梨子「わ、私と曜ちゃんの」曜「短編集だよ!」
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【朝】
梨子「曜ちゃん、朝だよ」
曜「んー……」
梨子「ほらほら、早く起きて」ユサユサ
曜「まだ眠いー……」
梨子「だめだよ、学校遅刻しちゃうから」
曜「はーい……」モゾモゾ
梨子「ふぅ」
曜「隙ありー!」
梨子「きゃっ!?」
曜「えへへ?梨子ちゃんいい匂い?」ギュー
梨子「もー……遅刻しちゃうよ」 千歌「え、曜ちゃんどこ行ったの?」
梨子「コンビニよ。書い忘れたものがあったの」
善子「いや、リリー何も言ってないじゃない」
花丸「善子ちゃん。多分何を買ってくるのか料理を見ながら判断したんだと思うずら」
善子「ヨハネよ!……なるほどね、まあ曜さんならできてもおかしくないわね」
曜「買って来たよ!食後のデザート!」
梨子「ありがとう。冷蔵庫に入れておいてね」
善子「ってなんでよーー!!」 曜「どうしたの?」
善子「いやいや、なんでさっきのでデザートって分かるのよ!」
曜「なんでって、ねぇ?」
梨子「うん。普通じゃない?」
梨子「そうだ、曜ちゃん」
曜「うん、お風呂入れてくるね」
善子「いやだから待ちなさいよ!」
花丸「人間はついに話さなくても伝わるようになったずらね……未来ずら……」 曜「よく分からなけど、みんなびっくりしてたね」
梨子「そうね。このくらい普通だと思うんだけど」
曜「うんうん。私、梨子ちゃんのことなら何考えてるかほとんど分かるもん」
梨子「あら、本当?」
曜「うん、もちろん!」
梨子「じゃあ、今私が何を考えてるか当ててみてくれる?」
曜「うーん、曜ちゃんに意地悪してやるぞー!だね」
梨子「うーん、ちょっとだけ正解、かな」 曜「えー?じゃあ何考えてるの?」
梨子「さあね。ちゃんと当てて見て」
曜「えー、なんだろう、わかんないなぁ」
梨子「簡単よ?」
曜「うーん……なんだろうね」
梨子「……本当にわかんない?」
曜「わかんないよ、ちゃんと言ってくれないと」
曜「梨子ちゃんが、何して欲しいのか、さ」クスッ 梨子「……意地悪」
曜「あはは、ごめんごめん、拗ねないで」
梨子「だめ。怒ったから」
曜「もー、許してよー、梨子ちゃーん」
梨子「ふん」
梨子「曜ちゃんなんて嫌いよ」
曜「ごめんってー、梨子ちゃん」
曜「ほら、ちゃんとするからさ」
チュッ 梨子「…………///」
曜「機嫌治った?」
梨子「……まだ///」
曜「もー、梨子ちゃんは欲張りなんだから」ギュッ
曜「こんなことしてると、みんなにバレちゃうよ?」
梨子「……曜ちゃんは、我慢できるの?」
曜「ううん。梨子ちゃんがこんなに近くにいるんだから、我慢できないよ」
曜「もう少しだけ、このままでいよ」
梨子「……うん」
果南「うん、まあ知ってるけど」
鞠莉「かなーん!私たちも熱い愛の抱擁を!」
果南「しないって!ちょ、押し倒さないで!」 梨子「曜ちゃん、お願いがあるの」
曜「どうしたの?」
梨子「実はね、この前友達と話してる時に恋人の話になって」
曜「うん」
梨子「私の恋人を作るために人を紹介するって強引に言われてね、しつこかったから、恋人はいるって言っちゃったの」
曜「はいはい」
梨子「それでね、その子が今度沼津に来るみたいで」
曜「あー……ということは」
梨子「うん。曜ちゃん、恋人のフリしてくれないかな?」 曜「私でいいの?」
梨子「うん。こんなこと頼めるの、曜ちゃんしかいないの」
曜「別にいいけど、何をすればいいの?」
梨子「一緒に会ってくれるだけでいいよ」
梨子「後はちょっと恋人っぽいことをしてくれると助かるかな」
曜「うん、分かったよ!」
曜「勉強してから行くね!」
梨子「ありがとう、曜ちゃん」 〜当日〜
「梨子、久しぶりー」
梨子「うん、久しぶり」
「それで、梨子の恋人は?」
梨子「もうすぐ来ると思うんだけど……あ、来た」
「……おお、結構かっこいいじゃん」
梨子「おはよう、曜ちゃん」
曜「うん、おはよう、梨子」
梨子「へ?」
曜「今日も可愛いよ」
チュッ 梨子「ふぇっ///」
曜「はじめまして、梨子の彼女の渡辺曜です」
曜「梨子といつも仲良くしてくれてありがとね」
「え、は、はじめ、まして……」
梨子(よ、曜ちゃん口調が変だけどどうしちゃったの!?///)
曜「それじゃあ何処行こっか?」
曜「せっかくだし、沼津の街を楽しんでほしいよね」
梨子「え、えっと、それじゃあ商店街に……」
曜「うん。じゃあこっちだね」ギュッ
梨子(ぁ///手を///) 梨子「よ、曜ちゃん」ヒソッ
曜「ん?どうしたの?」
梨子「どうしたのはこっちのセリフよ」ヒソヒソ
梨子「今日はどうしちゃったの?」ヒソヒソ
曜「ああ、恋人のフリが何をしたらいいのか分からなかったから、鞠莉ちゃんに本を借りたの」
梨子(鞠莉さん!絶対面白がってやってるでしょ!)
曜「ちゃんと覚えてきたから、今日は安心していいよ、梨子」
梨子「っ///」
梨子(呼び捨てにされるの……すごいドキドキする///) 「あ、あのー」
曜「ああ、ごめんね、一人にして」
曜「こっちはいろんなお店があるんだよ」
曜「適当に見て回ろうか」
「は、はい///」
梨子「…………」
曜「これとか可愛いよねー」
曜「似合うんじゃない?」スッ
「そ、そうでしょうか///」
曜「あはは、緊張しなくていいよ」
曜「もっと気軽に絡んでくれていいから」
「っ……///」
梨子「…………」
ギュッ 曜「どうしたの、梨子?」
梨子「……私も、構ってくれないと、やだ」
曜「ふふ、ヤキモチ妬かせちゃったかな?」
梨子「……知らない」プイッ
曜「そういうところも可愛いんだよね」ナデナデ
梨子「…………///」カァァァ
「……まじで付き合ってたんだ」
梨子「なんか、ごめんね?」
「いや、いいよ。大切にされてるみたいだし、すごく安心した」 梨子「曜ちゃん、今日はありがとう」
曜「いいよ。梨子が困ってたら、いつでも力を貸すからね」
梨子「……もう、調子のいいこといって///」
梨子「……あれ?何処向かってるの?」
曜「私の家だよ」
梨子「あ、そうだったんだ、ごめんね。私も帰るね」
ガシッ
曜「だめだよ、梨子」
曜「これからが本番、だろ?」
梨子「え……?」 曜「今日、私、お母さんが家にいないんだ」
曜「この意味、わかるよね?」
梨子「っ///ま、待って///もう、恋人のフリは///」
曜「だーめ。今日一日は、梨子の恋人なんだから」
曜「ちゃんと最後までするからね」ギュッ
梨子「ぁ///」
梨子(だ、だめ、力が入らない///)
梨子(このままじゃ、私……///)ギュゥ
曜「ふふ、いい子だね、梨子は」
曜「今夜は帰さないよ、梨子」
梨子「………はい///」
鞠莉「ふっふっふっー、曜がどうなってるか楽しみデェス」
花丸「また悪巧みしてるずら」 千歌「今日はみんなでお泊まり会だー!」
みんな「「「いえーい!!!!」」」
千歌「まずはお風呂で汗を流すぞー!」
みんな「「「おー!!!」」」
千歌「じゃあ、みんなでお風呂にしゅっぱーつ!」
梨子「あ、ごめんね、千歌ちゃん」
千歌「どうしたの?」
梨子「私、お風呂は一人で入りたいの」
千歌「そうなの?」
梨子「うん、だからみんなで入ってきて」
曜「私も一人で入ろうかなー」
千歌「えー」 果南「千歌、みんなで入るのが苦手な人もいるよ」
果南「それに、あんまり大人数で入っても迷惑だし」
千歌「んー、じゃあ仕方ないね」
鞠莉「ダイヤー!久しぶりに体洗いっこしましょう!」
ダイヤ「しません!」
善子「はいはい、早く行くわよ」
花丸「善子ちゃん、温泉が待ち遠しいずらね」
ルビィ「みたいだね」
善子「違うわよ!あとヨハネ!」 曜「梨子ちゃんはみんなとお風呂入るの苦手なの?」
梨子「うん。苦手というか……ちょっとね」
梨子「なんだろ、自信がないっていうのかな」
曜「っていうと?」
梨子「みんなみたいに整ってないから、恥ずかしいの」
曜「そうなの?全然そんな風に見えないけど」
梨子「あはは、ありがとう」
梨子「みんなが戻ってきたら、先に入る?」
曜「ううん、私は後で入るよ」 ザブン
梨子「ふー……」
梨子「いいお湯……なんだかふわふわしちゃう」
梨子「今日はみんなで遊べて楽しかったなぁ」
梨子「これで、誰かと入れたらもっと楽しいんだよね」
梨子「……はぁ」
ガラッ
曜「梨子ちゃーん!いるー?」
梨子「曜ちゃん!?」 梨子「な、なんでここに!?」
