安倍晋三元首相の銃撃事件から1年が過ぎた。この事件をきっかけに、霊感商法や高額献金などの問題が再認識された世界平和統一家庭連合(旧統一教会)。新型コロナウイルスの感染拡大の時期には、“資金集め”が思うようにいかなくなっていたという。そのときは信者から「コロナ給付金」を集めていたといい、その後はロシアのウクライナ侵攻の際にも献金の求めがあったという。元信者がその時の様子を語った。

「新型コロナウイルスの感染拡大で、旧統一教会のカネ集めは一瞬、おとなしくなりました」

 こう話すのは、安倍元首相の事件後に旧統一教会から脱会したという関東地方在住のAさん。

「旧統一教会は毎日のように信者を集めては恐怖をあおってカネを集める。コロナ禍でそれができなくなったんです。ほっとしていたら、特別給付金を取るようになり、その後はロシアのウクライナ侵攻で“カネ集め”を始めました。人の不幸をねたに献金を求める旧統一教会は宗教ではありません」

 そう言って見せてくれたのは、

「真の父母様ご聖婚60周年記念と新型コロナウイルス終息のために7日特別精誠路程」

 という旧統一教会からの案内だ。父母様とは文鮮明・韓鶴子夫妻のことで、「精誠」というのは、旧統一教会では「清い心で神に祈る」との趣旨で使われているそうだ。


 旧統一教会の創始者である文鮮明氏や、文氏の死後総裁を継いだ韓鶴子氏に向かって祈りを捧げるという集会、儀式の案内だという。

 だが、新型コロナウイルスの感染拡大、緊急事態宣言を受けて期間を延長し、第1次から3次に分けて3回開かれるとされている。

 当時、新型コロナウイルスの感染拡大で、緊急経済対策として国民に一律10万円の給付が決まった。

「教会では、新型コロナの感染拡大で日曜日の礼拝にも人が集まれなかったので、献金が極端に落ちていました。そこで、特別給付金の10万円に目をつけ、こんな案内を何度もしたと教会の幹部から聞かされました。まさにコロナを逆手にとって稼ごうとしたんです」

 とAさんは憤慨する。

Aさんの知人で信者だったBさんは、

「コロナの影響で仕事が減り、10万円給付でほっとしている時でした。この案内が何度も届きました。仕方なくマスクを二重にしてして一度、教会に行きました」

 と振り返る。

 すると、教会幹部は、文鮮明氏の「教え」として信者のノルマのようにされている「10分の1献金」「十一条献金」(給料の10%を献金する)ができていないと叱責(しっせき)したという。

 そして、

「家族5人で50万円が入る」

「全額、捧げないと不幸が起こる。コロナで人生が台無しになるかもしれない」

 などと10万円をそのまま教会に寄付するよう求めたという。

「なんとかごまかして回答を先延ばしにして教会を後にしました。すると毎日、電話やSNSで『50万円はどうなった』と督促が毎日きて精神的に追い込まれました。最後は仕方なく10万円を出すと、『足らない。50万円だろう』と要求され、ほとほと困りました。そこまで言うなら『弁護士に相談する』と伝えるとおさまりました。実際に家族3人、30万円と強要され、献金した仲間も知っています」

 そして、コロナの後にはロシアのウクライナ侵攻を理由に献金を求めてきたという。

 ウクライナ侵攻が始まると、AさんやBさんには連日、メールが届いた。

「家庭連合ウクライナ状況 2022年3月3日ウクライナでのロシア軍事侵攻から8日目を迎えました」

 との書き出しで始まり、ウクライナ在住の信者の様子が報告されていた。

 首都キーウから約40キロ離れた郊外にある修練所に、30人程の旧統一教会のメンバーが避難しているといい、

「そのような戦時下での生活の中で、8日前に生まれた新生児の祝福2世の『八日儀式』が執り行われました」

 とある。この模様はネット配信されたという。


 Aさんはこうした状況についてあきれた様子で話した。

「メールでは、避難している信者は『過酷な生活で塩や砂糖、小麦粉もない』と窮状を訴えています。当然、これもカネ集めに使い、戦火に巻き込まれている信者を助けようと献金の求めがまわってきました。安倍元首相の事件後ですから、大半の信者がウクライナに届けられることはないと思いながら献金していました。私も2万~3万円出しました。幹部は、ウクライナを助けなければと言いながら、侵攻されたのは『信仰が足りなかったからだ』と平然と言っていました」

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AERA
7/9(日) 12:13
https://news.yahoo.co.jp/articles/5cd141b000dca2aa59a5393b0407d1cfaa10ae9f