自民党の派閥のパーティーを巡る問題で、最大派閥・安倍派(清和政策研究会)の複数の所属議員がパーティー収入のノルマ超過分100万円以上を安倍派に納入せず、政治資金収支報告書に記載しないまま「中抜き」していたことが16日、関係者への取材で分かった。東京地検特捜部は安倍派からのキックバック(還流)に加えて、中抜き分についても政治資金規正法違反(不記載・虚偽記載)の疑いで捜査を進めているもようだ。

安倍派は平成30年~令和4年分のパーティー券の販売ノルマ超過分を収支報告書に記載せずに還流し、不記載額は収支合わせて10億円に上る恐れがある。中抜き分を加えれば、不記載額はさらに膨らむ可能性がある。

特捜部は、安倍派の議員への任意での事情聴取も開始。今後、対象を広げていく。特捜部はパーティー収入の一部を不記載にした経緯について安倍派や議員の関連団体の会計責任者だけでなく、議員本人の関与を慎重に調べている。

関係者によると、安倍派はパーティー券用の口座を用意し、パーティー券を購入する支援者は議員ごとに割り振られたパーティー券番号を名義に添えて送金。派閥として議員ごとのパーティー券販売額を集計し、後日、ノルマを超えた分を議員に還流していた。

一方、所属議員の一部は支援者に対し、安倍派の口座ではなく、個人のパーティー券用口座に送金するよう依頼。個人口座からノルマ分だけを安倍派に納入し、超過分は中抜きして議員側の支出に充てたり、ノルマ未達の場合の補塡(ほてん)に充てたりしていたという。

議員の関連団体の収支報告書には記載していなかったといい、関係者によると、中抜き額が100万円を超える議員も複数確認されている。

安倍派側では確認が困難とみられ、特捜部は個人の口座などを調べ、中抜き分の資金の流れの解明も進めている。

産経新聞
2023/12/17 01:00
https://www.sankei.com/article/20231217-K6TKWMBBCZJH3LTLSVG65JC6YQ/