「夢洲は本当に土地になっているの?」参加国に共有されていない“軟弱地盤”への危機感
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公開:23/08/09 06:00 更新:23/08/09 06:00

 大阪・関西万博の誘致決定時から、非常にマズイことになるだろうと予測されたのが「夢洲って本当に土地になっているの?」という疑問です。

 夢洲は1991年に埋め立てが許可された人工島で、廃棄物の最終処分場として使われてきました。要はゴミ捨て場ですが、だからダメだと指摘したいのではありません。高度成長期には東京湾にも「夢の島」という有名な埋め立てのゴミ捨て場がありました。すでに緑地化されて公園となり、公共施設も多数建設。今では、そこがかつて海の上だったと意識させるものはないほどです。


(略)

現在までパビリオンなどの設営に大きく糸を引いています。ズバリ、軟弱地盤対策です。

 地盤さえしっかりしていれば、基礎工事は非常に簡素化できます。当然、その上に乗る建築物の柱や梁も安定した基礎の上で合理的に組んでいくことが可能です。ところが、夢洲のように地盤が軟弱な場合、建築物の荷重をどのように基礎に伝えていくか、はたまた基礎から軟弱地盤を避けて固い地層まで杭をどう打つかが課題となります。

■追加工事の発生続く無間地獄

 もし地盤状況の目測を誤ってしまうと、必ず対応に苦慮します。撤回された新国立競技場ザハ案のキールアーチの基礎や、豊洲市場における水がたまってしまう地下空洞のような難問噴出が予想されます。それだけでなく、後から後から追加工事が発生する“無間地獄”に陥りかねません。

 なお、夢洲の地盤状況だと、35~40メートルの深さまで杭を打つ必要があります。万博終了の数カ月後にはパビリオンの解体撤収だけでなく、打った杭の撤去まで義務付けられています。杭工事は打つよりも安全に引き抜く方が大変。これもゼネコン各社が万博施設の整備に二の足を踏む要因のひとつでしょう。(おわり)