梨子「わ、私と曜ちゃんの」曜「短編集だよ!」
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【朝】
梨子「曜ちゃん、朝だよ」
曜「んー……」
梨子「ほらほら、早く起きて」ユサユサ
曜「まだ眠いー……」
梨子「だめだよ、学校遅刻しちゃうから」
曜「はーい……」モゾモゾ
梨子「ふぅ」
曜「隙ありー!」
梨子「きゃっ!?」
曜「えへへ?梨子ちゃんいい匂い?」ギュー
梨子「もー……遅刻しちゃうよ」 <イラッシャイマセー
曜「なんにするの?」
梨子「サンドイッチ」
曜「じゃあ他のにしよ」
曜「すいませーん!」
<はーい!
曜「チーズイ」
<あ!Aqoursの渡辺曜さんと、桜内梨子さんですね!
曜「ええ、そうですけど」
<私大ファンなんです!今日は確かデートでしたっけ?
梨子「そ、そうなんです」
梨子「恥ずかしいからあんまり言わないでください///」
<ああ!すいません! <お二人だとやっぱりカップルセットですよね!
曜「え?」
梨子「それは……?」
<カップル限定のお得セットです!お二人くらいのラブラブカップルならもうこれしかないですよね!
曜「か、カップルセット……」
梨子「……よ、曜ちゃんがいいなら、いいよ?///」
曜「あー、じゃあそれでお願いします」
曜「えへへ、楽しみだね、梨子ちゃん」
梨子「……うん///」
<少々お待ちくださいー! 曜「…………」
梨子「…………」
曜「これ、本当に飲むの?」
梨子「逃げてもいいよ?」
曜「いや飲むし」
梨子「じゃあ早く飲んじゃいましょう」
曜「なんで梨子ちゃんと一緒に飲まないといけないんだか」
チュー
パシャッ
梨子「え?」
<あ!お気になさらず!
<後で画像送りますね!
<よければケーキをあーんしてるところもお願いします!
曜「もー、また梨子ちゃんとラブラブなのがバレちゃうね」
梨子「……うん///」 曜「喫茶店の画像、♡3万超えたよ」
梨子「当たり前でしょ。私がいるんだから」
曜「はいはい、相変わらず自信たっぷりなようで」
曜「それで、もう夕方だけどどうするの?」
梨子「このまま少し休憩しましょう」
梨子「公園のベンチに座ってるのって、絵になるでしょ?」
曜「そーですね」
梨子「曜ちゃんも荷物持ってるし疲れてるでしょ?」
曜「どっかの誰かと違ってひ弱じゃないからね」
梨子「ああ、そう」 曜「…………」ウトウト
曜(やばい……眠い……)
曜(昨日楽しみで寝られなかったから……)
曜(……起きて……ないと)
コテン
梨子「…………」グッ
梨子「……いつもお疲れ様、曜ちゃん」ナデナデ
チュッ
パシャッ 曜「ん……あれ、ここどこ」
曜「真っ暗……?」
梨子「ああ、やっと起きた?」
曜「……寝ちゃってたんだ」
曜「ごめん」
梨子「曜ちゃんが謝るなんて、明日は雨でも降るのかな?」
曜「うざっ」
曜「元はと言えば梨子ちゃんといるのがつまらないから寝たんだよ」
梨子「はいはいごめんね」
梨子「まあでもお陰でいい写真が撮れたわ」
曜「は?」
梨子
曜ちゃんを膝枕しちゃってます♡
みんなの人気者の曜ちゃんだけど、今だけは私が一人占め♡
大好きだよ、曜ちゃん。チュッ♡
♡4万 →4万 曜「うわ、なにこれ」
梨子「みんな膝枕好きなんだね」
曜「はぁ、最悪」
曜「なに最後のちゅって」
梨子「みんなの受けいいでしょ?」
梨子「曜ちゃんには分からないだろうけど」
曜「はぁ、もういいや疲れた」
曜「帰る」
梨子「ちゃんとバス停まで送ってよね」
曜「はいはい」
ギュッ 曜「…………」
梨子「…………」
曜(待って、ここホテルたくさんあるじゃん)
曜(もしここで口論になったら……)ゴクッ
曜(ううん、だめだめ。絶対だめ)
曜(寝不足で梨子ちゃんに迷惑かけたのに、ホテルまで一緒に行くなんて)
曜(それに、梨子ちゃんとそんなことしたら恥ずかしくて死んじゃう)
曜(ま、まあ……嫌なわけじゃないけど……///) 梨子(ど、どどどどうしよう、ここホテルたくさんあるよぉ///)
梨子(ぅぅ、ここで言い争いしたら絶対ホテル行っちゃうよぉ///)
梨子(そ、そんなの無理///曜ちゃんとなら嬉しいけど、でも無理なのぉ///)
梨子(……それにしても、今日は楽しかったなぁ)
梨子(楽しみで朝早く来たら曜ちゃんもいてくれて)
梨子(曜ちゃんをずっと一人占めできて)
梨子(そ、それに……秘密だけど、ほっぺたに……///)
梨子(そのうえホテルなんて行ったら……幸せすぎて死んじゃう///)
ようりこ((お願いだから何も喋らないで///))
ダイヤ「膝枕なんて破廉恥ですわ!」
鞠莉「ダイヤもする?結構気持ちいいわよ?」 千歌「今日は雨かー、やだなー」
梨子「屋上が使えないもんね」
曜「プールもねー」
千歌「もー!練習も寄り道もできないよ!」
曜「寄り道するところもないけどね」
梨子「今日、どうしよっか?」
曜「普通に帰るしかないでしょ」
曜「私は先生の手伝いしてから帰るよ」
梨子「私も音楽室に用事があるから」
千歌「はーい、じゃあまたねー」 「渡辺ありがとなー」
曜「いえいえー」
曜「あれ、梨子ちゃん?」
梨子「あ、曜ちゃん」
曜「今帰り?」
梨子「うん。一緒に帰ろっか」
曜「そうだね」
曜「雨が強くなるといけないし」 ザァァァ……
曜「結構降ってるなー」
梨子「曜ちゃん、傘は?」
曜「え?ああっ!」
曜「しまった……家に置いてきちゃった……」
曜「うーん、いつもは忘れないのに」
曜「ごめん、私先にいくね?」
曜「梨子ちゃんは後からーー」
梨子「だめ」
梨子「そんなことしたら風邪ひいちゃうよ」
梨子「それに、一緒に帰るってさっき言ったでしょ?」
パサッ 曜「…………」
梨子「…………」
曜「梨子ちゃん、肩濡れてるよ」
梨子「曜ちゃんも、だよ」
曜「……もう少し、近付いていい?」
梨子「……うん」
曜「……ちょっとだけ、あったかいね」
梨子「……こんなに冷たいのに、不思議だね」 梨子「いつもは、ちゃんと傘持ってきてるんだっけ?」
曜「うん。ごめんね、忘れて」
梨子「あ、違うの。そういうことじゃないから」
梨子「今度私が忘れてきたら、入れてくれる?」
曜「もちろんだよ」
曜「でも、梨子ちゃんはちゃんと持ってくるでしょ」
曜「私、結構忘れっぽいからさ」
曜「その時はよろしくね?」
梨子「うん」 〜数日後〜
曜「また雨かー」
梨子「そうだね」
曜「梨子ちゃん、もう帰る?」
梨子「うん。曜ちゃんは?」
曜「私も帰るよ」
梨子「……じゃあ、一緒に帰ろう?」
曜「うん」 曜「あれ?梨子ちゃん、傘は?」
梨子「朝慌ててたから忘れちゃったみたい」
梨子「だから、曜ちゃんの傘に入れてくれると嬉しいな」
曜「あ……」
梨子「……曜ちゃん、傘は?」
曜「……忘れた」
曜「私も朝慌てて……あはは……」 曜「…………」
梨子「…………」
曜「ごめん、本当は梨子ちゃんと一緒に帰れるかなって思って」
梨子「え、曜ちゃんも?」
曜「え?『も』って?」
梨子「あ……」
曜「梨子ちゃん、どういうこと?」
梨子「……私も、曜ちゃんと、一緒の傘で帰れるかなって」
曜「…………」
梨子「…………」
ようりこ「「ぷっ」」
ようりこ「「あっははははっ!!」」 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:1341adc37120578f18dba9451e6c8c3b) 曜「お互い、考えることは同じだね」
梨子「本当ね。心が通じ合ってるみたい」
曜「ねぇ、それならさ、雨宿りしようよ」
梨子「そうだね。少ししたら晴れるみたいだし」
曜「じゃあ私、梨子ちゃんのピアノ聴きたいな!」
梨子「とか言って、寝ないでよ?」
曜「寝ないって!梨子ちゃんの隣に座って、特等席で聴くからさ」
梨子「ふふ、それなら頑張らないとね」
ダイヤ「善子さん?その傘はどうしたんですか?」
善子「……折れた」ビチャビチャ 「くそ!なぜここに魔物が!」
「王女様!危ないっ!」
梨子「っ!」
ザシュッ!!
梨子「…………?」
曜「大丈夫?怪我はない?」
梨子「……は、はい///」
曜「間に合ってよかった」
曜「この辺は魔物が出て危ないから、安全なところまで送るよ」
「おい!その方から離れろ!」チャキ 曜「その馬車の紋章、敵国の……」
「聞こえないのか!」
梨子「やめてください」
梨子「この方は、私の命の恩人なのですよ?」
「……分かり、ました」スッ
梨子「申し訳ありません、助けていただいたのに」
曜「別にいいよ」
梨子「あの、よければお礼をさせてください」
曜「お礼なんていらないよ。困っている人を助けるのが騎士の役目だから」
曜「それに、貴族……だよね?敵国の騎士といるのは見られないほうがいいでしょ」
梨子「それは……」
曜「それじゃあ、さようなら」
梨子「っ、待ってください!」
梨子「せめて、お名前だけでも」
曜「曜、だよ」
曜「平和になったらまた会おうね」
梨子「……はい」 〜数年後〜
「やっと捕らえたか」
「これで形勢は一気に我等に傾くだろうな」
曜「っ……」ジャラ
「こいつのせいで、沢山の仲間が犠牲になったんだ!」
「拷問の許可は出てるんだ、沢山酷い目に合わせてやろうぜ」
「おい、命令は忘れんなよ?」
「ああ、王都に入るための秘密の抜け道か」
「さっさと答えろ!」
曜「……言わない。絶対に」
「自分の立場が分かってねーようだな」
「やっぱり先に心を折ってやろうぜ」
曜「っ……!」 梨子「っ、だめ!」
「お、王女様!?どうしてここに!?」
梨子「彼女の身柄は、私が預かります」
梨子「だから、酷いことをしてはいけません」
「し、しかし俺たちも命令で」
梨子「わ、私に逆らうんですか!?」
「っ、す、すいません」
「おまえら!いくぞ!」
タタタ 梨子「大丈夫ですか、曜様?」
曜「ありがとう……ってなんで私の名前を」
梨子「……見覚え、ありませんか?」
曜「……あ!昔、森の中であった」
曜「え、でも王女って」
梨子「はい。私は、この国の王女です」
梨子「あの時は助けていただき、本当にありがとうございました」
曜「ううん、こちらこそありがとう」
曜「でも、私を庇わないほうがいいよ」
曜「そのせいで罰を受ける可能性もあるんだから」
梨子「構いません」
梨子「絶対に、曜様は私がお守りします」
曜「…………」 カクン
梨子「っ!」ヘタリ
曜「どうしたの!?」
梨子「ご、ごめんなさい……足が……震えてて……」
曜「無茶、するから」
曜(私を庇うのにも、勇気が必要だったんだよね)
曜(兵士たちの前に立つだけでも怖かったはずなのに)
曜「……ありがとう」 曜「でも、こんなことして王女様は本当に大丈夫なの?」
梨子「…………」
曜「あれ?どうしたの?」
梨子「王女様って呼び方は、いやです」
梨子「梨子って呼んでください」
曜「でも、私は捕虜だし」
梨子「呼んでください」
曜「……ふふ、変なところで頑固なんだから」
曜「梨子ちゃん」
梨子「っ///」
曜「それじゃあ、私のことも様付けはやめてほしいな」
梨子「……よ、曜、ちゃん///」 曜「梨子ちゃん、また来たの?」
梨子「はい。毎日来ると、言いましたよね?」
梨子「曜ちゃんが酷いことされないように、ちゃんと守りますから」
曜「……危なくなったら、すぐに私を切り捨てて」
梨子「いやです」
曜「梨子ちゃん、これは真剣に言ってるんだよ」
梨子「私も真剣です」
曜「……お付きの人も困ってるよ」
「い、いえ私は……」 梨子「これが、曜ちゃんのご飯?」
梨子「これじゃあ栄養が足りなくて死んでしまいます」
梨子「作り直してください」
「し、しかし、捕虜の食事は決まっておりますから」
梨子「分かりました」
梨子「それでは、私も曜ちゃんと同じ料理をお願いします」
梨子「それ以外は口にしません」
「す、すぐに作り直させます!」 曜「梨子ちゃんって、思ったより意思が強いんだね」
梨子「……そういう子は、嫌いですか?」
曜「ううん。そんなことないよ」
曜「ただ、意外だなって」
曜「梨子ちゃん、大人しそうだもん」
梨子「……だって、曜ちゃんが可哀想じゃないですか」
曜「うーん、でも私は捕虜だからさ」
梨子「そんなの、関係ありません」
梨子「曜ちゃんにこんな酷いことするなんて……」 梨子「あ!いいことを思いつきました」
曜「いいこと?」
梨子「はい。曜ちゃんが、私の騎士になればいいんです」
梨子「そうすれば、曜ちゃんもちゃんとした暮らしがおくれますよね」
「……姫様、それは曜様に失礼ですよ」
梨子「え?」
曜「ありがたいけど……だめだよ」
曜「私は自分の国を裏切れないから」
梨子「ぁ……わ、私は……そんな意味で言ったわけでは……」
曜「うん。分かってるよ。だから、ありがとう」
曜「そういう気持ちだけでも、嬉しいから」 タタタタ
梨子「曜ちゃん、大丈夫!?」
梨子「怪我してない!?痛いところは!?」
曜「り、梨子ちゃん!?いきなりどうしたの!?」
「王女様、お待ちください!」
「申し訳ありません、曜様。授業内容のせいでご迷惑を」
梨子「曜ちゃんの国は、王様が悪い人でみんなを虐めてたんでしょ?」
梨子「それじゃあ曜ちゃんも酷いことされてるかもしれないもん!」
「王女様!失礼ですよ!」 曜「そんなことないよ。私は酷いことされてないもん」
梨子「本当に?村の人たちも、酷いことされてない?」
曜「うん。もちろ……」
曜(……されて、ない?)
曜(本当に?)
曜(国を回った時、村の人の様子はどうだったっけ?)
曜(貧しそうにしてる人も……いた)
曜(私たちを見ると、酷く怯えた表情をしてる人も)
曜(……それに、王様の悪い噂も聞いたことがある) 梨子「どうしたの、曜ちゃん?」
曜「ううん、なんだか最近、梨子ちゃんの言葉遣いが崩れてきたなって」
梨子「あっ……ご、ごめんなさい///」
曜「いいんだよ。むしろ、そっちの方が私は嬉しいから」
梨子「本当……?」
曜「うん。梨子ちゃんとの距離が近くなった気がするからね」
梨子「……っ///」
梨子「か、帰る///」
曜「あれ、梨子ちゃん!?おーい!」 梨子「私、曜ちゃんにいろいろ酷いこと言ってたんだよね」
梨子「私の騎士になってとか、曜ちゃんの国は悪いところだ、とか」
梨子「何も知らなくて……ごめんね」
曜「謝らなくてもいいって」
曜「私のことを心配して言ってくれてるんだもん」
曜「私は嬉しいよ」
梨子「曜ちゃん……」
曜「それより、今日のご飯は何かな?」
梨子「さっき聞いたら、サンドイッチって言ってた」
梨子「曜ちゃんの大好きな、ハンバーー」
「楽しそうだな、梨子」 梨子「お父様……!」
「秘密の抜け道をなかなか聞き出せないと思ったら、こんなことをしていたとはな」
「こうなれば、私が直接聞いてやろう」
梨子「曜ちゃんに、酷いことしないで!」
曜「梨子ちゃん!逃げて!」
「どけ!死にたいのか!」
梨子「曜ちゃんを助けられないなら、私は死にます!」
曜「だめ!私のことはいいから!」
「その女にたぶらかされたか」
「ならばその女を殺して目を覚ましてやる!」ヒュッ
曜「っ!」
ザシュッッッッッ
ビチャビチャ
曜「……え?」
梨子「……」バタッ 曜「梨子ちゃん!?」
曜「なんで、なんで、私をかばって……!」
「ふん、馬鹿な娘だ」
曜「まだ、生きてる!」
曜「お願い!梨子ちゃんを、早く助けて!」
「そいつは後だ、お前から秘密を聞き出す方が先だ」
「それとも……抜け道の場所を教えてくれるのか?」
曜「っ!」
曜「……ます」
「なんだ?」
曜「言う!言うから!早く、梨子ちゃんを助けて!」
「……ふん。治癒室に運んでやれ」 〜数日後〜
曜「……」
曜(私は国を裏切った)
曜(もう戻ることはできない)
曜(あの日から梨子ちゃんの顔も見ていない)
曜(当然だよね、私のせいで、死にかけたんだから)
曜(もう、私には生きてる意味がない)
曜(このまま、処刑されるのを待とう)
キィ
曜「……誰?」
「すいません、夜分に」
曜「貴女は……梨子ちゃんの……」 「お願いします!梨子様を助けてください!」
曜「助ける?どういうこと?」
「……自分のせいで、曜様に秘密を話させてしまったことを悔やんでいるんです」
「あのせいで、曜様の国は陥落しました」
「曜様に合わせる顔がないと、このところはご飯も食べずにいます」
曜「そんな……」
「虫のいい話をしているのは承知しています」
「ですが、どうか、どうか……お願いします」
曜「頭をあげてください」
曜「……私も、梨子ちゃんとお話ししたいと思っていました」 曜「こんばんは、梨子ちゃん」
梨子「っ!?よ、曜ちゃん!?な、なんで……」
曜(目が真っ赤になってる)
曜(多分、ずっと泣いてたんだろうな)
梨子「……ごめん、なさい。ごめんなさい、ごめんなさい」
梨子「私のせいで、曜ちゃんに、めいわく、ぐすっ、かけて、」
曜「いいんだよ」
曜「梨子ちゃんが、無事だったんだから」
梨子「よく、ない、よ、」
梨子「なんで、そんなに優しいの?なんで、いつも許してくれるの?」
梨子「私、なんにも、曜ちゃんに、してあげて、ないのに、」 曜「してくれてるよ」
曜「梨子ちゃんが庇ってくれたから、私はこうやって生きてるんだもん」
曜「梨子ちゃんが勇気を出してくれたから、こうして梨子ちゃんとお話しできてるんだもん」
曜「私はね、騎士失格なんだ」
曜「梨子ちゃんが切られた時、頭が真っ白になっちゃったの」
曜「そして、天秤に掛けた。梨子ちゃんと、自分の国を」
曜「……答えは、言うまでもないよね?」
梨子「曜、ちゃん」
曜「だから、私は全然気にしてないよ」
曜「もう、国も捨てて、帰る場所もないんだし」
曜「むしろ、梨子ちゃんが悲しんでる方が、辛いんだ」
梨子「……そっか」 梨子「じゃあ、私が、曜ちゃんの帰る場所になる」
曜「え?」
梨子「曜ちゃん、私の騎士になって」
曜「でも……」
梨子「でも、じゃないの。私が、曜ちゃんに側にいて欲しいの」
曜「……全く、頑固なんだから」
曜「何なりとお命じください、王女様」
曜「これからは貴女の剣となります」 梨子「……じゃあ、最初の命令、してもいいかな?」
曜「何?」
梨子「……ぎゅって、して」
曜「…………」
梨子「早く!」
曜「はいはい」ギュッ
梨子「……暖かい」ギュッ
梨子「最初に会った時からね、ずっとこうしたかったの」
曜「そうだったの?」
梨子「うん。……あ、今のは忘れてね。命令よ」
曜「我儘だなぁ」クスクス
梨子「……ずっと側にいてよ、曜ちゃん」
曜「もちろんだよ、梨子ちゃん」 〜玉座〜
「おお、梨子、どうだった?」
梨子「ありがとう、お父様。おかげで、曜ちゃんは私のものになってくれたわ」
「そうか、よかったよかった。それでなんだか……」
梨子「はい、これからの計画。この通りにやれば内政も上手くいくわ」
「ああ、いつも助かっているよ」
「それよりも、怪我は大丈夫かい?」
梨子「このくらい必要経費よ」
梨子「馬鹿な王女のフリをして、曜ちゃんの信頼を得たんだから」
梨子「国への不信感を募らせて、裏切らせる」
梨子「ふふ、上手くいったわ」
「王女様、曜様がお呼びです」
梨子「すぐ行くわ」
梨子「ふふっ、曜ちゃん、大好きだよ」
梨子「ずっと、ずーっと、側に捕まえてあげる」
花丸「旅に出てたら国が滅んでたずら……」
千歌「新しく住むところ探さないとねー」 鞠莉「みんなは好きな人っているの?」
ダイヤ「鞠莉さん、いきなりどうしたんですか」
鞠莉「やっぱり気になるじゃない?」
鞠莉「なんてったって、私たちは高校生なんだから!」
ダイヤ「スクールアイドルは恋愛禁止のはずですが?」
鞠莉「もー!堅苦しいこと言わないの!」
鞠莉「ダイヤは誰が好きなの?」
ダイヤ「いませんわ」
鞠莉「もー!すぐそうやって隠す!」
鞠莉「じゃあ梨子は?」
梨子「え、わ、私……?」チラッ
曜「ん?」
梨子「っ///」 梨子「わ、私の好きな人は……元気、いつも笑顔の人です///」
果南(ああ……やっぱり)
善子(まあそうでしょうね)
曜「へー、そうなんだ」
曜「というか梨子ちゃん好きな人いたんだねー」
梨子「……ぅぅ///」
鞠莉「へー、他にどんな特徴があるの?」ニヤニヤ
梨子「これ以上は///」
鞠莉「そうなのー?曜も聞きたいわよねー?」
曜「うん!聞きたい!」
梨子「///」 梨子「その、す、水泳が、得意で」
果南(ちょ、梨子ちゃんそれは攻めすぎでしょ)
ダイヤ(ああ……そういうことですか)
曜「水泳が得意な人……うーん、誰だろうなー」
善子(ちょ、嘘でしょ?)
花丸(善子ちゃん並みに鈍感ずら)
善子(ヨハネよッ!)
花丸(人の思考を読むのやめてほしいずら)
梨子「……同じ、クラスの人、だよ」
鞠莉(ワーオ!梨子ったら、大胆すぎるわね!)
ルビィ(ぅゅ……なるほど) 曜「同じクラスかー、他にヒントは?」
梨子「よく、私のピアノを聴きに来てくれるの」
梨子「それで、その、『梨子ちゃんのピアノ、大好きだよ』って褒めてくれる……かな」
曜「うーん、そんな人見たことないなー」
果南(見たことなくて当然だろうね)
梨子「振り向いて欲しくて、最近はお弁当も作ってるの」
曜「あー!美味しいよね、梨子ちゃんのお弁当!」
善子「食べたこと、あるの?」
曜「うん!梨子ちゃんが作りすぎちゃったって、お弁当持ってきてくれるんだ」
ルビィ「毎日、ですか?」
曜「うん!梨子ちゃんっておっちょこちょいだよね〜」
梨子「…………」 梨子「勇気を出してデートに誘ったこともあるんだ」
梨子「その人が好きそうな服を買って頑張っておめかししたの」
曜「確かに梨子ちゃんの服装お洒落だったなー」
曜「梨子ちゃんと遊びに行くの楽しかったから、また行こうね」
梨子「……私の家に泊まりに来て一緒のベッドで寝たこともあるよ」
曜「おお!そんなところまで行ってるんだ!」
梨子「でも、その人は全然私のことを意識してくれないの」 曜「梨子ちゃんに好意寄せられて気付かない人なんているの?」
曜「よっぽど鈍感な人なんだねー」
善子(曜さん!もうやめて!リリーが凄い真顔になってる!)
花丸(千歌ちゃーん!早く止めるずらー!)
千歌(…………)
ルビィ(無の境地に入ってる……)
梨子「曜ちゃん、私ね、もう伝えられる気がしないの」
梨子「どうすればいいかな?」 曜「うーん、そんなに鈍感ならもう直接言うしかないんじゃないの?」
曜「それかさ、強硬手段に出るとか!」
善子(いやいや、落ち着きなさいよ)
果南(全部自分に跳ね返ってくるよ……私知らないからね)
梨子「強硬手段……?」
曜「うん!いきなりキスしちゃうの!」
梨子「そんなことしたら、迷惑だよ」
曜「大丈夫!梨子ちゃんは可愛いんだから!」
曜「梨子ちゃんのキスを嫌がる人なんて絶対いないよ!」
梨子「本当……?」
曜「うん!私が保証する!」
曜「だから頑張ろう?」
梨子「…………」
曜「ん?どうしたの?」
チュッ 梨子「……ばか///」
タタタタガラッピシャッ!
曜「……へ?」
曜「え?あれ?」
曜「いや、だって、なんで、私、あれ?」
曜「あ、あー、れ、練習だよね、」
曜「だ、だって、梨子ちゃんの好きな人は、元気で、水泳が得意で、同じクラスで、梨子ちゃんのピアノを聴いて、お弁当食べて、一緒にデートして、お泊りして……」
曜「……わ、私?」カァァァァァ
曜「ぅ、うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ///」マッカッカ
タタタタガラガラビピシャン!
ルビィ「でも、ああいう恋も、憧れちゃいますよね」
鞠莉「ルビィも鈍感よねー」
ルビィ「ふぇ?」
鞠莉「なーんて、ね?」 「「「「かんぱーい!」」」」
曜「久しぶりだねー、このメンバーで集まるの」
千歌「そうだねー、半年ぶりくらいかな?」
善子「時間が経つのは早いわね」
梨子「うん。なんだかあっという間だよね」
千歌「曜ちゃんと梨子ちゃんは同棲してるんだっけ?」
梨子「っ///」
曜「うんしてるよー。梨子ちゃんは朝が弱いんだよねー」
梨子「もー、言わないで///」 曜「おやおやー?何恥ずかしがってるのー?」
曜「梨子ちゃんの甘えん坊な話とかもあるんだよー?」
善子「え、なにそれ」
梨子「曜ちゃん!」
曜「梨子ちゃんね、夜に寂しくなると布団に入ってくるんだよ」
曜「『曜ちゃん、入れて?』って言いながらぎゅって抱きついてくるんだよねー」
梨子「う〜〜///」ポカポカポカ
千歌「梨子ちゃんも意外な一面があるんだねー」 善子「そういう曜さんはどうなのよ?」
梨子「よ、曜ちゃんだって甘えん坊なんだよ」
梨子「大会の時は毎回応援に来てってお願いしてくるもん」
曜「梨子ちゃんに応援に来てもらえると力が湧いてくるからね」
梨子「っ///お、お弁当作ってってよく抱きついてくるし///」
曜「梨子ちゃんのお弁当美味しいんだよ!」
曜「たまに『I love you♡』って書いてあるもんね」
梨子「も、も〜///ばかぁ///」 善子「なんていうか……バカップル?」
千歌「やっぱり曜ちゃんは強いんだねー」
梨子「そ、そんなことないもん」
曜「へー?もっといろいろ話しちゃっていいんだ?」
梨子「ま、まだあった?」
曜「梨子ちゃんがヤキモチ妬いてるところとか」
梨子「や、妬いてないもん///」
曜「他の子に告白された日はずっと機嫌悪くて大変だったなぁ」
梨子「ぅぅぅ///」グビグビ
千歌「おお!いい飲みっぷり!」
善子「リリーってお酒強かったっけ?」 〜一時間後〜
梨子「はぁ、曜ちゃんってほんとヘタレよね」
梨子「誘っても毎回手を出してこないし、なにやってるんだか」グビグビ
曜「あ、あの、梨子ちゃん、お酒はそのくらいに……」
梨子「正座」
曜「え?」
梨子「正座して」
曜「いや、でも」
梨子「曜ちゃん?」
曜「……はい」ペタン 梨子「付き合い始めて何年だっけ?」
曜「一年と半年くらい……」
梨子「それなのになんでしないの?」
曜「いや、それは……」
梨子「私がどれだけ恥ずかしい思いしてるか知ってる?」
梨子「何回も誘ってるでしょ?なんでそんなにヘタレなの?」
曜「……ごめんなさい」
梨子「お酒飲んだ時にたくさん挑発したよね?」
梨子「押し倒したのに真っ赤になって逃げ出したの誰だっけ?」
曜「……私です」
梨子「はぁ、ほんと情けない」
梨子「今日は帰ったらするの?」
曜「ま、まだ早い……ような」
梨子「は?」
曜「ひっ……」
梨子「するから。決定ね」
梨子「今度は逃げないでよ?」
千歌「……梨子ちゃん、お酒飲むと変わるんだね」
善子「曜さん負けてるじゃない」 曜「うーん、何か足りない」
千歌「そう?この衣装凄くいいと思うけど」
千歌「次のユニット曲は楽しい感じだし、流石曜ちゃんだよね!」
曜「確かにいいんだけど……あ、帽子とかどうかな?」
曜「うん!絶対似合う!よーし、それじゃあ千歌ちゃんは帽子を追加……と」メモメモ
千歌「ちょっとー?よーちゃん聞いてますー?」
梨子「…………」 曜「梨子ちゃん?」
梨子「ん?」
千歌「どうしたの?ぼーっとして」
梨子「なんでもないよ」
梨子「それよりどうかしたの?」
千歌「うん、私の衣装合わせ終わったから次は梨子ちゃんだよ!」
梨子「ああ、そうだったね」
梨子「?なんで千歌ちゃん帰る用意してるの?」
千歌「今日は旅館のお手伝いしなくちゃいけないからだよー」
梨子「そうなんだ、頑張ってね」
千歌「うん!じゃあまた明日ー!」
曜「じゃあねー!」
ガラガラピシャン
曜「よーし、それじゃあ梨子ちゃん!この衣装に着替えて!」 曜「おお!梨子ちゃん凄く似合ってる!」
梨子「そうかな?」
曜「おとなしい梨子ちゃんがカッコいい服着るとギャップがあっていいよね!」
梨子「ありがとう。でも、そんなに褒めても何もでないわよ」
曜「明日のお昼ご飯でもいいよ?」
梨子「それは難しいわね」
曜「あらら、残念」 曜「よーし、せっかくだしギルキスについて聞いちゃおうかな!」
曜「歌詞って誰が書いてるの?」
梨子「私よ」
曜「そうなんだ!どういうこと考えながら書いてるの?」
梨子「……どうしよう、かなぁ」ボソッ
曜「梨子ちゃーん?どうしましたー?」
梨子「……ふふ、もういいかな」ボソッ
曜「梨子ちゃーん?」
曜「あ、分かった!もしかして曜ちゃんこと考えて書いてるんでしょー」ニシシ
梨子「そうだよ、って言ったらどうする?」 曜「え?」
梨子「歌詞はね、いつも曜ちゃんのことを考えて書いてるの」
梨子「みんなの人気者の曜ちゃんを……私だけのものにしてあげたいってね」クスッ
曜「お、おお……!」
曜「凄いよ梨子ちゃん!今の演技凄い上手だよ!」
曜「もしかしたら役者になれるんじゃないのかな!」
梨子「役者になんてなれないわよ」
梨子「だって、本当に曜ちゃんを狙ってるんだもの」 曜「いやー、そんなこと言われると照れちゃうでありますな」
曜「それでそれで、梨子ちゃんに狙われちゃった曜ちゃんはどうなっちゃうの?」
梨子「そうね……身も心も私のものになっちゃうの」
曜「おー、それはそれは困ったことになっちゃうね」
曜「でも、曜ちゃんをゲットするのは中々難しいですよー?」ニシシ
梨子「……ふふ、それじゃあ試してみる?」
曜「え?」
ドン! 曜「っ!?」
梨子「どう、壁ドンされる気持ちは?」
曜「えっ!?///」
曜「い、いや、べ、別になんでもなっ!?///」
梨子「どうかした?曜ちゃん」アゴクイ
曜「っ……あ、あはは、今日の梨子ちゃんは積極的だね」
梨子「ええ。そろそろ待つのにも飽きたから……本気で曜ちゃんの心を奪っちゃおうかと思ってね」
曜「ふ、ふーん……ま、まあ頑張ってね///」
梨子「曜ちゃん、何処を向いてるの?」
梨子「私の目を見なさい」ズイッ
曜「ぅぁ///」 梨子「ずっと狙ってたの……曜ちゃんのこと」
梨子「いつも元気で笑顔なのに……本当は寂しがりやなところとか」
曜「っ///」
梨子「ふふっ」ジッ
曜「……っ///」メソラシ
梨子「あらあら、また目を逸らしちゃった」クスッ
梨子「曜ちゃん、顔赤くなってるよ」ミミモトボソッ
曜「ぅ///」カァァァ
梨子「可愛いわね」クスクス
曜「ぅぅぅ///」 梨子「今から曜ちゃんに呪文を掛けてあげる」
梨子「私のことを好きになる呪文をね」
曜「そ、そんな簡単に、好きになんて……」
梨子「ふふ、なるわよ」
梨子「今まで何人堕として来たと思ってるの?」
梨子「欲しいものは……絶対に手に入れるのよ」
チュッ……チュ
曜「んっ……っ♡」
曜「ぁ……、っ、ぃ、♡」
曜「っ、ぷはっ、ぁ、ぁ、」ガクガク 梨子「いい顔になったわね、曜ちゃん」
曜「……ぁ」ヘタリ
梨子「ゆっくりゆっくり、私に堕としてあげるから」
梨子「大丈夫。そのうち自分から私を求めるようになるわ」
梨子「その時は、いっぱい可愛がってあげる」
曜「……ない」
梨子「ん?」
曜「ならない。絶対に、そんなことに」
梨子「ふふ、強情なところも好きよ」
梨子「それがいつまで続くのか、楽しみにてるわ」
梨子「それじゃあまた明日ね、曜ちゃん」 〜次の日〜
鞠莉「ストーップ!」
鞠莉「曜、どうしたの?」
曜「え?」
鞠莉「さっきから集中できてないわよ」
曜「ごめんなさい……」
梨子「大丈夫?体調悪いの?」ギュッ
梨子「保健室……行く?」
曜「っ、誰のせーー」
梨子「みんなの前だよ?」ボソッ
曜「…………っ」 曜「ありがとう、梨子ちゃん」
曜「でも大丈夫だよ。ちょっと衣装で考え事してただけだから」
鞠莉「そう。いつもありがとね」
鞠莉「でも、練習は手を抜かないわよ」
曜「うん。もちろんであります!」
鞠莉「それじゃあもう一度やるわよ」
曜「……」キッ
梨子「ふふふ」クスクス 曜「はぁ……疲れた」
曜「梨子ちゃんのせいで集中できなかった」
曜「昨日……あんなことするから」
曜「……唇、柔らかかった」
曜「そのせいで昨日は全然眠れなかったし」
曜「っ〜〜〜〜」ブンブン
曜「だめだめ!これじゃあ梨子ちゃんの思う壺だよ!」
曜「衣装の続きを考えないと……ん?」
曜「忘れ物?練習着……これ、梨子ちゃんのやつ?」
曜「…………っ」ゴクリ スンスン
曜「ん……♡」
曜(梨子ちゃんの匂いがいっぱい……頭くらくらする)
曜(だめ、こんなの、やめないといけないのに)
曜(でも梨子ちゃんが悪いんだよ。私にあんなことするから)
曜(っ、梨子ちゃん、梨子ちゃん、梨子ちゃん)
パシャッ
曜「っ!?」
梨子「ふふ、そんなに私の練習着が気に入ったの、曜ちゃん?」
曜「り、梨子ちゃん……」 梨子「こんな簡単に罠に引っかかるなんて……もう私に堕ちちゃった?」
曜「罠……?」
梨子「そう。練習着を忘れたのはわざと」
梨子「私の匂い、どうだった?」
梨子「頭が痺れちゃったでしょ」クスクス
曜「っ、そ、そんなこと、ない」
梨子「そう。それじゃあ、もっと私の匂いを好きにさせてあげる」
梨子「曜ちゃん、今日のおかずはそれでやってね、貸してあげるから」
曜「な、何言ってるの、そんなのやだよ」
梨子「ふーん、じゃあこの写真が学校中にばら撒かれてもいいんだ」
曜「っ……!」
梨子「決まり……ね♡」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています