千歌「――私と卓球、しませんか!?」 [無断転載禁止]©2ch.net
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果南「……本当に大丈夫なの?」
千歌「やってみようよっ! 卓球なら千歌達でも出来そうじゃない!? 長い間やってたしかなり得意だし!」
千歌「スクールアイドル兼、卓球!」
果南「うーん……」
千歌「だってだって! 可能性は二倍なわけだよ! スクールアイドルだけで有名になれるかもしれないけど、スクールアイドル卓球をすればそっちで有名になれるかも……」
千歌「オリンピックを目指すような人達は普通の競技としての卓球をするわけだから、すっごい上級者はいないと思うんだ! ねね、それなら再開してもなんとかなると思わない!?」
果南「まあ……」
果南(半分くらいお遊びの卓球ってこと、かな?)
果南「千歌の言うことが本当なら、まあそうかもしれないけど……」
千歌「よしっ! じゃあ曜ちゃんも誘って来る!!」
果南「え!?」
千歌「――卓球! しに行こうよ!」 待ってたぞおにぎり
卓球また書いてくれる気になったんだね ◇――――◇
曜「えっと、つまり……スクールアイドルスポーツっていうものがあって……スクールアイドルがスポーツで競う、と。強ければ知名度も上がって、本来のスクールアイドルの順位にも大きく影響する……確かに、可愛い女の子がスポーツをやるっていうのは興行的にも……」
千歌「うんっ! ラブライブとは別の日程で行われるんだっ!」
曜「バスケとかバレーとかテニスバドミントン……メジャー競技は大体あるんだね」
曜「でもなんで卓球……」
千歌「千歌が小さい時からやってたからっ!」
曜「あ……やってたね……」
千歌「曜ちゃんもしよ!! 出来るじゃん!」
曜「い、今更なあ……。高飛びとかないの……? それなら自信あるけど……」
千歌「曜ちゃん上手いじゃん! 新しく
果南「水泳ならあるみたいだよ」
曜「あ、そっちの方が良くない?」 千歌「水泳なら曜ちゃんは別に練習とか必要ないし、大会出るだけで済むでしょ! じゃあそれもしよっ!!」
曜「そ、それも……? 今のスケジュールに卓球の練習まで入れたら死んじゃう……」
果南「そうだよ、やるなら私たちぐらいしか」
千歌「……そ、そうだよね。ごめん……」
千歌「あと、水泳だけど、競泳水着じゃなくって普通の水着だからね」
曜「え」
千歌「全国ネットで普通の水着で泳ぐのが放送されるの。曜ちゃんの鍛え上げられた肉体が――」
曜「……そ、それはなんかやだ……」
曜「と、とりあえず今から卓球するんだよね? ちょっと見てるよ」
梨子「――部室にいないって思ったら、何してるの?」
千歌「あ、梨子ちゃん良いところに!」 ◇――――◇
梨子「いいじゃん! ねね、やろうよ梨子ちゃんも!」
梨子「む、むりむりっ卓球なんて出来ないよ!」
千歌「大丈夫できる! やろ、ね?」
梨子「うぅ……」
千歌「よし決定! ね!」
果南「ほら強引に決めない」
千歌「で、でも……じゃあ! ちょっと見ててよ! 楽しいからっ!」
梨子「う、うん……」
千歌「ここの体育館ねえ、卓球部はあるんだけどみんなほとんど来てないから卓球台、使ってもへーきなんだよ」
梨子「そ、そうなんだ……」
梨子(卓球台が一台、周りには……球が飛んでいっちゃわないようにフェンスがいくつか……練習自体はいつでも出来るんだ、恵まれてるなあ……)
千歌「で、卓球をあんまり知らない梨子ちゃんのために解説! これがラケットだよ」
梨子「というかなんで千歌ちゃんは卓球知ってるの……?」
千歌「家に卓球台が二台あるの!」
果南「千歌のお姉さんさ2人とも昔、卓球をしてて、お客様用も兼ねて買っておいてあるんだって」
曜「私も一時期かなりやってたなあ、卓球」
梨子「あぁ……確かにあったかも」 千歌「そうなの〜だからね、果南ちゃんとか曜ちゃんと小さい頃からやってたり、たまに流れでお客さんと卓球することも……」
曜(旅館に泊まったら千歌ちゃんと卓球も出来るんだ……サービスになる……のかな? 一応)
千歌「で、話を戻すと。こっちの片面でしか打てないのが"ペンホルダー"ラケットで、こっちの両面で打てるのが"シェークハンド"ラケット!」
千歌「こっちはシャーペンを持つときの形と持ち方が似てるからペンって呼ばれて、こっちのシェークハンドは、握手するみたいにして握るからシェイクハンドラケット! 簡単でしょ?」
梨子「う、うん……ペン? っていうのしか知らなかった……」
千歌「でもねこっちのシェークっていう方が使ってる人は多いんだって! 志満姉が言ってた!!」
梨子「へえ……」
千歌「とりあえず果南ちゃんと打つとこ見て、次は梨子ちゃんもやってみよ!」
千歌「はい果南ちゃんこれ!」
梨子「果南さんはペンホルダー……」
千歌「私はシェークハンドだよー、志満姉のお下がりだけど!」
千歌「じゃあさっそく……」
果南「うー、久しぶり、できるかなあ……このラケットお遊戯用じゃん」 千歌「競技用の日ペンなんて都合よく持ってません、いくよー!」
カコンカコン
千歌「いいねー!」
果南「まあ、案外いけるみたい!」
梨子「あれ……ふ、普通に打ち合ってる……ピンポンって感じじゃ……」
曜「千歌ちゃんと果南ちゃん、一時期本当にハマっててさー、普通に出来ちゃうレベルなんだよ」
梨子「そ、そうなんだ……経験者みたい」
曜「経験者だから」アハハ
梨子「そ、そうなんだ」
梨子「曜ちゃんも出来るの?」
曜「まあそこそこくらいかな……」
梨子「そうなんだ……あっ」
果南「――あっ……うぅ、やっぱりバックは苦手だなあ」
梨子「ペンホルダーってバック側を打つとき、手首を捻らなくちゃだけど不利じゃないの?」
果南「不利だね」
千歌「だからシェークが多いんだよ」
梨子「なるほど……」
千歌「メリットもあるんだけどね!」
千歌「ということで、梨子ちゃんはどっちがいい!?」 曜「打ちやすい方にしてみたらいいと思うよ」
梨子「じゃあ最初はその、シェークで……」
千歌「はい。じゃあ果南ちゃん、ゆっくり球出ししてね」
果南「おっけー、いくよー」
梨子「え、ちょ……う、打ち方とか……」
千歌「? とりあえずさっき見てた感じでやってみて!」
梨子「え!」
梨子(み、見ただけで真似なんて出来ないよぉ……)
カコンッ
梨子(き、きたっ……えと、えとっ……)
梨子「えいっ」スカッ…
曜「あ……」
梨子「ぅ……」
梨子「察しないでよ曜ちゃんっ!」
曜「ご、ごめんっ」
果南「まあまあ、初めてなんだし、もう一回行くよ、球をよーく見てね」
カコンッ
ブンッポ-ンッ
梨子「あ……」 千歌「ホームラン!」
梨子「な、なにこれ難しい……」
千歌「じゃあ打ち方を教えるね」
千歌「卓球のフォアハンドラリーはね三角形を意識してやるんだよ。最初は胸の前、次はそのまま右に引いて右手側に、その後斜め上に振り上げて顔の前。胸、右手側、顔、これを繋ぐようにスイングするの。こうやって」ブンブンッ
梨子「三角形……」
千歌「この打ち方なら、フォア面の角度が自然に真っ直ぐか下の方を向くでしょ? だからホームランする確率も下がるんだよ!」
千歌「はいラケット持って! 千歌が後ろから教えてあげる!」ガシッ
梨子「……///」
梨子(千歌ちゃんが私に密着してる///)
千歌「胸、右手側、顔……胸、右手側、顔……そう、こういう感じだよ腕手離すから、自分で続けてみて」
梨子「うん。胸……右手側、顔……」
千歌「そうそう、最初はぎこちないけど、三角形が楕円っぽくなって来て滑かになるからね」
千歌「で、右手側に引いた時に腕だけじゃなくって、腰も右手側にちょっとひねってみて」
千歌「あー違う違う、ここをこうやって」ガシッ
梨子「///」
千歌「ちょっと腰も落として……」
梨子(自然にお尻触られてる……///)
千歌「果南ちゃん球!!!」
果南「は、はいっ」
曜(すごい気合……) >>2
おそらく前回落ちた時からお世話になってます 今回は落ちる前に書ききれますので。 カコンッ
千歌「球見て! 最初は胸、右手側に引くと同時に腰を捻るっ、そして正面を向きながら顔目掛けて振り上げる!」
梨子「は、はいっ!」
カコンッッ
果南「……おお」
千歌「惜しい……もうちょっとで入ってたよ」
梨子(さっきより全然いい球が出せた……)
千歌「果南ちゃんどんどん出して」
千歌「対角線に打つこと、クロス方向を意識して……打った後は手元じゃなくって、自分が狙っている方向を見て! そうっ!!」
曜「おー、入ったね!」
梨子「遅いけど入った……」
果南「十分十分」
千歌「やったー! すごいよ!」ギュッゥ
梨子「///」
曜「……」
千歌「ちょっと続けてみようか!」 ◇――――◇
梨子「三分の一くらいはコートに入るようになってきた……」
千歌「うんっ、次はバックハンドね!」
梨子「うぅ、まだあるんだよね……難しい」
千歌「バックはもっと難しいよー?」
千歌「シェイクバックハンド、フォアと違って身体の前で打球するんだよ」
千歌「フォアの3点打ち、みたいな明確なのは無いから難しいんだけど……ラケットの角度を意識して、身体の正面!」
梨子「そ、それだけ?」
千歌「ちょっとやってみるから見ててね」
カコンッ
千歌「あんまり得意じゃない人は、来た球に対して、ラケットの角度が上を向いてるの。それだとホームランしちゃうからね、こんな風に!」ポ-ンッ
千歌「だから角度は被せ気味か垂直ね! で、こんな風に身体の正面!」カコンッカコンッ
梨子「なるほど……」
千歌「球を迎えに行くんじゃなくって、球を引きつけて十分待ってから打球! 基本だからね!」
千歌「はいっ、やってみて!」
カコンッ
梨子「あ、入った……」
千歌「あれ、バックの方が綺麗……いいね!」
カコンカコンッ
果南「結構いいかも、バックの方が得意なのかもねー」 梨子(ラリーちょっとだけど続く……楽しい……かも?)
果南「じゃあさ、次はペン使ってみよ」
果南(まあ、もう結果は見えてそうだけど)
梨子「うん」
梨子「わ……シェイクと全然違う……」
果南「フォアハンドはシェイクとおんなじで3点を意識してみて」
梨子「こ、こう?」カコンッ
果南「そうそう、いい感じ!」
果南「で、問題はバックなんだけど……」
果南「ペンホルダーは構造上ラバー……この赤いやつね、これが片面にしか貼られていないの。だから片面で打つしか基本的にはできない」
果南「さっきから私がやってたから分かると思うけど手首を捻って、打球しなくちゃいけないんだよね。だから絶対に反応が遅れちゃうの、ここに関しては例外はないよ」
梨子「じゃあなんでペンホルダーなんて存在してるの……?」
千歌「フォアハンドが強いんだよ!」
梨子「フォアハンドが?」
果南「そう、バックを犠牲にする代わりにフォアハンドの威力がシェイクより強いって言われてる。その他にも手首の可動域が広いからサーブの回転がかけやすかったり、台上での処理がやりやすかったり……メリットはあるよ」 梨子「ぜ、全然わからない……!」
果南「あはは、だよね」
千歌「ペンでのバック打って見てよ! やり方は手首を返して、角度を合わせて打球!」
果南「シェイクと違って面を被せるのは難しいから、最初は角度は上向きでゆっくりて大丈夫だからね」
千歌「球行きまーす!」
カコンッ
梨子「っ」カコンッ
梨子「ぅ……む、難しい……」
果南「梨子ちゃんはシェークだね」
千歌「うん」
梨子「そっか、シェークなんだ私」
曜「まあ、ペンは難しいよねー」
梨子「曜ちゃんもシェーク?」
曜「うん」
千歌「よーしっ、じゃあちょっと1ゲーム果南ちゃんとやってみるから……どんな感じなのか見ててね?」 ◇――――◇
果南「最初にジャンケンをして、勝ったらレシーブかサーブか選べるの」
千歌「あ、勝った! サーブを選ぶのが有利で一般的ね!」
千歌「じゃあ今回は1セットマッチで!」
果南「11点先取で1セット取れるの」
梨子「じゃあ今回は11点取った方が勝ち?」
千歌「そういうこと! 絶対絶対手加減しないでね!?」
果南「わかってるよ」
千歌「よろしくお願いします!」
千歌「ふー……」カツカツカツ……
梨子(なんか雰囲気が……)
千歌「ふっ」
キュッッ…ググッッ…
梨子「!?」
果南「!」
果南(下回転サーブ、打てないっ!! ツッツキでっ) 梨子(打ち方が全然違う……! 下からつっくくように……本当に経験者の打ち方って感じ……)
千歌「っぅ!!」キュッッズドンッ!!!
果南「くっ……」ポ-ンッ
果南(バック側にフォアドライブ……)
千歌「よしっ! 1-0!」
梨子(千歌ちゃんの打った球……なにあれ? 下から持ち上げるようにスイングして……台についた瞬間、ボールが一気に推進した……?)
梨子「さっきの、なに……?」
曜「ツッツキと、ドライブだよ」
曜「千歌ちゃんが出したサーブは下回転って言って、バックスピンが、かかってるの。普通に打つとネットミスするんだ。だから果南ちゃんはツッツキって言う下回転を下回転で返す守備的な打法で返したの」
梨子「ツッツキ……」
曜「そ、千歌ちゃんのサーブが短かったからそうするしかなかったね」
曜「ちなみにペンホルダーだとツッツキみたいな台上でする細かい技術がやりやすいの」
曜「まあ今は果南ちゃん久しぶりみたいだったし、ちょっと浮いちゃったけど」 曜「で、千歌ちゃんは果南ちゃんがツッツキで返した球をドライブで返した。ドライブっていうのは卓球で一番使われる技術で、ボールに対して上回転をかける技術なの」
曜「下回転を普通の打球で打つとネットミスになるから、上回転をかけて持ち上げるの。トップスピンがかかった打球は台についた瞬間色んな変化をする」
曜「その代表例が強い前進なんだ。下回転とは逆でラケットに当たった瞬間ポーンって打ち上げやすい。だからとっても攻撃的で、果南ちゃんは打ち上げちゃったんだよ」
梨子「い、一点の間にそんなこと、してたの……?」
曜「やってみるとそんなに考えなくても平気だよ」
梨子「そ、そうなのかな……」
梨子「というか詳しいね……」
曜「私も千歌ちゃんとやってたんだってば」アハハ…
曜「千歌ちゃんが辞めちゃったから――私もやめたけどね」
千歌「ふっ!! やった!」
果南「くっ、また……」
千歌「2-0!」
果南(だめだなぁ……全然足動かない……)
梨子「また……」
曜「3球目攻撃って言ってね、下回転サーブを出して、ツッツかせて、ドライブ攻撃。3球目に攻撃するのは一番代表的な点の取り方なんだよ」
曜「次は果南ちゃんのサーブ、おんなじようなことをするはずだよ」 果南「……」コツコツ
果南(取り敢えず下回転……普通に考えたら私の弱点のバックハンドにボールを集めてくる。短く出せばツッツキで返してくるだろうから、フォアに来ても見てから反応は出来る。やっぱり下回転だね……でもお遊戯用じゃかからないって)
果南「ふっ」キュッ
千歌(下回転!)ツッツキ
キュッ
果南(よしっ一応かかった、読み通り……)
千歌(バック側に回り込んだ!! フォアドライブ! フォア、バックどっち!?)
果南「んっ!!」キュパッ!!ズンッッ
スパ-ンッッ
千歌「くっ……」
千歌(フォアかあ……速くて触れない……)
果南「よしっ」
梨子「はや……」
曜「ペンのフォアドライブの破壊力は抜群だからね」
梨子(というか2人……こんな特技があったなんて……)
梨子(そういえば千歌ちゃんのプロフィールには特技卓球って書いてあったっけ……)
梨子(特技っていうより、普通に部活やってる人みたい……)
千歌「よしっ5-1!」 梨子「ふたりとも本当に上手い気がする……」
曜「千歌ちゃんの場合、お姉さん2人とも東海大会レベルに強かったんだよ。千歌ちゃんがラケット握ったのは小学生より前の頃からだし……その辺りの卓球部の子よりは全然強いかもね」
曜「果南ちゃんと私もそれに付き合ってたって感じで……あはは」
千歌(球が浮いたっ!! スマッシュで……!!)パコ-ンッ!!!!
果南「っ!!」スッッ
千歌「!?」
千歌(バックの深いところ……そんなところに、回りこめるわけ――)
キュパッギュインッ!!!
千歌「!?」
スパ-ンッッ…ギュルルルルルルルルルッッ
千歌「……え」
梨子(フェンスに引っかかってもすごい回転……)
果南「ほ……」
千歌(――な、なに、今の……)
千歌(ラケット、お遊戯用、だよね……?)ゴクッ… 梨子「よ、曜ちゃん今のは……?」
曜「フォアゾーンのネット手前にボールを出して、果南ちゃんが前のめりになってツッツいて球が浮いたところを、千歌ちゃんがバックゾーンの深いところにスマッシュしたの。でも果南ちゃんはすぐに回り込んでクロスに前進回転のドライブ」
梨子「でもなんか……さっきの球と動きだけ凄かった、気が」
曜「うん……そうみたいだね」
果南「いやー……まぐれまぐれ、良かった入って」コツコツ
果南「8-7、サーブどうぞ」
曜「……」
千歌「まぐれでも悔しい! 勝つぞー!!」
千歌「ふっ……」ギュンッッ
果南「くっ……」フワンッ…
千歌(浮いたっ、チャンス!!)
千歌「!!」スパ-ンッヅ
果南「オーバー」
千歌「ぅ」
果南「チャンスは確実に決めないとだよ」
果南「何事も、いつでもチャンスがあるわけじゃないんだからさ」
千歌「わかってるよー!!」 ――
千歌「10-8!!」
曜「マッチポイントだね、次千歌ちゃんが取ったら勝つよ」
果南「……」
果南(うーん全然だめだ……)
果南(……下くらいしか普段出さないしなぁ、たまにはアレ、やってみよっかな……)スッ…
フッ…キュッッカコンッ
千歌(下回転! 回り込めないくらいバックの深いところにっ……)ツッツキッ
千歌「えっ」ポ-ンッッ
果南(よしっ……狙い通り)
千歌(回転がかかってない……ナックルサーブ……っ!!)
