【SS】サヨナラの意味【音乃木坂46】
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占占占
果南「いや〜、まさか希が代表に選ばれるとはね〜」
希「たまたまやって」
果南「今年は私だと思ってたんだけどなあ」
にこ「あんた何回同じ話すんのよ…演舞の指導補佐やるんでしょーが。それで満足しなさいよ」
果南「そうだけどさー。全然違うじゃん」
にこ「ってか、そんなにやりたい? あれ」
果南「そりゃやりたいよ。目立つしさ。でもま、希ならいいや」
にこ「私は目立つからこそあんなのやりたくないけどね」
果南「にこは選ばれないよ。舞台に立っても遠くから見えないじゃん」アハハ
にこ「ぬぁんですって?! あんたなんかどう可愛く化粧したって男じゃないのよ!」ガタッ
果南「お、やるかー?」ガタッ
希「二人とも。喧嘩するなら静かにやらないかんよ」 ◇◇◇
穂乃果 こんなところにいらしたんですね。
千歌 はあ…はあ……ずいぶん捜し回っちゃいましたよ。
ダイヤ …………
穂乃果 ダイヤ先輩。後は、あなただけなんです。
千歌 どうか、私たちに力を貸してください。
ダイヤ …みんな、あなたたちの元に集ったのですね。
穂乃果 はい。
千歌 言い出したのは穂乃果ちゃん。そこに海未ちゃんが乗って、梨子ちゃんが乗って、二年生みんなが乗って、希先輩たち三年生も、ルビィちゃんたち一年生も。
ダイヤ あなたたちは、なにを望むのですか。なにがしたくて、私たちを集めようとするのですか。
穂乃果 ……本当に、簡単なことなんです。
千歌 ……私たちの願いは、最初から一つだけ。
ダイヤ 私たちの願いは、最初からーーたった、一つだけ。
◇◇◇ 占占占
七年後ーー次回の棘刀式がどうなるのかは、わからない。
今年の棘刀式は、これまでの長い村の歴史において、まったく異例な式となった。
そんな中、ただ一つだけ、わかることは。
希「ウチがめちゃくそ怒られたってことだけやん…」ゲッソリ
にこ「あはははははははっ! あははははっひひぃ〜〜〜っ…おな、お腹…っおなか痛い…」ヒィヒィ
果南「あんなめちゃくちゃなことするからだよ…」
めちゃくそ怒られた。
南さんと御三家当主三名、計四名の大人に囲まれて、もうびっくりするくらい怒られた。
ーー歴史ある儀式をなんだと思ってるの!
ーーあんな醜態を晒してほしくてあなたを選んだんじゃありませんよ!
ーーあなたは沼津ヶ村とここに住まう人々、棘人、その全てを侮辱したんだぞ!
ーーとんでもないことをしてくれたものですね。
四人もの大人が寄ってたかって、目まぐるしく、入れ替わり立ち替わり、ここぞとばかりに、日本語には卑罵語が少ないなんて嘘やんと五千回くらい思わされるほどの豊富な叱責と罵倒を浴びせてきた。 希「耳と脚なくなるかと思った…」
にこ「死の直前、希被害者はそのように語っていたーーって感じ? …ププーーーーーッ、あっはっはっはっはっは!!」バンバン
希「笑いすぎやろ…」
にこ「いやいや、笑わずにいられないわよ! カラオケ大会で愛の告白したのとはわけが違うのよ、七年に一度の儀式であんな型破りな……ぶふぉーーーっ!!!」ゲラゲラ
希「許さへんからな…覚えときよ…」
果南「ま、まあにこの反応は過剰にしても…よく思い切ったと思うよ、私も」
希「そんなん…ウチだってそう思うよ…」
果南「…でもさ、後悔してないでしょ」
希「……」
希「うん」 本来ならば、装飾刀でダイヤちゃんのトゲを斬り落とし、それを次の棘刀式まで保管することで、棘人と人との向こう七年間の融和を示すものだったのだ。
それを私は盛大に無視した。
長年受け継がれてきた刀を放り投げて、トゲだらけのダイヤちゃんの手を取って、そのまま二人で会場から脱走した。
別に村から逃げ出そうという気があったわけでもない。
というか本当に、なんの企みもなければ、なんの思惑もない。
ただ、私が私の意思で「やろう」と決めたことをやっただけ。
お互いにごてごてとした格好、すぐに走り疲れてへたり込んでいるところに村の大人たちが駆け付けてきて、私たちは天の川よろしく引き離されーー
朝までたっぷりお説教コースと相成った。 にこ「結局、ダイヤのトゲだって予定通り斬って保管すんでしょ?」
果南「だってね」
希「それを誰がやるかで大揉めになってるらしいで」
にこ「あんた立候補してきたらいいじゃない。リベンジで」
果南「無理だよ! 私が希をそそのかしたんじゃないかなんて言ってる人もいるくらいだし!」
希「そこは一応弁解しておいたんやけど、あんまり意味なさそうやったなあ…」
にこ「しばらくはやりづらくなるわね〜」
希「ごめんな、果南」
果南「まー、別にいいけどさ。希の度胸のお釣りと思えばね」
希「えへへ…ありがとさん」
にこ「相変わらず、希に甘いわねえ」
希「あ」
希「ウチ、ダイヤちゃんとこ寄ってくから」
果南「うん。行ってらっしゃい」
にこ「昨日の今日で、よくまた黒澤邸に入ろうなんて思えるわね…いってら」
希「ほな、また明日ね」
占占占 占占占
黒澤邸の門扉をくぐり、母屋までの道を行く。
確かにしこたま怒られたけれど、その場所は紛れもなくこの黒澤邸だったけれど、実はそこまで怯えてもいない。
だって、
南『はあ……はあ……』
園田『…これくらいにしておきましょう。よく伝わったでしょうから…』
希『 』(← !DEAD!)
南『それじゃ私たちは、先に失礼しますね…よかったら泊めてあげて』フラフラ
黒澤『ええ。離れを使わせます。お休みなさい、皆様』
黒澤『聞こえていますか。今日は泊まっておゆきなさいな』
希『は………はい………』
黒澤『希さん』
希『はい………』
黒澤『…ありがとうございました』
その言葉で、私の中に後悔などわずかにも残らなかったから。
占占占 占占占
トントントン、と気持ちよく響く廊下を進む。
突き当たりの、ダイヤちゃんの部屋。
コンコン。
希「ダイヤちゃ〜ん」
返事がない。
希「あれ? ダイヤちゃん?」
希「うーん…」
希「失礼しまー…す」
不躾を承知で、戸を引く。
けれど、うたた寝…ということもなく、部屋は空っぽだった。
来るって伝えておいたんだけどな。
出掛けているとも言われなかったし。
希「……ん、あれ…」 更なる不躾を承知で、部屋に踏み入る。
机に置かれた本とノート。
本は、私の『棘人とネコ』。
そもそも今日は、とりかえっこしていたこれを再び交換するために来たのだ。
私も鞄から『棘人とネコ』を取り出し、そっと机に置く。
代わりに、ノートを手に取る。
『みんなで叶える物語』
そう銘打たれている。
希「…ごめん」
ここまで来たら不躾ついでと、ノートをめくる。
そこには、年齢も性格も違う23人の少女たちが手を取り合い、大きな一つのことを成し遂げるーー
そんな物語が綴られていた。 少女たちは目標を掲げ、仲間を集め、そして力を合わせる。
言ってしまえばありふれたその物語は、ダイヤちゃんが書いたのだろうか。
…問うまでもなく、そうだろう。
なぜなら、その23人の少女は、私とダイヤちゃんを含めたこの村の住人。
私たちが、全く違う世界で、全く違う出会い方をして。
そして、全く違う道を歩んでいく物語。
希「…ダイヤちゃん」
これはダイヤちゃんの願い。
そして、私たちみんなの願い。 そこには、なにもない。
棘人が人を。
人が棘人を。
棘人が棘人を。
人が人を。
恐れ、嫌い、憎み、侮り、見下し、蔑み、嗤い、貶し、恨み、妬み。
そんな確執が、一つもない。
希「きっと…きっと、こんな世界もあったはずよね」
『あなたたちは、なにを望むのですか。なにがしたくて、私たちを集めようとするのですか』
『……本当に、簡単なことなんです』
『……私たちの願いは、最初から一つだけ』
『私たちの願いは、最初からーーたった、一つだけ』
『みんなが手を取り合って、笑い合う。そんな世界に生きたかったーーただ、それだけです。 黒澤ダイヤ』
終わり スレタイからもわかるよう、乃木坂46の『サヨナラの意味』という曲のPVを元にしたものです。
というか、ほぼまんまです。 >>13
最近やっと曲も覚えました
いつもPVのほうに目が行って曲が入ってきづらいです >>23
地の文を書くと多くなりがちなんですよね
個人的には単調な終止形が続くより好きなんですけど…だめでしたか >>29
なーちゃんとは乃木坂のメンバーですか?
すみません、実はこの曲しか知らないくらいのものでして… >>31
耳が痛いです。
面影は残しつつ…としたつもりではあるのですが、活かしきれませんでしたね… >>50
ありがとうございます
いつの間にか寝落ちしてました
投下再開のタイミングと同時すぎて驚きました PVで希ちゃんにあたる人がなーちゃんだよ
ダイヤさんがななみん >>108
七瀬さんとななみか!
PVの頭で言ってますね
ななみさんが卒業するときだったのかな あれは ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています