【四月】

穂乃果「本当に学校、なくなっちゃうんですか…?」

絵里「あなたたちが気にすることじゃないわ」

スタスタ

希「あの子…穂むらちゃんやね」

絵里「ほむら?」

希「あれ、エリちは知らない?神田にある古い和菓子屋さんで、地元では結構有名なんよ」

絵里「そうなの?…私、和菓子ってあまり食べたことないから…」

希「ちゃんとした和菓子屋さんのお菓子はちょっと高いけど、何でも美味しいよ。ウチ、穂むらのおだんごが特に大好きなん」

絵里「ふーん…古いお店っていうけど、いつ頃からあるの?十年くらい?」

希「いや、そんなん古いうちに入らないやん。穂むらは確か江戸時代からあって、創業三百年くらいやったと思うよ」

絵里「さんびゃく!?…そ、そんなに…音ノ木坂よりずっと古いのね…」

希「まあ、神田にはそういう古いお店や建物が今も結構あるからね。おなじみの明神さんなんて千年以上前からあるし」

絵里「神社はそれくらい古いのが全国にたくさんあることは知ってるけど、お菓子だけのお店でそんなに長く続いてるのはすごいわね…こう言っては何だけど、なくても大丈夫な嗜好品なのに」

希「だからこそ、やないかな?…女の子はみんな甘いもの大好きやろ?お菓子は人生を豊かにするって思わない?」

絵里「まあ、私もチョコレートとか好きだし…わからなくはないわね」

希「和菓子も食べてみたらいいと思うよ。穂むらのお菓子を一度食べたら認識変わるかも」

絵里(三百年か…和菓子にはそれだけの力があるってことなのかしら。音ノ木坂にも、そういう何かがあれば…)

穂乃果「この像って独特のポーズだよね…誰が作ったんだろう?」

海未「誰の像かはともかく、誰が作ったかは今まで考えたことも無かったです…」

ことり「ちょっと真似したくなっちゃうね。このポーズ♪」

穂乃果「あはは。ちょっとやってみようか?…こんな感じ?」

ことり「こうじゃないかな?」グッ

絵里「こう?」サッ

海未「って、何やってるんですか。音ノ木坂のいいところを探そうという話だったはずでは?」

絵里「ご、ごめんなさい…」

穂乃果「って、生徒会長さん!?」

ことり「何してるんですか…?」

絵里「ちょっと…あなたに訊きたいことがあって」

穂乃果「え、私?」