穂乃果「あ、ごめんなさい。びっくりしました?」

絵里「い、いえ…」

雪穂「いらっしゃいませ」ペコ

絵里「こんにち…は」

パタパタ

穂乃果「アハハ…なんかすみません。慌ただしくて」

絵里(家族みんなでやってるお店って感じね。だから長続きするのかしら?)

雪穂「お茶です。どうぞ」コト

絵里「ありがとう。…いい香りね」

穂乃果「今日のは鹿児島の新茶ですよ♪」

絵里「鹿児島…そんなに遠くのお茶を取り寄せているの?」

穂乃果「新茶は南のほうから順番にできて、鹿児島が一番早いんです。甘みがあって渋味が少ないのが新茶の特徴で…飲むだけならいいけど、たとえばお菓子に使う抹茶が新茶でない物になると、それだけで味が変わっちゃうんですよ」

絵里「なるほどね…お菓子を作る上で材料の味の違いは重要ね」

穂乃果「はい。だから毎年できるだけ早めに新茶を確保します」

絵里「おいしい…熱さもちょうどいいわ」

穂乃果「ようかんはどうですか?」

絵里「あんこを寒天で固めた物が、こんなに美味しいなんて…」

穂乃果「材料の小豆や砂糖も、品種や産地などこだわって選んでますから。そのぶん、どうしてもお値段は高くなっちゃいますけど…ちょっと高級な贈答品として、ようかんは根強い人気があるんです」

絵里「和菓子ってすごいのね…これなら」

穂乃果「これなら?」

絵里「廃校を阻止できるかも!?」

穂乃果「え。…い、いやぁ…それはどうでしょう…」

絵里「高坂さん!」ギュ

穂乃果「は、はい?」

絵里「音ノ木坂の未来のために、あなたの…いえ、和菓子の力を貸してくれる!?」

雪穂「菓子だけに…」

穂乃果「かして?」

ガラッ

凛「ちょっと寒くないかにゃー?」ピシャ

絵里「こうしてはいられないわ…作戦を考えなくちゃ!」