曜「お風呂に入りたくなったからだよ」
梨子「そうなんだ、私はもうでるね」
ギュッ
梨子「え?」
曜「私さ、寂しがり屋なんだよ」
曜「だから梨子ちゃんと一緒に入りたいな?」
梨子「でも……」
曜「ほら、私を助けると思って」
曜「お願い!」
梨子「……うん」 曜「みんな元気だよね、多分枕投げ始まるよ」
曜「梨子ちゃんは得意?」
梨子「ううん、どちらかといえば苦手かな」
曜「そうなんだ」
梨子「……曜ちゃん、あんまり見られると恥ずかしい」
曜「ああ、ごめんね」
曜「でもそんなに恥ずかしい体じゃないと思うよ?」
曜「ここもおっきいし」サワサワ
梨子「な、何触ってるの!///お馬鹿!///」ペチッ
曜「あはは、ごめんごめん」 梨子「全くもう……」
曜「でも、本当にそう思うよ」
曜「梨子ちゃん、肌すべすべだし」
曜「女の子っぽい、って言ったらなんだか変だけど、本当に可愛い体だと思う」
梨子「……ありがとう」
曜「じゃあ私は先にでるね」
曜「ちゃんと温まるんだよ!」 梨子「……励ましてくれたんだよね」
梨子「私が、自信ないって言ったから」
梨子「全く、いつもは子供みたいにはしゃいでるのに」
梨子「こういうところは、凄く敏感なんだから」
梨子「曜ちゃんに言われたら、自信出さないわけにはいかないよね」
梨子「……ありがとう、曜ちゃん」
梨子「私も、頑張ってみるね」
千歌「よーちゃん、梨子ちゃんどうだった?」
曜「柔らかかったよー!」
果南「こら!バカ曜!」 果南「やっぱりいい景色だねー」
鞠莉「内浦は自然が多いから、何処を見ても綺麗よね」
ダイヤ「毎年のことですが、見るたびに趣が変わっている気がしますね」
果南「まあ、趣を感じないメンバーもいるみたいだけどね」ジロッ
曜「んー!梨子ちゃんのお弁当美味しいー!」
千歌「曜ちゃんばっかりずるいー!千歌も食べるー!」
梨子「あはは……いっぱいあるから慌てて食べなくてもいいんだよ」 曜「はー、梨子ちゃんのお弁当美味しいなー」
曜「もー毎回食べたい!毎日作って!」
梨子「それだと一緒に暮らさないといけないわよね」
曜「じゃあ一緒に暮らそう!」
梨子「はいはい。ちゃんと曜ちゃんが大きくなってからね」
曜「梨子ちゃん!同い年なのに子供扱いしないでよー!」
梨子「ふふ、ごめんごめん」
梨子「曜ちゃんが子供みたいなことを言うからつい」 曜「じゃあもっと子供っぽいことしちゃおっかなー」
梨子「わっ」
曜「えへへ〜梨子ちゃんの膝枕〜」
曜「ん〜いい匂い〜」
梨子「もー、甘えん坊なんだから」
曜「子供だからいいもーん」
梨子「全く……」フフッ
曜(本当に、いい匂い)
曜(なんだか……安心する……)
スヤ…… 果南「曜、寝ちゃった?」
梨子「みたい、ですね」
ダイヤ「全く、花を見に来たというのに」
梨子「疲れてるんですよ、きっと」
梨子「私が見てるから、みんなで行ってください」
果南「……そうだね、そうするよ」
果南「邪魔しちゃ悪いしね」
梨子「ふふ、ありがとうございます」 曜「ん……」
梨子「あ、起きた?」
曜「梨子ちゃん……あ、そっか、私寝ちゃってたんだ」
曜「ごめんね、私のせいで梨子ちゃんが……」
梨子「いいのよ。私も楽しかったから」
梨子「それよりも、曜ちゃんも今からお花見てきたら?」
梨子「凄く綺麗らしいよ」 曜「……私はいいよ」
梨子「なんで?嫌いなの?」
曜「嫌いじゃないよ。でも……」
梨子「でも?」
曜(……言えないよ)
曜(お花よりも、梨子ちゃんの方が見たいなんて)
曜(梨子ちゃんの方が綺麗だし、いい匂いだもん)
曜(今だって、こんなに近くに梨子ちゃんがいるのに……)ギュッ
曜「……今は、そんな気分じゃないから」 梨子「そっか。じゃあ、みんなが来るまで待ってようね」
曜「うん」
曜(梨子ちゃんは、平気そうだよね)
曜(多分、私は意識されてないんだ)
曜(ご飯を毎日食べたいとか、一緒に暮らそうとか、私はちゃんと分かって言ってるんだよ)
曜(でも、恥ずかしいから、いつも勢いで、冗談みたいに言っちゃうの)
曜(梨子ちゃんも、子供扱いばっかりでちゃんと答えてくれないし)
曜(はぁ……少しくらい、意識してくれてもいいのに)
曜(梨子ちゃんの、ばか)
ダイヤ「果南さん、さっき梨子さんに言ったのはどういう意味が?」
果南「そのうち分かるよ」 「おのれ、魔女め!」
「よくも仲間をッ!」
梨子「先に襲いかかってきたのはそっちでしょ?」
「うるさい!貴様のような悪魔が生きているからこうなるんだ!」
梨子「はぁ……」
梨子「本当に、人間って救いようがないわね」 梨子「なんで弱いのに歯向かって来るのかしら」
梨子「不思議でならないわ」
梨子「……ん?」
梨子「人の気配?にしては小さいような」
梨子「……子供?」
よう「ひっ!」
梨子「あら、可愛い子ね」
梨子「こんな森の奥に一人で来ると、悪い魔女に食べられちゃうわよ?」クスクス よう「あ、ぁぁ……」ヘタリ
梨子「あらあら、怖がらせちゃったかしら?」
梨子「ここは魔物が強くて誰も近寄らないはずなんだけど、なんでここにいるの?」
よう「…………」
梨子「親は?」
よう「…………」
梨子「ふーん、捨てられたんだ」
よう「!」
梨子「ごめんね、面倒だから心を読んだの」
梨子「……ふふ、あーあ、可哀想に」クスッ
梨子「このままじゃ絶対死んじゃうわよ」クスクス よう「……」グスッ
梨子「ここで殺しちゃってもいいけど、面白味がないわね」
梨子「それなら私の家で飼おうかな」
梨子「ほら、来なさい」
よう「いいの……?」
梨子「いいわよ。ただ、気に入らなかったらすぐに捨てるから」
梨子「少しくらい暇潰しになってよ?」 〜数年後〜
よう「ていー!やー!」
梨子「もー、朝からうるさい」
梨子「何やってるの?」
よう「修行してるの!」
梨子「なんで?」
よう「だって梨子ちゃん、『私を倒したら結婚してあげる』って言ってたもん!」
梨子「それは曜ちゃんが結婚してってうるさいからでしょ」
よう「だって梨子ちゃんのこと好きだもん!」
梨子「はいはい、じゃあ頑張ってね」
よう「あー!待って!魔法教えて!」
梨子「いつも教えてるでしょ。もう一度寝るから、起きたらね」
よう「じゃあ私も一緒に寝る!」
梨子「分かったから静かにしなさい」
よう「えへへー」 よう「梨子ちゃん、お手紙来てるよー」
梨子「手紙?」
梨子「…………」
よう「どうしたの?」
梨子「……なんでもないわ」
梨子「夕方には戻るから、少しだけお留守番しててね」
よう「はーい」 梨子「それで、元老院の重鎮達が私に何の用なの?」
「心当たりがあるじゃろう」
「最近、人間の子供と暮らしているそうだな」
梨子「だったら何?暇潰しに飼っているだけよ」
「その行動が魔女の威厳を損ねるんじゃよ」
「魔女は人間のような下等な生き物とは相容れない」
「すぐにその者を処分せよ」
梨子「くだらない戯言ね」
「勘違いするなよ。これは命令だ」
「それとも、我々と敵対したいのかね?」
梨子「…………」ギリッ ザッザッ
よう「梨子ちゃんー?何処行くのー?」
梨子「曜ちゃんは知らなくていいわ」
よう「えー、知りたいよー」
梨子「知っても無意味よ」
よう「むー!今日の梨子ちゃんなんだか意地悪!」
梨子「……ええ、そうね」
よう「梨子ちゃん、止まってどうしたの?」
よう「もう着いたの?」
グイッ 梨子「…………」グググッ
よう「うあ゛っ!」
よう「り、りこちゃ、くるしっ、」
梨子「そう。それならさっさと死になさい」
よう「な、んで、」
梨子「飽きたのよ。曜ちゃんに」
梨子「私、弱い人が嫌いなの」
梨子「だから殺すわ」
よう「ぁ……っ……」
「おい!そこで何をしてる!」
「魔女だ!子供が襲われてるぞ!」
梨子「王国の騎士……ね。ここは引いておくわ」パッ
よう「ぁっ、げほっ、げほっ」ドサッ
「おい!逃すなおえ!」
「その子を保護しろ!治癒士を呼べ!」 コンコン
善子「遊びに来たわよ、リリー」
善子「……開けるわよ」
梨子「…………」
曜『ていっ!やぁっ!』
『ぬぉっっ!』
曜『やったー!勝てたー!』
『まさか鍛えて数年で追い越されるとは……恐ろしい才能だな』
『おいおい、剣聖様が負けたぞ』
『あの力があれば邪悪な魔女達を倒せるかもしれん』
『将来は英雄だな』 善子「また観てたのね、あの子のこと」
梨子「……何の用?」
善子「暇だったから遊びに来たのよ」
善子「全く、そんなに未練があるなら連れて逃げれば良かったのに」
梨子「別に未練なんてないわ」
梨子「ただ、私の玩具が何処にあるのか気になっただけ」
善子「素直じゃないんだから……って、あれ」
梨子「?」
『曜様///』
曜『こんにちは、姫様』
『私のことは、名前で呼んでくださいと言っているでしょう///』ギュッ
曜『と言われても困りますよ』
曜『私は拾われた身なんですから』
『そんなこと、何にも関係ありませんわ///』
バリィィィィィィン!!! 善子「ちょっと!いきなり水晶玉壊さないでよ!」
梨子「…………」ギリッ
善子「落ち着きなさい、リリー」
梨子「うるさい」
善子「人間と恋をしても辛くなるだけよ」
善子「人間の世界で育てば、自然と魔女を憎むようになる」
善子「もう、会わないほうがいい」
梨子「……分かってる」
善子「……ごめんね、辛いこと言って」
善子「でも、例え恋が実ったとしても……その先に未来はないわ」
梨子「…………」 〜数年後〜
「邪悪な魔女を滅ぼせー!」
「うおー!」
梨子「はぁ、懲りない人間たちね」
梨子「たくさんの魔物が住むこの森に軍隊で入るなんて、餌が増えるだけなのに」
梨子「本当に私を倒したいのなら、少数精鋭で来るべきよ」
梨子「まあ、だから、一人で来たのね」
梨子「曜ちゃん」
曜「…………」 梨子「久しぶりって言った方がいい?」
梨子「それとも、何をしに来たか聞いた方がいいかしら?」
曜「梨子ちゃんを倒しに来たんだよ」
梨子(やっぱり、恨んでるわよね)
梨子(戻って来てくれた、と少し期待するなんて……本当、どうしたんだろう)
梨子(全く、歳は取りたくないわね)
梨子「舐めるなよ、人間の小娘風情が」
梨子「【虚無の魔女】に歯向かったらどうなるか教えてやる!」 梨子「…………」
梨子「……はぁ」
曜「…………」チャキ
梨子「この私が手も足も出ないなんて、全くどれだけ化け物に育ってるんだか」
梨子「ほら、今なら昔の恨みを返し放題よ」
梨子「もう抵抗する気もないし、拷問なりなんなり好きなようにしなさい」
曜「私の勝ち、だよね?」
梨子「ええ、そうよ」
梨子「今なら簡単に首を刎ねられるわ」
梨子「ほら、早く」
曜「じゃあ、約束通り私のお嫁さんになってもらうね」
梨子「…………」
梨子「え?」 梨子「待って、何言ってるの?」
曜「梨子ちゃんが言ったんでしょ?倒したら結婚してくれるって」
梨子「確かに言ったけど……」
曜「私ね、あの時から梨子ちゃんを倒すために頑張って来たの」
曜「梨子ちゃんを倒せて、それと梨子ちゃんを虐める人たちからも守れるように、頑張って修行したんだよ」
梨子「……そ、そうなんだ。ふーん、人間って単純なのね」
梨子「というか、曜ちゃんってそんなに私のこと好きだったんだ」
曜「うん、好きだよ」
ドサッ 梨子「え?ちょ、ちょっと、まっ、」
曜「無理。待てない」
曜「梨子ちゃんと一つになるの、ずっと待ってたんだから」
曜「それに、梨子ちゃんは私のお嫁さんなんだから、嫌って言わないよね?」
曜「まあ、抵抗しても無理やりするけどさ」
梨子「っ///に、人間のくせに///」
曜「その人間に負けた魔女は誰かな?」ミミモトボソッ
梨子「くぅ///」
曜「不老の魔法も覚えたから、ずっと一緒にいられるよ」
曜「……大好きだよ、梨子ちゃん」
梨子「……全く」フフッ
梨子「仕方ないから、曜ちゃんのお嫁さんになってあげるわ」
チュッ
ルビィ「善子ちゃんも、人間さんと恋したいことがあるの?」
善子「え、ないけど」
花丸「なんでもかんでも意味深に喋るのやめるずら」 魔女集会で会いましょうとか懐かしいな
それにしても毎日ありがとう 梨子「はい、どうぞ」
曜「いや、どうぞじゃないじゃないよ」
曜「何この見るからに怪しい薬」
曜「紫と緑が混じった色してるしなんだかボコボコ言ってるじゃん」
梨子「スポーツドリンクだよ。曜ちゃん、喉渇いてると思って」
曜「ねえ私の話聞いてた?なんで何事も無かったかのように続けてるの?」
曜「絶対飲まないよ?」
梨子「我儘言わないで」
曜「いや我儘じゃないし」 梨子「鞠莉さん、これ駄目だって」
鞠莉「あら?なんで?」
梨子「色が良くないみたい」
鞠莉「そうなの?じゃあ次は無色にしとくわね」
梨子「お願いします」
曜「お願いだから私の前でやらないで」
曜「いやそもそも開発しないで」 曜「ねえ梨子ちゃん」
梨子「どうしたの?」
曜「私の飲み物が真っ赤に染まってるんだけどなんで?」
梨子「知らないわよ」
曜「真顔で嘘つかないで」
曜「何入れたの?」
梨子「改良した薬よ」
梨子「バレないように混ぜておいたのに、変色しちゃったんだ」
曜「冷静にメモしないで」 曜「あんまり聞きたくないけど、この薬はなんなの?」
梨子「ただの惚れ薬よ」
曜「危ない薬はやめて」
梨子「危なくないわよ。ただすぐに押し倒したくなるくらい私のことが好きになるだけだから」
曜「危ないよ。私捕まっちゃうじゃん」
梨子「大丈夫。ちゃんと気持ちよさそうにすれば和姦に見えるでしょ?」
曜「二人とも警察行きだよ」 梨子「なんで飲んでくれないの?」
曜「いや、見るからに怪しいし」
梨子「私のこと嫌いなの?」
曜「嫌いじゃないけど」
梨子「はあ、もういいわ」
梨子「今度はお香型にして曜ちゃんを家に誘き出すから」
曜「お願いだからやめて」 梨子「どうやったら曜ちゃんに薬を飲ませられるんだろう」
梨子「あ、そうだ、お弁当に混ぜればいいんだ」
梨子「鞠莉さん、お薬たくさんもらえる?」
梨子「お米もそれで炊くから」
鞠莉「いいわよ〜!ちゃーんとどうなったか聞かせてね!」
梨子「任せて」
梨子「よーし、頑張るぞー」 梨子「曜ちゃん、お弁当どうぞ」
曜「いきなりどうしたの」
梨子「曜ちゃんに食べて欲しくて」
曜「なんか怖いんだけど」
曜「あ、でも見た目は普通だ」
梨子「あーん」
曜「しないよ」ヒョイパクッ
梨子「あぁっ」
曜「美味しい」
梨子「そう?いっぱい食べてね」
曜「うん、ありがとう」 梨子「…………」
曜「どうしたの?お昼から考え事して」
梨子「ううん、なんでもないけど」
梨子「曜ちゃんは何にもないの?」
曜「別にないけど」
梨子「そう」 梨子「鞠莉さん、薬全然効いてないみたい」
鞠莉「ホワーイ?あんなにたくさん使ったのに効かないわけはないんだけど」
梨子「火を通すとだめとか?」
鞠莉「うーん、そんなことないと思うんだけど」
鞠莉「やっぱり原液を飲ませるしかないわね」
梨子「分かった。飲んでもらう」
鞠莉「ファイト〜」 梨子「曜ちゃん、これ飲んで」
曜「嫌だけど」
梨子「なんで嫌なの?」
曜「むしろなんで嫌じゃないと思うの」
曜「そんな危ないもの体に入れたくない」
梨子「それなら大丈夫よ。今日のご飯、作るときの水は全部あれだから」
曜「え、そうだったの?」
梨子「うん。でも全然変わらないからおかしいの」
梨子「だからもう原液で飲んでもらうしかないわ」
梨子「ほら、飲んで」
曜「……はぁ」
ゴクゴク コトン
曜「はい、これでいいの?」
梨子「え?」
曜「何?」
梨子「何か変わったことない?」
梨子「私が可愛く見えるとか、私のことが好きとか、私のことを押し倒してめちゃくちゃにしたいとか」
曜「梨子ちゃん、願望漏れすぎだよ」
曜「私は特に変わったことないかな」
梨子「そんな……薬が効かないなんて」 梨子「鞠莉さん、薬全然効きません!」
鞠莉「おかしいわね、本当になんともないの、曜?」
曜「ないけど」
梨子「これ本当に好きになってくれるんですか?」
鞠莉「一度他の人で実験してみましょうか」
曜「悪巧みなら私のいないところでやって」
梨子「せっかく曜ちゃんが私のことを好きになってくれると思ったのに」
梨子「でも覚悟しててね、いつか私のことを襲わせてみせるから」
曜「危ない宣言をしないで」
梨子「体洗って待っててね」
曜「はいはい」
ルビィ「ヨハネしゃまぁ……♡」スリスリ
善子「マリーに貰ったジュースを飲ませたらルビィがおかしくなったわ……///」 梨子「む〜〜〜〜!!!」
ポカポカポカポカ
曜「り、梨子ちゃん、ごめん、ごめんって」
曜「お願い、機嫌なおして?」
梨子「怒ってないもん」プクー
曜「いや、怒ってるでしょ」
曜「ごめんね」ギュー
梨子「……つーん」 千歌「……何してるの?」ヒキッ
曜「あ、千歌ちゃん」パッ
梨子「!」
曜「他の子と喋ってたら梨子ちゃんが拗ねちゃって」
梨子「…………」ゲシゲシ
曜「あーもー拗ね方まで可愛いんだから」ギュッ
梨子「ふん」
曜「はいはい、機嫌なおして」ナデナデ
梨子「怒ってないからね」ギュー
曜「うんうん。ごめんね」ナデナデ 〜休憩中〜
千歌「あんな梨子ちゃん初めてみたよ」
曜「いろいろあって疲れるとああなるみたい」
千歌「そうなの?」
曜「うん。多分そうだと思う」
果南「曜、ちょっと」
曜「ん?なに?」
果南「早く梨子ちゃんの機嫌取ってきて」
果南「ほっぺ膨らませながら曜の方見てるから」
梨子「…………」プクー 曜「梨子ちゃんごめんね、待たせちゃって」
梨子「待ってない。曜ちゃんなんか知らない」プクー
曜「ほらほら可愛い顔が台無しだよー」プニプニ
梨子「ふん」ペシッ
曜「あてて」
梨子「他の人のところにいってきたら」プクー
曜「もー、そんなこと言わないでよ」ギュッ 曜「曲作り、上手くいってないの?」
梨子「…………」コクン
曜「大丈夫。梨子ちゃんならできるよ」
曜「私が保証するから」
梨子「……でも、なんにも思いつかないの」
曜「考えすぎなだけだよ」
曜「梨子ちゃんの感じたことを曲にするだけでいいんだからさ」
梨子「でも……」
曜「確かラブソング、だよね」
曜「じゃあ、明日は私とデートに決定」
曜「いっぱいドキドキすれば、曲なんてぱっと思いつくもんね」 梨子「……やだ」
曜「なんで?」
梨子「だって、前の時もデート中にヤキモチ妬いちゃったもん」
梨子「それで曜ちゃんに迷惑かけて……」
曜「かけられてないよ」
曜「梨子ちゃんのヤキモチはね、好きって気持ちが伝わってきてなんだか嬉しくなるの」
曜「だからこれからもいっぱいヤキモチ妬いてね」
梨子「……うん///」 梨子「曜ちゃんは?」
曜「ん?私?」
梨子「曜ちゃんはヤキモチ、妬いてくれないの?」
曜「うーん、どうなんだろう」
曜「なるべくしないようにしてるよ」
梨子「むー……」
曜「ごめんごめん、怒らないで」
曜「私って結構独占欲強いからさ」
曜「そういうの意識すると、梨子ちゃんのこといっぱい束縛しちゃいそうなんだよね」
梨子「……いいよ?」
曜「私がダメなの。ちゃんと純粋な恋人でいたいからさ」
梨子「じゃあ、そうしてあげる」
曜「ありがとう、梨子ちゃん」ギュー
梨子「///」
ルビィ「うーん……」パタリ
花丸「あまりの甘さにルビィちゃんが倒れたずらー!」
善子「ここは堕天使の涙で中和をーー」
ダイヤ「おやめなさい!」 鞠莉「そういえば、曜と梨子は二人で遊びに行ったりしないの?」
曜「あー、そういばあんまり」
鞠莉「えー?こんなにスウィートな仲なのに?」
鞠莉「本当はどうなの、梨子?」
梨子「こ、今週デート、します///」
曜「!?」
鞠莉「あら、そうなの?」
曜「あはは、恥ずかしいから内緒にしてたんだよね」
梨子「ごめんね、曜ちゃん……」
曜「別にいいよ!気にしないで!」 曜「ねえ」
梨子「何?」
曜「なにデートとか言ってんの?吐き気がするんだけど」
梨子「はぁ、猿がキーキーうるさいわね」
曜「は?」
梨子「仲がいいのにお出かけしてないなんて不自然でしょ?」
梨子「ちゃんとみんなからの自分への返事見てる?」
曜「はいはい営業熱心ですねー桜内さんは」 梨子「じゃあ土曜日、駅前に10時半集合で」
曜「勝手に話進めないでくれる?」
梨子「別にいいわよ、やめても」
梨子「曜ちゃんが負けを認めるんならね」
曜「は?行かないなんていつ言った?」
曜「時間の無駄だけど予定空けてあげるよ」
曜「じゃあ私帰るから」
梨子「はいはい」 〜土曜日 AM8:00〜
曜「なんでいんの?」
梨子「こっちのセリフなんだけど」
梨子「ああ、もしかしてデートが楽しみで早く来ちゃったとか?」
曜「寝言は寝て言ってくれる?」
曜「暇だから散歩しにきただけだよ」
曜「梨子ちゃんこそなんでここにいんの?」
梨子「はぁ、ちょっとそこで見てなさい」ポチポチ
梨子
よ、曜ちゃんと初めてのデート!
楽しみだったから待ち合わせの一時間以上前に着いちゃったよ〜メイ*,> _ <,リ
♡4531 →3236 曜「わざわざこれするために来たの?」
梨子「当たり前でしょ。曜ちゃんみたいな考えなしと一緒にしにいでくれる?」
曜「うっざ。もういいよ、早く行こう」
曜「というかこの時間だとお店全然空いてないじゃん」
梨子「はぁ、田舎者はこれだから」
曜「一々煩いんだけど」
梨子「ちゃんと朝から開いてるところも調べてあるから行くわよ」
曜「はいはい、流石は都会人さまですね」
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