穂乃果「何度目かの夏」
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
穂乃果「今年の夏も暑いねー……」
にこ「溶けるにこ……」
海未「夏が暑いのは仕方ないのですから、ほらしゃんとして」
希「まあ、確かにこの暑さじゃねー」
真姫「熱中症間違いなしね」
絵里「とは言っても冷房完備のスタジオなんてものはないんだから、さ、行きましょう?」
ことり「んー、あれ?」
花陽「ことりちゃん、どうしたの?」
ことり「なんだか、この会話、去年もしたような……」 海未「まあ夏は毎年来ますから似たような会話くらいはしたのではないでしょうか」
ことり「ううんっ、そうじゃなくて、皆と同じ会話した気がするの」
にこ「何言ってるのよ、私たち去年は出会ってもないわよ」
凛「凛たちはまだ中学生だったにゃ」
ことり「そ、そうだよね、気のせい、かな?」
穂乃果「うーん……」
希「デジャヴってやつやないかな?」 凛「でじゃぶ?」
花陽「既視感、のことだよ、凛ちゃん」
絵里「一度も体験したことないのに、以前に経験したように思える現象のことね」
海未「勘違い、ということですか?」
希「んー、夢で見た映像とかって言うね」
真姫「でもそれって確かなことはわかってないわよね」
穂乃果「原因がわからないってこと?」
真姫「と言うより実験や検証のしようがないのよ、起こそうと思って起きるものでもないし」
凛「なら、本当に予知してたのかも!ことりちゃん、超能力者にゃ!」 ことり「予知とか、そうじゃなくて……、例えば美味しいお店のケーキを食べた時に、数ヶ月前に同じケーキを食べたのを思い出したみたいな……」
にこ「想い出、ってこと?」
ことり「そうっ、それ!」
絵里「でもそれなら余計におかしいわね」
ことり「だ、だよね、やっぱり気のせい……」
穂乃果「それか……」
海未「それか?」
穂乃果「本当に去年も同じことをしてた、とか」 真姫「あり得ないわよ」
希「せやね、去年は出会ってもないもんね」
穂乃果「本当に、そうなんだっけ?」
海未「何を言ってるのですか、穂乃果は」
穂乃果「去年の夏って何してたゲーム!」
にこ「何よ、突然……」
穂乃果「いくよー、アイス食べてた、はい、凛ちゃん」
凛「え、えっと、かよちんと遊んでた、はい、にこちゃん!」
にこ「ちょっ、えーと、慌てて宿題してた、はい、海未」
海未「わ、私ですか?確か、海に行った、はい、希」
希「じゃあ、えーと、あ、枕投げした、はい、花陽ちゃん」
花陽「え、えーと、確かスイカ割りを……」
絵里「ま、待って」 にこ「何よ、急に止めて」
絵里「希、枕投げって、誰と?」
希「え?エリチとじゃなかった?」
絵里「私もそんな気がするんだけど、私たち2人でどこか旅行でもしたんだっけ?」
希「え、えーと、あれ?」
絵里「自慢じゃないけど、旅行行くような仲の友達は当時は希しかいないわ」
凛「本当に自慢じゃないにゃ」
希「じゃあ2人で?」
絵里「2人で行って、そんなことするかしら」 穂乃果「花陽ちゃん、スイカ割りって、どこでしたの?」
花陽「え、それは海で……」
海未「そうですよ、海で、あれ?」
穂乃果「なんで海未ちゃんと花陽ちゃん、同じ思い出があるの?」
真姫「たまたま海で同じようなことしたんじゃないの?」
ことり「……あれ?でもそれって今年の合宿のことじゃ……」
絵里「言われてみれば、合宿で同じことしたわね」
にこ「何よ、去年の話しろって言ったのに今年の話をしたってこと?」
花陽「あ、あれ……?」
海未「そんなはずはないのですが……」
希「んー、まあ暑さでこんがらがってるんかな?」
真姫「しっかりしてよね」 凛「確かに去年は受験でそれどころじゃ……、あれ?」
花陽「どうしたの?」
凛「なんか、去年受験勉強した覚えが……」
にこ「それはあんたがやってないだけでしょ」
凛「んー、そうだったっけ?」
