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穂乃果「スタートレック」絵里「 イントゥ・ダークネス」 Part2
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0002名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/20(火) 00:17:27.54ID:XjRXIVCe
◇登場人物◇


高坂穂乃果 ・・・・・・・ 宇宙艦隊大佐。宇宙船U.S.S.ミューズ号キャプテン

園田海未  ・・・・・・・ ミューズ号副長。ヴァルカン人と地球人のハーフ。中佐

南ことり  ・・・・・・・ ミューズ号主任通信士。大尉

西木野真姫 ・・・・・・・ ミューズ号医療部門主任。少佐

小泉花陽  ・・・・・・・ ミューズ号一等航海士。少尉

矢澤にこ  ・・・・・・・ ミューズ号主任機関士。少佐

東條希   ・・・・・・・ ミューズ号主任操縦士。大尉

絢瀬絵里  ・・・・・・・ 諜報部門セクション31所属。中佐

南提督   ・・・・・・・ 宇宙艦隊提督。ミューズ号前キャプテン
0003名無しで叶える物語(SB-iPhone)
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2019/08/20(火) 00:17:48.11ID:fnPUSx5u
よっこらしょ。
    ∧_∧  ミ _ ドスッ
    (    )┌─┴┴─┐
    /    つ. 終  了 |
   :/o   /´ .└─┬┬─┘
  (_(_) ;;、`;。;`| |
  このスレは無事に終了しました
  ありがとうございました
  もう書き込まないでください
クソスレは二度と立てないでください
あと、>>1は死んでください
0004名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/20(火) 00:19:23.30ID:XjRXIVCe
何処とも知れぬ荒れ果てた大地。
空は分厚い雲に覆われ、絶え間なく雷鳴が響いている。

黒い岩肌の間にはとうの昔に打ち捨てられた廃墟が広がり
それらを削り取らんばかりの強風が絶え間なく吹き付ける。


ビョオオオオオォォ.....

ゴロン...ゴロゴロッ,ピシャーンッ!

キイィ――――ン....シュバッ

絵里「・・・・・・・」

絵里「高坂、穂乃果・・・・・」


この不毛な景色を一望する高台に、突如として現れた光の繭。
その中から現れたのは金髪の女。

彼女はゆっくりと立ち上がり、艦隊の若き英雄の名を呟いた。
その英雄は、自らが作り出した殺戮の只中にあって、
唯一人自分を真っ直ぐに見据えていた。

噂に聞くあの娘は果たして、我が道を阻む障壁か、或いは助けとなるか。
巡らせた思いをフードの奥に覆い隠し、南條絵里は何処へかと走り去った。

・・・・・・・・。
0005名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/20(火) 00:21:56.86ID:XjRXIVCe
穂乃果「・・・・・・」

『適性検査は抜群だった。なのにどうして、こんなところで喧嘩に明け暮れてるの?』

『自分の存在意義を求めているんでしょう?何か特別な使命を』

『宇宙艦隊に入隊しなさい。そうすれば求めてるものが見つかる』

『惑星連邦がどういう場所なのか。あなたには理解できてるはずよ』

穂乃果「・・・・・・」



惨劇から一夜、穂乃果は人気の耐えたロビーに座り、虚空を見つめていた。
その脳裏をよぎるのは、南提督に師事した日々。

かつて、湧き上がる衝動に身を任せ、暴れ放蕩するしかなかった自分に
道を示し、情熱を注ぎ果たすべき使命を与えてくれた恩師の言葉。



『何が間違いかも気づいていないわ!』

『気に入らない規則なら守らなくていいと思っているの?』

『あなたは自分の能力を過信しているわ』

『自分が間違う筈がないと思っているでしょ』

『規則を守らず、何事にも責任を負わず、キャプテンの椅子も尊重しない』

穂乃果「・・・・・・」
0006名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/20(火) 00:23:55.90ID:XjRXIVCe
幾度となくトラブルを起こす自分を信じ、厳しくも優しく見守り続けてくれた。
そんな彼女は、生まれてすぐ父を亡くした穂乃果にとっては育ての父も同然だった。

だが、その提督はもういない。彼女を殺した南條絵里は穂乃果の目の前で
転送を使って逃げ、何処とも知れぬ場所へ行方をくらませた。

容疑者が消え去る瞬間、自分に向けた刺すような視線と、瓦礫の中に横たわる提督の亡骸。
幾度過去を遡り、記憶を巡っても、最後には必ずその二つの光景に辿り着いた。

『何故だか分かる?あなたが未熟だからよ』

大切なものを失って初めて、その言葉が深く身に染みる思いがした。



コミュニケーター(ピリリッ,ピリリッ,ピリリッ)

カチッ

穂乃果「何?」

海未「"中佐、Ms.矢澤が容疑者の船から何か見つけたようです"」

海未「"すぐに来るようにと言っています"」

穂乃果「分かった。すぐ行くよ」
0007名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/20(火) 00:26:45.08ID:XjRXIVCe
タッタッタッ.......

穂乃果「にこちゃんっ!」

にこ「来たわね、キャプテン」

にこ「見て、コイツが残骸の中にあったわ。画像に映ってたあのバッグの中身よ」

穂乃果「これは・・・・」

にこ「小型ワープ転送装置。奴はこれを使って逃げたのよ」

穂乃果「行き先は分かる?」

にこ「ええ、もう出した」スッ

にこ「厄介なとこだわ。私たちには、そう簡単に行けないところよ」

穂乃果・海未「「ここは・・・・・!」」



にこが広場に墜落した絵里の小型艇から見つけたのは、最新型の転送装置だった。

トランスワープ。宇宙船に使われる亜空間航法を転送に応用したこの技術は
従来の転送システムより遥か遠方への人や物の転送を可能にする。

他ならぬにこ自身が開発したこれを何故、容疑者が持っていたのかも
十分な謎だったが、装置に表示されていた座標が、それ以上の驚きと困惑を3人にもたらした。
0008名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/20(火) 00:30:51.17ID:XjRXIVCe
〜 宇宙艦隊 緊急対策本部 〜


バターンッ,タッタッタッタッ

穂乃果「ハァ・・・ハァ・・・」

絢瀬「高坂、どうした?」

穂乃果「・・・奴はもう地球にいません」

絢瀬「何?」

穂乃果「クロノス星にいます」

穂乃果「私をキャプテンに復帰させ、奴を追跡する許可を」

絢瀬「・・・・・諸君、後程」

ゾロゾロゾロ.....

絢瀬「クロノスだと?」

絢瀬「では南條はクリンゴンの首都惑星に逃げたというのか。亡命か?」
0009名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/20(火) 00:34:01.71ID:XjRXIVCe
提督は士官たちを退出させ、訝し気に聞き返した。

クリンゴン。銀河でその名を恐れぬ者はいない。
武勇と名誉を崇拝し、戦いに生涯を捧げる獰猛な戦闘種族。



穂乃果「それは分かりません」

海未「逃亡先はクロノスのキャサ地区。何十年も無人のエリアです」

穂乃果「奴はそこに隠れているんです」

穂乃果「艦隊がクリンゴン領域に近づけば、全面戦争になります」

穂乃果「なので私だけが行きます。どうか許可をください」

絢瀬「・・・・・・・」

絢瀬「クリンゴンとの衝突は避けられない。むしろ戦争はもう始まっている」

絢瀬「我々が存在を知って以来、クリンゴンは2つの惑星を侵略し
   我々への攻撃も一度や二度じゃない」

絢瀬「これは彼らが望んだ戦争だ」



他の多くの種族が忌避する闘争心と暴力こそを美徳とする彼らにとっては
どんな些細な理由であろうとも戦う動機となり得る。

交渉など、平和的な手段が殆ど通用しないが故に、ベータ宇宙域の広範囲に
展開する彼らの帝国は、連邦にとって目下最大の脅威となっていた。
0010名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/20(火) 00:36:26.72ID:XjRXIVCe
穂乃果・海未「・・・・・」

絢瀬「実は、爆破されたロンドンの施設はただのデータ保管庫ではない」

絢瀬「宇宙艦隊のセクション31と呼ばれる極秘支部だったのだ」

絢瀬「そこでは防衛システムの開発に加え、クリンゴンやその他の敵の
   情報収集を行う士官を訓練していた。南條もその一人だった」

穂乃果「ですが、今は倒すべき逃亡犯です」


絢瀬「・・・・南はいつも君が優秀だと信じ、君のことを庇っていた」

絢瀬「そもそも彼女の説得で艦隊に入ったのだろう?」

穂乃果「そうです」

絢瀬「では、誰が彼女を艦隊にスカウトしたと思う?」

絢瀬「私だ。私が彼女を死なせた・・・・」

絢瀬「君を同じ目に合わせる訳にはいかないのだ」
0011名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/20(火) 00:40:01.88ID:XjRXIVCe
穂乃果「提督、お願いです・・・・」

絢瀬「・・・・園田」

絢瀬「南條がいる地区は無人だと言ったな?」

海未「確定的です」

絢瀬「うむ」

スチャッ,カタッ,カタカタカタ......

ホログラム(パッ,ヴヴヴヴ)


提督が机上のキーを叩くと、流線型の見慣れぬ機体が映し出された。
兵器らしきその機体は、艦隊が船に搭載している光子魚雷の形とは
大きく異なっていた。


絢瀬「防衛戦略の一環で、新しい光子魚雷を開発した」

絢瀬「射程距離が長く、クリンゴンのセンサーにもかからない」

絢瀬「君らを傷つけずに南條を倒したいのだ」

絢瀬「中立地帯の端から南條の居場所に魚雷を発射、奴を殺したらすぐに逃げてくれ」

穂乃果「Ms.園田を復調に復帰させる許可をください」

絢瀬「・・・・許可する」

穂乃果「ありがとうございますっ!」


穂乃果(クロノスでも何処でも、そんなの関係ない。どこまでも追いかけてやる)

穂乃果(南條絵里、あなたは私の手で捕まえて見せる)

穂乃果(絶対に捕まえて、そして・・・・!)
0012名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/20(火) 00:41:47.88ID:XjRXIVCe
〜 数時間後 宇宙艦隊本部、シャトルベイ 〜


真姫「穂乃果!何処にいたの?」

穂乃果「何で?」

真姫「健康診断よ」

真姫「10時間前まで撃ち合いのど真ん中にいたんでしょ?船のドクターとして・・・」

穂乃果「平気だよ、真姫ちゃん」

真姫「平気って・・・どこがよ?」

穂乃果「平気だから平気なの。ほら行こっ」

真姫「あっ、こら待ちなさい!」



整然と並んだ中型のシャトルに、招集されたクルー達が乗り込んでいく。

提督の許可を得て数時間後、地球上空に待機する本艦に向かうため
穂乃果は艦隊の発着所で真姫と合流した。
0013名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/20(火) 00:44:06.27ID:XjRXIVCe
穂乃果「海未ちゃん、現状報告を」

海未「ミューズの出港準備は順調です」

穂乃果「よしよし・・・」

海未「キャプテン、副長にしてくださり感謝しています」

穂乃果「当然だよ」



二人が指定されたシャトルに乗ると、海未が既に三列シートの窓際に座っていた。
キャプテンが副長から一席を隔てた通路側に座ると、その後列に座った真姫は
友人の頬に検査キットを当てた。



海未「そしてあなたの副長として、任務内容に断固反対します」

穂乃果「・・・・まあ、そうだよね」

海未「裁判なしで人を殺す行為は、艦隊規則に反します」

海未「あなたも提督もそれをお忘れのようですが・・・・」

海未「さらにクリンゴンの惑星を魚雷で先制攻撃するなど、艦隊のあらゆる・・」

穂乃果「海未ちゃんが無人地区だって言ったじゃん。死ぬのは一人だけだよ」

穂乃果「しかも今回の任務に、艦隊規則は関係ないから」

真姫「待って、クリンゴンに魚雷を打ち込むの?」
0014名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/20(火) 00:44:51.12ID:XjRXIVCe
海未「規則を脇に置いても、倫理的に間違っています」

穂乃果「それを言うなら、海未ちゃんを火山で助けたのは、倫理的に正しかったよ」

穂乃果「感謝もされてないけどね」

真姫「ちょっと穂乃果、落ち着きなさいって」

穂乃果「ロボットなのに倫理を説くかなぁ・・・・」

海未「私を侮辱するのは罪悪感を感じているからでしょう?」
 
穂乃果「海未ちゃんの意見は聞いてないよ」



海未はいつにも増して、痛烈にキャプテンの不当を訴えた。
対する穂乃果も、負けじと矛盾を突き、辛辣に皮肉る。

危険な任務を前にしても、普段から対照的な二人の溝は深まるばかりだった。



穂乃果「あと真姫ちゃん、それ止めて。鬱陶しいから」

真姫「分かったわよ・・・・」

海未「この任務は戦争につながりかねません。しかも倫理に反しています」
   
海未「ご自身で熟考を重ねれば、同じ結論に達する筈です。」

???「キャプテン高坂」

穂乃果「ん?」

???「科学士官の佐倉です、提督の命でご同行します。これが転属命令です」スッ
0015名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/20(火) 00:45:45.16ID:XjRXIVCe
幸いにも、彼女たちの応酬は、聞き慣れぬ声によって遮られた。

3人が通路側に目を向けると、プラチナブロンドの女性が
穂乃果の横に立ち、命令書の記録されたタブレットを差し出してきた。


穂乃果「うん、どれどれ」

海未「キャプテン、科学士官の追加要請を?」

穂乃果「ううん、覚えてないけど・・・・ほら、見て」スッ

海未「・・・佐倉亜里沙大尉、応用物理学博士。専門は先端兵器学」

海未「経歴は立派ですね」

亜里沙「どうも・・・・」

海未「しかし、私が船に戻れば不要です」

穂乃果「人数は多いほうが賑やかで楽しいじゃん?さあ、どうぞ座って」

亜里沙「ありがとうございます」ペコリ

海未「・・・・・・」
0016名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/20(火) 00:46:46.38ID:XjRXIVCe
パイロット「シャトルクルー、離陸スタンバイ」

真姫「ハァ・・・」

真姫(クリンゴンに魚雷ね・・・・・)



海未の言葉を受け流し、穂乃果は開いたままになっていた
真ん中の席に座るよう亜里沙を促した。

前の席の3人を見て、真姫は心の中で嘆息した。

死地に赴くことそのものよりも、多くの危険に晒され続け
いつしか恐怖を感じなくなっている自分自身に恐怖を感じていた。

パイロットの合図でシャトルが浮上し、地上の街並みが眼下に遠ざかっていく
内に不和を抱えたまま、一行は宇宙に向けて飛び立った。

・・・・・。
0018名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/20(火) 00:48:46.12ID:XjRXIVCe
―――

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――――――――――


地球上空、外気圏を回遊する第一宇宙基地。

巨大な人口天体を中心に、6つの円盤を放射状に延びた回廊で繋ぐこの基地は
惑星連邦と宇宙艦隊の創設以来、数多くの冒険者たちを宇宙のフロンティアへと
送り出してきた。

それは凄惨な事件を経て、多くの優秀な船長を失った時でも変わらない。
今日この日もまた、一隻の宇宙船が危険に満ちたミッションに挑むため
出港の時を待っていた。

U.S.S.ミューズ。トランスジェンダーや無性種族を除けば、
乗員の殆どを女性が占める高坂大佐の旗艦。

ギリシャ神話の歌の女神の名を冠するこの船は約一年前、
就航したその日に未来人ツバサの一派と戦い、連邦崩壊の危機を救って以来、
艦隊でも特異な存在として認識されつつあった。
0019名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/20(火) 00:50:18.71ID:XjRXIVCe
〜 ミューズ号,シャトルベイ 〜


にこ「嫌よ、私はサインしない!」ブンブン

輸送員「ですがしかし・・・」

にこ「こんなもの、にこの船から降ろして!」

にこ「あっ、キャプテン!」

穂乃果「どうしたの、にこちゃん。何か問題?」



ミューズの格納庫では、出港に向けた最後の調整が進められていた。

赤、青、黄色、3色それぞれのシャツを着たクルー達が上階を目指し、
必要な物資を積み込むためのクレーンやターボリフトが忙しく動き回っている。

その一角、絢瀬提督から与えられた新型魚雷の前で、にこが声を荒げていた。



にこ「ええ、そりゃもう。今こいつらに説明してたのよ」

にこ「中身を明らかにできない兵器なんて、にこの船には載せないって」

海未「にこの言う通り、これもまた規則に・・」

穂乃果「ブリッジに行ってて」

海未「はい、キャプテン・・・皆さん、ついて来てください」

スタスタ.....
0020名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/20(火) 00:51:40.63ID:XjRXIVCe
虎太郎「」ヨジヨジ

穂乃果「にこちゃん、心配なのは分かるけど、この魚雷は船に乗せてほしいんだ」

にこ「はぁ?キャプテンまでそう言うわけ?」

にこ「いい?光子魚雷の動力源は内部燃料よ」

にこ「なのに中にどんな燃料が入ってるか分からない、スキャンできないのよ!」

にこ「で、こちらさんに聞いたら、お答えは?」ビシッ

輸送員「極秘です」

にこ「機密ですって!だからね、そんなんじゃサインできないって!」


希「おーい、キャプテーン!」

穂乃果「ん?」

希「フライトチェック完了。いつでも出港できるで―!」

穂乃果「ありがとう、希ちゃん」

希「いえいえ」ニコッ
0021名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/20(火) 00:53:40.33ID:XjRXIVCe
にこ「それじゃあ、あたしは失礼するわ。ワープコアの準備をしないと」

にこ「コラッ、降りなさい!」

虎太郎「」スルスル

真姫「穂乃果、あなた酷い数値よ?」

穂乃果「病室に行ってて」

真姫「ハイハイ」スタスタ

穂乃果「待ってよ、にこちゃん!」タッタッタッ



希が頭上のバルコニーから顔を覗かせると
にこはその隙に場を立ち去ろうとした。

積み荷を登ろうとする助手の虎太郎を八つ当たり半分に叱り飛ばし
足取りも荒く機関部の奥深くへ歩いていく。

穂乃果は、何とか機関士を説得しようと後を追った。
だが、にこはキャプテンの呼びかけに振り返ろうともせず歩き続ける。
0022名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/20(火) 00:55:13.58ID:XjRXIVCe
スタスタ.....

穂乃果「あの魚雷を乗せて、お願いだから・・・」

にこ「これがなんだか知ってる?」

穂乃果「今は講義を聞いてる時間は無いんだけど・・・」

にこ「これは何っ!?」ピシッ

穂乃果「・・・ワープコアでしょ、それがどうかしたの?」



やがて、彼女の華奢な背中に張り付き、迷路のように入り組んだ通路を抜けると
一際巨大な青いドームに、幾つもの太い管が繋がれた装置の前に出た。

ワープコア。ダイリチウムと呼ばれるエネルギー鉱石を用いて
発生させた動力を船内の全域に行き渡らせる。
高速ワープ船のいわば心臓とも言うべき機関である。



にこ「あのね、こいつは核分裂を起こしてパワーを得る道具よ」

にこ「微妙な磁気的変化、例えば・・・成分不明の燃料を積んだ魚雷72本の影響で」

にこ「核反応が暴走して全員お陀仏ってこともあり得るの」

にこ「なのにあんなもの乗せられたら、あたしだってもうブチ切れるわよ!」

穂乃果「ちょっと目をつぶるだからさ、ね?」
0023名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/20(火) 00:56:34.47ID:XjRXIVCe
にこ「ちょっとって、もう散々我慢してるのよ・・・・」

にこ「にこのトランスワープ理論を艦隊が没収なんかするから、」

にこ「イカれ野郎がそれを手に入れて、銀河の向こうに消えたんでしょうが・・・」

穂乃果「でもこれは命令なんだよ、にこちゃん。仕方ないんだよ・・・」

にこ「だから怖いんでしょ?」

穂乃果「・・・・・?」

にこ「こんなの、明らかに軍事作戦よ・・・・」

にこ「いつから軍隊になったの?あたしたちは、調査隊のはずでしょ?」



穂乃果はどうにか機関士を説得しようと食い下がった。
そんな彼女に、にこは心の内にしまい込んでいた不信感をぶつけた。

にこの言う通り、今回のミッションはただ危険なだけではなかった。
交渉も宣戦布告もなしに、敵地へ魚雷を放つ。
それは連邦の理念を否定し、自ら戦争を招く行為に等しかった。

そう捉えているのはにこだけではない
他の多くのクルー達も同様の疑念と不安を抱いていた。



穂乃果「魚雷を受け入れて。これは命令だよ」

にこ「はぁ・・・・」フルフル

にこ「いいわ、じゃああたしは船を降りるしかありませんね」

穂乃果「ねえにこちゃん、そんなこと・・」

にこ「だって責任取れないもの、」

穂乃果「ただサインするだけだよ、」

にこ「安全だと確認できなきゃ、」

穂乃果「今回だけは「下船を認めるの、認めないの!?」

穂乃果「認めるよっ!!」クワッ
0024名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/20(火) 00:58:47.07ID:XjRXIVCe
にこ「ぬぁっ!?」

穂乃果「・・・・・認める。」

穂乃果「下船してよし、Ms.矢澤」

にこ「」ハァ

にこ「・・・・穂乃果」

にこ「悪いことは言わない。絶対にあの魚雷は使わないでよ?」

にこ「ほら行くわよ、虎太郎」

スタスタ.....

