東京・明治神宮外苑地区の再開発を巡り、東京都新宿区が神宮第二球場周辺の樹木伐採を違法な手続きで決定したとして、区民ら5人が25日、伐採許可の取り消しと1人当たり1万円の慰謝料を求め、東京地裁に提訴した。

 取り消しを求めているのは、同球場と建国記念文庫の森周辺の樹木計約3000本の伐採許可。訴状によると、もともとこのエリアは、都条例に基づく「風致地区」のうち、特に厳しく規制する地域に指定されていた。2020年、都は再開発事業を見据えた「外苑地区のまちづくり指針」に従い、区に伐採しやすくなる地域区分に変えるよう求め、区が変更。今年2月、所有者の明治神宮が伐採許可を申請し、区が許可した。
 原告側は、区議会や区都市計画審議会に説明や報告をせずに地域区分を変更したのは住民自治に反し、これを前提とした伐採許可は区の裁量を逸脱していると主張している。
 原告らは25日、都内で記者会見し、住民の大沢暁さとるさん(40)は「区が民主的プロセスを経ずに判断したのは犯罪的行為。大正時代の先人に与えられた樹木を守りたい」と訴えた。
 区は「内容を把握しておらず、コメントは差し控える」とした。事業者の三井不動産によると、伐採は9月以降に始まる見通し。(太田理英子)

東京新聞
2023年7月25日 20時40分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/265382