政府が発表した「こども未来戦略」(議長は岸田文雄首相)の中で、多子世帯の大学無償化の条件が先日、明らかになった。子どもが3人いても、第1子が扶養から外れると下の子ども2人は対象外になる。その“セコさ”が明るみになり、ネット上では大ブーイングの嵐となっている。

■制度を利用するには第1子を浪人させるしかない?

《年の差あるかないかで不公平》《多子世帯支援と言いながら、蓋をあけたら限定的な支援にしかなっていない》《これを利用するとなると第1子が浪人させるしかないのでは?》と、非難の声が多くあがっているのだ。

 大学無償化で話題になっているこうした矛盾は、同じく、支援拡充が決定している児童手当でも問題になっている。来年度、児童手当の拡充が決定し、所得制限の撤廃や第3子以降への加算などが盛り込まれた。また支給対象を現行の中学生から高校生まで引き上げた。

 ただ、こちらも、第1子が高校を卒業すると、第3子が第2子に繰り上がり、加算が受けられなくなってしまう問題が露呈。これらの指摘について、子どもとして数える期間を大学生までに延長する案が現在検討されているのだが、既存制度でも問題になっていることがある。それは保育園の保育料である。

保育園「第3子の第1子カウント問題」と幼保で異なる副食費の扱い

保育園では、上2人が保育園に在籍していると、3人目は第3子カウントされ、保育料が無料になる。しかし、上2人が小学校に入ると、戸籍上第3子であっても、第1子と捉えられ、保育料の負担が発生する(非課税世帯や年収360万円未満相当世帯であれば第3子も無償。自治体によっては助成している場合もあり)。※第2子が保育園在籍時は、第2子カウントとなり第3子の保育料は半額負担となる。

「多子世帯の大学無償化や児童手当の拡充でも矛盾が指摘されていますが、保育園のこと忘れていませんかって話ですよ。我が家は、上2人が小学校に上がり、下の子がまだ2歳のため第1子にカウントされるため、保育料が月4~5万円ぐらい、年間でいうと50万円ぐらい負担しています。大学無償や児童手当もありがたいのですが、まずこちらの保育料の問題も改善していただきたいものです」(多子世帯家庭の40代の母親)

 現在、幼保無償化によって、3歳児以上は無償になっているが、第3子が0、1、2歳の場合、第2子が小学校に上がると保育料の全額負担が生じる仕組みとなっている。

 また、第3子問題は保育料だけではなく、副食費にも及んでいる。

「我が家では転居前の自治体では、第3子の副食費が無償だったのです。でも、転居先の自治体では副食費の負担があり、調べたところ、副食費を前の自治体が負担してくれていただけなんです。さらに驚いたのは、保育園だと上2人が小学校に上がった時点で第1子カウントされるのですが、全国どこでも幼稚園だと上2人が小学校3年以上になった時点で第1子カウントされるという謎のルールがあったんです。保育園と幼稚園でここまで差を設けるってどういうことなんでしょうか」(同)

 そもそも大学無償化も完全無償化ではない。こども家庭庁のHPには「年収360万円未満相当世帯のこどもたちと全ての世帯の第3子以降のこどもたちについては、副食(おかず・おやつ等)の費用が免除されます」と堂々と副食費無償と言い切っているが、前述した通り実質無償ではない。

 国の多子世帯を支援する取り組みの裏では、多くの“セコさ”が潜んでいるのである。

日刊ゲンダイ
12/18(月) 14:00配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/ad464ccfd2a0b1fac9e4cdf7e5156f527d839abf