迷走していると指摘せざるを得ない。

 松本剛明総務相(64)は4日の閣議後会見で、政府が進めている「マイナンバーカード」の管理に不安を感じる高齢者らが暗証番号を設定しなくても交付できるようにする方針を表明した。

 暗証番号の設定を不要とするのは、カードの申請や交付の際に、本人や代理人の申し出があった場合が対象。暗証番号がないと、カードの個人向けサイト「マイナポータル」や、各種証明書のコンビニ交付サービスなどは利用できなくなり、健康保険証と一体化した「マイナ保険証」や本人確認書類としての利用に制限される。

「マイナンバーカード」の暗証番号をめぐっては、高齢者などが入所している福祉施設などから「個別に管理できない」として見直しを求める声が出ており、政府としては対応を迫られた形だが、そもそも暗証番号は政府が「高いセキュリティー対策」としてアピールしていたはずだ。

■暗証番号不要のマイナカードなら「今の保険証」と同じ

 河野太郎デジタル相(60)も4月の衆院本会議で、「マイナンバーカードを利用する場合には暗証番号が必要であり、一定回数間違えるとロックがかかるほか、ICチップから情報を無理に取り出そうとするとチップが壊れる仕組みを採用するなど、高いセキュリティー対策を講じており(略)」などと自信たっぷりに答えていた。

 それが今回、暗証番号なしでも一部交付可能となったわけだが、「暗証番号を求めないマイナンバーカード」ならば現行の健康保険証と何が違うのだろうか。

 ネット上でも、《また政府方針が二転三転している。もうやめたら》《暗証番号なしならセキュリティーは?成りすましなどの問題は?》《これじゃあ不安になるだけ。そもそもの制度設計に問題があったのではないのか》といった声が相次いでいる。

 やはり、政府は「マイナンバーカード」の普及ありきの姿勢をあらため、まずは安全性をより高める制度設計を構築した方がいいのではないか。

日刊ゲンダイ
7/4(火) 15:26
https://news.yahoo.co.jp/articles/5ef1e262948471b0e9c15ba0a23e3fc22fb21f06