東京・羽田空港に着陸した日本航空の旅客機が2日夜、炎に包まれた。同機は、海上保安庁が保有する航空機と衝突したという。海保関係者は「前代未聞の事態が起きた」と絶句した。

 2日午後7時頃、羽田空港の展望デッキからは、日航機の機体から黒色の煙が上がり、多数の消防車が消火活動にあたっている状況が見えた。消防車のサイレンが鳴り響き、横浜市のパート従業員女性(47)は、「まさか日本でこんな大変な事故が起きるとは思わなかった。すごく怖い」と声を震わせた。

政府関係者によると、日航機と衝突したのは海保機だった。東京・霞が関の国土交通省では、午後6時過ぎから、事故を受けて同省職員や、同じ庁舎に入っている海上保安庁職員らが慌ただしく集まり、情報収集に追われた。

 海保機は、石川県で発生した地震の支援活動に向かうところだった。同機に搭乗していたうち5人の死亡が確認された。

 ある海保関係者は、「これまでにない事故が起きてしまった。情報がなかなか入ってこず、やきもきしている。地震の救援活動に影響を出してはならないのだが……」と声を詰まらせた。

 滑走路で航空機が事故を起こし、乗客が緊急脱出する事故は過去にも起きている。

 2007年8月には、沖縄・那覇空港で、中華航空機が駐機場に移動して停止後、爆発炎上した。乗員乗客165人は、脱出装置で避難し、無事だった。

 16年2月には、北海道の新千歳空港で、離陸前の新千歳発福岡行き日航機の右エンジンから煙が出て、乗客乗員165人が緊急脱出した。

読売新聞
2024/01/02 20:45
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240102-OYT1T50108/