真姫「星に手を伸ばして」
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仕事の帰りのことだった。
このユウウツとした心の状態がきっかけになったのかもしれないし、あるいはそれこそ、必然や運命と呼ばれる何かに違いないのかもしれない。
家に帰りたくない理由はなく、けれども濃霧のようにジメジメとしてさっぱりしない気持ちを身体の重さに感じると、どうにも食べて寝るだけのマンネリ化した生活に戻る気力が沸き起こらなかった。
散歩でもすれば多色気が紛れるだろう、と、そんな気分で、普段使う大通りを脇道から抜け、路地を抜け、一本隣の通りへ出た。
大したことは考えずに街灯に照らされたコンクリートの地面を見たりしながら歩いていると、視界の端にまでのびる影にふと違和感を覚えて顔を上げた。
というのも、門が少しずれて隙間ができていて、施錠されていない。
以前通っていた音ノ木坂学院の裏口。
セコムなんかの防犯システムだって当たり前のようについている時代だろうに。
大丈夫なのだろうか。
好奇心半分に門を押すと音もなく開き、その光景になんだか私は全く躊躇いなく、あたかも引き寄せられるようにして校内に足を踏み入れた。
精神操作されているのではという発想に至るほどその行動は私らしくなかった。だから、運命と呼ぶに相応しい出会いだったのかもしれない。
非現実的なそれは、現実には受け入れられない夢なんだと、そう思う。 懐かしさと新鮮さをいっぺんに感じながら、校舎の横を縫うように歩いて校庭に出てみると、そこには絵画じみた場所があった。
東京では望むことのできるはずのない燦然と煌めく星々と天の川。深い闇色の空が埋め尽くされるほどに、溢れそうなほどの星空の下に。
葉を揺らす木のもとに、校庭の隅にぽつんと、不釣り合いな、小さな、二人がけの古びたベンチ。
じっと、その星を仰ぎ見る、幼く儚げな少女が一人。
居た。
運命との初めての再会だった。
──── 真姫「何してるの、こんなところで。関係者?」
2m程度の距離まで近付いて、あたかも関係者であるかのように、ぶっきらぼうに聞いた。
「……」
彼女といえば、今やっと私の存在に気が付いたように、上に向けていた顔を私に向けるなり丸い瞳を一層丸くした。
無垢で透き通った大きな瞳が特徴の、ショートヘヤの女の子だった。16、17に見える。
可愛らしい顔立ちと幼さの残るパジャマが夜空の下によく映えた。
「誰?」
真姫「誰よ」
「……」
答えず、子犬か子猫が何か訴えてくるような潤んだ瞳で見つめられて、私としたことがむず痒くなって折れた。
真姫「真姫。西木野真姫。名前は?一人でこんな時間に、こんな場所で、何してるの。答えなさい」
「星をね、眺めてるんだ」
真姫「見ればわかる」
「星がね、すっごく、すっごく綺麗だよ」
真姫「ふざけないで。名前とここにいる理由を答えて」
「名前は多分凛っていうんだ。それ以外は何一つ知らないの」
真姫「は、意味分かんない。夢遊病?」
「夢遊病じゃないよ、眠くないもん」
自分のことを名前以外知らないなんて馬鹿なことあるはずがない。
隠しているのか、言外に何か訴えているのか。
真姫「18歳未満は条例で23時以降一人で外出しちゃいけないんだけど」
「あなたは私が何歳か知ってるの?」
一切の棘なく純粋にそう聞いてきた。
真姫「その見てくれじゃ、どう考えても警察に補導される」
「何歳くらいに見える?小学生?中学生?高校生?」
真姫「……」
寝ぼけているのか知らないが、話にならない。
疲れるだけだ。
黙って背を向けた。
「い、行っちゃうの?」
真姫「せいぜい早く帰ることね」
「もっと……お喋りしたいよ」
振り返ってみれば、その瞳は星を反射した。
泣き出しそうな瞳は、やはり子犬か子猫のつぶらな瞳に見えて、どうにも私は弱いらしかった。
諦めて、溜息を一つ吐いてから、ベンチの隣に座る。
真姫「喋るも何も、一向に話を続けないのはあなたでしょ」
「私は本当に私のことがわからないんだ。例えば、ここに今さっき来たような気もするし、何年もの間、ここで誰か何かを待ち続けてる気さえするの。だから、私のこと教えてほしいな」
夢見がちな年頃なのだとそう諦めて、素直に従った。
真姫「顔立ちや体型から判断して、高校1、2年ね。ショートヘヤ。珍しくもなんともない」
「うん」
真姫「スポーツ得意そうな印象を受ける。体が細いし」
「それで?」
真姫「それくらいしかないでしょ、別に。見た目の第一印象なんて」 「残念。じゃあさ、真姫ちゃん?のこと教えてよ」
年下から初対面にしていきなり下の名ちゃん付け呼ばわりされたことに一瞬むっとしたけど、相手の単純そうな性格とこの状況のことを考えるとどうでもよくなった。
真姫「別段教えられるほど変わったことは持ち合わせてない。得意という得意もなければ、趣味という趣味もない。普通の社会人」
「えへへ。じゃあ私と一緒だね」
真姫「どこがよ」
「真姫ちゃんも自分で自分のことがわからない」
真姫「あなたよりは理解してるつもりだけど」
「でも嬉しいよ。ひとりぼっちじゃないんだね」
天の川を映しているようだった。
なんの根拠もないけど、ただそう感じただけ。
幾多の星の中から、答えを探し求めている気がした。
真姫「ペットショップ関連で働いてるの。あなたまるで、捨てられた犬か猫みたい」
「馬鹿にされてる気がする」
真姫「してないわ」
夢見がちでも、根暗、ミステリアスといった印象はなくて、表情豊かな明るい子。
自身のことを徹底的に口にしない以外は、至って普通の女の子。
5分、10分、それから話して得た印象だった。
真姫「帰る。お腹空いたから」
「……」
顔を俯けて目を細める仕草は、あざとさすら感じさせる。
感じる必要なんてない罪悪感を押し付けられているようで嫌だった。
真姫「帰りなさいよ。親と喧嘩でも?」
気を遣ってかけた言葉。
緩く首が振られた。
作り笑いが返答だった。
「お喋りしてくれてありがと。楽しかったよ」
右手が上げられて左右に振られた。
バイバイ、と。
私はまた溜息を吐いて、「勝手にしなさい」と言葉を吐いて、学校を後にした。
望めるはずのない星空に違和感を覚えることもなく。
ただ彼女のことが頭に残っていた。
──── 翌日。
彼女のことが気になり、感情を抑制する理由もなかったので、いない可能性も十分にあると理解した上で帰りに学校に寄った。
閉じられていない門を開けて、校庭へ進むと、昨日と全く同じように座っていた。
近付いていって声をかけるまで気が付かないのも昨日と全く同じだった。
真姫「毎日来てるわけ?」
「あ、真姫ちゃん来てくれたんだ」
真姫「別に。ただ私が興味持っただけよ」
「それでもいいよ!お話しよ?」
訳のわからないおとぎ話に付き合った。
いうところによると、気が付くとここに意識があるらしく、この場所、この時間にしかないらしい。
だから自分の居場所はここだ、と彼女は言う。
真姫「何時頃までいるの?」
「いつの間にか意識が消えていっちゃうの。だからはっきりは知らないけど、2時くらいまでは記憶にあるよ」
真姫「何時間も星見てて暇じゃない?」
「そうでもないかな。自然と、無意識のうちに、吸い込まれるように見上げてるんだ。そうすると、2時間、3時間、って経ってる。それにね、暇じゃないのは、お喋りしてるから」 真姫「誰と?」
「風とお喋りするの。私が笑ったときはかさかさって葉っぱの音を奏でてくれて、私が寂しくて泣きそうになったときは頬を撫でてくれる。一人がどうしようもなく怖くなったときは、必ず風が吹いて、一人じゃないよって支えてくれるんだ」
真姫「それ、一人も同然よ」
