夏の永田町は閑散期。毎年、多くの与野党議員が外遊に出るからで、自民党の茂木敏充幹事長もその一人。今月9日からおよそ1週間、南米ペルーとブラジル、ポーランドを訪問中だ。

 来年開催予定のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)は、ペルーが議長国だ。

「茂木はそれを建前にしていますが、政府関係者との会談ならリマで十分。マチュピチュは辺境地で、ルートは複数ありますが、リマからは最速でも飛行機と列車、バスを乗り継いで5時間。外務大臣の時から同じように、外務省や自民党職員を振り回しているんです」

「バカンス仕様」と揶揄

茂木氏は今年5月の大型連休の際、アメリカ、メキシコ、キューバを歴訪した。出発時は白地のスーツにサングラスという出で立ちで空港に現れ、党内で「バカンス仕様」と揶揄されたほか、キューバでは愛好する葉巻ブランドの工場を訪問。「幹事長の北米・南米ツアー」との冷笑も浴びた。

 自民党若手議員も渋い顔。

「ただでさえ“議員外交はムダが多い”と国民の目は厳しい。マイナンバーを巡るトラブルをはじめ、エネルギーや物価の高騰で内閣支持率が急落している最中に与党の幹事長が海外で物見遊山に興じていたら、国民はどう思うか。責任ある立場なんだから、もう少し考えてくれないと……」

 党内に渦巻く怒りと怨嗟の声も、本人はどこ吹く風。

 先の政治部デスクが言う。

「本人は“今度はマチュピチュに行くんだ。マチュピチュ~”と、完全に浮かれモード。6月には目の上のたんこぶだった青木幹雄元官房長官が死去したうえ、衆院解散も遠のいた。一気に緊張が緩んだんでしょう」

「今すぐ辞めてほしい」

 が、茂木氏に注がれる視線は厳しくなる一方という。

「6月末、自公は選挙協力に関する合意文書を交わしたものの、東京での協力は見送りに。“1選挙区2万票”とされる公明票がなければ当選が危うい議員らに動揺が走りましたが、交渉役の茂木に責任を感じている様子は見られません。記者会見で合意文書が東京に触れられていない点を聞かれると、質問を遮るように“青森にも山形にも触れてませんよ!”と開き直る有様です」

 当の都内選出の自民党議員は憤りを隠さない。

「あんな居丈高な態度で交渉したら、公明党は歩み寄れない。茂木さんの公明嫌いは有名ですが、議席を最大化するという幹事長の使命をまっとうできないなら、いますぐ辞めてほしい」

 今秋の任期満了に伴う党役員人事における、最大の焦点は幹事長ポストという。茂木氏は留任を熱望しているとされるが、岸田文雄総理の心証は芳しくない。

 官邸関係者が耳打ちする。

「すでに総理は人事構想を練り始めている。春の統一地方選と衆参補選を勝利させた幹事長を交代させるにはそれなりの理由が必要だけど、茂木さんのスタンドプレーは目に余るから」

 早くも後任には森山裕選対委員長や鈴木俊一財務大臣のほか、小渕優子組織運動本部長らの名が。だから気晴らしが必要なのか――。

「週刊新潮」2023年7月13日号 掲載

デイリー新潮
7/12(水) 5:58配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/692928ada7bf7a7fad82291f50352406c6b43a3c