北海道や札幌市の職員に対する威圧的な言動などが指摘されている自民党の長谷川岳参院議員(北海道選挙区)を巡り、北海道は令和5年度の1年間に62回、札幌市は26回にわたって東京などに幹部職員が出張し、同氏の要求に対応していたことが分かった。道の担当者によると道内選出の国会議員でこうした対応をしているのは「長谷川氏のみ」という。道、市ともに5年度以前の出張状況の調査を進めており、判明次第、公表する方針だ。

長谷川氏を巡っては週刊文春が3月、同氏の要求への対応で札幌市職員の1カ月の残業が100時間を超えているなどと報道した。札幌市の秋元克広市長は3月27日の記者会見で「業務負荷がかかっているのは事実。体制の強化で対応していきたい」などと説明。北海道の鈴木直道知事は4月5日の会見で「出張はいずれも適切だった」としながらも、幹部職員への確認で「20回以上出張をしていた職員もいた」などと述べた。

北海道が長谷川氏と接点の多い幹部職員4人の出張状況を調査したところ、5年度の1年間だけで東京などに62回の出張をして同氏の要求に対応したことが確認された。最も多い人は25回に上っている。

鈴木知事はこうした状況を受けて「電話で改めるよう申し入れた」という。道は5年度以前の出張状況について、ほかの職員の状況も含めて調査を行う方針で「結果は公表したい」としている。

札幌市は脱炭素社会を目指すGX(グリーントランスフォーメーション)部門の職員7人が5年度、26回にわたり東京や福岡などに出張し、長谷川氏との勉強会や意見交換に対応したという。

秋元市長は10日の記者会見で「長谷川氏の厳しい言葉で萎縮した職員が複数確認された」とし、同氏に面会するための出張について、すべての部署を対象に調査することを明らかにした。

長谷川氏は平成22年7月の参院選で初当選し、現在3期目。道内経済界からは「多くの面で貢献していただいている」との声がある一方、厳しい言動や威圧的な態度が指摘されていた。

道内のある自治体幹部は産経新聞の取材に対し、「政策に関して『あれはどうなった』と問い合わせがあり、『明日(午前)9時』と言う。『来い』とは言わないが、時間を指定されたら対面という意味しかない」と話す。

また、長谷川氏への対応の中で「スマホを手にした同行者が『携帯(電話)なんか触るな』と怒鳴られている様子も目の前で見た。同様の話は北海道や札幌市以外の自治体職員から複数聞いている」と語る。

6日に札幌市内で報道陣の取材に応じた長谷川氏は「表現方法などに関して無自覚だったと心から反省している」などと述べた。(坂本隆浩)

産経新聞
2024/4/11 17:00
https://www.sankei.com/article/20240411-3M4QMYVQDBP5HH4Z3UH65BTELU/