占占占

刀は甲高く会場に水を打ち、いっときの静寂を生んで。


『ネコは再び躍り出ます』


太鼓も、囃子も、棘人も、人も。


『刀を前に、幾百もの冷蔑の前に、その身を晒して、叫びます』


その全てが口を噤む。


『そんなことせずとも、私たちは手を取り合えるはずだろう!』


ダイヤ「希…さん? なにを…」


『トゲを斬り落とすようなーー尊厳を奪うような真似をせずとも!』


希「トゲで身体が傷付いてもいい。ケンカで心が傷付いてもいい」


『ネコは振り向きます』


希「ウチは、ウチを傷付けない相手と仲良くなりたいわけやない」


『構えられた刃に背を向け、泣きじゃくる少女に向き合います』


希「ウチは、黒澤ダイヤと仲良くなりたいんや」


『ネコは無数のトゲをその身に受けて、かたく少女を抱き締めます』


希「行こう。ダイヤちゃん。ウチはウチの意思でーー」


希「貴女の手を握るよ」

占占占