たとえば、自動車評論家の国沢光宏氏は、シフトの問題について〈PレンジからDレンジまで直線で操作できるタイプのシフトレイアウトより、
Nレンジを使わない(入れ方が解らない人も多いと思う)プリウスの方が安全。ミスしてもギアは入らない方向。通常の一直線シフトより間違いなく
飛び出す可能性少ない〉〈暴走するというプリウスで言えばNレンジは事実上使わないため、むしろ安全です〉と説明(「Yahoo!個人」4月29日付)。
“プリウスミサイル”説を否定している。

 たしかに、本サイトも実際に車を運転するなどして様々に検証したところ、ネット上の指摘は正確とは言いがたかった。たとえば、「Nでアクセルを
ベタ踏みしDにシフトする急発進」は絶対にないとは言えないが、そもそも、こうした「急発進」は、別にプリウスに限った話ではなく、他のAT車でも
ありえることだ。ペダルの配置についても、たしかにプリウスはブレーキが左に寄っているが、それが踏み間違えの決定的な原因になるとは断定できなかった。

 また“プリウスミサイル”説をめぐっては、ネット上の流言飛語も生んでいる。6月4日、福岡市で81歳男性が交差点に猛スピードで突入し、同乗の妻と
ともに死亡した事件では、当初、ネット上で「またプリウスミサイルか!」などといわれたが、その後、別の車種だったことが判明。共同通信などの
マスコミも「デマ情報が拡散するネット社会」に疑問符を投げかけた。さらに言えば、社会的関心を集めた事故で運転されていたのがプリウスだったのは
偶然にすぎず、そもそもプリウスは国内での流通量が多いので確率的にもおかしくはない、と考えることもできるだろう。

 しかし、である。プリウスが100パーセント安全かといえば、それもまた断言できない。というのも、プリウスは他の同程度売れている車種と比べて、
ブレーキ関連のトラブルの報告が突出して多いことは事実だからだ。