善子「ダイヤがお見合い!?」
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ルビィ「善子ちゃんあんまり大きな声出さないでっ」
善子「っ……ご、ごめん」
花丸「こう聞くとあれだけど……本当なの?」
ルビィ「うん……お母さんとお姉ちゃんが話してるのを聞いちゃったんだ」
ルビィ「お姉ちゃんに縁談が来てるって」
善子「でもダイヤは東京の大学に行くんでしょ? 縁談なんて無駄なんじゃないの?」
ルビィ「お姉ちゃんもそういってたけど」
ルビィ「今のうちに顔合わせをさせておきたいって、お母さんが……」
ルビィ「東京の大学に行くからこそ、今なんだって」
善子「………」
花丸「大学なら、女子大だったとしても男の人と接する機会は増えていく」
花丸「だから先に引き合わせておいて、ほかに靡かないようにって算段」
花丸「ダイヤさんが尽くしてくれる人だって理解しているからこそ、ずらね」
善子「それにダイヤはなんて? まさか、するとか言ったの?」
ルビィ「会うだけは会うって言ってた」
ルビィ「断るつもりですが。ってお母さんには念押ししてたけど……どうだろう」
善子「……場所は? 時間は?」
花丸「善子ちゃん……まさか」
善子「見に行くわよ。ソレ」
ルビィ「えぇっ!?」
善子「親から来た縁談なら親は頼りにならない。私達でぶち壊しにしてやるのよ!」 ルビィ「ルビィにとって、お姉ちゃんは邪魔だったんだ」
ルビィ「黒澤って重荷を背負うから、お姉ちゃんというだけで頑張るから」
ルビィ「そのせいで、ルビィ達の関係を壊しちゃうのに」
果南「……正しいからこそ間違ってるとか言ってたのは?」
ルビィ「そのままだよ」
ルビィ「お姉ちゃんだから妹よりも頑張る」
ルビィ「長女だから家に尽くす」
ルビィ「その正しさが、ルビィにとっては間違いだったんだ」
鞠莉「それで、邪魔だから殺す?」
ルビィ「やりすぎだって言いたいのかな?」
鞠莉「……ええ」
ルビィ「もちろん、殺すことが目的じゃなかったよ」
ルビィ「ルビィはあくまで」
ルビィ「家名を背負わずにすむくらいに、東京にいかなくなるくらいに」
ルビィ「壊しちゃおうと思ってただけ」
果南「やりすぎだよ」
果南「もしそれが成功したとして」
果南「ダイヤはどうなるのか、考えてたの?」
ルビィ「それは大丈夫だよ……ね? 善子ちゃん」 梨子「そこでなんで善子ちゃんなの?」
ルビィ「善子ちゃんはお姉ちゃんが好きだからだよ」
ルビィ「どれだけ壊れてても好きだって言ってた」
ルビィ「なにがあっても好きだって」
ルビィ「でも、お姉ちゃんは今のままじゃ絶対に善子ちゃんを受け入れない」
果南「だから、ダイヤから全部奪って受け入れるように仕向けようとしたってわけ?」
ルビィ「うん。失敗しちゃったけどね」
果南「ふざけてる……ふざけすぎてる」
鞠莉「……で、失敗したから殺したの?」
善子「………」
鞠莉「自分のものにならないなら殺してしまおう」
鞠莉「狂ってる人が考えそうじゃない?」
鞠莉「ねぇ……? 善子」 善子「そうね、考えなかった。といえば嘘になるわ」
善子「……狂ってることは言い逃れできないし」
鞠莉「随分冷静じゃない……」
善子「冷静? 私が?」
善子「そんなわけないでしょ……いまにでも爆発しそうなほどにイラついてるわよ」
善子「……考えてすぐ、ダイヤを手にかけなかった自分自身にね」
善子「誰かにやられるくらいなら、私がやりたかった……」ギリッ
善子「……とにかく」
善子「私は殺意と動機を否定はしない」
善子「でも、私はやってないわ」
善子「あんたこそどうなのよ、鞠莉」
善子「かなり怪しいタイミングで抜け出したわよね?」
善子「ダイヤの言ってた用事って鞠莉と会うことだったんじゃないの?」
善子「生徒会長と理事長」
善子「呼び出す理由はいくらでも作れるじゃない」 果南「鞠莉は違う」
果南「鞠莉はそんなこと――」
善子「あんたもよ、果南」
善子「黒澤と松浦」
善子「旧綱元と海での仕事を生業とするあんた達では過去に色々あったんじゃないの?」
果南「なっ」
善子「鞠莉は淡島と内浦……」
善子「名家の口利きで潰された計画があるんじゃない?」
鞠莉「………」
花丸「動機や殺意は考えれば考えるほどに増えていく」
花丸「それを探りあってても意味がないずら」
花丸「アリバイがあるかどうか」
花丸「それを話した方がいいんじゃないかな?」
善子「そうね……」 梨子「アリバイって言っても時間は全く解らないよね?」
梨子「ダイヤさんがいつ、なにがあったのか」
花丸「警察からの事情聴取を参考にするずら」
花丸「そうずらね……みんなこう言われなかった?」
花丸「17時頃から19時頃までどこで何をしてたかって」
花丸「これは多分、ダイヤさんを確実に確認できた最後の時間から」
花丸「ダイヤさんに何かがあったであろう時間を持ってきてるんだと思う」
ルビィ「二時間の理由はなんなんだろう?」
花丸「恐らくだけど、男の人の車の出入りじゃないかな」
花丸「あの人を信じれば、その間に向こうにたどり着ける人」
花丸「そして、そこから戻れる人が候補に上がる」
花丸「二時間と言っても、18時に沼津駅にいたら」
花丸「向こうに行くバスがないから歩き、自転車、タクシーになるよね?」
花丸「移動は可能……でも、19時過ぎに戻りきれない別のお店にいたり」
花丸「他の誰かに目撃されていれば、一応のアリバイは成立する」
花丸「そうやって絞っていくんだと思う」
花丸「特に、淡島なんかは連絡船が無くなると難しいよね」
花丸「……まぁ、果南ちゃん達には手段があるけど」 果南「………」
