ジャンボタニシ農法と参政党:ロマン優光連載281 | 実話BUNKA
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2024.03.08

 281回 ジャンボタニシ農法と参政党

農林水産省がジャンボタニシ放飼を止めるように訴えている。正式の名称はスクミリンゴガイ、俗にジャンボタニシと言われているが見た目が似てるだけでタニシとは異なる種類の南アメリカ産の外来種である。ジャンボタニシという呼び方はタニシの牧歌的なイメージにミスリードしそうなので、ホリエモンではなく堀江貴文と、ひろゆきではなく西村博之と書くように、本稿では基本的にはジャンボタニシではなくスクミリンゴガイと書くようにする。

日本に80年代初頭に持ち込まれ食用として各地で養殖されていたが、需要が乏しく採算がとれないため廃れ、スクミリンゴガイは破棄された。破棄されたものや養殖場から逃げ出した個体が野生化し繁殖、分布を広げ、84年には有害動物に指定されている。

田植え直後の稲を食べるため、稲作農家の天敵ともいえる害虫であり、卵には毒性があって天敵に食べられることがなく繁殖力も強い。スクミリンゴガイによる稲作農家への被害は大きい。駆除するのもなかなか難しく、本当にやっかいな生物である。生態系被害防止外来種、日本の侵略的外来種ワースト100、世界の侵略的外来種ワースト100リスト選定種の一つだ。

農林水産省が放飼をしないように呼び掛けているということは、それが今問題になっているということであり、そんなやっかいな生物を現在進行形で意図的にバラ撒いている人がいるということだ。

ジャンボタニシ農法とは何なのか

40年前から地元で行われている有機農法であると参政党に所属する重松ゆうこ氏が推奨している「ジャンボタニシ農法」。X(旧Twitter)上では重松氏をはじめ、「ジャンボタニシ農法」を推奨する人が目立ちだし、実際に田んぼにスクミリンゴガイを投入している人がいるという報告もある。それをうけての農林水産省の声明だ。

「ジャンボタニシ農法」はスクミリンゴガイの駆除が上手くいかない地域で始まったもので、水がないところでは動かない、ある程度大きく成長した稲は食べない、稲以外の植物も食べる(そちらのほうを好む)という習性を利用して、田植え直後は田んぼに張る水を少なめにして雑草の芽を食べさせ、稲がある程度成長して食べられる恐れがなくなったころに水量を増やすというもので、除草剤を必要としないメリットはある。

いいことずくめのようだが、これを実践するのは難しく、熟練の技術が必要だという。有機農法を志向する新規就農者が技術もないのにこれをやろうとしても成果をあげるのは難しいだろう。

元からスクミリンゴガイが発生している田んぼで「ジャンボタニシ農法」に挑戦し、それが失敗に終わっても本人だけの問題といえばそういう話ではある。しかし、特にスクミリンゴガイがいないような地域で、わざわざスクミリンゴガイを持ち込んで田んぼに投げ入れている人がX(旧Twitter)上で報告されおり、そうなると地域全体に波及する問題になってくる。「裏ガネをバラ撒くのも困るが、ジャンボタニシをバラ撒くのも困りものだよ」みたいな気が利いたふうなことを言いたい人もいるだろうが、そんなこと言ってる場合ではないし、そもそもそんな言い回し別に気が利いていない。

繁殖力の強いスクミリンゴガイがよその田んぼに入りこんで増えれば、その田んぼの稲に被害が出てしまう。迷惑どころの話ではない。地域の農家にとっては死活問題だ。

そもそも、地域の生態系を破壊してしまう危険な外来種として駆除の対象となっている生物を意図的にバラ巻こうというのがおかしいのだ。生態系保全に対する社会意識は時代と共に高まっているのだが、それを無視して時代に逆行する行為でしかない。今もスクミリンゴガイを駆除するために頑張ってる地域があるのに、わざわざバラ撒いて繁殖させようとするのは本気で理解しがたい。理解できないのは動機ではなく、なぜそんなに杜撰で考えがないのかということなので、わざわざ動機を教えてくれなくてもかまわないです。

当然ながら新規就農者によるスクミリンゴガイのバラ撒きが発覚した地域の農業従事者をはじめ、多くの人が批判しているわけだが、「ジャンボタニシ農法」を推奨している重松氏は全く意に介せず、X(旧Twitter)上で

(略)

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