絵里「まあいいわ、さ、練習行きましょう」
穂乃果「もしかして、時間が巻き戻ってたりして、なんて、あはは……」
穂乃果(その時、明らかに空気が変わった、言ってはいけない言葉を口にしたみたいな……) 海未「馬鹿なこと言ってないで行きますよ、穂乃果」
穂乃果「うぅ、待ってよ、海未ちゃん!」
真姫「穂乃果、ちょっと」
穂乃果「何、真姫ちゃん?」
真姫「あなた、どこまで知ってるの」
穂乃果「え、な、なんのこ」
真姫「とぼけないで!」
花陽「ど、どうしたの、真姫ちゃん」
凛「喧嘩?」
真姫「違うわ、そうじゃなくて……、穂乃果、練習後ちょっと付き合って」
穂乃果「う、うん」
穂乃果(その時の真姫ちゃんは、なんだか怖かったけど、怯えてるみたいだった) ちょうど一日班長のループ回読んでたからタイムリーだ 穂乃果(音楽室、真姫ちゃんといえばここだよね)
穂乃果「真姫ちゃん、それでどうしたの?さっきのは……」
真姫「時間を巻き戻してるって、さっき言ったわよね」
穂乃果「え、あれは冗談というか……」
真姫「本当?」
穂乃果「だってそんなことあるわけないじゃんー、嫌だなー」 真姫「じゃあ、この曲、わかる?」
〜♪〜♪
穂乃果「これは……、不思議だね、今の気持ち……」
穂乃果「……あれ、なんだっけ、この曲」
真姫「やっぱり歌えるのね」
穂乃果「なんか聞いたことあるというか……」
真姫「どこで?」
穂乃果「え、えっと……」
真姫「これはね、これから作られる曲、私たちが作る曲」 穂乃果「これからって……、何言ってるの?真姫ちゃん」
真姫「私たち、ループしてるのよ、同じ期間をずっと」
穂乃果「る、るーぷ?……え、えええ!?」
真姫「とりあえず説明するけど、ちょっと聞いてる?」
穂乃果「聞いてるけど、あの、これってドッキリとか……」
真姫「こんなドッキリ、クオリティ低すぎるわよ」
穂乃果「だ、だよね」 穂乃果「と、とりあえず私だけじゃ頭こんがらがっちゃうというか……」
凛「話は聞かせてもらったにゃ!」
穂乃果「……凛ちゃんかぁ……」
凛「ちょっと!その反応はひどい!」
真姫「珍しいわね、花陽と一緒じゃないなんて」
凛「2人の様子が気になって……、それに凛もさっき話してた時に違和感というか……」
真姫「まあいいわ、人数は多いに越したことはないもの」
穂乃果「それで、ループって……」 真姫「つまり、ある時点まで時が流れるとそこから今年の4月まで巻き戻ってるのよ」
凛「ある時点って、やっぱり来年の3月?」
真姫「正確には……」
穂乃果「ニューヨーク?」
凛「全国のスクールアイドルと路上ライブ?」
穂乃果「またまたー」
凛「流石にそれは騙されないにゃ」
真姫「本当だってば!」 穂乃果「なんで私たちがそんなところに行ったり、大掛かりなライブが出来るの?」
真姫「ラブライブ優勝したからよ」
凛「なるほどー」
穂乃果&凛「えええええ!?」
穂乃果「ゆ、優勝!?優勝するの、私たち!?」
凛「す、すごい!やったあ!」
真姫「あああ!もう、うるさい!」
穂乃果「え、えーと、じゃあその路上ライブ終わった後に4月に戻されると」
真姫「ええ、入学式の朝になってるわ」
凛「全然気付かなかったにゃ……、あれ?でもなんで真姫ちゃんはそれを知ってるの?」 μ's終わっちゃうもんね…そういやそんな題材の同人あったわ 真姫「わからないわ、最初はぼんやりだったけど、何か忘れてるような気がして」
真姫「それで忘れないようにって願い続けたらだんだんループしても記憶がはっきりするようになったってところかしら」
穂乃果「真姫ちゃんすごーい……」
凛「ちなみにループって何回くらいしてるの?」
真姫「私が覚えてる限りは4回よ」
穂乃果「よっ?!」
凛「じゃあ凛たちもう20歳近いの!?」 真姫「そうね、もしかしたらもっとループしてるかも」
穂乃果「はわわ……」
凛「そんなことって……」
