凛「八月」花陽「一日」穂乃果「は」絵里「水の日?」 [無断転載禁止]©2ch.net
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【十二年前】
絵里(5歳)「…」ゴク
絵里(おみず…こおりがはいってて、つめたい♪)
祖母「エリーチカ。飲み物は何にする?」
絵里「えっ。えーと、えーと…オレンジジュース!」
絵里(そっか。ジュースがあるから、おみずいらないよね…)
「…」
祖母「おいしい?」
絵里「うん♪」モグモグ
絵里(おこさまランチって、おべんとうみたいにいろいろたべられるから、だいすき♪)
絵里「ごちそうさま♪」
祖母「じゃあ行きましょ、エリーチカ」
絵里「おみず…」
祖母「なあに?エリーチカ」
絵里「ううん。なんでもない…」ギュ
絵里(東京に住んでいると水を飲む機会は少ない。家でお茶をいれて飲むときも水道水は使わず、買っておいた水を使ったりする) 【七年前・小学校】
凛(小3)「あれっ、もうこんなに水よごれちゃったにゃ」
花陽(小3)「そうだね。わたしも…」
凛「お水かえに行くにゃー」
花陽「うん」
バシャ
凛「そーだ♪ここで、ふであらっちゃおー」ジャー
花陽「り、りんちゃん…お水出しっぱなしにしちゃ…」
凛「へーき、へーき!かよちんのふでもあらってあげるにゃ♪」
バシャバシャ
花陽「いいのかなぁ…」
花陽「あれ?りんちゃん?」
パタパタ
凛「かよちん♪」ガコン
花陽「え。それ、おそうじにつかうバケツ…?」
凛「うん。大きいバケツを使えばお水いっぱい入るでしょ?これなら何回もお水くみに来なくていいにゃ」
花陽「で、でもそんな…先生におこられない?」
凛「かよちん。りんの分も水くんで、もってきてくれる?」
花陽「え。こっちも使うの?」
凛「うん。両方あればぜったい足りるでしょ?」
花陽「それはそうだけど…」
花陽(お水むだづかいしていいのかな?よく水不足になったりするのに…)
キーンコーンカーン…
花陽「大きいバケツ、ほとんど使わなかったね…」
凛「アハハ。片付けるの、ちょっとめんどくさいにゃ…よいしょ」
ザバー
花陽「ちょっとお水もったいないね…あんまりよごれてないし、おそうじに使ってもよかったんじゃ…」
凛「えー?でもお水くんだままおいといたらジャマでしょ?」
花陽「そ、そうだね…」
「…」 【星空家】
シャカシャカ
凛「お母さん。なにしてるのー?」
凛ママ「ごはん炊くから、お米をといでるのよ」ザバー
花陽「えーと…そのお米って、ここにある“あきたこまち”?」
凛ママ「そう。きぃちゃんがくれたの。お中元♪」ザバー
凛「へー」
花陽「でもこれ、無洗米って書いてあるけど…」
凛ママ「え!?…やだ、気づかなかったわ」
凛「無洗米ってなにー?」
花陽「とがなくてもいいお米。お水入れて炊くだけでいいんだって」
【翌日・小学校】
穂乃果(小4)「アハハ。それ、うちのお母さんもやってたよ」
雪穂(小2)「しかも一回だけじゃないし…」
『あ。これ無洗米だったわ』
『まあいいか…途中までやったんだし、普通にといで炊いちゃおう』ザバー
花陽「そ、そうなんだ…」
穂乃果「うん。なんか、お米とがないとごはん炊いてる気がしなくて、おちつかないんだって」
花陽(無洗米はお米をとがなくていいから、時短っていうのももちろんあるけど…お水も節約できるよね) 【今年四月・中庭】
ドン
穂乃果「あっ><」
花陽「ピャァ!?」
バシャ
花陽「ああっ!?…ご、ごめんなさい…」アワワワ
穂乃果「花陽ちゃん…私こそ、ぶつかってごめんね。大丈夫?」
花陽「う、うん。私は平気…それより穂乃果ちゃんのほうが…えっと、タオルとか持ってくるね」
穂乃果「大丈夫だよ。これくらいすぐ乾くよ」
花陽「で、でも…じゃあ、せめてハンカチで…」
穂乃果「わ。…花陽ちゃん」
フキフキ
穂乃果「あ、ありがと///」
花陽「ホントにごめんね。穂乃果ちゃんに気づかないなんて…いつもは、ちゃんと見てるのに」
穂乃果「え?」
花陽「あ。ううん、なんでもないよ///」
穂乃果(花陽ちゃん…なんか、前より可愛くなった気がするなぁ)
穂乃果「…///」ドキドキ 【昼】
穂乃果「いやー、今日もパンがうまいっ♪」パク
絵里「ちょっといい?」
海未「生徒会長ですよ」
絵里「それ…水?」
穂乃果「あ、はい。普通に売ってるやつですけど…」
絵里「お昼、パンなのに水を飲んでるの?」
穂乃果「変ですか?」
絵里「いえ…紅茶とかのほうが合うんじゃないかって」
穂乃果「そうかなぁ?…じゃあ、今度はミルクティーでも買おうかな」
希「家で紅茶をいれて持ってくるのもいいんやない?」
穂乃果「んー。でもティーバッグ1個でどれくらい出るものなのかな?水筒の大きさによって二つとか三つ必要だったりします?」
絵里「リーフの紅茶を使えばいいじゃない。量を加減して好きな濃さにできるわよ」
穂乃果「茶葉ですか?でも紅茶いれる道具なんて家にあったかな…急須ならあるけど」
絵里「…道具、無いこともないわよ」
穂乃果「えっ」
【放課後・正門】
絵里「去年の私の誕生日に、祖母がティーセットを送ってくれたの。だからそれまで使ってた物が余ってて…あまり新しい物じゃなくても良ければ、使う?」
穂乃果「いいんですか?買わなくて済むから助かります♪…えへへ」
絵里「じゃあ、明日持ってくるわね」
穂乃果「今から取りに行っちゃダメですか?」
絵里「え?…うちに来るの?」
穂乃果「だって今日もらっておけば、すぐ使えるじゃないですか」
絵里「そうね…わかったわ。行きましょ」
花陽(あの金髪の先輩…確か、生徒会長さん…だよね)
花陽「…」モヤモヤ 【絢瀬家】
亜里沙「Хорошо」
穂乃果「こ、こんにちは…えっと」
絵里「妹の亜里沙よ」
穂乃果「亜里沙ちゃん。よろしくね♪私、高坂穂乃果」
亜里沙「お姉ちゃんのカノジョさん!?」
穂乃果「え!?」
絵里「違うわよ。音ノ木坂の後輩。渡すものがあるから連れてきたの」
亜里沙「お嫁さん!?」
絵里「い、いや指輪とかじゃないから…」
穂乃果「生徒会長さんとはそういう関係じゃないよ」
亜里沙「そっか」ホッ
絵里「これなんだけど…」
穂乃果「わあー!まだキレイですね♪なんか見た目もオシャレだし…」
絵里「いつか使うんじゃないかと思って、きれいに洗ってしまっておいたの」
穂乃果「ホントに私がもらっちゃっていいんですか…?」
絵里「ええ。ずっとしまっておくより、あなたが使ってくれたほうがいいし」
穂乃果「ありがとうございます♪えへへ。紅茶いれるの楽しみだなぁ」
絵里「茶葉もそろそろ届くと思うわ」
穂乃果「届く?…通販ですか?」
ヴヴヴ
絵里「ふふふ。来たみたい」
ピンポーン
亜里沙「はーい。どうぞ」
「かしこい」
亜里沙「かわいい」
「エリーチカ!」
絵里「ハラショー♪」ガチャ
希「持ってきたよ」
穂乃果「副会長さん!」 希「ちょっと買いすぎちゃってね…ウチだけじゃ消費しきれないから」
穂乃果「これ、紅茶のリーフなんですか?」
希「うん。アッサムや」
穂乃果「表面温度4000℃!?さっきの砂みたいなやつのせいか」
希「それはアッザム」
亜里沙「おお おきゃくさん かいものじょうず。わたし まいってしまいます。」
希「それはアッサラーム」
絵里「大阪桐蔭→埼玉西武。2016年のパ・リーグ二塁手でベストナイン。今季から背番号は3」
希「それは浅村栄斗(ひでと)」
穂乃果「アッサムって名前だけは聞いたことあるけど…どんな紅茶なんですか?」
希「インドの北東にあるアッサム平原で栽培してるん。4〜5月に摘む新茶(ファーストフラッシュ)より、6〜7月に摘むセカンドフラッシュのほうが味が濃くて一番美味しいっていわれてるんよ」
穂乃果「へー。…あれ?…じゃあ、もしかして今の時期は新茶のほう…」
希「いや、これは多分去年の秋に収穫したやつやないかな?」
穂乃果「そうなんだ…」
希「ま、まあ…でもこれも美味しいよ。セイロンの五大銘茶にも負けてないはず」
穂乃果「もらっちゃっていいんですか?」
希「もちろんや。是非飲んでみてよ♪」
穂乃果「ありがとうございます♪えへへ。お水以外何も買わなくても揃っちゃった」
希「あとは、どこかでタダで汲める名水を探しに行けば完璧やな!」
穂乃果「そこまで!?」
絵里「帰り道、気をつけてね。転んだりしないように…何だったら私が家まで運びましょうか?」
穂乃果「だ、大丈夫ですよ。私そんなにドジっぽく見えます?」
希「ウチがティーセットを持って、エリちが高坂さんをお姫さま抱っこしていけば完璧やな♪」
穂乃果「だ、抱っこ!?」
絵里「…そうする?」
穂乃果「しません!///」
絵里「あ、そう…」
穂乃果(生徒会長さんに抱っこしてもらうなんて…嫌じゃないけど恥ずかしすぎるもん///) 亜里沙「希さんとホノカさん、帰っちゃったね」
絵里「そうね。今度は私たちが遊びに行きましょ。高坂さんの家は和菓子のお店なんですって」
亜里沙「ニッポンの紙、職人さんが作るの」
絵里「それは和紙」
亜里沙「お琴に三味線、尺八とか…」
絵里「それは和楽器」
亜里沙「古い家に見覚えのない子供が棲みついて」
絵里「それは…座敷わらし?」
亜里沙「亜里沙も紅茶飲みたくなっちゃった」
絵里「そうね。私たちも4000℃の紅茶を淹れましょうか♪」
亜里沙「えっ。そんなに熱いの?ヤケドしちゃう…」
絵里「ふふふ。お湯はそんな高温にならないわよ」
亜里沙「そっか。えへへ」
絵里「あら?…買い置きの水がもうないわ」
亜里沙「今朝はまだあったのに…」
絵里「そうだったかしら?…まあ、買いに行きましょ」
亜里沙「うん」
【翌朝・秋葉原UTX】
英玲奈「…おかしい」
あんじゅ「どうしたの?」ファー
英玲奈「水が出ないんだ。…ほら」
ツバサ「工事か何か?」
英玲奈「わからないが…困った」
ツバサ「買いに行きましょ。急げば間に合うわよ」
あんじゅ「ゆっくりお茶してる時間なくなっちゃうから意味なくない?」
英玲奈「だが、いつ復旧するのかわからないぞ。水はあったほうがいい」 ガーッ
穂乃果「わぁ!?」
英玲奈「おっと…大丈夫か?」
穂乃果「は、はい」
英玲奈「君は…穂むらの」
穂乃果「あ、はい。高坂穂乃果です」
英玲奈「なぜUTXへ?」
穂乃果「紅茶を淹れるつもりだったんですけど、なぜか水が手に入らなくて…」
あんじゅ「あら。英玲奈の彼女?私にも紹介してよ♪」
穂乃果「えっ。いや、あの…私」
ツバサ「ちょっとー。私たちアイドルなのよ?」
英玲奈「よく行く和菓子屋の店主の娘だ。恋人ではない」
あんツバ「へー」
花陽(あ、あれはA-RISE!?…どうして穂乃果ちゃんと…)
【某コンビニ】
ツバサ「…ここも売り切れですって」
あんじゅ「どうなってるのよ?そんなに水ばっかり売れるなんて…」
英玲奈「水不足になる時期でもないし、そんなニュースも聞かないが…」
穂乃果「私も昨日あちこち行ってみたけど全部売り切れだったんです」
凛「ねぇかよちん!遅刻しちゃうよー?><」
穂乃果「…ん?」
にこぱな「…」ジーッ
穂乃果「わぁ!?」
あんじゅ「あら、もしかして私たちの追っかけ?」
ツバサ「悪いけど急ぐから…またね♪」
ドタバタ
にこ「ああっ、A-RISE…」ガクッ
花陽「…穂乃果ちゃん」
穂乃果「おはよ。花陽ちゃんも水を買いに来たの?」
花陽「違うよぉ…」 【音ノ木坂】
にこ「常に買い置きしておかないから、こういうとき困るのよ」
穂乃果「先輩の家には充分あるんですか?」
にこ「当然でしょ。特売の日にまとめて買っておくのは基本よ。基本」
花陽「そ、それより穂乃果ちゃん。生徒会長さんとは…その」
穂乃果「あ、そうそう。紅茶をすすめてくれたの生徒会長さんなの。おしゃれなティーセットもくれたんだー♪」
にこ「生徒会長って、あの絢瀬が?…希以外に友達なんていたのね」
花陽「友達…?」
穂乃果「まだ知り合ったばかりだし、そう言っていいのかわからないけど…親切な人だと思うよ♪あと副会長さんも、壷の紅茶くれたし」
凛「つぼ?」
花陽(とりあえず恋人とかじゃないみたい…)ホッ
【二年教室】
穂乃果「アイドルだよ!アイドル♪」バサ
ことり「番外編。23区の名水…新宿区、おとめ山公園」
穂乃果「へ?…あ、あれ?“日本の名水百選”…全然違う雑誌じゃん!」
海未「私に言われても…水のことを調べていたんじゃないのですか?」
穂乃果「それは、水を買いに行ったらどこのお店も売り切れだったから…二人はお水どうしてるの?」
海未「私の家は浄水器がありますし…穂乃果の家にもありますよね?」
穂乃果「あるけど、元が単なる水道水だし劇的に美味しくなるわけじゃないでしょ。お茶はやっぱり水が美味しくないと…」
海未「それはそうですが…ことりはどうです?」
ことり「私は…企業秘密♪」
穂乃果「えぇー!?教えてよー><」
ことり「ふふふ。きれいな水の確保は錬金術の基本だよね」
穂乃果「れんきんじゅつ?」 【室内プール】
穂乃果(あーあ。いい水さえ手に入れば、美味しい紅茶が飲めるんだけどな…)スイー
穂乃果(このプールの水が、ぜーんぶ世界の名水だったら…なーんてね)
ブクブク…
穂乃果「…ん?」
ゴォー
穂乃果「わあっ!?な、なにこれ!?」
バシャバシャ
ヒデコ「穂乃果!」
水泳部「プールの水が渦巻いて…ど、どうなってるの!?」
穂乃果「」グッタリ
花陽「穂乃果ちゃん!?」
ミカ「穂乃果が溺れるなんて…何があったの?」
フミコ「そ、それより早く保健室に…」
真姫「待って!動かさないで」
ヒフミぱな「えっ」
真姫「これなら…私が人工呼吸するわ」
花陽「えぇ!?…そ、それって」
真姫「大丈夫よ。私、失敗しないので」
花陽(こんなときに…でも、穂乃果ちゃんが…私以外の人と…)
凛(す、すごいにゃ///)ドキドキ
【保健室】
真姫「もう大丈夫ね。じゃあ私はこれで…」
穂乃果「待って。…あなたが助けてくれたの?」
真姫「別に…大したことはしてないわ」
穂乃果「でも…あ、ありがとう!」
ピシャ
穂乃果(行っちゃった…) 花陽「穂乃果ちゃん…」
海未「学校のプールで溺れるなんて…穂乃果らしくないですね」
ことり「何があったの?」
穂乃果「テレビでしか見たことないけど、渦潮ってあるでしょ?プールの水が急にあんな感じになって…泳いでも渦に吸い込まれて全然逃げられなくて」
海未「誰かがプールの水を抜こうとした…とか?」
花陽「で、でも私が見たときは何も…水も減ってなかったし」
穂乃果「はぁ…飲みたい水は全然手に入らないのに、いらない水をたっぷり飲んじゃったよ」ゲンナリ
ことり「プールの水自体は必要な水でしょ?」
穂乃果「そうだけど…ちゃんと調べ終わるまでプールも使用禁止だって」ガッカリ
凛「怖くなかったの?西木野さんがいなかったら危なかったにゃ><」
穂乃果「怖かったけど…やっぱり泳ぐの好きだし。何もなければまた泳ぎたいよ」
モブ二年(生徒会)「高坂さん。ちょっと…」
【生徒会室】
希「…なるほどなあ。今のところ原因は不明やな」パラララ
絵里「大変だったわね…でも無事でよかった」ナデナデ
穂乃果「は、はい。ありがとうございます///」
絵里「それと、水ね。私も亜里沙と買いに行ったけど売り切れだったのよ」
希「ウチも。深夜と今朝もあちこち見てきたけど全然買えなかったん」シュタタタ
穂乃果「あ、やっぱり。秋葉原でも売り切れだったんです。どうなってるのかなぁ…」
絵里「希。占いで何かわからない?」
穂乃果「うらない?…お水を?」
絵里「いや、そうじゃなくて…」
希「んー」スッ
パタ
希「水難」
ほのえり「えっ」
希「このカード…小アルカナ、杯の5や。このスプレッドで、ここのカードは横向きやから、ウチは正位置と逆位置、両方の意味があると考えてるん」
穂乃果「よくわかんないけど…どういう意味のカードなんですか?」
希「杯のカードは水の象徴や。5の正位置は欠落、損失。逆位置には追憶、過去から学ぶ…といった意味があるよ」
穂乃果「水で欠落だから、水がない?」 絵里「過去っていうのは?私たちに関係あること?」
希「一日とか数日やなくて…長年積もった呪いみたいな根深い水難が、この辺り一帯を覆ってる感じがするんよ」
穂乃果「それって…ずっと水不足に悩まされるってこと!?」
希「水不足といえばそうだけど、ちょっと特殊な状況やない?トイレやお風呂の水は普通に出るやろ?」
穂乃果「そういえば…昨日も雪穂と普通にお風呂入ったし」
絵里「言われてみれば…飲み水以外だと特に困ってないわね」
希「たとえば…ある動物が増えすぎると、その餌になる植物が食べ尽くされて激減したりするやん?」
穂乃果「えーと…つまり、どういうことですか?」
絵里「何か別のところで水を大量に使った結果、飲み水がなくなった?」
希「そういう可能性もあるかもね。プールの渦潮に関してはウチにもわからないけど…」
穂乃果「しばらくは飲み水は水道水で我慢して…」
絵里「その水道水も、できるだけ節水を心がけたほうがいいわね」
希「そやね」
【正門】
『大したことはしてないわ』
穂乃果(あの子…ちょっと素敵だったなぁ///…助けてくれたときのこと、私だけ全然覚えてなくて残念)
穂乃果(まあ、人工呼吸だから変な意味じゃないのはわかるけど…でも唇に…何となく感触が残ってる気がする///)
花陽「穂乃果ちゃん!」
穂乃果「あ。花陽ちゃん…」
花陽「今日こそ一緒に帰ろう」ギュ
穂乃果「う、うん。…わざわざ待っててくれたの?」
花陽「うん。だって…取られたくないし」
穂乃果「え!?」
花陽「体調はどう?」
穂乃果「あ、うん。もう大丈夫だよ。元気♪」
花陽「そっか」ホッ
穂乃果「なんか二日間でいろいろありすぎて…頭のほうが追いつかない感じだけど」
花陽「ゆっくりでいいよ。あんまり遠くへ行かないで」ナデナデ
穂乃果「花陽ちゃん…ごめんね。心配かけて…」
花陽「ううん。私も何もできなくて…」 穂乃果「プールでのことなら、しょうがないよ。私も怖かったけど、原因もまだよくわからないし…」
花陽「今日も水、買いに行くの?」
穂乃果「いや、しばらくは水道水を使おうかなって。浄水器あるし」
花陽「そっか。…でも本当にどうしちゃったのかなぁ…どこでも水だけ売り切れなんて」
穂乃果「そうだね…こんなこと今まで無かったのに」
『過去から学ぶ』
穂乃果(過去…なかったよね。こんなこと)
穂乃果「…ねえ、花陽ちゃん」
花陽「なに?」
穂乃果「5っていう数字で何か思い当たることってない?」
花陽「5?」
穂乃果「うん」
花陽「えーと…五穀米、とか」
穂乃果「ごこくまい?…誰?」
花陽「いや、人の名前じゃなくて…米、麦、粟、きび、豆を五穀っていうの。他の組み合わせの場合もあるけど」
穂乃果「あー。聞いたことあるかも…雑穀ごはんみたいなのだよね?」
花陽「うん。私は白いごはんがやっぱり一番好きだから、あまり食べる機会は多くないけど…」
穂乃果「だよね…三百年前と違って、今はお米に何か混ぜて炊くほうが高くつくもんね」
花陽「三百年前?」
穂乃果「穂むらって三百年くらい前からあるでしょ。その頃の人たちの生活…の」
花陽「穂乃果ちゃん?」
穂乃果「何か…わかるかも」
花陽「えっ」
【穂むら】
ほの母「三百年前?」
穂乃果「うん。昔、何かあったんじゃないかって。旱魃とか、水害とか」
ほの母「旱魃はわからないけど…水害なら三百年の間に何度もあったはずよ。江戸っていうくらいだから、川が多いでしょ。特に平地は何度も水に浸かったんじゃないかしら」
花陽「確かに…歴史でも習ったよね」
穂乃果「うーん。でもプールの水が溢れたわけじゃないからなぁ…関係ないのかな。渦潮なんて東京にはないよね?」
ほの母「うずしお?」 凛「わあー!いろいろあるにゃ♪」
真姫「ちょっとした骨董市ね」
穂乃果「えーと…なんでみんな集まったの?」
にこ「ここなら古い物がたくさんあるって聞いたのよ。昔のアイドルに関する物もあるんじゃないかと思って」ワクワク
穂乃果「いや、昔って三百年前とかだよ?それにうちは和菓子屋だし。アイドルは関係ないよ」
にこ「あ、そう…まあいいわ」
希「でも雰囲気あるなぁ。スピリチュアルな物が出てきそう♪」
絵里「ハラショー。これが日本の伝統的な建物なのね…」
凛「えーと…これなに?」
絵里「サムライの武器!?」ワクワク
穂乃果「いや、それはおそばを打つときに使う麺棒」
にこ「これは?たい焼きの型?」
穂乃果「それは魚木。囲炉裏の自在鉤につけて使うんです」
花陽「見たことはあるけど…どうして魚の形なの?」
穂乃果「んー。理由はよくわかってないんだ。…ただ、火の神が暴れて囲炉裏から火災が出ないように、それを抑える水神の象徴として魚の形を作った…っていう説があるよ」
ヒデコ「あー、そういえば川や沼の“ぬし”が巨大魚ってパターンはよくあるよね」
穂乃果「そうそう。だから魚が水神の使いだったり化身だったり」
のぞえりにこまきりんぱな「へー」
希「水の神様ってことは…」
穂乃果「あ。…そっか」
【神田明神】
穂乃果「水難がなくなりますように…」
亜里沙「お水はなくならないでください」
凛「きれいな水がいつでも飲めるといいにゃ」
花陽「美味しいごはんには美味しい水が欠かせないから…」
穂乃果「あと、早くプールで泳げるようにしてください!」
希「はい。穂乃果ちゃん」
穂乃果「魚木、もう持って帰っていいんですか?」
希「うん。穂むらにあった物やから、ご先祖様のいろんな思いが詰まってるはずや。お願いが済んだら元に戻したほうがいいよ」
穂乃果「…そっか」 穂乃果(人目につかないところにしまってたのが良くなかったのかも…本来みんなが集まる囲炉裏で、ずっと見守ってくれてたんだもんね)
【高坂家】
ほの母「どうするの?魚木なんて持ち出して…」
穂乃果「水神さまは囲炉裏が定位置でしょ。みんながごはん食べる場所に置いておこうよ」
雪穂「水神ねえ…」
穂乃果「そうだよ。縁起物は大事にしなくちゃ!」
トプン ザバー
ほのゆき「ふー」
穂乃果「ごはんも大事だけど、家で一番たくさん水を使うのは何といってもお風呂だよねぇ」
雪穂「そうだね。お風呂がないと本当に困る」
穂乃果「毎日お風呂に入れることって、当たり前のようで大事なことなんだなぁ」
雪穂「そういえば…お姉ちゃん、もう大丈夫?」
穂乃果「あー、うん。もう何ともないよ」
雪穂「ならいいけど…気をつけてよ?」
穂乃果「普通だったら溺れたりしないよ。ただ渦潮が…」
雪穂「うずしお?」
ドドドド
穂乃果「わぁ!?あ、アルパカさんの群れ…?」
花陽「ここにいたら危ないよ。大きな建物に逃げ込もう!」ギュ
穂乃果「ふー。神殿の中までは入ってこないみたい…」
凛「でも、どうしてアルパカさんが町の中を走り回ってるのー?><」
真姫「しかも、あの数…何百頭もいるわよ」
花陽「原因はわからないけど、普通の状態じゃないと思う…」
海未母「こんにちは。お稽古に来たのですか?」
穂乃果「あ。こんにちは…この神殿って海未ちゃんちだったんだ」
凛「おけいこ?」
海未母「ええ。ここは水の術法を教えます」
穂乃果「日本舞踊じゃないんだ…」
