「神様に一番近い離島」が政府の監視下に…土地利用規制法の行き過ぎた指定では? 島民が怒る理由は
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2023年8月18日 12時00分

 外国資本による土地取引の規制を名目に2年前に成立した土地利用規制法。「注視区域になると国に監視される」と猛反発が出た同法を巡って最近、物議を醸す動きがあった。舞台は沖縄県の久高島。琉球の伝説が残るこの島では、地元区が土地所有するため、部外者が容易に土地を使えない。それなのに注視区域となり、15日に施行となった。国の監視下に置く必要があるのか。行き過ぎた指定ではないのか。(木原育子、山田祐一郎)

◆琉球文化がそのまま残っている

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◆「むやみに入ってはいけない」

 琉球王国の正史「中山ちゅうざん世鑑せいかん」によると、琉球の創世神アマミキヨが天から舞い降りたと伝わる。御嶽うたきと呼ばれる拝所も多く、島民でも特別な時しか入れず、男性禁制の場所もある。

 「小さい頃、おばあには用がない限り、むやみに入ってはいけない島だと言われて育った」と藤﨑さん。市文化課の横山幸平さん(35)も「文化財の調査で訪れる時も島と協議をして慎重に入る。沖縄は離島が多いが、特別な位置づけの島です」。琉球の薫り残る「沖縄の聖地」と言っていい。

 そんな島が、土地利用規制法の注視区域に指定された。同法の根底にあるのは「離島などの他国買収は安保上問題」という考え方。自衛隊レーダーの妨げとなる工作物の設置などの「機能阻害行為」を防ぐ必要があると区域指定し、国が土地の利用状況を調べる。内閣府のサイトによると、島の南半分が対象になった。

◆従来の見解を繰り返す政府

 久高島を含めたことに対しては「行き過ぎた指定」と疑問視する声が上がる。瑞慶覧ずけらん長風ちょうふう市議(30)は「許せない気持ちが湧き上がった。少なくとも久高島に指定は必要ない」と憤る。
 島の土地は、国有地や電力会社の用地を除き、「字久高あざくだか」名義で登記されている。琉球王朝からの「地割制」が唯一残る地域で、土地は個人で所有せず、区が所有する「土地総有制」を取っている。
 冒頭の並里さんは土地管理委員会の委員長でもあり、「島の土地は、神様から借りていると考えられている。土地を利用する際は区の了解が必要になる。勝手なことは絶対にできない」と語る。1988年にリゾート開発が持ち上がった時も久高島土地憲章を発布。土地の利用も取引も事前協議が明文化された。

 今月1日には政府交渉の場を設け、地元側は区域指定に含めないよう求めたが、国側は応じなかった。
 内閣府の伊藤大・政策統括官(重要土地担当)は取材に「字久高は国や地方公共団体と同等とは考えられず、機能阻害行為の兆候の把握が容易な地域とは考えていない」と従来の見解を繰り返すばかりだった。

◆「機械的に選んだだけではないか」

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※省略していますので全文はソース元を参照して下さい。