0706名無しで叶える物語(たこやき)
2019/01/12(土) 23:31:03.99ID:3sJDVsr0千歌「……ぁ、うん。ごめん……」
善子「ふふ、でも久しぶりに千歌の顔が見れてよかった。こんなところで再会するなんて、あなたじゃないけど、奇跡なのかしら」
奇跡、か……懐かしいな。昔は口癖のように言ってたっけ、奇跡。
現実はそんな甘い願いが通用するようなもんじゃなかったけどさ────
善子「なにそんな惚けた顔してるのよ。仕事帰り?」
千歌「……うん、そんなとこ」
嘘をついた。
本当のことを言ったら、善子ちゃんの笑顔を奪ってしまうと思ったから。
人を不快にさせない振る舞いを1年半続けた私には……それは、できなかった。
昼間から街中を歩くから、見てくれだけは仕事してる風にしておいて助かったかな。
おかげで疑われずに済んだし。
善子「そう……じゃあこれから少し、飲みにでもいかない? 再会を記念して」
千歌「……」
飲み、か。……この言葉も久しぶり……私、あんまり好きじゃなかったんだよね、飲み会。
ひとりになってからは、ずっと飲みっぱなしだけど。
酔ってる間は……嫌なこと全部忘れられるからさ。
千歌「……いいよ、あんまりお金ないから高いとこ行けないけど」
私は善子ちゃんの誘いを受け入れた。
やっぱり、断って彼女を不快にさせるのが嫌だったから。