亜里沙「お水だって。お姉ちゃん」
絵里「教えてください!」 穂乃果「あ、あのー」
海未母「何ですか?穂乃果ちゃん」
穂乃果「東京に渦潮なんてないですよね?」
海未母「ありますよ」
ほのえりありまきりんぱな「えっ」
海未母「五千八百円です♪」
穂乃果「有料なんだ…」
亜里沙「お、お姉ちゃん…」
絵里「高い…けど、水難をなくすためなら…」
海未母「あなたは、この術をまだ使えませんが…よろしいですか?」
絵里「え!?…これで渦潮を自在に操れるわけじゃないんですか?」
海未母「渦潮はそんなに簡単なものではありませんよ。毎日のお稽古が必要です」
絵里「稽古といっても、使えないのでは…」
凛「大丈夫にゃ!」ピョーン
花陽「り、凛ちゃん。神殿の外へ出たら危ないよ…」
凛「確か、水の法力を簡単に増やす方法があったはずだよ♪」
絵里「そうなの?…それって、どんな方法?」
凛「んー。雨と関係があった気がするにゃ」
真姫「それだけじゃ全然わからないわよ」
穂乃果「水神さまにお願いしてみるとか?」
花陽「水神って…あの木彫りの魚?」
凛「あ、そうそう。確か、お魚がいっぱいいる場所へ行けばいいんだよ」
亜里沙「アルパカさんは…いないみたい」
絵里「よし。図書館まで競走よ!最下位の人は全員にジュースをおごるのよ」ダッ
凛「あっ、ずるいにゃ!><」タタッ
ドタバタ 真姫「」ゼーハー
花陽「」グッタリ
絵里「最下位は…どっち?」
穂乃果(亜里沙ちゃんが意外と速かった…)
真姫「もう!私でいいから、次は競走とか無しにして!」
【図書館】
穂乃果「あ。雪穂…ここで勉強してたの?」
雪穂「うわ。お姉ちゃんが図書館にいるなんて…台風が来そう」
穂乃果「どういう意味!?」プンプン
凛「わあー。本がいっぱいにゃ!」
花陽「ここの資料なら、魚がたくさんいそうな場所も簡単に調べられるよね…」
絵里「それじゃあ、手分けして探してみましょう」
亜里沙「うん♪」
真姫「ええ」
ほのぱな「はい」
凛「はーい♪」
亜里沙「お魚がいっぱいいる場所っていったら…おスシやさん?」
真姫「いや、食事に行くんじゃないんだから…」
絵里「水族館でしょ」
花陽「えーと…水族館に水神さまは多分いないと思います」
穂乃果「じゃあ…海?」
海未「はい?何ですか穂乃果」
穂乃果「いや、海未ちゃんじゃなくて…っていうか来てたの?」
海未「ええ。やはり図書館は知識の宝庫ですから」
凛「みんな見て見て!凛、すごいの見つけちゃった♪」
絵里「手がかりを見つけたの?」
凛「ほら、この猫さん♪すっごく可愛いでしょ?」
真姫「はぁ?…猫?」
凛「世界中の猫が全種類、カラー写真つきで載ってる本みたいだよー♪」
雪穂「へー。世界の猫図鑑なんてあるんだ…」 花陽「あ、あのぉ…凛ちゃん?…お魚がたくさんいる場所を探すはずじゃ…」
凛「えー?だって凛、お魚はキライだし興味ないにゃ」
チョップ
凛「いたーい><」
真姫「もう!あなたが言い出したんでしょ。手伝う気ないなら置いていくわよ!」
雪穂「けど水神さまって海のイメージないなぁ…海の神だったら海神って言わない?」
穂乃果「そっか。言われてみれば確かに…じゃあ海以外で魚がたくさんいる場所へ行けばいいのかな?」
海未「それなら湖はどうですか?海以外で最も広く水も豊富で魚も多いと思いますが」
絵里「湖ね。じゃあ、大きいところから行ってみましょ」
花陽「ここからだと、かなり遠いけど…」
穂乃果「西木野さん。電s」
真姫「貸さないわよ」
【湖畔】
絵里「魚釣りをしてる人がいるみたい…」
亜里沙「何が釣れるのかな?」ワクワク
ヒデコ「ん?…穂乃果。やっと来たね」
穂乃果「ヒデコ!こんなところまで釣りに来てるんだ…」
ヒデコ「まあね。ここには凄い大物がいるって噂だから」
穂乃果「大物って…サメとか!?」
ヒデコ「いや、湖にサメはいないし…噂によると、この湖の“ぬし”はワニらしいよ」
真姫「ワニって…そんな普通の道具で釣れるの?」
ヒデコ「さあ?私はいつも通りブラックバス狙いだけど」
穂乃果「ヒデコっていつもブラックバス釣りに行って、何か違うものだけ釣って帰ってくるんだよね」
花陽「そ、そうなんだ…」
ヒデコ「そう。誰が呼んだか“外道”のヒデコとは私のことだよ♪」
海未「ということは、ブラックバスを待ち続けていれば、いずれワニも…」ゴクリ
ヒデコ「まあ、そこらじゅうにワニがいるわけじゃないみたいだけどね。ほら、あそこに島が見えるでしょ?」
凛「あ。ホントだ…あの島にワニがいるんですかー?」
ヒデコ「ものすごく古い神殿があるみたい。地下で湖と繋がってるんだってさ。そこにワニがいるって噂だよ」 穂乃果「神殿かぁ…水神さまと関係ありそうだね」
ヒデコ「ボートで渡れるよ。ただ、六人しか乗れないけど」
雪穂「じゃあ、私は留守番かなぁ…」
絵里「亜里沙も、ここで待っててくれる?」
亜里沙「え」
ほのうみまきりんぱな「…」
絵里「ワニがいるっていうし、危険でしょ?だから…」
亜里沙「うん…わかった。気をつけてね、お姉ちゃん…」
バシャ
穂乃果「西木野さん、ボートなんて漕げるんだ…」
真姫「当たり前よ。私は、こう見えても…」
花陽「西木野さん…気をつけて。何か、いるみたい…」
真姫「湖なんだから魚くらいいるでしょ?」
バササッ
花陽「ピャァ!?」
真姫「ヴェぇ!?」
凛「魚じゃなくて鳥だったにゃ」
チュン(・8・)チュン
絵里「きっと湖の魚を狙ってるのね。ボートにとまっていれば魚からは鳥の姿は見えないし…」
穂乃果「賢い鳥さんだね♪」
チュン(^8^)チュン
真姫「そう?あまり頭が良さそうには見えないけど…」
凛「魚を食べると頭がよくなるっていうし、きっと賢くなりたいんだにゃ」
(#`8´#)ちゅんなちゅんなちゅんなぁ!!
穂乃果「わぁ!?そんなにクチバシでつつかないで><」
ちゅんなちゅんなちゅんなぁ!!(#`8´#)カンカンカン
海未「このままではボートが…凛!鳥を捕まえてください!」
凛「え?…なんで凛なのー?」
花陽「あ…猫は鳥を捕まえるの得意だよね」
凛「凛は猫じゃないよー><」 真姫「いいから早く捕まえて!」
凛「しょうがないにゃ…えーいっ!」ピョーン
バササッ
ほのえりうみまきぱな「あ」
凛「にゃぁ!?」ドボン
【湖の神殿】
ギュー バシャ
凛「うぅ…ひどい目に遭ったにゃ」ビショビショ
真姫「まあ…ボートが無事でよかったじゃない」
凛「ボートより凛の心配をしてよ!><」プンプン
絵里「そ、それより…何か変じゃない?」
穂乃果「何が変なんですか?」
絵里「人が誰もいないし…何かの気配がするのよ」
穂乃果「ヒデコが言ってたワニがいるのかな?」
花陽「っていうか…今、床が動いたような…?」
海未「まさか。古い神殿にそんな動く歩道みたいな仕掛けが…」
グニャ
真姫「って…床じゃないわよ!?これ…」
穂乃果「な、なんか変なのいる!?」
花陽「しかも床一面に…いっぱい!」
絵里「は、ハラショー」
凛「これなにー?><」
海未「何かはわかりませんが…逃げたほうが良さそうです」
ドタバタ
真姫「って、神殿の外に出ちゃってどうするのよ…」
穂乃果「ほかにも入口があるかもしれないし…探してみようよ」
チュン(・8・)チュン
花陽「さっきの鳥さんがとまってる…」
絵里「あの鳥がとまってるのって…何かの石像?」
海未「…のようですね。近くで見てみましょうか」 花陽「大きな口、太い尻尾、鱗で覆われた体…これって」
凛「ワニだよねー?」
真姫「誰かがワニの像をここに作った…ってことは」
穂乃果「やっぱり、この湖の“ぬし”はワニなんだよ!」
絵里「で、でも神殿の中にいたのは、床にへばりついてる奇妙な物体だったわよね?」
凛「なんか踏んづけたらブヨブヨしてて、ちょっとずつ地を這うように動いてて不気味だったにゃ…」
海未「それにしても…不思議ですね。この像、ただのワニには見えませんよ」
穂乃果「言われてみれば…なんか、人間の女の子にも似てるような?」
凛「ちょっと可愛いかもにゃ」
真姫「そうね。像にとまってる鳥よりは…」
(#`8´#)ちゅんなちゅんなちゅんなぁ!!
穂乃果「ああっ、今度はワニの像をクチバシでつつきだしたよ!?」
凛「西木野さんが変なこと言うからにゃ」
真姫「いや、鳥に私たちの言葉なんてわからないでしょ?」
絵里「でも人間の言葉を覚えて真似する鳥もいるじゃない」
真姫「あれは“音”として再現してるだけで、意味がわかってるわけじゃ…」
「いててて…や、やめなさいよ!」
ほのえりうみまきりんぱな「!?」
穂乃果「真姫ちゃん?…どこか痛いの?」
真姫「いや、今の私じゃないわよ。声が全然違うでしょ!」
凛「じゃあ、生徒会長さん?」
絵里「私でもないわよ」
「あんたたちもボーッと見てないで、このうるさい鳥を追い払いなさい!私を誰だと思ってんの!?」
花陽「ボートで来ただけに…」
凛「寒くないかにゃ?」
穂乃果「えーと…誰ですか?」
パキパキ…
海未「!…石像が」
花陽「本物のワニに変わる…!?」
バササッ 「にっわにっわにー!私が、この湖の主!やざワニこよ!」
穂乃果「やざ…わに…こ?」
にこ「そーよ。ここは“に”ほんで“に”ばんめに大きい湖。“に”が二個で、に湖よ!」
真姫「いや、霞ヶ浦でしょ?」
凛「ちょっと寒くないかにゃー?」
にこ「うっさい。私に用があって来たんじゃないの?」
絵里「あ。えっと…矢澤さん、水の法力を簡単に上げる方法を知らない?私、今のままだと渦潮を使えなくて…」
凛「五千八百円が水の泡にゃ」
海未「水だけに…」
にこ「知ってるわよ」
絵里「本当!?」
にこ「いつでも好きなときに雨を降らせることができるっていうあれでしょ。もともと私が持ってたのよ」
花陽「持ってた…ってことは」
穂乃果「そんな大事な物をなくしちゃったんですか!?」
にこ「いや、貸しただけ。北東の高原の真ん中に、でかい穴があいてんのよ。その奥にあいつが棲んでるわ」
凛「雨を降らせる何とかって、その人に貸してるのー?」
にこ「そ。…まあ、人って言うには強大すぎる存在だけどね」
海未「そ、それは…何者なんでしょう?」
にこ「行ってみればわかるわよ。特別に私が案内してあげるわ。ただし、用が済んだらアレは私が回収するからね」
真姫「っていうか、ボートは六人しか乗れないわよ」
にこ「要らないわよそんなの。私は泳いで渡れるし。先に行って待ってる──」
穂乃果「待って、ワニさん!」
にこ「なによ?」
穂乃果「泳ぐのは私も得意なんだ。向こう岸まで競走、いや競泳だよっ!」
にこ「“ぬし”の私に勝負を挑む気?…いいわ。私に勝ったら、アレはあんたにあげる」
穂乃果「ホント!?よーし。負けないよ!」
ドボン バシャバシャ
凛「わざわざ湖に飛び込むなんて狂気にゃ」
真姫「っていうか、結局あの神殿の中にいたのは何だったのよ?」
花陽「さ、さあ?」 【湖畔】
亜里沙「全然釣れないね…お魚はいっぱいいるみたいなのに」
雪穂「あ、亜里沙…」
ヒデコ「お」
ググッ
ヒデコ「大物キター!」
雪穂「す、すごい引き…」
亜里沙「ワニさん釣れるの!?」ワクワク
ヒデコ「ふんぬっ…ぐぐぐ」ズザザ
雪穂「ものすごい力で引っ張られてる…こりゃホントにワニかもね」
ヒデコ「二人とも、手伝って!><」
亜里沙「は、はい!」
雪穂「せーのっ」
ヒデゆきあり「よいしょー!」グイッ
「いててて><」ザバ
雪穂「お姉ちゃん!?」
亜里沙「ほのまげに釣り針が引っかかってる…」
穂乃果「見てないで助けてよー><」ジタバタ
にこ「くっ。この私が負けるなんて…」ザバ
ヒデコ「うわっ、ワニ!?」
亜里沙「ワニさんと穂乃果さんだけ…じゃ、じゃあ」フルフル
雪穂「まさか…みんな食べられちゃってお姉ちゃんだけ逃げてきたの!?」
穂乃果「ち、違うよ。みんなは後からボートで来るの。ワニさんは誰も食べたりしてないし」
亜里沙「なーんだ…よかったぁ」ホッ
ヒデコ「魚を釣りに来たら穂乃果が釣れた…」
にこ「あんたも相変わらずの外道釣り名人ね」
ヒデコ「ま、まだまだ。穂乃果を釣っても食べるわけにいかないし」
雪穂「魚拓…いや、ほの拓を取っておくとか」
穂乃果「やめて><」 ヒュン ポチャ
ヒデコ「今度こそ大物を…狙いはブラックバス!」
亜里沙「ブラックバスを狙うのやめたら釣れるんじゃ…」
雪穂「それは言わないお約束」
ガチッ
ヒデコ「うわ!?…っ、いきなりすごい引き!」ズルズル
亜里沙「今度こそワニさん!?」ワクワク
にこ「いや、私はここよ」
穂乃果「霞ヶ浦にそんなにワニがいるわけないし…」
ヒデコ「さっきのと力が違いすぎて…ワニさん、手伝って><」
穂乃果「さっきのって私じゃん…」
にこ「仕方ないわねー」ガシッ
にこ「どっせーい!」グワッ
真姫「な、なにこれ!?舵がきかない…!」
凛「ボートが引っ張られるにゃ><」
花陽「た、タスケテ…」
ズドーン
雪穂「ボートが…釣れた」
ヒデコ「えぇ…」
穂乃果「おおっ…すごい大物!」
にこ「…ま、こんなことだろうと思ったけど」
海未「うーん…目が回ります…」
絵里「は、ハラショー」
亜里沙「お姉ちゃん!」タタッ
絵里「きゃ!?…あ、亜里沙」
亜里沙「おかえりなさい!無事でよかった♪」ギュー
絵里「ふふふ。ありがと…ただいま。亜里沙」ナデナデ
ほのゆき「…」
穂乃果「ただいま。雪穂ー♪」ギュー
雪穂「はいはい」ナデナデ 【高原】
にこ「ほら、ここよ。あのでっかい穴」
穂乃果「ホントだ。あれって何なの…?」
海未「遺跡か何かを発掘した跡ですか?」
にこ「いや、ここはあいつの巣穴よ」
花陽「こんなに大きい穴ってことは…」
凛「ものすごく大きい何かが棲んでるってことー!?」
にこ「そうね…ものすごく大きいわ。奴の存在は…」
真姫「でも、まさかこんな穴に飛び降りるつもり?」
絵里「奥がどうなってるのか全然見えないわ。かなり深そう…」
雪穂「これは落ちたらヤバそうだね」
にこ「手前に根っこみたいなのが出てるでしょ。穴の奥まで続いてるから、あれを伝って降りるのよ」
穂乃果「えぇ…だ、大丈夫なの?」
凛「よーし。行っくにゃー♪」
花陽「り、凛ちゃん…」
真姫「…本気?」
にこ「別に行きたくなければ外で待っててもいいわよ。私はアレを回収できればいいし」
穂乃果「私にくれるんじゃなかったんですか?」
にこ「欲しければ、ついて来なさい」
亜里沙「お、お姉ちゃん…」ギュ
絵里「…行きましょ」
穂乃果「わわっ、雪穂…お尻で押さないでよ><」
雪穂「別に押してるわけじゃ…早く降りてよ」
穂乃果「だったら雪穂が先に降りればいいのに…」
雪穂「じゃあ、お姉ちゃん向こう側に回ってくれる?」
穂乃果「こう?」
雪穂「そのまま待ってて」スルスル ギュ
穂乃果「わ。雪穂…」
雪穂「えへへ。こうやってお互いしがみついたまま降りれば大丈夫でしょ」
穂乃果「どっちか落ちたら一緒に落ちちゃいそうじゃない?」
雪穂「落ちないように降りて」
花陽(いいなぁ。すごく信頼し合ってる感じ…うらやましい)
にこ「さっさと降りるわよ!」スルスル
凛「スイスイ降りるにゃー」スルスル
真姫「ちょ、ちょっと。どんどん先に行かないでよ」
花陽「だ、大丈夫かなぁ?この根っこ…切れたりしない?」
海未「かなり太くて頑丈ですし、大きな刃物でも使わないかぎりそう簡単には切れないと思います」
亜里沙「だって。よかったぁ…」ホッ
絵里「あまり急がなくていいから、気をつけてゆっくり降りましょ」
亜里沙「うん」
花陽(入口が大きいから途中までは穴の中にも光が届くけど…)
凛「暗くなってきちゃったにゃ」
にこ「猫なんだから大丈夫でしょ?」
凛「凛は猫じゃないし><」
真姫「ライトは一回しか使えないわよ。私以外に誰か覚えてきた人いないの?」
花陽「私も一回だけなら…」
真姫「全員で二回しか無いってことね…なるべく温存して、一回分は帰りに残しましょ」
花陽「じゃあ、先に私が使うね…」
キラキラ
穂乃果「おおっ、明るくなった!」
亜里沙「Хорошо」
凛「まぶしいにゃ><」
にこ「落っこちないでよ。…いや、猫なら平気か」
凛「だから猫じゃないってば><」
ギシ…
花陽「り、凛ちゃん…下から何か音がするんだけど」 絵里「これ…何かが登ってきてない!?」
凛「なんか顔色の悪い人と白いスキンヘッドがいるにゃ」
真姫「それゾンビとガイコツでしょ!」
花陽「に、逃げよう!」アワワワ
雪穂「この状況でどうやって…」
にこ「凛。落ちないように根っこをつかんでなさい」
凛「どうするのー?><」
にこ「私が先に降りるわ」スルスル
絵里「だ、大丈夫…?」ハラハラ
にこ「このまま一気に行けば…」スーッ
ドスン
穂乃果「ぶつかった!?」
ドサッ バラバラ
凛「アンデッドの人たち、落ちてったにゃ」
絵里「さすがワニね」
にこ「フフン。変なのが上がってきたら蹴散らしていくわよ!」
亜里沙「小さいのに頼もしいワニさんだね♪」
にこ「あんたより小さくないわよ!」プンプン
スタッ
凛「根っこはここまでだねー。あとは歩いて行けるにゃ」
にこ「気をつけなさいよ。まだいろいろ変なのがいると思うから」
絵里「じゃあ最下層まで競走しましょ。一番最後の人はジュース」
真姫「やらないって言ってるでしょ!孤立しないように全員で速やかに移動すればいいのよ」
絵里「そう…」シュン
ザワザワ
穂乃果「うわぁ…この奥、何かいるよ。それもたくさん…」
花陽「な、何がいるの…?」
コロコロ
凛「何か大きい物が転がってくるにゃ。みんな避けて!」
雪穂「な、なにこれ!?」 にこ「虫ね」
絵里「虫!?」
にこ「そ。ダンゴムシみたいに丸まったやつ。ただ大きさが尋常じゃないけど」
真姫「普通のダンゴムシは丸まって身を守るだけだけど…」
花陽「丸い体を利用してボールみたいに転がってくるの!?」
亜里沙「いっぱいいるね…どんどん来るよ!?」
穂乃果「60km/hで走る車を避けられるんだから、こんな虫くらい…!」
\ススーメッ トゥモーロー♪/
【最下層】
穂乃果「な、なんとかたどり着いた…ここで行き止まり?」
にこ「いや、この奥から地上に繋がる出口があんのよ。帰りは虫とかゾンビなんかがいるところを通らなくて済むわ」
雪穂「最初からそっちを通ればよかったんじゃ…」
にこ「出口はあるけど、簡単に通してくれるかどうかはわからないわよ」
\デーデッデー♪/
絵里「あら?…何か聴こえるわ」
にこ「こんなところで…希!」
希「あ。にこっち…」
絵里「希…あなたも来てたのね」
にこ「ここで何してんのよ?」
希「A-RISEのために歌ってたん」
穂乃果「あらいず?」
にこ「ここの主よ。最強のスクールアイドル…」
英玲奈「どうした。歌は終わりか?」
あんじゅ「私たち、全然満足してないけど?」
希「ウチの歌じゃダメみたいや」クスン
ツバサ「今度はあなたたちが歌ってくれるの?」
にこ「私はアレを返してもらいに来ただけよ。もう使わないでしょ?」
あんじゅ「何か借りてたかしら?」
にこ「とぼけないでよ。借りパクするつもり?」 英玲奈「法力をカンストしても、自由に雨を降らせることができるのは有用であることに変わりはない」
ツバサ「返してもいいけど、条件があるわ」
にこ「一応聞くだけ聞くけど。何よ?」
あんじゅ「選択肢は三つ。一つは歌で私たちを満足させること」
英玲奈「もう一つは、我々の望む物を持ってくること」
ツバサ「そして最後の一つは…私たちを倒すことよ」
穂乃果「えーと…ちなみに望む物って何ですか?」
英玲奈「風のように速く走れる物だ。それと交換なら、あれを返そう」
雪穂「風のように速く走れるもの…」
穂乃果「凛ちゃん?」
凛「えー?凛をこんな暗い穴の底に置いていくの!?><」
花陽「凛ちゃんより速いのは…アルパカさん、かなぁ」
あんじゅ「アルパカって…あのアルパカ?」
ツバサ「アルパカって走るの?…のんびりしたイメージしかないんだけど…」
花陽「野生のアルパカさんは天敵から逃げたりするとき走るんです。40km/hくらい出ますよ」
ほのうみゆきありのぞえりにこりんまきえれあんツバ「へー」
真姫「アルパカなら多すぎて困るくらい居るわよ」
凛「確かに、町をすごい勢いで走り回ってたにゃ」
にこ「じゃあ地上へ行きましょ。ついて来て」
穂乃果「待って!」
海未「穂乃果?…どうしたんです?」
穂乃果「せっかくだから歌おうよ!私たちの歌で満足してくれたら、それでもいいんだよね?」
英玲奈「ああ。それも私たちの望みの一つだからな」
海未「でも一人足りませんけど…」
雪穂「私たちも歌うの?」
亜里沙「μ'sと一緒に歌いたいな♪」
にこ「仕方ないわねー。じゃあ今回はことり抜きで」
バササッ
(#`8´#)ちゅんなちゅんなちゅんなぁ!!
ほのうみ「いた!」
\ワンダーゾーン♪/ 穂乃果「んぅ…いつの間に…ことりちゃん…」ムギュ
穂乃果「ん!?」ガバ
花陽「えへへ…穂乃果ちゃーん」ギュー
穂乃果「ちょっ…花陽ちゃん!?…な、なんで一緒に寝て…花陽ちゃん!」
花陽「あ…おはよ。穂乃果ちゃん」
穂乃果「おはよう。…いや、私なんで花陽ちゃんと一緒に寝てるんだっけ!?」
花陽「みんなで夏合宿に来たからでしょ…」ファー
穂乃果「合宿?…っていうか、夏!?」
にこ「うっさいわね。まだみんな寝てるんだから騒ぐんじゃないわよ…」
穂乃果「あれ?…これ何だろ?」ギュ
にこ「私のリストバンドじゃない。なんで穂乃果がつけてんのよ?」
穂乃果「なんで…だっけ?」
凛「穂乃果ちゃんとにこちゃんが霞ヶ浦で泳いで競走、っていうか競泳したにゃ」
穂乃果「あ、そうだ。私が勝ったから貰ったんだよね。これ」
にこ「渡したっけ?…確かA-RISEに貸してて、取りに行ったはず…」
ことり「風のように速く走れるアルパカさんと引き換えに…」
絵里「いや、みんなでA-RISEのために歌ったのよ」
穂乃果「そうそう!…でも、こんな普通のリストバンドで雨を降らせるの?」
海未「無理だと思いますけど…」
花陽(でも…いつの間にか水不足は解消されて、水が売り切れてたり水道水が出なくなることもなくなった) 【海岸】
穂乃果「あーめふれーっ!!」
ことほのうみえりにこりんぱな「…」
穂乃果「やっぱり降らないじゃん!」
にこ「当たり前でしょ。返しなさいよ」
絵里「っていうか、私が水の法力を上げるために使うはずだったんじゃ…」
穂乃果「じゃあ、はい。絵里ちゃん」
にこ「いや、私に返しなさいよ!」
希「…穂乃果ちゃんたち、何してるんやろ?」
真姫「さあ…?」
花陽(海には尽きることなくいつでもたっぷり水があるけど、飲めないし…)
穂乃果(やっぱり、水は大切だよね!)
おわり >>36>>40
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