裏金疑惑の捜査が進む自民党安倍派。現在、事務総長を務めているのが髙木毅前国対委員長(67)だ。そんな髙木氏をめぐり、不可解な政治団体がパーティ券収入を管理していることが「 週刊文春 」の取材で分かった。

髙木氏の政治団体としての性格がきわめて強い

団体の名称は「次世代政治研究会」。直近の2022年分の収支報告書によれば、同年12月に東京プリンスホテルで「高木つよし政治セミナー」を開催し、約1400万円の収入を得ている。確認できた09年以降の報告書から判明したのは、ほぼ毎年、1000万円超の大規模パーティを開催し、年に500万円から1500万円を、髙木氏が代表を務める「自由民主党福井県第二選挙区支部」に寄附しているという事実だ。加えて、事務担当者は、長年にわたり髙木氏の政策秘書を務める小泉あずさ氏。連絡先には議員会館の髙木事務所の電話番号が記されていた。

「議員会館内では、エプロンにスリッパ履きという名物秘書。髙木事務所のお金の管理は彼女が担当しています」(自民党関係者)

 政治資金の流れや“エプロン秘書”の存在からも、同会は髙木氏の政治団体としての性格がきわめて強いことが窺える。だが、総務省が公表している「国会議員関係政治団体一覧」の髙木氏の欄に、同会の名前は見当たらない。「国会議員関係政治団体」としての届け出をしていないためだ。

地元でない地域に政治団体を置く意図
 それだけではない。主たる事務所の所在地は東京都小平市。なぜ福井県選出の髙木氏が、わざわざ多摩エリアに政治団体を置いているのか。

 日本大学の岩井奉信名誉教授が指摘する。

「国会議員関係政治団体としての届け出をせず、地元でない地域に住所を置くことで、外部からは非常に見つけにくい“闇団体”となっています。届け出をしないことでの罰則はありませんが、政治資金の使途の透明化を妨げる非常に不適切な対応と言える」

髙木氏から「ちょっと名前借りました」
 事態を確かめるべく、所在地である小平市の住所に向かった。辿り着いたのは住宅街の一角に佇む一軒家。表札には会計責任者K氏の苗字が記されている。そのK氏に尋ねると、

「(政治団体のことは)よくわかりません。(髙木氏は大学の)後輩でツーカーの仲だった。5年ほど前に突然、書類が届いたので『髙木、お前、何だこれ』と言ったら『ちょっと名前借りました』と」

 名義を貸しただけと主張するK氏。だが、収支報告書の最終頁の「宣誓書」には、会計責任者としてK氏の署名と押印が確認できる。そのことを問うと、

「ハンコは渡していないけど、向こうで(勝手にK姓のハンコを)押したんでしょう。毎年この時期に書類が届くんですけど、いつも封を開かず事務所に送っちゃう。髙木と電話でやりとりすると、共謀みたいになるから、(会計処理は)あえて何も聞いていない」

代表者も「この会は活動してんの?」
 同会が代表として届け出ている都内在住のY氏も、

「死んだ女房が髙木といとこ同士で。髙木が議員になった頃、地元が(福井県の)敦賀だから、東京に知り合いがいなくて『住所を貸してくれ』と。でも、何か連絡が来ることはない。この会は活動してんの?」

 つまり、代表者も会計責任者も“偽者”なのだ。元東京地検特捜部副部長の若狭勝氏が解説する。

「会計責任者が知らない間に勝手にハンコ押していたのであれば、刑法の『有印私文書偽造』の疑念を持たれても仕方がない。同罪に問われた場合、3カ月以上、5年以下の懲役が科されます。会計責任者が内容も把握せずに毎年書類を提出していたとすれば、議員の政治的、道義的な責任も問われるでしょう」

 髙木氏に事実関係を尋ねたが、回答はなかった。

 12月26日(火)12時に配信される「 週刊文春 電子版 」ならびに27日(水)に発売される「週刊文春」では、髙木氏の“闇団体”をめぐる裏金疑惑や、検察が狙いを定める安倍派幹部の実名とその理由、安倍派現役幹部の肉声、今も派閥を牛耳る森喜朗氏の贅沢な暮らしぶり、西村康稔前経産相が再び開催していた架空パーティなどについて詳報している。

文春オンライン
12/26(火) 16:12配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/56149afa9f9bdef7f05fbd559342d8a325d52188