虎太郎「・・・・・・(´・_・)」

穂乃果「・・・・・・」

虎太郎「(´・_・)つ□」

スタスタ.....



にこは技術者としてではなく、友として忠告を残し、管理用端末を返上した。

虎太郎は二人の間に立ち、その様子を見つめていたが、
やがて悲し気に穂乃果を一瞥すると、にこの後に続いた。

当代随一のエンジニアであり、自らも宇宙ナンバーワンを自任するにこにとって
自分の愛する船と、そこに乗るクルー達を危険に晒すなど、あってはならない事だった。

穂乃果の下からまた一人、信頼していた友人が去っていった。
提督との予期せぬ別れから、僅か半日後の事だった。
0027名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/20(火) 07:39:57.64ID:XjRXIVCe
>>26
その内明らかになります
0028名無しで叶える物語(茸)
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2019/08/20(火) 12:51:15.20ID:PS030FRO
保守
0029名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/20(火) 19:49:40.72ID:XjRXIVCe
――・・

――――――

――――――――――


穂乃果「はぁ・・・・・」トボトボ


『この任務は戦争につながりかねません。しかも倫理に反しています』

『だから怖いんでしょ?こんなの、明らかに軍事作戦よ・・・』

『あたしたちは調査隊のはずでしょ?』


穂乃果「・・・・・分かってるよ」

穂乃果(非人道的な作戦だって、こんなのおかしいって事くらい・・・)

穂乃果(だけど、それなら、殺された人たちの気持ちはどうなるの?)

ノカチャン....

穂乃果(傷ついた人たちの思いは、どこにぶつければいいの?)

穂乃果(怒ってるのは、悲しんでるのは、私だけじゃない)

ホノカチャンッ......

穂乃果(だから、誰かがやらなくちゃいけない)

穂乃果(私が、終わらせなくちゃいけないんだ・・・・・)

ことり「ねえ、穂乃果ちゃんってば!」
0030名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/20(火) 19:51:28.16ID:XjRXIVCe
穂乃果「はっ!?ごめん、考え事を・・・」

穂乃果「って、ことりちゃん・・・!」

ことり「みんなブリッジで待ってるよ、早く行こう?」

穂乃果「いや、でも何で・・・・」

ことり「ん?」

穂乃果「ああ、いや・・」

穂乃果「・・・・うん、行こうか」

スタスタ......


コントロールブリッジに続く長い廊下で穂乃果を呼び止めたのは意外な人物だった

本来なら、ことりは南提督の娘として、その死に際して真っ先に喪に服すべき人間だ。
故に、彼女がこのミッションに参加しているとは予想もしない事であった。

しかし、今の穂乃果はそんな友人の意図を深く追求する気にはなれなかった。
0031名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/20(火) 19:53:42.10ID:XjRXIVCe
穂乃果「・・・・・・」

ことり「・・・・・・」

ことり「――、だよね」

穂乃果「え?」

ことり「責任、感じてるんだよね?お母さんの事」

穂乃果「・・・・・・」

ことり「自分がいたのに、助けられなかったって」


南條絵里が提督を含む大勢の士官たちの殺害するのを阻止できず
その上、目の前でみすみす取り逃がしたのは他ならぬ自分なのである。

提督は自分の所為で命を落としたようなものだ。
なのにどうして、家族を失った友人を気遣って地球に残れと言えるのか。

今の穂乃果にとって、ことりは一番合いたくない人間でもあった。


穂乃果「・・・・」

穂乃果「・・・・ごめん」ボソ

穂乃果「本当に、ごめん・・・」

ことり「・・・・・・」

ことり「穂乃果ちゃん、私ね」

ことり「宇宙艦隊に入る時に、お母さんから言われた事があるんだ」

穂乃果「言われた事?」

ことり「うん・・・・」
0032名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/20(火) 19:59:57.70ID:XjRXIVCe
『いい?ことり』

『艦隊に身を置く以上、私たちはそこで与えられた任務に忠実でなければならない』

『私たちも、親子である前に、上官と部下の関係でいなければならないの』

『任務を遂行する中では、時に非情で過酷な選択を強いられる事もあるわ』

『だけど、私は大勢のクルーの身を預かる船長として、決断に迷うことはできない』

『もしあなたを見捨てなければならないような事があっても、それを受け入れる覚悟よ』

『だからことり・・・・』


ことり「あなたも親子としての私情は捨て、己の任務を第一に考えなさい。って」

ことり「だからね、穂乃果ちゃん」

ことり「お母さんを助けてくれなかったからって、穂乃果ちゃんを責めたりしない」

ことり「穂乃果ちゃんが責任を感じる必要なんて、無いんだよ?」


穂乃果「・・・・はっ、ははっ」

ことり「?」

穂乃果「はははっ、はあぁ・・・・」グスッ
0033名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/20(火) 20:01:47.34ID:XjRXIVCe
ことり「だ、大丈夫?」

穂乃果「うん、大丈夫だよ・・・さすがだな、提督は」ズズッ

穂乃果「娘のことりちゃんにも、そこまで言ってたなんて」

穂乃果「何処までも、艦隊っていう組織の一員でいようとしてたんだな・・・・」

ことり「これから、お母さんたちを殺した犯人を、捕まえに行くんだよね?」

ことり「それなら、追跡任務に同行できない事の方が辛い」

ことり「みんなと一緒に、このミッションを必ず成功させる」

ことり「それが、南提督の娘として私ができる最善の事だよ」

穂乃果「私も、悲しんではいられないって事か・・・」

穂乃果「ありがとう、ことりちゃん。穂乃果についてきてくれて」

穂乃果「よし、行こう・・・・!」

ことり「うんっ!」


ミューズ号主任通信士、南ことり。

一見、ファッションデザイナーや美容師の方が相応しくも思える程に
柔和で繊細な感性を持つ彼女の言葉は、時に誰よりも力強く心に響く。

立て続けに理解者を失った今は、その言葉がより一層、勇気をくれるように感じた。
0034名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/08/21(水) 00:19:25.71ID:zUCnmScG
エレベーター(プシュッ,ウィイ――――・・・・・・)

穂乃果「にこちゃんが船を降りた。魚雷を調べられないくらいならって」

ことり「それは、残念だね・・・・」

穂乃果「海未ちゃんにも文句ばっかり言われてる」

ことり「・・・・・・」

穂乃果「ごめん、彼女のことりちゃんにこんな事言うのもアレだけど」

穂乃果「だけどね、たまに海未ちゃんの前髪引っこ抜きたくなる時があるんだよね・・・」

穂乃果「穂乃果の気が短すぎるのかなぁ?」

ことり「いや、違うよ。」

ことり「穂乃果ちゃんは悪くない」

穂乃果「そう?」

ことり「・・・・・・・・」

ウィイ――――・・・・・
0035名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/21(水) 00:23:12.27ID:zUCnmScG
穂乃果「・・・・・」

穂乃果「待って、もしかして二人も今喧嘩してるの?」

ことり「ごめん、その話はしたく無いんだ」

穂乃果「はえぇ、二人の喧嘩ってどんな、」

ドア(プシュ―ッ)

海未「・・・・・・・」

穂乃果「あっ・・・」


ことり「」スルー

コツコツコツ...

穂乃果「あー・・・」

穂乃果(『私情を挟むな』って、言われたんだよね?まあ、いいや)

穂乃果「聞き耳未(みみ)立てるな」ピシッ

海未「・・・・・・・・」



エレベーターのドアが開くと二人の目の前に海未が立っていた。

副長は恋人が自分に目もくれず、すぐ横を素通りして
通信士官の席へ歩いて行くのを不可解な面持ちで見ていた。

当然、ヴァルカン人の尖り耳と副長の名前に掛けたキャプテンの冗句にも
笑うどころか眉一つ動かさなかった。
0036名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/08/21(水) 00:24:29.78ID:zUCnmScG
花陽「ブリッジにキャプテン!」

穂乃果「花陽ちゃん」

穂乃果「にこちゃんに教わって、船のエンジンについては詳しくなってるよね?」

花陽「うん、勉強しました」

穂乃果「よし、機関室チーフだよ。赤いシャツを着て」

花陽「」

花陽「はい、穂乃果ちゃ・・・じゃなくてキャプテン」

花陽(ええぇー・・・・・)


穂乃果「希ちゃん、係留アームを外して」

希「了解」

管制「"ドッキングベイ、1,2,3解除"」

管制「"係留アーム、解除"」

ガシャ――ン,ウウウウウォ――......


希の合図を受けて、宇宙基地の管制が
ミューズを繋ぎ止めていた巨大なアームを解除した。

分離されたアームが基地内部に収納され、
その反動でミューズの船体はゆっくりとハンガーから遠ざかった。
0037名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/08/21(水) 00:28:31.68ID:zUCnmScG
穂乃果(こんな形で戻って来たくは無かったな)

穂乃果(調査飛行自体も延期か、戦争になれば最悪中止かもしれないし)

穂乃果(私たち、これからどうなるんだろう?)

穂乃果(まあ、考えてても仕方ないか・・・)

穂乃果「ことりちゃん、船内チャンネルを合わせて」

ことり「了解」

穂乃果「Ms.小泉、エンジンはどう?」

花陽「"全システム異常なしです、いつでもワープできます"」



保安部の赤シャツに袖を通した花陽に呼びかけると、緊張した声が返ってきた。

ブリッジで最年少のクルーである花陽は、内向的な性格から不測の事態に弱い傾向がある
しかし、そこは若干17歳で航海士に抜擢された神童、新しい機関主任としての役目も
しっかりと果たしてくれるだろうと、穂乃果は疑わなかった。



穂乃果「ありがとう花陽ちゃん」

穂乃果「よし、行こうか」

ミューズ(ギュウウウゥゥン......ズギュウ――ンッ!!)



時空間そのものを大きく波打たせて、ミューズ号はワープに突入した。
祝福も希望もない、宇宙の暗闇の中へと。

・・・・・・。
0040名無しで叶える物語(茸)
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2019/08/21(水) 08:23:44.39ID:utJiWKVL
保守
0041名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/08/21(水) 10:24:27.37ID:6ig6YzCF
にこが降りてしまったけど大丈夫だろうか
0042名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/08/21(水) 15:06:24.90ID:utJiWKVL
保つ
0043名無しで叶える物語(SB-iPhone)
垢版 |
2019/08/21(水) 16:55:34.74ID:cQNe1wWJ
さすがにクソつまんね
0044名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/08/21(水) 19:51:39.31ID:zUCnmScG
ことり「チャンネル準備完了」

穂乃果「ありがとう、さてと・・・・」

ブツッ

穂乃果「ミューズのクルー諸君」

穂乃果「知っての通り、私たちの友人であり前キャプテンの南提督が・・・」

穂乃果「亡くなった」

ことり「・・・・・」

希「・・・・・・」


穂乃果の声が、チャンネルを介して艦内全域に響き渡る。

医療デッキの真姫と看護師たち、機関部の花陽とエンジニアたち
その他あらゆる部門のクルーがキャプテンの言葉に耳を傾ける。


穂乃果「"彼女を殺した犯人は既に太陽系を脱出し、クリンゴンの惑星に隠れてる"」

真姫「・・・・・・・」

穂乃果「"今から私たちも、そこに向かう"」

花陽「・・・・・・・」ゴクリッ

穂乃果「"絢瀬提督も言ったように、今回の任務は敵に気付かれないことが重要だよ"」

亜里沙「・・・・・・・・」

穂乃果「惑星連邦とクリンゴンの緊張が高まっている今」

穂乃果「下手な刺激は全面戦争を引き起こす・・・・・」チラッ

海未「・・・・・・・・」
0045名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/08/21(水) 19:53:54.01ID:zUCnmScG
ふと言葉を切り、副長の席を見やると、海未は座して穂乃果を見つめていた。
その顔にはいかなる抗議も不満も現れてはいない。

副長がいかに助言しようとも、最後に決断を下すのはキャプテン。
海未は副長として、穂乃果のいかなる司令も受け入れるつもりだった。



穂乃果「・・・・・・」

穂乃果「到着後、私がクロノス星の無人地区へ降りるチームの指揮を執り」

穂乃果「逃亡犯、南條絵里を逮捕する」

穂乃果「そして彼女を地球へ連れ帰り、裁判を受けさせる」

海未「!」

穂乃果「よし、じゃあ悪者を捕まえに行こうっ、以上!」

ブツッ

穂乃果「ふぅ・・・」

穂乃果「一年以上経つけど、中々慣れないな・・・」
0046名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/21(水) 19:56:59.58ID:zUCnmScG
コツコツ.....

海未「正しい決断をなさいましたね」

海未「私も上陸班に加えていただければ幸せです」

穂乃果「幸せ?海未ちゃんが?」

海未「ただ単に、あなた方の言い方を使ってみただけですよ?」

穂乃果「ありがとう、海未ちゃん」ニッ



大切なものを奪われた怒りは変わらない。

しかし、一方的に相手を葬り去り、痛みを受けた者の気を晴らす事に意味は無い。
報復の前に、自らの犯した罪をしかと自覚させ、懺悔の場を与えなければならない。

ことりが母の言葉と思いに従ったように、
穂乃果もまた恩師の意志を受け継ぎ、復讐者である前に連邦市民である事を選んだ。

規則を巡って副長との間に生じた亀裂。それは皮肉にも、
絢瀬提督の命令に背くという形で修復されようとしていた。
0047名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/21(水) 20:02:53.64ID:zUCnmScG
――・・

――――――

――――――――――

クレーン(ギギュイ―――,ガションッ)

管制「"全員に次ぐ、兵器庫のドアを閉める、準備せよ"」

ディスプレイ(カタカタカタ)

亜里沙「うーん・・・おかしいなぁ・・・・」

ピッ,ピピッ

亜里沙「どうして確認できないんだろう?」

コツコツ....

亜里沙「ん?」

海未「こんにちは」



出港から数時間後、提督から託された新型魚雷は
砲台に装填されることなく格納庫へと収納されていった。

その内の一台の横に立ち、佐倉亜里沙大尉は
機体に据え付けられたディスプレイの表面をなぞっていた。

自身の持つ兵器工学の知識を元に、魚雷の内部構造を調べようと
試みていたが、現時点で成果は得られていなかった。



亜里沙「Ms.園田、驚きました」

海未「あなたはここで何をしているのですか?」

亜里沙「ああ、魚雷の内部誘導システムのチェックを」

海未「そうではありません」

海未「この船で何をしているのかと聞いているんです」

亜里沙「えっ?」

海未「あなたがミューズに配属されたという記録はありません」

亜里沙「さあ、それは何かの間違いだと・・・」

海未「私もそう思いますよ、"絢瀬博士"」
0048名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/08/21(水) 20:06:12.56ID:zUCnmScG
亜里沙「!?」

海未「あなたが嘘をついていなければですが、佐倉は母方の姓です」

海未「あなたは絢瀬提督のお嬢さんですね?」

亜里沙「・・・・Ms.園田」

亜里沙「こんなこと頼めないのは分かっています」

亜里沙「でもお願いです、どうか父には内緒に・・・」


ドオオォン!!

海未「ぐっ・・・・!?」ガクッ

亜里沙「きゃっ!?」バターンッ!

保安部員「うわあっ!」

科学士官「な、なんだっ!?」



絢瀬亜里沙の弁明は、突如として遮られた。
強い衝撃が船を襲い、多くの士官がバランスを崩し、或いは転倒する。
航行していたミューズが急停止し、亜空間を離脱したのだ。


ミューズ(ゴオッッ!ギュウウ―ン.......グギギギィ.....)

警報(ピュオッピュオッピュオッ.......!)

希「機関室が主導でワープエンジンを停止!亜空間を離脱!」

穂乃果「花陽ちゃん、船を壊したの?」
0049名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/21(水) 20:10:44.49ID:zUCnmScG
プシュウウウウウウゥゥ.......

花陽「すいません!」

花陽「原因は不明ですが、コアのオーバーヒートで緊急停止ボタンを押しました!」

花陽「冷却材の漏れを確認します、すいません!」



事態を報告する花陽の背後のワープコアからは白い煙が濛々と漏れ出していた。
煙は複雑に入り組んだ機関室内に広がり、辺り一帯の視界をぼやけさせる。

ミューズが停止したのは、連邦とクリンゴンの協定で定められた中立宙域だった。
ここから一歩でも相手の領内に踏み入れば、侵略行為として戦争の火蓋が切って落とされる。
さらに一触即発のこの時勢、長時間留まるだけでも相手の警戒心を呼び起こす危険があった。

一行は、連邦にとって最も危険な敵の目と鼻の先で立ち往生してしまった。



穂乃果「くそっ・・・目的地への所要時間は?」

希「20分やけど、その間ずっと敵の宇宙域の中や」

穂乃果「よし、急がないと。海未ちゃんは?」

ドア(プシュ―ッ)

海未「ここです」

穂乃果「一緒にクロノスへ来て」

穂乃果「ことりちゃん、クリンゴン語は?」

ことり「・・・思い出せます」

穂乃果「よし、じゃあことりちゃんも。一緒に働くのに問題は無いよね?」

ことり「・・・・・・」チラッ

ことり「うん、もちろんだよ」

海未「いや、待って・・・」

ことり「・・・・・」プイッ,スタスタスタ

海未「・・・・・不明です」

穂乃果「あー、うん。シャトルに集合だよ」
0050名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/08/21(水) 20:13:02.51ID:zUCnmScG
真姫「穂乃果、まさか本当に降りるつもり?」

真姫「逃走車両が故障してるのに銀行強盗なんて無理よ」

穂乃果「戻ってくる頃にはエンジンは直ってると思うけど」

穂乃果「どうかな、花陽ちゃん?」


花陽「"ケホッケホッ・・・・はい、キャプテン。あの、がんばります"」


穂乃果「だってよ。希ちゃん、船をお願い」

穂乃果「私たちが出たら、南條の居場所に向かって通信爆撃だよ」

穂乃果「"最新鋭魚雷がたくさん乗ってて、いい子にしないとそれを発射する"って」

希「・・・・・・」
0051名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/21(水) 20:14:18.97ID:zUCnmScG
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー38

穂乃果「できるよね?」

希「はい、と言いたいところやけど」

希「キャプテンの椅子は初めてやからなあ・・・」

穂乃果「希ちゃんならやれるよ」

希「うん、やってみるわ」


真姫「穂乃果、待ちなさいって」

真姫「希に歌もダンスも練習しないままラブライブに出場しろって言うの?」

真姫「彼女はいい人だけど、キャプテンは無理だわ」

穂乃果「2時間くらいならできるよ、それにもう例え話やめて。これ命令だよ」

穂乃果「Ms.東條、ケイノーミア人の船を用意して」

希「分かった」

真姫「うぅん・・・・・・・」
0052名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/21(水) 20:16:46.25ID:zUCnmScG
希「"キャプテン代理、東條よりシャトルベイ2番へ"」

希「"先月マッド事件の際押収した貿易船の出発準備をせよ"」

希「"キャプテン高坂がそちらへ向かう"」


ヒデコ「出発できますか、キャプテン?」

穂乃果「赤いシャツを脱いでヒデコ」

穂乃果「ケイノーミアの武器商人に変装する。これを着て」

ヒデコ「・・・・はい。でも何で?」

穂乃果「もし作戦が失敗した時、艦隊と結び付けられたら困るからね」

穂乃果「戦争したいなら別だけど」

ヒデコ「それは、困るわね・・・・」

フミコ「私も困るわ」

穂乃果「よしよし、穂乃果もだよ」



訝しむ真姫をブリッジに残し、穂乃果は下層デッキへ降りて行った。

海未、ことりと共に黒革の服に着替えて格納庫へ入ると
艦隊のシャトルに混じって安置された小型船に向かう。

一月前、連邦領内で行われていた密輸を検挙した際に接収した
その船の前で、二人の士官が待っていた。

ヒデコとフミコ。階級は共に大尉。
かつて、東京の酒場で拳を交え、乱闘を繰り広げた彼女たちは
今や穂乃果の最も信頼する部下となっていた。
0053名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/21(水) 21:34:11.44ID:zUCnmScG
ボシュウゥッ!

第二船体の横に設けられた小さな出撃口から、潜入者たちを乗せた
ケイノーミア製の小型船が飛び立った。

21世紀に普及した清掃用ロボットにも似た薄い円筒形の輸送船は
中立地帯を越え、速度を上げてクリンゴン領域の奥深くへと分け入ってゆく。

そして飛び続ける事数十分、
一行は薄く茶色がかった大気に包まれたその星の目の前に迫った。



密輸船(キイイィ―――ン)

穂乃果「クロノス・・・・・・」

穂乃果(鬼ヶ島に乗り込んだ時の桃太郎って、こんな気持ちだったのかなあ・・・・)

海未「キャサ地区に生命反応あり」

海未「にこの情報によると、これが南條絵里でしょう」

穂乃果「希ちゃん、見つけたよ。あの人に本気だと教えてやって」

希「"はいキャプテン"」



惑星クロノス、クリンゴン帝国の首都。
銀河随一の戦闘種族を育んだ荒野が広がる不毛の星。

雲を突き抜け、眼下に広がる赤茶けた大地を見下ろした時、
穂乃果は故国に伝わる昔話を思い出した。

だが、一行の目的は鬼退治でも、捕らわれの姫の救出でもない。
戦うことなく敵の目を掻い潜って、星の片隅に隠れた逃亡犯を捕らえる事。

戦争の危機を回避できるか否か、全ては彼女らの行動にかかっている。
船に乗る全員が、神経を最大限に張り詰めていた。

・・・・・・。
0054名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/21(水) 21:49:43.67ID:zUCnmScG
希「さてと」コホン

希「南條絵里に告ぐ」

希「ウチはU.S.S.ミューズのキャプテン、東條希や」

希「現在、高度な訓練を受けた士官があなたの座標に向かっている」

希「彼らに即時降伏しなければ、今あなたのいる座標に」

希「既に目標をセット済みの、最新鋭長距離魚雷を全部落とす」

希「決断するのに2分の猶予をあげる」

希「もし降伏せんのなら、あなたの存在を消すことになるな」
  
希「ウチを試せば、後悔する事になるで。エリチ?」

希「・・・・・こんな所やろうか?」

真姫「・・・・希、あなたを怒らせたら怖いのね」

希「さあ、どうやろ?」クスッ

真姫「・・・・・」



キャプテンの椅子に座り、逃亡犯に向けて冷徹に警告を発する希
その顔から、普段湛えている慈母のような微笑は消え去っていた。

真姫は穂乃果に向けた前言を撤回した。

艦隊随一の操船技術を持つ舵手でありながら
占いに造詣が深く、オカルトや非科学的な事象を深く愛好する。

同じ船で働き始めて1年以上が経過していたが
真姫は未だに、この謎めいたパイロットの人となりを掴みきれずにいた。
0055名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/21(水) 21:51:25.80ID:zUCnmScG
キイイィン....

海未「南條の座標到着まで、3分です」

海未「彼女が降伏する確率は低く、こちらを殺そうとする確率は91.6%」

穂乃果「ご機嫌だね」


ことり「でも、死ぬの平気なんでしょ?」ボソッ


穂乃果「・・・・・・」

海未「・・・・・すみません大尉、よく聞こえませんでした」

ことり「何も言ってないよ」

ことり「聞いてくれるなら喜んで話すけど」

穂乃果「ねえ、ちょっと・・・・」

海未「その話題は別の機会にしたいのですが」

ことり「本心では全然話したくないんでしょ?」

海未「現状では、任務の遂行に焦点を絞るべきで・・・・」

穂乃果「ねえ、今じゃなきゃダメ?」

ことり「私たちにも焦点を絞らないと。ごめん、穂乃果ちゃん。2秒だけ頂戴」

穂乃果「分かった」
0056名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/21(水) 21:57:04.90ID:zUCnmScG
ことり「海未ちゃん、火口の中で私たちの事は考えた?」

ことり「海未ちゃんが死んだら、私がどうなるか」

ことり「何も感じてなかった・・・・気にしてなかった・・・・」

ことり「あの態度で怒ったのは私だけじゃないよ、穂乃果ちゃんだってそうだった」

穂乃果「ちょっと待て、穂乃果を巻き込まないでよ!」

穂乃果「・・・・・でも、本当だよ」


海未「・・・・・私が死に対して無頓着だと思っているのなら間違いです」

海未「生物は長寿と繁栄を成し得てこそ、存在意義を発揮できますから」

ことり「そう・・・・・」

穂乃果「それじゃラブソングには聞こえないなあ・・・」
0057名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/21(水) 23:06:00.03ID:zUCnmScG
海未「お二人とも誤解しています」

海未「南提督、あなたのお母様が死ぬ間際」

海未「私は精神融合で、死に直面した提督の感情を体験しました」

海未「怒り、混乱と孤独、恐怖・・・・私も経験したことのある感情です」

海未「私はそれらの感情を、自分の星が失われた日に感じ」

海未「そして二度と経験しないことを選んだのです」


穂乃果「・・・・・」

ことり「・・・・・」

ヒデコ「・・・・・」

フミコ「・・・・・」



海未が秘めた心情の片鱗に触れ、船内の一同は沈黙した。

一年前、ヴァルカン星を襲った悲劇を、ミューズのクルーならば忘れる筈がない。
その日、彼らはツバサ一派の放った赤色物質が人工のブラックホールとなり
星を丸ごと飲み込んで消し去る様を、眼前で見ていた。

星と運命を共にした何十億もの人々の中には、地球人である海未の母も含まれていた。
0058名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/21(水) 23:06:57.96ID:zUCnmScG
海未「ことり、確かに私は命が終わると分かった時、感覚を麻痺させることを選びました」

海未「ですがあなたは、その理由を私があなたを愛していないからだと誤解しています」

海未「ですが保証しましょう」

海未「真実は全く、その逆であると」

ことり「・・・・・」

穂乃果「・・・・・・・」



未来の技術がもたらした破壊は戦慄の光景としてクルー達の心に焼き付き
被害を免れた連邦の多くの星を震撼させた。

そして、海未ら生き残ったヴァルカン人たちの味わった衝撃と絶望が
どれ程の物だったかは想像するのもはばかられた。

それを思い返せば、当事者が感情を封じなければ耐えられない程の痛みを
もう一度味わえと強要することなどできなかった。



ズキュウゥン! ドオオオォンッ!

ことり「きゃあっ!?」

穂乃果「ねえ何、今のは!?」

???(ギュギュギュギュギュギュッ!!)
0059名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/21(水) 23:09:45.51ID:zUCnmScG
希「どないしたん!?」

士官「信号が途切れました、繋ぎ直しています・・!」



突然、窓の外にオレンジ色の閃光が走り、轟音が沈黙を破った。

レーダーを見ると、一行の背後斜め上方向から、
翼を広げた猛禽のような姿の機体が猛スピードで接近して来る。

見るからに荒々しく、攻撃的な外観のその機体は、警告も威嚇もなしに攻撃してきたのだった。



海未「D4級のクリンゴン艦に追跡されています!」

穂乃果「この地区は無人じゃなかったの?」

ことり「パトロールだよ、多分!」

穂乃果「くっ、しっかり掴まってて!」

密輸船(キュイイイイィッ!!ボシュウウウッ!)

ウォーバード(ギュルルルルッ!)
0060名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/08/21(水) 23:11:59.63ID:zUCnmScG
現れたのは、帝国防衛軍の中型巡視艇だった。


穂乃果たちの乗る密輸船の大きさを3倍は上回るであろうそのウォーバードには
クリンゴン戦士が十数人、単位にして小隊一個分が乗れるだけの容量がある。
とても地球人4人とヴァルカン人が勝てる相手ではない。


しかも自分たちは彼らが敵意を燃やす連邦の艦隊士官である。
一度捕まればただ殺されるだけでは済まない。


休戦協定で定められた境界を侵犯した上、首都惑星にまで忍び込み
悪だくみを巡らせる。その卑劣な行いに対して、帝国は問答無用で
宣戦を布告するだろう。


船に乗ったまま撃墜されても、死体を調べられれば結果は同じ事だ。
同胞を守るため、何としても生きて逃げ延びねばならなかった。
0061名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/22(木) 00:16:11.88ID:S8NqEmc7
ヒデコ「攻撃されてます!」

海未「この船に攻撃手段はありません」

穂乃果「私たちが手段だよ。エンジン全開に!」

海未「はい、キャプテン」

ガゴンッ,ギョオオオォ―――――ッ!



穂乃果は操縦桿を握りしめて一気に最高速度まで加速した。
地表すれすれまで接近すると、無数に開いた抗の一つに飛び込む。

その中には迷路のように狭く複雑に入り組んだ地形が広がっている。
より小さく、敏捷なこちらが追っ手を撒く機もあるだろう。



ウォーバード(ギャルギャルルルルルッ,ズギュンッ,ズギュンッ!)

シュルルルッ,ドゴオッ!

ことり「うあっ!」

ガタタタッ,ウ――ッ,ウ―ッ!

穂乃果(逃げるのは得意なんだ、クリンゴンにだって掴まるもんか!)



長い年月を経て、幾層にも重なり合った古代の建物の間を縫って飛び回る密輸船
獲物を逃すまいとその背後に食らいつくウォーバード。
激しい追跡劇を演じながら、両者はキャサ地区の奥深くへと分け入っていった。
0062名無しで叶える物語(茸)
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2019/08/22(木) 08:24:33.09ID:np+yhIfy
保守
0063名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/08/22(木) 12:51:18.66ID:np+yhIfy
保守
0064名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/08/22(木) 14:25:35.26ID:X/ChiuT8
ヒデコフミコのくだりに笑ったw
0065名無しで叶える物語(馬刺し)
垢版 |
2019/08/22(木) 18:48:28.56ID:S8NqEmc7
峡谷と洞窟、その中に築かれた廃墟の織りなす景色が、
穂乃果の視界の端を水流のように一瞬で過ぎ去っていく。

ウォーバードも機体の両翼を巧みに開閉させ、
より薄暗く、閉塞的になっていく空間を執拗に追ってくる。

彼らの放つ光弾が岩のアーチや尖塔に当たり、
至近距離をすり抜けた密輸船を揺さぶった。



穂乃果「もおっ!しつこいよっ!」

ことり「近づいてる、包囲2.285!」

ズキュンッ.....ズキュンッ......

穂乃果「よし、あそこで追っ手を撒く!」

シュルルルッ,ボゴオォンッ....

ことり「あれって・・・・行き止まりだよっ!?」



故郷のハイウェイで警察から逃げ回った日々に培った
腕と直感を頼りに穂乃果は船を飛ばし続けた。

その先に見えてきたのは、上層の建物の基礎と思しき人工の壁だった。
一行の進んできた坑道は、突起一つ無い巨大な垂直の壁によって塞がれていた。
0066名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/22(木) 18:54:37.10ID:S8NqEmc7
ズギュンッ,ドガァッ

海未「上昇してください、キャプテン!」

海未「あの隙間にこの船で入るつもりなら、それは不可能です!」

穂乃果「いや、できる!」

海未「無理です、もしも・・・」

穂乃果「入れる!入れるったら入れるっ!」



副長の警告を、キャプテンは聞き入れなかった。
壁の中央を縦に走る、幅僅か数メートルの隙間を見据え、操縦桿を目一杯に引く。

入れる。その根拠は唯一つ、己の直感のみ。
捕まればどのみち殺されるというのなら、それだけで十分だった。



レバー(ガゴッ)

密輸船(ゴオオォ――――ッ)

穂乃果「うおおおおぉぉぉっ!!」

ことり「っ!!」

ゴボッ

ウォーバード(ギュウ――――ーウッ,ギュルルルッ)
0067名無しで叶える物語(茸)
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2019/08/22(木) 21:54:45.50ID:6X24iqYx
真姫とマッコイって響きが似てるよな
0068名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/23(金) 00:22:04.63ID:5cLPhp98
機体を90度に傾け、密輸船はその全高と同程度しかない隙間に入り込んだ。

対して、獲物を取り逃がしたウォーバードは
機首を高く持ち上げて急停止し激突を回避した。



ズゴゴゴゴ......

海未「・・・・・・・」

ガンッ,ガギィッ,ガガキッ!

穂乃果「・・・・・・っ」ゴクリッ

ギギガッ,ギャリギャリッ!

ことり「穂乃果ちゃん・・・・・」

ギャリギャリギャガガガガガガガッ!!!

ことり「うああっ、穂乃果ちゃあああぁんっ!!」

ズオォンッ!!
0069名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/23(金) 00:23:52.11ID:5cLPhp98
海未「っ!!」

ガララッ,パラパラ....

穂乃果「はぁっ、はあっ・・・・・」

ことり「はああぁ・・・」ガクッ

穂乃果「ほらね?入れるって言ったでしょ?」

海未「入れたとは認められません・・・・・」



幸運にも、一行は生きて隙間を通り抜けられた。

それは確かに喜ばしい事ではあった。だが、幸運の賜物でしかない結果を
さも合理的に練った作戦が計算通りに進んだかのように語られても、
海未は同意などできなかった。
0070名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/23(金) 00:32:35.26ID:5cLPhp98
穂乃果「あの人たち、まだいる?」

海未「いえ、ですがそれが心配です」

穂乃果「撒いたんだよ」



壁の反対側には、代わり映えのしない景色が広がっていた。
薄暗い半洞窟状の地形に、無計画に増築を繰り返して広がった設備の跡。

辺り一帯は不気味なほどに静まり返り、敵の気配は無い。



穂乃果「さあ、このまま彼女を見つけ出して、早くこの星から出よう」

ギュイイィ―――・・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・

ギギイ―イイッ,ピタッ

カッ,カカカッ!

穂乃果「うわっ、眩しいっ!」

ウォーバード(ヴヴヴヴヴ.......)

穂乃果「嘘でしょ・・・・」

ウォーバード「"〜〜〜〜〜!!〜〜〜〜〜ッ!!"」


ヒデコ「先回りしたっていうの?」

フミコ「いいえ、違う」

フミコ「待ち伏せよ。分かってたんだわ、私たちがここを通るって」

穂乃果「くっ・・・・」
0071名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/23(金) 00:47:07.33ID:5cLPhp98
キャプテンが楽観できたのも束の間の事だった。

舵を切り、左前方に見えた岐路の一つを曲がると、建物の密集する開けた谷間に出た。
その向こう側の出口に新手のウォーバードが、それも3機待ち構えていた。

密輸船が急停止すると、彼らは素早く3方向から取り囲み
サーチライトで侵入者の姿を照らし出した。

真正面の一機からは、地球人に馴染みのない言語がスピーカーを介して響いている。



ウォーバード「"〜〜〜〜〜!!〜〜〜〜〜ッ!!"」


ことり「着陸しろって言ってる。ここに来た目的を聞くって」

ことり「わたしたちを拷問にかけて、最後は殺す気だよ」

穂乃果「じゃあ撃ち合いしかないね」

海未「人数も少ない、武器もない。先に攻撃すれば、生き残るチャンスはありません」

ことり「私が来たのは話すためだよね?」

ことり「それなら話をさせて、お願い」

ほのうみ「「・・・・・・・・」」
0072名無しで叶える物語(SB-iPhone)
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2019/08/23(金) 04:37:12.72ID:6c1cwZXP
ゲロつまんね
0073名無しで叶える物語(茸)
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2019/08/23(金) 08:32:58.09ID:ZeE/AG4b
ほほほのほ
0074名無しで叶える物語(茸)
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2019/08/23(金) 12:35:59.60ID:gXZEcQue
相手に地の利があったね。ことりに期待
0075名無しで叶える物語(茸)
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2019/08/23(金) 12:51:10.57ID:ZeE/AG4b
保守
0076名無しで叶える物語(SB-iPhone)
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2019/08/23(金) 14:50:38.98ID:p8RebaDb
>>1は何が悲しくてこんなゴミを生み出しているんだ
0080名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/23(金) 21:22:31.11ID:5cLPhp98
クロノス星
https://vignette.wikia.nocookie.net/planetesfanon/images/9/96/Kronos.png/revision/latest?cb=20140324111917

ケイノーミア式密輸船
https://vignette.wikia.nocookie.net/memoryalpha/images/c/c0/K%27normian_trading_ship%2C_aft.jpg/revision/latest?cb=20170613024143&;path-prefix=en

クリンゴン軍 D4級ウォーバード
https://shop.eaglemoss.com/images/shop_products/c23dfe6f-cbcc-4933-919d-ba9f05cf1a76.jpg

クロノス星地表 キャサ地区
https://cdna.artstation.com/p/assets/images/images/003/050/254/large/max-riess-hh-kronos-cncpt001-v001-mri.jpg?1469002399
0081名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/23(金) 22:06:34.42ID:5cLPhp98
――・・

――――――

――――――――――

ドア(プシュ――ッ)

ビョオオオオォ.....

ことり「よし・・・・」ゴクリ

コツ....コツ.....



密輸船は警備隊の勧告に従い、盆地の中央にある広場に着陸した。

船のドアが開くと、ことりは意を決してタラップを降り、クロノス星の土を踏んだ。

船内に残った4人は座席の後ろに隠れ、仲間が数十メートル先に着陸したウォーバードに
向かって歩いていくのを、息を潜めて見守っていた。



穂乃果「こんなの無謀だよ・・・・」

海未「唯一論理的な手です」

海未「今邪魔をすれば、怒らせるのはクリンゴンだけじゃない」

海未「南大尉も怒りますよ?」

ヒデコ(無謀ね・・・)

フミコ(何でもっと早くそう思わないのかしら・・・)
0082名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/23(金) 22:43:35.93ID:5cLPhp98
ビョオオオオオ.....

クリンゴン隊「・・・・・・・」ゴゴゴゴ

ことり「・・・・・・」

ことり「Jivuylah. Jive'.(私たちは手助けに来ました)」

ゴッ....ゴッ....

隊長「・・・・・・・・」



ウォーバードを降りたクリンゴンの兵士たちは、
砂塵の混じる強風が吹きすさぶ景色の中、小高い石畳の上に整列していた。

ことりの身の丈を頭二つ分程も上回る彼らは、
殆ど鎧のような堅く分厚い革の軍服で身を固め、彼らの頭蓋に似せた兜で
顔をすっぽりと覆っていた。

ことりが自らを押し潰そうとする強大な威圧感に耐え、口上を述べると
指揮官らしきクリンゴン人が隊列の奥から進み出た。



ガサゴソ,ゴソゴソ....

穂乃果「中尉、これを・・・」スッ

つフェイザー銃

ヒデコ「ありがとうございます」

海未「・・・・・・」
0083名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/23(金) 22:49:52.34ID:5cLPhp98
隊長「・・・・・・」

ことり「Jiyi'.(敬意を表します)」

ことり「Ghach jivvo'nah.(この無人地区に)」

ことり「Dah pighvamdaq So''eghtah'.(我々の犯罪者が隠れています)」

ことり「Ej Dojmey wid vinda'ma' peq.(彼は我々の仲間を大勢殺しました)」

隊長「・・・・・・」



石段を下り、ことりの眼前に立った隊長は、無言で彼女をねめつけた。
そのヘルメットの奥で、闘気を湛えた目がギラギラと光っている。

ことりは彼らの言葉で話し続けた。
濁音と軋音の入り混じる、力強く荒々しい言語で。

名前の通り小鳥が歌い、さえずる様な彼女の声色に
これほど似つかわしくない言葉は無かった。



隊長「・・・・・・」スッ

ガチャガチャ,ズポッ

ことり「・・・・・・」

穂乃果「・・・・・・」

隊長「Toh, Hey Humanpu'.(地球人の犯罪行為と」

隊長「Qatlh Disah?(俺に何の関係がある?)」
0084名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/23(金) 22:51:47.61ID:5cLPhp98
隊長はヘルメットを脱ぎ、素顔を露わにした。

褐色の肌に、落ちくぼんだ眼窩。そして何より目を引く、刺々しく隆起した額。
人間がカブトガニの甲羅と形容するそれは正に鬼と呼ぶに相応しき形相だった。

隊長はしゃがれた声で、ひ弱な訪問者に冷たく問いかけた。
彼の値踏みするような視線が全身を這い回るのを感じ、
嫌が応にも体が強張りそうになる。



ことり「・・・・・・・・」

ことり「Potlhmo' batlh, Viqawba'.(あなた方は名誉を重んじています)」

ことり「'Ej chIvo' NeH chiw vum' e'.(しかし、その男は名誉を踏みにじり)」

ことり「Qob lib bam soh chudli' Je.(あなた方にも危害を及ぼすでしょう)」


隊長「・・・・・・」

隊長「・・・・・クッ、クククク」

隊長「クフフフ、フンッ!」ガシッ

ことり「っ!?」

グググ,グイッ
0085名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/23(金) 22:55:12.57ID:5cLPhp98
ことりは心を支配しようとする恐怖と緊張に抗いながら
敢然として交渉を続けようとした。

隊長は言葉の代わりに、行動でそれに答えた。
ことりの顎の付け根を鷲掴みにし、細い首を締め上げる。



ほのうみ「「っ!?」」

隊長「クハハハハ・・・・」ググググ

短剣(ジャキッ!)

ことり「・・・・っ!っく、っはあっ!」



彼が太ももの鞘から抜いた精巧な短剣は、稲光を反射して鈍く煌めいた。

クリンゴン人にとっては、彼らの母性に不法に侵入してきた者に
名誉の何たるかを説かれる道理など無い。

ましてや、臆病で姑息な地球人などから助力を受けるなど
侮辱以外の何物でもなかった。
0087名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/24(土) 01:17:14.17ID:lvBV/LiL
ズキュキュキュキュゥ―――ンッ!!


クリンゴン兵「!?」

穂乃果「!?」

???(ズキュキュゥ―――ンッ!ズキュゥ―ンッ!)

ドババババッ!



短剣がことりの胸を貫くよりも早く、何処からか放たれた無数の閃光が
クリンゴンたちの頭上に降り注いだ。

穂乃果と隊長が光の放たれた方に目を向けると、
二つの高台の間に渡された石の橋の上に、地球人の女らしき人影が見えた。



ことり「えいっ!」ザクッ

隊長「ぐおっ!?」

ダッダッダッダッ,ジャキッ

穂乃果(ビュビュビュビュンッ!)

隊長「がっ、ぬぐうぅっ・・・・!」ドサッ
0088名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/24(土) 01:19:34.75ID:lvBV/LiL
ほんの一瞬生じた動揺をことりは逃さなかった。
首から手を離した隊長から短剣を奪い取り、太ももの付け根に突き立てた。

体勢を崩した隊長はそのまま
シャトルを飛び出してきた穂乃果の銃撃を受けて倒れた。



クリンゴン兵「〜〜〜ッ!〜〜ッ!!」

クリンゴン兵「オオオォッ!」

ドドドドッ!

ズキュンッ

クリンゴン兵1「ぐはっ!」

ギュウンッ

クリンゴン兵2「があっ!」



クリンゴン戦士たちは新たに出現した敵に矛先を向けた。
だが女の放つ光弾は、正確無比に彼らの胸を撃ち抜いていった。

彼女が右腕に抱えていたのは、固定式の重機関砲だった。
大人数人で持ち運ぶのがやっとのそれを、肩にかけた太い帯で支え、
もう片方の腕には両手持ちのフェイザーライフルを握っている。

これら二つの銃火器を軽々と操り、宇宙最強の軍団を屠っていく。
およそ人間業では成し得ないその様は正に圧巻の光景だった。
0089名無しで叶える物語(SB-iPhone)
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2019/08/24(土) 02:40:36.47ID:XDCNSh+y
クソつまんね
0090名無しで叶える物語(茸)
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2019/08/24(土) 11:08:13.20ID:dGzsiktR
>>89
じゃあ読むなや、と煽られてみる
0091名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/24(土) 15:51:46.68ID:lvBV/LiL
穂乃果銃(ビュウンッ!)

クリンゴン兵3「ぐうっ!」

海未銃(ビウン,ビウンッ!)

ヒデコ・フミコ(ダダダダッ!)



彼女が穂乃果たちの目的とする容疑者ならば、何故自分を捕らえに来た者たちを
助けるような真似をするのか。それは分からない。

しかし、危険を冒して敵地に乗り込んだ以上、彼女を殺させる訳にはいかない。

隠れていたシャトルから飛び出したミューズのクルー達もまた
フェイザーを構え、戦いに身を投じた。



ズギュウウゥンッ!

ドゴオッ!

ウォーバード(ヴヴヴウルルル.....ドゴオォンッ!)

ことり「すごい・・・・・・!」

穂乃果「・・・・」タッタッタッ
0092名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/24(土) 15:54:33.54ID:lvBV/LiL
女に接近したウォーバードが、重砲から放たれた極太の閃光を直に受け
回転しながら瓦礫の向こうに消えた。

墜落したウォーバードがキノコ雲を上げて爆炎に包まれる音を
背後に感じながら、穂乃果は女の下へ向かおうとした。

辺り一帯は石柱と礎石、ブロック塀等が
入り組んだ迷路のような地形を作り、敵味方双方の視界を阻んでいた。

その中を、どこから襲ってくるとも知れぬ相手を警戒し、
慎重に女のいる高台に近づいていく。



クリンゴン兵4「だあっ!!」ブゥンッ!

剣(ガキィン!)

穂乃果「うわあっ!!」

クリンゴン兵4「ふん!」ドカッ

穂乃果「ううっ」

剣(ブォッ,ガガッ!)



右手の角から現れたクリンゴン兵が横方向に剣を振るい、間一髪で伏せて避ける。
咄嗟に銃身で頭を打つが、鋼鉄のヘルメットに保護された相手は怯むことなく
穂乃果の胸部に頭突きを入れる。

立て続けに振り下ろされた剣をかわし、穂乃果はじりじりと後退した。
0093名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/24(土) 15:59:12.18ID:lvBV/LiL
海未「っ!」ズキュンッ

クリンゴン兵5「ふぐっ、くうっ!」バタッ

海未「ふぅ・・・・・」


ドッドッドッドッ....

クリンゴン兵「「「ウオオオォォッ!!」」」

女「っ!」

ドォンッ

クリンゴン兵6「う"っ・・・」

ブオン,ドカッ

クリンゴン兵7「おおっ!?」

重砲(ドガガガガッ!)


海未「・・・・・・」



キャプテンとは別のルートを通り、副長も女のいる方角を目指していた。

岩陰から向かってきた敵を仕留め、高台を見ると
女は左から来たクリンゴンを重砲で吹き飛ばし、砲身を大きく振るって
右手から来たクリンゴンの足を薙ぎ払い、階下へ叩き落とした。

一体何がそれ程の剛力と反射神経を可能にしているのか。
戦場でそれを考えている余裕は無かった。
0094名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/24(土) 16:01:00.87ID:lvBV/LiL
クリンゴン8「オオオオオっ!」

ドキュウゥンッ! バチバチッ!

ことり「きゃあっ!!」

タッタッタッタッ!

女(ズキュウ―ンッ)

クリンゴン兵8「ごおぉっ」ドドッ

ことり「っ!」ビクッ

ことり「・・・・・?」



ことりは複数の敵兵から一斉に狙われていた。
彼らが容赦なく浴びせてくる銃撃を、素早い身のこなしで
物陰を伝いながら、必死かつ巧みに避けている。

それを高台から見た女は、左手のライフルで全ての追っ手を撃ち抜き
ことりを狩人から救った。
0095名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/24(土) 16:02:30.14ID:lvBV/LiL
クリンゴン兵4(ズンッ!)

穂乃果「うあっ」ドサッ

バトラス(ビュオッ)

穂乃果「ええぇい!!」ジャキッ

ドピュピュピュピュッ!

クリンゴン兵4「ぬおっ!」ドタッ



クリンゴン剣士の蹴りを受け、穂乃果が仰向けに倒れ込んだ。

剣士はバトラスと呼ばれる刺々しい曲刀を頭上に大きく振り上げ、
穂乃果に止めの一撃を叩きこもうとした。
その体勢が相手に急所を晒した事に気づかずに。

穂乃果は疎かになった剣士の腹部に光弾を浴びせて形成を逆転させた。



穂乃果「ふぅ・・・・よしっ!」

クリンゴン兵9「うおおおっ!」

ズンッ!

穂乃果「ああっ!?」

クリンゴン兵9「※●÷.er//ltっ〜〜!!」

ドゴッ,ドゴッ

穂乃果「うぐっ、かはっ・・・・」



立ち上がった穂乃果は照準を再び女に定め、接近しようとした。
しかし、横から新手の剣士の体当たりを受けてまた地面に倒れる。

剣士は穂乃果の両肩を掴むと、罵声を浴びせながら何度も地べたに打ち付けた。
0096名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/24(土) 16:06:28.60ID:lvBV/LiL
ウォーバード(ギュギュギュギュルルル―・・・・)

シュルルルルッ,シュタタタタタッ

クリンゴン小隊「「「「ウオオオォォ!!!」」」」

ドドドドドッ.....!!



女の驚異的な戦闘力に圧倒されたクリンゴン勢は全兵力を戦線に投入した。
残っていた二機のウォーバードからワイヤーを伝って戦士たちが地上に降り立ち
女を目掛けて殺到する。

だが、女はそれすら物ともせず、凄まじい精度でクリンゴンたちを殲滅し続けた。



女「・・・・・」スチャッ

ドピュピュピュピュッ!

クリンゴン兵10「ギャオォっ!」

クリンゴン兵11「グフッ」
0097名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/24(土) 16:11:56.26ID:lvBV/LiL
穂乃果「ふんっ」ズンッ

クリンゴン兵9「ぬうっ」ヨロッ

穂乃果「食らえっ」ズキュンッ

クリンゴン兵9「ふぐうぅ・・・」バタッ

クリンゴン兵12「シネエッ!」

ドゴスッ!

穂乃果「うぐっ(また!?)」

ゴロゴロゴロッ



対する穂乃果は依然として苦戦を強いられていた。
羽交い締めにする剣士を肘鉄で振りほどき、弾を撃ち込んだ直後に
3人目の敵に銃身で殴られ、三度地面に倒れた。



クリンゴン兵12「グフフフ・・・」ジャキッ

穂乃果「ううぅ・・・・」ズキズキ

女「・・・・・」

重砲(ギュウゥ―――ンッ!)

シュボオッ!

クリンゴン兵12「」ドサッ
0098名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/24(土) 16:29:02.54ID:lvBV/LiL
敵のキャプテンに止めを刺そうとするクリンゴンを、女の重砲が見舞った。
赤い閃光に上半身が吹き飛ばされ、下半身が膝を突く。

つい先ほどまで自分を殺そうとしていた者の残骸が
白い煙と肉の焦げる臭いを立てるのを、穂乃果は茫然として見た。



シュウウウゥ....

穂乃果「え・・・・・?」

穂乃果(今・・・・私を、助けた・・・・?)

穂乃果(何で・・・・?)

ドォンッ! チュウンチュウゥンッ!......


海未「キャプテン!」

ことり「穂乃果ちゃん!」

海未「さあ早くっ!」

穂乃果「くうぅ・・・」ヨロヨロ



つい先ほどまで自分を殺そうとしていた者の残骸が
白い煙と肉の焼ける臭いを立てるのを、穂乃果は茫然として見ていた。

間違いない。彼女はクリンゴンだけを意図的に狙っている。しかし何故?
明滅する光と四方から響く轟音、全身の痛みにかき乱されて考えるのもままならない。

まるで自分たちを助けるかのような女の行動に戸惑いながら
穂乃果は駆け寄ってきた海未とことりに抱えられ、石垣の影に隠れた。
0099名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/24(土) 16:33:41.79ID:lvBV/LiL
クリンゴンは最早、密輸業者たちの事など眼中になかった。
あの桁外れに危険なフードの女が自国を蹂躙するのを許せば、
戦士としての名誉に傷がつく。

銀河最強の戦闘種族の矜持を守るために、クリンゴンたちは
女に向けて一斉に銃口を向けた。



重砲(ギュウゥ―――ンッ!)

ウォーバード2(ボゴオオォ―ンッ,ギュルルルルル.....)

ドガガァ―ン!!

ライフル(ダガガガガガガッッ!)

クリンゴン兵13「ぎいっ・・・!」

クリンゴン兵14「うぉあああああっ!」

重砲(ゴオオオォッ!)

クリンゴン兵15「っ・・・・・・」トサッ


穂乃果「・・・・・」

ことり「凄い、信じられない・・・」

ヒデコ「化け物だわ・・・」



穂乃果たちは華奢な女がクリンゴンの軍団をたった一人で捌くのを岩陰から見守った。
"無双" この言葉に相応しき光景が、未だかつてあっただろうか。

重砲の直撃を受けた最後のウォーバードがバラバラに爆散しながら墜落する。

正面から放火を浴びせようとした一隊はまとめて重砲の焼き払われた。
両側から挟み撃ちにしようと飛びかかった数名はライフルの連射に一掃された。

背後を取ろうと登って来た者たちは撃たれた衝撃で反対方向の段に落ちていった。
0100名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/24(土) 16:37:05.35ID:lvBV/LiL
重砲(ガシャンッ,ガラガラガラ.....)

覆面(ガバッ)

女「・・・・・」

穂乃果「・・・・・」



女は遂に、高台に登って来た者たちを全て倒し尽くしてしまった。

彼女は重砲を吊るしていたショルダーベルトを外し、用済みとなった砲身を
放り捨てると、口元を隠していた覆面を降ろし、素顔を晒した。

南條絵里の水色の瞳が、自身を捕らえに来た者たちの姿を真っ直ぐに見据えた。



絵里(タッタッタッタッ......ヒョオッッ!)

ライフル(ズキュキュウン!)

クリンゴン兵16「」ドサッ

絵里(シュタッ)
0101名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/24(土) 17:01:18.93ID:lvBV/LiL
助走をつけて勢いよく高台から飛び出した絵里は、
空中に大きな弧を描きながら小銃で眼下の敵兵を仕留めると、
崩れ落ちた相手の真横に綺麗に着地した。



クリンゴン兵17・18「!!」ジャキッ

短剣(シュッ,ドスッ)

クリンゴン兵17「があっ・・・・!」

絵里「はっ!」ザクッ

クリンゴン兵18「ぐぎぃっ」

絵里「・・・・っ」ザシュッ

クリンゴン兵18「うぅ・・・・」



絵里の最も近くにいた二人のクリンゴン兵は身構える間も与えられなかった。
一人は彼女の投げつけた短刀が首に刺さり、もう一人は肩と腰に続け様に
刃を突き立てられて息絶えた。



クリンゴン兵19「ぬぅんっ!」ビュッ

絵里(ビュオッ,ドスッ)

クリンゴン19「ぬう・・・・」

短刀(ヒュッ,シュルルル......ズプッ)

クリンゴン20「かはっ・・・・」ドサッ



そして、頭に蹴りを受けた剣士が伸び、再び投げられた短刀が最後の一人の胸に
深々と刺さると、遂に立っているクリンゴンは一人もいなくなった。
0102名無しで叶える物語(えびふりゃー)
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2019/08/24(土) 17:37:29.45ID:BE4C2lUW
穂乃果達、捕まえる所か返り討ちにあいそう
0103名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/24(土) 23:54:34.64ID:lvBV/LiL
保守
0104名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/08/25(日) 00:48:43.93ID:jItde4M7
絵里無双
0105名無しで叶える物語(茸)
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2019/08/25(日) 08:28:06.98ID:oVO+i1hH
保守
0107名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/25(日) 13:00:41.50ID:X9wz6joY
絵里「・・・・・」ジャキッ

スタスタスタ......

海未「銃を降ろしなさい」

絵里「魚雷は何発ある?」

海未「銃を降ろしなさいっ!」

ズキュンッ!

バチッ,カランカラン.....

ことり「きゃっ!」



全ての敵を片付けた絵里は、傍に転がっていたクリンゴン軍の
ライフルを拾い上げ銃口を穂乃果たちに向けたまま近づいてきた。

海未は逃亡犯に対して武装を解除するよう警告した。
だが次の瞬間、その手に構えていた艦隊のライフルは
閃光と共に弾け飛んでいた。



海未「っ!?」

絵里「魚雷よ!」

絵里「私に向けて発射すると脅していた魚雷は何発あるの!?」

海未「・・・72本」

絵里「・・・・・・・」ポイッ

ライフル(ガランガランガラン.....)

絵里「降伏するわ」
0109名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/25(日) 13:10:43.09ID:X9wz6joY
ビュオオオオオ......

穂乃果「・・・・・・」

海未「・・・・・・」ジャキッ

ことり「・・・・・・」



逆に海未を丸腰にした絵里は、激しい口調で問い詰めた。
答えなければ、或いは返答次第では直ぐにでも引き金を
引かんばかりの剣幕だった。

有無を言わせぬ強靭な意志を感じ、海未は答えた。
だが、それを聞いた絵里の反応は予想もしないものだった。

銃を放り捨てて、あっさりと投降を申し出る。
全身から漲っていた殺気が、急激になりを潜めていくのが
穂乃果たちにもはっきりと感じられた。



ゴロン....ゴロゴロッ,ピシャーンッ.....

穂乃果「・・・・友である南提督の代理として」

穂乃果「あなたの降伏を認める・・・」

穂乃果「・・・ふんっ!」ヒュッ

バシュッ!

絵里「・・・・・・」
0110名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/25(日) 13:18:15.82ID:X9wz6joY
恭順の意を示した絵里の顔面に、穂乃果は拳をめり込ませた。
左右交互にフックを見舞い、腹にストレートを叩きこみ
首元を抱えての膝蹴り。

その間、絵里はただされるがまま、一切の抵抗も反撃も見せず
次々と繰り出される制裁の全てを体で受け止めた。



穂乃果「ふっ!えぇいっ!」

バシッ,ビシッ!

絵里「・・・・・・」

穂乃果「はぁはぁ・・・・・うおぉっ!」

ドスッ,ドゴスッ!

穂乃果「だあっ、でああぁっ!」

ゴンッ,ゴリッ!

穂乃果「っはあ・・・はぁはぁ・・・」

絵里「・・・・・・」



恩師を失った悲しみ、大勢の命を理不尽に奪った所業への怒り。
敵地に逃れ、多くの同胞と連邦を戦争の危機に晒し、
その上臆面もなく投降するという無軌道への苛立ち。

その全てを力に込めて、穂乃果は絵里の身体をなぶろうとした。
0111名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/25(日) 13:23:42.33ID:X9wz6joY
ドッ....ズドッ,ドゴッ

ことり「キャプテン!」

穂乃果「ふううぅ・・・・・はあぁ・・・」フラフラ

穂乃果「ああぁ・・・・」ガクッ



今まで押し殺していた激情を一気に噴き出ても、
目の前にいる憎い仇に膝を突かせることは遂にできなかった。

ことりの声に我に返って、振り下ろす手を止めた時
穂乃果は疲労困憊し、息は絶え絶えとなっていた。

金の髪房をねじり上げ、滅多打ちにしても、絵里の青白い顔には
傷一つ付けられなかった。彼女は明らかに、自分に対して
加えられた打撃に何の痛痒も感じていなかった。



絵里「キャプテン、ね」

穂乃果「・・・・・」ギロリ

穂乃果「手錠をかけて。引き上げるよ」

海未「はい、キャプテン」

スタスタスタ....

ヒュオオオオォォ......
0112名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/25(日) 13:28:14.74ID:X9wz6joY
穂乃果は憎しみのこもった目で絵里を睨みつけると
吐き捨てるように拘束を命じ、踵を返して船の方へ歩き始めた。

当面の目的であった容疑者の拘束は果たした。

彼女に痛みを味合わせられないからには、
この忌まわしい星から一刻も早く脱出するのが先決だった。



薄暗がりの中に横たわる、大勢のクリンゴン人たちの死体。

いずれ同胞が行方不明となった警備隊を見つけたとしても、
その時には襲撃者もそれを捕らえに来た者たちも遠くへ去り、
正体を知ることはない。

ましてや、襲撃者がたった一人の地球人の女だったなどとは。



間もなく訪れる夜の暗闇が、彼らとの戦いの痕跡を覆い隠し、
戦争の危機は回避される。それは連邦にとって幸いな事だった。

だが穂乃果には、その暗闇がミューズとクルー達をも捕らえ
未来を閉ざしているような気がしてならなかった。



TO BE CONTINUED......
0114名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/25(日) 14:26:37.95ID:X9wz6joY
絵里にはかしこいままでいてもらいます
第三幕から後半に入ります

読んでいただきありがとうございました
0115名無しで叶える物語(えびふりゃー)
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2019/08/25(日) 15:10:40.02ID:rqYBc8WS
おつです。絵里の狙いは何なのか…
0117名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/25(日) 21:36:30.27ID:X9wz6joY
宇宙艦隊女性用ユニフォーム
https://www.sekaimon.com/itemdetail/312733352025?country=US

黄色が航行・操船部門(ほのぱなのぞ)、青が科学・医療部門(うみまき)、赤が保安・機関部門(にこ)

ワンピースの下にショートパンツを着用。
他にタイツ着用(花陽?)や男性士官と同じパンツスタイルの士官(ほのうみにこ?)もいる
0118名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/25(日) 22:00:16.84ID:X9wz6joY
23世紀の銀河系
http://www.ex-astris-scientia.org/inconsistencies/local-space-christian.jpg

銀河系を田の字に区切ったその下半分の宙域が既知の領域で、左下のマスがアルファ宇宙域
右下のマスがベータ宇宙域。

両方の宇宙域の中央に広がる青い領域が惑星連邦。
赤色が穂乃果たちの向かったクリンゴン帝国、緑色がロミュラン星間帝国
連邦とクリンゴンは最初の接触以来100年以上敵対関係にあり、全面戦争の危機も数回

ロミュランはクリンゴンと同盟関係にあるが、自国に利がある時以外は殆ど外界に干渉しない。
情勢次第では連邦側に歩み寄るか、両国と敵対する可能性もある

穂乃果たちの時代は、未知の宇宙域を開拓しようとする連邦と
敵対するクリンゴン・ロミュランの三つ巴の駆け引きが中心となっている
0119名無しで叶える物語(茸)
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2019/08/26(月) 00:02:27.82ID:Iqw6XgSR
まさに壮大な宇宙を駆け巡ってるんだね
0120名無しで叶える物語(えびふりゃー)
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2019/08/26(月) 22:51:22.05ID:Yid6ibbU
期待
0121名無しで叶える物語(馬刺し)
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2019/08/26(月) 23:52:58.28ID:LinMeOj0
〜 おまけ・幕間 〜

花陽「・・・・・・」モジモジ

機関部員「小泉さん、どうしたの?さっきから妙にソワソワしてるけど」

花陽「え?あっいや、何でもないですっ!」

機関部員「そう、でも何か気になる事があったら言ってね?」

花陽「はい、ありがとうございます」

花陽「・・・・・」

花陽(余ってたシャツを借りたけど・・・・胸元がキツイなんて言えない・・・・っ!)




にこ「・・・・・」イラッ

虎太郎「?」

にこ「いや、何か誰かに馬鹿にされたような気がして・・・何でだろう?」ポリポリ
0124名無しで叶える物語(SB-Android)
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2019/08/29(木) 15:07:25.37ID:yYvyXS/c
保守
0125名無しで叶える物語(えびふりゃー)
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2019/08/29(木) 23:43:28.64ID:qBLysZkv
3幕になるから、ここは落としていいんじゃないの?
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