真姫「ただ、最初は私しか気付いてないみたいだったけど、だんだん皆覚えてるようになってきたみたいね」
凛「それで思い出がおかしなことに……、よーし、まずは原因を探さないとだね!」
真姫「どうして?」
凛「だって早くこのヘンテコな状態から抜け出さないと」
真姫「……」
穂乃果「ねえ、真姫ちゃん」
真姫「なに?」
穂乃果「真姫ちゃんはループに早くに気付いたのに、誰にも今まで何も言わなかったの?」
真姫「そうね」
穂乃果「……それは、なんで?」 凛「穂乃果ちゃん?……真姫ちゃん?」
真姫「……」
穂乃果「真姫ちゃん?」
真姫「……ループを抜け出す必要なんてある?」
穂乃果「な、何言って……」
真姫「ループを抜け出したら私たちバラバラになっちゃうのよ?」
穂乃果「そ、そりゃ、絵里ちゃんたちは卒業しちゃうし……」
真姫「μ’sもおしまいになるのよ?」
凛「あ……」
穂乃果「まだ、そんな先のこと考えてなかったけど、そっか、そう、だよね……」
真姫「ループすればずっと楽しい毎日なの、ずっとずっと、皆一緒にいられる」
穂乃果「で、でも!」
真姫「穂乃果を呼んだのは共犯者でいてもらうため、気付いてもループを受け入れるように」
穂乃果「真姫ちゃん、皆と別れるのは確かに寂しいけど、こんな状態はおかしいよ!」
真姫「最初は私だっておかしいって思ったけど、でもループして4月に戻った時に……」
真姫「良かったって思ったの」 凛「良かったって……」
真姫「先の見えない未来は来ない、また楽しい毎日が送れる、……ね、わかるでしょ?」
穂乃果「ま、真姫ちゃん……」
真姫「別れても、また会える、それがわかってる、素晴らしいことよ」
凛「真姫ちゃん、変だよ!そんなの!」
真姫「わかってるわよ!そんなこと!」
真姫「……それでも、μ’sが終わらないこの世界が私は嬉しいの」
穂乃果「真姫ちゃん……」 真姫「だからお願い、この先のことをちゃんと教えるわ、上手く立ち回って、それで……」
穂乃果「真姫ちゃん、私は未来がわかったらきっと違うことをやるよ」
真姫「だ、ダメよ、そんなことしたら」
穂乃果「先がわかってるなんて、そんなのつまらないよ、私はそんなつまらないことはしたくない」
真姫「……そう、やっぱりあなたはいつもそうなのね」
穂乃果「どういう……」
真姫「私がこの話を穂乃果にするのは2度目」 穂乃果「2度目……」
真姫「前回のループでも話したのよ、でもあなたは同じことを言った」
真姫「……本当に困った人ね」
穂乃果「……前回断った私はその後どうしたの?」
真姫「それは……、あ、あれ?前回その後……」
凛「真姫ちゃん……?」 真姫「お、おかしいわ、私は記憶を維持できるのに、え、え……」
穂乃果「ま、真姫ちゃん!しっかり!」
真姫「い、いや、消え……っ」バタ
穂乃果「真姫ちゃん!真姫ちゃん!」
穂乃果(急に苦しみだして倒れた真姫ちゃんが次に目を覚ました時)
真姫「……あなた、誰……?」
穂乃果(私たちとのすべての記憶が消えていた)
一章終わり 真姫「あなたたち、そんな嘘で騙されるほど私は馬鹿じゃないんだけど?」
穂乃果「本当だってば!」
真姫「スクールアイドルのくだりはまだしも、何よループって!意味わかんない!」
凛「あー!さっきの真姫ちゃんに言ってやりたいにゃ!」
穂乃果「でも困ったよ……、これじゃ……」
凛「なんで真姫ちゃんの記憶が急に……」 真姫「その、100歩以上譲ってとりあえず今の話が本当だったとして」
穂乃果「うん」
真姫「考えられるのが、さっきまでの1つ私は本当のことを言ってた、2つ嘘を言っていた」
凛「真姫ちゃん、嘘はよくないよ」
真姫「待って、3つ私自身も勘違いしてた」
穂乃果「勘違い?」
真姫「そう、私は願ったら記憶を維持できるって言ったのよね?」
凛「うん」
真姫「それが勘違いだったら?」
穂乃果「維持出来てなかったってこと?」