「違う。上手く説明できないけど、違うよ。私の思い出に、私の心に、大切な仲間がいっぱいいる。凛って女の子を一緒に形成してくれた親友がいる。そう夜空一面に広がる星たちが教えてくれるんだよ。だから、私は一人じゃないんだ」
たちの悪い宗教にでも乗っ取られたかのような馬鹿げた言葉だけど、彼女の確固とした信念を感じさせる面持ちが、それを否定する理由を失わせた。
そして初めて、記憶がないことも含め発言の全部が彼女にとっての真実なのかもしれないと疑った。
真姫「ふうん。案外ロマンチック。思い出せない思い出を追い求めてるの」
「きっとそう。自分で言うのもなんだけど、宇宙人かロボットなんじゃないかって考えたこともあるよ」
真姫「ロボットはないでしょ。ははは」
「お、おかしくない。真剣だもん」
数十分、お喋りに付き合って、家に帰る。
真姫「おやすみなさい」
「おやすみ、真姫ちゃん」
これから、飽きるまで、毎日寄って彼女と話そうと思った。
そんな生活はマンネリ化しても悪くないと思えた。
──── 5日ほど経過した。
真姫「凛」
凛「あ、真姫ちゃん。ん?これは」
真姫「話してた肉まん。食べてみて」
食べ物も飲み物も口にした記憶がない設定らしい。
無性に可哀想になったもので、野良猫を手懐けるイメージで餌を与えてみる。
凛「わ、湯気。いいにおい」
真姫「コンビニで買ったばかりだもの。当たり前でしょ」
凛「コンビニ……あの坂のところの?」
真姫「あら、知ってるのね、自分以外のこと」
凛「わかんない。けど、何か忘れちゃいけないことが、すごい、たくさん溢れてきた」
真姫「思い出が?」
凛は袖でごしごしと大きな目をこすった。
凛「大切な仲間と、たびたび寄った気がするの。とっても不思議なんだ」
あちちと言いながら、肉まんを半分に分けて、包み紙の残ったほうを手渡してきた。
凛「一緒に食べよ」
真姫「どうも。遠慮なく頂くわ」
凛「いただきます」
真姫「いただきます」
ほとんど同時に一口かじると、凛の方が視線も動かさずに固まった。
喉に詰まりでもしたかと心配になる。
真姫「凛」
次第に瞳は潤みを持って、溢れ出して、しずくが頬を伝った。
凛「懐かしい。覚えてる、凛、この味知ってるよ」
拭うこともせずに、一口、また一口と食べる姿を前にして、結局一口かじっただけの肉まんを返した。
その涙に一切の嘘の要素がない。
そう直感して確信した。
──── 休日を挟んで2日後。
髪飾りを買っていった。
黄色の星の形をしたそれは少し子供っぽさもあるけど、案の定凛によく似合った。
真姫「鏡見て自分で調節して」
凛「かわいい、すっごく!」
真姫「当たり前でしょ。私のセンスなんだから」
凛「ありがとう、真姫ちゃん」
随分と気に入ったらしくて、持て余した喜びを抱き着いて表現してきた。頭すりすり。猫か。
真姫「ちょっと、抱き着かないでよ」
凛「へ、へっくちん」
真姫「ああ、なるほど。動物の毛よ。慣れない毛吸うとアレルギー反応出るから」
凛「そ、そうにゃの?ペットショップ関連って…へっくちん」
真姫「ええ。犬とか猫とかね」
凛「そっか。ペット好きなんだね」
真姫「好きなの。本当に」
一面に落ちてきそうなほどに飾られた、星空に目を向けた。
その輝きを見守った。 ──
しばらく無言で肩を並べて座って、私が口を開く。
真姫「ねえ、私の家に来なさい」
凛「ううん。とっても行きたいけど、やっぱり無理だよ」
真姫「問題ないでしょ。後部座席にうまいこと乗れば、外から見えない」
凛「きっと、外に出たら凛は消えちゃう。星が、そう教えてる。居なくなるのは怖いんだ。何よりも。ひとりぼっちよりも」
真姫「もう!ここにいたって何も変らないでしょう」
凛「思い出は変らない。変えちゃ駄目。それさえ変わって、星さえ嘘を付いたら、凛は、何も信じられないよ……」
真姫「凛……」
上着を脱いで、今度は私から抱き締めてあげた。
どうしようもなくひとりぼっちで、誰にも頼れなくて、私にだって頼れない凛が崩れそうで、見ていられなかった。
ただ今この時間だけは、あたたかさを感じてほしい。
優しく抱き締めた。
──── 翌日。
凛と会う最後の日は、はやくも、呆気なく来た。
その日は、会社、ひいては社会に対する不満で、気分が悪かった。
学校に寄らない方がお互いのためなのではとさえ考えたけど、くだらない幼稚な八つ当たりであることに気が付いてその案をかき消した。
何も考えるまいと無心で学校に行き、門を開き、校庭へと歩く。
いつも通りの凛が、いつも通りに座っているのが見えた。
一つ違うのは、髪飾りをしている点だった。 真姫「凛」
凛「あ、真姫ちゃん。待ってたよ」
真姫「そう」
話す内容もないので、じっとグラウンドの向こうにある校舎の窓を見つめ、物静かな夜の音を感じていた。
凛「真姫ちゃん」
話しかけられたから答える。
真姫「何よ」
凛「辛いの?」
真姫「何が」
凛「いつもより、寂しそうだもん」
真姫「さあ」 凛「悩みがあるなら、凛が聞くよ?」
真姫「……」
凛「聞いてあげることしか出来ないけど、それでも少しは力になれるなら、凛のこと頼ってほしい」
真姫「はっ。自分のことは自分で全部抱え込んでおいて、とんだ自分勝手ね。じゃあ何、社会の仕組みに根本的に不満持ってるって言ったら革命でも起こしてくれる訳?解決出来なければ何の意味もないのよ」
凛「り、凛そんなつもりじゃ」
真姫「……」
ああ、いけない。
真姫「ごめんなさい。八つ当たりして。凛のこと、頼れないだなんて思ってないから」
凛「ううん。こっちこそごめんね。凛もそうだもん。うまく説明できないことも、人には話せないことも、どうしようもなく自分で解決しなくちゃいけないものもあるのに、安易に詮索しちゃ、失礼だったね」
ああ。
私の悩みなんて、もっと幼稚で下らないものなのに。
凛「だから、凛は側にいるにゃ」
真姫「何よ、それ」
凛「真姫ちゃん猫が好きって言ってたにゃ」
真姫「意味分かんない」
年下に気遣われて。
何がちゃん付にむっとしただ。凛は初めから、ずっと本気だったじゃないか。
真姫「大層な話じゃないの。ただ……ペットを道具扱いするのが、受け入れられない」
凛「金銭での売買、ってこと?」
真姫「そんなのはマシよ。命さえも、必要不要で振り分けて、躊躇いもなく、お金にならないからという理由で殺すのが、考えられない。
都合の良いときだけ家族だなんだともてはやして、要らなくなったら生ゴミ同然に人と同様にある命と意識を身勝手に奪い捨てるのよ。
人間はそんなに偉いの。仮に上に立ったとして何をしてもいいの?人権?人と動物に一体どんな差があるっていうの。いつから自然の支配者になったのかしら!」
そこで我に返って、視界にきらと光るものを捉えた。
辛そうな表情をしながらもなお逸らされていない、彼女の純粋な瞳だった。
凛「真姫ちゃん、ごめんね。聞いたのに、凛はなんにもできないよ。それに、共感はできても、実感はできない。本当に何もしてあげれない」
真姫「そんなことないから卑屈にならないで。側に居てくれるんでしょ。なら、それが何よりも嬉しい。一番嬉しいの。だから、そんな顔しない。ありがとう」
落ち込んで垂れた凛の頭を撫でた。
さらさらとした髪の中に、生きているあたたかさを感じられた。
凛「ありがとう。真姫ちゃんは優しいね」
真姫「まさか」
凛と比べて私のどこに優しさと呼べるものがあろうか。
凛「凛と真姫ちゃんは、やっぱり、おんなじだよ!」
私の手を握ると、立ち上がって校庭の真ん中へと引っ張った。
凛が立ち上がるのを見たのは、それが初めてだったのかもしれないし、あるいは、何度も何度も、見たことがあったのかもしれなかった。
誰も知らなかった。
凛「たくさんの星が見えるでしょ?」
真姫「うん」
凛「凛はね、あの星を望んでるんだ。届くはずのない、遠い遠い星に願いをかけてね。いつか、叶う気がする。思い出せる気がして、無限大の星空を。手を伸ばして、その時を待ち続けてるんだよ」
夢見がちな女の子が語る、ありきたりな話は、しかし私には、儚げで、幻想的で、美しく、どこまでも輝いて見えた。
凛は輝いていた。
凛「真姫ちゃんも、きっとそう。どうすることもできない夢を諦めずに望んでる。それって、おかしくなんかないって凛は思うんだ。
忘れちゃうのって、忘れられちゃうのって、一番、寂しいことだから」
私はきっと、何か、大切な何かを、忘れてしまった。
もう、凛のようには輝けないのだろう。
かけがえのない何かを忘れてしまったから。
思い出すことなんて出来ないのではないか。
凛「この気持ちはね、ずっと消えないの。忘れそうになっても、ずっと、すぐ側にある。見失ってるだけだよ、真姫ちゃん。
だから、一緒に手を伸ばそう。あの星空に向かって、背伸びしてさ」
果てしなく続く空は、どこに繋がっているのだろう。
彼女の澄んだ大きな瞳には、何が映っているのだろう。
真姫「ねえ、凛……」
その声は、遥か彼方に広がって霧消した。
凛「明日も、来てくれるよね」
────
──── この一週間と少しの彼女との出会いは運命と呼ぶべきものだったと思う。
翌日、学校に行くとそこに彼女の姿はなかった。
ベンチには、私があげた星の黄色い髪飾りと、外に出られない彼女がどうやって入手したのか不明な赤いトマトの髪飾りが置かれていた。
入手以前に私がトマト好きであることを彼女に教えたことがあっただろうか。
単なる偶然か。奇跡か。もしくは必然かもしれなかった。
それから毎日のように帰りに学校に寄ってはベンチを確認したけど、二度と彼女が現れることはなく、次第に、週一回、月一回と、通うペースは落ちていった。
ある時にはとうとう門に防犯的な問題があることが発覚したらしく、入り口ごと新調され、入ることが困難になってしまった。 けれど、不思議なことに。
強いストレスを感じて気の晴れない時は、必ず学校に立ち寄る。
そういう時は、門の施錠は忘れられている。
校庭まで行くと、東京では見られるはずのない、しかしいつか見た、広大な、満天の星空が広がっている。
ひときわ強い風が吹いて、服や髪をもてあそぶ。
木の葉が音を奏でて、笑って私を歓迎した。
真姫「凛」
私は見えない彼女に向かって声をかける。
手を引いて、校庭を歩く。
それは傍から見れば滑稽に映るだろう、いい歳した人のままごとに過ぎない。夢見がちな女の子かもしれない。いわゆる電波と評されるに違いない。
けど、それでいいんだ。信じたいものに手を伸して、何が悪い。
失くしてはいけない気持ちだと思うから。
それに感じる。直感してる。
あの夜初めて出会ったはずの彼女との絆を。
輝いていた、大切な、大切な、大切な記憶を。
だから忘れちゃいけない。 この繋がりは何だろうか。それは、運命だ。
幾星霜を経て、光の速さを超えて、宇宙を旅するこの繋がりに、その言葉が相応しく思えた。
だから、私は手を伸ばす。
広大無比の宇宙に散りばめられた、輝かしい星々に手を伸ばす。
あの星空に手を広げる。
側にいたくて。
大切なものを探したくて。
そのために。
それだけのために。
私が。
誰かが。
ただ、手を伸ばした。
ただただ、星を望んでいた。
end 乙です!
なんか、すごく世界観が好きです
次も書く予定があるなら読みたいです。 乙、独特の世界観が好きだわ
なんか所々で国語の教科書に載ってそうな話っぽさを感じた 乙、いい雰囲気だった
考察とかはあんま意味ないのかな? 独特なりんまき
医者じゃない社会人真姫ちゃんが書かれるのは珍しいね
他のもあればぜひ読みたい 世界観がとても好み。
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