ モンスターマシンだぜ？！ 全部ぶっ壊しても壊れやしねーよ！」
「だったらスリップとかは怖いんじゃない？ こんなに速いんだし」
「「あ────？」」
リリー「やあ」
「「げ────！！」」 「振り落とせかっちゃん！」
「やってら！」ｸﾞｯ
ｷｭﾙｷｭﾙｷｭﾙ!
リリー「わ、ちょっと落ちたら危ないでしょ！ なになに、警察署にUターンする気になったの？」
「するかよ！！」
「落ちろクモ女！」
リリー「あ、ひどいこと言いましたね今？ アクアガール、やっちゃってください！」
アクア「ヨーソロー！」
アクア「道路一面水浸しになってるのにそんなにハンドル切ったら滑っちゃうでしょ！」ﾊﾞｼｬｧｧｯ!!
アクア「アクアガールの必殺技！ 水浸しで滑っちゃえ攻撃！」
「な、なんだこれ！？ ハンドルが取られ────」
ｷｭﾙｷｭﾙｷｭﾙｷｭﾙｷｭﾙｷｭﾙ
ｶﾞｼｬｰﾝ!
リリー「危ないから脱出しましょーね！」ﾊﾟｼｭﾊﾟｼｭｯ
ﾊﾞｯ
「「うわぁぁあ〜！！？」」
リリー「電柱でぶら下がっててー！」 ｶﾞｼｬﾝ!
ｶﾞｯ! ｺﾞｯ!
アクア「やば！ 車が転がってビルに突撃しちゃう！」
「きゃぁぁあーーー！！」
ﾊﾟｼｭﾊﾟｼｭｯ!!
「ぁ、────……れ？」
ｷﾞｼｯ…ｷﾞｷﾞｷﾞｷﾞｷﾞｷﾞ……
リリー「っと……間に合ってよかった。大丈夫ですか、仕事帰りのお嬢さん？」
「は、はい……」
アクア「ウェブで車を受け止めたの？！ すごい！」
リリー「いつもやってることだよ」
アクア「……なるほど、私もこういう技ができれば」
リリー「ふふ、特訓だね」
アクア「はい！」
リリー「あとは警察に任せて、私たちは行かないと」
アクア「あ、うん！」
リリー「それじゃあ気をつけて帰ってね？」
「は……はい///」 ・・・
鞠莉『今日もいい仕事だったわよ二人とも！』
リリー「いえ、そんな」
アクア「私も勉強になったよー！」
鞠莉『ふふ、それじゃあそろそろパトロールはおしまいにしましょ？ 曜はこれからうちで特訓ね』
アクア「えー？！ もう毎日疲れたよ〜！」
鞠莉『毎日続けてるんだからこそでしょ！ continuity is the father of successよ！』
アクア「こん……？」
鞠莉『ケーゾクはチカラなりってことよ』
アクア「なるほど！ 頑張るであります！」
リリー「でも、あんまり無理しないようにね？」
鞠莉『そこはマリーもちゃんと配慮してるから安心してちょうだい！』
リリー「はいっ」
アクア「……よし、じゃあいってくるね梨子ちゃん」
リリー「うん、頑張って曜ちゃん。また明日ね」
アクア「うん！ おやすみ！」ﾀﾞｯ
リリー「……さてと」
リリー「もう少しパトロールしてから帰ろっと」 〜1ヶ月前〜
「水の化け物だと……？ これは、人体が水に溶け込んでいるのか……？」
「素晴らしい……素晴らしいじゃないか！ 私のスパイダーリリーと近しい存在だ！」
「ククク……ああ、ああ」
「ニュースは全て集めたし、スパイダーリリーを作り上げた研究資材は全て集めなおした」
「このためにどれだけの借金をしたかはもはや覚えてはおらん……おらんが、しかし」
「スパイダーリリーを量産することができるようになれば、恐ろしいほどの金が手に入る。毎晩街を暴れて逮捕されているような銀行強盗どもとは大違いだ」
「だが、あとひとつ……あとひとつだ。スパイダーリリーのDNAだけが……」
「……なんとしても手に入れるほかあるまい」
「沼津へと出向くしかないのだ。あとはそれだけで……それだけでスパイダーリリーの能力を得られる」
「そうすれば研究が完成する」
「そしてスパイダーリリーになる薬として血清を軍へ売り込めば……クク、はは、はははははは！！」 「はは、くく……まずは沼津へ行かねばな」
「そして協力者を得なければならん……金のある協力者だ」
「……となれば、オハラしかあるまい」
「オハラは沼津を中心に、東海地方の治安管理を行っている」
「ならばスパイダーリリーの量産にも興味はあるのではないか？ 我が子の能力を警察に持たせれば、スーパーマン部隊の誕生だぞ」
「クク、いいじゃないか！ オハラに協力を取り付け、資金を得……警察と軍、そして敵国までどこまでも幅広く売るのだ！」
「しかしその製造方法だけは私が牛耳らねばならぬ……それで大金が私の手に……！」 ・・・
「くそ……！！なぜだ、なぜコンタクトが取れん！」
「多忙だと？ ふざけるなよ小娘が……！！」
「親の財産を使っているだけのガキが図に乗りおって……！！」
「……許さん、許さんぞ。絶対にぃ……絶対に許さんぞ……！！！！」
「……ならば、自力で捕らえてやるだけだ。借金はすでに数億を超えてるんだ……なら、あとはどれだけ借金をしようが変わらん」
「マフィア、ギャング、ヤクザ、喧嘩屋……あらゆる者を雇うのだ。我が子を迎え入れるために」
「ああ、クク……そうだな……アメリカには頭蓋が鋼鉄でできているマフィアがいたな」
「前に借金をした業者にコネがあると聞いた……使う手はあるまい。クク、スパイダーソルジャーを餌にすれば……ククク」 prrr...
「……ああ、私だ。先日はどうもありがとう。単刀直入に言わせていただくが、また借りたくてね」
「今度は金だけじゃない……ああ、前に話してくれたじゃないか。アメリカに鋼鉄の頭蓋を持った男がいると」
「彼の力を借りたくてね」
「ああ、返済は……スパイダーソルジャーでどうかね？」 おつおつ
蜘蛛に噛まれたのが梨子ちゃんだったのが不幸中の幸いだな ps4のスパイダーマンやって気持ち高めるのが日課になりつつあります
保守 内容はある程度イメージできてるのに書く時間が…うぐぐ お疲れ様です
保守するのはいいんだがスレを消費してしまいそうでそこだけが心配だ そうですね…
明日は続きやろうと思いますので、もう少しお待ちを
次スレでやりますかね ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
