海未「目が覚めたら見知らぬ場所に飛ばされていました……」【ディレクターズカット版】
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海未「私の知っている秋葉原ではない様ですが……一体、何故こんな場所に?」
昨日まで私はμ'sの皆さんと練習した後にいつものマックで会議をした後、変わりない夜を過ごただけだった。
海未「さて、今どこにいるのか調べて帰る為の手立てを考えていく必要がありそうです。何か、ここが何処か分かるものは……」
そこには町内案内の看板が立っており、それを見て私はただただ驚愕するしかなかった。
海未「こ、ここは函館……だと……」
そう、ここは北海道函館市であった……私は一度も行ったこと無ければ、帰り方すら分からない。
更に言えば、ここから東京まで戻る為の手持ちすらない状況である。
海未「これは困った事になりましたね、ケータイで誰か助けを呼びたい所ですが……流石に迷惑を掛ける訳には行きませんし、一先ず周りを歩いてみましょう」
暫く歩いていると街の方に出た様で路面電車が走っていた。
海未(街中に出たのでしょうか?) 街の中の方に出た所で手持ちのものを確認してみる。
まず、ポケットにケータイが一つある事をさっき確認した。
海未(カバンには役に立ちそうなものは入っていませんね……)
カバンの中に役に立ちそうなものは一つも入っておらず、財布の中には身分証とカードが数枚と現金二千円程のみ。
これで希望は絶たれたと等しいのみである、そう東京に帰るという事が。
海未「仕方ありません、この路面電車に乗って中心地に向かいましょう」
丁度やってきた電車に乗り込み、揺られるまま中心地へ向かった。
………
……
…
一方、私を除いた穂乃果たちは……。
穂乃果「今日は海未ちゃんお休みなのかな?」
ことり「えっ、ホノカチャンも知らないの?」
穂乃果「知らないよ?だって、お休みだったら電話してくるじゃん」
ことり「そうだよねぇ……」
穂乃果「もう、どうしちゃったんだろう」
希(これは何者かによるスピリチュアルパワーで飛ばした……きっとそうや)
…
……
………
『次は終点の函館駅前、函館駅前です』
海未「函館駅には何とか着きましたが、ここからどうしましょうか?」
停留所に降りると観光地らしく、タクシーやバスがそこそこ停まっていたが今は観光しに来ている訳じゃないです。 海未「しかし、何も食べずにいると力が入らないですね……ちょっと、この辺の食べ物屋さんを聞いてみましょう」
流石に食べておかないと頭がマトモに動かないので、この辺に何か食べ物屋さんがあるのか聞いてみる事にした。
海未「すみません、この辺に食べ物屋さんとかありますか?」
住民「そうだねぇ……ラッキーピエロって店なんかどうだい?お嬢ちゃんもきっと気に入ると思うさ」
海未「ありがとうございます」
暫く歩くと何やらカラフルなお店が見えてきて、ピエロの絵が描かれているのが分かった。
海未「アレがラッキーピエロでしょうか?」
不思議な外観とは裏腹にお客さんはそこそこ入っていて繁盛している様である。
海未「取り敢えず、入って何か食べましょう」
扉を開けて席に通された私はメニューを手に取り、どれにしようか目で見て選ぶ。
海未(どうやら、ハンバーガー以外にも洋食が食べられるようですね……さて、どれにしましょう)
海未「ガラナ……ハンバーガー……あっちでは絶対にない組み合わせですね。あのすみません!」
私はラッキーチーズバーガーとラッキーガラナを頼んだ。
海未(これで残金は1000円です……どうやってやり切っていきましょう……) 店員「お待たせしました、ラッキーチーズバーガーとラッキーガラナです……あのすみません、あなたはもしかして……」
海未「はい、園田海未です」
店員「やっぱり!こんなところで会えて嬉しいです!今日は旅行なんですか?」
海未「えっ、えぇそんな所です」
店員「そうなんですか、あそこはもう行きましたか?」
海未「あそこですか?」
店員「五稜郭なんかロマンがあって良いですよ」
店長「こら、仕事中だろ!早く持ち場に戻れ!」
店員「ごめんなさい……それじゃあ、ゆっくりしていってね」
そんな他愛ない話をしながら、チーズの甘さとガラナの独特な味を噛み締めて腹を満たした。
海未(不思議な味わいでしたね……今度、皆さんと一緒に行きたいところですね)
するとケータイから着信音が鳴ってきたが、何故か非通知での着信である。
海未(一体誰でしょうか?私の番号を知っているのはμ'sの皆さんと母上だけですが……出た方が良いでしょうかね?) 海未(コレは出ない方が吉ですね……)
暫くするとケータイの着信は止み、同時に不安は多少吹き飛んだ。
しかしながら、一体誰が私のケータイに電話をしたのだろうか?
