0707名無しで叶える物語(たこやき)
2019/01/12(土) 23:33:36.49ID:3sJDVsr0善子「ここ、私の行きつけなのよ。安いし美味しいの。カウンター席しかないのがつらいとこだけど」
善子ちゃんに連れていかれたのは、大衆居酒屋だった。
あんまり多くのお客さんは入らないけど、そのぶん、ひとりひとりに手間をかけられる立派な居酒屋さん。
何より、本当に安い。
この値段設定は、今の私にはありがたいや。
善子「なに飲む? ビールで良い?」
千歌「いいけど……善子ちゃん、ビールなんて飲めるようになったんだ」
善子「これでも社会人1年生よ? 飲まされまくって慣れちゃったんだから!」
善子「マスター、こっちビール2つね! あと唐揚げと枝豆と────」
言いながら、慣れた様子で善子ちゃんは一通り注文を終えた。
ほぼ同時にビールと枝豆が差し出され、その早さに驚いてるうちに善子ちゃんが乾杯しましょ、と言う。
善子「なにぼーっとしてるのよ。ほら、持って持って」
千歌「う、うん」
善子「はい、再会を記念して……乾杯っ」
千歌「か……乾杯」
かちん、とぶつけ合ったジョッキはいい音が鳴った。
善子「ごく、っん……んく、っく……」
善子「ぷはーっ! このために生きてるって感じだわ!」
千歌「……おじさんみたいだよ」
善子「いいのよ、金曜の夜はこれって決めてるの」
……ああ、今日って金曜日なんだ。居酒屋も人が多いわけだね。