X



善子「ダイヤがお見合い!?」
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
0001名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/07(日) 18:25:34.81ID:+tSKFXLA
ルビィ「善子ちゃんあんまり大きな声出さないでっ」

善子「っ……ご、ごめん」

花丸「こう聞くとあれだけど……本当なの?」

ルビィ「うん……お母さんとお姉ちゃんが話してるのを聞いちゃったんだ」

ルビィ「お姉ちゃんに縁談が来てるって」

善子「でもダイヤは東京の大学に行くんでしょ? 縁談なんて無駄なんじゃないの?」

ルビィ「お姉ちゃんもそういってたけど」

ルビィ「今のうちに顔合わせをさせておきたいって、お母さんが……」

ルビィ「東京の大学に行くからこそ、今なんだって」

善子「………」

花丸「大学なら、女子大だったとしても男の人と接する機会は増えていく」

花丸「だから先に引き合わせておいて、ほかに靡かないようにって算段」

花丸「ダイヤさんが尽くしてくれる人だって理解しているからこそ、ずらね」

善子「それにダイヤはなんて? まさか、するとか言ったの?」

ルビィ「会うだけは会うって言ってた」

ルビィ「断るつもりですが。ってお母さんには念押ししてたけど……どうだろう」

善子「……場所は? 時間は?」

花丸「善子ちゃん……まさか」

善子「見に行くわよ。ソレ」

ルビィ「えぇっ!?」

善子「親から来た縁談なら親は頼りにならない。私達でぶち壊しにしてやるのよ!」
0208名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/13(土) 23:55:00.58ID:qFZ1K1Ex
善子「そんなの気にいるとか……ずら丸」

善子「あんたも少し、ひねくれてるんじゃない?」

花丸「あははっ」

花丸「そうずらね」

花丸「そうかもしれない……でも、善子ちゃんもでしょ?」

花丸「ダイヤさんのためなら、なんだってできるんだから」

善子「………」

善子「否定は、しないわ」

花丸「頑張ろうね」

善子「?」

花丸「ダイヤさんのこと」

花丸「もう少しで、縁談は完全に終わるでしょ?」

善子「親は諦めないわよ、どうせ」

善子「ダイヤが大学に行ったことなんて関係なしに縁談を持ち込もうとする」

花丸「でも、関係ない」

善子「ええ」

善子「ダイヤは誰にも渡さないわ……」

善子(そう、誰にも)
0209名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/14(日) 11:10:29.98ID:ZXl/zdZA
ーーーーー
ーーー
ーー

ルビィ「これがルビィの……覚悟だよ」

ダイヤ「どうして……」 

ダイヤ(地に足のついていない、浮遊感)

ダイヤ(無意識に伸びた手はなにも掴めない)

ダイヤ(ルビィの悲しそうな顔が見えた)

ダイヤ(お姉ちゃんがいけないんだよ。と語る瞳が見えた)

ダイヤ(わたくしのなにがいけなかったのか)

ダイヤ(ルビィを取り戻したい、花丸さんを救いたい)

ダイヤ(黒澤を背負うこと、東京に行くこと)

ダイヤ(わたくしのそれらはルビィにとって……不都合だと?)

ダイヤ(わたくしを壊してでも、黒澤を背負わなければならない理由があると?)

ダイヤ(なぜ……)

ダイヤ(なぜ……どうして……)

ガンッ

ダイヤ「っ!」

ダイヤ(だめ……死……)ギュッ

  ……ボフッ

ルビィ「ぁっ」

ダイヤ「……?」

果南「あっぶないなぁ」

果南「だから言ったでしょ、歩きスマホは危ないよって」
0211名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/14(日) 11:52:20.85ID:ZXl/zdZA
ダイヤ「か、果南さん……?」

ダイヤ「どうして、こんなところに?」

果南「いやー生徒会室行ったら荷物はあるのにダイヤがいなくてさ」

果南「ちょっと待っても戻ってこないからトイ――」

ダイヤ「そういうことは言わなくていいですわ」

ダイヤ「とにかく……ありがとう、助かりましたわ」

果南「ん」

果南「……で、何があったの?」チラッ

果南「ルビィちゃん、ダイヤが自分で落ちたわけじゃないでしょ?」

果南「まさか」

ダイヤ「あ、足を滑らせてしまったんです」

ダイヤ「屋上のカギを絞められたか気になって振り返ったときに、ずるっと」

ルビィ「………」

果南「へぇ……」ジロッ

果南「いくら私でもさ……そういう嘘を見逃す気にはならないよ」

果南「おかしいでしょ、目の前でダイヤが堕ちて、助かって」

果南「まったく心配もしてないなんてさ」

果南「理由を教えてよ、ね? ルビィちゃん」
0212名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/14(日) 12:01:44.07ID:ZXl/zdZA
ダイヤ「ま、待ってください」

ダイヤ「わたくしは――」

ルビィ「良いよ、嘘なんかつかないで」

ルビィ「そうだよ。ルビィがお姉ちゃんを突き飛ばしました」

果南「やけに、堂々としてるね」

果南「ねぇ、それでダイヤが大怪我するって分からないわけじゃないよね?」

果南「最悪死んじゃうことになるって分からないわけじゃないよね?」

果南「それでさ……突き飛ばしたわけじゃ、ないよね?」

ルビィ「知ってるよ」

ルビィ「全部知ってて、全部分かってて、それでもお姉ちゃんを突き飛ばした」

ルビィ「邪魔だったから」

果南「邪魔? 邪魔って、ルビィ―ー」

ルビィ「何も知らない部外者が!」

果南「!」

ルビィ「ルビィたちの邪魔をしないで!」

果南「な……え……」

果南「ダイヤ? ねぇ、あれ……ルビィちゃん?」

ダイヤ「ええ、正真正銘わたくしの妹ですわ……」フイッ
0213名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/14(日) 12:11:05.20ID:ZXl/zdZA
ルビィ「ルビィはちゃんとお願いしたんだよ?」

ルビィ「東京に行くの止めてって、黒澤を背負うのはやめてって」

ルビィ「ルビィが代わりに頑張るから、ちゃんと背負って見せるから、努力するからって」

ルビィ「なのに、お姉ちゃんは嫌だって言った」

ルビィ「自分で決めたことだから、為すべきことだからって」

ルビィ「ルビィたちのことも、何とかしてみせるから信じてって」

果南「それの何がいけなかったの?」

果南「ダイヤを殺すようなことをする理由なんてないでしょ?」

ルビィ「正しいからだよ」

ルビィ「正しくて、まっすぐで、綺麗だったからだよ」

ルビィ「正しいからこそ、間違ってる」

ルビィ「正しいだけじゃ、どうしようもないことだってある」

果南「意味わかんないんだけど……あのさ」

果南「それがどうしてダイヤを傷つける理由になるのかって、聞いてんの!」

ダンッ

ダイヤ「か、果南さっ」ビクッ

果南「私は今、怒ってるんだよ」

ルビィ「……怒ってる?」

ルビィ「きっと、それが正しいんだよね」

果南「!」

ルビィ「でも、今のルビィにとってそれは間違いだよ。果南ちゃん」

ルビィ「言わなかったかな……部外者だって」ニコッ
0214名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/14(日) 12:21:22.36ID:ZXl/zdZA
ルビィ「何も知らないで、ただそれが普通じゃないからとか、間違ってるからとか」

ルビィ「その程度の理由で批判して、怒鳴ってくるのは、迷惑だよ」

ルビィ「……ルビィとお姉ちゃんが喧嘩してて、ルビィがお姉ちゃんを殴っていたとする」

ルビィ「果南ちゃんはどうする?」

ルビィ「今の感じだと、ルビィを責めるよね」

ルビィ「やめろ、おかしい、間違ってる」

ルビィ「うん、果南ちゃんは正しいね」

ルビィ「だって、暴力は悪いことなんだもん」

ルビィ「でも、お姉ちゃんがルビィの大切な何かを壊しちゃったかもしれない それを捨てちゃっているかもしれないよ」

ルビィ「そのせいでルビィが怒って、殴ってるのかもしれないよ」

ルビィ「ねぇ、果南ちゃん」

ルビィ「怒ってるっていうけど」

ルビィ「ルビィとお姉ちゃんに何があって、どうしてこんなことになってるのか、知ってるの?」

果南「そんなこと、聞いてないんだから知ってるわけがない」

ルビィ「じゃぁ、部外者だね」
0215名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/14(日) 12:27:51.88ID:ZXl/zdZA
果南「な……」

ルビィ「果南ちゃん」

タンッ
    タンッ
         タンッ
 タッ……
     キュッ

ルビィ「……関係ないなら、黙ってて」

ルビィ「知りもしない善悪で、無意味な偽善を振り撒かないで」

果南「くっ」

ガシッ

ルビィ「……いいよ。殴っても」

ルビィ「それが果南ちゃんの正しさなら」

ルビィ「でも、良いのかな?」

果南「なにが……!」イラッ

ルビィ「それは果南ちゃんの正しさの中で、間違ってることのはずだよ」

ルビィ「……ルビィにとっては正しいことだけど」

果南「っ……くっ」ギリッ

ヒュッ

ダイヤ「やめて!」

果南「!」

ルビィ「…………」

ダイヤ「お願いだから……やめてください……」ポロポロ

ダイヤ「わたくしのせいで争う二人なんて見たくない!」

ダイヤ「ルビィを傷つける果南さんも、果南さんを傷つけるルビィも……見たくありません!」

ダイヤ「お願い、お願いします……果南さん……」
0216名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/14(日) 12:42:15.43ID:ZXl/zdZA
果南「………っ」

パッ

ルビィ「………」

ルビィ「……果南ちゃんも、お姉ちゃんも正しいよ」

ルビィ「でも、その正しさじゃもう駄目なんだ」

ルビィ「お姉ちゃん」

ダイヤ「なに……」

ルビィ「もう少し考えて欲しいな」

ルビィ「ルビィに全部譲るか、お姉ちゃんが続けるか」

ルビィ「……でも、忘れないで」

ルビィ「ルビィの覚悟は、お姉ちゃんを階段から突き落とせるって」

ルビィ「じゃぁね」ニコッ

タンッタンッタンッ
        タタッ
  タンッタンタッ……

果南「なにあれ……あれが、ルビィちゃんなの?」

ダイヤ「ええ」

ダイヤ「そのはず……なんです」グシグシ

果南「……ダイヤ」

ダイヤ「今回は本当に助かりましたわ」

ダイヤ「ですが、ごめんなさい」

果南「え?」

ダイヤ「しばらく、わたくし達には関わらないでください」

ダイヤ「わたくしを殺す覚悟のあるルビィが、果南さん達を殺せないわけがありません」

ダイヤ「ですから、ごめんなさい。この一件からは手を引いてください」
0217名無しで叶える物語(禿)
垢版 |
2019/04/14(日) 12:51:36.90ID:oZxxnk6a
階段やったのか。
てっきり外へかと……
0219名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/14(日) 14:45:55.88ID:ZXl/zdZA
―――――
―――
――
・淡島


果南「……っていうことが、あってさ」

果南「関わらないでとは言われたんだけど」

果南「無理だよ……」

鞠莉「さすがに、果南も引いたのね」

果南「あんなにルビィを怖いと思ったのは初めてだった」

果南「ううん、あんなことが平気でできるとは思わなかった」

鞠莉「私もそんなルビィは初めて聞いたわ」

鞠莉「…………」

果南「やっぱり、鞠莉も分からない?」

鞠莉「残念だけど、分からないわ」

鞠莉「ダイヤは事情を知ってそうだけど」

鞠莉「きっと、聞いても答えてくれないわよねぇ」

果南「うん……何にもしてあげられないのかな?」

果南「ルビィちゃんが言ってたように、部外者の私たちが何をしても」

果南「それはただの偽善でしかなくて、無意味で」

果南「今回みたいにただ、かき回しちゃうだけなのかな……?」
0220名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/14(日) 15:30:36.47ID:ZXl/zdZA
鞠莉「果南らしくないんじゃない?」

果南「え?」

鞠莉「いつものストロングな果南はどこ行っちゃったの?」

果南「……私だって、悩むことはあるよ」

果南「私だって、強いわけじゃない」

果南「鞠莉はあのルビィを見てないからそう簡単に言えるんだよ」フィッ

鞠莉「ええ、そう」

鞠莉「私はそのルビィを見たわけじゃない」

鞠莉「その場にいたわけじゃないから何も分からない」

鞠莉「だから、勝手なことを言うことが出来る」

鞠莉「果南がルビィにしたように……ね」

鞠莉「少しは、ルビィの気持ちが分かった?」

果南「え……?」

鞠莉「ふふっ」

鞠莉「果南にとって、私はその件の部外者」

鞠莉「何かできると思っていないから、突き放す」

鞠莉「自分の力になって貰えると思っていたら、助けてって……言うもの」

果南「ちがっ」

鞠莉「少なくとも、ルビィはそうだったのよ」
0221名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/14(日) 16:12:23.85ID:ZXl/zdZA
鞠莉「だから、無理をしないほうが良い」

鞠莉「それこそ、状況を掴めるまではね」ニコッ

果南「そんな悠長なこと言ってて平気なの?」

鞠莉「ルビィがそうなっちゃった理由は分からないけど」

鞠莉「きっと、原因はダイヤの縁談よ」

果南「ダイヤの……? そんなことで……」

鞠莉「そんなこと……ね」

果南(鞠莉は笑う)

果南(ルビィちゃんのことで臆病になっているのか)

果南(どうにも、不気味に感じてしまう嫌な笑み)

鞠莉「実は、今週末にダイヤがデートするの」

果南「デート!?」

鞠莉「それが終われば、丸く収まる」

鞠莉「その日で、すべてが終わるわ」

鞠莉「だから、しばらく様子を見ましょ」

果南「……本当に、それで終わるの?」

果南「そう言い切れる自信はどこから来てるの?」
0222名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/14(日) 16:36:14.87ID:ZXl/zdZA
鞠莉「今回の一件は、ダイヤのことを好きな気持ちが暴走してしまったもの」

鞠莉「縁談という足が、踏んではいけない虎の尾を踏んでしまった」

鞠莉「幸い、ダイヤは断るつもりだって話は聞いてるでしょ?」

鞠莉「ダイヤが断れば晴れて、東京のカレッジへゴー」ニコッ

果南「でも、ルビィちゃんはそれだけじゃなかった」

果南「さっき話したでしょ?」

果南「ルビィちゃんは黒澤家の――」

鞠莉「今は、いろんなものが絡みすぎているのよ」

鞠莉「少しでも問題をシンプルにしたい」

鞠莉「じゃないと、絡まったひもを余計に固くしてしまうだけ」

鞠莉「そして、力だけでは引きちぎれてしまう」

果南「…………」

鞠莉「大丈夫、ルビィたちには私がついてるわ」

鞠莉「果南は……待ってて」

果南「待っててって……そんな」

果南「私じゃ何にもできないってこと?」

果南「何の役にも立てないってこと?」
0223名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/14(日) 16:57:14.08ID:ZXl/zdZA
鞠莉「……違うわ。果南」

鞠莉「果南には客観的な立場にいて欲しい」

鞠莉「正しい側でいて欲しい」

鞠莉「果南だけでも、そっち側でいて欲しい」

果南「鞠莉……?」

鞠莉「千歌達も巻き込むわけにはいかないからね」

鞠莉「せめて、関わっちゃった中でも変わらないでいて欲しいの」

鞠莉「今週末までだから。ね?」

果南「………」

果南「……わかった」

果南「分かったよ」

果南「でも、無理はしないで」

果南「今のルビィちゃんは普通じゃない」

果南「……お願い」ギュッ

鞠莉「ええ……ノープロブレムよ。果南」

鞠莉「……大丈夫」ニコッ
0224名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/14(日) 18:03:45.53ID:ZXl/zdZA
―――――
―――
――
。翌日


千歌「えーっ!?」

ダイヤ「すみません、私用が立て込んでおりまして」

曜「土曜日じゃなくて、それまで全休なんて……何かあったんですか?」

千歌「そうだよダイヤさん!」

千歌「何か力になれるようなことがあるなら言ってよ!」

梨子「千歌ちゃん、ダメだよ」

千歌「でも〜っ」

ダイヤ「本当に申し訳ありません」

ダイヤ「家庭の事情ですので、千歌さん達には……」

鞠莉「そういうことなら、お休みにしましょ」

千歌「そんなぁ」

善子「それでも全休なんて、ちょっと穏やかじゃないんじゃない?」

善子「土曜日の予定。そんな厄介なわけ?」

ダイヤ「いえ、土曜日のこととはまた別件です」

ダイヤ「とにかく、ごめんなさい」

花丸「ふぅん……」チラッ

ルビィ「………」

花丸「なるほどね」ボソッ
0225名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/14(日) 19:45:45.83ID:ZXl/zdZA
果南「仕方がないね」

果南「それじゃ、しばらく休みにしよっか」

果南「各自個人練習はともかく」

果南「基礎体力のための運動や、柔軟は欠かさずやるようにね」

千歌「はーい」

曜「何があったんだろう?」

果南「こーら」

ポンッ

曜「わわっ」

果南「無用な詮索はしないの」

曜「か、果南ちゃんっ」

果南「家の事情っていえば、私にもあるんだけど……」

果南「手伝って貰っちゃおうかな〜?」ニコニコ

曜「げっ」

曜「あんなの手伝いじゃないっ、筋トレだよ! 筋トレ!」

果南「なにをぅ!」グリグリ

曜「わーっ! 助けてー!」

曜「助けて千歌ちゃーん!」

千歌「……南無」

曜「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ」
0226名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/14(日) 20:17:58.08ID:ZXl/zdZA
善子「なにを馬鹿やってんだか……」

善子「……ったく」チラッ

善子「あんた、何か知ってるの?」

花丸「マルは知らないよ」

花丸「ルビィちゃんなら、知ってそうだけど」

花丸「でも今は、余計な詮索は控えたほうが良いんじゃないかな」

善子「アンタには言われたくないわね」

花丸「やだなぁ……マルはそんなアグレッシブじゃないずらよ」

花丸「善子ちゃんが、連れまわさなければね」ニコッ

善子「……気に食わないわね。その顔」

花丸「そっか」

善子(ダイヤが、苦しんでる)

善子(誰がやったの……誰のせいで……)

善子(縁談のことじゃないとしたら、やっぱり……ずら丸の言う通りルビィが何か知ってる?)

善子(昨日は何も言わなかったのに?)

善子(もしかして、昨日何かやった?)

善子「ルビィ……」ギリッ
0227名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/14(日) 21:22:13.09ID:ZXl/zdZA
―――――
―――
――

ドンッ

善子「………」

ルビィ「………」

善子「……驚かないのね。あんた」

ルビィ「お姉ちゃんがみんなの前であんなことしたとき」

ルビィ「善子ちゃんが怒鳴りに来るんじゃないかなーって、覚悟はしてたよ」クスッ

ルビィ「思ってた通り」

善子「何笑ってんのよルビィ……」

善子「ずいぶん余裕じゃない」

ルビィ「怒鳴られること、叩かれること」

ルビィ「そうされる理由があって、そうされることが分かっていたら」

ルビィ「ルビィが驚く理由はないよ」ニコッ

善子「ならやっぱり、アンタが何かしたのね?」

グイッ
    ダンッ!!

ルビィ「カハッ……けほっけほっ」

善子「私が容赦しないっていうのは、あんた、知ってるはずじゃなかった?」

ルビィ「それでも、ルビィにはやるべきことがあったんだよ」

ルビィ「善子ちゃんがルビィにこうするように」

ルビィ「ルビィにはお姉ちゃんを苦しめなくちゃいけない理由があったんだ」

ドンッ

善子「ぐっ」

ルビィ「ルビィにだって、大切なものがあるんだよ。善子ちゃん」

ルビィ「たとえ、善子ちゃんと殴り合うことになってでも守りたいものがあるんだ」
0228名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/14(日) 21:33:01.98ID:ZXl/zdZA
善子「あんた……」

ルビィ「良いよ、善子ちゃん」

ルビィ「ルビィはもう、覚悟は出来てるよ」ニコッ

善子「ダイヤに何をしたのよ」

善子「どうして、ダイヤの目があんなにも……」

ルビィ「昨日ね、階段から突き飛ばしたんだ」

善子「は?」

ルビィ「殺しちゃう可能性もあったから」

善子「待って」

ルビィ「多少、階段を下りてからにしたんだけどね?」

善子「待ちなさい」

ルビィ「もちろん、そうなったらそうなったで覚悟は――」

善子「黒澤ルビィ!」

ルビィ「わっ」

ルビィ「急に大声出されると、さすがにびっくりするよ」

善子「あんた一体何言ってんのよ」

善子「突き飛ばしたって何?」

善子「殺すことになるかもしれなかったって、あんた。本気で言ってんの?」

善子「アンタの大事な姉じゃなかったの……?」
0229名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/14(日) 22:28:45.76ID:ZXl/zdZA
ルビィ「大事だよ」

ルビィ「……でもね?」

ルビィ「左と右に分かれてしまったら、どちらかしか選ぶことはできないんだよ」

ルビィ「現実はゲームじゃない」

ルビィ「片方のアイテムを取ったら、戻ってもう一つなんてことは出来ない」

ルビィ「……だから、お姉ちゃんを突き飛ばした」

ルビィ「善子ちゃん言ったよね?」

善子「私が?」

善子「私があんたにそんなこと言った覚えなんかないけど」

ルビィ「ううん、昨日の話だよ」

ルビィ「たとえお姉ちゃんがどうなっていても好きでいてくれるって話」

ルビィ「あれを聞いて、あぁ……大丈夫だ。そう思った」

ルビィ「お姉ちゃんが壊れていても、善子ちゃんは好きなままだ」

ルビィ「お姉ちゃんを見ていてくれる、好きでいてくれる、大切にしてくれる」

ルビィ「それなら、お姉ちゃんを壊してしまおう」

ルビィ「黒澤を背負わなくていいように、縁談なんて持ち込まれないように、東京になんて行かなくて済むように」

ルビィ「怪我をさせちゃおうって、考えたんだ」

善子「何言ってんの……?」

善子「頭、おかしいんじゃないの?」

善子「それで、そんなことで……」

善子「そんなことで、ダイヤを!」

グイッ

ルビィ「……うん、そんなことだよ。善子ちゃんにとってはね」

ルビィ「でも、ルビィにとってはとっても大切なことだよ」

ルビィ「善子ちゃんは、知らないみたいだけどね」クスッ
0230名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/14(日) 22:55:09.07ID:ZXl/zdZA
善子「そんなことして、なにがあるのよ」

善子「なにが守れるって言うのよ」

ルビィ「ルビィ達のこと……かな?」

善子「ふざけないでよ……」

善子「あんたのせいで滅茶苦茶よ!」

ルビィ「……あはは」

ルビィ「………」

ルビィ「まぁいいや」

ルビィ「善子ちゃんはお姉ちゃんが重要なんでしょ?」

ルビィ「お姉ちゃんが縁談も、黒澤も、東京も」

ルビィ「全部なくなれば善子ちゃんのものになるはずだよ」

ルビィ「なにも出来なくなったお姉ちゃんを縁談には出せない」

ルビィ「なにも出来なくなったお姉ちゃんは黒澤を背負うことはできない」

ルビィ「なにも出来なくなったお姉ちゃんは東京になんて行かない」

ルビィ「そんな自分を好きでいてくれる人を、断れない」

ルビィ「……簡単に言えば」

ルビィ「善子ちゃんがお姉ちゃんを手に入れられるようにするためだよ」

ルビィ「つまり善子ちゃんのためだね」ニコッ
0231名無しで叶える物語(アメリカ合衆国)
垢版 |
2019/04/14(日) 22:57:50.59ID:6DsKIadG
こりゃつれえでしょ……
0232名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/15(月) 05:56:16.88ID:ui/t3MC4
善子「私のため……?」

善子「何言ってんの……ふざけんじゃないわよ」

善子「ふざけるのは、やめて……」

ルビィ「だって、善子ちゃんはお姉ちゃんが欲しいんだよね?」

ルビィ「誰にも渡したくないんだよね?」

ルビィ「そのためなら、誰かを傷つけることもできるし」

ルビィ「誰かを殺すことだってできるんだよね?」

ルビィ「お姉ちゃんが行くところなら、どこへだってついていくんだよね?」

ルビィ「ルビィはね? それだと困るんだ」

ルビィ「どこへだっていかれる事、人を殺されちゃうこと、お姉ちゃんが誰の物にもならないようにされること」

ルビィ「全部、困るんだ」

ルビィ「……だって、ルビィはみんなで一緒に居たい」

ルビィ「善子ちゃんと、花丸ちゃんと」

ルビィ「……一緒に居たいよ」

ルビィ「だから」

ルビィ「だからね?」

ルビィ「お姉ちゃんを壊して、善子ちゃんのものにできるようにしたらいいと思ったんだ」

ルビィ「そうしたら善子ちゃんはお姉ちゃんを手に入れられる」

ルビィ「もう、誰も傷つけない、誰にも迷惑をかけない」

ルビィ「お姉ちゃんがどこにもいかないから、善子ちゃんもここにいてくれる」

ルビィ「お姉ちゃんが死ななければ、ルビィのお姉ちゃんもそのままいてくれる」

ルビィ「ね? いい考えでしょ?」
0233名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/15(月) 06:05:07.75ID:ui/t3MC4
善子「死ぬかもしれないやり方が良い考えなわけないでしょ!」

ドンッ
   ゴンッ
ガタッ
    ガタタッ
        ガタンッ

ルビィ「いたた……」

善子「いい加減にしなさいよ……あんた」

善子「階段から蹴落としてあげたほうが良い?」

善子「ダイヤがどれだけ怖かったか、あんたに裏切られてどれだけ嫌な思いをしたか……」

善子「ダイヤを見て何も思わなかったわけ!?」

善子「あんな……あんなに、傷ついた目をしてた……」

ルビィ「……何言ってるのか、ぜーんぜん、わかんないよ」

ガタッ
    パッパッ

ルビィ「あ、血が出てる」

ルビィ「えっとね……何言ってるの? 善子ちゃん」

善子「は?」

ルビィ「どっちが先に裏切ったの?」

ルビィ「どっちが先に怖い思いをさせられたか、どれか傷ついたか……」

ルビィ「ふざけないでよ」

ガンッ

善子「!」

ルビィ「ふざけたこと言わないでよッ!」

ガンッ!!
     ガタンッ!!

ルビィ「はぁっ……はぁ……ふぅ」

ルビィ「こうしないといけなくなったのは善子ちゃんのせいなんだよ?」
0234名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/15(月) 06:15:17.85ID:ui/t3MC4
ルビィ「全部善子ちゃんが悪いんだよ」

ルビィ「お姉ちゃんが好き? 分かるよ」

ルビィ「お姉ちゃんを自分のものにしたい? 分かるよ」

ルビィ「お姉ちゃんをだれにも渡したくない? 分かるよ」

ルビィ「でも、お姉ちゃんが受け入れてくれないだろうから」

ルビィ「自分の物にはしないけど、誰の物にもしないよ」

ルビィ「そのためならなんだって犠牲にするよ」

ルビィ「……え? なにそれ」

タッ
   タッ

タンッ……

ルビィ「ねぇ、善子ちゃん」

グィッ

善子「っ」

ルビィ「そんなの良いわけないよ。分かるわけないよ」

ルビィ「お姉ちゃんだけじゃない、たくさんのものが粉々に壊れちゃうよね?」

ルビィ「善子ちゃんは良いかもしれないけど、ルビィはダメだよ」

ルビィ「……あ、でもルビィのしてることは善子ちゃんにはダメなんだよね? えへへっ」

パッ

ルビィ「言われた通りだ……やっぱりすごいや」

ルビィ「……でも、ルビィは善子ちゃんの為に頑張ってるんだって分かってほしいな」

ルビィ「お姉ちゃんを手に入れることが出来ない善子ちゃんの為に、手に入れられるお姉ちゃんにしてあげるんだ」

ルビィ「……ね?」ニコッ
0235名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/15(月) 06:25:56.04ID:ui/t3MC4
善子(……不気味だった)

善子(本当にルビィなのかと不安になるくらいに、意味不明だった)

善子(訳の分からないことを話している間も)

善子(ダイヤを苦しめる話をしている間も)

善子(ほとんどの場面で笑顔のままだったのが、異常で)

善子(でも、そのルビィは私が異常だという)

善子(ダイヤのためなら何でもで切るという、私が)

善子(……なにそれ)

善子(一緒にしないでよ)

善子「……私のため?」

善子(馬鹿にしないでよ)

善子「私のこの気持ちは!」

善子「あんたの異常さなんかと同じじゃない!」

ルビィ「………」

ルビィ「……そうかもしれないね」

ルビィ「でも、それではお姉ちゃんを手に入れることはできない」

ルビィ「ずっと、お姉ちゃんの為に無意味な努力をする?」

ルビィ「それとも、ルビィが壊したお姉ちゃんを自分のものにする?」

ルビィ「デートが終わってから答えをもらう予定なんだ」

ルビィ「善子ちゃんも、考えておいてね」

善子(それは、堕天使なんて中途半端なんかではない)

善子(悪魔のような、笑みだった)
0236名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/15(月) 07:30:57.66ID:ui/t3MC4
―――――
―――
――

善子(一生手に入れられないダイヤか)

善子(手に入れることはできるけど、壊れたダイヤか)

善子(そんなの……)

フラフラ
   ガクッ

善子「!」ダンッ

善子「っ……あぶな……」

善子(膝から崩れ落ちるところだった……)チラッ

善子「……運が悪ければ階段から落ちてたわね」

善子(まぁ、その方が悩まなくて済むのかもしれないけど)

善子(なんて)

善子(私は、ダイヤが好き、ダイヤが欲しい)

善子(でも、ダイヤは女の子との恋愛はしないと断言していた)

善子(それが普通だし、黒澤家のこともあってか断固たる意志だったそれは)

善子(私がいくら言っても無駄なのは明らかだった)

善子(つまり、手に入れることは不可能)

善子(ルビィが言うように、無駄なのは事実)

善子(でも……)

トンッ

善子「?」

ダイヤ「っ……ぁ、ご、ごめんなさい」

善子「ダイヤ?」

ダイヤ「善子さん、だったんですのね」
0238名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/04/15(月) 07:49:38.39ID:zmSodFb0
善子「こんなところで踞ってどうしたのよ」

ダイヤ「いえ、その……」フィッ

ダイヤ「体調が優れなくて」

善子「優れないって……そんなレベルじゃなくない?」

善子(顔は青いし、震えてるし……)

善子(階段から……)

善子(あ……まさか)

善子「立てる? 保健室まで連れていくわよ」

ダイヤ「いえ、そんな迷惑は」

善子「いいから、ほら」スッ

善子「そんな状態のダイヤを放っておけるほど」

善子「私はできてないのよ」

ダイヤ「………」

ダイヤ「……すみません」ギュッ

ダイヤ「ありがとう」ニコッ

善子「……っ」
0239名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/04/15(月) 08:06:19.78ID:zmSodFb0
善子(ダイヤは階段を怖がってた)

善子(いや、多分……私が強く踏み込んだあの音にビビったのね)

善子(ルビィに突き飛ばされたから)

善子(……)

善子(強くても、弱くてもダイヤはダイヤ)

善子(壊れていても、いなくても)

善子(黒澤ダイヤであることに変わりはない)

善子(私が好きじゃなくなる理由はない)

善子(でも、でもそれで……ダイヤは幸せになれる?)

善子(幸せにする意志はある)

善子(なにがあっても幸せにする覚悟がある)

善子(でも、壊れたダイヤは幸せよりも罪悪感が先にくるんじゃないか)

善子(そんな……不安がある)

善子「……家庭の事情、だっけ?」

ダイヤ「は、はい?」

善子「それが、そんなに辛いわけ?」

善子「Aqoursの活動を全休するほど」

善子「体調を崩すほど」

善子「ダイヤの負担になってるの?」
0240名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/04/15(月) 08:40:14.35ID:zmSodFb0
ダイヤ「それは……」

善子「私は部外者だから関わらせたくない?」

善子「じゃぁ、妹のルビィなら関われる?」

ダイヤ「!」ビクッ

善子「……何があったのか知らないけどさ」

善子「あんまり、そういうダイヤ見たくないのよ」

善子(今なら、聞けるかもしれない)

善子(ダイヤが、幸せになれるのか)

善子(……傷ついたダイヤが)

善子(寄り添う光で輝けるのか)

善子「……そんなことで幸せになれるの?」

善子「縁談の話。聞いたわ」

善子「大変だっていうのも……その顔を見てれば解る」

善子「でも、そういう苦労を助け合うのが夫婦でしょ?」

善子「そういうときに、ダイヤは救ってくれる人がいることを幸せに思うより」

善子「今みたいに巻き込むことへの恐れを抱くわけ?」

善子「巻き込んじゃった罪悪感が勝るわけ?」

ダイヤ「……嬉しい、ですわ」

ダイヤ「そこまで想ってくれている人がいること」

ダイヤ「力になってくださる方がいること」

ダイヤ「罪悪感は拭えませんが、きっと……」

ダイヤ「幸せなんだと実感すると思います」
0241名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/04/15(月) 08:52:19.84ID:zmSodFb0
善子(……そっか)

善子「だったら相談しなさいよ」

善子「何かあったんでしょ?」

善子(ダメじゃない……そんなこと言ったら)

ダイヤ「……縁談のことを聞いているのなら」

ダイヤ「今は話せることはありませんわ」ニコッ

ダイヤ「ですが、善子さんのお気持ちはとてもありがたいわ」

ダイヤ「決して一人ではないと安心できる」

ダイヤ「………」

ダイヤ「……ありがとう。縁談が落ち着いたら」

ダイヤ「ぜひ、よろしくお願いいたします」

善子「ええ、任せて」

善子「でも、あんまり無理すんじゃないわよ?」

ダイヤ「承知しています」

善子(壊さない理由が……無くなっちゃうじゃない)
0242名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/04/15(月) 09:10:10.03ID:zmSodFb0
―――――
―――
――

国木田家


花丸「そしたら、日曜日にお願いして良いずら?」

花丸「えへへ、よろしくずら〜」ニコッ

花丸(これで、図書室の本が持ってこれる)

花丸(お祖父ちゃんはあれだけど)

花丸(トラックに乗せるくらいは問題ないし)

花丸(家まで来たら、あとはマルだけの図書室に持っていくだけ)

花丸(……さすがに土曜日は無理だったけど)

花丸(……)

花丸「……ふぅ」トサッ

花丸「土曜日と言えば、デートもあるんだよね」

花丸「……どうなるかなぁ」

花丸(善子ちゃんは元々だったけど)

花丸(ちょっとつついただけでルビィちゃんも簡単に壊れた)

花丸(まさか、あそこまでダイヤさんを追い詰めるとは思わなかったけど)

花丸(善子ちゃんには、良い刺激になったかな?)クスッ

花丸「デート、デート、デートかぁ」

花丸「……大丈夫、ダイヤさんは絶対善子ちゃんのものになる」

花丸「マルはそのためなら……ルビィちゃんも、鞠莉ちゃんもお見合い相手も」

花丸「なんだって、利用するよ」

花丸「……ふふっ」

花丸「あと、少し」
0243名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/04/15(月) 12:23:15.57ID:1pO9XCtA
花丸(でも、ダイヤさんは弱ってるずら)

花丸(そこにあの男の人が付け入る可能性は否定できない)

花丸(あの様子なら、ルビィちゃんも善子ちゃんに加担するだろうから)

花丸(最悪、死体が一つ出来る)

花丸(そうなると……ちょっと面倒かな)

花丸(その為の鞠莉ちゃんだけど)

花丸(鞠莉ちゃんは掴みにくい)

花丸(果南ちゃんも片足踏み込んできてるし……)

カタンッ

花丸「……運かな?」

花丸(……でも、あの男の人はつけ込めるような性格ではなさそうだったし)

花丸(分は、悪くない)

花丸「……んーっ」グーッ

花丸「ふぅ」

花丸「なにも、無いと良いね」
0245名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/04/15(月) 12:44:01.85ID:1pO9XCtA
―――――
―――
――
・デート当日


善子「なにあんた、来たのね」

ルビィ「えへへ」

ルビィ「気になるから、善子ちゃんもお姉ちゃんも」

ルビィ「でも安心してよ、邪魔はしないから」ニコッ

善子「……あっそ」

善子「あんたも本気なのね」

ルビィ「ルビィは本気だよ」

ルビィ「……善子ちゃんは? 三日前は悩んでたよね?」

ルビィ「それでお姉ちゃんは幸せになれるのかって」

善子「……意地が悪いわね、ルビィ」

善子「私は絶対にダイヤを見捨てない」

善子「あんたはそれを知ってた」

善子「なのに、わざわざ考えておいて。なんて言うじゃない」

善子「ダイヤは与えられることへの罪悪感を感じる」

善子「つまり、壊れたダイヤは簡単には幸せに出来ない」

ルビィ「………」

善子「それを考えた上で答えるかどうか」

善子「ルビィ、私を試したわね?」
0246名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/04/15(月) 12:54:03.60ID:1pO9XCtA
ルビィ「花丸ちゃんならともかく、ルビィはそこまで考えてないよ」ニコッ

ルビィ「ルビィはそんなに頭良くないもん」

ルビィ「ただ、口先だけなのはダメだよって思ってはいた」

ルビィ「善子ちゃんはなんだかんだ優しいから」

ルビィ「壊れたお姉ちゃんを見て、罪悪感を感じるんじゃないか」

ルビィ「それに耐えかねて消えてしまうんじゃないか」

ルビィ「幸せはどこにもなくて」

ルビィ「ただただ悲しいだけじゃないのかな……って」

ルビィ「……でも、善子ちゃんは本気なんだね?」

ルビィ「そんなことにはならない」

ルビィ「例え壊れていても、お姉ちゃんはお姉ちゃん」

ルビィ「自分のものにできた幸せに浸れるんだね?」ニコニコ

善子「……その顔やめて」

善子「気持ち悪いのよ、今のルビィの笑顔は」

ルビィ「うーん……頑張ルビィ」ニコッ
0247名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/04/15(月) 17:47:34.16ID:1pO9XCtA
鞠莉「ハァーイ!」

鞠莉「グッモーニン、エブリワン!」

善子「……」

ルビィ「………」

鞠莉「oh……どげんしたと?」

善子「煩いのよ、いちいち」

善子「今日は尾行、隠密……わかってんの?」

鞠莉「イェァ!」

善子「は?」イラッ

鞠莉「ジョーク! イッツジョーク!」

鞠莉「あんまりにも暗いものだからつい」ニコッ

鞠莉「いつも通りね」

善子「ダイヤに色々ある中でデートする……」

善子「ダイヤが弱ってることに気づかないかもしれないけど」

善子「気付いたら好機と見て攻めていくかもしれない」

善子「そうじゃなくても、ダイヤのことを思えば明るくなんていられないわよ」
0248名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/15(月) 19:24:55.91ID:ui/t3MC4
鞠莉「あら……善子はダイヤ事情を知ってるの?」

善子「知らないわよ」

善子「全休連絡の日、保健室まで連れて行ったんだけど」

善子「何も教えてくれなかったわ」

善子「色々大変だから、話すのも難しいって」

善子「でも、この見合いの一件が落ち着いたらお願いしますって、言われたわ」

鞠莉「そう……やっぱり話しにくいことなのね」チラッ

鞠莉「ねぇルビィ」

ルビィ「なに?」

鞠莉「ルビィは何か聞いてないの?」

鞠莉「ルビィなら一番近くにいるわけだし」

鞠莉「ダイヤが話せない、ダイヤの事情も話せるんじゃない?」

ルビィ「お姉ちゃんからは何も聞いてないんだよね?」

ルビィ「だったら、ルビィから勝手に言えないよ」

鞠莉「……ルビィ」

ルビィ「ルビィだって、ただ黙ってたわけじゃないよ?」

ルビィ「でも、お姉ちゃんはね? 自分で選んだことだからって、自分の意志ですることだからって言って」

ルビィ「信じて任せて欲しいって言ったんだ」

ルビィ「だから、ルビィが勝手に関係者を増やすわけにはいかない」

ルビィ「ルビィは、信じてるからね」ニコッ
0249名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/15(月) 19:38:04.93ID:ui/t3MC4
鞠莉「っ……」ゾクッ

鞠莉「そ、そう……そう、なのね……」

善子「どうしたの?」

鞠莉「なんでも、ないわ」

鞠莉「そろそろ出発しない?」

鞠莉「1時間前でしょ? ダイヤならそろそろ来てるわ」

善子「確かに」

ルビィ「お姉ちゃんならそのくらいの時間には行ってるよね、多分」

善子「あんたが家を出るときはどうだったのよ」

善子「準備はしてた?」

ルビィ「お姉ちゃんは部屋にいたから、どうだろ」

ルビィ「でも、寝てるわけじゃなかったよ」

善子「それはそうでしょ……ハァ」

善子「まぁいいわ」

善子「鞠莉、車出して貰っていい?」

鞠莉「オーケー!」

善子「くれぐれも、安全運転で頼むわよ」

鞠莉「んっふっふっふっふ〜」ニコニコ
0250名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/15(月) 20:01:30.23ID:ui/t3MC4
―――――
―――
――

善子「二度と運転するなっ!」

ルビィ「うっぷ……」

鞠莉「あははっ、ソーリーソーリー」

鞠莉「空いてから、つい」

鞠莉「許してちょーだい」

ルビィ「鞠莉ちゃん、車に戻って吐いてきて良い?」

鞠莉「ノーっ! レンタカーなの! ストーップ!」

善子「レンタカーで事故起こしそうな運転止めなさいよ」

鞠莉「……ソーリー」

ルビィ「あ、お姉ちゃん来たよ」

善子「切り替え早いわね、あんた」

ルビィ「なんか、大人っぽい服装だね」

鞠莉「相手は大学生なんでしょ?」

鞠莉「それに見合うようにしっかりと服を選んだって感じね」

ルビィ「…………」

善子「……なによ、やる気じゃない」

善子(ちゃんとした服なんか着て、一時間近く前から待ち合わせ場所に来て)

善子(まるで、断る前提っていうのが嘘だったみたいに……気合入ってるじゃない)
0251名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/15(月) 20:21:28.29ID:ui/t3MC4
「―――」

ダイヤ「―――? ―――」

「――――」

善子「……またナンパされてるんだけど」

善子「そろそろ私が行っていい?」

ルビィ「ダメだよ」

善子「3回目よ? 3回目!」

善子「30分で3回!」

善子「何を話してるのかまでは分からないけど」

善子「毎回毎回申し訳なさそうに断って……」

鞠莉「でも少し、嬉しそうじゃない?」

善子「……………」イライラ

善子(言われなくても分かってる)

善子(ナンパされるくらいには、魅力的にみられていること)

善子(弱った心に、自信が持てるようになるそんな要素はきっと、心地良いんだと思う)

善子(でも、だったら……それなら……)

善子「……あ」

「―――!」タッタッタッ

ダイヤ「―――」ニコッ

善子「……笑った」

鞠莉「…………」

鞠莉「移動するみたいよ」

善子「……追いかけましょ」
0252名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/15(月) 20:40:11.97ID:ui/t3MC4
鞠莉「まずは映画……ねぇ」

善子「定番で攻めてきたわね……」

善子「まぁ、地元の人間と地元でデートするっていうなら」

善子「そりゃ、映画館は外せないわよね」

ルビィ「この感じだと、映画館の後は食事して」

ルビィ「マリンパークか深海水族館に行くのかな」

鞠莉「ん〜そうねぇ」

鞠莉「ルビィの予想通りかも……で、どうする?」

善子「どうするってなに?」

善子「行くに決まってるでしょ」

善子「映画館だろうが水族館だろうが……というか、よくあるシチュエーションじゃない」

善子「暗い映画館、重なる手、近づく距離……」

善子「絶対に阻止するわ」

ルビィ「あの人にそんな度胸はないと思うけどなぁ……」

善子「わかんないでしょ!」

ルビィ「えーっ」

ルビィ「まぁ、良いけど……善子ちゃんと鞠莉ちゃんが両端じゃないと嫌だからね?」

ルビィ「男の人が隣になったら、ルビィはお姉ちゃんにバレる自信がある」ドヤッ

鞠莉「自信を持つところじゃないわよ〜?」

ルビィ「えへへ〜」
0253名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/15(月) 21:12:03.19ID:ui/t3MC4
善子(不気味なほどに、今まで通りを演じるルビィ)

善子(どこか警戒している、鞠莉)

善子(きっと、鞠莉はルビィがしたことを知ってる)

善子(知っててあえて追及してない)

善子(蛇……いや、蜂がいると分かっている藪を突くほど、鞠莉は馬鹿じゃない)

善子(そんな私達が数席後ろにいるって、ダイヤは知らないのよね)ジッ

善子(……恋愛映画は楽しい?)

善子(隣の視線が前ではなく自分に向いていることに気付いてる?)

善子(……ねぇダイヤ)

善子(あんたを突き飛ばしたルビィが平然としてるのをどう思ってる?)

善子(縁談相手の運転する、あんたには似合わない軽自動車の中で)

善子(ダイヤは何を考えてるの?)

善子(知りたい)

善子(ダイヤのことを知りたい……でもそれ以上にダイヤのことが、欲しい)

善子(ナンパをされてるアンタを見て思った)

善子(それで喜んでるアンタを見て、思ったわ)

善子(やっぱり、ダイヤは壊してしまうべきだって)

善子(ほかの誰もが敬遠するほどに、粉々に)

善子(けれどちゃんと、幸せになれる程度に)

善子(……あんたを、壊す必要がある)
0255名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/15(月) 21:47:00.72ID:ui/t3MC4
ルビィ「……ここ?」

善子「そうみたいだけど」チラッ

鞠莉「んー?」

ルビィ「えへへっ、まーりちゃん」ニコッ

鞠莉「oh……魂胆が透けて見える……」

善子(雑音でしかない無駄な時間を過ごした後、向かったレストラン)

善子(軽自動車二台が行くべきではなさそうなちょっとお高いそのお店は)

善子(私たちのお小遣いをごっそりと持っていきそうで)

鞠莉「おーけー、おーけー、先輩に任せなさーい」

善子(私たちの集りを、鞠莉は受け入れてくれた)

善子(正直、うざったい先輩ではあるけど)

善子(一応、優しいから……嫌いではない)

善子(だからやっぱり、私の中ではずら丸と似たようなものなんだと思う)

鞠莉「でも、あまり高いのはノーよ?」

ルビィ「……一番安いのでも十分高いよ」

善子「ほんと。この程度って言えるのが羨ましいわね」

鞠莉「ふふんっ」

鞠莉「どう? 私と縁談でもしてみる?」

善子「あ、それはいいや」

ルビィ「中にはいろ〜」

鞠莉「ちょっとーっ!」

鞠莉「それは酷いわよ!」
0256名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/15(月) 22:11:39.55ID:ui/t3MC4
ダイヤ「ふふっ、そうですのね」

「あ、ああ、それでね――」

善子「………」

ルビィ「……」

鞠莉「意外と、盛り上がってるじゃない」

善子「盛り上がってはないわよ、ダイヤは心から笑ってない」

鞠莉「辛辣ねぇ」

ルビィ「映画の後なのに、映画の話だけじゃないのは良いんじゃないかな」

ルビィ「きっと、何を話そうかとか、たくさん考えてきたんだと思う」

ルビィ「照れ笑いになってるけど、嬉しそうにしてる」

ルビィ「……分かるよ。ルビィは」

鞠莉「男の人なのに?」

ルビィ「それはそれ、これはこれだよ」

善子「へぇ……」

善子「ま、私には関係ないわよ」チラッ

善子「ダイヤが楽しそうでも、あの二人がくっつくことはない」

善子「断るって話だったんだから、それはない」

鞠莉「……心変わり、してたりして」

ピキッ

ルビィ「わわっ、よ、善子ちゃんっ」

ルビィ「食器は割っちゃだめだよー? 割るなら鞠莉ちゃんの額だけにしておこうね」

鞠莉「そ、それはジョーク? ジョーク……よね?」

ルビィ「えへへ」

鞠莉「あ、あはは……ははっ」ゾクッ
0257名無しで叶える物語(アメリカ合衆国)
垢版 |
2019/04/16(火) 02:57:09.82ID:+YUUlxAz
ほほ
0258名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/16(火) 06:14:39.38ID:QGw0HLcF
―――――
―――
――

善子「なんで深海水族館?」

善子「この時間なら、まだマリンパークも行けるでしょうに」

鞠莉「ダイヤがお願いしたんじゃない?」

鞠莉「マリンパークだと、たまに曜がうちっちーになってるし、バイトしてるからね」

ルビィ「確かに」

ルビィ「お見合いのこととか秘密にしてるから」

ルビィ「見られるのは困るもんね」

善子「特に曜になんか見つかったら面倒なことになりそうだし」

善子「できる限り見つからないように行動したいわよね」

善子(でも、深海水族館って薄暗いから嫌なのよね……)

善子(どさくさに紛れて手を繋ぎそう)

善子(映画館でできなかったみたいだし)

善子(大丈夫……だとは、思うけど)

善子「………」

ルビィ「どうかしたの? 善子ちゃん」

善子「なんでもない」

ルビィ「鞠莉ちゃんが心変わりしたかも。なんて言ってたのが気になってるの?」

善子「……あんた、ほんと怖いわ」

ルビィ「ルビィは怖くないよ」ニコッ

善子「変態が変態じゃないっていうレベルの言い訳ね、それ」

ルビィ「えーっ」
0259名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/16(火) 06:20:50.04ID:QGw0HLcF
鞠莉「子供のころ以来だわ、ここ」

善子「まだ子供でしょ」

鞠莉「もう大学生よ」

善子「まだ高校生でしょ」

鞠莉「…………」

鞠莉「……ねぇ、善子って私のこと――」

善子「しっ!」

鞠莉「移動するわよ」

鞠莉「……嫌いでしょ」ボソッ

ルビィ「お姉ちゃんに関わってるときはルビィも花丸ちゃんも似たようなものだよ」

ルビィ「気にしないほうが良いと思う」

鞠莉「そう?」

ルビィ「うん」

ルビィ「それに、鞠莉ちゃんの声って大きいし目立つし、特徴的だから」

ルビィ「静かにしてたほうが良いとはルビィも思ってるよ」

鞠莉「……ルビィ、変ったわね」

ルビィ「えへへっそうかな?」

ルビィ「ルビィも大人っぽくなった?」

鞠莉「ある意味では、ね」
0260名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/16(火) 06:31:38.13ID:QGw0HLcF
善子(周りにもデートしてるっぽい感じの人がいる)

善子(……どういう趣味してんだか)

善子(いや、アクセントと言うか、奇をてらうなら無しじゃない?)

善子(ダイヤ……距離、近いわね)

善子(気づいてる?)

善子(すぐ隣に男がいること)

善子(私たちが見守ってること)

善子(歩くたびに動く綺麗な手を、隣にいる男がチラチラ見てること)

善子(……ダイヤ、手を握るのはやめて)

善子(その手を汚すのはやめて)

善子(そんなことされたら、私は……その手を切り落とさなくちゃいけなくなる)

善子(……ぁ)

ダイヤ「見て、このお魚。自力で発光するんですって」

「深海なんて光が届かないのに、凄いですよね」

「自力で光ることが出来るような進化をするなんて」

トンッ

「あっ」

ダイヤ「?」

「ご、ごめん……くっつきすぎたね」

ダイヤ「……ふふっ、気にしないで」ニコッ

善子(なんで……そんな嬉しそうに笑ってるのよ)

善子(ねぇ、ダイヤ……どうして?)
0261名無しで叶える物語(禿)
垢版 |
2019/04/16(火) 06:51:52.96ID:t0D4izCW
ああ……このまま幸せになって欲しい自分がいる
0262名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/16(火) 07:20:10.43ID:QGw0HLcF
善子(断るんじゃなかったの?)

善子(恋愛になんてうつつを抜かしていられないんじゃなかったの?)

善子(なのに、なのに……なのになのになのに……っ!)ギリッ

善子「なんでそんなに、笑ってるのよ」

善子「おかしいじゃない、狡いじゃない」

善子「そんなに近づいて、そんなに幸せそうに……」グッ

ガシッ

善子「っ!」

ルビィ「……落ち着いて」

善子「ルビィ……あんたは落ち着いてられるの?」

善子「ダイヤが男なんかにあんなに……」

ルビィ「お姉ちゃんが嫌がってないなら、仕方がないよ」

ルビィ「最後にどうなるのかは分からないけど……でも」

ルビィ「……ううん、結果次第だね」

ルビィ「もちろん、途中でキスしようだとか、抱きしめようだとか」

ルビィ「そういうことがあったら、その時はね」ニコッ

鞠莉「そ、その時はって……ルビィ?」

ルビィ「ん〜?」ニコニコ

ルビィ「その時はその時だよ」
0263名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/16(火) 07:33:55.96ID:QGw0HLcF
――――
―――
――

ダイヤ「……今日はありがとうございました」

「いえ……その、私も楽しかったです」

「あ、いや、そうじゃないですね」

「えっと、楽しんでいただけたようで……」

ダイヤ「ふふっ」

「っ」

ダイヤ「落ち着いてください」

ダイヤ「私は十分、楽しかったんです。短い時間ではありましたが、温かみを感じる時間でした」

ダイヤ「大丈夫、自信を持ってください」ニコッ

「……」グッ

「黒澤さん!」

ダイヤ「……はい」

「その、まだ……二日しか知り合っていませんし」

「まだ、お互いのことは全然わかりません」

「ですが、でも……だからこそ」

「もう少し、知り合いたいと思っています」

「これからも、時々……会うことは出来ませんか?」

ダイヤ「………」

ダイヤ「……わたくしから促しておいて、申し訳ございません」

ダイヤ「今は、そういうことを考えられなくて」

「………」

ダイヤ「貴方は良い人ですわ。優しくて、一途で、一生懸命で」

ダイヤ「だからこそ、わたくしのような人間には勿体ない」

ダイヤ「……申し訳ありません」
0264名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/04/16(火) 07:58:29.82ID:C2Xfw8Qm
鞠莉「ダイヤ……」チラッ

ルビィ「よかったね、善子ちゃん」

善子「良くはないわよ……全然」

善子「まだ食い下がる感じがする」

ルビィ「大丈夫だよ」

ルビィ(お姉ちゃんが気に入ったのは事実)

ルビィ(でもだからこそ、お姉ちゃんは断る)

ルビィ(だって、ルビィのことがあるもんね)

ルビィ(……えへへ、優しいお姉ちゃん)

ルビィ「ほら、お姉ちゃんがごめんなさいしてる」

鞠莉「嬉しそうねぇ」

鞠莉「お姉ちゃんの恋が終わったのに」

鞠莉「普通、祝福するものじゃない?」

鞠莉「本当は嫌いなの?」

ルビィ「お姉ちゃんのことは好きだよ」

ルビィ「でも、だからってお姉ちゃんと男の人が一緒になるのは喜べないよ」

鞠莉「男の人が苦手だから?」

ルビィ「……壊れちゃうからだよ」
0265名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/04/16(火) 08:14:49.19ID:sXoyMVjm
ルビィ「壊れちゃいけないものが」

ルビィ「壊したらだめなものが」

ルビィ「……壊れちゃうからだよ」

鞠莉「それって、なに?」

ルビィ「秘密」ニコッ

善子「……この後ダイヤは用事あるって」

ルビィ「えっ? そうなんだ」

善子「送っていくとか言ってるんだけど」

鞠莉「追いかける? って言いたいけど、私もそろそろお暇させて貰うわね〜」

善子「は?」

鞠莉「ソーリー!」

鞠莉「ちょっと用事が、ね?」

鞠莉「交際はお断りしたし、もう良いでしょ?」
0266名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/04/16(火) 08:27:07.88ID:sXoyMVjm
ルビィ「……もしかして、お姉ちゃん?」

鞠莉「ノンノン」

鞠莉「違うわよ、個人的な用事」

鞠莉「どうする? ここからならすぐそこにバス来るけど」

鞠莉「送っていく?」

ルビィ「……」チラッ

善子「用事あるんでしょ? バスがあるし良いわ」

善子「色々助かったわ、ありがと」

善子「お昼もご馳走になったし、感謝してるわ」

ルビィ「ありがとね、鞠莉ちゃん」

鞠莉「ええ」ニコッ

鞠莉「グッバイ」

鞠莉「……帰り道、ちゃんと気を付けてね」
0267名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/04/16(火) 08:44:50.20ID:sXoyMVjm
ルビィ「本当に追いかけなくて良いの?」

善子「鞠莉の車が無い以上無理でしょ」

善子「それに、ダイヤは断った」

善子「それならもう、大丈夫よ」

ルビィ「……そっか」

ルビィ「それにしても、鞠莉ちゃんは知ってるはずなのにあんまり聞いてこなかったね」

善子「なにあんた、鞠莉が様子見してるって気づいてたの?」

ルビィ「わかるよ〜」

ルビィ「ルビィのことは果南ちゃんが知ってるからね」

ルビィ「話してるに決まってるもん」

ルビィ「警戒してるのに聞き出そうとしてきて」

ルビィ「知ってるのになぁ……って思ってた」

善子「あんた、性格悪くなったわね……」

ルビィ「え〜? 変わってないよ?」

善子「それはそれでどうなのよ」

善子「むしろ、そっちの方が怖いわよ」

ルビィ「えへへ」ニコッ
0268名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/04/16(火) 08:51:03.39ID:sXoyMVjm
ルビィ「それじゃ、ここで解散しよっか」

善子「ん? 途中までは一緒でしょ?」

ルビィ「ルビィはもう少しゆっくりしていくよ」

ルビィ「ちょっと、疲れちゃったから」

善子「……そう」

善子「あんたは大丈夫だとは思うけど」

善子「帰りに気を付けなさいよ?」

ルビィ「それなら、一緒にいてくれても良いんじゃないかな」

善子「あんたねぇ……」

ルビィ「えへへ、うそうそ」

ルビィ「ちょっと寄り道したいんだ」

ルビィ「だから解散……心配してくれてありがとね」

善子「別に心配なんか……」

ルビィ「大丈夫だよ」

ルビィ「大丈夫、お姉ちゃんは男の人となんて付き合わないよ」

善子「……ええ、そうじゃなきゃ困るわ」
0269名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/04/16(火) 08:58:50.30ID:sXoyMVjm
ルビィ「……」

善子「……もし」

ルビィ「ん?」

善子「もし、あそこでダイヤがこれからも続けようとしてたら」

善子「あんたはどうしてた?」

ルビィ「……どうだろ」

ルビィ「あんまり考えてなかったよ」

ルビィ「断ってくれるって信頼があったからね」

ルビィ「でももし断らなければ」

ルビィ「男の人の車に乗り込んで」

ルビィ「……嘘つき」

善子「っ」ビクッ

ルビィ「とか、やってたかな」ニコッ

善子「そ、そう……」

善子(ダイヤ含めて後ろから刺し殺しかねないわね、ルビィは)

善子(……でも)

善子(大丈夫……断ってくれたんだから)

ルビィ「あ、バス来ちゃうよ」

善子「え、あ……」

ルビィ「また、明後日? かな」

ルビィ「ばいばい」

善子「ん、また月曜日」タタタッ
0270名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/04/16(火) 09:04:56.15ID:sXoyMVjm
―津島家・夜―


善子「っはぁ……」ボスッ

善子「良かった……ほんと」

善子(結局手を繋ぐこともなかったし)

善子(ダイヤは綺麗なまま)

善子(あとは、うまく相談に乗って頼って貰って)

善子(そこで距離を詰めて、気持ちを伝えて……)

善子「それで駄目なら……壊そう」ギュッ

善子(私のものになってくれないなら)

善子(私のものになってくれるように)

善子(でも、出来るなら……普通に付き合いたい)

善子(だって、良い顔してた)

善子(男に向けたものだったけど)

善子(でも、あれを隣で向けられたいと心から思った)

善子「だから、お願い」

善子(私に、あんたを壊させないで)
0271名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/04/16(火) 09:13:09.67ID:sXoyMVjm
ヴィー  
   ヴィー

善子「ん……電話?」

善子「誰よこんな時間に……」チラッ

善子「……ルビィ?」

ピッ

善子「もしもし、あんた何か――」

ルビィ『善子ちゃん!』

善子「っ……」

ルビィ『お姉ちゃんが……』

善子「は? 何? ダイヤがなんなのよ」

ルビィ『お姉ちゃんが帰ってこないの!』

善子「……え?」

ルビィ『善子ちゃんじゃないの? 善子ちゃんが……』

善子「ま、待って……ごめん、意味解んないわよ」

善子「ダイヤが……え?」

ルビィ『お姉ちゃんが、いなくなっちゃったの!』

善子(あまりにも突然で、信じられなくて)

善子(受け入れるわけにはいかなくて)

善子(ルビィの言ってることが、理解できなかった)
0272名無しで叶える物語(SB-iPhone)
垢版 |
2019/04/16(火) 10:08:16.08ID:WjFR7nkT
ここまでドロドロで内部から崩壊させてきたのに
暴走した男を成敗してハッピーエンドなんてありきたりな展開になるとは思えんがどうなるか
0273名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/04/16(火) 12:23:05.34ID:sXoyMVjm
善子「意味解らない……」

善子「なに言ってんのよ……は?」

善子「っ……」

善子「いつもの場所!」

ルビィ『わ、わかった!』

ルビィ『花丸ちゃんにも連絡しておく!』ブツッ

善子「ダイヤ……!」

ガタンッ
    ガタッ
  ドンッ

ガチャッ

善子母「ちょっと! こんな時間に何――」

善子「邪魔!」

善子母「痛っ……こら!」

善子母「待ちなさい! 今何時だと思ってるの!」

ガチャッ
   タッタッタッタ…

善子母「なんなの一体……」

善子母「追いかけ――」

プルルルルッ
   プルルルルッ

善子母「次から次へと、なんなの?」

善子母「……国木田さん?」
0274名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/04/16(火) 12:42:37.51ID:sXoyMVjm
―――――
―――
――

ルビィ「善子ちゃん!」

善子「ルビィ……花丸も先に来てたのね」

花丸「うん、電話が来てすぐに来たから……でも、善子ちゃんほどじゃない」ジッ

花丸「パジャマで出てくるなんて、焦りすぎずら」

善子「形振り構ってられないでしょ……」

善子「ルビィ、状況を詳しく教えて」

ルビィ「えっと、お母さんから聞いた話だけど」

ルビィ「お姉ちゃんが帰ってくる予定だったのは、19時」

ルビィ「今は22時」

ルビィ「20時の時点で何かあったんじゃないかって」

ルビィ「警察に連絡はしてたんだ」

ルビィ「でも、たった一時間だからってことで」

ルビィ「連絡を忘れているだけでは? 少し落ち着きましょうって」

善子「……はぁ!?」

善子「そいつなに考えてんのよ!」

花丸「善子ちゃん黙って、話が進まないよ」

善子「っ」

ルビィ「で、警察が役に立たないから21時までお姉ちゃんに電話したりしながら待ってたんだけど」

ルビィ「そこから30分経っても音信不通」

ルビィ「だから、もしかしたらって……」

善子「私に電話してきたわけね」

ルビィ「うん」

ルビィ「一応、21時の時点で鞠莉ちゃんたちにもお母さんが電話済み」

花丸「でも、そこにはいない」

花丸「……確かに、行方不明ずら」

善子「最初からそう言ってるでしょ!」
0275名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/04/16(火) 12:51:15.54ID:sXoyMVjm
花丸「善子ちゃん、まずは落ち着くずら」

善子「落ち着いてられるわけ――」

スッ...
    パンッ

善子「っ……」

花丸「慌ててもどうにもなら無い」

花丸「そんなことも解らないずらか?」

ルビィ「花丸ちゃん……」

花丸「二人は鞠莉ちゃんと尾行してたはず」

花丸「最後に見たのはどこ?」

ルビィ「えっと……海が見えるあの旧展望台のベンチのところ」

ルビィ「でもそのあと、お姉ちゃんは用事があるからって」

善子「……縁談相手に送ってもらってたわ」

善子「私達が見たのはそこまで」

花丸「追いかけなかったの?」

善子「鞠莉が用事があるって帰ったのよ」

善子「だから……」

花丸「そう、つまり縁談相手」

花丸「まずはその人に話を聞くずら」
0276名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/04/16(火) 12:58:09.16ID:sXoyMVjm
ルビィ「それならお母さんに聞いてみる!」

善子「……でも平気なの?」

善子「あいつが犯人だったら……」

花丸「それはそうだけど」

花丸「ダイヤさんを探すなら使えるカードは使うずら」

花丸「大丈夫、マルがどこにいくかはお祖父ちゃんたちに連絡しておく」

花丸「例え途切れても、マル達を見つけてくれるずら」

キキィー...

花丸「……?」チラッ

花丸「あ、あの信号のところの車!」

善子「え?」

善子「あ……ルビィ!」

ルビィ「へ?」

善子「あの車……間違いない」

善子「あの男のやつよ!」ダッ

ルビィ「えぇっ!?」

花丸「連絡が来て探しに出てるのか、なんなのか……」

花丸「会えばわかるずらよ」ダッ

ルビィ「っ……ルビィも行く!」
0277名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/04/16(火) 14:52:48.99ID:sXoyMVjm
ガンッ

「っ!?」ビクッ

花丸「善子ちゃんストップ!」

ガチャッ

「え、ちょっ」

花丸「開いてるずら」

花丸「こんばんは」ニコッ

「な、なんなんだ一体……」

「君たちは誰なんだ」

善子「誰? 黒澤ダイヤの知り合いって言えばわかるでしょ?」

「!」

グイッ

善子「ちょっと出てきなさい!」

「ま、待ってくれ!」

「危ない! 」

「停めるから、停めるから待ってくれ!」

ルビィ「善子ちゃん、一旦下がろ」

ルビィ「動いたら危ないよ」

善子「……」

善子「逃げたら殺すわよ」ジロッ

「わ、分かってる……逃げないから安心してくれ」

善子「さっさとしなさい」バンッ
0278名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/04/16(火) 18:31:51.96ID:sXoyMVjm
「……君達が黒澤さんの知り合いなら、詰め寄って来たのも察しがつくよ」

「黒澤さんがまだ帰宅していない件だろう?」

善子「なにその言い方、白々しい」

善子「あんたがダイヤを誘拐したんでしょ!」グィッ

「っ」

善子「返して……返しなさいよ!」

善子「ダイヤはあんたみたいなやつが一緒にいて良い存在じゃない!」

「待ってくれ!」

「私じゃない、私は彼女を誘拐なんてしていない!」

ルビィ「……フラれたから、とかじゃないんですか?」

「そ、そんなことしない……」

「確かに彼女にはフラれたよ」

「でも、そんなことは絶対にしない、していない」

善子「……ダイヤにフラれた後、あんた車でどこかに連れていってたわよね?」

「なっ……」

善子「どこに連れていったのよ」

「み、見てたのか?」

善子「どこに連れていったのかって聞いてるのよ!」
0279名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/04/16(火) 18:45:28.78ID:sXoyMVjm
花丸「善子ちゃん、感情的になってても話は進まないずらよ」

善子「うるさい!」

善子「あんたは居なかったからそんなこと言えるのよ!」

ドンッ

花丸「っ」ドサッ

善子「私は――」

花丸「だとしても!」

善子「!」

花丸「……だとしても、頭に上った血が答えを出してくれるわけじゃない」

花丸「冷静になるずら、善子ちゃん」

花丸「怒鳴っても、ダイヤさんは帰ってこないよ」

善子「………」

善子「くっ……」ジャリッ

ガンッ
   ガンッ
      ガンッ!

善子「はぁ……はっ……はぁ……」フルフル

ガンッ

善子「……どこに連れていったのか、教えて」

「う、浦の星女学院手前のバス停だよ」

「そこで降ろして欲しいって言われたんだ」

花丸「証拠は? 目撃者はいるずらか?」

「いや、時間も時間だったから……ない」

ルビィ「………」

「でも信じてくれ! 私はなにもやってない!」

善子「とかいって、車で逃げてたんじゃないの?」

「違う……これから黒澤さんを降ろした場所に行くんだ」

「警察にも伝えてある」
0280名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/04/16(火) 18:56:37.06ID:sXoyMVjm
花丸「この時間であの場所だと捜索は明日になる」

花丸「……それを狙った、とか」

花丸「色々言いたいことはあるけど、わかった」

花丸「今はそれを信じておくずら」

善子「花丸!」

花丸「いずれにしても、明日になれば何かが分かる」

花丸「それに、今からマル達に出来ることは何もないよ」

善子「なに言って――」

キキィー……バタンッ

善子母「善子!」

善子「なっ……」

花丸「どうせ連絡行くと思ってた」ハァ

善子「花丸……!」ジロッ

善子「私もいること伝えたわね!?」

花丸「それはそうだよ」

花丸「誰がいるのか確実につたえないと二次被害まっしぐらずらよ」
0281名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/04/16(火) 19:04:41.54ID:sXoyMVjm
善子「このっ――」

グィッ

善子「!」

善子母「いい加減にしなさい!」

善子「放して! ダイヤが……だって!」

善子母「話は聞いてるわ……残念だけど貴女達に出来ることはないのよ」

善子「っ……こいつが!」

善子「こいつがダイヤを誘拐したのよ!」

善子「私いたんだから……見てたんだからっ!」ジタバタ

善子「私がっ……私は……」ポロポロ...

善子「私……が……」

善子「私……っ」

ガクンッ

善子母「!」

善子「うぅ……」

善子「いたのに……!」

善子「ちゃんと、ちゃんと追いかけてれば……」

善子「追いかけてればダイヤは……」

善子「ぁぁぁぁあああぁぁぁああっ!!」ダンッ
0282名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/04/16(火) 19:14:56.56ID:sXoyMVjm
―――――
―――
―国木田家・翌朝―


花丸「……」

花丸(結局あの後、糸が切れた人形のようになってしまった善子ちゃんとマル達は)

花丸(善子ちゃんのお母さんにそれぞれの家に送り届けられた)

花丸(お見合いの男の人は言ってた通りに向かったらしく)

花丸(善子ちゃんの騒ぎもあってか)

花丸(自分から任意聴取を申し出て警察署にいると言う話)

花丸(マルが思っていた通り、ダイヤさんの捜索はつい一時間ほど前から始まっているみたいだけど)

花丸(めぼしい手がかりはまだ見つかってない)

花丸「善子ちゃん、大丈夫かな……」

花丸(マル達子供はとりあえず普段通りに。と言われたけれど)

花丸(何者かによる誘拐が濃厚で)

花丸(当然ながら1人や子供だけの外出は厳禁となってる)

花丸(……まぁ、マルはこれからお祖父ちゃんと一緒に学校の本を取りに行くけど)

花丸(お祖父ちゃんの予定もあるし、早い方がいいからね。仕方がない)
0283名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/16(火) 20:17:58.03ID:QGw0HLcF
花丸(たくさんの本。という話を聞いてか)

花丸(檀家の男の人も加えて、学校へと向かうことになった)

花丸(重い荷物と言うのは建前で)

花丸(お祖父ちゃんだけでは不安だっていうのは、容易に分かった)

花丸(あの黒澤家の長女が行方不明になった……という話は)

花丸(瞬く間に広がったという)

花丸(いや、広めた。というのが正しいかもしれない)

花丸(そうすることで地域全体の協力を得られる)

花丸(少なくとも、黒澤家の言葉を無碍にはできないし)

花丸(ここで恩を売っておけば、今後救われることだろうから)

花丸(そのせいか)

花丸(自分で誘拐して自分で助けるなんてマッチポンプをやっているのではないか)

花丸(そんな噂が聞こえてきているのは、気のせいじゃないと思う)

花丸(本当、黒澤家は大きい)

花丸(いろんな意味で大きすぎて、ルビィちゃんには背負いきれない)

花丸(善子ちゃんには得難い)

花丸(…………)
0284名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/16(火) 20:45:52.59ID:QGw0HLcF
花丸(朝から多くの人が出歩いている異様な景色を横目に、浦女へと辿り着く)

花丸(理事長である鞠莉ちゃんの連絡を受けて待機してくれていた警備員さんに駐車場の方の入り口を開けて貰う)

花丸(……流石に、学校にはいないずらね)

花丸(入り口は締まってて中には入れないから)

花丸(当然と言えば当然だけど……)チラッ

「よじ登れば入れますよね」

花丸「ダイヤさんはそんなことしないずらよ」

「それはそうかもしれませんが……」

花丸「それに、正門や駐車場の入り口はカメラがあるから」

花丸(少しわかりにくい位置にあるカメラを指さして、檀家のおじさんに伝える)

花丸(女子高というのもあって)

花丸(こんな辺鄙な位置にありながら、そういった防犯面の意識は高い)

花丸(残念ながら、抜けている部分もあるけど)

花丸「だから多分、あれの中身は見てると思う」

花丸「あれを見ても、ダイヤさんの姿はなかったんじゃないかな……」

花丸「防犯カメラの映像は夜でも見れるし……」

「……すみません」

花丸「ううん。それより、早く本をもって帰るずら」

花丸「あんまり長居してると、変に怪しまれそうで……嫌だから」

「そうですね」
0285名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/16(火) 21:04:38.73ID:QGw0HLcF
「おぉっ」ガクッ

花丸「わわっ」ギュッ

「……お、重いですね」

花丸「えへへっ、いくらでもって言われて沢山詰めちゃったずら」

「だからってひと箱に詰めなくてもよかったんじゃないですか?」

花丸「今更言われても困るずら」

花丸「詰める前のマルに、言ってきて欲しいずら」ニコッ

「そんな無茶なこと言わないでくださいよ」

花丸「ふふふっ」

花丸(ダイヤさんがいなくなって、不謹慎と言われるかもしれないけれど)

花丸(冗談を言って、笑う)

花丸(もしも過去に戻れるのなら、戻りたい)

花丸(でも、現実はそんなに優しくない)

花丸「……人生は振り返れるが、後戻りすることは出来ない」

花丸「まったくもって、もどかしいものずら」

花丸「………」

花丸「さ、戻ろっ」
0286名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/16(火) 21:12:42.78ID:QGw0HLcF
―――――
―――
――


花丸(ひと箱の大きな段ボールを積んで、車を走らせる)

花丸(さっさと帰ろう。そう思っていたマルだったけれど)

ルビィ「嘘だ!!」

花丸(男の人がダイヤさんを降ろしたと言っていた場所のすぐ近く)

花丸(上がった大きな悲鳴を聞いては、無視をするわけにはいかなかった)

花丸「おじさん、停めて!」

キキィ……
     ガチャッ
バタンッ

花丸「ルビィちゃん!」

ルビィ「ぁ……」

ルビィ「は、花丸ちゃん……これ……」

花丸「ルビィちゃん?」

花丸「……それ、なに?」

花丸(今にも崩れそうなルビィちゃんの手の中には)

花丸(薄汚れた何かがぽつんっと、置かれていた)

ルビィ「…………っ」

花丸「え?」

ルビィ「お姉ちゃんの、靴……」

ルビィ「お姉ちゃんの、左側の靴」

花丸「………」

ルビィ「茂みの中に落ちてたって」

ルビィ「どうしよう……どうしよう、花丸ちゃん」
0287名無しで叶える物語(庭)
垢版 |
2019/04/16(火) 21:19:11.79ID:RiXJ6NyW
期待
0288名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/16(火) 21:29:57.20ID:QGw0HLcF
花丸(……駄目だったね、ルビィちゃん)

花丸(ルビィちゃんの殺す覚悟は、殺される覚悟じゃなかった)

花丸(ルビィちゃんの失う覚悟は、奪われる覚悟ではなかった)

花丸(だから、たった少しの違いでそんなにも……)

花丸「………」フルフル

花丸(いや、今はそうじゃないずら)

花丸「ルビィちゃん、しっかりして」

花丸「本当にダイヤさんの靴ずらか? 間違いないずらか?」

ルビィ「ルビィが、お姉ちゃんの靴を間違えると思う?」

ルビィ「……間違いないんだ。間違いなく、お姉ちゃんのなんだ」

ルビィ「でも、でも……」

ルビィ「でもね、ルビィは……!」

ルビィ「ルビィは……そうじゃないって、信じたいよ」

花丸「……そうずらね」ギュッ

花丸「そうじゃないって、信じよう」

花丸(見つかった左の靴)

花丸(なら、ダイヤさん自身は?)

花丸(ぽつりぽつりと、そんな言葉が聞こえてくる)

花丸(一体、何から逃げようとしたのか……そんな言葉が聞こえてくる)
0289名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/16(火) 22:00:15.13ID:QGw0HLcF
花丸「靴以外には何もなかったんですか?」

「靴が落ちていた辺りを重点的に探しているが」

「残念ながら、それ以外には何も」

花丸「……じゃぁ、逃げ切れたのかもしれないずらね」

ルビィ「……なら、どうして帰ってこないの?」

ルビィ「ううん、分かってる」

ルビィ「逃げ切れなかったんだ」

ルビィ「靴が脱げるくらいに頑張ったのに……逃げ切れなかったんだ!」

花丸「ルビィちゃん、落ち着――」

パシンッ

ルビィ「落ち着いてなんていられないよ!」

ルビィ「お姉ちゃんがいなくなったんだよ?」

ルビィ「こんな、かたっぽの靴だけ残して」

ルビィ「それで落ち着いてられるわけないよ!」

ルビィ「なんで、なんで花丸ちゃんはそんなに落ち着いていられるの!?」

ルビィ「おかしいよ!」

花丸「…………」

ルビィ「ぁ……」

ルビィ「……ご、ごめん」

花丸「ううん、気にしなくていいよ」

花丸(初めからずっと、自分でおかしいって言い続けてきてるのに……今更ずら)
0290名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/16(火) 22:13:56.93ID:QGw0HLcF
花丸(でも……忠告はしたはずなんだ)

花丸(中途半端な気持ちで、入ってきちゃだめだよ。って)

花丸(……仕方がないずらね)

花丸「ルビィちゃんは覚悟してたはずだよね?」

花丸「ダイヤさんを失うこと」

花丸「なのに、どうしてそんな取り乱してるの?」

花丸「……結局、ルビィちゃんはその程度だったんだね」

花丸「善子ちゃんにせよ、男の人にせよ」

花丸「いつか、誰かがこんなことをするって想像は出来たはずだよね?」

ルビィ「……っ」

花丸「それをしなかった、それから目を背けてた」

花丸「ルビィちゃんは中途半端だったんだ」

ルビィ「そんなことない……」

ルビィ「……そんなこと、ないっ」

ルビィ「覚悟はしてた、出来てた」

ルビィ「ただ……突然すぎただけ」

花丸(それは言い訳だよ)

花丸(それは、覚悟ができていなかった人の、言い訳だよ)

花丸「なら、覚悟はしておいたほうが良い」
0291名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/16(火) 22:40:31.49ID:QGw0HLcF
花丸「片方の靴しかない、ほかにダイヤさんのものは見当たらない」

花丸「ルビィちゃんが言ってたように、ダイヤさんはもう……」

ルビィ「っ」

花丸「だから、覚悟をしておいたほうが良い」

花丸「認めないなんて、目を背けないほうが良い」

花丸「……壊れるよ」

ルビィ「え?」

花丸「中途半端な覚悟は、ルビィちゃんを壊しちゃうよ」

花丸「二度と、戻れなくなっちゃうよ」

ルビィ「………」

花丸「どうする?」

花丸「今のルビィちゃんなら、元に戻れる」

花丸「ダイヤさんのことを悲しむことのできるルビィちゃんに戻れる」

花丸「でもきっと、それは辛いよ」

花丸「いちどでも、その背中を押してしまったのだから」

花丸「その中途半端な挫折は、永遠に……ルビィちゃんの足を引き摺らせてしまう」
0292名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/16(火) 23:36:06.90ID:QGw0HLcF
ルビィ「……分かってるよ」

ルビィ「大丈夫、ルビィはちゃんと分ってるよ……」

ルビィ「この前、背中を押したときに覚悟はしたんだ」チラッ

ルビィ「………」グッ

花丸(それでいいなら、マルは止めないよ)

花丸(でも、覚悟はしておいてね)

花丸(現実は、優しくないんだよ)

花丸(追い詰められた人にほど、非情にできているものなんだよ)

花丸「ルビィちゃんは、靴の件を聞かれるよね」

花丸「……マルはこのことは黙っておく」

花丸「特に、善子ちゃんに知られたら大変なことになりかねないからね」

ルビィ「うん」

花丸(……でも、動き出した歯車は止まらない)

花丸(明日には広まっちゃうかな)

花丸(警察は、男の人を捕まえるかな)

花丸(どうなるんだろう)

花丸「見つかると良いね」

ルビィ「そうだね」

花丸(何が。とは言わないでおく)

花丸(そうすれば、ルビィちゃんは笑顔でこたえられるから……)

花丸(けれど)

花丸(そんなルビィちゃんの気丈さをあざ笑うかのように)

花丸(その日の夕方、捜査を受け入れた縁談相手の男の人の車から、血の付いたダイヤさんの髪留めが見つかった)
0293名無しで叶える物語(SB-iPhone)
垢版 |
2019/04/17(水) 00:40:28.56ID:lauvMH5B
これはもうダメかも分からんね…
0294名無しで叶える物語(アメリカ合衆国)
垢版 |
2019/04/17(水) 02:22:39.16ID:vYObYzDF
まじか...
0295名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/17(水) 05:56:11.61ID:SI/G5PXP
―津島家―
・一週間後


コンコン
   コンコン

善子母「……善子、部屋からでもいいから出てきて」

善子母「………」

善子母「善子……」

善子母「………」

善子母「ごはん、置いておくから」

善子母「せめてちゃんと食べて、お願い」

スタスタスタ...

善子「………」

善子「………」ギュッ

善子「ダイヤ……」

善子(一週間前、男の車からダイヤの髪留めが見つかった)

善子(ただ落ちてただけじゃない)

善子(血がついてたいたと、聞いた)

善子(DNA鑑定の結果は出ていないけれど)

善子(それがダイヤのもので間違いないことは)

善子(発見されたものと同じものを用意されて、みんなで確認した)

善子(確認、してしまった)

善子(ダイヤの血が流れたことを……認識してしまった)
0296名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/17(水) 06:13:39.03ID:SI/G5PXP
善子(男は自分じゃない、自分ではないと、否定をしているけれど)

善子(そんな証拠が出てしまった以上、言い逃れをすることは出来ず)

善子(任意同行ではなく、勾留が決まった)

善子(あれから毎日、事情聴取はされているらしいけど、一向に否定するばかりで何も進んではない)

善子(家宅捜索をしても何かが見つかることはなかったようで)

善子(ダイヤを暴行した凶器、あるいは拘束した道具)

善子(何の証拠もみつかってはいないため、捜査は難航しているらしい)

善子「どこ……どこにいるのよ……」

善子「ねぇ、ダイヤ……」

善子(髪留めが見つかったことで生存は絶望視され、人探しは痛い探しとなって)

善子(一般の人たちが探すことはなくなり)

善子(街中の警戒は薄まって、海で警察が多く見られるという)

善子「……そんなところにいないわよ」

善子「そんなところに、いるわけがない」

善子「だって、だって……ダイヤは」

善子「ダイヤは……」ギュッ
0297名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/17(水) 06:20:56.70ID:SI/G5PXP
ヴィーッ
       ヴィーッ

善子「……」チラッ

ピッ

善子「花丸……」

花丸『まだ、電話に出てくれるずらね』

花丸『出てくれなかったらどうしようかと思った』

善子「……どうなの?」

花丸『相変わらずずら。もうニュースになってるけど、あれ以降の情報は一切なし』

花丸『男の人は否定し続けてる』

善子「……ねぇ」

善子「あいつは、あの男は……死刑にできる?」

花丸『無理、だろうね』

花丸『逮捕されるし有罪になるにはなると思う』

花丸『でも、初犯だって聞いたし、物証は一つだけしかないから重いものにはできないと思うずら』

善子「………」

花丸『善子ちゃん、学校に来てよ』

花丸『みんな、待ってるよ』

善子「行ってどうするのよ……何があるのよ」

善子「みんな待ってる? でも、ダイヤはそこにいないじゃない」

善子「ダイヤが待ってるのは、どっか、誰も知らない誰も見つけられないような場所じゃない……!」
0298名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/17(水) 06:30:47.92ID:SI/G5PXP
善子「それに、私は多分……鞠莉に会ったら鞠莉を殺すわ」

善子「鞠莉が悪いわけじゃないのは分かってる」

善子「でもあの時、最後まで付き合ってくれていれば追いかけることが出来た」

善子「諦めることはなかったし、ダイヤがこんなことになることもなかった」

善子「……分かってる、理不尽だってことくらい」

善子「でも、許せないのよ」

善子「鞠莉も、自分自身も……」

花丸『……ダイヤさんがいなくなって、少しは冷静に考えられるようになったずらね』

花丸『それが理不尽だって分かってるなら大丈夫』

花丸『許せていないからだって理解してるなら大丈夫』

花丸『……だから』

コンコンッ

善子「………」

花丸「出てきて、善子ちゃん」

花丸「鍵を開けて、一緒に行こう?」

花丸「大丈夫、出てきたことを後悔させない」

花丸「善子ちゃんのこれからの責任は、マルが持つ」

花丸「善子ちゃんのことは、マルが絶対に守る」

花丸「善子ちゃんのことを、マルが絶対に幸せにする」

花丸「……だから、出てきて」
0299名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/17(水) 07:20:05.85ID:SI/G5PXP
善子「………」

善子「ねぇ、あんたはさ」

善子「あの男が犯人だって、思ってる?」

花丸「警察がそういうなら、そうかもしれない」

花丸「ダイヤさんの私物は左足の靴と、髪留めの二つしか見つかってない」

花丸「その中でも、男の人が絶対に関わっている。とされるのは髪留めだけ」

花丸「でも、血がついていて、ダイヤさんのもので間違いない。だから、あの人が犯人なんじゃないか。とは思う」

花丸「けど、逆に考えればその唯一無二絶対の証拠がなければなにもない」

花丸「……だから、髪留めについてた血のDNAを気にしてる」

花丸「善子ちゃんはどう思うの? それが偽装だって思うの?」

善子「偽装だとは思ってないわよ」

善子「そもそもそんなことが出来るような奴なんていないんだから」

善子「でも、花丸が言ったように髪留めを無視さえすれば誰が犯人なのか……分からない」
0300名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/17(水) 07:31:02.19ID:SI/G5PXP
善子「これは私の自己満足」

善子「ダイヤがどこかにいることを願ってのバカみたいなこと」

善子「でも……何もせず受け入れるなんてやっぱり、嫌なのよ」

花丸「……男の人の代わりに誰を疑うの?」

花丸「町の人? 県外の人? あげたらきりがないよ?」

善子「……警察が疑って、でも、物証によって疑われなくなった人」

善子「私が調べるのは、私たちのことよ」

ガチャッ

善子「付き合って、花丸」

花丸「……いいよ」

花丸「疑いを持てるのは、善子ちゃんが許せないから」

花丸「疑うだけの理由があるからなんだよね?」

花丸「だったら、そうしよう」

花丸「どんなことにだって、付き合ってあげるずら」

花丸「善子ちゃんがそれを望むのなら、付き合うよ」ニコッ

善子「……あんたのその顔、嫌いだったけど」

善子「今となっては、悪くないわね」

善子「行きましょ、ずら丸」

花丸「ずら丸……」

善子「なによ」

花丸「えへへ、何でもないずら」ニコッ
0302名無しで叶える物語(禿)
垢版 |
2019/04/17(水) 07:52:46.91ID:d5EybjMN
車の中に一瞬でも入れたら……ってことか
壊れてる奴等が多過ぎて誰でも行けそうなのが恐いわ
0303名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/04/17(水) 08:05:17.04ID:MIjOuxmd
―――――
―――
―浦女部室―

千歌「そんなの絶対おかしいよ!」バンッ

梨子「千歌ちゃん……」

善子「………」

千歌「警察から事情聴取されたり、その時間何してたのか聞かれたり」

千歌「ダイヤさんがいなくなって悲しいのは千歌達なのに……」

千歌「なのに、なのに今度は善子ちゃんが疑うの!?」

千歌「なんで? なんでAqoursの中で疑わなくちゃいけないの!?」

千歌「ねぇ――」

善子「………」

善子「……言いたいのはそれだけ?」

千歌「なっ」

曜「善子ちゃん!」ガタッ

善子「あまり感情に訴えないで、犯人に見えるわ」

ガタンッ
  ガタッ
     グイッ

果南「……謝りな」

善子「………」

果南「千歌に謝れって言ってるの」

果南「善子!」グッ

千歌「止めて!」
0304名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/04/17(水) 08:16:50.77ID:MIjOuxmd
千歌「やめて、止めてよ!」

千歌「嫌だよこんなの!」

梨子「千歌ちゃんの言う通りだよ!」

梨子「Aqours内で疑いあって、言い争って」

梨子「そんなことダイヤさんが望むわけない!」

花丸「でも、ここで完全に潔白を証明しておいた方がいいんじゃないかな」

曜「花丸ちゃんまで……」

花丸「感情云々は抜きにしても、ダイヤさんが自分のことでマル達が疑われてるのはよく思わないはず」

花丸「だからこそ、ここでみんなの無実を証明しておいた方がいいずら」

鞠莉「……一理はあるわね」

鞠莉「仲間内であること、掘り起こすこと」

鞠莉「この二点を除けば」

鞠莉「潔白の証明をしておくべきという話は納得できる」
0305名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/04/17(水) 08:30:19.28ID:MIjOuxmd
ルビィ「……ルビィも良いよ」

ルビィ「実は、ルビィも気になってたんだ」

ルビィ「お姉ちゃんが見つかる可能性があるなら、やろう」

果南「……」

パッ

果南「わかった、わかったよ」

果南「ルビィちゃんも賛成だって言うなら、私もとことんまで付き合ってあげる」

千歌「果南ちゃん……?」

鞠莉「待って果南!」

鞠莉「それは私が」

果南「……ごめん、鞠莉」

果南「もう悠長に構えてはいられなくなった」

果南「……目を背けるわけにはいかなくなった」

果南「階段でルビィちゃんがダイヤを突き飛ばしたのを見たのは、私なんだから!」
0306名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/04/17(水) 08:36:40.96ID:MIjOuxmd
曜「えっ」

梨子「嘘……」

千歌「嘘だよね? 何かの間違いだよね!?」

ルビィ「本当だよ」

ルビィ「ルビィはお姉ちゃんを突き飛ばした」

ルビィ「最悪死んじゃうこと、大怪我することが解ってて突き飛ばした」

曜「な、なに言ってるの……?」

曜「や、やめよ? さすがに冗談にならないって!」

善子「まだ冗談かなにかだと思ってるわけ?」

善子「おめでたい脳みそね、曜」

曜「っ」

善子「部外者三人……」

善子「そうね、話の邪魔するだけなら出てってくれない?」

善子「一応Aqoursだからって呼んだけど、邪魔だわ」
0308名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/04/17(水) 08:55:21.95ID:MIjOuxmd
千歌「……それは、できないよ」

善子「なんで? 邪魔なんだけど」

千歌「こんなこと見逃せない」

千歌「本当はさせたくない」

千歌「でも、千歌達関係なくやるなら……千歌は見届けないとダメなんだ」

千歌「Aqoursのみんなを集めたのは、千歌だから」グッ

曜「……だったら私も残る。千歌ちゃんの味方だもん」

梨子「そ、それなら私も!」

善子「……ハァ」

善子「それじゃせめて黙ってなさい」

善子「有意義な意見は……まぁ、聞いてあげる」

花丸「上から目線ずらね」

善子「うるさいわよずら丸」

善子「……ルビィ、続けて」
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

ニューススポーツなんでも実況