0001名無しで叶える物語(プーアル茶)
2018/09/09(日) 22:28:35.14ID:0vL7uf2/───ザアァ
その上空では不自然に雨雲が集まり、
ビルの間では雨が音を立てて激しく降っていた。
「このっ…」キィンッ
単調に降り続ける雨の中で、暗闇に紛れ不規則に動く二つの人影。そこからは刃物がぶつかり合うような音が聞こえる。
「当たらないわぁ」ザッ
「はあぁっ!」
夜道のアスファルトは雨水に濡れ、
道端に出来た水溜まりの波紋は、微かな街頭の光によって広がっていく様を照らし出される。
「…その程度なの?」シュッ
「こいつっ…」バシャッ
暴力的な雨音に混じり、水場を踏む足音がかすかに聞こえる。
「…そろそろ良いかしら」
「は…何が?」
そう問う、雨水にぬれた猫耳を付けた女と対峙しているのは、水色の仮面をつけたブロンドの少女。
離れては近づき何度も切り合う。
一息もつけない攻防の中で、
「…終わらせてあげる」ピチャ…
仮面をつけた少女はしびれを切らしたのか、腰をかがめて水たまりへと手をついた。
コオォォ…──────
地面についた手を中心にし、一瞬にして地表が冷気で包まれていく。