花丸「じゃぁ、まずは言い出したマルからずらね」
花丸「マルは沼津の料理教室を開いてるおばさんの家にいたずら」
花丸「土曜日の午前中はまれに保育園などでの読書会があってね」
花丸「そこにもおばさんがいるから、たまに料理を教わってるずら」
花丸「目撃証言はないけど、おばさんがその時間は一緒にいたことを証言してくれた」
花丸「時計を見てたから間違いないって」
花丸「因みに、読書会会場からおばさんの車で移動したことはそこの防犯カメラで確認済み」
花丸「……このくらいかな」
花丸「残念ながらそこまで信憑性はないね」 ルビィ「……知り合いでも、ルビィよりはあるよ」
ルビィ「ルビィは善子ちゃんと別れた後……たしかバスがあったから17時20分かな」
ルビィ「そこで別れてホームセンターに行ったんだ」
ルビィ「そこで……えっと」
果南「何?」
果南「何かやましいことでも?」
ルビィ「……トンカチを買いました」
千歌「えっ」
ルビィ「家の勉強机を叩くためだよ?」
ルビィ「傾いてたし、ちょっとストレス発散になるかなぁって」
曜「なにそれ……黒じゃん……」
ルビィ「あはは……」 ルビィ「それで、その後しばらく外にいたけど」
ルビィ「お店とかに入ってたわけじゃないから……アリバイはない」
ルビィ「バス停で待ってただけだけど」
ルビィ「証明してくれるような人もものもない」
ルビィ「手元にあるのはトンカチとレシートかな」
善子「限りなくクロいわね、あんた」
鞠莉「そうね……でも証明できないのは私達もよ」
果南「……そうだね」
果南「私と鞠莉は淡島で会ってたんだよ」
果南「モービルで迎えに行ったけど、人や船にはあってない」
鞠莉「家に行ったわけでもないから、カメラにも映ってないわ」
曜「何してたんですか?」
鞠莉「それは……」
鞠莉「ちょっと、今後の話をね」
善子「隠すと余計に怪しいわよ」
果南「……だろうね」
果南「正直に話そう、鞠莉」 果南「私がルビィについて知ってるのはさっき話した通りなんだけどね」
果南「それについて、鞠莉と話してたんだ」
果南「ダイヤの縁談があったでしょ?」
千歌「千歌達は知らなかったけどね」
鞠莉「あまり知られたくなさそうだったから……ソーリー」
果南「話を進めるよ?」
果南「縁談の一件が終われば少しは落ち着くかもしれない」
果南「そう考えてたから、鞠莉に任せてたんだよ」
果南「それで終わった後にどんな様子だったのか話して」
果南「今後どう接していくべきか考えようってなってた」
果南「それが私達の予定であり、その日にしてたこと」
鞠莉「残念ながら、ルビィは余計に狂ってるとさえ感じたわ」
ルビィ「……だから犯人だって?」
果南「その可能性はあるよね……悪いけどさ」 ルビィ「………」
果南「………」
千歌「あ、え、えっと!」バンッ
千歌「千歌達は――」
花丸「話は聞いてるよ」
花丸「千歌ちゃんと梨子ちゃんは十千万でお手伝いしてたんだよね?」
梨子「うっ」
花丸「カメラもそうだけど宿泊客からも証言は多くあって」
花丸「特に梨子ちゃんはその時間、麻雀してたって話ずら」
善子「……手伝い?」
梨子「違うの! 人が足りないからって!」
梨子「私、ルールも知らなかったのに……」
花丸「並び替えしなかったから気付かずに四暗刻を流したもんね」
梨子「仕方ないでしょ……もういいじゃないっ」 曜「えーっと、私はうちっちーの中の人やってたよ」
曜「まぁ、バイトだね」
曜「証言と証拠はたくさんあるよ!」
曜「……誇っていいのかは、わからないけど」
善子「誇らなくても安心していいんじゃないの?」
善子「警察も認めたアリバイなら対象外でいいとは思うし」
ルビィ「そうすると……」カキカキ
ルビィ「梨子ちゃん、千歌ちゃん、曜ちゃんはシロ」
ルビィ「花丸ちゃんもシロだね」
ルビィ「……あ、善子ちゃんは?」
善子「私は家にいたわよ」
善子「お母さんがいたけど証拠になるのはマンション入り口の防犯カメラね」
善子「時間は……はっきり覚えてないけど18時頃だったわ」
ルビィ「うーん……」
善子「クロでいいわよ、はっきりしないし」
善子「クロは私とルビィ、鞠莉と果南ね」
鞠莉「庇いたくはないけど、善子のその時間が事実なら」
鞠莉「善子もシロじゃないかしら」
花丸「そうずら」
花丸「無駄に選択肢を増やしても仕方がないよ」サッサッ 果南「私と鞠莉は互いが違うと解ってるから」
果南「そうなるとルビィちゃんになるんだけど……」
ルビィ「当然、ルビィもやってない」
花丸「確か、ルビィちゃんが買ったトンカチにはルミノール反応だっけ?」
花丸「血はついてなかったって話だよね?」
ルビィ「うん」
鞠莉「ブラフで用意した……という線は?」
善子「それを言うなら、あんた達だって共謀の可能性がある」
善子「二人がかりなら時間もかからないし余裕よね」
スッ
梨子「一つ、良いかな?」
果南「何?」
梨子「本当に男の人じゃないとして」
梨子「私達とも関係のない第三者ということはないのかな?」
花丸「その可能性もあるずらね」
千歌「そうだよ! きっと誰か別の人だよ!」
千歌「もう止めよ? ね? 止めよう!」 曜「千歌ちゃん……」
千歌「アリバイを疑うのは警察だけでいいじゃん……」
千歌「もうやだよ……もう止めようよ」
鞠莉「正直、ここで話し合ってても埒が明かないとは思うわ」
鞠莉「大前提としてダイヤの髪留めを無かったことにする」
鞠莉「その時点で若干の無理があると思わない?」
ルビィ「ここだけの話、男の人は否定してるけどお母さん達はあの人が犯人だって話をしてる」
善子「ダイヤが見つかってないのに?」
ルビィ「否定し続けてるのは逃げ切るためだ」
ルビィ「そういうのが信じられちゃう状況なんだよ」
花丸「やっぱり、髪留めが大きいずらか……」
ルビィ「うん」
善子「………」
善子「じゃぁ聞くけど」
善子「あんた達はダイヤを諦められるわけ?」
善子「見つからないまま、いつか犬が骨を探り当てることを願ってるわけ?」
善子「正直に言うわ」
善子「私は犯人が知りたいんじゃない、ダイヤを見つけたいのよ」
善子「そのためなら誰のことでも疑う」
善子「Aqoursも、お母さんも、町も、警察も!」バンッ 果南「やり方とか、色々気に入らないことはある」
果南「でも、善子のその気持ちが分からないわけじゃない」
果南「言い方は悪いけど」
果南「生死に関わらず、ダイヤを見つけてあげたいって思う」
果南「殺した奴だけが、ダイヤの眠ってる場所を知ってるなんて……そんなの許せない」
鞠莉「そうね……遺体だったとしても」
鞠莉「手厚く、しっかりと弔ってあげたい」
ルビィ「うん……生きてても死んでても」
ルビィ「知らない誰かが持っていて良いものじゃない」
ルビィ「邪魔ではあったけど、ルビィにとって大切なお姉ちゃんだから」
千歌「それは、千歌も分かるよっ」
千歌「ダイヤさんは千歌の憧れでもあった」
千歌「厳しいけど、優しくて」
千歌「頑張ったときに褒めてくれて、頑張りすぎると心配してくれて」
千歌「本当のお姉ちゃんではなかったけど、お姉ちゃんみたいで、好きだった」 曜「私も好きだったよ」
曜「ダイヤさん、最初は堅物〜って感じだったけど」
曜「実際はそんなことなくて、馴染み易くて」
曜「でも、不思議とダイヤ”さん”って呼んじゃう」
曜「……そんな、憧れの人だった」
梨子「生徒会長としてしっかりした一面と、ほんの少しズレた冗談を言うところや御茶目なところ」
梨子「そのギャップが可愛らしくて、可愛いと言われると照れくさそうにする」
梨子「その大人びた中にある愛らしさが、魅力的でした」
花丸「ちょっとしたことにもまじめに取り組んでくれて、困っているところにはすかさず手を差し伸べてくれて」
花丸「手を貸してくれたのに、自分の手柄を誇らしく言わずに誉めてくれて、認めてくれて」
花丸「頑張りましたね。って言う、柔らかい笑顔が可愛くて」
花丸「それなのに、時折見せる凛々しさが格好良くて」
花丸「ふとした時に、目で追いたくなる」
花丸「素敵で、魅力的で……マルは好きだったよ」 おもろいけどただひとつ
松浦はルビィちゃんのことちゃんつけなのか呼び捨てなのかはっきりしない 善子「………」
果南「どうする?」
善子「どうするって、なにがよ」
果南「まだ、疑いたい?」
善子「……だった。だったって」
善子「まるで過去のことのように語ってるアンタらのことなんて、信じられないわよ」
花丸「思い出だからだよ。善子ちゃん」
花丸「それ以外の他意はないずら」
善子「……どうだかね」
善子「中には本当に過去のことで切り捨ててるやつがいるかもしれない」
梨子「善子ちゃん!」
善子「私は可能性の話をしているだけよ」
善子「二年生には確実なアリバイがあってよかったわね、梨子」
梨子「っ」
善子「ここで探りあってても意味はないしダイヤは見つからないってのは分かったわ」
善子「ずら丸、私は探しに行くけどついてくる?」
花丸「うん、善子ちゃんとならどこにでも」
善子「そ……じゃぁ行きましょ」ガタッ
果南「善子!」
善子「………」
果南「私たちはダイヤを殺してない……信じられないだろうけど、それだけは言っておく」 ルビィ「ルビィはお姉ちゃんのこともあってお母さんが厳しいから手伝えない」
ルビィ「でもね? 善子ちゃん」
ルビィ「曜ちゃんと果南ちゃんは海に出てくれてる」
ルビィ「千歌ちゃんと梨子ちゃんは十千万で話を聞いてくれてる」
ルビィ「鞠莉ちゃんは学校のみんなや先生に話を聞いてくれてる」
ルビィ「花丸ちゃんはそんなみんなの情報をまとめたり、考えてくれてる」
ルビィ「善子ちゃんが家に引きこもってる間、みんなは頑張ってたことを忘れないで」
善子「……言うじゃない、ルビィ」
ルビィ「文句があるなら聞くよ」
ルビィ「殴りたいなら、受け止めるよ」
善子「いや、アンタが言ってるのは間違ってない」
善子「そうね」
善子「まぁ、ダイヤの件で頑張ってくれた……ってことくらいは」
善子「認めておいてあげるわよ」
ルビィ「花丸ちゃん、善子ちゃんをお願いね?」
花丸「うん、任せて」
善子「勝手に任せてんじゃないわよ」
善子「さっさと行くわよ、ずら丸」 ーーーーー
ーーー
ーー
スタスタスタ
タッタッタ...
善子「……ねぇずら丸」
善子「あんたはどう思う? Aqoursメンバーに犯人はいないと思う?」
花丸「どうかな……怪しいか怪しくないかで言えば」
花丸「怪しいって言える人はいるずら」
花丸「鞠莉ちゃんは、車で見つかった髪留めを無視するのは難しいって言ってたけど」
花丸「マルは、難しいからこそ一度考えから外したり、考え方を変えるとか」
花丸「そういった発想の転換が必要なんじゃないかなって、思う」
善子「それはまぁ……私も一理あるわ」
善子「でも、それでどうにかなるとは思えない」
善子「果南、鞠莉、ルビィ」
善子「アリバイのない3人の中で、一番可能性があるのはルビィ」
善子「階段で突き飛ばした前科、邪魔だと言っていた過去」
善子「それに、トンカチまで買ってた」
善子「私たちの中の誰かが犯人である。という前提なら、犯人は間違いなくルビィだと思う」 花丸「それはどうかな」
善子「え?」
花丸「よく考えてみるずら」
花丸「アリバイがある人の中には、アリバイを絶対証明できてない人もいる」
タッ...
クルッ
善子「……どういうこと?」
花丸「それだから、あれだから、こうだろう」
花丸「そういう先入観を持っていたらダメなんだよ」
花丸「よく考えて」
花丸「証言されたアリバイの中で、本当にその人である。という証明ができていない部分がある」
善子「……本当にその人じゃない部分?」
善子「………」
花丸「……着ぐるみずら」
善子「!」
花丸「その時間、その中はこの人だ。その先入観があれば、たとえ誰か代理を用意していても、それは渡辺曜になる」
善子「そういうこと……!」
花丸「うん、だから言われたことを鵜呑みにしないほうが良い」
花丸「常に、もしかしたら。という考えを持つのが、解決への糸口になるずら」
善子「一理ある」
善子「あんたを助手にしておいて良かったわ」
善子「そういう疑ってかかる捻くれた考え方するのは、今はずら丸くらいだし」
花丸「褒めてるようで、褒めてないよね?」 善子「……とはいえ、髪留めや落ちてた靴にそれは適用できないわよね」
善子「別の誰かの同じもの。とかになる?」
花丸「そう言えないこともないけれど」
花丸「もしもそうだとしたら、別の事件が発覚するよね」
善子「血がついてたのは事実だから、そりゃね」
善子「……あのさ」
花丸「?」
善子「果南はモービルで迎えに行った。って言ってたわよね?」
花丸「そうずらね」
善子「でもその時に人に会わなかったし、船もなかった」
善子「けど、釣りしてる人はいたんじゃない?」
善子「果南が見ていないだけで、見ている人はいた。その可能性はあるんじゃない?」
花丸「果南ちゃんと鞠莉ちゃんのアリバイを証明するの?」
善子「気に入らないからって、私情を挟んでたら解決しないわ」
善子「気になるやつだからこそ、余計な先入観や偏見だったりに考えを囚われないように排除しておきたい」
善子「排除できなければ、出来ないでそういうことって考えられる」
花丸「……戻ってきたずらね。善子ちゃん」
善子「戻るも何も、私は私よ」
花丸「うんっ」ニコッ ……ピッ
花丸「どうだった?」
善子「どこに迎えに行ったか教えてくれたわよ」
善子「疑われてるのに嫌そうな反応ではあったけど」
善子「好きなだけ調べたらいいよって、キレられたわ」
花丸「日頃の行いずらね」ニコッ
善子「うるさいわよ、アンタ」
善子「果南はみとしーの近くの海水浴場のところに迎えに行ったって」
善子「鞠莉はレンタカーだったから」
善子「それを返してから。ってことで、その場所になったみたい」
花丸「なるほど」
善子「……目撃者がいるかどうか」
善子「いると、楽なんだけど」
花丸「ちなみに、目撃証言はそこまで証拠にならないらしいずらよ」
花丸「聞いた話、三日後には75%の記憶が消えるらしい」
善子「あんたさ」
花丸「ん?」
善子「そういう、意地悪な横やり止めてくれない?」
花丸「ずらっ」ニコッ ―――――
―――
――
善子「先週の土曜日なんですけど」
善子「こんなかんじの人、見かけませんでした?」
「ん〜どれどれ?」
「おぉ〜……」
善子「………」
「ん〜もっと見せてくれ」
「……他の写真は無いのかね?」
善子「………」
善子「……ハァ」
善子「見たの? 見てないの!?」バンッ
「ひっ」
「み、みみみてない!」
「すまん!」ペコッ
善子「ったく……」
花丸「善子ちゃん、どうどう」
花丸「落ち着いて」
善子「なんなのよあいつら!」
善子「思い出す気ないでしょ!」
花丸「……スタイル強調するウェットスーツ着てる果南ちゃんの画像でしょ?」
花丸「仕方がないずら」
花丸「そもそもそんな写真、どこで?」
善子「千歌がくれたのよ」 「ちょっと待ってくれ」
善子「何よ!?」
「まぁまぁ、そんな怒らないで」
「先週の土曜日って言えば第二土曜だろう?」
「その日ならもしかしたら、向こうの通りにある魚屋のじいちゃんが居たかもよ」
花丸「何かあったずら?」
「第二土曜はよくあの辺りで釣りしてるのを見るからね」
「確か定休日だったかな……趣味の時間にしてるんだろう」
花丸「……なるほど」
花丸「ありがとずら〜」
花丸「善子ちゃん、行ってみよう」
善子「ええ」 犯人の手の上で踊らされてるような気味悪さがあるな… 「あぁ、この子なら見たよ」
善子「本当?」
「あぁ、間違いないねぇ」
「大きな声でまり〜! って呼んでたから気になってね」
「ついつい目を向けてしまってね」
「金色の髪の女の子に手を振って呼んでたよ」
「よく覚えてる」
善子「……そう」
花丸「警察からその事について話は聞かれたずらか?」
「警察? 警察なら黒澤さんの娘さんについては聞かれたけどねぇ」
「何か関係があるのかい?」
花丸「……同じ部活の仲間でアリバイがなくて疑われそうだったずら」
花丸「出来たら、警察にその事を話してほしいずら」
「そうか……そういうことなら任せなさい」 善子「アリバイ成立……」
善子「ってことでいいのかしら?」
花丸「教えてない鞠莉ちゃんのことも知ってたし」
花丸「間違いないと思っていいんじゃないかな?」
善子「つまり、二人はシロ?」
花丸「17時半頃にみとしー近くにいて」
花丸「淡島に向かうのを見られてたとなると」
花丸「流石にまた戻ってきて」
花丸「ダイヤさんに会って、戻る。というのは無理じゃないかな?」
善子「……そうよね」
花丸「後はルビィちゃんのアリバイかな?」
善子「ええ、でも立証は難しいだろうから」
善子「近いし、まずはみとしーで曜のアリバイを成立させましょ」
善子「あんたのせいで、疑わしくなっちゃったのよ」
花丸「ごめんね」
善子「いいわよ別に……間違ってはないから」 >>319
こんなつまんねーssを楽しみに生きてるお前に言われたくないわ 「いやいやいや」
「ちゃんと渡辺さんだったよ」
善子「中身見たの?」
「中身って……」
「まぁそうだね、私は着ぐるみじゃなかったけど」
「一緒に着替えたし、休憩も一緒だったから間違いないよ」
「何? 例の事件、渡辺さんを疑ってんの?」
善子「一応の確認よ」
「渡辺さんはそんなことしない!」
「警察も来たけど、なんなの!?」
「確認確認ってさ、疑ってるからするんでしょ!?」
善子「否定はしないわ」
善子「それより、あんまり喚くと怪しいわよ?」
「なっ」
善子「バレそうで焦ってるように感じるから」 なんか段々と四面楚歌になってきそう。
体面って大事なんやねえ…… 「ふざけないでよ!」
「渡辺さんも私も違う!」
「バイトしてたから証明できる!」
「だいたい、誰だって疑われたらこうなるよ!」
善子「……でしょうね」
善子「言っておくけど、疑われたのは私達もだから」
善子「自分達だけが被害者だとか思わないで」
「あんたみたいなのが渡辺さんの友達なんて信じられない」
善子「……そうね」
善子「信じられないものが、現実だってことでしょ」
善子「だからアリバイがあるのは、信じてあげるわよ」
「っ……出てけ!」 >>349
反論になってねえしつまらん言いながら何度も来てお前こそ何がしたいんや
黙って失せろや >>354
そのゴミにはもう触らんほうがええ
君の手も汚れてまうで 花丸「喧嘩売りすぎじゃない?」
花丸「後が面倒だよ?」
善子「良いのよ……別に」
善子「ダイヤを見つけたところで結果は見えてる」
善子「言い換えれば、先を見据えてんのよ」クスッ
善子「あんたも嫌ならいなくなって良いのよ?」
花丸「こんなのは先を見据えてるとは言わない」
花丸「自棄になってるって言うずら」
花丸「それに……マルは別にどんな善子ちゃんでも良いって思ってる」
善子「は……?」
善子「あんたなに言ってんの?」
花丸「……分からないかな」
花丸「善子ちゃんのダイヤさんへの気持ちと一緒」ニコッ 善子「え?」
花丸「善子ちゃんがどんなダイヤさんでも好きであれるように」
花丸「マルもどんな善子ちゃんだって愛せる」
花丸「本当だよ?」
善子「………」
花丸「………」ニコニコ
善子「……嘘っぽい」
花丸「ずらぁっ!?」
花丸「嘘じゃないよ!」
善子「あんた、全体的に嘘っぽいのよ」
花丸「そんなぁ……」
花丸「マルは――」
「あら? 花丸ちゃん?」
花丸「?」
花丸「あ、料理教室のおばさん!」 「……そちらはお友達?」
善子「……津島善子です」
「よろしくね……善子ちゃん」
「それにしても大変ねぇ、黒澤さんの娘さん」
「私のところにも花丸ちゃんのことを聞きに来てねぇ……」
「そんなことする子じゃない!って追い返してやったわ」
花丸「うん、ありがとう」
善子「ちょうどいいわ」
善子「その話を詳しく聞きたいの」
善子「少し――」
パンッ
「それならウチに来なさいな」ニコニコ
「そんなお話だけじゃあれでしょう?」
「一緒にお料理しましょう、ね?」
善子「は? いや、私は」
グイッ
善子「ちょっ」
「良いから良いから」ニコニコ
善子「やっ、わっ……は、放せーっ!」
……ズルズル ―――――
―――
――
チッチッチ…
ボッ
ジュー……
コンコン
善子「……なんで料理しなきゃいけないのよ」
花丸「あーるぴーじぇーゲームの定番?」
善子「RPG!」
善子「それと、現実であってゲームじゃないわよ、ここは」
花丸「それはそうだけど、イベントだし」
善子「イベントいうなっ」
善子「ったく……なんなのよ……」
花丸「きっとおばさんなりの気遣いずら」
花丸「少しでも気を紛らわせようとしてくれてるんじゃないかな?」
善子「ただの善意の押し付けじゃない……」
花丸「嫌なら帰る?」
花丸「マルのアリバイ、疑われたくないし?」ニコッ
善子「絶対に帰らない」イラッ 「お友達の為に話を聞いて回るなんて、友達想いねぇ」
善子「別にそんな理由じゃないわ」
善子「警察と一緒」
善子「怪しいと思うから、調べてるのよ」
「あらあら」
「でも本当は、怪しいと思わなくなるように、でしょう?」
善子「はぁっ!?」カシャンッ
花丸「ぁっ」
善子「そんなわけないじゃない!」
「みんなのことを疑いたくないから、信じたいから……」
「裏を返せば、ねぇ?」ニコニコ
花丸「うんうん」ニコニコ
善子「っざけんじゃないわよ!」
善子「そんなわけないでしょ……」
善子「私にはダイヤだけで良かったのよ!」
善子「ダイヤさえいてくれればそれでよかったのよ!」
善子「それなのに――」
ポンッ
「……落ち着いて」 「善子ちゃん、黒澤さんの娘さんが大好きだったのねぇ」
「善子ちゃんが本当に言ってるって、強く感じるわ」
「その相手が大変な目に遭って、許せないっていうのも……強く、感じる」
善子「知ったようなこと――」
「ええ、そうね」
「でもその相手を想うのなら、相手の為に……相手の分も……」
「善子ちゃんは正しくいてあげなきゃね」
善子「っ……」
花丸「でも、それが簡単にできたら苦労はしない」
花丸「少しずつでいいずら」
花丸「ゆっくりでいいずら」
花丸「無理をさせたって、おぼつかない足では躓いて怪我をするだけだから」
花丸「背中を押す人は、押される人の顔を知らない」
「花丸ちゃん……」
花丸「だよね?」ニコッ
「そう、ね……ゆっくりで、いいのよ」 「花丸ちゃんのことだったわね……」
「花丸ちゃんとは、その日の読書会の時に会ったわ」
「今日もおうちに寄っていく。という話をして……」
花丸「えっと、そのあとからで大丈夫ずら」
「あら、そう?」
「家に戻った後は……普通に料理をしていたわね」
「たしか……17時頃かしら」
「お肉が安くなっていたから、ハンバーグを作ったの」
「料理して、他愛もない話をしてね……気づいたら19時過ぎだったわ」
「それで花丸ちゃん、慌てて帰っていったの」
「でもその大慌てのせいで、また一時間後くらいに戻ってきたのよねぇ」
「花丸ちゃんったらね。携帯、忘れて行っちゃったのよ」
花丸「えへへっ」
花丸「ついついお話に夢中になっちゃった」 ダイヤに何かあったと思われる時間は20時ごろだったが 善子「その19時過ぎって、具体的には?」
「ええと……確か、19時半少し過ぎね。35分まではいっていなかったと思うわ」
善子「間違いない?」
「ええ、そこの時計で確認したから大丈夫よ」
善子「ふぅん……そう」
善子「となると、約21時に戻ってきたってことになる」
善子「この場所からダイヤがいなくなった場所までは……」スッ
善子「行こうと思えば行けるわね。まぁ、時間的な問題もあって無理だけど」
善子「全力で行ってダイヤを殺して戻れば、可能性はあるけれど」
「あの場所まででしょう? タクシーでも使わないと無理よ」
「加えて、見つからない場所に娘さんを隠すとなったら。ね」
善子「……警察もアリバイとして認めたなら」
善子「向こうが持ってる情報を合わせても犯行は無理だってことになる」
「だから言ってるでしょう?」
「花丸ちゃんは、そんなことはしないって」ニコッ
善子「……そうかしら」
善子「私の友達に無害そうな奴はいたけど、人を殺す覚悟してたわ」
善子「分からないものよ、人間なんて」 ―――――
―――
――
スタスタスタ
スタスタスタ
花丸「これで、あとはルビィちゃんずらか?」
善子「そうね」
花丸「ルビィちゃんのアリバイは証明できると思う?」
善子「さぁ?」
善子「話を聞く限りじゃ、難しいんじゃない?」
善子「まぁ、もしもルビィが殺していたら」
善子「あの慌てっぷりは相当な女優魂だわ」
善子「いつから計画して、練習してたんだか……考えるだけで、恐ろしいわね」
花丸「そうだね」
花丸「……本当に、あの人が殺したのかもしれないね」
花丸「マル達は、意味もなく疑いあってるだけなのかもしれない」
善子「意味ならあるわよ」
花丸「?」
善子「疑いが晴れれば、私に殺されなくて済む」 ゴミはこのssだろw
お前らは目が汚れてるから面白く見えるんかw 花丸「……そっか」クスッ
善子「なに、笑ってるのよ」
花丸「ううん、ただね」
花丸「ただ……善子ちゃんは不器用なんだなぁって」
善子「はぁ?」
花丸「殺されなくて済む。なんて、相手の立場じゃなきゃ出てこないよね?」ニコッ
善子「言葉の綾よ」
善子「アンタみたいに、考えて発言してるわけじゃない」
善子「揚げ足取りはやめて、殺すわよ」
花丸「マルはダイヤさんを殺してないのに……」
善子「なんか気に入らないから」
花丸「えぇ……」
善子「冗談よ」
善子「アンタはうざいけど、嫌いじゃない」
善子「ダイヤを殺した犯人じゃないなら、殺したりしないわよ」
花丸「そっか、ならよかった」ニコッ
花丸「マルは、殺してないもん」
善子「ま、アリバイは成立したしね」 花丸「……そういえば、ダイヤさんが殺されたとされる日から一週間だよね」
花丸「そろそろ、危ないかな」
善子「危ない? 何が?」
善子「ダイヤの生存――」
花丸「ううん、そうじゃなくて」
花丸「善子ちゃんがもし、ダイヤさんを殺した犯人として勾留されたらどうする?」
善子「もちろん、否定するわ」
花丸「でも、周りはみんな疑ってくる」
花丸「愛した相手を、お前が殺したと繰り返す」
善子「…………」
花丸「自分がその愛する人の姿を最期に見たのなら、その自責の念は……どれほどだろう?」
花丸「辛いだろう、苦しいだろう、悲しいだろう」
花丸「きっと、夢にまで見るほどの……苦痛だろう」
花丸「心が優しければ優しいほどその痛みは比例する」
花丸「だから、きっと……」フイッ
善子「ずら丸?」 花丸「……ううん、なんでもない」
花丸「見つかると良いね、ダイヤさん」
善子「そうね……」
善子「できる限り早く、見つけてあげたいわ」
花丸「……そうだ」
花丸「善子ちゃん」
花丸「些細なことでも、ヒントになることがある」
花丸「ちょっとした出来事でも、自分の疑問にひっかけてみると」
花丸「案外、解けることがあるかもしれないよ」
善子「なるほど……分かった」
善子「考えてみるわ」
花丸「うん」
花丸「何があっても、めげたりしたらダメずらよ」ニコッ
善子「……?」
善子(ずら丸はきっと、分かってた)
善子(だからきっと、そんなことを言ったのだ)
善子(男は自責と悪意に耐え切れずに命を絶つ)
善子(それはつまり、ダイヤの居場所は二度とわからなくなってしまうということだと)
善子(だから、心が折れることはないようにと――念を押してきたのだと)
善子(私がそれを理解することが出来たのは)
善子(翌朝、容疑者自殺のニュースが流れてきたのを見てからだった) ダイヤさんのいやらしい身体を舐めまわすように見ながら勃起してたことくらいしか悪いことしていないのに ちんこがそのときふっくらしてたかのアリバイがないんだよ ―――――
―――
―浦の星女学院:翌日放課後―
果南「………」
千歌「………」
鞠莉「………」
曜「……どう、なっちゃうのかな」
善子「どうなっちゃうって、何が?」
曜「ダイヤさんのこと」
曜「まだ見つかってないのに、男の人自殺しちゃったって……」
梨子「殺したから自殺したっていう話と」
梨子「殺していないから自殺したっていう話」
梨子「今朝のことなのに、凄く……」
花丸「仕方がないことずら」
花丸「死人に口はないけれど、意味はある」
花丸「……いずれにしても、これは大きいずら」 ルビィ「お姉ちゃんのことは探してるけど、でももう……完全に遺体を探してるだけ」
ルビィ「警察の中には、バラバラにされてもう捨てられちゃったんじゃないか。なんていう話も出てるって……」
花丸「そんなこと言われたずらか?」
ルビィ「ううん……ルビィはお母さんたちの話を聞いちゃっただけ」
善子「でも、そう考えられてるってことでしょ?」
善子「そもそも、20時に通報した段階で取り合わなかったクズを処刑すべきだわ」
千歌「く、クズって……」
果南「善子のアリバイ探りは?」
千歌「果南ちゃんっ」
果南「男の人がシロなら、誰かがクロ。もちろん、私達以外の可能性もあるけどさ」
果南「まず私達はどうだったの?」
善子「ルビィ以外はシロ……って感じだったわ」
善子「良かったわね果南、鞠莉」
善子「二人を見てた人がいたからアリバイは成立したわ」
鞠莉「そうなの……? 成立、させてくれたのね」
善子「させたくてさせたわけじゃないわ。勘違いしないで」 ルビィ「……あの、あのね」
ルビィ「本当は、言うべきじゃないと思うんだけど」
ルビィ「犯人は男の人だって、警察も、お母さんたちも考えているみたい」
ルビィ「……昨日、言ってたんだって」
ルビィ「私が悪いんです、私が……私が全部悪いんです。申し訳ありませんでした。って」
梨子「それって……」
花丸「心が限界だったんだろうね」
花丸「きっと、ダイヤさんを殺したことを聞いても、何を聞いても、それしか言わなかったんじゃないかな」
善子「……死ぬなら死ぬで、ダイヤの居場所を吐きなさいよ!」ガンッ
ガタッ
ガタンッ
善子「なんで」
善子「なんで何も言わずに死んでんのよ!」ダンッ
善子「ふざけないで……ふざけないでよ!」
善子「白黒はっきりさせてから……死になさいよっ!」ギリッ
曜「善子ちゃん……」
鞠莉「ねぇ、どうするの?」
鞠莉「私たちの間で疑いあっても……もはやどうにもならないわ」
善子「なに? じゃぁ受け入れろっていうわけ!?」
善子「ダイヤが殺された、遺体も何もありません、でもこの世にはいませんって!?」
善子「あんたは、それで納得できるって言うの!?」
スッ...パンッ
善子「っ」
鞠莉「そんなわけないじゃない!」 鞠莉「私だって否定したいわよ!」
鞠莉「私だって、ダイヤを見つけてあげたいって思ってるわよ!」
鞠莉「でも、どこにもいないのよ!」
鞠莉「一番の容疑者は自殺して、何があったのかさえ見当もつかない……」
鞠莉「絶対に信じたくない、バラバラにされちゃったっていう話を信じるしかない状況にまで来てるのよ!」
グィッ
善子「っ」
果南「鞠莉っ、やめな!」
鞠莉「自分だけが悲しいみたいなこといい加減やめて! 子供みたいに当たり散らして……」
鞠莉「そんなことで解決することなんてなにもないでしょ!」
千歌「鞠莉ちゃんまで……」
鞠莉「はぁ……はぁ……」フルフル
鞠莉「ソーリー……ベリーホット……」ガタンッ
鞠莉「善子の気持ちも、分かるわ」
鞠莉「でも、もう……」
善子「…………」
花丸「……今日は解散しよう」
花丸「その方が、良いと思うずら」 梨子「そうだね、花丸ちゃん」
梨子「今日は、もう帰ろう?」
梨子「Aqoursの練習も……ダイヤさんがいないんじゃ……あれだし」
千歌「……Aqoursのことも、考えないとだね」
果南「っ」
果南「終わりにするの? 千歌」
千歌「ダイヤさんがいてこその、9人のAqoursだった」
千歌「もちろん、卒業して三年生がいなくなってもAqoursから人はいなくなっちゃうよ」
千歌「でもそれは仕方がないことで、当然のことで」
千歌「本当にいなくなっちゃうわけじゃなくて……」グッ
千歌「本当ならここにいたはずなのに」
千歌「きっと、千歌達はその気持ちを忘れられなくて、すべてが悲しくなっちゃう気がするんだ」
鞠莉「……そうね」
ルビィ「…………」
善子「一緒にいるから何があるってわけでもないし」
善子「それも致し方ないんじゃないの?」
ガタッ
善子「……私は帰るわ」
花丸「待って善子ちゃん、マルも一緒に行く」 タッタッタッタ
タッタッタッタ
善子「……もう付いて来なくていいのよ?」
善子「アリバイ探しなんて、なんか、あとルビィだけだし」
善子「きっと、証明できない」
花丸「善子ちゃん、諦めるの?」
善子「諦めたくて諦めるわけじゃない」
善子「でも、もう……」
善子「分かってるわよ、鞠莉に言われなくたって」
タッタッ.....
キュッ
花丸「………」
花丸「そっか」
花丸「それが、善子ちゃんの決めたことなら仕方がないね」
花丸「善子ちゃん、また明日ね」ニコッ
花丸「絶対、絶対だよ?」
善子「……」
善子「そんな心配しなくても、死にはしないわよ」 ―――――
―――
――
善子「…………」
善子(……死ぬつもりはない。ね)
善子(生きててもどうしようもないけど、死んでもどうしようもないのよね)
善子(いや、死ねばダイヤに会えるかしら)
善子(ねぇ、枕元に立ってくれたりとかしないの?)
善子(こっくりさんでもやる?)
善子(必要ならウィジャ盤だって用意するわよ?)
善子「……なんて」
タッタッタッ
タッタッタッ
ドンッ!
善子「っ!」ドサッ
善子「いった……あんたねぇ!」
「ご、ごめんなさい……先を急いでて」
善子「だったら前見て走りなさいよ!」
「うん、ごめんね? 怪我はない?」
善子「大丈夫よ……触らないで」 「本当にごめんね!」
「――あっ、たっくん〜!」
タッタッタッタッ
「あっ、間違えた……すみません」
プップ~
ゴッメーン
オマエマタカ...
ゴメンッテバ
善子「なんなのよ、あいつ」
善子「デート相手間違えてどうすんだか……」
善子「はぁ……」
善子「呑気ね、周りは」
善子(ダイヤがいなくなったことなんて、あまり関係がない)
善子(だから、時間が経てば我関せずにいつも通りになっていく)
善子(ダイヤなんて、初めからいなかったかのようになっていく)
善子(Aqoursファンだってそれは例外じゃなくて)
善子(また別の誰かに夢中になって、忘れるのよ)
善子「……みんな死ねばいいのに」 善子(なんで、ダイヤが死ななくちゃいけなかったの?)
善子(なんで、ダイヤが殺されなくちゃいけなかったの?)
善子(あのバカな女で良いじゃない)
善子(金持ちじゃなくちゃダメだったって言うなら)
善子(鞠莉がいるじゃない)
善子(なんで、どうして……)
善子「ダイヤ……」
善子「会いたい、見たい、触れたい、触れて欲しい」
善子「もしも、もう一度会うことが出来たら」
善子「もう二度と、手放したりしないから……だから」
善子「あと一度だけ……会いたい」
善子「あんたはどこにいるのよッ!」
善子「っ……」
善子「どこに、いるのよ……」 善子(ずら丸はめげるななんて言っていたけれど)
善子(こんなの、堪えられない)
善子(どこにもいない、見つからない)
善子(知ってるであろう容疑者は)
善子(否定をし続けて、自殺した)
善子(手がかりは、なくなったのよ……)
善子(……ずら丸)
善子(あんたはヒントをくれたけど、答えはくれない)
善子(あんたに出せない答えが、私に出せるとは思えない)
善子(……悔しいけど、アンタは私よりも解決する力がある)
善子(っ……)
ガンッ
善子(……そういえば、ちょっとしたことでも解決のヒントになるかもって、言ってたわね)
善子「……なにがよ」
善子「そんなもの、どこにもないじゃない」 善子(あんたはきっと、解ってたのよね)
善子(容疑者の男が死ぬことも)
善子(この事件に関する情報だけでは解決出来ないことも)
善子(じゃなきゃ昨日、あんなこと言わないわよね)
善子(そんなあんたが最後に言ったのは)
善子(ちょっとしたことでも解決の助けになるってこと)
善子(めげないでってふざけた励まし)
善子「……解ってて言うことじゃない」ギリッ
善子(やっぱり私はあんたが気に入らない)
善子(私が諦めるって言ったときの残念そうな顔)
善子(去り際の心配そうな顔)
善子(なによあれ……)
善子「あぁ、思い出したらイラついてきた!」ガンッ
善子「……」ヒリヒリ
善子「良いわよ、分かったわよ!」
善子「ずら丸……あんたの煽りに乗ってあげる」
善子「諦めるのはどれが終わってからにするわ」 >>391訂正
善子(あんたはきっと、解ってたのよね)
善子(容疑者の男が死ぬことも)
善子(この事件に関する情報だけでは解決出来ないことも)
善子(じゃなきゃ昨日、あんなこと言わないわよね)
善子(そんなあんたが最後に言ったのは)
善子(ちょっとしたことでも解決の助けになるってこと)
善子(めげないでってふざけた励まし)
善子「……解ってて言うことじゃない」ギリッ
善子(やっぱり私はあんたが気に入らない)
善子(私が諦めるって言ったときの残念そうな顔)
善子(去り際の心配そうな顔)
善子(なによあれ……)
善子「あぁ、思い出したらイラついてきた!」ガンッ
善子「……」ヒリヒリ
善子「良いわよ、分かったわよ!」
善子「ずら丸……あんたの煽りに乗ってあげる」
善子「諦めるのはそれが終わってからにするわ」 ―――――
―――
――
善子「ちょっとしたことやどうでもいいこと」
善子「……その前に」
善子「そう、先入観に囚われたらダメなのよ」
善子「ずら丸も言ってたじゃない」
善子「先入観によって誤認することもある」
善子「ちょっとしたことでも……」
善子(例えば、デート相手を間違えるあの女)
善子(どう考えてもバカだけど)
善子(実は可愛く思われたくて天然演じてる頭脳派かもしれない)
善子「……なんて」
善子(……確かに、確証のない決めつけは早計ね)
善子(常に肯定と否定で意見を対立させる)
善子(そうすることで、なにか気づくことができるかもしれない)
善子「……やるわよ、ヨハネ」
善子「私とあんたでずら丸のイラつく顔に答えを叩きつけて」
善子「ダイヤを見つけるのよ!」バサッ 善子「まず、大前提として何がある?」
善子「男の車で見つかった血塗れの髪留めがダイヤのものであること」カキカキ
善子「これはほぼ確定してる」
善子「そしてそれこそが、男が犯人であると言う決め手」
カキカキ…
サッサッ
善子「なら、まずはそれを無かったことにする」
善子「それに答えを出さなきゃ先に進まない」
善子「でも、そう……」
善子「式無しに答えを書いていても」
善子「頭の中では式が組み立てられている」
善子「つまり、答えを出すには式がいる」
善子「答えから式を求めてはいけない」
善子「今はまず、今ある問題から……式を作り出せばいい」
善子「間違っていても」
善子「それは間違っているという正解なんだから」 善子「ならここにある問題は?」
善子「一つ、血濡れの髪留め」
