深夜の秋葉原,大通りから2,3本外れた裏路地。


───ザアァ

その上空では不自然に雨雲が集まり、

ビルの間では雨が音を立てて激しく降っていた。


「このっ…」キィンッ


単調に降り続ける雨の中で、暗闇に紛れ不規則に動く二つの人影。そこからは刃物がぶつかり合うような音が聞こえる。


「当たらないわぁ」ザッ


「はあぁっ!」


夜道のアスファルトは雨水に濡れ、

道端に出来た水溜まりの波紋は、微かな街頭の光によって広がっていく様を照らし出される。


「…その程度なの?」シュッ


「こいつっ…」バシャッ

暴力的な雨音に混じり、水場を踏む足音がかすかに聞こえる。


「…そろそろ良いかしら」


「は…何が?」

そう問う、雨水にぬれた猫耳を付けた女と対峙しているのは、水色の仮面をつけたブロンドの少女。


離れては近づき何度も切り合う。

一息もつけない攻防の中で、


「…終わらせてあげる」ピチャ…


仮面をつけた少女はしびれを切らしたのか、腰をかがめて水たまりへと手をついた。


コオォォ…──────


地面についた手を中心にし、一瞬にして地表が冷気で包まれていく。