Reuters
2021年 6月 3日 7:41 AM JST
コラム:オリンピック、永遠にボイコットを
Pete Sweeney



[香港 2日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 1995年、私は流行に乗る人の群れに混じってアトランタに移り住んだ。次のオリンピックを見に観光客が押し寄せるとみて、それに乗じようと考えたのだ。だが、誇大広告に惑わされ続けた他の人々と同様、私も失望する運命にあった。

多くの観光客は遠く離れた郊外のホテルに滞在し、地下鉄に乗って協賛企業向けに整備されたダウンタウンにある競技場に向かった。酷暑の中、他の場所をうろうろする人はほとんどいなかった。私はオーストラリア選手団のサポートスタッフに麺類を提供することで何とか糊口をしのいだが、地元の人々の多くは観光客が押し寄せるとみて混雑から逃げ出したため、大儲けが期待できたはずのレストランや小売店は赤字となった。

古代ギリシャの宗教行事として始まったオリンピックも、現代ではこのような悲しい話がつきものだ。

当初の崇高な目的は堕落し、スポーツや都市経済を歪めてしまった。今日のデジタル時代においては、アスリートやコカ・コーラやマクドナルドなどのスポンサーにはより良い選択肢がある。今こそ、聖火を渡す時だ。

オリンピックは世界平和の推進からは程遠く、何度も繰り返される論争の震源地となっている。

日本では新型コロナウイルスの感染が続いており、全国的にワクチン接種率が低いため、ほとんどの日本人はパンデミック(世界的な大流行)により延期された2020年東京大会の中止を望んでいる。ソフトバンクグループの孫正義会長をはじめとする企業トップらも中止派に賛同している。しかし、国際オリンピック委員会(IOC)は、放送権販売のみに注力しており、反対の声には見向きもしない。

オリンピックは外交的な受動的攻撃行動を示す場にもなっている。

中国が新疆ウイグル自治区で行っている「非武装化」キャンペーンは、人権問題を理由に22年に北京で開催される冬季大会をボイコットする運動に拍車をかけた。メダルの数を増やすための努力はドーピングや贈収賄をもたらし、IOCはそれを抑えることができていない。国が支援するスポーツ産業はアマチュアリズムを愚弄している。

     ===== 後略 =====
全文は下記URLで

https://jp.reuters.com/article/breakingviews-olympics-idJPKCN2DE0G6