善子「二つ、男の車」
善子「そしていつ、仕組まれたのか」
カキカキ
トンッ……トンッ…
善子「まず髪留め」
善子「これはダイヤを殺してからでしか入手は不可能」
善子「ただの髪留めならともかく、血濡れならそれ以外にはない」
善子(病院関係者とか例外はあるけど)
善子(問題を広げても意味はない)
善子(まずは例外を省いて純粋な式で試す)
善子「ダイヤを殺してからの場合」
善子「髪留めを仕込むことが出来るのはダイヤが消えて以降になる」
善子「……なら車に仕込めた人は?」 善子「一つ、ダイヤ本人のダイイングメッセージ」
善子「二つ、車所有者である男の身内」
善子「そして……」
トンッ…
トンッ…
トンッ……
タンッ
善子「……私達ね」
善子「ダイヤが消えて以降である場合」
善子「その連絡を受けて集合し」
善子「交差点で信号待ちしていた男に会ったから」
善子「そこで髪留めを仕込むことが出来たんじゃない?」 花丸が怪しすぎるんだよなぁ
ドMだし善子に殺されたくてダイヤを殺したんじゃないかと
アリバイはまあ何かしら抜け道があったってことで 善子「ただし、ここで問題が生じる」
カキカキ
善子「私達三人の内、私は言わずもがなやっていない」
善子「ずら丸も犯行が行われた時刻にはアリバイがあった」
善子「つまり、3人の中に犯人がいるならルビィになるわ」
善子「でも……」
トンッ…
トンッ…
善子「それはあまりにも怪しすぎる」
善子「警察が疑ってないはずがない」
善子「捜査だって絶対に行われてるはず」
善子「……いや、だからこそ血濡れの髪留めを仕込む必要があったとしたら?」
サッサッ
カキカキ
善子「そうすることで、目を欺こうとしていたら?」 ダイヤさんの狂言って線も捨てきれない(というかそうであってほしい)けど、それならそれでもう取り返しのつかない事態になってるのがなあ… 善子「……分かったわよ、ずら丸」
善子「ここで逆転の発想ね」
善子「黒過ぎる黒は、逆に白である」
善子「なぜなら、殺したことを疑ってと言わんばかりの状況」
善子「それでありながら、自分ではないという否定」
善子「意味がわからない……愉快犯?」
善子「違う……あのルビィなら自分だと名乗りあげる」
善子「……そして、発想の転換をするなら」
善子「ずら丸……あんたが怪しくなってくる」
善子「明らかに計画的なスケジュール」
善子「犯行が行われたとされる時間後の慌てていたという話」
善子「切り替えれば当然、怪しい」
善子「もっとも、あんたはデートの一週間前から用事があるって言ってたから」
善子「計画的なのは必然よね」
善子「読書会だっけ?そういうのは半月以上前から予定に組み込まれてるだろうし」
カキカキ
善子「でも、一応あんたを候補の一つとして次にいかせて貰うわ」 善子「逃げた先にあったとされる靴」
善子「普通なら、逃げてそこまで行ったけど捕まった」
善子「そう考える……」
善子「え……それ以外にある?」
善子「いや……言ってたじゃない」
善子「先入観を持たないことが大事だって」
善子「そう、そうね」
善子「靴があるのは逃げたから」
善子「まずその先入観を捨てるわ」
善子「逃げたのではなく、逃げたと思わせるために置いたとしたら?」
善子「車の中の髪留めみたいに、勘違いさせるための手段」
善子「その可能性が、あるんじゃないの?」 善子「……どうしてそんなことする必要があったの?」
善子「逃げるような相手だと思わせるため?」
善子「つまり……何かしてくることを疑う必要のない相手……」
善子「それなら、ルビィは絶対にあり得ないんじゃない?」
善子(階段で突き飛ばしてくるようなやつを警戒しないわけがない)
善子(そうじゃないとしても)
善子(あのルビィを甘く見れるわけがない……)
善子(だから、きっとルビィじゃない)
善子「ということは……ダイヤの用事の相手は」
善子(ずら丸? それとも、親?)
善子(あるいは、学校の先生とか?)
善子(いや……時間的にないわ) 善子「車に髪留めを仕込むことが出来て」
善子「ダイヤに怪しまれない奴」
善子「……いやいや」
善子「待って、おかしい……」
善子「それだとずら丸になる」
善子(問題を削りすぎた?)
善子(だって、ずら丸は私に協力してくれたし)
善子(ここにたどり着くまでのヒントだってくれた……)
善子(逆転の発想?)
善子(木を隠すなら森の中……?)
善子(怪しまれないための協力?)
善子「……」
善子「いや、だって……ずら丸にはアリバイがある……」
善子「でも……」
善子「っ!」バンッ
善子(……何をバカなことを)フルフル
善子「助けられてるからって情をうつすな!」
善子「あいつは……あいつが、ダイヤを殺したかもしれないんだから」
善子(証拠は少ない、勢いまかせにも程がある)
善子(でも、ずら丸がもし計画的にやっているなら)
善子(私の中途半端な疑いに対して)
善子(バレていない安堵から)
善子(ボロを出してくれるかもしれない)
善子(……望みは薄いけど、成す術がないならやるしかない)
善子(闇雲でも、がむしゃらでも……ダイヤに届く可能性があるなら)
善子(それでもし、ずら丸がダイヤを殺していたら……)
善子(その時は……報いを受けてもらうわ) ―――――
―――
―Aqours部室:放課後―
花丸「昨日の今日で、どうしたの?」
花丸「みんなは?」
善子「呼んでないわよ、あんただけ」
花丸「マルだけ……?」
花丸「はっ!」
花丸「ま、まさか告白ずらか……!?」
善子「……調子いいわね、あんた」
善子「アリバイが成立して安心してるってわけ?」
花丸「え?」
善子「昨日、ずっと考えてたわ」
善子「あんたに言われた先入観の罠、逆転の発想」
善子「それでもしかしたら別のなにかが見えてくるんじゃないかって」
花丸「……それで、見えたずらか?」
善子「ええ」
善子「……あんたよ。あんたがダイヤを殺したって可能性が見えたわ!」
花丸「……そっか」
善子「………」
花丸「どうしてか教えてほしいずら」ニコッ
善子(その、底の見えない余裕の笑顔)
善子(その不気味さが……怪しいのよ。ずら丸) ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています