裏金疑惑でグラグラの自民党安倍派に、思わぬ“援護射撃”だ。

 旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の友好団体が発行する「世界日報」(18日付)が、〈安倍派報道の屈辱に負けるな〉とのコラムを掲載。安倍派に“エール”を送っているのだ。

 コラムは、〈連日、「安倍派の裏金」とメディアが報道することは、国内だけでなく国際社会にも少なからぬ衝撃を与えている><多額の政治資金不記載を「安倍派の裏金」と書かれる日本政治は、これが国際社会にいかなる国の損失をもたらしているか>と、メディアの「安倍派裏金報道」を牽制したうえで、安倍元首相を持ち上げ、岸田首相をこき下ろしている。

 安倍元首相の政策により〈日本の国の伝統、誇り、家庭の価値観を再認識することができた〉〈対外的には日本の存在感は質的にも高められていたのだ〉とする一方、岸田については〈自己の危機管理能力の欠如、また保守の政治勢力を貶め、政治に対する国民の信頼を失った責任を痛感すべきだ〉と批判。

 さらに、裏金問題で揺れる安倍派に対し、〈安倍元首相と安倍派の名誉にかけて、その遺志を受け継ぐ有志らによって再起し、日本国のために立ち上がらなければならない〉と、叱咤している。

 なぜ、このタイミングで安倍派を応援するコラムを掲載したのか。旧統一教会問題の取材を続けるジャーナリストの鈴木エイト氏が言う。

「解散命令の請求以降、統一教会は岸田政権批判を強めており、その主張に沿った内容です。また、裏金問題で安倍派が弱体化されては困ることから、“援護射撃”のつもりなのかもしれませんが、むしろ、逆効果ではないでしょうか」

裏金問題で牽制との見方も

 裏金問題については〈安倍派の99人は無論、政治資金不記載問題を厳に戒め、改めなければならない〉と触れている。

 鈴木エイト氏は「やや深読みですが」とこう続ける。

「安倍派に限らず、統一教会は、国会議員の秘書や自民党の職員に信者を送り込んでいる可能性があります。その中には、裏金づくりの事情を知っている信者がいてもおかしくありません。『世界日報』のコラムで裏金問題に触れることで、『首根っこをつかんでいる』という“メッセージ”を自民党側に発信しているようにも見えます」

 自民党は、特捜だけでなく、教団の一挙一動にもビクビクすることになりそうだ。

日刊ゲンダイ
23/12/22 06:00
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