果南(後は、叩き込む、だけ!!)パシ-ンッ!!、
千歌「――っ!? いでっ!!」
果南「ぁ……」
コツコツコ……
千歌「もう! おでこ狙った!?」
果南「ち、違うってば。久しぶりだから全然入らなくて……あはは」
千歌「むぅ、ま、とにかく11-8で千歌の勝ちー!」エヘヘ
千歌「果南ちゃんにまた勝った!!!」ピョンピョンッ! 千歌「……手加減してないよね?」
果南「してないよ、だめだね最近は」アハハ…
千歌「ということで梨子ちゃん!」
梨子「は、はい」
千歌「どーだった?」
梨子「えと、うん……凄かったと、思う。素人だからよくわからないけど……」
千歌「やりたい!?」
梨子「えっ」
果南「だから強引に勧誘しない、卓球まで付き合わせちゃだめでしょ」
善子「……」コソコソ
梨子「?」
善子「!!」バッッ
果南「どうしたの?」 梨子「う、ううんなんでも……」
善子(た、卓球してる……!!)コソコソ…
善子(ここって卓球部とか活動してないって聞いたけど……)
善子(それに、あっちのポニーテールの人の、さっき一回見せたドライブ……)
善子(うぅ、久しぶりに燃えて来たわ……)
善子「堕天使の寵愛を受ける資格がありそうね……クク……」
善子「はっ……だめだめ」
善子(っていうかあの人たちと知り合いでもなんでもないし……今更卓球なんて……)
善子「……」ソソクサ
梨子「で、でも……ちょっとくらいなら……」
千歌「本当に!? やった!」ギュッ
梨子「い、痛いよ」
曜「……」 千歌「じゃあねじゃあね、千歌が教えてあげるねっ!!」
果南「梨子ちゃん、本当に大丈夫?」
梨子「うん、続いた時はちょっと楽しかったし……」
梨子「あ、暑いから離れて……」
千歌「あ、ごめん」
曜「いつやるの?」
千歌「とりあえず暗くなったら体育館に移動して……一時間くらい練習に充てようかなあ?」
果南「一時間も?」
千歌「もっとやりたいけど!」
千歌「みんなも予定あるだろうし……」
果南「まあ、そうだね。それなら曜もできる?」
曜「ま、まあ」
曜(いやーまさか卓球することになるなんて……まあ楽しそうだからいいけど) ◇――――◇
旅館
千歌「あ、あのー……お客様、良かったら私と卓球……しませんか?」
千歌「あ! 私は、ここの旅館の三女で……」
志満「ちょっと千歌! 申し訳ありません……妹が」
志満「ほら行くよ」グイ
千歌「ぅ……すみませんでした」
リビング
美渡「はぁ、あんたまたなんかしたの?」
千歌「……卓球したかったの」
美渡「馬鹿じゃないの? お客さんのなんだから、やってない時ならともかくやってる時に割り込むなんて」
千歌「してくれる人もいるもん」
美渡「だからってね」
美渡「あんたみたいに体して可愛くない子じゃなくって、美少女に声かけられるっていうならお客さんも嬉しかったかもね」
千歌「な……なにさ!! いいじゃん別に!! 馬鹿!!」
志満「ちょっと、ふたりとも」
志満「千歌ちゃん……どうして急に卓球なんて」
千歌「ん……えっとね」 ◇――――◇
美渡「あはははっ! スクールアイドルに、卓球? もう、冗談うますぎるって」
千歌「もう! なんでそうやっていちいち笑うの!? さいってい!!」
美渡「いくら普通の卓球と違うって言ったって、高校でやめちゃったけどそれまで強かった人はいるわけでしょ、そんなの無理に決まってるってこと、あんたが一番よく分かってるよね?」
千歌「っ……だって」
美渡「どうせすぐ辞めるんだから、やるの、やめておきなよ」
千歌「うるさい!!」
千歌「いいじゃんやってみたって……」
美渡「……」
志満「美渡ちゃん、すぐ酷いこと言わないの」
美渡「……」
志満「千歌ちゃん、確かに卓球ってあんまり疲れるスポーツってわけじゃないし、年齢関係なく誰でも出来る、でも……簡単じゃないってことはわかるよね?」
千歌「うん……」
志満「スクールアイドルだけじゃだめなの?」
千歌「……うん」
美渡「じゃ、少なくとも高校卒業までには私に勝ってみなよ」
千歌「勝つもん……絶対勝つ!!」
美渡「言ったな、そのくらいの言葉には責任持ちなよ」 千歌「うん……」
志満「じゃあ、ラケットも自分の買わなきゃね」
美渡「今志満姉のやつ使ってるんだっけ?」
美渡「千歌の戦型にまるで合ってないじゃんか」
志満「美渡ちゃんのラケットも全然違うしねえ……」
千歌「それも考えとく!!」
志満「うん、今日はもう寝なさい」
千歌「うん……分かった。おやすみ」
ドタドタ
美渡「はぁ、何考えてるんだか」
志満「ちょっと嬉しかった?」
美渡「は? 何言ってんのさ、そんなわけねーし」 志満「千歌ちゃんにも卓球して欲しかったから、小さい頃からやらせてたんでしょ」
美渡「ち、違う」
志満「まあ、いいけど……美渡ちゃんが本気でやれるくらい強くなるといいわね」
美渡「……知らない」
美渡「あ、お姉ちゃん」
志満「ん?」
美渡「今のラバーって、やっぱり進化してるかな?」
志満「んー……私に聞かれても、長い間変えてないし……」
美渡「そりゃそうか……」
志満「やる気になった?」
美渡「あの子になんか負けたくないだけだって」
志満「そっか」
美渡「そうだよ。おやすみ」
志満「おやすみ」 ◇――――◇
梨子「……よっ、ふっ」カコンッ…
梨子「わわっ!」ブンッ
千歌「違う違うー! こーやって三角をイメージして……最初は横向きでもいいから……」
梨子「うぅ、壁打ち……難しい」
果南「壁打ちは1人でも出来るレシーブやラリーの基礎固めだからね、同じテンポならとりあえず100回くらいは続かないとだめだよ」
梨子「う、うそ……」
果南「バックは普通に出来てるのにねえ……」
曜「でもさ、初めての壁打ちでバックハンドがあそこまで出来るのはセンスあると思うな」
千歌「ねー、バックの方が最初から得意な人って珍しいよねー」
千歌「でもバックは出来るのにフォアになると空振るの、ちょっと可愛い……」
梨子「う。うぅ……」
千歌「じゃあ台に行こっか」 ◇――――◇
曜「そ、今の感じだよ!」
梨子「う、うん!」
曜「今の感じをどこでも出来るように。だから壁打ちはオススメなの」
梨子「曜ちゃんも普通に壁打ちできるの?」
曜「んー、まあね!」
梨子「どのくらいで出来るようになったの?」
曜「うーん……割と短かったような。ていうか壁打ちから入らなかったから」
梨子「……あはは、曜ちゃんってなんでも出来るんだね、すごいや」
曜「全然! 千歌ちゃんには勝てないしねー」
千歌「うーんっ、やっぱりラケットとラバー……換えなきゃだよね」
果南「それカットマン用でしょ? そのまま練習してても変なクセつくだろうし……やめたほうがいいんじゃない?」
千歌「だよねえ……」
梨子「そのラケット……どこか悪いの?」
千歌「あ、ううん……このラケット自体は悪くないんだけど千歌には合ってないし……ラバーは劣化しきってるけどね」
梨子「え、えっと……?」
千歌「あ、ああ……えっとどこから説明すれば」
「――そのラケットはカットマン用、それに、ラバーも守備用の弾まないラバーですわ」 千歌「うげ……ダイヤさん……」
曜「なんでステージに……」
ダイヤ「全く……なにやらスクールアイドルなんて訳のわからないものをし始めたかと思えば……今度は何をしていますの?」
千歌「卓球です!」
ダイヤ「……卓球部にでも入ったの?」
千歌「い、いえそういうわけでは……」
果南「部長さんも使わないって言ってて、使わせてって言ったらいいって言ったからさ」
ダイヤ「なるほど。遊び……にしてはちょっとレベルが高いようでしたが」
果南「千歌も小さい頃から中学上がる時まで沼津の方のクラブに入ってたからね」
ダイヤ「へえ……」
千歌「さっきカットマン用のラケットとか言ってましたけど……ダイヤさんも卓球知っているんですか?」
ダイヤ「まあ多少は……そのラケット、貸していただける?」
千歌「は、はい」
ダイヤ(裏裏……)
梨子「……何が始まるの?」
曜「さ、さあ……」 果南「……まだ出来るの?」
ダイヤ「当たり前ですわ! ボールを出して」
カツンッ
ダイヤ「ん」パコン
カコンカコンッ
千歌「おお、普通にラリーしてる……ダイヤさんも卓球出来るんですね」
ダイヤ「ええ、そこまででは、ありませんけれど」
果南「良かったよ、自分のラケット持ってきてさ」
梨子(ラリーをしながらちょっとずつ後ろに下がってる……?)
曜(この足の動かし方……)
ダイヤ「お願いですから、手加減してくださいね」
果南「わかってるよ」
千歌「……!」
果南「っ!」ギュインッ
ダイヤ(ドライブ……!!)
キュッッ…ガツンッッ
梨子「!?」
千歌「――カットマン……!!!」 果南「ふっ」ギュインッ
ダイヤ「っ」バツンッ
梨子「あの打ち方……なに?」
曜「カットって言ってね、上から下に振り下ろすようにして、ドライブの逆、下回転を掛けて相手に返球する打法だよ」
曜「後ろに下がって相手のドライブやスマッシュを返して返して返し続ける……卓球で一番守備的なスタイルなんだよ」
梨子「すごい……」
梨子(果南さんが打つ速いドライブを、ダイヤさんが打つと一気に遅くなってふわんてして、果南さんのコートまで戻っていく……)
梨子(打っても返して返して……ダイヤさんのところに引き寄せられているみたい……)
ダイヤ「っ!!」バツッ…ギュウンッッ!!
果南「!!」
果南(今までのより絶対切れてるっ……それに短い……ツッツキで――)チョン…ズドンッッ
果南「ぁ……」
果南(ネット……)
曜「今みたいにね、強烈な下回転を掛けると、ドライブで攻撃することも出来なくなるの。果南ちゃんはツッツキで合わせようとしたみたいだけれど、それ以上に切れてたみたいだからネットミス。カットマンは相手のミスを誘うの」
梨子「な、なんか……かっこいい」
ダイヤ「わかりましたか? 千歌さんが使っていたこのラケットは私のようなカット主戦型のものなのです」 ダイヤ「梨子さん、あなたのそのラケットと比べると……大きくて少し薄いでしょう?」
梨子「本当だ……」
ダイヤ「これは大きい方が当てやすく、薄い方が弾みが抑えられてオーバーミスが防げるためにこのような作りになっていますの。
ダイヤ「それに、ラケットは本来木で出来ていてこの赤と黒のゴムの部分、ラバーは別売りなんですの、ご存知でしたか?」
梨子「え!? で、でも普通に最初から付いて売ってるような」
曜「それはおもちゃみたいなやつだよ、競技用はラバーとラケットは別売りなの」
梨子「そ、そうだったんだ……」
果南「ラバーって意外と高いんだよ、片面8000円するのだってあるし。半年もしたらボロボロだしね、だから最低でも二、三ヶ月に一度くらいは替えないと」
梨子「け、結構お金かかるんだね……」
ダイヤ「ラケットとラバーは奥が深いので、調べてみると面白いと思いますわ」
梨子「は、はいっ」
ダイヤ「ありがとうございました千歌さん」
千歌「……」
ダイヤ「……?」
千歌「やりましょう……一緒に卓球、しましょうよ!!!」
ダイヤ「……は?」
千歌「やっぱりチームに1人はカットマンが欲しいんです! ダイヤさん、みた感じすっごく上手いですし、お願いしますっ!!」
ダイヤ「お断りしますわ」 千歌「えー!!」
ダイヤ「そんなに暇じゃありませんの、悪いですけれど、他を当たって」
千歌「そんな簡単にカットマンなんて見つからないですよー!!」ギュッ
千歌「ね、お願いします! 私が勝ちたい人の1人にカットマンがいるんです!! だから練習しないと……カット、打たせてくださいっ!!」キラキラ
ダイヤ「だから、忙しいと……」
千歌「そこをなんとか!!」
果南「千歌」
千歌「だ、だって……」
ダイヤ「……」
千歌「ごめんなさい……」シュン…
ダイヤ「邪魔はしませんから……応援していますわ」スタスタ
千歌「あ、あのっ!」
千歌「考え直してくれたら、いつでも言ってください! 待ってますから!」
千歌「はぁ……」
果南「仕方ないよ、いつも忙しそうだし」 千歌「そうだよねえ……」
果南「ダイヤも私と一緒でさ、おんなじ公民館で中学までやってたんだよ」
果南「高校に上がってからは私もあの子もやめちゃったんだけどね」
千歌「そうだったんだ……でもなんとか出来ないかな……」
果南「どうだろうね……家の都合だし」
千歌「はぁ……」
梨子「あの人がやってた打ち方、珍しいの?」
千歌「うん……かなり難しいし、それなら普通にドライブとかを練習した方が勝ちやすいから……」
千歌「だから上手いカットマンなんてなかなか見つからないの」
果南「卓球の強豪校なんかだと、練習台のためだけにカットマン転向させられる人もいたりするんだよ」
梨子「そう、なんだ……」
千歌「はぁ……いいと思ったのになぁ……ダイヤさんなら可愛いし」
果南「……どういう意味?」
千歌「どういう意味って……スクールアイドル卓球なんだから……可愛い方がいいに決まってるでしょ?」 果南「大会に出させるつもりだったの?」
千歌「うん! Aqoursにも入って貰って!」
曜「あ、あはは……」
果南「さ、流石に無理でしょ……」
千歌「そうかな……」
善子「……」コソコソ
善子(さっきの人、カットマン……? なにここ、カットマンまでいるの?)ウズウズ…
花丸「――善子ちゃん?」
善子「ひっ、びっくりさせないでよ!」
花丸「ご、ごめんなさい。そんなつもりじゃ」
花丸「何してるの? 最近よく体育館見てるけど……」
花丸「――卓球……?」
善子「べ、別になんでもないってば、あとヨハネね」
花丸「卓球かぁ……マルもちょっとやってたよ」 善子「え!?」
善子「部活入ってたの!?」
花丸「あ、部活じゃなくって……内浦にある近所の公民館で……ルビィちゃんもそこで」
善子「な、なによあの子も卓球してたの!? なんで言ってくれないのよ!」
花丸「え、ええ……? だって……言う機会もなかったっていうか……」
善子「ま、まあそうよね……」
花丸「卓球やりたいの? ちょっとなら教えられると思うけど……」
善子「クックックッ……残念だったわね花丸……これでも私、卓球には自信があるのよ……!!」
花丸「そ、そうなの?」
善子「今度ルビィも連れて市民体育館に行くわよ!!」
花丸「え、あ……うん!」 ◇――――◇
週末 卓球ショップ
千歌「んー……何がいいかなあ……」
果南「まずはラケットからだね」
梨子「色々あるんだね……本当だ、ラケットは木だけだ、これがラバー?」
果南「そ、でもやっぱり沼津は田舎だし品揃えはあんまり、かな?。専門店があるだけマシなんだけどね……」
曜「わかるっ! 欲しいのなかったりするよね!」
梨子「確かに……卓球のスペースは小さいかも……」
果南「いっぱいメーカーもあって、それだけラケットやラバーもあるから、全部は置けないんだよ。ラバーだけでも種類に加えて、厚さも五段階くらいあるからね」
梨子「そ、そんなに……」
千歌「ここはね、クラブもあってね、千歌はここで昔卓球してたんだよー!」
梨子「へえ、そうなんだ」
果南「千歌は道具とか適当だったよね」
千歌「うん、大雑把にしか知らない!」
千歌「ちゃんとした方がいいのかなあって……」
カランコロン… 千歌「……!!」
ダイヤ「――え」
果南「ダイヤ……?」
ダイヤ「な、なっ……どうしてここにっ!!」
果南「いやこっちのセリフ……」
千歌「……わかった! ダイヤさんも卓球したいんですよね!」ギュッ
千歌「ね!!」キラキラ
ダイヤ「そ、そういう、わけでは……」///
ダイヤ「その……久しぶりに趣味で、やる程度ならと思いまして……ラケットを取り出してみたら、ラバーが劣化していたので、見に来ただけですわ」
果南「そうだ……ダイヤは用具に詳しい方だし、千歌と梨子ちゃんにアドバイスしてあげてよ」
ダイヤ「そうは言われても……わたくしは千歌さんのプレイをあまり見たことがありませんし……」
千歌「……じゃあ卓球しましょ、ダイヤさん!」
ダイヤ「ぅ……そ、そうなりますのね」
千歌「お願いしますダイヤさんっ!!」
ダイヤ「わ、わかりましたわ……少しですわよ」
千歌「やたー!!」
果南「こら、お店の中で騒がない」 千歌「はい……」
ダイヤ「で、梨子さんのもの、でしたっけ」
梨子「お、お願いします」
ダイヤ「梨子さんは初心者……よね?」
梨子「はい」
ダイヤ「まずラケットから、初心者の方は基本的には木材のラケットをオススメされると思いますわ」
梨子「木材……鉄のラケットもあるんですか?」
千歌「ぷっ……」
果南「こら」
千歌「だ、だって、て、鉄……振れないってば」クククッ
梨子「ぅぅ」////
ダイヤ「木材の中にカーボンなど弾みが良いものが挟まれているラケットがあるんですの。重さ等はそこまで変わらずに、強い弾みが得られるのでトップ選手や実力がある方に好まれていますわ。それを"特殊素材ラケット"、というのです」
梨子「な、なるほど……」
ダイヤ「特殊素材ラケットは打球感が硬くなるので、コントロールが難しくなるの。だから初心者の梨子さんには、オススメできるとは言えませんわね」
ダイヤ「木材ラケットならば打球感が柔らかいものが多くて、手に掴むような感覚を得られるものもありますの。だからまずはそこから慣れるのがいいと思いますわ」
梨子「こっちが木材……こっちが、特殊素材……?」
ダイヤ「特殊素材ラケットは値段も割高なので、その面でも木材がオススメですわ」
梨子「でも、木材でもいっぱいあるんですね……」
果南「正直、最初は使いやすいって言われてるのから、フィーリングで選んでもいいと思うんだよねー。慣れて来たら自分がラケットに求めるものがわかってくるし」 千歌「でもでも! 千歌はわかんないよ?」
果南「それは考えてないからでしょ」
千歌「考えます……」
ダイヤ「あなたは大丈夫なんですの?」
曜「私? 私は卓球の練習に出てるだけで大会出る気はないんだー」
ダイヤ「なるほど」
千歌「曜ちゃんにこれ以上迷惑かけられないからさ」エヘヘ
曜「……」
千歌「ダイヤさん今ラケット持ってますか!?」
ダイヤ「え……持ってます、けど……」
千歌「――市民体育館に行きましょ! 今から!!」 ◇――――◇
市民体育館
善子「堕天使ヨハネが罪を与えるっ!」
花丸「ひゃっ……」ポ-ンッ
花丸(スマッシュ……じゃないっ)
善子「っ……鎮魂の魔宴(サバトレクイエム)13式……」グググッッ…ブツブツ
善子「――"失楽園"!!」
ピョンッ…キュパッ…ッッ
花丸「!!」
ギュォォンッ…コツンッ…ビュンッッ
花丸「ぅ」ピョ-ン……
花丸(なにこれ……やっぱり、すごい球……こんなの見たことないっ……!!)
ルビィ「11-3で善子ちゃんの勝ち、お疲れ様」
ルビィ「す、すごい……」
花丸「未来ずら……」
善子「未来って何よ、私はどっちかっていうとクラシックスタイルよ!」
花丸「そ、そうなの?」
善子「多分! そう言われてた!」 ルビィ「善子ちゃん……そんなに強いのにどうして卓球部に入ってないの?」
善子「だって活動してないじゃない」
花丸「まあ、そうだよね。クラブで続けてればよかったんじゃ……」
善子「……」
善子「目標に向かって全力でするー! とか、なんかクールなヨハネっぽくないでしょ! それだけ!」
ルビィ「そんなに強いのに……勿体無い……」
善子「勿体無くなんかないわ――強い人なんて幾らでもいるしね」
花丸「……」
善子「それより私が驚いたのは! 花丸、あなたが想像以上にまともに卓球経験者してるってこと!! ルビィもだけど!」
花丸「本当? そうかな」エヘヘ
善子「2人の戦型は中々嫌いだけど……」
花丸「よく言われるずら……」
ルビィ「ね」
ルビィ「でも善子ちゃん全然こういうの、効かないんだもん」
善子「対策されちゃうとね、どうしても苦くなるわよねあなた達の闘い方は」
善子「それにしても、偶然ね3人とも卓球が出来るなんて」
花丸「ねー、善子ちゃんがこんなにやってると思わなかったもん」 花丸「えーと、最近体育館で卓球してる人達いるよね、その人達に声かけて見たら?」
善子「べ、別にいいってば!」
花丸「千歌さんて人、スクールアイドルしてる人だよね? なんで卓球もしてるんだろう……」
花丸「ルビィちゃんもスクールアイドルしたいんだし、善子ちゃんは卓球がしたい……ちょうどいいずら!」
ルビィ「で、でもルビィはおねえちゃんが……」
千歌「――わ、空いてる空いてるー!!」
ダイヤ「引っ張らないでくださいっ」
ルビィ「――お、おねえちゃんっ!?」
ダイヤ「え……ルビィ! ど、どうして」
花丸「お久しぶりです、ずら!」
ダイヤ「花丸さん!」
果南「おー、卓球してるの? まだ続けてたんだ?」 花丸「えへへ、一応……」
千歌「花丸ちゃんにルビィちゃん!! なんで卓球やってるの!?」
花丸「こっちの善子ちゃんが……」
曜「およ……善子ちゃんだ」
善子「ヨハネよ!」
ダイヤ「……善子?」
千歌「善子……」
善子「ヨハネ!」
ダイヤ「津島!」
千歌「善子ちゃん!?」
善子「え、え……?」
梨子「……」キョロキョロ…
梨子(わ、わたし、置いてかれてる……) 最近また卓球ブームきてるよなー
若手が強いと注目度も上がる ◇――――◇
果南「つまり、私とダイヤとルビィちゃんと花丸ちゃんは一緒に、内浦にある公民館で卓球をしてたってわけ」
千歌「ほえー……ねね、ルビィちゃんに花丸ちゃん、そんっなに可愛くて、卓球も出来るなんて……!! ねえ、スクールアイドルしようよー!」
花丸「わ、私は全然……」
千歌「えー……ルビィちゃんは!?」
ルビィ「ルビィは――」
ダイヤ「――ダメに決まっているでしょう!? 妹まで巻き込まないで」
ルビィ「……」
千歌「お願いしますっー!」
ダイヤ「ダメですわ」
千歌「なんで!」グイッ
ダイヤ「なんでもです!!」グイッ
千歌「むぐぐぐ……」
果南「ストップストップ」
曜「って、いうか、どうして千歌ちゃんとダイヤさんは善子ちゃんのことを?」
善子「ヨハネって呼びなさいヨーソロー魔」
梨子「ヨーソロー魔……」クス…
千歌「こっちが聞きたいよ!」
ダイヤ「本当ですわ!」
曜「私はただ……バスの方面が一緒で……」
善子(一年生? って、いきなり話しかけてくるんだもの、どんなリア充よ) 善子(普通なの?)
曜「いやー話し相手がいるといいなーって。今まで千歌ちゃんが降りたら寝てただけだからねー」
善子「ヨハネの魔力に引き寄せられたのね」
千歌「魔力……?」
ダイヤ「先程から、一体……」
花丸「き、気にしないでくださいっ」
千歌(善子ちゃんて、前はこんな子だったかな……?)
千歌「善子ちゃん、私のこと覚えてない? 沼津の卓球クラブで一緒だった、一つ上の高海千歌って言うんだけど……」
善子「高海千歌……? うーん……ごめんなさい覚えてないわ。本当に私? 人違いとか……」
千歌「っ……」
千歌「あ、あはは……そうだよね。善子ちゃんは強かったもんね、私はそうでも無かったし……覚えてなくても無理ないよっ!」
千歌「……」
曜「……」
善子「あ、あの、なんかごめんなさい……」
千歌「ううん、全然!」 善子「で、あなたはどうして私のことを?」
ダイヤ「申し遅れましたわ。そこの黒澤ルビィの姉の、ダイヤと申します」
善子「……姉妹揃ってぶっとんだ名前ですね」
ダイヤ「っ」ピキ
ダイヤ「ま、まあ……それは置いておいて、あなたがまだ卓球をしていたとは、驚きですわ」
善子「……私のこと知ってるんですか?」
ダイヤ「ええ、わたくしもルビィと同様中学生までは卓球をしていましたの。この辺りで強い選手のことは多少なりとも頭に入っているつもりですわ」
ダイヤ「全日本卓球選手権。小学校五年生の時にホープスの部。静岡予選優勝、ホープス全国大会ベスト16。小学校六年生ではホープス静岡予選2位、ホープス全国大会ベスト8。」
ダイヤ「中学一年生にてカデットの部、静岡予選2位、カデット全国大会ベスト16。中学2年生にて、カデット静岡予選ベスト4。カデット全国大会ベスト4。同年、ジュニア予選ベスト4……ジュニア全国大会、ベスト8」
善子「……」
果南「それって、す……凄すぎるんじゃ」
梨子「かでっとほーぷす?」
ダイヤ「大会の階級のようなものです。あなたは中学2年生の時には、既に一流の高校生が出場する大会でも上位に入っていた」
善子「気持ちわる……私でもそんなに覚えてないですよ」
ダイヤ「中学二年生を最後に静岡大会で津島善子の名前を聞くことはなくなりましたわ」
善子「当たり前よ、辞めたんだもの。今はこうやって趣味でやるだけ、こっちの方が楽しいし、部活に入ってた訳じゃないし」コンッコンッ 千歌「カデット……志満姉と一緒……。勿体無いよ善子ちゃん! なんで辞めちゃったのー」
善子「だからさっき言った通りよ! それ以上言うと呪いで地獄へ幽閉するわよ!!」
千歌「う、うん……?」
梨子「と、とにかくすごい子なの?」
果南「うん、要は小学校5年生の時からずっと静岡ではトップクラス、階級目安を無視するくらい全国区の選手ってことだよ」
梨子「す、すごい……曜ちゃんは高飛びで強化指定されそうだし……なんか凄い人ばかり……」
千歌「あはは、本当だよねー!」
千歌「……」
曜「私の話必要だった……?」
梨子「凄い人繋がりで……」
花丸「善子ちゃんそ、そんなに強かったの……? 確かに強かった、けど……」
善子「自信あるって言ったでしょ!」
花丸「う、うん……。あ、果南さん善子ちゃんね、果南さん達と卓球がしたいんだって」
善子「ちょっ!」
千歌「――それ本当!?」グイッ
千歌「やろうよ善子ちゃんっ!! 一緒に卓球!」
善子「わ、私は……やめとく。一番いい時期に一年半もブランクがあるってことがどういうことか、わかるでしょう?」
千歌「大丈夫だよ! カデットとかそういう大会と違って、スクールアイドルの大会だからレベルも下がるから! 善子ちゃんなら絶対優勝候補になるよ!」 善子「スクール、アイドル……それは知ってるけど、卓球……?」
ルビィ「スクールアイドルにはね、一緒にスポーツの大会も開かれてるの。メジャー競技ならあるから、卓球大会も開かれてるんだよ」
ダイヤ「千歌さん達はそれに出場しようと?」
千歌「そうなんです!」
善子「そんなのがあるの……」
ルビィ「どっちかと言うと興行的な面が大きいんだけどね。可愛い子が真剣にスポーツするのを見たいっていうコンセプトだから……」
千歌「ね、ね!? スクールアイドルもやってもらわなきゃなんだけど……可愛いし、絶対出来るよっ!」
善子「か、可愛いのは認めるけど……ヨハネだし」
梨子(認めるんだ……可愛いけどさ)
善子「残念だけど、お断り。他を当たって下さい」
千歌「そう言わないで……お願い!」
善子「嫌よ」
千歌「うぅ、最近フラれてばっかり……千歌、結婚出来ないのかな……」
善子「意味がわからないんだけど……」
千歌「じゃあじゃあ今から千歌と……卓球、して下さい!」
善子「……」 ◇――――◇
花丸「よ、よろしくお願いします……ずら」
花丸(うぅ、なんでマルが……)
善子『高貴な堕天使ヨハネと一戦交えたいだなんて……無謀もいいところね』クククッ
善子『その前に私のリトルデーモンを倒してからにしなさいっ! リトルデーモンっ、行って!』
花丸『え、え……?』
善子『自信持って! あなたは強いから!』
花丸(そんなこと言われたって……)
練習前ラリー
コツン…フワンッ
千歌「これ……」
千歌「花丸ちゃん粒高?」
花丸「はい、一応」
千歌「うわ……マジかぁ……」
果南「いやー、千歌勝てるかなぁ……」
ダイヤ「花丸さんはちょっと特殊ですからね」 梨子「特殊?」
果南「うん、マルのラケット……ペンの握りで両面にラバーがついてるの」
梨子「え、でもペンホルダーって……片面しかないんじゃ」
果南「厳密に言うと違うんだよね。片面しかないのは日本式ペンホルダー。シェイクハンドみたいなブレードの形をした両面にラバーがついてる、中国式ペンて言うのもあるんだよ」
梨子「中国式ペンホルダー……じゃあ花丸ちゃんのはそれ?」
ダイヤ「いえ、あれはそのどちらでも無くて……反転式ペンホルダー、ですわ」
ダイヤ「昔日本では中国式が一般的ではなく、しかし両面で打つために改良された、いわば中国式の亜種です。数も少なくあまり見ることはありませんわね」
曜「ていうか花丸ちゃんて、あれ、粒高ですよね?」
ダイヤ「ええ、そうですわね」
果南「正直、多少は慣れてないとストレートで負けちゃうだろうなあ」
梨子「あ、あのすみません……粒高って……」
善子「あなた初心者なの?」
梨子「う、うん……ごめんなさいっ」
善子「あ、謝らなくていいけど……」 善子「粒高っていうのは、ラバーの種類のこと。普段よく使われてるのは表面がツルツルしてて平らなものよね。それが"裏ソフトラバー"。実はアレ、裏返すとツブツブがついてるの、その形状によって色々とまた性能が変わるんだけど……。
善子「ほら私のラケット見て、よく見るとツブツブが透けてるでしょ」
梨子「本当だ……」
善子「これをひっくり返して表面がツブツブになってるラバーがあるの。その粒の高さによって、"表ソフトラバー"と"粒高ラバー"っていう二つのラバーに分類されるのよ」
善子「裏ソフトラバーは回転とか球の威力が強い、その分相手の回転の影響をもろに受けるの」
善子「表ソフトラバーっていうのは粒の高さが中ぐらいで、回転はあんまり掛けられないけど球離れが早くてスマッシュとか弾いたりミート技術がやりやすいから前陣向きね。最後に粒高ラバーなんだけど」
善子「あ、始まる。見ながら説明するわ、よく見てて」
「よろしくお願いします!」
高海 千歌
ラケット サナリオンD
フォアラバー タキネスチョップ(薄)
バックラバ」 タキネスチョップ(薄)
VS
国木田 花丸
ラケット ストリークR-H
フォアラバー カールP3(極薄)
バックラバー 狂豹2(薄)
※()の中はラバーのスポンジの厚さ。薄ければ薄いほど飛ばなく、厚ければ厚いほど反発力が強くなる 粒高はビギナーでも勝ちやすいというのと、ビギナーには向かないというのを
両方聞いたことあるけど、どちらが正しいんだろう ごめんなさいまたド深夜に。前回落ちたところまではとりあえずすぐ投下します。 >>64
ビギナー同士だと粒高の性質がわかってないと返しにくいから勝ちやすい
粒高に頼ったプレイをしがちになって技術的に向上しにくくなるから向かない
という点でどっちも正しい なるほど。FPSとかで、初心者がロケランヒャッハーやり過ぎる感じか。いやちょっと違うかw 卓球でちかっちのボールが揺れるとかそんな感じのゆるいエロネタかと思ってたら詳しくて草
タキネスシリーズとか狂豹懐かしい てかちょくちょく曜が無言になる描写があるんだが無駄なアニメリスペクトとかじゃないよな? >>72
自分好みの展開くれくれ精神丸出しの汚ねぇ口を閉じて糞して寝ろ キャラの関係性だけでなくダイヤさんの口調までちゃんとG's寄りなの芸細かくていいね 千歌(よし、サーブだ……。粒高とか久しぶりすぎて忘れちゃった……どうなるんだっけ……)
千歌(いいや、とりあえずバックに強めの下回転で……長さも中途半端でいいから様子見だね)
キュパッ
花丸(純粋な下回転……)パコンッ
千歌「短っ……」
千歌(でもツッツキだし、ツッツキで繋いで……)スッ…ポ-ンッ
千歌「えっ」
ルビィ「1-0」
花丸「ほ」
千歌(うぅ、やっぱやりにく……)
千歌(次はバック深くに、切れた下回転で……詰まれば浮いて帰ってくるはず、あわよくばエースも)
キュッ
花丸「くっ」
花丸(深いっ)ポ-ンッ
千歌(よしっ、打てるっ!)キュパッギュッイン 花丸(バックにドライブ! 面合わせて……力抜いて……)カコン…フワン…
千歌「くっ!」
千歌(いやー、普通に返ってくるかぁ、流石粒高……でもちょっと高いっ、もう一発フォアクロスにっ)キュパッ…ストンッッ
シュルルルルッ……
千歌「え」
ルビィ「2-0」
善子「わかった?」
梨子「全然」
善子「そりゃそうよね。あれ、粒高っていうのはちょっと特殊なの。相手の回転の影響をあんまり受けないし、それどころか、相手の回転をそのまま逆にして返すのよ」
梨子「――回転を逆に……?」
善子「そ、千歌さんだっけ? あの人が下回転サーブを出したならそのまま返せば上回転になって、上回転を出されたら下回転になって返る。横回転だと色々ぐちゃぐちゃになってよく分からなくなることが多いわ」
善子「さっき千歌さんは下回転を二本出して、二本目はドライブで攻めたでしょ? ドライブは上回転、それを花丸が角度を合わせて返すと、出された上回転が反転して、そのまま下回転になって千歌さんの所へ返っていくわけ」
梨子「カットマン……みたいな?」 善子「あー……まあ間違ってはないけど。カットマンは自分から回転を思いっきりかけるけど、粒高は相手の回転を利用するの。だからカットマンでもバックに粒高を貼る選手は多いわ」
千歌「っふ!!」キュパッギュインッ
花丸「っ」カコン…
千歌「っ!?」ギュインッッ
カコンッ
千歌(どんどん、回転がっ……)
ギュインッッッストン……シュルルルルッ
千歌(ぁ、またネットミス……)
ルビィ「6-2」
善子「カットマン相手だと強烈なドライブをかけ続ければなんとかなる、こともある。でもね、ペン粒相手だとドライブを強くかければかけるたび……自分の首を締めることになる」
ギュインッカコンッギュインッッ…ストンッ…
千歌「くっ……」
善子「強くかけたらかけた分だけ、自分の回転が反転されてそのまま強い下回転になる。どんどんボールの威力をあげても、それ以上に強い下回転が返ってくる。右に左にブロックで振り回されてやがて体制が苦しくなって、ネットやオーバーが連発」 善子「花丸のプレースタイルのペン粒は、そうやって様々な回転を反転させて翻弄しながら戦う、"前陣異質型"なの。基本は台に張り付いてブロックを狙うから、ドライブを掛けるにしてもちゃんとコーナーを狙ってノータッチで抜くとかしないと、苦しいと思う」
千歌「よしっ!!」パコ-ンッ!!!!
果南「いいね、スマッシュみたいなミート系なら回転の影響とか無視して打ち抜ける。千歌は粒高慣れてないからなぁ」
曜「粒高ってそんなに慣れてないと難しいの?」
果南「うん、格上でも粒高に慣れてないとそのまま負けちゃうこともあるからね」
ルビィ「8-4です」
果南「でもペン粒はバックのブロックは強いけど、フォアはブロックしにくいし攻撃力もないから多少甘くなってでもフォアを狙うべきだね」
善子「ま、そうよね」
ダイヤ「でも花丸さんは……」
善子「?」
千歌「ふっ!!」ギュインッ!
千歌(多少甘くなってでもフォアに威力強めのドライブっ! フォアならバックみたいにしつこくブロックは出来ないはず、それに精度だって高くない。浮いたところを回転無しのスマッシュでっ)
花丸「――っ!!!」ガツンッッッ!!!! 千歌「!?」
コツン……コツン……シュルルルッッ…
千歌「え……」
曜「!?」
梨子「――千歌ちゃんのコートでネットの方にに……戻っ、た?」
花丸「ほ……」
善子「ドライブに対して当てるだけじゃなくて、上り側を捉えて、上から下にガツンと振り下ろすと強烈な反転と合わさって、物凄い下回転になる」
善子「……フォアのカット性ショート……なにあれ、あんなの使えたの」
果南「マルの"カット性ショート"は威力抜群だからね、特に"フォアハンドは"」
果南「善子ちゃんの時にあれをやれなかったのは、多分善子ちゃんのコースが良かったからかもね」
善子「ヨハネよ。まあ確かに、甘いとこには出さないようにしてたけど」
果南「マルのあれはめちゃくちゃ切れるんだけど、コースが甘くないと出来ないから」
善子「なるほどね……バックのカット性ショートなら一般的だけど。花丸もしてきたし」
ダイヤ「そうですわね、バックハンドはブロック、フォアハンドは甘くなると強烈なカット性ショート……狙う場所はフォアの厳しいところ。そこを狙えば」
千歌「あっ……」オ-バ-…
ルビィ「10-4」 梨子「オーバー……カット性ショートっていうのは……さっきの戻る球?」
善子「ええ、台上でツーバウンドだし、返すだけじゃないってことね」
果南「……善子ちゃんはさ、プッシュ受けたことある」
善子「いや、ないけど」
ダイヤ「やはりあなたは強いのね」
善子「?」
千歌「んぅっ!」
ギュインッガツンッッ
千歌「!?」
千歌(バックでもカット性ショート!? でもフォアの時より回転は反転されてないっ、落ち着いてツッツキで相手のバックサイドに……返ってくる球はナックルか上回転の緩い球……今度こそスマッシュで――)
花丸「っ!!!」パコ--ンッッッ!!!!!
梨子「きゃっ」
果南「おっ、と」パシ…
梨子「あ、ありがとうございます……」
千歌「……え」
千歌(サイドラインから外に、抜けてった……)
ルビィ「11-4、セットポイント花丸ちゃんです」 曜「な、なに今の!? はやっ」
果南「ちょうどよく見れたね……」
善子「なるほど――バックハンドプッシュ、ね」
梨子「プッシュ……」
善子「相手の下回転や少し浮いた球に対して角度を合わせて押し込む技術よ。スマッシュほど攻撃的じゃないけど粒高使いの中ではかなり攻撃力のある技術」
善子「プッシュっていうのは回転がほとんどかかってないナックル性の球でね、普通に返すだけじゃあんまり飛ばないの。だからしっかり振り切って返さないといけないんだけど、軌道が回転がかかってる球とは全然違うからとにかくやりにくい」
善子「今のは決めにいくプッシュみたいだったけど……おそらく」
果南「今のは効いたんじゃないかなー」
ダイヤ「そうね……」
2セット目 千歌「くっ……」
千歌(さっきよりは早くないけど、プッシュ返しづらい……なんか勢いはそうでもないのに、重い)
ルビィ「1-0」
千歌「……」コツコツ…
キュパッッ…パコンッ
千歌(下回転に対して止めるんじゃなくて、弱めのプッシュ……さっきと攻め方が違う……)
千歌(回転は少なめ……こっちも回転の少ない角度打ちで合わせて……)カコンッ
梨子(なんか……)
曜「千歌ちゃん、さっきより振り回されてない?」
善子「そうね……。1セット目と違ってプッシュとかフリックとか……そういう弾く系のナックルボールで攻めてるわね。1セット目がネット付近に出させて攻めてたのを、2セット目では台から離れさせて攻めてる」
善子「台から離れるとドライブ自体の攻撃力は上がるけど……時間の余裕が出来るから……」
花丸「ふっ……」ガツンッッッ…
千歌(短いっっ……!!!)バッッッ
コツコツ…シュルルルルッッ
千歌「くっ……」
千歌(届かなかった……)
善子「カット性ショートで反転されて急にネットギリギリに落とされる。そうすると今みたいに追いつけない」 梨子「すごい……」
曜「千歌ちゃん……」
善子「強烈なプッシュがあるってことを頭に入れてると、前に出て攻めにくくなる。ああなると、なかなかやっかいね」
善子「前に出て攻めにくくなると……」
ガツンッッ
千歌「またっ……」ツッツキッッ
千歌(なんとか繋いだっ……回転もかけたし、プッシュは……)
パコ-ンッッッ
千歌「ぁ……」ポ-ンッッ
善子「カット性ショートへの反応が遅れて前のめりになる、前のめりになると遅めのプッシュでも差し込まれて、得点される」
ルビィ「5-1」
梨子「ど、どうすればいいの……?」
善子「簡単よ、回転を使わなきゃいいの。回転使わない球なら、回転反転もされないし」
果南「千歌思いっきり回転で攻めてるしね、あぁ……また横回転なんて出して……」
ルビィ「6-1」
千歌(どうしよう……負けちゃう)
千歌(サーブは全然効かないし……横出すと訳わからなくなっちゃうし……)
千歌(下……も出しすぎだし、あとは……)
千歌(うん? 粒高は回転を反転させて強くなる……自分からは上手く回転はかけられない)
千歌(てことは……ナックルで攻めたら、どうなるかな) 千歌(……短いと、フォアならフリック……バックならプッシュで押し込まれる。なら長いサーブで勢いのあるナックルロングサーブなら?)
パコンッッカコンッ
花丸「はやっ」チョコンッ…ストンッ
ルビィ「6-2」
千歌(ネットミス……効いてる)
千歌(花丸ちゃんのサーブは……バックに曲がる横下回転と下回転だけ。サーブは単調……下回転を出してきたらバックのプッシュ狙い。だったら……)
キュパッカツカツッ
千歌(回転弱めの、長いツッツキでっ押し込むっ)バンッ
花丸「っなが!?」ポ-ンッ
千歌(落ち着いて、叩くっ!)
パコ-ンッッッ
千歌「ほ……」
ルビィ「6-3」
花丸(なんか嫌な予感がするずら……とりあえずミス待ちで守ろう)キュパッッ
千歌(横下回転のサーブ! 台からちょっと出る……バックでドライブじゃなくて、角度打ち、速さはいらない、花丸ちゃんの正面じゃないとこにっ)カコンッッ
花丸「っ」カコンッストンッ…
千歌「よしっ!」
ルビィ「6-4」 善子「あら、さっきの3点はいいんじゃない?」
梨子「な、なにか変わったの?」
善子「ほとんど回転を使ってない。サーブはナックルでロングだし、レシーブも回転を弱めて速度を出して、相手の深いところに」
善子「ナックル回転の球は粒高にとって天敵でね、回転を利用出来ないから。自分からかけられることはかけられるんだけど、どうしても弱いし甘くなりやすい。打ちごろになるってことね」
善子「それに、粒高の場合は台から出るような球は攻めにくいからこれも有効」
果南「うん、いいね」
千歌「しゃっ!!」
ルビィ「6-8」
花丸(ほとんど長い球ばっかり……ドライブもあんまりして来ないし……もう慣れられちゃった……)
ダイヤ「案外慣れるまで早かったですわね」
善子「花丸は技術ひとつひとつはいいけど、基本的な対策をされちゃうと、なんとかなっちゃうパターンのプレイヤーなのね」
果南「そうなんだよね、カット性ショートもドライブ回転でしか威力は強くないし、プッシュも台から出ないくらいの下回転でしか上手く打てない」
果南「だからナックルで長く攻めればマルは対処出来ないんだよね」
ダイヤ「ナックルボールの処理を上手く出来るペン粒と当たるのが、一番やっかいですわね」
善子「でもあんまりいないわよ、そういう人。居てもある程度の実力がある人ならドライブの威力だけでぶち抜ける」
曜「上級者には通用しないってことか!」
善子「そ、だからトップ選手でペン粒なんてほとんどいないでしょ」
善子「言っちゃあれだけど、伸び代がない戦型なのよ」 果南「善子ちゃんの場合も多分そうだよ。コースが厳しいのかドライブが凄いのかわからないけど、マルはフォアのカット性ショートもプッシュも見せなかった。多分見せられなかったんだよ、チャンスボールがなくって」
善子「あなた褒めるのが上手いわね、堕天使の宝珠をあげてもいいわ」
果南「う、うん……」
梨子(やっぱり変な子だ……)
ルビィ「9-11、セットポイント千歌さんです」
曜「取った! 2セット先取だよね?」
果南「うん、次取った方が勝ち」
千歌「ふー……」コツコツ…
千歌「よしっ」
梨子「すごい……千歌ちゃんがリードしてる」
善子「回転が少ない球を出し続けて花丸の返し方がかなり単調になってるのがわかる? 花丸は棒球で返すか、弱めのカット性ショートで返すことしか出来ない。で、浮いたら」
千歌「しゃっ!!」スマッシュッッ
花丸「くっ……」
ルビィ「1-4」
千歌「ふっ……!」カコンカコンッッ
花丸「ぁぅ」
千歌「よしっ!」
曜「わ……サービスエース……」 果南「それが出来れば中途半端に浮いた球を裏ソフトで強打することもできるからね。マルも挑戦してた時期はあったんだけどねー、やっぱり難しいみたい」
善子「まあ……それが出来たら完全に上級者のペン粒よね」
梨子「そっか……」
善子「それが出来ない以上……」
千歌「やったー!!!」
ルビィ「11-4、千歌さんの勝ちです」
花丸「負けちゃった……」
千歌「ありがとうございました! ほんと負けちゃうかと思った……」
花丸「えへへ、千歌さん強いですね」
千歌「えへへ、ありがと! 楽しかったよ!」キラキラ
ルビィ(なんか、かっこいい……!)
善子「実力自体は千歌さんの方がずっと上だと思うけど、ペン粒はそういう相手にも勝てちゃったりするから、怖いのよね」
梨子「すごいね……」
善子(千歌さん、結構小さい時からやってるらしいけど、確かにそういう感じはあったわね。やっぱり小さい時にやってたかやってないかだと――全然違うし)
善子(でもなんか……)
ダイヤ「うーん……」
果南「どうしたの?」
ダイヤ「いえ、千歌さんのプレーを見て合う用具を考えたのですが……あまりどれかに特化しているようにも思えないので、無難に性能の高いものがいいかと思って」 千歌「――善子ちゃん!!」キラキラ
善子「な、なによ」
千歌「試合しよっ!」
曜(千歌ちゃん、楽しそう……強い人とするのは楽しいのかなやっぱり?)
ブブブブ
善子「あ……ごめん用事が」
千歌「え!?」
善子「ほんとよ、帰ってこいって」
千歌「そ、そんな」
千歌「試合したい!」
善子「そ、そんなこと言ったって仕方ないでしょ!」
千歌「うぅ……」
善子「わ、分かったわよ……あなた、私と同じ学校なんだから……暇な時体育館に行くから……」
千歌「本当!? 絶対だからね!」
善子「わ、わかったから」
善子「じゃあルビィ花丸、またね」
ルビィ「うん、ばいばい」
花丸「またね」
善子「あ、他の人も」ペコリ…
曜「ばいばーい」
スタスタ
曜「礼儀正しい時もあるよね」アハハ
梨子「不思議だね……」 ダイヤ「じゃあ千歌さん、またショップへ行きましょうか」
千歌「え、打たないんですか?」
ダイヤ「もう十分打ったでしょう、ほら行きますわよ」
千歌「ふぁい……」
ダイヤ「じゃあルビィ、また家でね」
ルビィ「あ、うん……」
果南「じゃあね」
千歌「またねっ!」
スタスタ
ルビィ「なんか……卓球してる時の千歌さん、かっこよかったね。それに、楽しそうだった」
花丸「そうだったね……」
ルビィ「……」
花丸「ダイヤさんを説得してさ、やってみたら?」
ルビィ「え……」 花丸「卓球も今まで通り楽しそう、スクールアイドルもずっとやってみたかった……。好きと好きが一緒に出来るなんて、これ以上ないと思うずら」
ルビィ「……でも」
ルビィ「私が色んな習い事から逃げ出したせいで……お姉ちゃんは好きだった卓球やめて……それなのにルビィがする、なんて……」
花丸「……そっか」
花丸「ダイヤさん……逃げたっていうルビィちゃんのこと、恨んでるのかな……マルは違うと思うけど」
花丸「逃げ出したなら逃げ出したなりに……好きなことを全力でやった方が、いいと思う」
ルビィ「っ……」
花丸「家ではあんまり話さないんだっけ?」
ルビィ「うん……忙しそうだし、話も合わないし……」
花丸「話してみたら? それがだめなら……」 ◇――――◇
卓球ショップ
ダイヤ「あなた、自分の得意な技術は?」
千歌「えっと……なんだろ」
果南「うーん……ドライブ?」
千歌「多分ドライブ!」
ダイヤ「まあそれなら攻撃用で……木材? 特殊素材?」
千歌「あんまり飛びすぎるのも困るし……木材、かな? 特殊素材も使ってみたいけど……」
梨子「これってこんなに種類あるのに……試し打ちとかも出来ないの?」
果南「できるところもあるんだろうけど、沼津じゃあね……」
果南「そもそもラケットにラバーを貼り付けなきゃだから、その時点で売り物にはならなくなるからね……」
梨子「そうなんだ……自分に合うのを見つけるのも大変そう」
果南「大体の人はラバーに合わせるみたいなものだからね」
千歌「いっぱいあって全然わかんない」
ダイヤ「これなんかいかが? 癖はないし、千歌さんのドライブの邪魔をすることはないはずよ」
千歌「うーん……?」
千歌「やっぱりもうちょい考えようかな……」 ダイヤ「そうですか……」
ダイヤ「梨子さんには自信を持ってオススメできるラケットがありますのよ」
梨子「どれですか……?」
ダイヤ「これですわ。値段も安くて、木材でコントロールもしやすい昔からある定番の名品なのです。これなら上達の妨げにもならないでしょうし、上達してからでも十分使っていけますので、自信を持ってオススメできます」
千歌「あ、それ知ってる! いいやつ!」
梨子「へえ……これなら安いし……」
ダイヤ「インターネットでも調べてみるといいと思いますわ」
ダイヤ「次にラバーですが……これもオススメがありますの」
ダイヤ「考え方にもよりますが、初心者は扱いやすくコントロール性の高いラバーがオススメです」
梨子「そんなに違うんですか?」
ダイヤ「ええ、裏ソフトラバーにも種類があって大きく高弾性、粘着性、テンションラバーの三つです」
梨子「ま、また種類……」
曜「卓球の道具はよくわからなくなるよね、私もあんまりだし」アハハ
ダイヤ「高弾性、これは名の通りスピードが出るラバーですわ」
ダイヤ「粘着性ラバーは、中国のトップ選手が好んで使っていますの」 曜「中国って卓球強いんだよね!」
ダイヤ「ええ、ここ何年も敵なしの状態が続いていますわね」
梨子「この粘着性ラバーはすごいってこと?」
ダイヤ「粘着性ラバーというのは、表面がペタペタしていてそれが回転を生み出すの。スポンジが硬くて食い込みにくいから、シートに擦ることで威力を出す」
ダイヤ「なのでちゃんと振り切れることが前提のラバーと言えますわね。使いこなせれば粘着独特のぐにゃりと曲がる球が出せたりしますの」
梨子「食い込ませる……擦る……」
ダイヤ「それはまた練習していくうちにわかるようになりますわ」
ダイヤ「次にテンションラバーというものですが……」
梨子「は、はっせんえん……」
ダイヤ「それはテンションラバーの代表的なラバーで、世界のトップ選手からアマチュア選手まで圧倒的な支持を得ているラバーなんですの」
梨子「やっぱりすごいの?」
ダイヤ「ええ、テンションラバーの特徴は、スピンと回転が高い次元で両立されているという点ですわね。世界の主流よ。粘着ラバーは振り切れないと棒球になりますが、テンションラバーだと勝手に前進回転がかかったりかなりサポートしてくれますの」 果南「でもそうしたら、このメーカー、日ペン単板置いてないってことに……」
果南「他のメーカーにするしかない、なるほど……うぅ、ラケット決めてたのに……廃盤なんてうそ……」
ダイヤ「日ペン?」
果南「もう廃盤なんだって……なにさ、売れないからって……日ペン使いはいるのにさ」ブツブツ
果南「おかしいよ、一番有名なメーカーのくせに……」ブツブツ
曜「凹んでる……」
千歌「果南ちゃんさ、ラケット持ってたよね? あれどうしたの?」
果南「壊した」
千歌「え?」
ダイヤ「……」
ダイヤ「日ペン単板は厚い木が一枚で構成されていて、合板と違って強度が低いんですの。台に強く当てたりすると、あっさり割れることも」
果南「同じの買おうか迷ったけど高いからさ……それまで適当な合板買って凌いでたんだけど……本格的にやるならって思って……」
果南「はぁ、いいよねシェイクのみんなは……」
梨子「あ、あはは……」 ◇――――◇
スタスタ
千歌「善子ちゃんっ! おはよう!」
善子「お、おはよう」
千歌「ラケット持ってきた!?」
善子「今日はやらないわよ」
千歌「え!?」
善子「え!? じゃないってば」
千歌「待ってるから、絶対きてね!!」
千歌「あ、善子ちゃんてどんなラケット使ってるの!?」
曜「ぐいぐい行くね……」
梨子「そうだね……」
善子「ど、どうしたのよいきなり」
千歌「強い人ってどんなの使ってるのかなーって!!」
善子「それも試合する時に見せてあげるから」
善子「でも、あなた……カットマン用の使ってたわよね? 早く替えた方がいいんじゃ……」 千歌「そうなんだけどさあ……どれがいいのかなって」
善子「とにかく攻撃用にすれば大分変わると思うけど……それなら多分花丸の時もドライブだけで撃ち抜けたんじゃないですか?」
千歌「えへへ、そうかな。じゃあ早く替えないとだよねー」
千歌「じゃっ、また今度ね!」
◇――――◇
千歌「体験入部……?」
千歌「本当に!?」
花丸「はい、よろしくお願いします」
果南「おー……」
果南「ルビィちゃん、平気?」
ルビィ「が、頑張りますっ……」
千歌「やった!! ねね、これは強制じゃないんだけど……2人は卓球とかする気ない?」
ルビィ「あ、実はそっちもしてみたくて……」
花丸「マルも……」
千歌「ほ、本当に……っ」ウルウル
千歌「やったっ!!! これからよろしくっ!!」
曜「仮だからね」アハハ… 善子「……た、体験入部?」コソコソ
善子「な、なによお……ふたりして、そんなこと私に一言も……」ウル
◇――――◇
ダイヤ「ふぅ……帰りましょうか」
ダイヤ「ルビィは先に帰ったかしら」
ガチャッ
ダイヤ「?」
ダイヤ「なっ!?」
「――久しぶりね!!」
ダイヤ「ま、鞠莉さん!?」
鞠莉「シャイニー! 身長、大きくなっちゃって!! どのくらい伸びた? 10cmは伸びてる?」ナデナデ
ダイヤ「べたべた触らないで」
ダイヤ「もうっ、一体どうして……」
鞠莉「向こう飽きちゃった!! 大学ではまた向こうに行くし、今くらいこっち戻ってきてもいいかなって!」
ダイヤ「……あ、相変わらず自由奔放ですのね」
鞠莉「ふふー、嬉しいでしょ?」
ダイヤ「あなたね……」
鞠莉「――それに、もう廃校になっちゃうなら、最後くらい戻って来てもいいでしょう?」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています