>>120
購入した。東方ボーカルアレンジ集である

概要
地霊殿を中心に、全5曲の東方ボーカルアレンジおよびボーカルオフで
構成されたアルバムである。各曲の特徴や所感については以下のとおり

Over World
ゆかりんの持ち曲「ネクロファンタジア」の純正ロックアレンジである
歌詞は「ザ・キャラソン」とでも言うべき内容で、ゆかりん視点に立ち
その心境を非常に厨…げふん独特な言葉遣いと当字で表現なされている
少々人を選ぶ曲だが、ボーカルオフ版も収録されてるので安心(無礼)
歌い手「はる」さんのやや声量足りなくも力強い声は、ゆかりんみ深い

Othello
水橋の持ち曲「緑眼のジェラシー」のメタルなバラードアレンジである
本曲も水橋になり切って、その心境を歌い上げるキャラソン風の曲だが
訥々と内に秘めた何かを絞り出し、吐き出すような歌い方が独特である
おそらく歌い手「はる」さんが最も得手とするタイプの楽曲だと思われ
収録曲の中では、一番カッチリとハマっているような印象を抱かされた

きかいのおはか
河城の持ち曲「芥川龍之介の河童」のメタルなバラードアレンジである
全5曲の中では一番すきな曲である。サビ部ギターの「暴走」がエモい
退行的で退廃的という印象を抱かされるが、「語りかけてる相手」が謎
「赤い髪」や「言う通り」の歌詞から、河城みとりでは?とも思われる
「歯車“にとり”変えた」のダジャレは作為か不作為か可愛げがあった
「にとり」ってとても可愛らしいフレーズなので、色々重宝しますよね
https://www.youtube.com/watch?v=qaSYtymLaOs
※参考 「にとりたび feat. AO」。「にとり」を効果的に使ってる例

地の底で慟哭、血の上で恍惚
1面道中「暗闇の風穴」と黒谷の持ち曲「封じられた妖怪」のミックス
と言っても仲良くフュージョンし1曲に生まれ変わっている風ではなく
ともすれば不協和音のように相互の曲が頭を出し合い争いあってるよう
良くとれば地底妖怪の生命力や自己主張の逞しさの体現とも言えようが
どちらかてと無理に融合し拒否反応に蠢くグロテスクな怪物性を感じた

夢の不滅エクセルギー
幻想機械(秋霜玉)、幻想科学(秘封)、エネルギー黎明(地霊殿)を
フュージョンし、リリックをボーカロイド風にした、冒険的すぎる作品
「地の底で慟哭、血の上で恍惚は」所詮プロトタイプだったのだとでも
言わんばかりに、未知と破天荒とを押し込めたような力作だと言えよう
歌詞のコンセプトは明らかにVIVITのキャラソン風ではあるものの
「今回は本気『私』のためにビビっと頑張る」というフレーズはむしろ
作者さんからリスナーに対する挑戦状というか絶縁状のようにも感じる
曲調はロボロボしさのあるピロピロの上に、昭和歌謡曲の風味と言うか
もっと言うなら「サイモン&ガーファンクルのような荒涼感」を漂わし
いびつで殺伐たる“未来世紀”が次第に調和していく様子すら思わせる
一番すきは「きかいのおはか」に譲るが、一番アメージングな曲だった

講評
全体を通して際立っているのは透明感のあるピアノ旋律の美しさである
「テュルルルルル」と「ジャーン」の使い方に強弱を感じ非常にうまい
めっちゃくちゃハウリングしまっているエレキも随所で良いを仕事する
よって全体的な曲調としては「舞風」と「岸田教団&明星ロケッツ」の
あいの子というか、両者の良い所を合わせたリノベーション感があった
https://www.youtube.com/watch?v=XAfB-sY0IuY
https://www.youtube.com/watch?v=zqyAoOvx8ng
※参考 温故知新という言葉が似合いそうな古くて新しい才能であった