真姫「そこじゃないわ、願ったらってとこ」 凛「えーと、つまり?」
穂乃果「願ったから記憶が維持出来たんじゃなくて……、別の誰か……?」
真姫「そう、とんでも設定だから言うけど、記憶を操作してる人がいる、ってこと」
凛「え、えすえふにゃ……」
真姫「私も言ってて馬鹿みたいだけど、それなら納得はできるわ」
穂乃果「じゃあさっきのは、誰かが真姫ちゃんの記憶を消した?」
真姫「ええ、理由は不明だけど」
凛「でも、なんで凛たち無事なの?」
穂乃果「確かに……」
真姫「細かいことはわからないけど、さっきの会話で何かおかしいなこと言ってる人はいなかった?」
穂乃果「うーん……」 真姫「例えば、その会話になった発端になったのは?」
凛「暑いって言い出して……、あれそれって」
穂乃果「私だ」
真姫「あのねぇ……」
穂乃果「冗談冗談、えっと、何かおかしいって言いだしたのは、……ことりちゃん」
凛「でも、ことりちゃんはおかしいって言ったから違うんじゃ」
真姫「何にせよ、話は聞いた方がいいんじゃない?」
穂乃果「そうだね、じゃあ明日にでも」
真姫「待って、せっかくだから……」 翌日
穂乃果「今年の夏も暑いねー……」
にこ「溶け……、って昨日も同じこと言ってるじゃないのよ」
穂乃果「そうだっけー?」
海未「だらしなすぎます……」
穂乃果「でもしょうがないよー、毎日暑いんだから」
花陽「連日猛暑だもんね……」
希「部室でのんびりしたい気持ちもわかるなー」
絵里「そんなこと言わずに練習行くわよ」 穂乃果「海行きたいよー」
にこ「海ならこの前行ったばかりでしょ」
穂乃果「行ってないよー、何言ってるのさー」
にこ「あのね、合宿で散々……、合宿って今年よね、うん」
希「にこっちまでどうしたん?」
にこ「なんでもないわよ」
真姫「ほら、穂乃果せ、っと、穂乃果、おかしなこと言わずにしっかりしてよね」
凛「そうだよー」 穂乃果(これで、あとは……)
ことり「あ、あの、穂乃果ちゃん、さっきのって……」
穂乃果「ことりちゃん」
ことり「もしかして穂乃果ちゃん、海に行ったこと本当に忘れて……」
真姫「大丈夫よ、えーっと、ことりでいいのよね?」
ことり「真姫ちゃん……?」
穂乃果「私は忘れてないよ、だから安心して、ね?海未ちゃん、花陽ちゃん」
ことり「え?」
海未「よくわかりましたね」
花陽「……」 穂乃果「最初はことりちゃんかと思ったんだけどね」
穂乃果「昨日のあのやりとり、あれってわざとだよね?」
凛「同じ合宿の話してるのに希ちゃんは誰とどこで枕投げしたかはよくわかってないのに」
穂乃果「2人だけ思い出を共有してるような話し方だったからね」
海未「焦り過ぎましたね」
穂乃果「あれで、同調する人を探してたんだよね、きっと」 ことり「あ、あの一体何が……」
花陽「そ、それはその……」
穂乃果「それと私は記憶はちゃんとしてるよ」
真姫「2人が消したのは私の記憶だから大丈夫よ」
海未「消した……?」
花陽「え、な、なんのこと……」
真姫「とぼけないで!私は覚えてないけど、世界がループしてることを話した時に私の記憶を消したでしょ!」
ことり「る、ループ?記憶?」
凛「ことりちゃんには後で説明するにゃ」 海未「ま、待ってください、もしかして真姫も記憶がないのですか?」
真姫「ええ、μ’sとやらの記憶が一切ね」
花陽「え、そ、そんな、真姫ちゃんは一番覚えてる人だと……」
穂乃果「ま、待って、2人が記憶を消したんじゃないの?」
海未「なんですか、そのとんでも設定は!?」
穂乃果「あ、あれー……?」
ことり「ループ……、記憶……、そんなこと急に言われても……」
海未「なるほど、それで私たちが操作してると疑ったのですね」
穂乃果「ああ言えば出てくるかなーって」 真姫「えっと、海未と花陽、でいいのよね?」
花陽「うん、本当に覚えてないんだね」
真姫「昨日2人に情報叩き込まれたけどね、2人がどうも記憶があるらしいっていうのはなんとなく穂乃果が気付いたっていうから」
穂乃果「さっき言ったこともそうだけど、記憶がこんがらがってる割にはあんまり動揺してないというか」
凛「もし、記憶がこんがらがってたらことりちゃんみたいな反応するだろうって」
海未「なるほど」
花陽「確かに私たちはループの記憶があります……」 穂乃果「でも、記憶を操作したりとかは……」
海未「そんなこと出来るわけないじゃないですか」
真姫「じゃあなんで怪しい動きをしたのよ」
海未「それは、穂乃果も記憶が消えたりしたのかと……」
穂乃果「私も?ってことは……?」
海未「ええ、私ではなく花陽ですが」
花陽「私も一度記憶が消えたことがあって……」
穂乃果「い、いつ!?」
花陽「そ、その、えっと……」
海未「ダイエットの時です」 花陽「……///」
穂乃果「ダイエット?」
凛「そんなことしてたかにゃ?」
海未「あ、えっと秋に起きることです」
ことり「穂乃果ちゃーん、何が何だかだよー」
穂乃果「ご、ごめん、私もお手上げ」
真姫「だからって私を見ないでよ、もっとわかってないんだから」
海未「とにかく、穂乃果と花陽をダイエットさせてる時にですね」 穂乃果「待ったー!私もダイエット?!」
海未「はい」
穂乃果「太るの私!?」
花陽「うん」
穂乃果「あ……あ……」
海未「まあそこは置いておいて」
穂乃果「ええええ!?」
真姫「ちょっと、話が進まないじゃない」 海未「その時に穂乃果と花陽が運動中に隠れて店に入ってご飯を食べまして……」
穂乃果「海未ちゃん!さすがの私もそんなことしないよ!」
花陽「あ、あはは……」
海未「するんです!あなたは!」
ことり「まあまあ、それで?」
海未「その時に花陽が急に、海未先輩と言い出して」
花陽「その時、私はまだ皆と出会った時のことまでしか思い出せなくなってて……」
ことり「それで、気付いたってこと?」 海未「はい、私も記憶の違和感はあったのですが、花陽の話を聞いて確信しました」
穂乃果「じゃあ2人はそれからずっと?」
花陽「なるべく気付いてないふりをしながら過ごそうということに……」
海未「ええ、それで私たちのように記憶に何か変動があった方に声をかけていこうと……、それは最近なんですけどね」
ことり「最近?」
海未「ええ、さすがにこのループを抜け出したくなった、と言いますか……」
花陽「途中までは楽しかったの、でも……」
海未「毎回毎回感じる楽しいこと、悲しいこと、それが全部嘘のように感じて……」
花陽「辛くなっちゃったんです……」 凛「真姫ちゃんとは大違いにゃ」
真姫「ちょっと!その流れだと私悪人みたいじゃない!」
ことり「ま、まあまあ、真姫ちゃん落ち着いて……」
穂乃果「それで記憶が消えた様子の私に声をかけようとしたんだね」
海未「はい、ちなみにことりにもです」
ことり「わ、私?」
海未「そうです、ことりは、その、これまでで一番様子がおかしいのです」
穂乃果「どういうこと?」 海未「すでに何度かわからなくなったループで皆さんの記憶はかなり混濁してます」
花陽「多少の違和感とかがあって、それでだんだん思い出していくというか……」
海未「昨日ことりはあんな何気ない会話で違和感を感じてましたよね?」
ことり「う、うん、なんとなく……」
海未「実は、ことりは前回のループの時も同じことを言ってるんです」 ことり「えっ!?」
穂乃果「それは毎回じゃなくて?」
花陽「ループを疑うような会話まで同じなのはおかしいというか、その……」
海未「今回はもっと思い出していても、いえ、あんな会話まで違和感を感じるなら記憶がはっきりしているはずでは、と」
ことり「わ、私何も覚えて……」
花陽「それがことりちゃんが記憶を消えてるんじゃないかって疑ったところなのです」
海未「ことりはどこかのタイミングで記憶を、ただ花陽や真姫の場合と違ってうまく消えてると言いますか……」
真姫「私や、えっと花陽は大雑把に消されたのが、ことりは丁寧に消されたってことね」
海未「消されてるというのにはまだ疑問がありますが……」 穂乃果「でも昨日の真姫ちゃんの様子を見ると……」
凛「苦しんでて勝手に消えたという感じではなかったよね……」
海未「ですが、一体誰がなんのために……」
ことり「私なんだか怖くなってきたかも……」
真姫「ねえ、これって他のメンバーには聞かなくていいの?」
穂乃果「絵里ちゃん達も記憶があるのかな」
海未「おそらくまったくないというのことはないかと、ただそこまで記憶がはっきりしてる様子はないですね」
花陽「相談、した方がいいのかな」 真姫「よくわからないけど、あの3人は3年生なんでしょ?相談はした方がいいんじゃないの?」
穂乃果「うーん、いきなり話して信じてくれるかな?」
海未「ある程度違和感があるのであればおそらく……」
ことり「ね、ねえ、一旦ここにいるメンバーで話をまとめてみない?」
花陽「その方が話もしやすいかも」
海未「わかりました……、真姫、手伝ってくれますか?」
真姫「私?私は記憶が……」
海未「こういう時に冷静に話を聞いてまとめてくれるのはこの中なら真姫が適任ですから」
真姫「ま、まあいいけど……」
凛「真姫ちゃん照れてるにゃー」
真姫「照れてない!」 真姫「それじゃ、話をまとめると」
真姫「まずループの原因、これは今の時点ではまったく不明、ってことでいいわね」
海未「はい」
真姫「次に記憶について、おそらくループするとその前の1年の記憶は消えるのが前提で、何度も繰り返すうちに記憶が完全に消えなくなってる、これもいいわね?」
花陽「うん、大丈夫だよ」
真姫「記憶の残り方は個人差がある、と」 海未「そうですね、なぜ記憶がはっきりしてる方とそうでない方がいるのかは謎です」
凛「前の真姫ちゃんはすごいはっきりしてたにゃ」
真姫「そして、記憶は何かの原因でループ中でも急に消えることがある、今考えるのはここね」
海未「ええ、そこは未だにわかっていません」
真姫「この現象にあったとされるのは今のところ、私、ことり、花陽、この3人」
海未「私も含めて穂乃果や凛が消えてない可能性はゼロではありませんね」 穂乃果「私もどこかで消えてるのかなー」
真姫「そしてこれは人為的なのかどうか」
ことり「もし人為的なら、直接接触した人なのかなぁ?」
花陽「もし遠隔でも出来るならどうしようもないけど……」
海未「では仮に人為的で接触しないといけない場合を考えましょう」
穂乃果「え、それよりも不思議な力で消されたとか、遠隔で消されたとか考えた方がいいんじゃないの?」
真姫「それだと仮定が出来すぎるのよ」
海未「こういう時はまずは仮定が少ないものから潰す方がいいんです」
ことり「仮定が立てられなかったら人為的かつ接触したっていうのはあり得ないってことになるんだよね」
凛「なるほどー」 真姫「じゃあ、まず状況として私は穂乃果と凛と一緒にいた」
ことり「私はいつ消えたのか全然わからなくて……」
海未「自然に消されたと考えると接触してきても違和感のない相手かもしれませんね」
花陽「私はお店でご飯を食べていて……、そのあと海未ちゃんに見つかって……」
ことり「待って、花陽ちゃんって、確かその時」
ことり「一緒にご飯を食べてたのは」
花陽「それは」 海未「さて、そろそろ帰りましょうか、明日も練習ですし」
ことり「うんっ、疲れたねー」
穂乃果「明日くらい練習なしで遊ぼうよー」
真姫「ねえ、この人本当にリーダーなの?」
花陽「い、一応」
凛「そのはずにゃ」
穂乃果(私たちは何事もなく帰ることに、した)
二章終わり 記憶があったら絵里ちゃんが生徒会モードになれるわけないから… こういうSFネタ好きだわ、面白い
穂乃果ちゃんが不穏だがどうなる…… 数日後
絵里(やっぱりおかしい……、勘違いでも私の頭がおかしくなったわけでもない!)
絵里(急がないと……!)
絵里「希、大変よ!私たち!」
希「やっぱりエリチもなんやね、ちょうど呼ぼうと思ってたところ、ね、にこっち?」
絵里「にこ……?」
にこ「遅かったわね、絵里」
にこ「私たち3年生が頑張る時みたいよ」 62と63の間で穂乃果が真姫、海未、花陽、凛、ことりの記憶を消したな 絵里「じゃあ2人も記憶が……」
希「うん、数日前から徐々にね」
にこ「正直最初は混乱するし、頭痛はするし……」
絵里「私も自分がおかしくなったかと思ったんだけど……」
にこ「さすがに3人とも同じならこれは勘違いじゃないってことね」
絵里「そうね、なんとかしないと」
希「熱くなってるところ申し訳ないけど、ちょっとストップ」 にこ「何よ、盛り上がってるところに」
希「まず情報の整理からしないと、闇雲に動くことになるんやない?」
絵里「それもそうね……」
にこ「じゃあ絵里、話をまとめて」
絵里「わ、私が?」
にこ「だってあんた元生徒会長でしょ」
絵里「そんなこと言ってもそんなの何年も前というか、あ、でもこの段階だとまだ生徒会長……?」
希「まあなんでもいいけど、エリチよろしくね?」
絵里「わかったわ……」 絵里「まずはじめに私たちは何度も同じ期間をループしてる、正確には新学年の始まりからアキバでの路上ライブまで」
希「せやね」
絵里「そして今まではループするたびに記憶がリセットされていた」
にこ「そうね」
絵里「ただループする度に記憶のリセットが、その雑になって前のループをなんとなく覚えてることが多くなった」
絵里「そして、急にはっきりと記憶が戻った」
絵里「ここまでは大丈夫よね?」 希「うん、大丈夫」
絵里「他のメンバーの様子を見る限りだと、私たち以外は記憶が完全にリセットされている」
にこ「ええ、ちょっと前まで全員違和感あったみたいなのにね」
絵里「そして、どうやらそれが原因で私たちの記憶が戻ったと思われる、と」
希「おそらく、だけどね」
絵里「ここから完全に私の仮説だけど……」
絵里「記憶のリセットを無理にしたことで私たちの記憶が戻ったと思うだけど、それはどう?」 にこ「あー、もうさっさと結論でいいわよ、記憶完全に戻ってるなら答えも出てるでしょ」
絵里「え、ええ、でもまだ混乱してて……」
希「記憶のリセットは基本的にはループする時にされた、でも例外的にループ中に無理にリセットをしている……」
絵里「気になるんだけど、あの子は記憶あるのかしら、それとも同じように無くしてるのかしら……」
にこ「記憶があるなら大女優よ?……え、もしかしてあり得るの?」
希「うちは可能性としてはあると思ってるよ」
にこ「でも、何年もよ?それこそ気がおかしくなるんじゃ……」 絵里「どちらにせよ、慎重にいかないとね」
希「せやね、気をつけないとまたリセットされる可能性もある」
にこ「でも確かめないと仕方ないでしょ、何年も同じことやらせて……、文句も言ってやらないと、それこそ気が済まないわよ!」
絵里「作戦を立てましょう、全員の記憶が消えたら意味がないもの」
希「それにまだわかってないこともあるしね」
にこ「何かあった?」 希「んー、キリがないんだけど……、一番は方法やね」
絵里「どうやって記憶を消してるかってことね」
希「そ、直接触れるのか、それとも念じるだけなのか、距離は?対象は?」
にこ「確かに、もし遠距離でも出来るなら厄介……」
希「ま、そうは言っても直接会ってみるしか今のところどうしようもないんやけどね」
にこ「結局それ?」
希「仕方ないやん?それだけうちらもわかってないことだらけなんだもん」
絵里「とにかく会いましょう、……穂乃果に」 やっぱり穂乃果ちゃんか……
>>62のシーン、ほんとゾクッとさせられるな ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています