善子「……まあ、でも、今までバカなことはしてたけど」

善子「そのぶん、真面目にやってきたことが今に繋がってるのかも」

じゃあ、私の今までって本当になんだったんだろう。

頑張ってた意味は?

そもそも、頑張りってなに? 私は今まで何をどうやってたの?

それが全部、ぜんぶぜんぶいまの失敗に繋がってるの?

どうして私はこんなになっちゃったのに。

善子ちゃんは、そんなになれたの……?

千歌「……うん。よかった、よかったよほんとに」

もう、笑顔でいられないや。

そもそも笑顔なんて作るの、1年ぶりくらいだし。

善子「千歌?」

千歌「ごめん、用事を思い出しちゃった。今日は帰るよ」

善子「ちょ、待ってよ! 待ちなさいよ!」

もう、善子ちゃんの話を聞きたくなかった。

無理だ……ここにいたら、私がおかしくなる。

私と正反対の彼女の言葉は、いまの私には、つらいだけだ。

千歌「ごめん、お金、置いておくから」

私は財布に入ってたお金を全部置いて、店を出た。

けど。

善子「待って、待ってよ千歌!」

追いかけてきた善子ちゃんに、しがみつかれてしまった。

これじゃあ動けないよ……

善子「待って……私、何かした……?」

千歌「……善子ちゃんは悪くないよ、何もしてない」

善子「ううん、した……絶対した」

千歌「してないよ」