ダイヤ「真夏は誰のモノ?」ルビィ「SUMMER VACATION」
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ーーーーー静真高等学校‐第二学年教室
ルビィ「え…お姉ちゃんが…?」
【黒澤ルビィ‐静真高校ニ年‐旧網元・黒澤家第十六代当主第二位継承資格者】
善子「誰からの?」
【津島善子‐静真高校二年】
花丸「さぁ…果南さんか、鞠莉さんだと思うけど…」
【国木田花丸‐静真高校二年】
ルビィ「うん…じゃあ…」ピッ
善子「誰?」
ルビィ「花丸ちゃん……」
花丸「え、おら?」
善子「いやずら丸、電話っていうのは…」
花丸「それぐらいわかるずら」
ルビィ「お姉ちゃんが…浦の星にいるって……」
花丸「え……」
善子「……?何でよ」
ルビィ「…わかんない、けど………」 ダイヤ「せめて、海に還りたい。私はあのAqoursの始まりの場所で、せめてあそこでこの辛い時間を終わらせたい」
ダイヤ「一緒に、いってくれますか?」
ルビィ「(当然、私も行くしかない。お姉ちゃんは、歩けないんだから。私が車椅子を押してあげないとダメなんだから)」
ルビィ「…もちろん、行くよ」 「……行くって、どこへ行くんです?ルビィ、ダイヤ」
ダイヤ「海です」
「ダイヤ、貴女しゃべって……」
ダイヤ「お母様……私、ルビィと海に行きますの」
ルビィ「…………」ペコリ 「待ちなさい!ルビィ」
ルビィ「……?」
「死にに行くんでしょう、2人で」
ルビィ「…海を、見に行くんです」
「来なさい。黒澤家の女が、そのような服で最期を迎えるなどあってはならないこと」
「……あれを用意しなさい」 ガラッ
ルビィ「…………!それは」
【初代牟婁田雄辺作 本振袖 『朱天鶴』】
【同・『紅輪雀』】
「私が着付けます。皆は下がりなさい」 ダイヤ「………………………」
ルビィ「……………………あの」
「何も言わなくて結構です。しゃんと立っていればそれで」
ルビィ「……………………」
ダイヤ「……………………」
「………出来ましたよ。」 ルビィ「……………お母さん」
「2人とも、大きくなりましたわね。それに、一段と美人になりましたわ」
ダイヤ「!……お母様……」
ルビィ「!……お母さん」
「…………………」フフッ
ダイヤ・ルビィ「行ってきます」
「はい、行ってらっしゃい」
ガチャ バタン ガチャ バタン
「奥様。旦那様、大奥様を含め、大体の者は避難しました。急ぎましょう」
「…黒澤家の女は家を守るもの……貴女にだって、それくらいのことはわかるでしょう?」
「!はい、しかし…」
「ダイヤとルビィが帰って来た時、可哀想ではありませんか。誰もいなかったら、ね」 「しかし」
「わかったら早く行きなさい」
「…はい…では、ご無事で」
「…………えぇ」
「………………………………」
「ダイヤ、ルビィ…」
「なるべく早く、帰ってくるのよ……」 −−−−−都道府県道17号線路上
ダイヤ「ねぇ、ルビィ?」
ルビィ「なに?お姉ちゃん」
ダイヤ「久しぶりに、スクールアイドルの話をしましょうか」
ルビィ「!!うん!」 ルビィ「(私とお姉ちゃんは、それから、確かに何かを喋った。スクールアイドルのこと…だったと思うけど、違うかもしれない。私は、お姉ちゃんと話が出来ただけで嬉しかった)」
ルビィ「(不思議だよね。所詮、血が繋がっただけの他人なのに。こんなに嬉しいなんて)」
ルビィ「(私がそう独りごちた時、お姉ちゃんは海を見ていた。波を。波を待っていた。)」 ルビィ「お姉ちゃん………」
ダイヤ「何?ルビィ」
ルビィ「次の波にしよう」
2人でこうして、電車を待ちましたね。
黒澤ダイヤは、汗を拭いた。
ダイヤ「ルビィ。もう“私”だなんて、呼ばなくても良いんですわよ」
もう、頑張らなくて良いのかな?
黒澤ルビィは、涙を拭いた。
ルビィ「歩いていこうか、お姉ちゃん」 二人三脚のペアが、当日休んでしまって。
足の遅いルビィと組んでくれる人はいなかった。
学年など関係ありません、妹ですから!そう言って真っ直ぐ歩いてきてくれた。
ダイヤ「肩を組むのは、あの時以来ですわね」
運動会日和だった。夏の暑い日。今日と同じだ。 ザパァァァァァアアアン
ダイヤ「っ……」
ルビィ「っ……………」
あの時、何で2人で電車を待っていたんだろう。
そうだ、夏の思い出作りだ。
2人で、内浦じゃない海に行こうって…
結局、行ったのかな?
駅で待ってた思い出しかないですわね。 −−−−−−−
−−−−−
−−−−
−−−
ダイヤ「(ルビィ……ルビィ…ルビィ……)」
ルビィ「(お姉ちゃん…わかんないよ…水の中だもん…聞こえない、聞こえない……)」
ダイヤ「(ルビィ…ルビィ………ルビィ)」
ルビィ「(でもきっと、それはきっと……)」
ルビィ「(“ルビィ”の……名前……)」
ダイヤ「……………」ギュッ
ルビィ「…………………」ギュッ
ダイヤ「…………」
ルビィ「………」
ダイヤ「……」
ルビィ「…」
………………… 一分後、木負・津波避難タワー 浸水深7.0m
二分後、伊豆・三津シーパラダイス 浸水深1.0m
同分、内浦ダイビングセンター半壊。
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---- −−−−−次の夏、気温、31度。
鞠莉「チッ………瓦礫だらけね」
果南「ふ………鞠莉、もうこんな街にいなくたっていいのに。貴女の場所はここじゃないでしょ」
鞠莉「……あの旗は?」
果南「千歌が……ふらっと来て、あれだけ刺して帰ってったよ」
鞠莉「何のつもりよ……あんなの、過去の…….今更…」 果南「そうかもね。でもあれは…二人が1番幸せだった時でしょ」
鞠莉「そんなのっ!まだわからなかったじゃない!!もしかしたら…….ダイヤも全部治って、ルビィも普通の高校生に戻れて…」
鞠莉「それで、Aqoursのみんなでまた集まって、ハグゥとデスワとか言ってさ…何でよ…シャイ煮とか…またやれば良かったじゃない….堕天使も、普通怪獣も、なんで誰も、どこにもいないの!!」
果南「……鞠莉。私達は、それでも…」
鞠莉「わかってるよ、わかってるよ」 果南「………なんか、暑いね」
鞠莉「…夏だから」
果南「ルビィとダイヤがいる場所も、暑いのかな」
鞠莉「……くっ…何言ってんのよ…果南らしくない…」
果南「…ちょっと、何笑ってるの?……確かに私らしくはないけど」
鞠莉「ルビィとダイヤがねぇ…今までさんざん狭っ苦しく生きてきたんだから、なんかどっか広くて涼しいとこで休んでるんじゃないの?」
果南「そうだね…そう…だったらいいな」 −−−−−−−−−
−−−−−−
−−−−−
花丸「善子ちゃん」
善子「……あ…あんたね…何よ」
花丸「復興が終わって、街の機能が回復したら、漁業組合を中心にして黒澤家を訴えるって」
善子「今更ね…もう死んだのよ。ルビィとダイヤは、もう死んだの」
花丸「……そうだね、何にも意味無いずら」
善子「私達は、どうすれば良かったの?」 善子「私は何をして良いかわからなかった。だから、良いと思うことを全部やった」
花丸「おらは何をして良いかわからなかった。だから、善子ちゃんについていった」
善子「結果がこれ……か。誰も救われない。誰も」 花丸「……だけど、あのまま生きるより」
善子「!?…あんた…何言って…」
花丸「だってそうずら…家の人に色んな重荷を背負わされて、未来も勝手に決められて。頼りだったはずのマルたちも、2人を救うことは出来なかった。何にも出来なかった」
善子「……ずら丸っ!あんたは….」
花丸「そうだよ。さっきも言ったとおり、オラは自分からは何もしなかった。善子ちゃんと違って。ごめんね、こんな事言って。でも、でも…結局2人は死んでしまったんだから」 善子「そうね…そこに怒るのは、私が自己満足で2人を救おうとしてた証拠かしら」
花丸「それは……」
善子「良いのよ…そんな気がするから」 花丸「ルビィちゃんとダイヤさんは、どんなことを考えてたのかな。この海の中で」
善子「さぁ…そんなこと、一生私たちにはわかんないわよ。黒澤家の娘という立場にいつだって縛られて、あの二人が何者でもなくあれたのはあの海の中だけだった」
善子「そこで何を考えていたかなんて…到底わからないわ」
花丸「ひとつ分かるのは…その時の海だけは、あの二人だけの海だった」
花丸「あの二人しかいない、二人だけしか要らない海。海も、夏も、全部二人だけのもの。あの痛々しいほど熱い真夏の、その、最期の時だけはきっと………」 「SUMMER VACATION」
「真夏は、誰のモノ」 デュオコレクションvol.1
『SUMMER VACATION』収録曲、『真夏は誰のモノ?』の勝手な解釈をしてしまいました。
読んでくれた人、ありがとう。 読み始めぼく「はぇ〜」
読み終わったぼく「はぇ〜」 >>139
マジ?再読サンクス
今回のはあれの補完ver……地震の件と、着物の件を付け足したのよな。 果南が結局暴力担当だったり善子が急に水上バイク乗り出したり
全体的な作りに対してキャラ面が所々雑いな
面白かったけど 読みごたえあったわ
ところどころ気になる部分があったりしたけど オリジナルでやればという感想がまず出てきちゃう内容とキャラクターかな
それと補完されたっていう部分は蛇足だと思う >>146
これマジ?ただまぁ、あくまでAqoursの曲の曲の解釈だからな…前者に関しては否定させてもらうけど、後者は参考にするぜ。サンクス! >>151
説明しなくていーから!
さすがにストレートな解釈をそのままSSにしてるわけじゃないよ…抽象的にしてから具体的な部分を自分好みに置き換えてるわけで。 >>148
ひだまりPは俺も好きだけど、俺はひだまりPじゃないよ… 大作乙
好きな解釈じゃあないけど、嫌いな作風でもなかった なんとなくひぐらしっぽさを感じた
最後の地震の展開とかとくに 時刻とか場所のテロップの出し方が庵野秀明っぽい感じだった
シン・ゴジラとかエヴァとか ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています