東京・明治神宮外苑地区の再開発について、事業者は17日夜、近隣住民に向けた説明会を東京都千代田区で開いた。今年3月の着工後も樹木を伐採して高層ビルを建設することなどに批判が続いている。住民からは「外苑に高層ビルは必要なのか」など、景観への悪影響などについて厳しい質問が続いた。

 事業者は、三井不動産、明治神宮など4者。説明会は18、19の両日も同内容で開く。この日の終了後、担当者は取材に「説明したかったことは説明できた」と述べた。説明会を経ても「計画の大枠は変えることはない」としており、懸案の高さ3メートル以上の樹木の伐採は9月以降に着手する方針を明らかにした。
 この日は約150人が参加。高層ビルは190メートル、185メートルの2棟を建てる計画。住民からは「都市にはビルが林立するからこそ、あえて外苑の特別な空間は守るべきではないか」などと質問があり、事業者側は「外苑は都心の一等地で、全体として守るために土地の高度利用が必要になる」などと回答した。
 事業者は、計画段階だった2020~21年にも都条例などに基づき3回計6日間、説明会を開いた。今回は任意で開催したが、外苑から380メートル圏内の住民らに対象を絞った。説明会では対象制限への批判のほか、「対面の説明会をあらためて開いてほしい」といった意見も出た。
 今回の説明会は、外苑周辺の子育て世帯などでつくる「明治神宮外苑を子どもたちの未来につなぐ有志の会」の要望がきっかけ。参加対象から外れた代表の加藤なぎささんは「今回で十分だとは思わない。神宮外苑の価値をしっかり捉えないと、それがまちづくりに反映されることはない。市民の声を伝えていきたい」と話した。(森本智之、押川恵理子)

◆22日に伐採中止を求める集会 坂本龍一さんの遺志を継ぐ

 音楽家坂本龍一さんと生前交流のあったアーティストらが東京・明治神宮外苑地区の再開発の見直しを求める2回目の集会を22日午後6時~8時、外苑内の聖徳記念絵画館前の西側通路で開く。主催者は「本格的に始まろうとしている樹木の伐採の中止を呼びかけたい」としている。
 坂本さんが共同で主宰していた社会問題を考える団体「D2021」が企画。1回目は4月に開き、同団体によると約6000人が集まった。今回の出演者は現在調整中。

東京新聞
2023年7月17日 22時30分
https://www.tokyo-np.co.jp/article/263749