海未「何だか気持ち悪いですね、知らない人からの電話は」
するとメールが一通着信した旨のメッセージが表示されたので、メールボックスを開いた。
海未「訳の分からないメールですね……さっきから誰なんですか?」
メールの文面はこう記されていた。
『お前を召喚した闇魔術師のヨハネという者だ。無事に元いた場所に戻りたければ、このメールに記された場所に行き地図の場所へ向かえ。
その場所からまた電話での連絡を行うから出ろ。
逆らえば、汝の命を狙う魔物を送り込み殺める事になろうぞ。
地図→https://goo.deh〜』
海未「五稜郭……じゃないですか、指定の場所って」
………
……
…
???「私の作戦は上手く行きそうね、フッフッフッ……」
???「ウェブビーコンなるものでキチンと分かるものですか?」
???「安心して頂戴、コレでメールを確認した事は確認できるから」
???「だと良いんですが……」
…
……
……… 海未「何とか、五稜郭には着きましたが……電話ですね!」
するとさっきと同じ非通知での着信があり、電話に出る事にした。
海未「あなた、一体どういうつもりでここに送ったんですか!?」
???『安心して聞きなさい、これから指示するからその通りに動けば元いた場所に戻してあげる。ただ、逆らえばメールの通りよ』
海未「先ずは素性を明かしなさい、でなければ取引は出来ないです」
???『今は名乗る事は出来ぬ。しかし、いずれはキチンとした形で名乗るから今は大人しく聞いてれば良いわ」
海未「良い加減に揶揄うのはやめたらどうですか?さもなければ、警察に駆け込みますが?」
???『クソッ!仕方ない、ならばその場で待っていろ……今から姿を見せてやる。その代わり、このヨハネ様に協力するのだ』
海未「少々言い方にイラッと来ますが、いいでしょう。では、この場に居ますから直ぐに姿を見せて下さい。勿論、このまま電話を切らずに」
???「分かったわ」
すると、草叢から音を立てながらその姿を現した。
海未「あなたですね、呼び出したのは」
???「そうよ、私よ」
海未「あなたの素性を明かしなさい」
???「私はヨハネ、見ての通り普通の人間よ」
海未「ヨハネね……本名は?」
私の目力と気力に圧倒されたか、ヨハネを名乗る者は額から汗を垂らしながら本名を名乗った。
???「つ、津島善子よ!」
左にシニヨンを作ったロングヘアの彼女は津島善子と名乗った。
しかしながら、先までの威力は衰えて少し気が弱く見える。
海未「それで津島さんは一体、どういう目的で私をここに送り込んだのですか?」
善子「それは……かくかくしかじかで……」 聞いてみれば、数年後の世界からこの世界に飛ばされてしまい、元いた世界へ戻る為の術をしていたら偶然にも海未が召喚された……という事らしい。
だが、どうも矛盾している気がしてならない。
海未「成る程……つまり、あなたがこの数年前の世界に飛ばされてしまったので、その魔術を間違えてしまって私がここにと?」
善子「ええ、そうよ。でも、私だけじゃなくてAqoursのみんながよ」
海未「というと……他にもいると言うのですか?」
???「ええ、そうですわ」
背後から黒いロングヘアの女性が現れて、それに続いてぞろぞろと現れてきた。
海未「あ、あなた達がそうなんですか?」
???「ええ、その通りです園田さん」 海未「ええ、そうですがあなたの名前は?」
長い黒髪の少女が私の名を呼んだので、私も名を尋ねた。
???「私は黒澤ダイヤと言います」
黒髪ダイヤと名乗るこの方、言葉遣いや仕草から育ちの良さがあるのをヒシヒシと感じられる。
ダイヤ「こちらが私の妹のルビィと言います。ルビィ、キチンと挨拶なさい」
黒髪ルビィ、小柄で少し恥ずかしがり屋の様な感じの赤髪の方。
ルビィ「うゅ……く、黒澤ルビィです」
???「私は高海千歌だよ!みんなからはちかっちって呼ばれてるんだ」
穂乃果に似た雰囲気を醸し出している様な感じの彼女は高海千歌と名乗った。
千歌「それでね、こっちは曜ちゃんで……」
ダイヤ「千歌さん、園田さんに何て言葉遣いをしているんですの!?伝説のμ'sの方なんですよ!」
千歌「顔近いですけど……」
………
……
…
そんなこんなで長い自己紹介が済み、私たちは秋葉原へ向かうべく新幹線へ乗り込む事にした。
海未「私の分までありがとうございます」
ダイヤ「良いですの、元はと言えば私たちが起こした事ですから……」
一瞬静まり返る車内と気まずさで汗を流す私とAqoursの方々。
この静けさは新青森に差し掛かるところまで続いたが、千歌の一言でそれは壊された。
千歌「ねえ、秋葉原に行ったらどうするの?」
善子「そうね、着いたら音ノ木坂学院に行くに決まってるでしょ」
千歌「でも、行くにしてもさ……私たち、部外者だし?」
海未「あの、私の学校に何か用でもあるんですか?」 千歌「用って言われたら、やっぱりみゅー……うぐ!?」
善子((変な事を言わないでよ!何か勘付かれたらメンドくさいのよ!))
海未「何をコソコソと?」
千歌「何でもないの!」
何かを隠すこの感じ、何か別の目的もあると見て間違いなさそうだと確信した。
海未「そうですか……しかし、私の学校に来るのは良いですが中には入れませんよ?」
ダイヤ「ええ、それは承知してでの事ですから構いませんわ」
善子「ちょっと、トイレへ……」
………
……
…
一方の穂乃果達はというと……。
穂乃果「家にいないってさ」
絵里「怪しいわね、忽然と姿を消すなんて」
にこ「そうよね、あの海未が消えるなんて有り得ないし」
希「いや、有り得なくはないと思うで?」
にこ「どういう事よ?」
希「さっきから何かスピリチュアルなパワーを感じるんやけど、それが段々と強まってきてるんよ」
にこ「それと海未と何の関係が……」
絵里「もしかして、その力の持ち主が何らかの方法で海未を攫ったという事かしら?」
希「そういう事やけど、まだそうとは言い切れないんや……そうだ、水晶玉で見てみよう」
穂乃果「えっ、タロット以外にも出来るの!?」
希「実はね。それじゃあ、海未のいる場所を探ってみる……」
にこ「そんな水晶玉じゃあ、見える訳……」
希「こ、これは!?」
絵里「どうしたの、希!?」
…
……
……… 善子「くっ、我がヨハネの邪魔をするものがいる様だ……」
???「善子ちゃん、どうしたズラ?」
善子「善子言うな!ズラ丸は黙ってて!」
海未「いつもあんな感じなんですか?」
千歌「えへへ、まあね……」
新幹線は大宮に到着しつつあり、もう少しすれば東京へ到着する。
海未「さっきから語尾にズラと付けていますけど、癖なんでしょうか?」
???「そうずらよ」
千歌「花丸ちゃん、お寺の子で結構あんな感じになるんだよ」
そして、そんな会話をしているうちに終点の東京駅へ到着した。
『ご乗車ありがとうございました、東京です』
花丸「ここが東京駅……大都会ずら……」
善子「当たり前でしょ!?ここは東京よ?」
海未「取り敢えず、山手線に乗り換えましょう」
私たちは新幹線乗り場から降りて、山手線の止まるホームへ移動した。
千歌「人が多いね……」
押し寄せてくる人の波に圧倒されて唖然としているAqoursのメンバー達。
それに対して慣れてしまっている私とのギャップをか間近で感じていた。
『まもなく、4番線から内回り上野・池袋方面行きが発車致します』
海未「早く乗りますよ」
発車ベルが鳴り終わると同時に扉が閉じられ、秋葉原へと向かう。
『次は神田、神田です。地下鉄銀座線はお乗り換えです』
千歌「ねえ、音ノ木坂学院に行く前にお店に寄って何か買おうよ」
梨子「流石に今はマズイ気が……」
千歌「でも、限定のグッズがあるかも知れないよ?」
梨子「やっぱり、行きましょう。先ずはアニメイトにしましょうか?」
曜「あーあ、スイッチ入れちゃった……」 ………
……
…
希「海未は……今、神田の方にいる様やね」
絵里「その周りにいる人たちは誰なの?」
希「分からんけど、どうやら悪い人達ではなさそう」
にこ「でも、実際には攫ってるんだから悪者に変わりないじゃん」
穂乃果「でもさ、海未ちゃんが無事だし良かったじゃん!」
にこ「あんたね、仮に無事でも後で何をするか分からないのよ?」
絵里「にこの言い分も正しいけど、未だ悪者と決めるのは軽率よ」
希「ん、秋葉原に降りた様や……きゃっ!?」
にこ「水晶玉が割れた!?」
希「何者かが術を使って攻撃した様や……コレは厄介な相手かも知れんよ」 希(コレはあの中の誰かがやったと見て良いかも知れんな……だけど、何でウチが水晶玉で見ているのを知っていたんや?)
…
……
………
海未「秋葉原に着きましたね、やっと」
花丸「み、未来ずらぁ……」
善子「もう当たり前でしょ!?もう何回も言ってるでしょ!」
ダイヤ「ちょっと寄りたいお店があるのですが、宜しいですか?」
海未「はい、良いですが……何処に寄るんですか?」
ダイヤ「ちょっとグッズが欲しくて……」
海未(ますます怪しさが増してきてますね……やはり、この方達は企んでいるに違いないですが、変に動けば勘付かれて何をされるか分からないです。ここは慎重に動かなければ)
ダイヤ(園田さんに怪しまれて来てますね……ここはもう少し穏便に済ませていかなければなりませんね)
互いの心理戦が静かに催され、互いに読まれぬ様に必死で考えていた。
海未「分かりました、それじゃあ私も一緒に……」
ダイヤ「いいえ、大丈夫ですわ!園田さんはμ'sの皆さんに無事の報告をして来た方がいいですわ」
海未「ですが、貴女達は秋葉原に慣れて……」
ダイヤ「大丈夫ですわ!いざという時にはこのケータイで調べれば良いですから」
海未(必死過ぎますね、コレはちょっと……)
海未「分かりました、それじゃあUTXを待ち合わせ場所にしましょう。今は16時なので……17時集合にしましょう」
ダイヤ「分かりました」
千歌「よぉし!秋葉原を楽しんじゃうぞ!」 ………
……
…
穂乃果「ねえ、秋葉原に到着したって事はもう近くにいるって事だよね」
希「そうやね、だから探して見つけようと思うんよ」
絵里「それは良いかも知れないわね」
にこ「もし、あの人達に見つかって何かされたらどうするの?」
希「その時は……うちに任せとき」
穂乃果「おお、いつも以上に頼もしい!」
ことり「穂乃果ちゃん、今のは失礼だよ」
希「カードは……こう告げてる!」
穂乃果「悪魔!?」
希「悪魔のカード、意味は裏切りや束縛。逆さじゃないから悪い意味の方やね……」
にこ「じゃあ、その人達は悪者ってことでしょ!?」
希「確かにカードはそう告げてるから、そうなってまうね」
…
……
……… 海未(遅いです、約束の17時をとっくに過ぎています)
???「お待たせ!」
海未「遅いですy……何ですか、その姿は!?」
目の前には音ノ木坂学院の制服を着たAqoursのメンバー達が映っていた。
千歌「えへへ、ちょっと制服が売ってたからつい……」
善子「やっぱり、秋葉原は何でもあるわね」
ダイヤ((お店の中は破廉恥極まりなかったですが……コレで潜入出来ますわ))
曜「ねえ、千歌ちゃん。私も似合ってるかな?」
千歌「うん、似合ってるよ!」
千歌「よし、音ノ木坂学院に行くぞ!」
…
……
………
穂乃果「ねえ、神社にもいないね」
希「そうやね……他にUTXも見たんやけど、見当たらなかったんよ」
穂乃果「何処に行ったんだろう……」
にこ「悩んでる暇なんてないわ、あの海未を攫った奴らを捕まえて助けるのが先よ」
穂乃果「そうだけど、水晶玉を割ったんだよ?」
絵里「そうね、迂闊に手を出せそうな相手ではなさそうよ」
にこ「じゃあ、どうすんのよ!」
希「カムイの国にいた時に会得した技を使うしかなさそうやな……」
にこ「何よ、その技って?」
希「精霊を使役する技や」
………
……
… 海未「ここが音ノ木坂学院ですが……入る気満々ですが、入れませんからね」
ダイヤ「大丈夫ですわ、この通り何処から見ても音ノ木坂学院の生徒ですから」
千歌「そうだよ、これなら大丈夫だって!」
海未「そういう問題じゃなくて……ちょ、ちょっと!」
私の注意を聞かずにそのまま学校へと足を踏み込んだAqoursの方々。
これから何が起きるのか、あの時の私に予想出来る筈がなかった。 千歌「ここが音ノ木坂学院なんだ……」
善子((計画は分かってるわよね?これからμ'sの部室で儀式を執り行うのよ))
ダイヤ((分かってますわ。でも、その儀式が失敗したらどうするのですの?))
善子((その時に備えた計画もあるわ))
海未「何をコソコソと話しているのですか?」
善子「な、なんでもないわ!」
ダイヤ「そ、そうですわ!μ'sの部室は何処ですの?」
海未「それは……こっちです」
海未(怪しそうではありますが、見学したい様なので少しだけ見せてあげましょう)
そして、私はμ'sの拠点地である部室へ通したのです。
千歌「す、すごい……ここがμ'sの部室なんだ!」
曜「ねえ、A-RISEのグッズもあるよ!」
千歌「うわぁ、ホントだあ!」
海未「あまり弄るとにこに叱られますから」 ???「ちょっと、ゴメンね?」
海未「えっ?」
突然身体に鋭い痛みが走って力が抜けて崩れ落ちてしまった。
海未「な、何を……したんですか……あなた達……」
ダイヤ「それはですね、数年後の世界で私も園田さんと同じ様にラブライブへ出場するのです。しかし、廃校を阻止出来なかった。だから、その奇跡の力が欲しくてあなた達には数年後の世界……いいえ、私たちの学校が残っている世界へ連れて行くのです」
海未「が、学校が廃校になったからって……そんな事が……許せ……ますか!?」
ダイヤ「許される行為ではない事は分かってますわ。でも、こうするしかなかった」
………
……
…
希「こ、これは邪悪な気が学校から強く感じられる!」
にこ「どういう事よ!」
希「分からんけど、どうやら学校で何かが起きてるらしい」
穂乃果「もしかして、海未ちゃんがそこにいるって事!?」
希「その可能性はありそうやね。だから、早く学校へ行こう!」
絵里「そうね、早く学校へ行って海未を探すのよ」
にこ「もう、訳がわからないわよ」
…
……
………
海未「や、やめなさい……ぐっ、力が……入らない……」
善子「我らの力とならん……汝の力を持ってして……」
私たちの部室で不気味な呪文を唱えて、何かをし始めていたが先ほどの攻撃で力が入らず、ただ見ているしかない。 千歌「果南ちゃん、ありがとう!」
果南「いいわよ、これもAqoursの為だから」
海未「あ、あなた達は……さ、最低です!」
………
……
…
にこ「突然、辺りが曇り始めてきたわよ!」
希「まずい……このままだと海未ちゃんだけじゃなくて、学校まで危ない!」
絵里「危ないって、どういうこと!?」
希「感じるんや……魔界との繋がりが強まって、辺りが暗黒なオーラが覆っているのを」
にこ「そんなの、全然分からないわよ!」
穂乃果「そんな事よりも、早く見つけないと!」
…
……
………
善子「さあ、我との契約を!」
すると部屋の中心から光が放たれ、強い波動が部室に置かれたものを吹き飛ばした。
『我を呼んだ物は誰だ……』
目の前には神話に登場する様な悪魔らしきものが現れ、善子がそのものとやり取りをしていた。
善子「はい、私です……あなたとの契約をお願いして……」
その時、扉をこじ開ける音がしてきた。
穂乃果「ちょっと、開けてよ!」
海未「ほ、穂乃果ですか!?」
そう、扉の向こう側には穂乃果がいたのだが、扉は先ほどの出来事で大きく歪んで開けそうにない。
海未「穂乃果、聞いてください!扉は先ほどの波動で歪んで開けなくなっています!ですから……あがっ……」
後頭部から強い衝撃が……ああ、このまま死んでしまうのでしょうか……。 ………
……
…
『海未ちゃん、まだ諦めたらダメだよ!』
その声は……穂乃果でしょうか?
『私たちが助けてあげるから、まだ諦めないで!』
でも、どうやって……扉は開けないし、このまま学校もろとも吹き飛ばされてしまう運命。
『希ちゃんがね、力を使って助けるって!』
希がですか?
『そうだよ、だから海未ちゃんも頑張って!』
目の前が真っ白になってく……これが黄泉への誘いでしょうか?
…
……
………
???「……みちゃん……うみ……ゃん……きて……」
海未(この声は穂乃果……でしょうか?)
穂乃果「海未ちゃん、助けに来たよ!」
海未「ほ、穂乃果……それに希ににこ……絵里まで……」
希「もう大丈夫や、うちらに任せとき!」
海未「あなた達は……あなた達は最高です!」
希「さあ、うちのとっておきの技を見せてあげる」
穂乃果「おお!」
希「我と汝の契約で……さあ、炎の霊よ!」
すると目の前から赤く照らされた小さな精霊らしいものが現れた。 希「炎の霊よ、あの悪しき魔術者を燃やしてしまえ!」
すると炎の霊が指から小さな火種を出し、次第にその火は大きくなってゆく。
善子「甘いわね!我がヨハネ様を甘く見ないで欲しいわね、出でよ我がファミリアよ!あの炎の霊と共に吹き飛ばしてしまいなさい!」
炎と漆黒の闇の塊がぶつかり合い、凄まじい波動でガラスが飛び散った。
同時に私たちはその波動に耐え切れず、吹き飛ばされるだけである。
海未「っぐぅ……あ、あなた達……よくも私たちの部室を……思い出を……」
にこ「なんて事してくれるのよ……限定グッズが……A-RISEのサイン入りライブDVDボックスが……」
善子「くっくっくっ……我の契約はもう終わった!これでμ'sは……いいえ、音ノ木坂学院は我らのものよ」
穂乃果「そうはさせないよ!」
ダイヤ「あら、それはどうかしら?私たちの学校を……」
善子「守る為なら手段は選ばないわ」
にこ「バカな事言わないで!あんた達がやってる事、アイドルがやる事じゃないわよ!ただのクズよ!」
ダイヤ「何とでも言っても良いですわ、私たちにはもうコレしかないですから」
絵里「何を言ってるの!あなた達の世界で上手くいかなかったのかも知れないけど、だからって……だからって、全てを壊して奪っても良いの!?」
ダイヤ「…………くっ、こんなことはしたくなったわ!」
絵里「だったら……」
ダイヤ「私たちの学校……廃校したんですの」
絵里「えっ?」
ダイヤ「私たちの学校が統廃合する事になって、それを防ぐ為にμ'sの方々を目指してスクールアイドルをやって来た。それでも学校は守れなかった……」
絵里「でも、守れなかったからってそれは擁護出来ないわ」
ダイヤ「でも、学校を守りたいんですの!」
千歌「そうだよ!私たちの学校が無くなるなんて嫌だもん!」
花丸「そうずら!マルたちの思い出が消えるのは嫌ずら!」 絵里「あなた達はそれで良いの?」
ダイヤ「ええ、私たちの答えですから……善子、やってしまいなさい」
希「アレを……使うしか無さそうやな」
希が何やら呪文を唱えて、また何かを召喚しようとしている様だ。
希「空間を移転するで」
すると一瞬で辺りが真っ白になって、部活にあったものはおろか外の風景すら見えなくなった。
希「ここは時の世界や、みんなをここに送ったのは学校への被害を食い止める為……」
ダイヤ「な、なんて事をするんですの!?」
私の体に力が入り、自然とダイヤの頬をビンタした。
海未「あなたは……あなたは最低です!」
ダイヤ「ッ!?」
海未「あなた達の今までの思い出や人々の繋がりを絶ってでも、学校を救いたいのですか!?」
ダイヤ「!」
海未「応援してくれた方、共に闘ったライバル達……あなた達のかけがえのない方たちを失くしても良いのですか!?」
ダイヤ「そ、それは……」 海未「皆さんはどうなんですか?応援してくれた方々を裏切る様な事をしたいのですか?」
千歌「それはしたくないよ……」
海未「それに……あなた達が私たちを目指して頑張ったのですから、それだけでも立派だと思います」
ダイヤ「園田さん……」
絵里「もう一度聞くわ、あなた達はそれで良いの?」
千歌「嫌だよ……学校が消えるのは……」
曜「千歌ちゃん……私も嫌だよ。だけど、こういう事をしてまでやるのはやっぱり良くない」
希「そうや、Aqoursって言ったっけ?」
千歌「うん……」
希「あなた達を学校が救えた世界へ送る事も出来る……けど、今までいた世界の関係なんかは無くなる」
希「それでもええんなら、その世界へ送ってあげる」
千歌「えっ、それって応援してくれた人とかもいないって事?」
希「そうや、統廃合が無くてスクールアイドルすらやらなかった世界にね」 海未「つまり、さっき言った様な事になるという事です」
海未「それでも良いのですか?」
千歌「私は……私は……」
希「後悔のない様にね……」
………
……
…
私はこの不思議で何とも切なさが拭いきれないこの出来事を経験して……そして、あのAqoursというアイドグループの方達は上手くやっているのか。
今は知る由も無いが、いずれは知れるでしょう。
【マルチエンディングへ続く】 【元いた世界へ戻る世界線】
ダイア「確かに……私たちには戻るべき世界、待ってくれている人たちがいますわ」
千歌「じゃあ……!?」
ダイア「元いた世界に戻りますわ」
千歌「そんな事したら……また悲しみにくれるんだよ?」
ダイヤ「いいえ、違いますわ。悲しみでも、何もせずに見るだけしか出来なかった努力なしの悲しみではありません」
「「アレは私たちが出した答えでは解けなかったけど、楽しめた悲しみですわ」」
果南「楽しめた悲しみ……か」
ダイヤ「だから、廃校を阻止出来なかったけども無意味ではなかったのですわ」
曜「それに絆を確かめ合って、またみんなでみんなを知れたんだよ」
千歌「えへへ、そうだったね!」
希「元いた世界へ戻るんやな?」
ダイヤ「ええ、お願いしますわ」
そして私の目の前にいたAqoursの方達は徐々に消えて行き、去るその直後……。
「「全速前進、ヨーソロー!!」」
………
……
…
あの出来事から数年が経ち、私は時折あの出来事を思い出してはあの方たちの顔を思い浮かべる。
「園田さん、お久しぶりです!」
海未「お久しぶりですね、みなさん」
【終】 【新たな世界へ行った世界線】
千歌「私は……私は……」
ダイヤ「もうあの様な悲しみに暮れないのであれば……いっそのこと!」
絵里「あなた達、正気なの!?」
希「えりち、それがあの子達の答えなんよ……拒否する権利はないんや」
絵里「で、でも……!」
海未「希の言う通りです、Aqoursの方達が導き出した答えですから」
にこ「その答えで絶対に後悔はないわよね?」
ダイヤ「ええ、ありませんわ」
希「それじゃあ……その世界に送る」
そう言って、希は呪文を唱えてAqoursの方達をその『世界』へと送って……辺りは元いた部室へと戻って来た。
海未「あの方達はあれで良かったのでしょうか?」
希「どうやろうなぁ……あの世界に送る時に今までの記憶は消え去ってるから」
海未「記憶から今までが消える……何だか寂しい事ですね」
絵里「そうね、努力の結果から何までゼロにするからね」
希「でも、アレが答えやから……」
にこ「後味が悪いわね……」
………
……
…
私は数年経っても、あの時の事を思い出す。
無力に抗えず、縋れるものがない結果から私達を攫って学校を救おうとするもそれすら達成出来ず、ゼロ……スクールアイドルから何まで無かった世界へ行ってしまい……。
あの世界には何があり、あのAqoursだった方達はどうやって過ごしているのでしょうか?
今はもう知る由がないので、知る事も無ければ知る事も出来ない。
そして、私達を忘れてしまったのでしょうか?
穂乃果「ねえ、今日は久々に学校に行こうよ!」
海未「ええ」
本当に後悔は無かったのですか?
【終】 【望んだ世界から望まぬ世界への反転 ― 代償を抱え街が消えた世界線】
ダイヤ「知らない世界に行くのは嫌ですわ……」
希「じゃあ、元の世界に戻るんやな」
ダイヤ「ええ、そうしますわ……ただ、最後に」
希「最後に?」
ダイヤ「部室をもう一度見たいですわ」
希「分かった、それじゃあ元の場所に戻るで」
希が呪文を唱え、元いた部室へと戻った。
荒れに荒れ果てた部室は台風が過ぎ去ったかの様だった。
善子「ふっふっふっ……これでも喰らいな!」
希「きゃっ!?」
突然、本を取り出して闇の塊を放った。
海未「の、希!あ、あなた達謀ったんですね!」
善子「ふふふふ……それに気付くのが遅過ぎたのよ」
善子「さあ……儀式の続きをするわよ……」
【次回へ続く】 一部から呼び方の違和があったという事があったので修正をし、少し内容を変更してみました。 【予告編】
※これはあくまでもアイデアの段階ですので、発表されるとは限りません。
1995年 ―― 世はまさに大革命の年であり、コンピュータの大普及からコミュニケーションの革命が起きた。
そして、阪神大震災に宗教団体による毒ガステロ事件。
CG技術の進歩とアニメ映画の大革新。
世の中はまさに狂気の時代 (Crazy Time)
舞台は1995年の静岡県沼津市……とある女子高がいた。
それは地元では知らぬ者はいない名ゲーマーである。
その名は……
「善子言うな!ヨハネ!!」
津島善子、彼女を『ゲーセン・ヨハネ』と呼ぶ。
彼女に挑戦状が届いた。
『今度開かれる全日本ぷよマスターズ大会で勝負しなさい』
売られた挑戦は買うしかない、例えそれがぷよぷよであろうとも。
脳みそコネコネさせながら攻略していく彼女に立ちはだかるライバル達。
そして、挑戦状を出した挑戦者の正体は……あの子だった!?
20世紀最後のダイナミックに見えて小さな女子高生ゲーマー、津島善子の活躍をご覧あれ!
千歌「ぷよぷよの練習相手になってあげるよ」
善子「弱くて全然相手にならないわよ……」
千歌「えぇ〜!?酷くない!?」
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