マイナンバーカードを健康保険証として利用できる「マイナ保険証」で誤登録が相次いでいることを受け、全国保険医団体連合会(保団連)は21日、全国の医療機関に実施したアンケート調査の最終結果を公表した。マイナ保険証が無効などと表示され「無保険扱い」となった患者に対し、医療費などを10割負担で請求した事例が1291件あったことを明らかにした。顔認証付きカードリーダーで、マイナ保険証の所有者と別人の顔が認証されるトラブルも新たに判明した。

 医師や歯科医師らでつくる保団連は5月23日に調査を開始し、41都道府県の1万26カ所から回答を得た。そのうちオンライン資格確認システムを運用している医療機関の約65%でトラブルが発生。他人の情報がひも付けされていた事例が114件あったほか、患者情報が更新されず自己負担額の割合が異なって表示されたトラブルもあった。

 「無保険扱い」で10割負担で請求するトラブルは、東京都や愛知県、神奈川県で多かったという。厚労省は原則3割負担とするよう運用マニュアルを改定したが、竹田智雄保団連副会長は「7割の未収金が出た場合はどうするのか。現場では混乱が続いている」と批判した。

 マイナ保険証では顔写真データを読み取り、窓口で撮影した本人の顔写真と照合して本人確認ができる。ただ、保団連は京都府内の病院で「娘のマイナ保険証を入れたら顔認証できてしまった」というトラブルを公表。同様のトラブルが計3件発生しており、千葉県内のある病院では顔認証の利用をとりやめ暗証番号の入力をお願いしているという。【阿部絢美】

毎日新聞
2023/6/21 19:00
https://mainichi.jp/articles/20230621/k00/00m/040/237000c